説明

表示装置

【課題】 時間分割表示方式を用いた表示装置において、動画像を表示した場合や表示装置自体が移動した際に生じる色割れを低減する。
【解決手段】 複数のサブフィールドを時間的に重ねて1フィールドを表示する表示領域を有する表示装置であって、
前記表示領域は少なくとも前記サブフィールド数と同じ数の画素群を備えており、
該画素群は、サブフィールドごとに各画素が異なる色を表示するとともに、
すべてのサブフィールドにおいて同じ色数を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多色表示を行う表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置で多色表示を行うには、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色を混色させるのが一般的であり、3原色を混色させる方法として、空間分割表示方式と時分割表示方式とが知られている。
【0003】
空間分割表示方式とは、R、G、Bの各色を表示する画素を並列に配置し、画像信号に応じて各画素を同時に表示させ、それぞれに分離している色を空間的にで混色させる方法である。
【0004】
一方、時間分割表示方式とは、複数の色を表示可能な画素に順に色を表示させ、分離している色を視認者の網膜で生じる残像効果により時間的に混色する方法である。このとき、視認者の目の時間分解能以下の短い周期で、繰り返し画素に表示させる。
【0005】
ここで、画素とは、画像を構成する最小単位要のことである。たとえば、R、G、B各色に発光する有機EL素子からなる空間分割表示方式の表示装置の場合、1画素はR、G、Bそれぞれに発光する一組の有機EL素子を指す。画素を構成する各素子は、副画素とよばれる。
【0006】
特許文献1には、R、G、Bを順次表示する画素から構成された、時間分割表示方式の有機EL表示装置が開示されている。特許文献1に記載の画素の場合、1画素で複数の色を表示できるので、空間分割表示方式のように1画素をR、G、Bの副画素から構成する必要がない。このような時分割表示方式は、1画素を小さくできるため、小型ディスプレイや高解像度ディスプレイに特に適した表示方法である。
【0007】
ところが、時間分割表示方式の表示は、動画像を表示させた際に色割れと呼ばれる現象が生じることが知られている。
【0008】
以下、最も色割れが顕著な白(W)を表示させた場合を例にとって、色割れについて説明する。本明細書では、1フィールドは表示装置上にひとつの画像を表示する動作を意味している。さらに、1フィールドは、複数のサブフィールドから構成される。言い換えれば、複数のサブフィールドを時間的に重ね合わせることにより、1フィールド、つまりひとつの画像が作り出されるのである。
【0009】
図11(a)は、R、G、Bの3つのサブフィールドで1フィールドが構成されている表示装置において、黒の背景色の中を、Wの画像が動く時の色割れの様子を表している。W画像の移動距離を横軸、時間を縦軸に表している。
【0010】
Wの画像が画面左から右へΔxだけ移動したとき、視認者は、移動するWの像を追って、Gのサブフィールドの中心位置に合わせて視線を軌跡sの様に移動させる。すると、視認者の目には、RのサブフィールドとBのサブフィールドとGのサブフィールドとが位置ずれを起して見える。
【0011】
各色のサブフィールドが、視認者からどのように見えるかを説説するのが図11(b)である。各色のサブフィールドの位置は、1フィールドの中で図11(b)の上側の図に示すようにずれる。すると、視認者の網膜上では、図11(b)の下側の図に示すように、Wの像の左側にはシアン(C)とB、右側にはYとRの色付きが発生する。
【0012】
他にも、視線を画面外から画面内へ急激に移動させた場合や、画面を急激に移動させた場合にも、同様に色割れが生じる。また、色割れは、高輝度な像において発生するほど認識されやすくなる。
【0013】
前述したように、時分割表示方式は、小型や高解像度のディスプレイに適しており、これらのディスプレイはカメラやビデオ、携帯電話などのモニターに使用されることが多い。つまり、通常のディスプレイに較べ、ディスプレイ自体が急激に動かされる機会多く、色割れが大きな問題となる。
【特許文献1】国際公開第04/051614号パンフレット
【特許文献2】特開平8−307888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
