説明

表示装置

【課題】電気的なノイズ発生がなく、少ない電力で駆動可能であり、更に、地図変更に伴う表示位置の配置換えも容易できるようにする。
【解決手段】透明板部材を用いた表示窓16の背後に地図を描画した交換自在な地図シート部材18を配置し、更に、地図シート部材18の背後に挟み込み支持する透明板部材を用いた背面カバー部材20を配置する。照明表示部材24は、背面カバー部材20の裏面の任意の位置に着脱自在に配置され、光源ユニット28から光ファイバー26により伝送した光により地図シート部材18に描画された地図上の対応位置を局所的に背光照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に地図を表示し、火災などイベント内容に応じて地図背後から照光表示する表示装置に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、火災報知設備等の監視設備にあっては、表示装置パネルに警戒区域を示す地区表示窓を縦横複数列に配置し、火災感知器の発報により火災信号を受信したようなイベントが発生した場合、火災代表灯を点灯して音響警報を出すと共に、火災を検出した地区の地区表示灯を点滅や点灯するようにしている。
【0003】
一方、近年にあっては、それまでの地区表示灯に代え、警戒区域の地図を表示装置の表示部に表示し、地図に描かれた警戒区画たとえば部屋毎にスポット的に照明表示を行う発光表示部を裏側に配置し、火災信号を受信した際に、火災を検出した地区の発光表示部を駆動し、地図の中に火災発生場所をスポット的な照明で表示し、火災発生場所が容易に把握できるようにした表示装置が実用化されている。
【0004】
この表示装置で使用している発光表示部は、LEDなどの発光素子を内蔵しており、多数の発光表示部を地図の裏側の透明な板に両面粘着シートで仮止めして配置し、その後に支持板を押し当てて固定する構造とし、発光表示部の各々からは信号線が引き出され回路基板の駆動回路に接続されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−189442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような地図上の火災発生場所を裏側に配置した発光表示部の駆動によりスポット的に照明表示する表示装置にあっては、装置裏面側に配置した発光表示部から多数の信号線が駆動回路を実装した回路基板に引き出され、しかも地図の変更に合わせて発光表示部の位置が自由に変えられるように信号線に充分な余裕を持たせてフリーな状態としており、発光表示部を例えば点滅駆動する場合、信号線からノイズが放射されて周辺に設置しているCPUなどの動作に影響を及ぼすおそれがある。また、地図変更に伴い発光表示部の位置を変更することで信号線の回路基板の接続部分に応力が繰り返し加わり、電気的な接続に悪影響を及ぼす恐れもある。
【0007】
また、駆動回路から離れた位置に信号線により接続された発光表示部を駆動することから、信号線による損失を補うように大きなパワーでLEDを駆動する必要があり、駆動回路が大型化し、消費電力を増えるという問題もある。
【0008】
更に、地図変更の際には、固定用の支持板を外して発光表示部の配置を変更し、変更後に支持板を取り付けて固定する作業が必要であり、固定用の支持板は、サイズの大きな表示窓に対応した大きさとなるため、支持板の着脱に手間がかかり、変更に伴う作業が煩雑であるという問題もある。
【0009】
また、地図の区画数に応じたLEDと信号線を別途用意する必要があり、またレイアウト変更の際においても追加分のLEDと信号線を別途用意して回路接続する必要があり、作業が繁雑である。
【0010】
本発明は、電気的なノイズ発生を抑え、更に、地図変更に伴う表示位置の配置換えが容易な表示装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前面に地図を表示し、イベント内容に応じて地図背後から照光表示する表示装置に於いて、
装置前面に配置され地図を表示する地図表示部と、
装置内部の基板上に配置された光源と、
地図表示部の背後に着脱自在に配置され、光源から光ファイバーにより伝送した光により地図表示部の地図上の対応位置を局所的に背光照明する照明表示部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、地図表示部は、透明板部材の表示窓と、
表示窓の背後に配置され、地図を描画した交換自在な地図シート部材と、
地図シート部材の背後に配置されて挟み込み支持する透明板部材を用いた背面カバー部材で構成し、
照明表示部材は背面カバー部材の背後の任意の位置に着脱自在に配置されることを特徴とする。
【0013】
ここで、照明表示部材は、
背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、
アダプタの開口側に配置され、所定形状の切抜きを備えたマスク部材と、
マスク部材を収納した状態でアダプタの開口に装着された透明キャップ部材と、
を備える。
【0014】
また、照明表示部材は、背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、アダプタに光ファイバーからの光を入射して面光源に散乱させる散乱部材を配置する。
【0015】
更に、照明表示部材は、照明光に任意の色を付与する色フィルタを配置しても良い。
【0016】
また、照明表示部材を両面粘着シート部材により背面カバー部材に着脱自在に装着する。
【0017】
また、背面カバー部材の背後に、取付穴を複数形成した取付板部材を配置し、取付板部材の任意の取付穴に照明表示部材を挿入配置する。
【0018】
光ファイバーは単一光源からの光を分岐して複数の前記照明表示部材に光を伝送する分岐型の光ファイバーとしても良い。
【0019】
照明表示部材は、背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、
アダプタの開口部にレンズ部を形成したことを特徴とする。
照明表示部材は、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を有し、前方に穴を開口すると共に穴の底部に凸面レンズ部を形成した透明部材である。
【0020】
照明表示部材は、背面カバー部材の裏面位置に配置され面発光させるライトガイドと、
ライトガイドに接続され光ファイバーからの光を入射してライトガイドを面発光させるアダプタとを備える。
【0021】
本発明の表示装置は、照明表示部材から引き出された光ファイバーを回路基板に光源として実装された発光素子の各々に光学的に連結する光源ユニットを設ける。
【0022】
光源ユニットは、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を形成し、前方に回路基板に実装された発光素子を覆うスカート部を形成すると共にスカート部の先端に光源ユニットを回路基板に固定する固定部を形成したアダプタを有する。
【0023】
本発明の表示装置は、照明表示部材から引き出された複数本のファイバーを着脱自在なコネクタ構造により回路基板側に実装された光源としての発光素子の各々に光学的に連結するコネクタ型光源ユニットを設けても良い。
【0024】
コネクタ型光源ユニットは、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を形成し、前方に回路基板に実装された発光素子を覆うスカート部を形成したアダプタを複数連接し、スカート部の先端にコネクタ光源ユニットを回路基板に固定する固定部を形成する。

