説明

表示装置

【課題】表示装置において、マトリクス型のセグメント構成を用いることなく簡易な構造としながらも、複数色の発光を独立して制御することができ、しかも、高輝度な光パターンを表示する。
【解決手段】表示装置1は、発光層2と電極部3とを備える。電極部3は、透明電極5と、発光層2を挟んで透明電極5に対向する対向電極6を有する。発光層3は、透明電極5上に複数の領域に分割して配置される。対向電極6は、発光層外縁に臨んでいる一方の領域2bを被覆する第1の電極層61と、発光層外縁に臨んでいないもう一方の領域2aを被覆する第2の電極層62とを積層して成り、これら電極層61、62の間に絶縁層63を介在している。発光層2への給電を領域2a、2b毎に別系統として、それぞれの領域2a、2bの発光を独立して制御できるようになるので、発光層2を領域2a、2b毎に所望の色合いに形成しておくことで、複数色の発光を個別に制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光によって所定の光パターンを表示する表示装置に関する。
【0002】
従来より、この種の表示装置において、発光部として、発光効率に優れた有機EL型の発光素子を備えたものがある。有機EL型の発光素子は、透明な基板上に、陽極となる透明電極、有機物から成る発光層、陰極となるアルミ電極を順に積層して成る面状光源であり、両電極間に電圧を印加することで発光層が発光し、基板を通して光が取り出される。なお、発光層及び各電極を保護する観点から、吸湿層や封止層が設けられることもある。
【0003】
ところで、上記のような面状の発光素子を用いて、複数色にて発光し、かつそれぞれの色の発光を独立して制御する表示装置を構成すれば、光パターンによる誘目性が向上する。このような表示装置が、例えば、誘導灯などに用いられると、非常口を案内する模様や文字等の標識部分を緑色にて点滅させ、その他の背景部分を白色にて点灯させるといった使用が可能となる。
【0004】
そこで、複数色の発光を個別に制御する方法として、複数の発光素子を組み合わせる技術がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような技術では、上記のような誘導灯を構成する場合に、標識及び背景部分の構成上、発光層が、外縁に臨んでいる領域と外縁に臨んでいない領域とに分割された、いわゆる海島構造になると、外縁に臨んでいない領域に積層した電極を基板上に取り出すことが困難となる。
【0005】
また、RGBの3色から成る発光層をドット単位で配列したマトリクス型の有機EL表示装置がある(例えば、特許文献2及び3参照)。しかし、このような技術は、動画表示用のディスプレイとしては好適であるが、誘導灯のような絵柄が変化しないものを表示する場合にはオーバースペックとなる。また、微細なセグメント構造を形成する必要があるため、発光層を塗り分ける際、蒸着マスクの位置合わせに高い精度が要求され、製造コストが高くなる。さらに、電極の形成パターンも微細なものとなり、外部電源との接続が困難となる。
【0006】
なお、発光部からの光をカラーフィルタを用いて配色する技術があるが(例えば、特許文献4参照)、カラーフィルタの吸光によって光パターンの輝度が低下することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−227326号公報
【特許文献2】特開2008−107628号公報
【特許文献3】特開平09−102395号公報
【特許文献4】特開2009−75606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、マトリクス型のセグメント構成を用いることなく簡易な構造としながらも、複数色の発光を独立して制御することができ、しかも、高輝度な光パターンを表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、発光層と、この発光層を挟持し該発光層に給電する電極部とを備え、前記発光層への給電を制御することにより所定の光パターンを表示する表示装置であって、前記電極部は、透明な基板上に設けられる透明電極と、前記発光層を挟んで前記透明電極に対向する対向電極とを有し、前記発光層は、前記透明電極上に複数の領域に分割して配置されるものであり、前記対向電極は、前記発光層の外縁に臨んでいる一方の領域を被覆する第1の電極層と、前記発光層の外縁に臨んでいないもう一方の領域を被覆する第2の電極層とを積層して成り、これら第1及び第2の電極層の間に絶縁層を介在しているものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の電極層が、前記第2の電極層より、発光層に近い側に配置されるものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1及び第2の電極層は、前記発光層の外縁から互いに異なった方向に導出されて、前記基板上に形成される取出し電極と電気接続されるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第1の電極層が発光層の外縁に臨んでいる領域を覆い、第2の電極層が発光層の外縁に臨んでいない領域に覆っていて、これらの電極層が互いに絶縁された構造となっているので、発光層への給電を領域毎に別系統として、それぞれの領域の発光を独立して制御できるようになる。