説明

表示装置

【課題】表示パネルの表面に保護板を設けたときであっても、複雑な構造を有することなく、かつ表示品位の低下を起こすことなく、表示パネル及び保護板の各表面で反射した反射光を低減させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネルと、該表示パネルと対向して配置された保護板とを備える表示装置であって、上記保護板は、保護基材と第一の偏光板とを備え、上記表示パネルは、第一の偏光板と偏光軸が平行である第二の偏光板を備え、上記第一の偏光板と第二の偏光板との間を透過する光は、直線偏光である表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。より詳しくは、表示パネルに対し表示パネルを保護するための保護板が備え付けられた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラウン管(CRT)表示パネル、液晶表示(LCD)パネル、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネル等の表示パネルの表面には、傷つき防止機能、汚れ防止機能等の様々な機能が要求される。また、例えば、液晶表示パネルであれば、外部からの衝撃を受けたときに液晶の配向欠陥が生じることがある。そのため、表示パネルの表面には、傷つき防止、汚れ防止、外部衝撃からの保護等を目的として、保護板が設けられる場合がある。
【0003】
ところが、このような保護板を表示パネルの表面に設けた場合には、液晶表示パネルの表面だけでなく、保護板の表面においても光の反射が起こり、明るい室内又は屋外では表示が見えにくくなることがある。特に、保護板にタッチパネル等の機能を付加するために構造が複雑となるような場合には、保護板の構造に基づく光の反射量が増える傾向にある。これに対しては、保護板に対して円偏光板の構成を設けることで、保護板からの光の反射を低減させる手段が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。円偏光板によって反射光を低減する原理は以下のとおりである。
【0004】
図8は、保護板に対して円偏光板の構成を設けたときの従来の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。図8に示すように、保護板の構造に基づく光の反射を低減する手段としては、例えば、液晶パネルの表面に円偏光板付きタッチパネル101を備え付けた液晶表示装置を用いることが挙げられる。図8において円偏光板付きタッチパネル101は、液晶パネル102の上面に配置されている。液晶パネル102は、下偏光板133、下側基板122、液晶層151、上側基板121及び上偏光板132を、観察面に向かってこの順に積層して有している。円偏光板付きタッチパネル101は、液晶パネル102の観察面側に配置されており、タッチパネル111、λ/4板181及び偏光板131を観察面に向かってこの順に積層して有している。偏光板131に対しλ/4板181を重ね合わせることで、偏光板131及びλ/4板181を透過した光は、円偏光へと変換されることになる。このように偏光板131及びλ/4板181を重ね合わせた構造を一般的に円偏光板191ともいう。
【0005】
円偏光板付きタッチパネル101に入射した外光(自然光)は、まず偏光板131を透過してある一方向に振動をもつ直線偏光へと変換され、次にλ/4板181を透過することで、ある一方向に回転する円偏光へと変換される(このときの円偏光の回転を、進行方向と対峙する方向から見たときに左回りと仮定する。)。この円偏光はタッチパネル111内を進む間に、ある成分はタッチパネル111内で反射して入射方向(外界側)に向かって逆行し、異なるある成分は、液晶パネル102の表面で反射して入射方向(外界側)に向かって逆行することになる。このようにして反射された円偏光は、回転方向は維持されつつ進行方向が逆転するので、進行方向と対峙する方向から見たときには右回りの円偏光となる。そして、右回りの円偏光が再度λ/4板を透過し、直線偏光へと再変換されることによって、出射時の直線偏光の振動方向は、入射時の直線偏光の振動方向に対して直交する方向に変わる。偏光板は、ある一方向(ここでは入射時の直線偏光の振動方向)に振動をもつ光しか透過させないので、タッチパネル111内又は液晶パネル102の表面で反射した光は、偏光板131によって遮断され、外界には出射されず、反射光として認識されない。
【0006】
