説明

表示装置

【課題】 非矩形表示エリアの表示パネルにおいて、表示のがたつきを目立ちにくくする
。また、密封エリアを小さくすることにより、表示パネルを小型にする。
【解決手段】 対向して配置される一対の基板3,4とシール材22によって形成された
密封エリア23を有し、該密封エリア内に形成され非矩形の表示範囲が定められた表示エ
リア24を有し、互いに色が異なる複数の単色のサブ画素の輝度調整による混色で表示色
が設定される画素が表示エリア24内に配設され、無着色駆動表示される画素が前記表示
エリア24の輪郭に一部が掛かって配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示エリアが非矩形のカラー表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルや有機ELディスプレイは軽量、薄型、低消費電力という特徴があり、
多くの電子機器に使用されている。通常、表示エリアは矩形になっており、略正方形の一
つの画素は長方形の赤色・緑色・青色(RGB)3つのサブ画素で構成されている。
【0003】
ところが、車載計器、時計、アクセサリーのデザイン上の多様化傾向に伴って、表示エ
リアが矩形のコーナーをカットした形状(特許文献1参照)になったり、円形や楕円形(
特許文献2参照)などになったりする非矩形パネルが考えられた。
【特許文献1】特開2007ー72082号公報
【特許文献2】特開2006ー276360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画素の形状が矩形(特許文献2参照)であるために、カラーのときには
、混色制御のために表示領域に一部が掛かる画素は正しい色表示することができず、図7
に示す如く、外周近傍で直角の階段状のガタツキが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、非矩形の表示範囲が定められた表示エリアを有し、互いに
色が異なる複数の単色のサブ画素の輝度調整による混色で表示色が設定される画素が前記
表示エリア内に配設され、無着色駆動表示される画素が前記表示エリアの輪郭に一部が掛
かって配設される。
【0006】
このように構成することにより、外周近傍が無着色ではあるが表示エリアの全域を駆動
表示させることができるので、外周近傍で直角の階段状のガタツキを目立たないようにす
ることができる。
【0007】
また、前記無着色駆動表示される画素は無彩色カラーフィルタを備える。このように、
構成することにより、無着色駆動表示することができる。
【0008】
また。前記無着色駆動表示される画素にはカラーフィルタが無い。このように、構成す
ることにより、無着色駆動表示することができる。
【0009】
また、互いに色が異なる複数の単色のサブ画素の輝度調整による混色で表示色が設定さ
れる画素が前記表示エリア内に配設され、無着色駆動表示されるサブ画素が前記表示エリ
アの輪郭に一部が掛かって配設される。
【0010】
このように画素よりも小さいサブ画素を無着色駆動表示にすることにより、さらに、外
周近傍で直角の階段状のガタツキを目立たないようにすることができる。
【0011】
また、前記無着色駆動表示の画素のサブ画素の輝度を隣接の有着色サブ画素の輝度に略
等しくする。
【0012】
このように略同じ輝度にすることにより、さらに、外周近傍で直角の階段状のガタツキ
を目立たないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態
は、本発明の技術思想を具体化するための表示パネルを例示するものであって、本発明を
これらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施
形態のものにも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1の要部を示す平面図であり、図2は図1のAーA断面図である
。実施例1の表示パネルは横電界方式のフルカラー表示パネルである。
【0015】
図1、図2に示す如く、表示パネル1は液晶層2をTFTアレイ基板3とカラーフィル
タ基板4で挟持する。TFTアレイ基板3の背面には第1偏光板5が形成され、カラーフ
ィルタ基板4の前面には第2偏光板6が形成される。また、TFTアレイ基板3の背面側
に光を照射するバックライト7が配設される。
【0016】
まず、TFTアレイ基板3の各サブ画素の構成について説明する。TFTアレイ基板3
は、ガラスや石英、プラスチック等からなる基板本体8を基体としている。そして、TF
Tアレイ基板3の各サブ画素には、基板本体8の液晶層2側に、走査線9及び共通電極線
10が形成されており、走査線9及び共通電極線10を覆ってゲート絶縁膜11が形成さ
れている。ゲート絶縁膜11上に、アモルファスシリコンの半導体層12aが形成されて
おり、半導体層12aに一部乗り上げるようにしてソース電極12bと、ドレイン電極1
2cとが形成される。これらの半導体層12a、ソース電極12b、及びドレイン電極1
2cでTFT12を構成する。半導体層12aは、ゲート絶縁膜11を介して走査線9と
対向配置されており、当該対向領域で走査線9がTFT12のゲート電極を構成するよう
になっている。ソース電極12bはデータ線(図示せず。)から分岐しており、図示しな