時間分割表示方式による色割れ対策として、各サブフィールドを表示する駆動周波数を高くして時間分解能を向上させる方法や、Wサブフィールドを挿入させる方法が知られている。
【0015】
しかし、駆動周波数を高くする方法は、例えば駆動周波数を2倍にすると色割れの量は半減するものの、十分に解消するには至らず、消費電力も上がってしまう。
【0016】
Wサブフィールドを挿入する方法は、R、G、Bの各サブフィールドから、Wを表示する成分をWサブフィールドで表示し、残りの成分をR、G、Bの各サブフィールドで表示する方法である。このとき、画像はR、G,B,Wの計4つのサブフィールドによって表示される。
【0017】
この方法も、色割れが低減されるものの、W成分を差し引いた残りの色成分が、R、G、Bの各サブフィールドに振り分けて表示されるため、色割れを充分抑えることは難しい。また、W抽出処理回路や、4つのサブフィールドが必要となるなど、回路の構成も複雑になる。
【0018】
そこで特許文献2には、別の方法が提案されている。どのサブフィールドにおいてもR、G、Bの表示が可能な複数のサブモジュールから大画面表示装置を構成し、色割れを低減する方法である。
【0019】
特許文献2の表示装置は、W表示が可能な光源の光出射面にカラー液晶シャッターを配したものである。このカラー液晶シャッターは、複数の駆動ブロックに分割されたサブモジュール単位で駆動され、すべてのサブフィールドをR、G、Bの3色で構成し、色割れを生じにくくする。しかし、この方法は、時間分割表示するのにカラー液晶シャッターを用いるため、サブモジュールにはある程度の大きさが必要である。つまり、大型大画面表示装置には適用可能な色割れ防止方法であるが、小型の表示装置に適応するのは非常に困難である。また、サブモジュールのサイズが大きいため充分な混色が得られず、色割れ防止の効果が小さい上に、表示装置としての構造も非常に複雑である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、画面のサイズを問わず、色割れの改善された時間分割表示方式の多色表示装置を提供することを目的とする。
【0021】
すなわち、本発明の表示装置は、複数のサブフィールドで1フィールドを構成する表示装置であって、
前記サブフィールドごとに異なる色を表示する画素を備えており、かつ、
前記それぞれのサブフィールドにおいて、前記サブフィールドの数と同じ数の互いに異なる色を表示する画素からなる画素群で構成されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の表示装置は、複数のサブフィールドから1フィールドを構成する表示装置であって、
前記それぞれのサブフィールドにおいて、前記サブフィールドの数と同じ数の隣接する画素からなる画素群により表示される色は、前記画素群に含まれる各画素が1フィールドで表示する色と同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、1フィールドで表示される色と、各サブフィールドで表示される色とがほぼ同じであるため、色割れのない多色表示の可能な表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
本実施形態では、2つの異なる色を表示可能な副画素を、2つ組み合わせた画素からなる表示装置について説明する。各副画素は何れか一方の色を選択的に表示することができ、本実施例ではは、RとBとを表示可能な副画素と、BとGとを表示可能な副画素とから、各画素が構成されている。
【0025】
図1(a)−1〜2は、Wを表示するときの各サブフィールドにおける、各画素及び各副画素の表示状態を示している。図1(b)は、ある1画素にWをさせるときの各サブフィールドにおける表示状態を、時間軸で示している。
【0026】
図から理解されるように、本実施例の表示装置は2つのサブフィールドによって画像を表示する。
【0027】
第1サブフィールドでは、RとBとをそれぞれ表示する副画素からなる第1画素(以下、RB第1画素と表記)と、BG第2画素とが垂直方向に交互に配置されている。ここで、垂直方向とは、表示装置の画像を表示領域を正面から見た時の垂直方向、つまり、図面縦方向を意味している。また、後に記載の水平方向とは、垂直方向から90°ずれた方向、つまり図面の横方向を意味する。
【0028】
第2サブフィールドでは、各副画素は表示可能なもう一方の色を表示す。すなわち、BG第1画素と、RB第2画素とが、の垂直方向に交互に配置されることになる。
【0029】