このように円偏光板191の構成によって反射光を低減することは可能であるものの、上述の構成のみでは、液晶パネル102を透過してきた光に対しては好ましくない。これは、液晶パネル102を透過してきた光が、液晶パネル102を透過後、一度しかλ/4板181を透過しないためであり、λ/4板181を透過した後、偏光板131を透過することによって、透過光が大きく削減されてしまい、表示を行う上で重要な透過率が落ちてしまうためである。そこで、従来の液晶表示装置では、液晶パネル102と円偏光板付きタッチパネル101との間に、円偏光板付きタッチパネル101が有するλ/4板181の光学軸と直交する方向に光学軸を有するλ/4板182を液晶表示装置内に設けており、これによって透過光の位相差を調節し、円偏光板付きタッチパネル101が有する偏光板131に対し、大きく透過率を落とすことなく、液晶パネル102を透過してきた光を外界に出射させることが可能となる。なお、この原理は、有機EL表示パネルに対しても利用されている(例えば、特許文献4参照。)
【特許文献1】特開平10−48625号公報
【特許文献2】特開2002−72214号公報
【特許文献3】特開2002−148592号公報
【特許文献4】特開2002−311239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このように保護板に円偏光板の機能を付加するためには、λ/4板を新たに作製する必要があり、それによって一定の反射防止効果は得られるものの、λ/4板を設けることによって、表示パネルの表示面に対して斜め方向から見たときに視界が悪くなる、又は、表示に特定の色付きが生じる等の課題が生じることがあった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、表示パネルの表面に保護板を設けたときであっても、複雑な構造を有することなく、かつ表示品位の低下を起こすことなく、表示パネル及び保護板の各表面で反射した反射光を低減させることが可能な表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、表示パネルの表面に保護板を設けたときであっても、複雑な構造を有することなく、かつ表示品位の低下を起こすことなく、表示パネル及び保護板の各界面で反射した反射光を低減する手段について種々検討したところ、表示パネル及び保護板の構成に着目した。そして、従来の構造によれば、円偏光板の構造に基づく反射防止効果は得ることができるものの、λ/4板を新たに作製する必要があり、特にλ/4板は光学軸(延伸軸)を偏光板の偏光軸と45°ねじった方向に貼り合わせる必要があるため、枝葉状の貼り合わせとなり生産効率が悪く、更に、λ/4板を作製する上で、誤差なく波長λの1/4分の位相差を得る、又は、誤差なく延伸軸方向を規定し、所望の方向に光学軸を得ることは実際には難しいことを見いだした。
【0010】
また、本発明者は、λ/4板が複数配置される場合には特に、各λ/4板の光学設計がずれている、又は、各λ/4板の延伸軸方向がずれていることによって、正確な位相差の打ち消し合いができなくなる、また、λ/4板がねじれて配置されるため、λ/4板に対して正面方向から見たときは90°であるが、斜め方向から見たときの見かけ上の角度は90°よりも小さくなるため、表示に色付きが発生する、又は、表示面を斜めから見たときに表示が暗くなる等、表示品位の低下を招く場合があることを見いだした。
【0011】
これに対し本発明者は、鋭意検討を行い、保護板に対して円偏光板を設けるのではなく、通常の偏光板のみを設け、表示パネルと保護板との間を通り抜ける光を円偏光ではなく直線偏光とすることで、λ/4板を設けることなく、表示パネル及び保護板の表面での反射光を低減させることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、表示パネルと、該表示パネルと対向して配置された保護板とを備える表示装置であって、上記保護板は、保護基材と第一の偏光板とを備え、上記表示パネルは、第一の偏光板と偏光軸が平行である第二の偏光板を備え、上記第一の偏光板と第二の偏光板との間を透過する光は、直線偏光である表示装置である。以下に本発明について詳述する。
【0013】