【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、地図の裏側に配置される照明表示部材は、別途設置された回路基板に実装されたLEDなどの光源からの光を光ファイバーにより伝送して地図を裏面から照明表示するようにしており、装置裏面と回路基板の駆動回路との間の信号線接続を不要とし、これによって信号線の布線によるノイズ発生や、駆動電力の増加といった問題を解消することができる。
【0026】
また光ファイバーは例えばコスト的な安価なプラスチック光ファイバーを使用した場合、1ミリメートル程度と細く、非常に軽量で曲げにも強く、そのため、照明表示装置を両面粘着テープなどで確実に地図裏面側の必要な位置に固定することができ、地図変更に伴う照明表示部材の配置変更も容易にできる。

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の表示装置を使用した防災受信盤を示した説明図
【図2】本発明による表示装置の実施形態を示した説明図
【図3】図2の実施形態における光ファイバーで接続された照明表示部材と光源ユニットを取り出して示した断面説明図
【図4】図3の照明表示装置を取り出して示した組立分解図
【図5】コネクタ型光源ユニットを用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図
【図6】図5のコネクタ型光源ユニットを取り出して示した断面図
【図7】取付支持板を用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図
【図8】図7の実施形態における取付支持板を取り出して示した説明図
【図9】図7の実施形態における照明表示部材を取り出して示した断面説明図
【図10】分岐型光ファイバーを用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図
【図11】図10の実施形態における分岐型光ファイバーの分岐構造を取り出して示した断面図
【図12】照明表示部材の他の実施形態を示した断面説明図
【図13】矩形表示パターンを実現する照明表示部材の他の実施形態を示した断面説明図
【図14】光源ユニットの他の実施形態を示した断面図
【図15】コネクタ型光源ユニットの他の実施形態を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明の表示装置を使用した防災受信盤を示した説明図である。図1において、防災監視盤10は、パネル上部に本発明の表示装置12を配置し、その下に操作表示パネル14を配置している。表示装置12には、防災監視盤10が監視している警戒エリアの例えば建物の階ごとの平面が地図として描かれており、各階の壁などで仕切られた警戒区画ごとに丸印で示す表示部12aを複数配置している。
【0029】
防災監視盤10からは警戒区域に対し感知器回線が引き出されており、感知器回線に接続している火災感知器で火災を検出すると、防災監視盤10で火災警報が出され、同時に、火災を検出した表示装置12上の階の地図における火災発生区画の表示部を点灯または点滅表示させるようにしている。
【0030】
図2は本発明による表示装置の実施形態を示した説明図であり、図1の防災監視盤10の前面の扉側の裏面に取り付けられる状態で取り出して示している。
【0031】
図2において、本発明の表示装置12は、防災監視盤10の前面パネル開口には警戒区域図を表示した地図表示部が配置され、地図表示部は前面に表示窓16を有し、表示窓16としては透明なアクリル板やガラス板などが使用される。表示窓16の背後には、間に地図シート部材18を介在して背面カバー部材20が着脱自在に設けられている。背面カバー部材20としては、透明なアクリル樹脂プレートなどを使用する。
【0032】
表示窓16と背面カバー部材20との間に挟み込まれた地図シート部材18には、図1の表示装置12に示すように、警戒区域における建物階別の地図などがカラープリンタなどを使用して印刷されることで描かれている。地図シート部材18としては、カラープリンタなどで印刷可能な紙あるいはフィルムなどを使用する。
【0033】
背面カバー部材20の裏面には複数の照明表示部材24が配置されている。照明表示部材24は、地図シート部材18に印刷している警戒区域の建物の地図の各監視区画に対応した位置に配置されている。
【0034】
