説明

表示装置

【課題】 編集用の画面を複数使用することなしに、表示部品の属性であるチャネル番号の変更ができる表示装置を実現する。
【解決手段】 夫々がチャンネル属性を付与された複数の部品を、同一画面に配置して表示する表示装置において、
前記グループ情報の複数組を保持するグループ情報保持手段と、
各グループにおける表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義して生成されるグループコントロール情報を保持するグループコントロール情報保持手段と、
表示グループの変更指令に基づいて、前記グループ情報保持手段及び前記グループコントロール情報保持手段を参照し、表示する部品のチャンネル属性を変更するグループコントロール部と、
を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夫々がチャンネル属性を付与された複数の部品を、同一画面に配置して表示する表示装置、特に2次元表示装置を持つペーパレス記録計または汎用的な表示装置の画面レイアウト機能の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来の表示装置の構成例を示す機能ブロック図である。内部バス1にはCPU2,表示部3、部品表示処理部4、記憶部5が接続されている。CPU2は、外部機器や内部機器と通信して表示部品に関する指令を部品表示処理部4に与える。記憶部5は、表示部の属性情報を保持する属性情報保持手段51及びグループ情報保持手段52を備えている。
【0003】
画面レイアウト機能とは、ユーザが画面上にディジタル値部品やトレンド波形といった部品を配置でき、その部品のサイズ、色、チャネル番号や、文字の大きさ等の属性を設定して、自由なレイアウトの表示を見ることができる機能である。
【0004】
従来の画面レイアウト機能は、ディジタル値部品やトレンド波形等の部品をユーザが自由に画面上に配置し、その部品の文字の大きさや、チャネル番号等の属性を設定することができる。
【0005】
従来技術では、部品表示処理部4が記憶部5にある属性情報保持手段51の内容を参照し、編集された画面表示を作成するという手順となっている。具体的な画面作成の操作例を説明する。図11は、編集画面と表示画面の対応を示す画面例である。
【0006】
工場Aがあり、その工場内に恒温槽が4個あると仮定する。まず、編集用の画面に、ディジタル値部品を配置する。そして配置した部品に属性の1つであるチャネル番号を設定する。編集を終えた画面を図11(A)に示す。この編集に基づく表示画面は、図11(B)のようになる。
【0007】
従来技術には、このような画面レイアウト機能とは別に、グループ変更という機能がある。これは決まったレイアウトのトレンド画面や、ディジタル値等の画面のチャネルを、別途設定してあるグループのチャネルに切り替えて表示する機能である。
【0008】
図12は、従来のグループ変更機能による表示画面の遷移例である。図12(A)に示す、現在の表示画面のディジタル値部品のチャンネル1〜4のグループを、図12(B)に示す、チャンネル5〜8に同一の画面レイアウトで切り替えてグループ変更する。
【0009】
【特許文献1】特開平10−161605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術によるグループ変更の手法では、次のような問題がある。
(1)従来の画面レイアウト機能では、ディジタル値部品やバーグラフ部品は、グループ変更をしてもグループ情報とは関係のない部品なので、その属性は何も変化しない。
【0011】
(2)従来の技術を使い、画面レイアウト機能でグループ変更しているように見せるためには、編集用画面を多く使い全てのチャネルを設定していかなければならない。例えば工場がA〜Cまであり、それぞれの工場に恒温槽が4個ずつあると仮定する。各工場の情報を同じレイアウトで表示したいので、1つの画面につき1つの工場の恒温槽の温度を示すディジタル値を4個ずつ配置する。
【0012】
図13は、編集画面に基づく表示画面のグループ変更の遷移例である。図13(A)〜図13(C)は、工場A〜Cのチャンネル属性に基づくディジタル部品の表示画面の遷移を示す。図13(D)〜図13(F)は、これらの画面を表示させるための編集画面の遷移を示す。
【0013】
このように、従来の画面レイアウト機能で画面切り替えをすることで、チャネル属性を持つ部品のチャネルを変更するグループ変更動作を実現できるが、編集用の画面を多く使ってしまう問題が発生する。
【0014】
(4)また編集用の画面を多く使うと、全ての画面に共通の部品を1個追加したい時でも、複数の画面を編集しなければならない。さらに編集する画面が増えることによってチャネルなどの属性設定に労力がかかるという問題がある。
【0015】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、編集用の画面を複数使用することなしに、表示部品の属性であるチャネル番号の変更ができる表示装置の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)夫々がチャンネル属性を付与された複数の部品を、同一画面に配置して表示する表示装置において、
前記グループ情報の複数組を保持するグループ情報保持手段と、
各グループにおける表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義して生成されるグループコントロール情報を保持するグループコントロール情報保持手段と、