このように、副画素の表示色がサブフィールドごとに異なるため、副画素の表示色の混色によって得られる画素の色も、サブフィールドごとに異なる。
【0030】
さらに、どのサブフィールにおいても、の垂直方向に連続する2つの画素は、Wを表示する最小単位となっている。つまり、垂直方向に隣接する2つの画素の表示色を空間的に混色されてWが表示される。図1(c)に、あるサブフィールドにおいてWを表示する、画素の最小の組み合わせ(画素群)例を示しておく。
【0031】
本実施形態にかかる表示装置は、時間的混色により1フィールドで各画素にWを表示でき、各サブフィールドにおいても垂直方向に隣接する2つの画素で空間的にWを表示することができる。
【0032】
以上、特に効果が顕著であるWを表示する場合に限って説明してきたが、W以外の色を表示する場合にも、同様の方法で、色割れを防止することができる。つまり、1フィールドで表示される色と、サブフィールドごとに表示される色とがほぼ同じとなるようにすれば、視認されない程度にまで色割れを低減することができる。
【0033】
さらに、副画素の配列を見た時に、同じ色が連続して配置されないようにすれば、表示色が混色しやすく色割れの低減により効果的である。
【0034】
さらに、本実施形態の表示装置は、図1(b)のように、Wは2つのサブフィールドによって表示され、Bは1フィールドで2回表示される。そこで、1フィールドのWバランスを崩さないよう、Bの表示最大輝度は、1フィールドで表示されるWの最大輝度の1/2となるように、ダイナミックレンジが調整されている。これにより、例えば、RやGに較べてB画素の寿命が短い場合、1フィールド当りのB画素への不可を低減でき、画素全体の寿命を延ばすことができる。
【0035】
次に、本発明の画素に用いることのできる有機EL表示素子の一例を、図3の模式断面図を用いて説明する。
【0036】
図3に示した画素は、異なる色に発光する有機EL層が複数積層された有機EL素子からなる、第1および第2の副画素から構成されている。第1の副画素は、第1色と第3色をそれぞれ発光する有機EL層が積層されており、第2の副画素は、第2色と第4色をそれぞれ発光する有機EL層が積層されている。このような画素構成において、他の色に較べて寿命の短い発光色を、第1色もしくは第2色、および第3色もしくは第4色に用いれば、画素全体の寿命を延ばすことができる。
【0037】
図中の1はガラス基板、2は平坦化層、3aは第1色アノード層、3bは第2色アノード層である。さらに、4は第1色有機EL層、5は第2色有機EL層、6aは第1カソード層、6bは第2カソード層である。また、7は第3有機EL層、8は第4色有機EL層、9aおよび9bはそれぞれ第3色、第4色アノード層を示している。
【0038】
ガラス基板1上には、各素子を駆動させるための不図示のTFT(薄膜トランジスタ)回路が形成され、回路を保護する不図示のSiNやSiO等からなる絶縁層が形成される。TFT回路が形成されたガラス基板1の表面には、回路による表面の凹凸を平坦化するために、ポリイミドやアクリル等の樹脂からなる平坦化層2が形成される。平坦化層2および絶縁層には、前記TFT回路と後に形成するアノード層との電気的接続を取るためのコンタクトホール21a、21b、22a、22bが形成される。
【0039】
平坦化膜2上には、第1色アノード層3aと第2色アノード層3bが形成される。
【0040】
次に、アノード層の表面をUV/オゾン洗浄をした後、真空中でベークしてから、有機EL層を蒸着する。
【0041】
第1色アノード層極3aと第2色アノード層の上には、それぞれ有機EL層4および5が形成される。有機EL層は複数の層から構成されていてもよい。例えば、正孔輸送層を形成した後、第1色アノード層3aに対応する領域に第1の発光層、第2色アノード層に対応する領域に第2色の発光層が形成される。第1色と第2色の発光層をそれぞれ分離して形成するには、シャドーマスクを用いた蒸着法や、レーザー転写方式、塗布方式などを用いることができる。各発光層の上には、さらに電子輸送層、電子注入層を形成後、第1カソード層6aと第2カソード層6bが形成される。
【0042】
第1カソード層6a、第2カソード層6bの上には、それぞれ第3色有機EL層7と第4有機EL層8が形成される。最後に、第3色有機EL層、第4有機EL層のそれぞれの上に第3色アノード層、第4色アノード層が形成される。
【0043】
各有機EL層で出射された光を取り出すため、有機EL層よりも光取り出し側に形成される電極は、いずれもITOやIZO等の透明導電膜もしくは薄い金属からなる半透過膜、もしくはその積層膜で形成される。