照明表示部材24からは光ファイバー26が引き出され、盤内の別の場所に設置された回路基板22に実装された光源ユニット28に接続されている。回路基板22には光源ユニット28の駆動回路が実装されており、火災信号を受信した際には、対応する監視区画の光源ユニット28が発光駆動され、発光駆動された光源ユニット28からの光が光ファイバー26を通って照明表示部材24に伝送され、照明表示部材24から背面カバー部材20を介して地図シート部材18を裏面から背光照明し、表示窓16前面側から見て、地図上に火災発生場所を示すスポット状の表示が行われる。
【0035】
図3は図2の実施形態における光ファイバーで接続された照明表示部材と光源ユニットを取り出して示した断面説明図である。図3において、照明表示部材24は、表示窓16に対し地図シート部材18を間に挟んで配置した背面カバー部材20の裏面に、透明もしくは半透明な両面接着シート25を使用して接着固定される。
【0036】
照明表示部材24はアダプタ30を有し、アダプタ30に光源ユニット28からの光ファイバー26の先端を挿入し、前方の円筒状に開口した収納部30aの底部に光ファイバー26の先端を位置決めしている。アダプタ30の収納部30aには散乱部材32が組み込まれる。散乱部材32は光ファイバー26からの光を入射して散乱し、光ファイバー26からのスポット光を面光源に変換する。
【0037】
散乱部材32に続いては色フィルタ34が配置される。色フィルタ34は散乱部材32により、面光源に変換された光に着色を施して出射させる。色フィルタ34の使用は光源ユニット28からの光が白色光の場合に使用するものであり、光源ユニット28からの光に色が着いている場合には色フィルタ34は不要である。
【0038】
色フィルタ34に続いてはマスク部材36が配置される。マスク部材36は中央部分に適宜の形状の切抜き36a、例えば円形の切抜き36aを形成しており、照明表示部材24から出力する照明光の投影形状を規定する。
【0039】
アダプタ30の開口穴に組み込まれた散乱部材32、色フィルタ34及びマスク部材36は、開口側から装着した透明キャップ部材38により組込み固定されている。透明キャップ部材38は開口部内縁に嵌合突起38aを形成しており、嵌合突起38aをアダプタ30の外周の嵌合溝30aに嵌め込むことで組み付け固定されている。
【0040】
一方、回路基板22に設けた光源ユニット28は、回路基板22に実装された発光素子であるLED40に対し、アダプタ42により光ファイバー26の先端を挿入固定した状態で相対配置している。
【0041】
即ちアダプタ42は、回路基板22に固定するための鍔部42aを形成し、鍔部42aの接着により回路基板22に固着されている。またアダプタ42の後方には円筒部42bが形成され、ここに光ファイバー26の先端を差し込んで、LED40に当接するように固定している。
【0042】
本実施形態で使用する光ファイバー26としては、プラスチック光ファイバーを使用することが望ましい。プラスチック光ファイバーはコア材にアクリルを使用し、コア材を覆うグラッド材にフッ素樹脂を使用した光ファイバーであり、石英系の光ファイバーに比べ安価で曲げに強く、折れにくいという特徴を持つ。
【0043】
また石英系の光ファイバーと異なり大口径であり、ファイバー径が1ミリメートル、コア径が0.98ミリメートル程度であり、ファイバー端面に多少の傷や汚れ、光軸ずれがあっても、十分な効率でLED40からの光を照明表示部材24に伝送して、地図シート部材18を背光照明することができる。
【0044】
また光源ユニット28に使用するLED40としては、地図上の火災発生場所を背光照明により示すことから、赤色LEDを使用することができる。赤色LEDを使用した場合には、照明表示部材24に設けている色フィルタ34は不要である。また、LED40として白色LEDを使用することもできる。白色LEDを使用した場合には、照明表示部材24に色フィルタ34を配置し、必要な表示色を設定する。
【0045】
図4は図3の照明表示装置を取り出して示した組立分解図である。図4において、照明表示部材24は光ファイバー26を挿入接続したアダプタ30を有し、アダプタ30には外周に嵌合溝30bが形成され、先端側に円筒状の収納部30aを開口している。アダプタ30の収納部30aには散乱部材32が組み込まれ、光ファイバー26からのスポット光を散乱により面光源に変換する。
【0046】
散乱部材32に続いては必要に応じて色フィルタ34が配置される。続いて、円形の切抜き36aを形成したマスク部材36が組み込まれる。マスク部材36の切抜き36aとしては、円形以外に、適宜の照明による投影形状を設定することができる。
【0047】
アダプタ30の円筒状の収納部30aには、散乱部材32、色フィルタ34及びマスク部材36を組み込んだ状態で、最終的に先端側に透明キャップ部材38が嵌め込まれ、透明キャップ部材38の図3に示した嵌合部38aがアダプタ30の嵌合溝30bに嵌合して組込み固定ができる。