本発明の表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルと対向して配置された保護板とを備える表示装置であって、上記保護板は、保護基材と第一の偏光板とを備える。上記表示パネルとしては、ブラウン管(CRT)表示パネル、液晶表示(LCD)パネル、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネル等、特に限定されないが、本発明の表示パネルは偏光板を有するため、通常、偏光板を備えるLCDパネル、又は、表示装置内での反射防止のための円偏光板が内部に配置されたEL表示パネルが好ましい。本発明の表示装置は、保護板を有しているため、例えば、ゲーム機、携帯電話、車載用のインストルメントパネル(計器盤)、ノート型のパーソナルコンピュータに好適に用いられる。上記表示パネルと保護板との間にはその他の構造物があってもなくてもよいが、熱による保護板のたわみ、表示パネルに対する外部からの衝撃の緩和、及び、リワークのしやすさの観点からは、上記表示パネルと保護板とは、直接接していない、すなわち、表示パネルと保護板との間には、空気層(スペース)が設けられていることが好ましい。保護板は、保護基材と保護基材上に配置された偏光板とで構成され、保護基材が主に保護板としての機能を有する。保護基材の材料としては特に限定されないが、透明性を有することが好ましく、常温で剛直性を有するものであることが好ましい。
【0014】
上記表示パネルは、第一の偏光板と偏光軸が平行である第二の偏光板を備え、上記第一の偏光板と第二の偏光板との間を透過する光は、直線偏光である。本発明において「直線偏光」とは、光の進行方向と対峙する方向から見たときに、実質的に一直線上を振動する偏光をいい、実質的に一直線状である限り、光の進行方向と対峙する方向から見たときに楕円偏光を形成するものであってもよい。また、「第一の偏光板と偏光軸が平行である第二の偏光板」は、第一の偏光板と第二の偏光板とを重ね合わせたときに、第一の偏光板の偏光軸と第二の偏光板の偏光軸とが実質的に互いに平行である限り、これらは多少の軸方向のずれを含んでいてもよい。具体的には、上記直線偏光を、当該直線偏光の軸と平行な軸をもつ第一及び第二の偏光板を透過させたときに、80%以上の透過率を有するものが好ましい。また、第一の偏光板と第二の偏光板との間を透過する光を直線偏光とするためには、第一の偏光板と第二の偏光板との間には、これらの間に光の偏光状態を変換させるものを配置しないことが好ましく、具体的には、表示パネル面に対して垂直の方向から見たときの位相差が、可視光中心波長である550nmに対してその約1/4である100〜175nmの範囲である位相差構造物を、第一の偏光板と第二の偏光板との間に配置しないことが好ましい。
【0015】
本発明の構成によって保護板及び表示パネルの表面で反射する光を低減させる原理を以下に示す。表示パネルに対し保護板が対向するように配置されたとき、外界から入射してきた光は、保護板の表面、表示パネルの表面等、屈折率の異なる界面を通り抜ける際に、一定の成分が反射する。本発明では保護板に対し偏光板を備え付けており、これにより、外界から入射してきた光は、まず、偏光板を透過する際に約半分に削減されることになる。そして、保護板の表面、表示パネルの表面、更には、表示パネルの内部で反射した光は、入射方向(外界側)に向かって逆行し、再度偏光板を通り抜ける。このようにして反射する光は、実際には少しの位相差をもち、ほぼ直線偏光に近い楕円偏光となるので、二度目に偏光板を通り抜ける際においても少量が削減される。これによって、外界から入射し、保護板の表面及び表示パネルの表面で反射した反射光の成分は、全体として大幅に削減される。
【0016】
また、本発明においては、保護板が備える偏光板(第一の偏光板)と表示パネルが備える偏光板(第二の偏光板)とでは偏光軸が平行であるため、これらの偏光板を通り抜ける光に対してほとんど位相差が付与されないので、一方の偏光板を通り抜けた光は、もう一方の偏光板をそのまま通り抜けることができる。これにより、保護板と表示パネルとの間に偏光板を配置したとしても、表示に用いられる光の透過率が低下することを回避することができる。
【0017】
更に、本発明の構成によれば、表示パネル内で反射した光を低減させることもできる。保護板の表面及び表示パネルの表面で反射されなかった入射光は、表示パネル内で反射されることがある。これは、表示装置を駆動するために、電極、配線等の導電部材が表示パネル内に設けられるためであり、これら導電部材は、通常、反射性を有する金属膜が用いられるためである。本発明の構成によれば、表示パネル内で反射した光もまた、第一及び第二の偏光板を通り抜けて出射されることになるので、これらの偏光板を通る際に少量が削減されることになる。
【0018】