【0044】
前述の構成は、画素として用いる有機EL素子の一例であり、必要に応じて積層数を2層から3層以上に増やしてもよい。また、画素だけで必要な色を表示できる場合は、必ずしも副画素を必要としない。
【0045】
また、これらの有機EL素子の形成には、公知の製造方法や材料を用いることができる。
【0046】
図2に、本実施形態にかかる有機EL表示装置の画素等価回路の一例を示す。これは、画素等価回路の一部分を簡略化して記述してある。
【0047】
図2において、101はゲート(走査信号)配線、102はソース(情報信号)配線、103は電流供給配線、104は第1画素選択配線、105は第2画素選択配線である。107は電圧書込み用TFT、108は保持容量、109および110は、それぞれ電流供給用TFT、112および113は、それぞれ画素選択TFTを示し、115は第1の有機EL素子、116は第2の有機EL素子を示している。図2中、点線で囲った領域が1画素を示している。
【0048】
ゲート配線101とソース配線は102は、それぞれ不図示の走査信号処理回路と情報信号処理回路とに接続されている。ゲート配線101とソース配線とは102を介して、電圧書き込み用TFT107のゲート電極とソース電極とにそれぞれ接続されている。電圧書込み用TFT107のドレイン電極は、保持容量108と、各有機発光素子への電流供給用TFT109および110のゲート電極とに電気的に接続されている。
【0049】
電流供給用TFT109および110のソース電極は、それぞれ電流供給配線103と接続されており、ドレイン電極は各有機発光素子のアノード電極に接続されている。各有機EL素子のカソード端子は、画素選択TFT112、113のソース電極にそれぞれ接続され、各画素選択TFT112、113のゲート電極には、それぞれ第1画素選択配線104、第2画素選択配線105接続されている。
【0050】
次に、各副画素の何れか一方の色を選択的に表示させる方法、すなわち、有機EL発光素子の一方の有機EL層を選択的に発光させる駆動方法について説明する。
【0051】
図3は、図2におけるある1画素領域における各配線ないし電極に入力された信号を、電圧を縦軸、時間を横軸にとって模式的に示した図である。
【0052】
なお、図3では、白色表示時における各配線ないし電極に入力される信号を模式的に示している。
【0053】
情報信号配線102には、情報信号処理回路から、時間分割で階調処理されたサブフィールド情報に基づく信号(図3(a))が送られる。情報信号(図3(a))は、走査信号処理回路からの走査信号(図3(b))に基づいて作動する電圧書込み用TFT107を介して、保持容量108に電圧値として入力され保持される(図3(c))。
【0054】
ここで、図3(c)は、前記保持容量108の入力信号を示すと共に、図2中の電流供給用TFT109,110のゲート電極へ入力される信号も示している。
【0055】
つぎに、図3(d)および(e)に示す選択信号が図2中の第1画素電極選択線104と第2画素電極選択線105にそれぞれ入力される。
【0056】
図3(d)および(e)に示すように、選択信号は、サブフィールドごとに、第1画素選択配線104と第2画素選択配線105の何れか一方が選択状態(ハイレベル)となる。
【0057】
その状態を反映して、画素選択TFT112と113の何れか一方が選択状態となる。選択された側の画素選択TFTに接続されている有機EL素子には、保持容量108に保持された電圧レベルに応じて電流供給配線103から電流が流れ込み、素子は所望の輝度で発光する。
【0058】
以上のように、異なる色に発光する有機EL層が複数積層された有機EL素子を画素に用いることにより、簡単な画素構成、および回路構成でサブフィールドごとに異なる色を表示する事が可能である。
【0059】
(実施形態2)
本実施形態では、副画素をもたない画素からなる表示装置について、Wを表示する場合を例にとって説明する。
【0060】
図5(a)−1〜3は、Wを表示するときの、各サブフィールドにおける、各画素の表示状態を示している。また、図5(b)に、ある画素をW表示させるときの各サブフィールドの表示状態を示す。図のように、WはR、G、Bの3つのサブフィールドによって表示されており、画素はサブフィールドごとにR、G、Bの異なる色を表示する。
【0061】
図から理解されるように、本実施例の表示装置は3つのサブフィールドによって画像を表示する。
【0062】