【0048】
このような図4に示す構造の照明表示部材24は、光源となるLEDを組み込んでいないため小型軽量化でき、光ファイバー26もファイバー径が1ミリメートルとごく細く軽量なため、図3に示すように両面粘着シート25を使用するだけで確実に背面カバー部材20の地図シート部材18の警戒区域に対応した位置に粘着固定することができる。
【0049】
また地図シート部材18の地図を変更したような場合には、必要に応じて照明表示部材24を背面カバー部材20から取り外し、同じく両面粘着シート25を使用して、変更後の地図における対応位置に簡単に移し替えて配置することができる。
【0050】
また回路基板22の光源ユニット28からの光を光ファイバー26により照明表示部材24に伝送しているため、従来の信号線を使用した照明表示部材に比べ、光源としてのLED40を駆動するための信号線の配線は不要であり、したがって信号線の配線によるノイズ等の問題を完全になくすことができる。また光源としてのLED40は駆動回路を実装した回路基板22に実装されているため、信号線による損失を考慮したパワーの増加が不要となり、少ない駆動電力でLED40を発光駆動することができる。
【0051】
図5はコネクタ型光源ユニットを用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図である。図5において、この実施形態の表示装置12の表示窓16側に配置される照明表示部材24については図2の実施形態と同じであるが、回路基板22側に設置される光源ユニットとしてコネクタ型光源ユニット46を使用したことを特徴とする。
【0052】
図6は図5のコネクタ型光源ユニットを取り出して示した断面図である。図6において、コネクタ型光源ユニット46はコネクタベース48とコネクタカバー50で構成される。コネクタベース48には複数のLED40が組み込まれており、右側に取り出したコネクタリードピン52にリード端子を接続している。
【0053】
コネクタベース48に対しコネクタカバー50が着脱自在に設けられており、コネクタカバー50にはコネクタベース48に組み込んだLED40に相対する位置に複数本の光ファイバー26の先端部が位置するように挿入固定されている。
【0054】
このようなコネクタ型光源ユニット46を使用することで、回路基板22に対する光源ユニットと、これに対する光ファイバー26の組付け配置が極めて簡単に行うことができる。
【0055】
特に、図5に示すように、表示窓16に対し地図シート部材18を間に挟んで配置した背面カバー部材20に対する照明表示部材24の配置固定の際には、回路基板22側からコネクタカバー50を取り外しておくことで、回路基板22に対する光ファイバー26の配線を考慮することなく、表示窓16側で複数の照明表示部材の背面カバー部材20に対する配置作業を容易に行うことができ、背面カバー部材20に対する照明表示部材24の配置固定が完了した後に回路基板22のコネクタベース48にコネクタカバー50を組み込むことで、簡単に複数の照明表示部材24による光ファイバー26を使用した光源としてのLED40との光学的な接続が完成できる。
【0056】
図7は取付支持板を用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図である。図7において、この実施形態の表示装置12は、表示窓16に対し地図シート部材18を間に挟んで配置した背面カバー部材20の背後に、所定の間隔を隔てて取付板部材54を離間配置している。
【0057】
取付板部材54は、図8に示すように、板面の縦及び横方向に所定のピッチ間隔で取付穴56を複数形成している。取付穴56のピッチ間隔は、地図シート部材18に描いている地図の最も小さな警戒区域に対応した分解能となるピッチ間隔で形成している。
【0058】
このような取付穴56を縦横に形成した取付板部材54を背面カバー部材20の後ろに間を空けて離間配置することで、地図シート部材18の対応する警戒区域に対する照明表示部材24の配置固定を、取付板部材54の取付穴56に対する照明表示部材24の挿入固定により簡単に組み付けることができる。
【0059】
図9は図7の実施形態における照明表示部材の取付部分を取り出して示した断面説明図である。図9(A)において、表示窓16に対し地図シート部材18を挟んで配置された背面カバー部材20に対し、所定の間隔を隔てて取付板部材54が配置され、取付板部材54には取付穴56が形成されている。
【0060】