従って、発光層を領域毎に所望の色合いに形成しておくことで、マトリクス型の表示装置のような微細なセグメント構造を用いることなく、簡素な構造にて、複数色の発光を個別に制御でき、誘目性の高い光パターンを表示することが可能となる。また、カラーフィルタを用いずに光を配色できるので、高輝度な光パターンを表示することができ、ひいては、誘導灯などに用いるのに好適となる。また、1つの発光素子内で発光層を必要な領域に分割するだけでよいので、マトリクス型の表示装置のように、発光層を形成する際に蒸着マスクの位置合わせに高度な精度を必要とせず、製造を容易に行うことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、第1の電極層上に絶縁層を形成し、その後、この絶縁層上に第2の電極層を発光層の全域に亘って形成することにより、各電極層間の絶縁を取りつつ、第2の電極層の電極取出しをも行えるようになるので、発光層の各領域への給電を別系統にすることが容易となる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第1及び第2の電極層と取出し電極とを互いに短絡することなく簡単に接続でき、また、取出し電極と外部電源との接続も行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の分解斜視図。
【図2】上記表示装置の平面図。
【図3】(a)は図2のA−A線断面図、(b)は図2のB−B線断面図。
【図4】上記表示装置における陽極、発光層及び陰極の形成手順を時系列に示す図。
【図5】上記表示装置における封止基板の形成手順を時系列に示す図。
【図6】上記実施形態の変形例に係る表示装置の分解斜視図。
【図7】上記実施形態の他の変形例に係る表示装置の分解斜視図。
【図8】上記変形例の表示装置の平面図。
【図9】(a)は図8のC−C線断面図、(b)は図8のD−D線断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の斜視図。
【図11】上記表示装置の分解斜視図。
【図12】上記表示装置の発光パネルを発光面とは反対側から上視したときの分解構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る表示装置について図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図3は本実施形態に係る表示装置1の構成を示す。表示装置1は、発光によって所定の光パターンを表示するものであって、発光部として有機EL型の面状発光素子を構成している。表示装置1は、発光層2と、この発光層2を挟持し該発光層2に給電する電極部3と、発光層2及び電極部3が設けられる透明な素子基板4とを備え、発光層2からの光が素子基板4を通して取り出される。ここに、電極部3は、素子基板4上に形成される透明な陽極5(透明電極)と、発光層2を挟んで陽極5に対向する陰極6(対向電極)とで構成される。以下の説明において、図示x方向を装置1における左右方向とし、y方向を前後方向とする。
【0017】
発光層2は、陽極5上に2つの領域に分割して配置されており、円形の模様に形成された発光領域2aと、円形を取り囲む模様に形成された発光領域2bとを有している。発光領域2aは、発光層2の外縁に臨んでいない領域となっており、ここでは、緑色の有機物蛍光体で構成され、電極部3からの給電により緑色に発光するものとする。発光領域2bは、発光層2の外縁に臨んでいる領域となっており、ここでは、白色の有機物蛍光体で構成され、給電により白色に発光するものとする。発光領域2a及び発光領域2bの間は、隙間C1でもって互いに絶縁されている。なお、発光層2は、陽極5側にホール注入性を向上させるための正孔輸送層や、陰極6側に電子注入性を向上させるための電子輸送層を有していてもよい。
【0018】