表示グループの変更指令に基づいて、前記グループ情報保持手段及び前記グループコントロール情報保持手段を参照し、表示する部品のチャンネル属性を変更するグループコントロール部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【0017】
(2)前記グループコントロール部は、前記グループ変更指令に基づいて、前記表示装置に現在配置されている部品のIDが前記グループコントロール情報保持手段に登録されているかを調べ、IDが一致した時に前記グループ情報保持手段を参照し、一致した部品のチャンネル属性を指定されたグループのチャンネル属性に変更することを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0018】
(3)前記グループコントロール情報は、当該グループの表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義したテーブルにより実現されることを特徴とする(1)または(2)に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)今までグループ変更できなかったチャネル属性を持つディジタル値部品やバーグラフ部品が、グループ変更に伴いチャネル属性を変更することができる。
【0020】
(2)これにより、1個の編集用画面で複数のグループのディジタル値等をレイアウトの制約を受けることなく、自由に表現することができる。
【0021】
(3)編集する画面が減ることで、属性変更、後で細かいレイアウト変更をする時の労力を低減することができる。また、メモリの節約にも貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、本発明を適用した装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。図10で説明した従来の表示装置と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
従来装置に追加される本発明の構成上の特徴部は、内部バス1に接続されるグループコントロール部100並びにこのグループコントロール部100が参照する、記憶部5内に設けられたグループコントロール情報保持手段200である。グループコントロール部100は、既存の属性情報保持手段51、グループ情報保持手段52及び追加されたグループコントロール情報保持手段200を参照する。
【0024】
図2は、グループコントロール部100の動作を説明する機能ブロック図である。夫々が複数のチャンネル属性を設定された複数組のグループ1,2,3,…Nのグループ情報は、グループ情報保持手段52に保持されている。
【0025】
グループコントロール情報保持手段200には、各グループにおける表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義して生成されるグループコントロール情報が設定されて保持されている。
【0026】
グループコントロール部100は、チャンネル属性変更手段101を備え、表示グループの変更指令に基づいて、属性情報保持手段51、グループ情報保持手段52及びグループコントロール情報保持手段200を参照して表示する部品のチャンネル属性を変更し、表示部3の画面に表示されるチャンネル番号を変更する。
【0027】
以下、チャンネル属性の変更操作の手順を図面により説明する。図3は、ディジタル部品を配置する、従来機能による変更前の編集画面例である。4分割された画面に、チャンネル1〜チャンネル4に設定されたディジタル部品ID:01〜ID:04を配置している。
【0028】
図4は、複数組のグループと各グループのチャンネル属性の関係を示すグループ情報の構成例である。各グループは、表示順位を表すチャンネルのオーダー1,2,3,4が定義されている。
【0029】
図5は、ディジタル部品を対象としたグループコントロール情報の構成例である。各グループのオーダー1,2,3,4に対応する表示部品のID01〜ID04が定義されている。
【0030】
本発明の特徴は、従来の画面レイアウト機能の問題を解決するために、グループ変更をした時に、チャネルの属性を持つ部品がグループ変更に伴いチャネルが自動的に変更される機能を備える点にある。
【0031】
従来手法によるグループ管理では、チャネル番号を登録しておき、グループ変更を行えばディジタル値やトレンド画面でチャネルが自動的に変わって表示されるという機能である。この動作を画面レイアウト機能で実現するために、本発明ではグループコントロールという機能を採用している。
【0032】
本発明でも、図5に示す編集画面のように、通常は部品表示処理部4が記憶部5にある属性情報保持手段51の内容を参照し、編集された画面表示を作成するという動作となっている。
【0033】
従来動作と異なるのは、グループ変更の命令CPU2から来た時である。グループ変更の命令が来ると、部品表示処理部4は、グループコントロール部100にグループの変更指令を伝える。
【0034】
グループコントロール部100は、記憶部5にあるグループコントロール情報保持手段200を参照し、配置されている部品のIDがグループコントロールに登録されているかを調べていく。
【0035】
IDが一致した時は、グループコントロール部100のチャンネル属性変更手段101は、記憶部5にあるグループ情報保持手段52を参照し、一致した部品のチャネル番号属性を指定されたグループのチャネル番号に変更する。この変更処理後、部品表示処理部4が記憶部5にある属性情報保持手段51を参照し、編集された画面表示を作成する。