取付穴56は、図9(B)に示すように、例えば横方向の相対する2箇所に切欠60を形成している。一方、照明表示部材24はアダプタ30により光ファイバー26を挿入固定し、アダプタ30の収納部36aに散乱部材32、色フィルタ34及びマスク部材36を組み込んだ状態で、底付円筒状の透明キャップ部材38を前方から嵌め入れて組込み固定しており、透明キャップ部材38の外周の2箇所には抜止突起58が形成されている。
【0061】
このような構造の照明表示部材24を取付板部材54に組み付ける場合には、図9(B)の取付穴56の水平方向に形成されている切欠60に照明表示部材24の透明キャップ部材38に形成した抜け止め突起58を合わせて取付穴56に挿入し、取付穴56に挿入した後に照明表示部材24を回すことで、図9(A)に示すように抜止突起58が取付穴56の内側に位置して、先端を背面カバー部材20に押し当てた状態で取付固定することができる。
【0062】
また図9(A)に示す照明表示部材24の取付状態から外す場合には、照明表示部材24を回して、図9(B)に示す切欠60に抜止突起58を位置合せすることで、簡単に取り外すことができる。
【0063】
図10は分岐型光ファイバーを用いた本発明による表示装置の他の実施形態を示した説明図である。図10において、この実施形態の表示装置12は、表示窓16の背後に地図シート部材18を間に挟んで配置した背面カバー部材20の裏面に複数の照明表示部材24を着脱自在に配列固定している点は図2の実施形態と同じであるが、例えば背面カバー部材20の上側の2箇所に配置した照明表示部材24については、分岐型光ファイバー62を使用して回路基板22の光源ユニット28に接続している。
【0064】
分岐型光ファイバー62は、光源ユニット28からの光ファイバー26aを分岐部64で2つに分けて光ファイバー26b,26cを取り出し、2つの照明表示部材24に同じ光源ユニット28からの光を分岐して伝送するようにしている。
【0065】
図11は図10の実施形態における分岐型光ファイバーの分岐構造を取り出して示した断面図である。図11において、分岐型光ファイバー62の分岐部64には台形ブロック形状を持つ分岐光学部材66が組み込まれており、分岐光学部材66の台形上辺側に光源ユニット28からの光ファイバー26aの端面を当接し、台形底面側に照明表示部材24に対する2本の光ファイバー26b,26cの先端を当接させ、これによって、光ファイバー26aからの光を分岐光学部材66を介して2本の光ファイバー26b,26cに分岐入射して伝送するようにしている。
【0066】
この図10及び図11に示すような分岐型光ファイバー62の使用は、地図シート部材18に描いている警戒区域の地図の内、1つの警戒区域が広いような場合に、同じ警戒区域につき照明表示部材24を2つ配置して、火災発生場所の表示などに使用する場合に適している。このような分岐型光ファイバー62を表示すれば、表示面積の大きい区画につき1つの光源ユニット28の発光駆動で2つの照明表示部材24による背光照明を行うことができる。分岐の数は2つに限らず、2つ以上に分岐しても良い
図12は照明表示部材の他の実施形態を示した断面説明図であり、表示パターンのサイズとなる大、中、小に対応して図12(A),(B),(C)に分けて示している。
【0067】
図12(A)はサイズの大きい表示パターンを照明表示する照明表示部材24Aであり、透明な合成樹脂材料で作られた円柱状のアダプタ70を有し、アダプタ70の背後にファイバー挿入穴70aを形成して光源ユニットからの光ファイバー26を挿入し、ファイバー先端をアダプタ70内に配置している。
【0068】
アダプタ70の前方には円筒穴70cが開口され、円筒穴70cの底部には凸面をもつレンズ部70bを形成し、光ファイバー26の先端から出された光をレンズ部70bを介して絞ることで開口側に位置する背面カバー部材20をスポット状に照明光を当てるようにしている。また、アダプタ70に形成した円筒穴70cの開口部外周には取付け用の鍔部70dを形成し、鍔部70dを両面粘着テープ25により背面カバー部材20の裏面に接着固定している。
【0069】
更に、アダプタ70の前方の先端面を除く外周部分には、光ファイバー26からアダプタ70内に出された光が外部に漏れ出すことを防止するため遮光層を形成しており、この遮光層としては、アダプタ70の外周面に黒色塗装を施すか、アルミニウムなどの金属層を蒸着すれば良い。
【0070】
このような構造の照明表示部材24にあっては、アダプタ70のみで済むという簡単な構造であることから、照明表示するパターンサイズが大きくても、照明表示部材24の小型化と軽量化が達成でき、地図シート部材18の交換に伴う配置の変更が容易で、変更後の固定保持も確実にでき、併せてコストの低減をはかることができる。