電極部3の陽極5は、ITO(酸化インジウム錫)から成る透明電極層であり、その一端部が、発光層2の外縁から前方に導出され取出し電極5aとなっている。ここに、陽極5上の外周部分に、Mo−Al−Mo積層膜を補助電極として形成すれば、電圧降下による発光層2の光ムラを少なくすることができる。陽極5側のMo層は陽極5(ITO)との親和性を高める機能を持ち、Al層は陽極5の導電性を向上させる機能を持ち、外側のMo層はAl層を傷や腐食から保護する機能を持つ。Mo−Al−Mo積層膜は、スパッタリング法を用いて成膜を行い、各層の厚み寸法はそれぞれ、50nm、500nm、50nm程度が好ましい。
【0019】
陰極6は、非透明な金属、例えばアルミニウムや銀等から成り、発光層2から出射された光を素子基板4側に向けて高効率に反射できるようになっている。陰極6は必ずしも非透明な電極でなくてもよく、陽極5と同様、透明な電極で構成されていてもよい。陰極6は、発光層2の一方の発光領域2bを被覆する第1の電極層61と、もう一方の発光領域2aを被覆する第2の電極層62とを積層して成り、これら第1及び第2の電極層61、62の間に絶縁層63を介在している。
【0020】
第1の電極層61は、発光領域2b上に、円形を取り囲む模様に沿って被覆形成されていて、その円形中空部から発光領域2aを露出する。第1の電極層61は、第2の電極層62より発光層2に近い側に配置される。絶縁層63は、第1の電極層61上に、円形を取り囲む模様に沿って被覆形成されていて、第1の電極層61と同様に、円形中空部から発光領域2aを露出する。絶縁層63は、例えば、ポリイミド樹脂により構成される。第2の電極層62は、絶縁層63上に円形中空部を含む全域に亘って被覆形成されていて、これによって発光領域2aを覆っている。第1及び第2の電極層61、62は、発光層2の外縁から互いに異なる左右方向に導出されて、素子基板4上に取り出される。ここに、発光層2、陽極5及び陰極6は、耐水性やガスバリア性等を確保するため、封止基板7により封止される。封止基板7は、下面開口の缶形状とされ、素子基板4に対向して設けられる。封止基板7に用いる材料には、発光層2が温度や湿度、酸素等により特性劣化が生じることから、熱伝導率が高く、酸素透過率及び水蒸気透過率が低い材料、例えば、ステンレスや銅等の金属材料、又はシリコン等の樹脂材料を用いることが望ましい。
【0021】
素子基板4は、光透過性に優れた部材、例えば、ガラスや透明樹脂等により構成され、発光層2のある側とは反対側(裏面側)が発光面となっている。素子基板4の発光層側の面には、第1の電極層61の導出部と電気接続される取出し電極61aと、第2の電極層62の導出部と電気接続される取出し電極62aとが設けられている。取出し電極61a、62aはそれぞれ、ITOから成る透明な電極であり、素子基板4上の左右側方部に、第1及び第2の電極層62の導出方向に対応して設けられている。取出し電極51a及び61aは電源E1と接続され、取出し電極5a及び62aは電源E2と接続される。また、本表示装置1において、発光層2の各領域2a、2b間、及び陽極5と陰極6間の隙間部分C2に、絶縁部を形成すれば、これら各部の絶縁を確実に確保できる。
【0022】
図4、図5を用いて本表示装置1の製造方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、素子基板4上にITOを成膜し、このITO膜をパターニングすることにより、陽極5、取出し電極61a、62aを形成する。次に、図4(b)に示すように、陽極5上に、発光層2の発光領域2aを円形の模様に形成し、発光領域2bを円形を取り囲む模様に形成する。このとき、発光領域2a、2bが互いに混ざり合わないように、適宜マスキングしながら成膜を行う。次に、図4(c)に示すように、陽極5と取出し電極61a、62aの隙間に、ポリイミド樹脂から成る絶縁部8aを形成する。
【0023】
次に、図4(d)に示すように、発光領域2b上に、円形を取り囲む模様に沿うように第1の電極層61を形成する。第1の電極層61の形成方法としては、例えば、スパッタリング法によりアルミニウム等の金属を蒸着する方法が挙げられる。このとき、第1の電極層61の一端部分が、取出し電極61aに繋がるように形成を行う。また、第1の電極層61のような金属膜を、取出し電極61上の、外部電源との接続部分に成膜しておけば、接続抵抗を低減することが可能となる。次に、図4(e)に示すように、第1の電極層61上に、円形を取り囲む模様に沿うように絶縁層63(例えば、ポリイミド樹脂層)を形成する。次に、図4(f)に示すように、絶縁層63及び発光領域2a上に、アルミニウム等の蒸着によって第2の電極層62を形成する。このとき、第2の電極層62の一端部分が、素子基板4上の取出し電極62aに繋がるように形成を行う。
【0024】
