説明

表示装置

【課題】互いに間隔を空けて対向する二つのリング部どうしの間隔管理が容易な表示装置を提供する
【解決手段】
リング状の発光部13を形成する表示部材1と、この表示部材1上に設けられるリング部材2とを備えた表示装置において、リング部材2は底部211と第1の壁部212と第2の壁部213とを有する断面凹形状の透光部材21と、第1の壁部212に固定される遮光部材22とでなり、この遮光部材22に第1のリング部222を設け、この第1のリング部222に第1の反射部223を設け、第2の壁部213を第2のリング部として設け、少なくとも第1の反射部223と対向する第2の壁部213の部分領域に第2の反射部215を形成する遮光性の反射部材23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車やオートバイに搭載される表示装置に関し、特にリング形状の加飾部材を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。この表示装置は、指針に対応した指標部を有する文字板からなる表示部材(文字板30)と、この表示部材上に配置される第1のリング部(環状部材40)と、同じく表示部材上に配置され第1のリング部よりも経大な第2のリング部(フィニッシャ50)と、表示部材を通じて第2のリング部を照明する光源(発光ダイオード11)とを備えている。第1,第2のリング部間に位置する表示部材領域はリング状に発光する透光部(リング部材用透光部35)として形成され、第1のリング部は表示部材から離れるに従って表示部との距離が大きくなるように傾斜し透光部を前方から覆う反射面(リング部材反射面)を有している。そして透光部を透過した光は、第1のリング部の反射面で表示部材の面方向に沿って反射され、その反射光が第2のリング部の壁面を照らすことによりリング状に発光する光輝面を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−261664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の表示装置は、第1,第2のリング部が独立した専用部品からなるため、第1,第2のリング部どうしの間隔を一定に保つことが難しく、同心配置される第1,第2のリング部材の間隔が僅かでもずれると見栄えに大きく影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、互いに間隔を空けて対向する二つのリング部どうしの間隔管理が容易な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リング状の発光部を形成する表示部材と、この表示部材上に設けられ前記発光部からの光を前記表示部材の面方向に沿って反射する第1の反射部を有する第1のリング部と、この第1のリング部と同心関係となるよう前記表示部材上に設けられ前記第1の反射部からの反射光を受けて光輝する第2の反射部を有する第2のリング部とを有するリング部材とを備えた表示装置において、前記リング部材は前記発光部に沿う底部と当該底部を挟んで前方に突出する第1の壁部と第2の壁部とを有する断面凹形状の透光部材と、前記第1の壁部に固定される遮光部材とでなり、この遮光部材に前記底部の前方を覆うように前記第2の壁部側に延びる前記第1のリング部を設け、この第1のリング部の前記底部及び前記第2の壁部との対向面に前記第1の反射部を設け、前記第2の壁部を第2のリング部として設け、少なくとも前記第1の反射部と対向する前記第2の壁部の部分領域に前記第2の反射部を形成する遮光性の反射部材を設けたことを特徴とする。
このように構成したことにより、第1のリング部と第2のリング部とが透光性連結部となる底部によって連結されるため、互いに間隔を空けて対向する二つのリング部どうしの間隔管理を容易とし、見栄え品質を向上させることができる。
【0007】
また本発明は、前記遮光部材が前記第1の壁部をその壁面に沿って覆う遮光部を有することを特徴とする。
このように構成したことにより、第1の壁部を遮光するにあたり専用の遮光部材が不要となりコストダウンを達成することができる。
【0008】
また本発明は、前記反射部材が前記第2の壁部をその壁面に沿って覆う延長部を有することを特徴とする。
このように構成したことにより、第2の壁部を遮光するにあたり専用の遮光部材が不要となりコストダウンを達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに間隔を空けて対向する二つのリング部どうしの間隔管理が容易な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態の表示装置は、例えば車両の速度を表示するものであり、表示部材1とリング部材2とを備えている。
【0012】
表示部材1は、例えばTFT型液晶ディスプレイからなる画像表示装置を適用でき、背後に図示しないバックライトを備えると共に図示しない制御手段の制御のもと、車速に応じて回転する指針11と、この指針11の指示対象となる目盛、数字からなる指標部12と、指標部12の外周をリング状に取り巻く発光部13とを画像表示する。なおこの場合、指針11と指標部12は、画像情報として利用者から直接視認されるが、発光部13は利用者から直接視認されない。
【0013】
リング部材2は、発光部13に沿うように表示部材1の画面上に直接または空間を有して配置されている。
【0014】
このリング部材2は、例えば透光性合成樹脂からなる透光部材21と、遮光性合成樹脂からなる遮光部材22と、遮光性の塗膜層からなる反射部材23とで構成されている。
【0015】
透光部材21は、例えばシルバー色であり、発光部13に沿ってリング状に延びる平面形状を有する底部211と、当該底部211を挟んで前方(利用者または観察者側となる矢印D1方向)に突出する平面形状がリング状の第1の壁部212及び第2の壁部213とを有しており、その半径方向の断面形状は凹形状となっており、これら第1,第2の壁部212,213は、第2の壁部が第1の壁部213よりも径大且つ指針11を基準として見たとき外側に位置して形成され、所定の間隔Sを有して表示部材1の面方向(両矢印D2方向)に対向する。
【0016】
遮光部材22は、第1の壁部212に固定されており、遮光部221と、第1のリング部222とを有している。
【0017】