本発明の表示装置の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素を含んでいても含んでいなくてもよく、特に限定されるものではない。例えば、互いに第一及び第二の偏光板が対向する面ではなく、逆側の面に、偏光板を透過する光に対し更に光学的特性を付与するための、位相差フィルム等の光学シートが配置されていてもよい。また、非自発光型の表示装置である場合には、バックライト等の光源を別個設けてもよい。
【0019】
本発明の表示装置における好ましい形態について以下に詳しく説明する。
【0020】
上記第一の偏光板は、保護基材よりも表示パネル側に配置されていることが好ましい。これにより、第一の偏光板に傷がつく、又は、汚れが付着することを防ぐことができ、偏光板としての機能をより長く維持させることができる。
【0021】
上記保護板は、表示パネル側の表面に第一の反射防止層を備えることが好ましい。このように保護板の両面のうち表示装置内部側の表面に第一の反射防止層を形成することにより、保護板を出射する際に反射する光の成分を低減することができる。また、この形態によれば、保護板と表示パネルとの間に反射防止層が配置されることになるので、反射防止層もまた保護板によって保護することができる。
【0022】
上記表示パネルは、保護板側の表面に第二の反射防止層を備えることが好ましい。このように表示パネルの保護板側の表面に第二の反射防止層を形成することにより、表示パネルに入射する際に反射する光の成分を低減することができる。また、この形態によれば、保護板と表示パネルとの間に反射防止層が配置されることになるので、反射防止層もまた保護板によって保護することができる。
【0023】
上記保護板は、外界側の表面に第三の反射防止層を備えることが好ましい。このように保護板の両面のうち外界側の表面に第三の反射防止層を形成することにより、表示装置への入射時における反射光成分を低減することができる。
【0024】
このように保護板又は表示パネルの表面に反射防止層が形成されることで、保護板の表面又は表示パネルの表面で反射する光を低減させることができる。本発明のように保護板を設ける場合には、保護板又は表示パネルの表面において反射光が発生しやすいため、本発明においてこの形態は、特に好適である。また、本発明は、円偏光板を用いて反射防止を行う場合のように、光を一度円偏光とし偏光軸の向きを変えることによって光を遮断することで反射防止の効果を得るものではなく、偏光軸を変えずに偏光板を透過する光の絶対量を減退することによって反射防止の効果を得るものであるため、同様に反射光の絶対量を減少させる反射防止層を設けることで、そのまま追加的に反射防止の効果を得ることが可能となり、反射防止として得られる効果が大きい。なお、これら第一、第二及び第三の反射防止層を形成する形態は、互いに組み合わせることで更なる効果を生むものであり、各形態がもつ反射防止効果をそのまま重ね合わせて得ることができる。
【0025】
上記表示パネルは、保護板に向かって、第三の偏光板、第一の基板、液晶層、第二の基板、及び、上記第二の偏光板をこの順に備えることが好ましい。すなわち、上記表示パネルは、液晶表示パネルであることが好ましく、本発明の表示装置は、液晶表示装置であることが好ましい。液晶表示装置は、通常、液晶層を挟持して配置される一対の偏光板を有するため、このうちの一方の偏光板を本発明の第二の偏光板として利用することで、通常の液晶表示装置に対して透過光を大きく低減させることなく、反射光だけを効果的に低減することができる。また、液晶表示パネルに対しては、通常、第一及び/又は第二の基板に液晶層に電圧を印加するための多くの電極及び配線が設けられるが、このような電極及び配線は、光を反射する材料で構成されているものが多い。これに対し、本発明では、液晶表示パネル内で反射した光に対しても反射防止効果を得ることができるため、反射防止特性に優れた液晶表示装置が得られることになる。
【0026】
上記表示パネルは、保護板に向かって、第一の電極、有機エレクトロルミネッセンス層、第二の電極、λ/4板、及び、上記第二の偏光板をこの順に備えることが好ましい。すなわち、上記表示パネルは、円偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンスパネルであることが好ましく、本発明の表示装置は、円偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であることが好ましい。有機EL表示装置は、有機EL層から出射される自発光を利用して表示に用いるタイプの表示装置であるが、表示のタイプにはボトムエミッションタイプとトップエミッションタイプとがあり、通常、有機EL層の一方の面には透光性の電極が配置され、もう一方の面には不透性(反射性)の電極が配置され、表示光は有機EL層の片側の面から出射されることになる。