その後、図5(a)に示すように、第2の電極層62の一面に絶縁層8bを形成する。次に、図5(b)に示すように、絶縁層8b上に封止基板7を接着剤により接合し、これにより、本表示装置1が完成する。封止基板7の接合に用いる接着剤は、低温〜常温域において気密性に優れたのもが好適であり、例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂系接着剤や、紫外線硬化型のアクリル樹脂系接着材等を用いればよい。
【0025】
ここに、上記のような樹脂系接着剤は、酸素透過率及び水蒸気透過率が比較的高いため、封止基板7を設けた場合であっても、接着部分から水や空気等が通過して、発光層2の劣化を防止できない場合がある。この問題を解消する方法として、封止基板7をガラス融着により接合する方法がある。この場合、低融点なガラスフリットを用いるとよいが、それでもガラス融着には300度以上の加熱が必要となるため、封止基板7の融着部分と、熱に弱い発光層及び絶縁膜とをできるだけ離す必要がある。そこで、図5(c)に示すように、取出し電極61a、62aに融着しろとなる領域Tを設けて、その領域Tにてガラスフリットによる封止基板7の融着を行う。このとき、ガラスフリットにだけ加熱を行う必要があるので、レーザ照射加熱装置を用いるようにする。これに伴い、ガラスフリットは、光エネルギを効率よく吸収できるように、吸光体を含有したものを用いることが望ましい。また、加熱による封止基板7及び取出し電極61a、62a等の反りを防止する観点から、これら基板7、取出し電極61a、62aに用いる材料は、線膨張係数が近いことが望ましい。
【0026】
上記のように構成された表示装置1の動作について説明する。電源部E1のスイッチをオンし、電源部E1から陽極5及び第1の電極層61に電力が供給されると、発光層2の発光領域2bが発光し、円形を取り囲む模様の光パターンが表示される。一方、電源部E2のスイッチをオンし、電源部E2から陽極5及び第2の電極層62に電力が供給されると、発光層2の発光領域2aが発光し、円形の模様の光パターンが表示される。ここに、電源部E1、E2による電力供給を適宜制御すれば、発光領域2a、2bをそれぞれ、点灯、点滅又は消灯の各状態に切り替えることが可能となり、これにより発光パターンも種々に変化することになる。
【0027】
このように本実施形態に係る表示装置1によれば、第1の電極層61が発光層2の外縁に臨んでいる領域2bを覆い、第2の電極層62が発光層2の外縁に臨んでいない領域2aを覆っていて、これらの電極層61、62が互いに絶縁された構造となっているので、発光層2への給電を領域2a、2b毎に別系統として、それぞれの領域2a、2bの発光を独立して制御できるようになる。従って、発光層2を領域毎に所望の色合いに形成しておくことで、マトリクス型の表示装置のような微細なセグメント構造を用いることなく、簡素な構造にて、複数色の発光を個別に制御でき、誘目性の高い光パターンを表示することが可能となる。また、カラーフィルタを用いずに光を配色できるので、高輝度な光パターンを表示することができる。また、1つの発光素子内で発光層2を必要な領域に分割するだけでよいので、マトリクス型の表示装置のように、発光層2を形成する際に蒸着マスクの位置合わせに高度な精度を必要とせず、製造を容易に行うことができる。
【0028】
また、第1の電極層61上に絶縁層63を形成し、その後、この絶縁層63上に第2の電極層62を発光層2の全域に亘って形成することにより、電極層61、62間の絶縁を取りつつ、第2の電極層62の電極取出しをも行えるようになるので、発光層2の各領域2a、2bへの給電を別系統にすることが容易となる。また、第1及び第2の電極層61、62と取出し電極61a、62aとを互いに短絡することなく容易に接続でき、また、取出し電極61a、62aと外部の電源E1、E2との接続も行い易くなる。
【0029】
上記実施形態の変形例について図6を参照して説明する。図6に示す本変形例の表示装置1において、第2の電極層62は発光層2外縁から後方に導出されていて、素子基板4上の後方部にある取出し電極62aと電気接続されている。なお、ここでは、第1及び第2の電極層62の各導出部は、それぞれの層外縁から一部だけが延出した形状となっている。このような変形例の表示装置1についても、上記実施形態と同様、第1及び第2の電極層61、62と取出し電極との接続、また取出し電極と外部電源との接続を簡単に行える。
【0030】