【0071】
図12(B)は中サイズの表示パターンを照明表示する照明表示部材24Bであり、構造は図12(A)の場合と基本的に同じであり、透明な合成樹脂材料で作られた円柱状のアダプタ72の背後にファイバー挿入穴72aを形成して光源ユニットからの光ファイバー26を挿入し、前方には円筒穴72cが開口され、円筒穴72cの底部には凸面をもつレンズ部72bを形成し、また、アダプタ72に形成した円筒穴72cの開口部外周には取付け用の鍔部72dを形成し、更に、アダプタ72の前方の先端面を除く外周部分に、遮光層を形成している。
【0072】
図12(C)は小サイズの表示パターンを照明表示する照明表示部材24Cであり、構造は図12(A)の場合と基本的に同じであり、透明な合成樹脂材料で作られた円柱状のアダプタ74の背後にファイバー挿入穴74aを形成して光源ユニットからの光ファイバー26を挿入し、前方には円筒穴74cが開口され、円筒穴74cの底部には凸面をもつレンズ部74bを形成し、また、アダプタ74に形成した円筒穴74cの開口部外周には取付け用の鍔部74dを形成し、更に、アダプタ74の前方の先端面を除く外周部分に、遮光層を形成している。
【0073】
図13は照明表示部材の他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあってはライトガイドを使用して矩形表示パターンを照明表示できるようにしたことを特徴とする。なお、図13(A)は正面、図13(B)は平面、図13(C)は左側面、図13(D)は右側面をそれぞれ示している。
【0074】
図13の照明表示部材24は、背面カバー部材20の裏面位置に配置され矩形表示パターンを形成するライトガイド(導光板)78と、ライトガイド78の側端に光ファイバー26からの光を入射してライトガイド78を面発光させるアダプタ76で構成されている。アダプタ76は透明な合成樹脂で構成され、背後から光ファイバー26を挿入固定している。ライトガイド78は表示窓16に矩形表示パターン80を照明表示させるもので、必要とする矩形表示パターン80のサイズに応じた矩形ブロック形状をもっている。
【0075】
このようなライトガイド78を備えた照明表示部材24を使用することで、図3及び図12の実施形態によるスポット表示パターンとなる照明表示に加え、地図上の矩形の領域に対応した矩形表示パターンによる照明表示が可能となり、より自由度の高い視認性に優れた地図などの照明表示が実現できる。なお、図13の実施形態においても図3に示すような色フィルタを挿入しても良い。
【0076】
図14は回路基板側に設ける光源ユニットの他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態は回路基板に実装したLEDチップからの光を光ファイバーにより照明表示部材に伝送するようにしたことを特徴とする。
【0077】
図14において、光源ユニット28は、照明表示部材から引き出された光ファイバー26を回路基板22に光源として実装されたLEDチップ84に光学的に連結するもので、合成樹脂で作られたアダプタ82を使用している。アダプタ82は、背後に光ファイバー26を挿入固定するファイバー挿入穴82aを形成し、ファイバー挿入穴82aの途中には抜止部82bが突設され、挿入した光ファイバー26を押えて固定している。
【0078】
アダプタ82の前方には拡径されたスカート部82cが形成され、回路基板22に実装されたLEDチップ84の周囲を覆い、LEDチップ84の駆動で発光した光を光ファイバー26の端面に入射させている。更にアダプタ82に形成したスカート部82cの先端に回路基板22の取付穴に挿入して抜止めするエッジ付きの爪部82dを形成している。
【0079】
このような光源ユニット28にあっては、アダプタ82だけで光ファイバー26の先端を回路基板22上のLEDチップ84を覆う位置に配置して光学的に結合することができ、組立と取扱いが容易でコスト的にも安価にできる。
【0080】
図15はコネクタ構造をもつ光源ユニットの他の実施形態を示した説明図である。図15において、コネクタ型光源ユニット46は、照明表示部材から引き出された複数本のファイバーを着脱自在なコネクタ構造により回路基板22側に実装された光源としてのLEDチップ84の各々に光学的に連結する。
【0081】