遮光部221は、遮光部材22を第1の壁部212に固定する際の固定部となると共に第1の壁部212の内周及び外周側面(壁面)を覆い、発光部13から透光部材21に入射した光が外部に漏れるのを抑制している。なおこの遮光部221は、発光部13からの光が底部211を通過できるように底部211の対応箇所は覆わないように設けられている。
【0018】
第1のリング部222は、第1の壁部212の先端から底部211の前方を空間を空けて覆うように第2の壁部213側に延びている。この場合、第1のリング部222は、第2の壁部213に近づくに従って底部211から遠ざかるように傾斜した傾斜部として設けられており、その先端部は底部211上を越えて第2の壁部213と矢印D1方向においてラップしており、これにより、底部211が直接視認されないようになっている。
【0019】
この第1のリング部222の底部211及び第2の壁部213との対向面には、第1の反射部223が形成され、この第1の反射部223によって底部211を透過した発光部13からの光を面方向D2に沿って反射する。
【0020】
第2の壁部213は、この場合、第2のリング部として設けられており、第1の反射部223と対向する第2の壁部213の部分領域は、第1の反射部223から離れるに従って表示部材1から遠ざかる壁面214として形成され、この壁面214に遮光性の塗膜層からなる反射部材23を形成して第1の反射部223からの光を受けてリング状に発光する第2の反射部215を形成している。
【0021】
この場合、反射部材23は、遮光部材22と同色であり、壁面214から連続して第2の壁部213の内周及び外周を覆う延長部231を有している。またこの反射部材23は、発光部13からの光が底部211を通過できるように底部211の対応箇所は覆わないように設けられている。
【0022】
なお反射部材23は、塗膜層ではなく、合成樹脂等の成型品であってもよい。
【0023】
以上のように本実施形態では、リング状の発光部13を形成する表示部材1と、この表示部材1上に設けられ発光部13からの光を表示部材1の面方向D1に沿って反射する第1の反射部223を有する第1のリング部222と、この第1のリング部222と同心関係となるよう表示部材1上に設けられ第1の反射部223からの反射光を受けて光輝する第2の反射部215を有する第2のリング部(第2の壁部)213とを有するリング部材2とを備えた表示装置において、リング部材2は発光部13に沿う底部211と当該底部211を挟んで前方に突出する第1の壁部212と第2の壁部213とを有する断面凹形状の透光部材21と、第1の壁部212に固定される遮光部材22とでなり、この遮光部材22に底部211の前方を覆うように第2の壁部213側に延びる第1のリング部222を設け、この第1のリング部222の底部211及び第2の壁部213との対向面に第1の反射部223を設け、第2の壁部213を第2のリング部として設け、少なくとも第1の反射部223と対向する第2の壁部213の部分領域に第2の反射部215を形成する遮光性の反射部材23を設けたことにより、第1のリング部222と第2のリング部213とが透光性連結部となる底部211によって連結されるため、互いに間隔Sを空けて対向する二つのリング部222,213どうしの間隔管理を容易とし、見栄え品質を向上させることができる。
【0024】
また本実施形態は、遮光部材22が第1の壁部212をその壁面に沿って覆う遮光部221を有することにより、第1の壁部212を遮光するにあたり専用の遮光部材が不要となりコストダウンを達成することができる。
【0025】
また本実施形態は、反射部材23が第2の壁部213をその壁面に沿って覆う延長部231を有することにより、第2の壁部213を遮光するにあたり専用の遮光部材が不要となりコストダウンを達成することができる。
【0026】
なお前記実施形態では、表示部材1として画像表示装置を用いたが、周知な印刷パネルを用いてもよい。
【0027】
また透光部材21や遮光部材22は、他の部材、例えば表示部材1の周囲を覆う見返し板や加飾部材と兼用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 表示部材
2 リング部材
11 指針
12 指標部
13 発光部
21 透光部材
22 遮光部材
23 反射部材
211 底部
212 第1の壁部
213 第2の壁部(第2のリング部)
214 壁面
215 第2の反射部
221 遮光部
222 第1のリング部
233 第1の反射部
D1 矢印
D2 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の発光部を形成する表示部材と、この表示部材上に設けられ前記発光部からの光を前記表示部材の面方向に沿って反射する第1の反射部を有する第1のリング部と、この第1のリング部と同心関係となるよう前記表示部材上に設けられ前記第1の反射部からの反射光を受けて光輝する第2の反射部を有する第2のリング部とを有するリング部材とを備えた表示装置において、前記リング部材は前記発光部に沿う底部と当該底部を挟んで前方に突出する第1の壁部と第2の壁部とを有する断面凹形状の透光部材と、前記第1の壁部に固定される遮光部材とでなり、この遮光部材に前記底部の前方を覆うように前記第2の壁部側に延びる前記第1のリング部を設け、この第1のリング部の前記底部及び前記第2の壁部との対向面に前記第1の反射部を設け、前記第2の壁部を第2のリング部として設け、少なくとも前記第1の反射部と対向する前記第2の壁部の部分領域に前記第2の反射部を形成する遮光性の反射部材を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記遮光部材が前記第1の壁部をその壁面に沿って覆う遮光部を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射部材が前記第2の壁部をその壁面に沿って覆う延長部を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−22048(P2011−22048A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168370(P2009−168370)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】