【0036】
以下、具体的な操作手順の例を図面により説明する。図6は、本発明に基づくグループ変更によるディジタル部品の表示画面の遷移例である。工場がA〜Cまであり、夫々の工場に恒温槽が4個ずつあると仮定する。ここでは画面を切り替えてA〜D、E〜H、I〜L全ての恒温槽を表示するとする。
【0037】
まず、図3で説明した編集用の画面を用いて、図6(A)のように工場Aのチャンネル1〜チャンネル4に恒温槽A〜Cに関するディジタル値部品を配置する。部品には自動的にユニークなIDが割り振られるので、そのIDをグループコントロールに登録する。
【0038】
具体的には、図5に示されるように、ID:01の部品はグループの1番目に登録されているチャネルを表示するように動作してもらいたいので、オーダー1のIDに登録する。同様に、ID:02の部品はオーダー2に、ID:03の部品はオーダー3に、ID:04の部品はオーダー4に登録する。
【0039】
このようなグループコントロールの設定を行うことにより、工場A→工場B→工場Cへのグループ変更を実行すると、グループコントロール部100が自動的に部品のチャネル番号の属性を変更し、図6(A)、(B)、(C)に示すように、編集したレイアウトでチャネル番号だけ変わった表示となる。
【0040】
図7は、本発明の他の実施形態を示すものであり、本発明に基づくグループ変更によるバーグラフ部品の表示画面の遷移例である。図6の実施形態との差は、各恒温槽の温度を表すディジタル値部品が、バーグラフ部品の表示となっている点である。
【0041】
図8は、図3に対応するバーグラフを表示部品とする編集画面である。図9は、図5と対応するバーグラフを表示部品とするグループコントロール情報の例である。図7の動作は、ディジタル値部品を対象とする図6の動作と基本的に同一である。
【0042】
以上説明したように、本発明により、今までグループ変更できなかったチャネル属性を持つディジタル値やバーグラフの部品を、グループ変更に伴いチャネル属性を自由に変更することができる。これにより、1つの編集用画面で複数のグループのディジタル値等を表現できるようになり、表示装置の画面レイアウト機能を大幅に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した表示装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】グループコントロール部の動作を説明する機能ブロック図である。
【図3】ディジタル部品を配置する編集画面例である。
【図4】グループと各グループのチャンネル属性の関係を示すグループ情報の構成例である。
【図5】ディジタル部品を対象としたグループコントロール情報の構成例である。
【図6】本発明に基づくグループ変更によるディジタル部品の表示画面の遷移例である。
【図7】本発明に基づくグループ変更によるバーグラフ部品の表示画面の遷移例である。
【図8】バーグラフ部品を配置する編集画面例である。
【図9】バーグラフ部品を対象としたグループコントロール情報の構成例である。
【図10】従来の表示装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図11】編集画面と表示画面の対応を示す画面例である。
【図12】グループ変更機能による表示画面の遷移例である。
【図13】編集画面に基づく表示画面のグループ変更の遷移例である。
【符号の説明】
【0044】
1 内部バス
2 CPU
3 表示部
4 部品表示処理部
5 記憶部
51 属性情報保持手段
52 グループ情報保持手段
100 グループコントロール部
200 グループコントロール情報保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々がチャンネル属性を付与された複数の部品を、同一画面に配置して表示する表示装置において、
前記グループ情報の複数組を保持するグループ情報保持手段と、
各グループにおける表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義して生成されるグループコントロール情報を保持するグループコントロール情報保持手段と、
表示グループの変更指令に基づいて、前記グループ情報保持手段及び前記グループコントロール情報保持手段を参照し、表示する部品のチャンネル属性を変更するグループコントロール部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記グループコントロール部は、前記グループ変更指令に基づいて、前記表示装置に現在配置されている部品のIDが前記グループコントロール情報保持手段に登録されているかを調べ、IDが一致した時に前記グループ情報保持手段を参照し、一致した部品のチャンネル属性を指定されたグループのチャンネル属性に変更することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記グループコントロール情報は、当該グループの表示順位を表すオーダーと、これに対応する部品IDを定義したテーブルにより実現されることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−288996(P2009−288996A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140277(P2008−140277)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】