そうすると、外界から入射してきた光は、少なくとも不透性(反射性)の電極によって反射されることになり、反射成分が多く存在してしまう。そこで、有機EL表示装置においては、第二の電極に対して更に表示面側に、λ/4板及び偏光板の積層構造体(円偏光板)を配置することで反射光を低減させることが好ましい。円偏光板による反射防止の原理は、上述の円偏光板を用いた液晶表示装置の反射防止の原理と同様である。このように配置される偏光板を本発明で用いる偏光板の一つとして利用することで、有機ELパネルが保護板を有する場合であっても、保護板の表面及び表示パネルの表面で反射する光の量を低減させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の表示装置によれば、表示パネルの表面に保護板を設けたときであっても、複雑な構造を有することなく、かつ表示品位の低下を起こすことなく、表示パネル及び保護板の各表面で反射した光、並びに、表示パネル内で反射した光を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の表示装置の構成を示す断面模式図である。実施形態1の表示装置は、表示パネル2と、表示パネル2と対向して配置された保護板1とを備え、表示パネル2及び保護板1は、表示面側(観察面側)に向かってこの順に配置されている。保護板1を表示パネル2の表示面側に設けることで、表示パネル2に対する傷つき及び汚れの付着を防止し、かつ外部からの衝撃から表示パネル2を保護することができる。保護板1は、保護基材11と第一の偏光板31とを含んで構成され、保護基材11が主に保護板1としての機能を有する。保護基材11の材料としては特に限定されないが、透明性を有することが好ましく、常温で剛直性を有することが好ましい。そのような材料としては、例えば、ガラス、透明性をもつ硬化性樹脂等が挙げられる。保護板1の形状としては、表面が平坦なもの、表面が湾曲しているもの等、特に限定されず、デザインに応じて適宜設計することができる。保護板1は、表示パネル2のうち、特に表示画面を構成する領域(表示領域)全体を覆っていることが好ましい。なお、保護板1が備える第一の偏光板31は、保護基材11よりも表示パネル2側に配置されていることが耐性上好ましいが、保護基材11よりも外界側に配置されてもよい。すなわち、本実施形態において保護板は、保護基材及び第一の偏光板が表示面側(観察面側)に向かってこの順に配置されている形態であってもよい。
【0030】
第一の偏光板31は、光源から出射された自然光をある一定の方向(偏光軸方向)に振動する偏光に変換することができる偏光子を含んで構成されている。偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA:Poly Vinyl Alcohol)系のフィルムにヨウ素錯体又は二色性色素を吸着させたものを用いることができ、ある一方向にフィルムを延伸することによって作製される。ただし、PVA系フィルムは、親水性ポリマーを使用していることから、特に加湿条件下において非常に変形及び収縮が起こりやすく、フィルム自体の機械的強度が弱いため、偏光子の両面又は片面上には、偏光子を保護する保護フィルムとして機能するTAC(Tri Acetyl Cellulose:トリアセチルセルロース)フィルム等の基材が貼り合わされている。TACフィルムは消偏性(偏光を崩す性質)が小さく、透光性及び耐久性に優れているため、特に偏光子を保護する保護フィルムとして優れている。このように第一の偏光板31は、偏光子と、偏光子を挟持する一対の保護フィルムとで構成されており、これにより、偏光板の強度を補うとともに、偏光子の信頼性を確保することができる。
【0031】
実施形態1においては、表示パネル2として液晶表示(LCD)パネルを用いている。より具体的に表示パネル2は、保護板1に向かって、背面側偏光板(第三の偏光板)33、第二の基板22、液晶層51、第一の基板21、及び、観察面側偏光板(第二の偏光板)32をこの順に備えている。
【0032】
表示パネル2は、第二の基板22の背面側及び第一の基板21の観察面側に、それぞれ偏光板を備えている。第一の基板21の観察面側に配置された観察面側偏光板(第二の偏光板)32、及び、第二の基板22の背面側に配置された背面側偏光板(第三の偏光板)33は、上記第一の偏光板31と同様の材料及び構成を有するものを用いることができる。観察面側偏光板32が有する偏光軸と、背面側偏光板33が有する偏光軸とは、平行であっても直交していてもいずれであってもよく、液晶の配向モード、あるいは、液晶層51に電圧が印加されていないときに表示を白表示とするか(ノーマリホワイトモード)又は黒表示とするか(ノーマリブラックモード)によって、適宜選択することができる。