即ち、コネクタ型光源ユニット46は、回路基板22に実装されたLEDチップ84の数に対応した例えば6個のアダプタ86を横方向に並べて連接し、アダプタ86の各々は、背後に光ファイバー26を挿入固定するファイバー挿入穴86aを形成し、ファイバー挿入穴86aの途中には抜止部86bが突設され、挿入した光ファイバー26を押えて固定している。またアダプタ86の前方に回路基板22に実装されたLEDチップ84を覆うスカート部86cを形成している。更に、両側に位置するスカート部86cの先端に回路基板22の取付穴に挿入して抜止めするエッジ付きの爪部86dを形成している。
【0082】
このようなコネクタ型光源ユニット46にあっては、アダプタ86を連接した簡単な構造で回路基板22上に実装された複数のLEDチップ84と光ファイバー26を光学的に結合することができ、組立と取扱いが容易でコスト的にも安価にできる。コネクタ型光源ユニット46は一列分を連接する物に限らず、LEDチップの実装形態に応じて、縦列及び横列の2次元的にまとめて連接する構成としても良い。光源ユニットは、建物への設置時に監視表示使用するLEDチップの箇所に後から取り付けても良いし、工場出荷時に全てのLEDチップ84に光源ユニットが予めセットされており、建物への取付時に必要なLEDチップの箇所にのみ光ファイバーを挿入するようにしても良い。
【0083】
なお上記の実施形態にあっては、照明表示部材に散乱部材32を組み込んで光ファイバー26からのスポット光を面光源に変換しているが、散乱部材32は必ずしも設ける必要はなく、光ファイバー26の先端からマスク部材36の間に散乱部材32を収納する空間をそのまま残しておくことで、光ファイバー26からの光を、この空間を通る際に拡散することを利用してそのまま地図シート部材18を背光照明してもよい。マスク部材もアダプタ30自体が遮光機能を兼ねていれば必ずしも必要としない。
【0084】
またアダプタ30の収納部30aに対する散乱部材32、色フィルタ34及びマスク部材36の配置の順番は上記の実施形態に限定されず、適宜の順番に配列しても良い。色フィルタは必ずしも必要ではなく、地図シート部材18自体を着色しても良い。
【0085】
また上記の実施形態にあっては、回路基板22側の光源として設けたLED40として、透明な保護キャップに組み込んだ構造のLEDを使用しているが、発光部が外部に露出したチップ型のLEDを使用してもよい。
【0086】
また上記の実施形態は防災監視盤10に設ける表示装置を例に取るものであったが、本発明の表示装置は、防犯受信機、副受信機、連動制御盤、表示盤など、また防犯設備や消火設備の受信機など適宜の監視に使用する表示装置にそのまま適用することができる。
【0087】
また、上記の実施形態において、地図表示部は表示窓、地図シート部材及び背面カバー部材の3部材を重ねて構成しているが、これに限らず表示窓と地図シート部材を兼ねた例えば地図を印刷した厚めのアクリル板部材の背後に、本発明の照明表示部材を配置する構成においても適用できる。
【0088】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0089】
10:防災監視盤
12:表示装置
14:操作表示パネル
16:表示窓
18:地図シート部材
20:背面カバー部材
22:回路基板
24,24A,24B,24C:照明表示部材
25:両面粘着シート
26:光ファイバー
28:光源ユニット
30,42,70,72,74,82,86:アダプタ
32:散乱部材
34:色フィルタ
36:マスク部材
38:透明キャップ部材
40:LED
46:コネクタ型光源ユニット
48:コネクタベース
50:コネクタカバー
52:コネクタリードピン
54:取付板部材
56:取付穴
58:抜止突起
60:切欠
62:分岐型光ファイバー
64:分岐部
66:分岐光学部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に地図を表示し、イベント内容に応じて地図背後から照光表示する表示装置に於いて、
装置前面に配置され前記地図を表示する地図表示部と、
装置内部の基板上に配置された光源と、
前記地図表示部の背後に着脱自在に配置され、前記光源から光ファイバーにより伝送した光により前記地図表示部の地図上の対応位置を局所的に背光照明する照明表示部材と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置に於いて、
前記地図表示部は、透明板部材の表示窓と、
前記表示窓の背後に配置され、地図を描画した交換自在な地図シート部材と、
前記地図シート部材の背後に配置されて挟み込み支持する透明板部材を用いた背面カバー部材で構成し、
前記照明表示部材は背面カバー部材の背後の任意の位置に着脱自在に配置されることを特徴とする表示装置。