第1サブフィールドは、R第1画素と、G第2画素と、B第3画素が、表示装置の水平および垂直方向に交互に配置されている。第2のサブフィールドでは、各副画素は表示可能な別の色を表示する。本実施例では、第1画素はG、第2画素はB、第3画素はRを表示している。次に、第3サブフィールドでは、それぞれの画素は表示可能な残りの1色を表示する。本実施例では、第1画素はB、第2画素はR、第3画素はGを表示している。
【0063】
このような表示は、どのサブフィールにおいても、連続する3つの画素がWを表示する最小単位となっている。つまり、これら3つの画素の表示色を空間的に混色することにより、Wが表示される。
【0064】
図5(c)に、あるサブフィールドにおいてWを表示する、画素の最小の組み合わせ(画素群)例を示しておく。
【0065】
本実施形態にかかる表示装置は、時間的混色により1フィールドで各画素にWを表示でき、各サブフィールドにおいても隣接する3つの画素で空間的にWを表示することができる。
【0066】
以上、特に効果が顕著であるWを表示する場合に限って説明してきたが、W以外の色を表示する場合にも、同様の方法で、色割れを防止することができる。つまり、1フィールドで表示される色と、サブフィールドごとに表示される色とがほぼ同じとなるようにすれば、視認されない程度にまで色割れを低減することができる。
【0067】
次に、本実施形態の表示装置の画素に用いることのできる有機EL素子の断面を、図6に示す。図4の2層積層型の有機EL素子に対して積層数が1層増えた、3層積層型の有機EL素子で画素を構成する。この画素はR、G、Bの3色を選択的に表示することが可能であるため、副画素を持たない。
【0068】
図中の1はガラス等の基板、2は平坦化層、10は第1色アノード層、11は第1色有機EL層、12は第1色カソード層である。ガラス基板1には、不図示のTFT回路およびTFT回路を保護する絶縁層が形成されている。
【0069】
また、14は第2色アノード層、15は第2色有機EL層、16は第2色カソード層である。さらに、18は第3色アノード層、19は第3色有機EL層、20は第3色カソードである。
【0070】
前記平坦化層2および不図示の絶縁層には、前記TFT回路と各アノード層との電気的接続を取るためのコンタクトホール23〜25が形成される。さらに、それぞれの素子は、絶縁層13および16によって絶縁されており、各有機EL層を独立して発光させることが可能となっている。
【0071】
図7に本実施形態にかかる有機EL表示装置の画素等価回路の一例を示す。これは、画素等価回路の一部分を簡略化して記述してある。
【0072】
有機EL素子が3層積層型になったことに伴い、図2の画素等価回路に対して、第3の有機EL素子117、第3画素選択配線106、電流供給用TFT111、画素選択TFT114が追加されている。図5中、点線で囲った領域が1画素を示している。
【0073】
次に3層に積層された有機EL発光素子を、選択的に発光させる駆動方法について説明する。
【0074】
図8は、図7におけるある1画素領域における各配線ないし電極に入力された信号を模式的に示す図である。
【0075】
なお、図8には、W表示時における各配線ないし電極に入力される信号が模式的に示されている。
【0076】
情報信号配線102には、情報信号処理回路から、時間分割で階調処理されたサブフィールド情報に基づく信号(図8(a))が送られる。情報信号(図8(a))、走査信号処理回路からの走査信号(図8(b))に基づいて作動する電圧書込み用TFT107を介して、保持容量108に電圧値として入力され保持される(図8(c))。
【0077】
ここで、図8(c)は、前記保持容量108の入力信号を示すと共に、図7中の電流供給用TFT109,110、111のゲート電極へ入力される信号も示している。
【0078】
つぎに、図8(d)、(e)、(f)に示す信号が図7中の第1画素電極選択線104と第2画素電極選択線105と第3画素電極選択線106にそれぞれ入力される。
【0079】
図8(d)、(e)、(f)に示すように、サブフィールドごとに第1画素選択配線104、第2画素選択配線105、第3画素選択線106の何れか一つが選択状態(ハイレベル)になる。その状態を反映して、画素選択TFT112、113、114の何れか一つが選択状態となる。選択された画素選択TFTに接続する有機EL素子には、保持容量108に保持された電圧レベルに応じて電流供給配線103から電流が流れ込み、素子は所望の輝度で発光する。
【0080】
(実施の形態3)
本実施形態では、それぞれ3色を表示可能な2つの副画素からなる画素からなる表示装置について、Wを表示する場合を例にとって説明する。