【0033】
一方で、保護板1が備える偏光板(第一の偏光板)31の偏光軸の軸方向と、表示パネル2が備える観察面側偏光板(第二の偏光板)32の偏光軸の軸方向とは、一致している必要があり、これらの偏光軸は互いに平行の関係にある。実施形態1においては、第一の偏光板31と第二の偏光板32との間に、液晶層、λ/4板等の、透過光の位相差を乱す層が形成されていないので、こうすることで、第一の偏光板31と第二の偏光板32との間を透過する光を直線偏光とすることができ、第二の偏光板32を透過した光をそのまま第一の偏光板31に透過させることができるので、透過率を大きく落とすことなく、表示を行うための光を透過させることができる。
【0034】
保護板1の表示パネル2側の表面には第一の反射防止層41が形成されており、表示パネル2の保護板1側の表面には第二の反射防止層42が形成されている。これにより、保護板1及び表示パネル2の表面で光が反射することを防止することができる。反射防止層41,42の種類としては、保護基材11の表面で反射した光と反射防止層41又は42の表面で反射した光とを互いに干渉させて打ち消すことにより反射率を低減させるLR(Low Reflection)フィルム、反射防止層41又は42の表面に、隣接する頂点間の幅が可視光波長(380nm)以下の凹凸パターンを有し、外界(空気)と保護板1表面との境界における屈折率の変化を擬似的に連続なものとし、屈折率界面に関係なく光のほぼ全てを透過させるモスアイ(Moth-eye:蛾の目)フィルム等が挙げられる。LRフィルムによれば、1〜3%の低反射率、モスアイフィルムによれば、0.5%以下の低反射率を得ることができる。なお、保護板1の外界側の表面に反射防止層を設けることも考えられるが(下記実施形態4)、反射防止層は一般的に強度に欠けるため、反射防止層は、保護板1と表示パネル2との間に配置されることで、保護板1によって保護されつつ反射防止効果を持続的に得ることができる。
【0035】
保護板1と表示パネル2とは直接接しておらず、保護板1と表示パネル2との間には、一定のスペース(空気層)4が設けられている。このように一定のスペースを設けることで、熱等により保護板がたわんだとしても設計に与える影響は少なく、また、保護板1が外部から衝撃を受けたときに、表示パネル2に対して直接衝撃が加わることを低減することができる。更に、リワークの必要が生じたときであっても容易にリワークを行うことができる。ただし、このように一定の空白スペースを設けることで、保護板1と空気層4との間、及び、表示パネル2と空気層4との間にそれぞれ屈折率の異なる境界面が現れることになり、この境界面で反射が起こりやすくなる。しかしながら本発明の構成によれば、このように一定のスペースが設けられる場合であっても、その境界面において生じる反射光の量を低減するための工夫がなされているので、表示品位が低下することが抑制される。なお、保護板1と表示パネル2との間の距離(空気層4の幅)は、具体的に3〜5mmである。
【0036】
以下、第二の基板22をアクティブマトリクス基板、第一の基板21をカラーフィルタ基板として用いた場合について説明する。アクティブマトリクス基板(第二の基板)22は、ガラス等を材料とする支持基板、及び、その支持基板上に形成された各種配線、電極等を備える基板である。支持基板上には、例えば、相互に平行に伸びる複数のゲート信号線及び補助容量(Cs)配線と、ゲート信号線及び補助容量配線と交差し、かつ相互に平行に伸びる複数のソース信号線と、ゲート信号線とソース信号線との各交差部に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)とが配置される。TFTは、三端子型の電界効果トランジスタであり、半導体層のほかに、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3つの電極を有する。TFTは、後述する画素の駆動制御を行うスイッチング素子となる。
【0037】