上記実施形態の他の変形例について図7乃至図9を参照して説明する。これらの図に示す本変形例の表示装置1は、陽極を2層構造としたものであり、素子基板4上に形成した電極層51(陽極)と、電極層51上に形成した発光領域2a及び絶縁層52と、絶縁層52上に形成した電極層53(陽極)と、電極層53上に形成した発光領域2bと、発光領域2b上に形成した陰極6とを備える。電極層51は、素子基板4一面に被覆形成されていて、発光層2の外縁から右側方に導出されて取出し電極51aとなっている。絶縁層52は、電極層51上に、発光領域2aの円形を取り囲む模様に被覆形成されていて、電極層51、53間を絶縁する。電極層53は、絶縁層52上に、円形を取り囲む模様に沿って被覆形成されていて、発光層2の外縁から左側方に導出されて取出し電極53aと電気接続される。陰極6は、発光領域2b上に円形中空部を含む全域に亘って被覆形成されていて、これによって発光領域2aを覆っている。陰極6は、発光層2の外縁から前方に導出されて取出し電極6aと電気接続される。取出し電極53a及び6aは電源E1と接続され、取出し電極51a及び6aは電源E2と接続される。
【0031】
このような変形例の表示装置1によれば、電源部E1から電極層53及び陰極6に電力が供給されると、発光領域2bが発光し、円形を取り囲む模様の光パターンが表示される。一方、電源部E2から電極層51及び陰極6に電力が供給されると、発光領域2aが発光し、円形の模様の光パターンが表示される。従って、電源部E1、E2による電力供給を適宜制御すれば、発光領域2a、2bの点灯状態に変えることが可能となるので、上記の実施形態と同様、複数色の発光を個別に制御でき、誘目性の高い光パターンを表示することが可能となる。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る表示装置について図10乃至図12を参照して説明する。図10及び図11は本実施形態に係る表示装置1の構成を示す。表示装置1は、非常口を案内する誘導灯として用いられるものであり、人型の模様に発光する発光パネル10を備える。また、表示装置1は、発光パネル10に電力を供給する電源回路11と、発光パネル10と電源回路11を電気接続する電気接続部材12と、発光パネル10の点灯状態を制御する制御回路13と、停電時等に補助電源として機能する電池14と、電源回路11、制御回路13及び電池14等を収容する筐体15とを備える。
【0033】
発光パネル10は、人型の模様(斜線部)を緑色にて発光し、この人型を取り囲む模様(クロスハッチ部)を白色にて発光するように構成されている。発光パネル10は、筐体15の開口に取り付けられており、外形サイズが150mm×150mm、厚みが1mm程度である。発光パネル10のその他の構成については後述する。
【0034】
電源回路11は、直流電力源からの直流電圧を、発光パネル10を駆動するために必要な電圧に変換する機能を有しており、有機基板上にDC/DC変換器等を実装してなる。この有機基板には、例えば、寸法が80mm×80mmのFR−4基板を用いる。
【0035】
電気接続部材12は、電源回路11に接続するコネクタを実装したフレキシブル配線板より構成され、配線板上に、発光パネル10の背面に配された給電用の取出し電極と導通される複数の端子部12aを有している。電気接続部材12の端子部は、金めっき電極から成り、異方性導電フィルム(ACF)又は導電性ペースト(ACP)を用いて発光パネルの取出し電極と熱圧着される。上記のフレキシブル配線板には、ポリイミド又はLCP(Liquid Crystal Polymer)等のフィルムに銅箔を積層した配線板を用いることが望ましい。
【0036】
制御回路13は、所定の動作プログラムに基づき、発光パネル10の各模様の点灯を制御する機能を有しており、有機基板上に制御用のマイコン等を実装して成る。上記の動作プログラムとしては、例えば、非常時に人型の模様を点滅させるなどが考えられる。制御回路13は、上記構成に限られず、電源回路11と一体のモジュールとして構成されてもよい。
【0037】
電池14は、停電時に少なくとも30分間、発光パネル10を駆動できる容量を持つものが好ましく、例えば、寸法が30mm×50mm×10mm程度のLiイオン充電池を用いるとよい。
【0038】
筐体15は、外形サイズが150mm×150mm、高さが10mmの箱体であり、例えば、ポリエチレン(PS)、ポリエチレン(PE)等のプラスチック材料により形成される。筐体15は、その前面に発光パネル10の動作状態を表示するインジケータ15aを有している。
【0039】
図12は発光パネル10を構成する各部の具体的な構成を示す。発光パネル10は、発光層2と、発光層2に給電する陽極5及び陰極6と、発光層2、陽極5及び陰極6が設けられる素子基板4と、発光層2等を封止する封止基板7とを備える。発光層2は、人型の模様に形成された発光領域2aと、人型を取り囲む模様に形成された発光領域2bとを有している。発光領域2aは、人型の頭部分が発光層2の外縁に臨んでいない領域となっており、その他の部分が発光層2の外縁に臨んでいる領域となっている。発光領域2aは、緑色の有機物蛍光体で構成され、陽極5及び陰極6からの給電により緑色に発光する。発光領域2bは、発光層2の外縁に臨んでいる領域となっており、ここでは、白色の有機物蛍光体で構成され、給電により白色に発光する。発光層2の外形寸法は130mm×130mmとし、発光領域2a、2b間には、絶縁用の隙間を200μm幅で設けるようにする。