【請求項3】
請求項1又は2記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、
背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、
前記アダプタの開口側に配置され、所定形状の切抜きを有するマスク部材と、
前記マスク部材を収納した状態で前記アダプタの開口に装着された透明キャップ部材と、
を備えたことを特徴とする表示装置。

【請求項4】
請求項1又は2記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、
背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、
前記アダプタに、前記光ファイバーからの光を入射して面光源に散乱させる散乱部材を配置したことを特徴とする表示装置。

【請求項5】
請求項3又は4記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、前記アダプタに、照明光に任意の色を付与する色フィルタを配置したことを特徴とする表示装置。

【請求項6】
請求項1記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材を両面粘着シート部材により前記背面カバー部材の背後に着脱自在に装着したことを特徴とする表示装置。
を備えたことを特徴とする表示装置。

【請求項7】
請求項1記載の表示装置に於いて、
前記背面カバー部材の背後に、取付穴を複数形成した取付板部材を配置し、前記取付板部材の任意の取付穴に前記照明表示部材を挿入配置したことを特徴とする表示装置。

【請求項8】
請求項1記載の表示装置に於いて、前記光ファイバーは単一光源からの光を分岐して複数の前記照明表示部材に光を伝送することを特徴とする表示装置。

【請求項9】
請求項1又は2記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、
背後から光ファイバーを接続し、前方に開口したアダプタと、
前記アダプタの開口部にレンズ部を形成したことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を有し、前方に穴を開口すると共に前記穴の底部に凸面レンズ部を形成した透明部材であることを特徴とする表示装置。

【請求項11】
請求項1又は2記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材は、
前記背面カバー部材の背後に配置され前記光源の光を面発光させるライトガイドと、
前記ライトガイドに接続され光ファイバーを固定し光をライトガイド入射させるアダプタと、
を備えたことを特徴とする表示装置。

【請求項12】
請求項1記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材から引き出された光ファイバーを回路基板に光源として実装された発光素子の各々に光学的に連結する光源ユニットを設けたことを特徴とする表示装置。

【請求項13】
請求項12記載の表示装置に於いて、前記光源ユニットは、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を形成し、前方に回路基板に実装された発光素子を覆うスカート部を形成すると共に前記スカート部の先端に前記光源ユニットを前記回路基板に固定する固定部を形成したアダプタを有することを特徴とする表示装置。

【請求項14】
請求項1記載の表示装置に於いて、前記照明表示部材から引き出された複数本のファイバーを着脱自在なコネクタ構造により回路基板側に実装された光源としての発光素子の各々に光学的に連結するコネクタ型光源ユニットを設けたことを特徴とする表示装置。

【請求項15】
請求項13記載の表示装置に於いて、前記コネクタ光源ユニットは、背後に光ファイバーを挿入固定する挿入穴を形成し、前方に回路基板に実装された発光素子を覆うスカート部を形成したアダプタを複数連接し、前記スカート部の先端に前記コネクタ光源ユニットを回路基板に固定する固定部を形成したことを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−217361(P2010−217361A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62450(P2009−62450)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】