これら各種配線及びTFTが有する電極の材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化モリブデン(MoN)等の、低抵抗かつ高融点を有する金属を用いることが、導電性及び信頼性の観点から好ましい。アクティブマトリクス基板は更に、これら各種配線及びTFT上に形成された絶縁膜上に複数の画素電極を備える。画素電極は、各々が小さな画素を構成し、各画素電極は、それぞれが一定の間隔を空けてマトリクス状に配置される。画素電極は、絶縁膜内に設けられたコンタクトホールを介してTFTのドレイン電極と接続されており、各種配線は、TFTのドレイン電極を介して画素電極と接続されている。これによって、TFTのスイッチング機能により画素のON又はOFFが駆動制御される。画素電極は、透光性を有していることが好ましく、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム酸化スズ)、IZO(Indium Zinc Oxide;インジウム酸化亜鉛)等の金属酸化膜が好適に用いられる。
【0038】
カラーフィルタ基板(第二の基板)21は、ガラス等を材料とする支持基板、及び、その支持基板上に形成された対向電極、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等を備える基板である。対向電極は、画素電極とともに液晶層を狭持するように配置されることで液晶層内に一定電圧を印加することが可能となった電極であり、支持基板上に一面に形成される。対抗電極の材料としては、画素電極と同様のものが用いられる。カラーフィルタは、各々が、例えば、赤、緑及び青の三原色をもつサブピクセルで構成され、1つの画素に1つのカラーフィルタが対応するように設計される。これにより、画素ごとにカラー表示が制御されることになり、良好なカラー表示を得ることができる。また、ブラックマトリクスは、例えば、黒色の樹脂を用いて形成されるものであり、各カラーフィルタ同士の隙間に配置されることで、光漏れが生じることを防ぐことができる。
【0039】
液晶層51には、一定電圧が印加されることで特定の方向に配向する特性をもつ液晶材料が充填されている。液晶層51内の液晶分子は、一定以上の電圧の印加によってその配向性が制御されるものであり、その制御モードは、ツイステッド・ネマチック(TN:Twisted Nematic)モード、垂直配向(VA:Vertical Alignment)モード、面内スイッチング(IPS:In-Plane Switching)モード等、特に限定されない。
【0040】
実施形態1の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図1を用いて説明する。
【0041】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、保護基材11がガラスで形成されている場合には、4.0%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は4.0%となる。
【0042】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第一の偏光板31を透過することになる。第一の偏光板31は、自然光に対して特定の方向に振動方向をもつ成分だけを透過させるため、第一の偏光板31を透過することで、反射光R1として反射しなかった残りの光は、第一の偏光板31の偏光軸と同じ方向に振動方向をもつ直線偏光以外、遮断されることになる。具体的に、第一の偏光板の透過率は42%程度であるので、反射光R1が差し引かれた残りの96%の光は、96×0.42≒40%が更に表示装置の内部側に進行することになる。
【0043】
次に、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した光は、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。ここでの反射率は、第一の反射防止層41がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光40%に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は40×0.014≒0.56%となる。続いて、反射光R2を追ってみると、反射光R2は、再度第一の偏光板31を透過する。このとき、反射光R2の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際には、表示面に対して斜めから入射した光が反射する際等には、少しの位相差が付与されて楕円偏光を形成することがある。このとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R2の強度は、0.56×0.86≒0.48%となる。
【0044】