【0040】
陽極5は、発光層2の外縁から左右の両方向に導出されて、素子基板4上に、一対の取出し電極5aを形成している。陰極6は、第1及び第2の電極層61、62で構成され、第1の電極層61が、発光領域2b上に人型を取り囲む模様に沿って被覆形成され、第2の電極層62が、人型を取り囲む模様の絶縁層63一面に被覆形成されて発光領域2aを覆っている。第1の電極層61は、発光層2の外縁から前方に2箇所導出されて、取出し電極61a、61bとそれぞれ電気接続される。第2の電極層62は、発光層2の外縁から前方に1箇所、左右の両方向にそれぞれ2箇所づつ導出されて、素子基板4上の取出し電極61a〜62cとそれぞれ電気接続される。取出し電極5aは30mm×10mmの大きさとし、取出し電極62a、62bは49mm×5mmの大きさとし、各取出し電極5a及び62a、62b間は、1mm程度の隙間を設けるようにする。素子基板4は、無アルカリガラスから成る、外形サイズ150mm×150mm、厚み0.7mmの基板で構成される。
【0041】
上記のように構成された表示装置1において、陽極5及び第1の電極層61に電圧が印加されると、発光層2の発光領域2bが発光し、人型を取り囲む模様の光パターンが表示される。一方、陽極5及び第2の電極層62に電力が供給されると、発光層2の発光領域2aが発光し、人型の模様の光パターンが表示される。従って、上記の実施形態と同様、複数色の発光を個別に制御でき、誘目性の高い光パターンを表示することができ、非常時における誘導効果を優れたものにすることができる。
【0042】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記では発光層2の外縁に臨んでない領域が1つ領域だけで構成されたものを示したが、このような領域が2つ以上あって、これら各領域を別々の色で発光させる場合には、第1及び第2の電極層61、62に加えて、さらに別の電極層を設けることで、これら複数色の発光を個別制御することが可能となる。また、第2の電極層62は、絶縁層63上の一面に被覆形成する構成に限られず、発光層2の外縁に臨んでいない領域を被覆した上で、基板4上に導出することができればよく、例えば、発光層2外縁に臨んでいない領域から基板4上の取出し電極に向けて、所定の幅にて絶縁層63上に形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 表示装置
2 発光層
2a 発光領域(もう一方の領域)
2b 発光領域(一方の領域)
3 電極部
4 素子基板(基板)
5 陽極(透明電極)
6 陰極(対向電極)
61 第1の電極層
62 第2の電極層
63 絶縁層
61a、61b、62a〜62c 取出し電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層と、この発光層を挟持し該発光層に給電する電極部とを備え、前記発光層への給電を制御することにより所定の光パターンを表示する表示装置であって、
前記電極部は、透明な基板上に設けられる透明電極と、前記発光層を挟んで前記透明電極に対向する対向電極とを有し、
前記発光層は、前記透明電極上に複数の領域に分割して配置されるものであり、
前記対向電極は、前記発光層の外縁に臨んでいる一方の領域を被覆する第1の電極層と、前記発光層の外縁に臨んでいないもう一方の領域を被覆する第2の電極層とを積層して成り、これら第1及び第2の電極層の間に絶縁層を介在していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の電極層が、前記第2の電極層より、発光層に近い側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極層は、前記発光層の外縁から互いに異なった方向に導出されて、前記基板上に形成される取出し電極と電気接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−175779(P2011−175779A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37711(P2010−37711)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】