説明

表示装置

【課題】従来の発明において、γ補正はRGB個別制御ではないため、ホワイトバランスの制御はできない。また、一般的にホワイトバランスを制御する際、低階調部の制御が難しく、単純にRGB個々にオフセットを持たせるなどのγ補正だけでは、コントラストを犠牲にしてしまう。
【解決手段】バックライトによる光源を用いて画像を表示する表示装置であって、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段と、前記バックライトの輝度を検出する検出手段とを備え、前記検出手段において検出した輝度レベルに応じて、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なうことを特徴としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、コントラストを犠牲にすることなく、黒の色味を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バックライトの光量に応じて、各画素に供給するデータ信号についてのγ補正量が変更されることを特徴とする半透過型液晶表示装置が考えられた(特許文献1参照)。この発明によれば、周囲の明るさに応じて、段階に応じてバックライト光量を変動させ、変動したバックライト光量に基づいて適切なγ補正を行なうものである。
【特許文献1】特開2007−93990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1においては、γ補正はRGB個別制御ではないため、ホワイトバランスの制御はできない。一般的に、液晶パネルは白表示時の色温度を決めると、黒表示の色が決まるため、完全な黒にはならず、色味が付いてしまう。
しかし、一般的にホワイトバランスを制御する際、低階調の制御が難しく、単純にRGB個々にオフセットを持たせるなどのγ補正だけでは、コントラストを犠牲にしてしまう。
【0004】
本発明では、このような課題を解決するために、コントラストを犠牲にすることなく、黒の色味を改善することができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、バックライトによる光源を用いて画像を表示する表示装置であって、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段と、前記バックライトの輝度を検出する検出手段とを備え、前記検出手段において検出した輝度レベルに応じて、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なう表示装置とする。また、画像を表示する表示装置であって、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段を備え、表示装置の映像モードなどによって、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なう表示装置でも良い。なお、前記検出手段において検出した輝度レベルが所定値以上の際に、RGBごとに異なるγ補正を行なうことを特徴としても良いし、前記RGBごとに行なうγ補正は黒レベルにオフセットを持たせるなど少なくとも低階調部を補正することにより、黒の色味を抑えることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コントラストを犠牲にすることなく、黒の色味を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0008】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における表示装置およびその動作を説明する。図1は本発明の実施の形態1における構成図を示す図である。図1のように、表示装置はγ補正手段1および液晶パネル2より構成される。図1に示すように、バックライト輝度制御信号および映像信号がγ補正手段1に入力され、バックライト輝度制御信号に基づいてRGBごとにγ補正がなされる。そして、バックライト輝度制御信号およびγ補正手段1により補正された補正映像信号が液晶パネル2に入力され、映像が表示される。
なお、本実施例では、バックライトの輝度を検出する検出手段として、バックライトの輝度レベルと相関があるバックライト輝度制御信号、具体的には、PWM信号や電流信号などを用いているが、もちろん、実際にバックライトの輝度を検出するフォトセンサなどを配置しても良い。
【0009】
次に、本発明における効果を具体的な例として、黒表示時に青味を帯びている液晶パネルの例を挙げて説明する。本実施例に使用される表示装置は、映像の輝度レベルなどにより、リアルタイムにバックライトが制御されるものとする。具体的には、暗い映像表示の際にはバックライトの輝度を落とし、明るい映像表示の際にはバックライトの輝度を上げるような制御を行う。
この際、ダイナミックレンジを目一杯使用することにより、明るい部分の明るさは維持したまま、暗い部分はより暗く、また、明るい映像はより明るい表示を行なうことができる。このような表示装置を用いた際の黒表示の色味抑制効果を下記に示す。今回は、バックライト輝度制御信号としてPWM信号を用い、ある輝度以下、すなわち、あるPWM_duty以下(低PWM_duty時)において、通常のRGBのγを用い、ある輝度以上、すなわち、あるPWM_duty以上(高PWM_duty時)においてRGBごとに異なるγ補正を行なう。
なお、今回の例においては、RGに関して低階調部にオフセットを持たせたγ補正を行い、Bは通常のγを用いているが、これに限らない。図2に低PWM_duty時および高PWM_duty時のRGBのγを示す。
図2(a)のように、低PWM_duty時の際、すなわち、暗い映像の際(例として黒一面の表示)は、通常のγを用いたとしても、黒の輝度が小さいために、青味付きが見えづらくなる。また、図2(b)のように、高PWM_duty時の表示の際、すなわち、明るい映像の際(例として上下に黒帯があり、明るい映像を中央に表示する映画などの表示)は、補正したγを用いることにより、黒の青味付きを補正することによって、青味付きが改善される。
このような制御をすることにより、あらゆる信号レベルの映像を表示したときでも、黒の青味を抑制することができる。また、従来まで問題となっていたコントラスト低減に関しても、全白表示および全黒表示を用いたコントラストは本実施例を用いたとしても、低減されないことがわかる。
【0010】
以上のように、本発明において、コントラストを低減することなく、黒の色味を改善することが可能となる。本実施例では、黒の青味を例に挙げたが、もちろん色味に関してこれに限らないし、黒の色味を補正するという目的だけに適用されるわけではもちろんない。また、本実施例では、ある輝度レベル以上において、γ補正をおこなっているが、これに限らない。