いが、データ線は図1のY軸方向延び、走査線9はX軸方向に延びる。
【0017】
半導体層12a、ソース電極12b、ドレイン電極12cを覆って、第1層間絶縁膜1
3が形成されている。第1層間絶縁膜13とを覆って、ITO等の透明導電材料からなる
共通電極14が形成されている。共通電極14は、第1層間絶縁膜13及びゲート絶縁膜
11を貫通する共通コンタクトホール14aによって共通電極線10と電気的に接続され
る。
【0018】
共通電極14を覆ってシリコン酸化物等からなる第2層間絶縁膜15が形成される。第
2層間絶縁膜15の液晶層側の表面にITO等の透明導電材料からなる画素電極16が形
成される。また、画素電極16、第2層間絶縁膜15を覆ってポリイミドからなる第1配
向膜17が形成されている。
【0019】
第1層間絶縁膜13及び第2層間絶縁膜15を貫通してドレイン電極12cに達する画
素コンタクトホール16aが形成されており、この画素コンタクトホール16aを介して
画素電極16とドレイン電極12cとが電気的に接続される。
【0020】
画素電極16は、図1で概略X軸方向に延びる複数本の空部(スリット)16bによっ
て形成された帯状電極16cを備えている。共通電極14と画素電極16を二つの電極と
し、この両電極で挟持される第2層間絶縁膜15を誘電体膜として、蓄電容量が形成され
る。
【0021】
次に各サブ画素のカラーフィルタ基板4について説明する。カラーフィルタ基板4は、
ガラスや石英、プラスチック等からなる基板本体18を基体としており、基板本体18に
は、サブ画素毎に異なる色光(R、G、Bあるいは無色)を透過するCF(カラーフィル
タ)層19か遮光材のBM(ブラックマトリクス)20が形成される。CF層19とBM
20を覆うようにしてポリイミドからなる第2配向膜21が形成されている。
【0022】
TFTアレイ基板3側の偏光板5の透過軸と、カラーフィルタ基板4側の偏光板6の透
過軸とが互いに直交するように配置されており、前記偏光板6の透過軸が図1のX軸と平
行に配置されている。また、第1配向膜17のラビング方向は偏光板6の透過軸と平行で
ある。第1配向膜17のラビング方向は、画素電極16と共通電極14との間に生じる電
界の主方向と交差する方向とする。そして、初期状態ではラビング方向に沿って平行配向
している液晶が、画素電極16と共通電極14との間への電圧印加によって、上記電界の
主方向側へ回転して配向する。この初期配向状態と電圧印加時の配向状態との差異に基づ
いて各サブ画素の明暗表示が行われる。このようにして、各サブ画素の駆動表示が行われ
る。
【0023】
液晶層2はTFTアレイ基板3とカラーフィルタ基板4の間に設けられたシール材22
で形成される密封エリア内に封止される。尚、図示しないが、シール材22は液晶を注入
する注入口と、注入口を封止する封止材を有する。
【0024】
図1に示す如く、カラーフィルタ基板4の形状は円形になっている。そして、TFTア
レイ基板3の右側の延在部にはゲートドライバ31が配設され、下側の延在部にはソース
ドライバ32が配設される。ゲートドライバ31の出力側はX軸方向に延びる走査線8に
接続されて垂直方向のサブ画素を駆動し、ソースドライバ32の出力側はY軸方向延びる
データ線9に接続されて水平方向のサブ画素を駆動する。ゲートドライバ31とソースド
ライバ32はTFTアレイ基板3の出力端子33に接続される。円形の密封エリア23(
図1の右上がり斜線部分)内に円形の表示エリア24(図1の右下がり斜線部分)があり
、密封エリア23中の表示エリア24でない部分はCFでなくBMによって遮光されてい
る。このように、遮光材の開口が表示エリア24となっている。
【0025】
図3は実施例1のサブ画素と画素の形状を示す図である。RGB夫々のサブ画素の形状
は正方形になっている。RGB3つのサブ画素の階調の組み合わせにより1画素の色が設
定されるために、表示エリア24に3つのサブ画素が完全に含まれる画素のみがカラー表
示の画素となる。そこで、図7の従来例の如く、表示エリア24の輪郭に画素の一部が掛
かっているものを非表示にすると、表示する画素との輝度の差が大きくなるので、表示エ
リア24の周縁のがたつきが目立つことになる。このために、図3の如く、実施例1では
表示エリア24の輪郭に画素の一部が掛かっている画素のカラーフィルタを無着色にして
隣接サブ画素あるいは隣接画素と同一の輝度で駆動表示させる(図3のW)。ここで、カ
ラーフィルタを無着色にするとは、カラーフィルタを無彩色の層にすることであり、無色
透明のみでなく、透明なグレーも含む。尚、カラーフィルタが無いものも含む。これによ
り、有着色の隣接サブ画素と混じって表示エリア24の周縁は隣接画素の色度が低いカラ
ー表示に見えることになる。したがって、駆動表示させない従来と比較してがたつきが目
立ちにくくなる。このように、使用者の可視範囲である表示エリア24は、RGBのサブ
画素のみでなく、無着色のサブ画素も含む領域となる。尚、本発明は有機ELディスプレ
イに適用することができ、このときは液晶パネルの無着色のカラーフィルタに替えて無彩
色の発光素子を使用することにより無着色の駆動表示を行う。
【実施例2】
【0026】
表示エリア24の輪郭に画素の一部が掛かっている画素を無着色駆動表示させるために
、シール材22による密封エリア23はその無着色画素を含まなければならない。これに
より、表示パネル1の寸法が大きくなる。実施例2はシール材22による密封エリア23