【0081】
図9(a)−1〜3は、Wを表示するときの、各サブフィールドにおける、各画素の表示状態を示している。図9(b)は、ある画素にW表示させるときの、各サブフィールドにおける画素の表示状態を示している。
【0082】
図から理解されるように、本実施例の表示装置は3つのサブフィールドによって画像が表示される。
【0083】
第1サブフィールドは、RG第1画素、GB第2画素、BR第3画素が、水平および垂直方向に順次配置されている。
【0084】
第2サブフィールドでは、各副画素は表示可能な別の色を表示する。本実施例では、GB第1画素、BR第2画素、RG第3画素が、表示領域の水平および垂直方向に順次配置されることになる。
【0085】
第3サブフィールドでは、それぞれの副画素は表示可能な残りの1色を表示する。本実施例では、BR第1画素、RG第2画素、GB第3画素が、表示領域の水平および垂直方向に順次配置されることになる。
【0086】
このように、副画素の表示色がサブフィールドごとに異なるため、副画素の表示色の混色によって得られるそれぞれの画素の色も、サブフィールドごとに異なる。
【0087】
さらに、あるサブフィールにおいて、隣接する第1画素、第2画素、第3画素の3つの画素の組み合わせは、Wを表示する最小単位となっている。図9(c)に、あるサブフィールドにおいてWを表示する、画素の最小の組み合わせ(画素群)例を示しておく。
【0088】
本実施形態にかかる表示装置は、時間的混色により1フィールドで各画素にWを表示でき、各サブフィールドにおいても隣接する3つの画素で空間的にWを表示することができる。
【0089】
以上、特に効果が顕著であるWを表示する場合に限って説明してきたが、W以外の色を表示する場合にも、同様の方法で、色割れを防止することができる。つまり、1フィールドで表示される色と、サブフィールドごとに表示される色とがほぼ同じとなるようにすれば、視認されない程度にまで色割れを低減することができる。
【0090】
また、図9(b)のように、Wは3つのサブフィールドによって表示され、R、G、Bの全ての色が1フィールドで2回ずつ表示される。そこで、1フィールドのWバランスを崩さないよう、各色の表示最大輝度は、1フィールドで表示されるWの最大輝度の1/2となるように、ダイナミックレンジが調整されている。これにより、1フィールド当りの各画素への不可を低減でき、画素全体の寿命を延ばすことが可能となる。
【0091】
さらに、本実施例の画素構成は、本来、副画素を要しない画素により、3つのサブフィールドで表示することが可能であるが、意図的に1画素を複数の副画素に分割している。これにより、サブフィールドごとに異なる色を副画素に表示させ、本来、1画素の表示に必要な空間分解能(画素解像度)以上の色の解像度で表示を行うことができ、色割れをさらに低減できる。
【0092】
(実施形態4)
実施形態1に記載の表示装置において、図10(a)〜(c)に示す様に、あるサブフィールドにおける、表示領域の垂直または水平のどちらか一方向に、同じ色を表示する副画素を連続配列してもよい。
【0093】
以上、本実施の形態1乃至4において、表示素子として有機EL素子の例を示したが、その他の表示素子を用いる事も可能である。1画素もしくは1ライン単位での表示色の制御と時間分割階調表示が必要である為、自発光素子が適しているが、LCDや、DMD等の表示素子を用いた場合にも応用する事は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の画素および副画素の一部が各色フィールドごとに表示する色を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る有機EL表示装置の画素等価回路の一部を示す図である。
【図3】図2におけるある1画素領域における各配線ないし電極に入力された信号を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る有機EL表示装置の画素断面の模式図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置の画素および副画素の一部が各色フィールドごとに表示する色を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置の画素の断面の模式図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置の画素等価回路の一部を示す図である。