【0011】
なお、上述した実施の形態においては、説明の簡単化のため、低PWM_duty時および高PWM_duty時のRGBのγについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の段階を設けることも可能である。
【0012】
(実施の形態2)
まず、実施の形態2における表示装置およびその動作を説明する。図3は本発明の実施の形態2における構成図を示す図である。図3のように、表示装置はγ補正手段1および液晶パネル2より構成される。図3に示すように、映像モード制御信号および映像信号がγ補正手段1に入力され、映像モード制御信号に基づいてRGBごとにγ補正がなされる。そして、補正映像信号が液晶パネル2に入力され、映像が表示される。本実施例では、映像モード制御信号を用いているが、これに限らない。
【0013】
次に、本発明における効果を具体的な例として、黒表示時に青味を帯びている液晶パネルの例を挙げて説明する。一般的に、暗い環境下において、黒表示の色付きは特に顕著な問題となる。特に映画などのコンテンツを見る際、視聴者は暗い環境下で見ることが多く、そのため、人間の暗視野特性などを考慮にいれ、低い色温度に設定しているシネマモードなど特別な映像モードを設定しているテレビが発売されている。一方で、明るい環境下では暗い環境下に比べるとさほど黒表示の色付きが重要とならない場合もあり、総合的にコントラストのほうが重要な場合も存在する。このような表示装置を用いた際の黒表示の色味抑制効果を下記に示す。本実施例として、映像モードとして、コントラスト優先映像モードおよび黒色味優先映像モードがあり、映像モード制御信号はそれぞれを識別することが可能な信号であるとする。図4にコントラスト優先映像モードおよび黒色味優先映像モードにおけるRGBのγを示す。図4(a)のように、コントラスト優先映像モードの際はRGBは通常のγを用いることで、コントラストを犠牲としない表示(例として上下に黒帯があり、明るい映像を中央に表示する映画などの表示)となる。また、図4(b)のように、黒色味優先映像モードの際は補正したγを用いることにより、黒表示時の青味を抑制することができる。今回の例においては、RGに関して低階調部にオフセットを持たせたγ補正を行い、Bは通常のγを用いているが、これに限らない。
【0014】
以上のように、本発明において、コントラストが重要なモードと黒の品位が重要なモードでそれぞれを使いわけることが可能となる。本実施例では、黒の青味を例に挙げたが、もちろん色味に関してこれに限らないし、黒の色味を補正するという目的だけに適用されるわけではもちろんない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明に係る表示装置によれば、コントラストおよび黒の品位など高画質化が必要となる、例えば液晶テレビ等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る構成図を示す図
【図2】本発明の実施の形態1による効果を示す図
【図3】本発明の実施の形態2に係る構成図を示す図
【図4】本発明の実施の形態2による効果を示す図
【符号の説明】
【0017】
1 γ補正手段
2 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトによる光源を用いて画像を表示する表示装置であって、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段と、前記バックライトの輝度を検出する検出手段とを備え、前記検出手段において検出した輝度レベルに応じて、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なうことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画像を表示する表示装置であって、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段を備え、表示装置の映像モードなどによって、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なうことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記検出手段において検出した輝度レベルが所定値以上の際、前記補正手段において、RGBごとに異なるγ補正を行なうことを特徴とした請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記RGBごとに行なうγ補正は黒レベルにオフセットを持たせることにより、少なくとも低階調部を補正することにより、黒の色味を抑えることを特徴とした請求項1から3いずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
バックライトによる光源を用いて、入力された映像信号を表示する表示装置であって、
前記バックライトの輝度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたバックライトの輝度に応じて、前記映像信号のγ補正を行うγ補正値を格納する記憶手段と、
前記記憶手段のγ補正値に基づいて、入力された映像信号のγ補正を行う補正手段とを備え、
前記γ補正値は、前記検出手段により所定の輝度より高輝度であると検出された場合にのみ、前記RGBの少なくとも1つは他の2つと異なるγ補正値であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記γ補正値は、前記検出手段により所定の輝度より高輝度であると検出された場合にのみ、前記RGBの少なくとも一つの低階調部のγ補正値にオフセット値を付加することを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記γ補正値は、前記検出手段により所定の輝度より高輝度であると検出された場合にのみ、RGBの少なくとも一つの出力を抑制するγ補正値であることを特徴とする請求項5又は6記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−128040(P2010−128040A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300485(P2008−300485)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】