を小さくする例である。図4は実施例2のサブ画素を示す図である。実施例1では表示エ
リア24の輪郭に一部が掛かる画素を無着色駆動表示にしたが、図4に示す如く、実施例
2ではサブ画素を無着色駆動表示にする。画素の対角線の寸法よりもサブ画素の対角線の
寸法が小さいので、実施例2の方が密封エリア23を小さくする可能性が高い。
【実施例3】
【0027】
図5は実施例3のサブ画素を示す図である。実施例3のサブ画素は正六角形である。そ
して、正六角形のサブ画素が相互に辺で接し、1画素を構成する3つのサブ画素の中心が
正三角形になっている。実施例3の画素の角は120度であるので、実施例1、2の90
度と比較して階段状のがたつきが少なくなる。
【0028】
また、図6に示す如く、実施例3のサブ画素の六角形の一辺の寸法を1とすると、サブ
画素の最も長い対角線は2(図6の(a)参照。)になる。これに対し、実施例3のサブ
画素と同一面積の実施例2の画素の対角線は約2.942(図6の(b)参照。)になる
。対角線が短い方が表示エリア24とシール材22との隙間を小さくできる可能性が高い
ので、対角線が短い実施例3の方が実施例2の矩形のサブ画素と比較して密封エリア23
を小さくすることができる。このように、本願発明を対角線が短いサブ画素に適用すれば
、より小型化ができる。
【0029】
尚、本願発明での正六角形は完全な正六角形に限定するものではなく、略正六角形とみ
なされるものにも適用して同様の作用効果を供することができる。例えば、コーナーが面
取りされるものや、辺の長さや角度が僅か異なるものにも適用することができる。
【0030】
また、上述の実施例の非矩形は円形であったが、本発明は円形に限定するものではなく
、楕円形、長方形の角がカットされた多角形、ハート形等にも適用することができる。
【0031】
また、上述の実施例の表示エリアはBMで形成された可視領域であったが、仕様書上の表
示エリアであってもよい。例えば、表示パネルが電子機器に組み込まれた状態で、仕様書
上の表示エリアと同一の寸法の透明窓を有したカバーが表示パネルの前方に配設される。
【0032】
また、上述の実施例は液晶表示パネルであったが、本発明は有機ELディスプレイに適
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態の実施例1の要部を示す平面図である。
【図2】実施例1の図1のAーA断面図である。
【図3】実施例1の画素配置を示す図である。
【図4】実施例2のサブ画素配置を示す図である。
【図5】実施例3のサブ画素配置を示す図である。
【図6】実施例3のサブ画素の対角線の寸法を示す図である。
【図7】従来の画素配置を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 表示パネル
2 液晶層
3 TFTアレイ基板
4 カラーフィルタ基板
5 第1偏光板
6 第2偏光板
7 バックライト
9 走査線
10 共通電極線
12 TFT
12a 半導体層
12b ソース電極
12c ドレイン電極
16 画素電極
16a 画素コンタクトホール
14 共通電極
14a 共通コンタクトホール
8 TFTアレイ側基板本体(第2基板)
11 ゲート絶縁膜
13 第1層間絶縁膜
15 第2層間絶縁膜
17 第1配向膜
18 CF側の基板本体(第1基板)
19 CF層
20 BM(ブラックマトリクス)
21 第2配向膜
22 シール材
23 密封エリア
24 表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非矩形の表示範囲が定められた表示エリアを有し、互いに色が異なる複数の単色のサブ
画素の輝度調整による混色で表示色が設定される画素が前記表示エリア内に配設され、無
着色駆動表示される画素が前記表示エリアの輪郭に一部が掛かって配設されることを特徴
とするカラー表示装置。
【請求項2】
前記無着色駆動表示される画素は無彩色カラーフィルタを備えることを特徴とする請求
項1に記載のカラー表示装置。
【請求項3】
前記無着色駆動表示される画素にはカラーフィルタが無いことを特徴とする請求項1に
記載のカラー表示装置。
【請求項4】
非矩形の表示範囲が定められた表示エリアを有し、互いに色が異なる複数の単色のサブ
画素の輝度調整による混色で表示色が設定される画素が前記表示エリア内に配設され、無
着色駆動表示されるサブ画素が前記表示エリアの輪郭に一部が掛かって配設されることを
特徴とするカラー表示装置。
【請求項5】
前記無着色駆動表示されるサブ画素は無彩色カラーフィルタを備えることを特徴とする
請求項4に記載のカラー表示装置。
【請求項6】
前記無着色駆動表示されるサブ画素にはカラーフィルタが無いことを特徴とする請求項
4に記載のカラー表示装置。
【請求項7】
前記無着色駆動表示の画素のサブ画素の輝度を隣接の有着色サブ画素の輝度に略等しく
することを特徴とする請求項1または請求項4に記載のカラー表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−180961(P2009−180961A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20327(P2008−20327)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】