【図8】図7におけるある1画素領域における各配線ないし電極に入力された信号を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る有機EL表示装置の画素および副画素の一部が各色フィールドごとに表示する色を模式的に示す図である。
【図10】本発明の実施形態4に係る有機EL表示装置の画素および副画素が各色フィールドごとに表示する色を模式的に示す図である。
【図11】時間分割表示時に生じる色割れ現象を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 ガラス基板
2 平坦化層
3a、10 第1色アノード層
3b、14 第2色アノード層
4、11 第1色有機EL層(R)
5,15 第1色有機EL層(G)
6a、12 第1カソード層
6b、16 第2カソード層
7、19 第3色有機EL層(B)
8 第4色有機EL層(B)
9a 第3色アノード層
9b 第4色アノード層
13、17 絶縁層
20 第3色カソード層
21a、21b、22a、22b、23〜25 コンタクトホール
101 ゲート(走査信号)配線
102 ソース(情報信号)配線
103 電流供給配線
104 第1画素選択配線
105 第2画素選択配線
106 第3画素選択配線
107 電圧書込み用TFT
108 保持容量
109〜111 電流供給用TFT
112〜114 画素選択TFT
115 第1の有機EL素子
116 第2の有機EL素子
117 第3の有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブフィールドで1フィールドを構成する表示装置であって、
前記サブフィールドごとに異なる色を表示する画素を備えており、かつ、
前記それぞれのサブフィールドにおいて、前記サブフィールドの数と同じ数の互いに異なる色を表示する画素からなる画素群で構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数のサブフィールドから1フィールドを構成する表示装置であって、
前記それぞれのサブフィールドにおいて、前記サブフィールドの数と同じ数の隣接する画素からなる画素群により表示される色は、前記画素群に含まれる各画素が1フィールドで表示する色と同じであることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記画素が複数の副画素からなり、
該副画素は、サブフィールドごとに異なる色を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記それぞれのサブフィールドにおいて、
前記画素もしくは前記副画素のうち、少なくともある1色を表示する画素もしくは副画素は、水平もしくは垂直方向のいずれか一方に隣接することなく配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は白を表示することが可能な画素の組み合わせからなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の表示装置。
【請求項6】
1フィールドが2つのサブフィールドから構成されており、
該サブフィールドは、それぞれ赤、緑、青のうち2色を表示する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
1フィールドが3つのサブフィールドから構成されており、
前記各サブフィールドは、赤、緑、青のうち2色をそれぞれ表示する副画素を有する画素から構成されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画素は、自発光素子からなることを特徴とする請求項1乃至7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記自発光素子が有機EL素子である事を特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記有機EL素子は、異なる色に発光する有機EL層が複数積層されていることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−2755(P2010−2755A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162316(P2008−162316)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】