次に、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した光は、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。ここでの反射率は、第二の反射防止層42がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光40−0.56≒39%に対して1.4%の反射率となるので、表示パネル2の保護板1側の表面における反射光R3の強度は39×0.014≒0.55%となる。続いて、反射光R3を追ってみると、反射光R3は、再度第一の偏光板31を透過する。ここでも、反射光R3の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際にはこのとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R3の強度は、0.55×0.86≒0.47%となる。
【0045】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになる。第一の偏光板31の偏光軸と第二の偏光板32の偏光軸とは、互いに平行であり、反射光R3として反射しなかった残りの光の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第二の偏光板32によって遮断されることはないが、実際にはこのとき、第二の偏光板32を透過するときの透過率は、86%程度であるので、反射光R3が差し引かれた残りの39.5−0.55≒39.0%の光は、39.0×0.86≒33.5%が更に表示装置の内部側に進行することになる。
【0046】
次に、表示パネル2の内部を進行する光は、表示パネル2の内部に形成された上述のゲート信号線、データ信号線、CS配線、TFTが備えるゲート電極、ソース電極、ドレイン電極等を構成するアルミニウム(Al)、銀(Ag)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化モリブデン(MoN)等の金属膜、あるいは、画素電極、対向電極等を構成するITO、IZO等の金属酸化膜の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R4として外界へ出射される。ただし、表示パネル2の内部を進行する光は、液晶層51等、透過光に対して位相差を付与する部材もあり、また、上述のどの部分で反射されるか等、複雑に場合分けされるので、一概に反射率又は透過率を規定することができない。しかしながら、いずれにしても反射光R4は、第二の偏光板32及び第一の偏光板31を透過することになり、反射光R4が第二の偏光板32を透過したのち、第一の偏光板31を透過したときの透過率は、86%程度であるので、その分、反射光成分が削減されることになる。
【0047】
なお、実施形態1において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+0.48%+0.47%≒5.0%となる。
【0048】
(実施形態2)
図2は、実施形態2の表示装置の構成を示す断面模式図である。実施形態2の表示装置は、保護板の表示パネル側の表面、及び、表示パネルの保護板側の表面のいずれにも反射防止層が設けられていない点で実施形態1の表示装置と異なるが、それ以外は実施形態1の表示装置と同様である。
【0049】
実施形態2の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図2を用いて説明する。
【0050】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、保護基材11がガラスで形成されている場合には、4.0%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は4.0%となる。
【0051】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第一の偏光板31を透過することになる。第一の偏光板31は、自然光に対して特定の方向に振動方向をもつ成分だけを透過させるため、第一の偏光板31を透過することで、反射光R1として反射しなかった残りの光は、第一の偏光板31の偏光軸と同じ方向に振動方向をもつ直線偏光以外、遮断されることになる。具体的に、第一の偏光板31の透過率は42%程度であるので、反射光R1が差し引かれた残りの96%の光は、96×0.42≒40%が更に表示装置の内部側に進行することになる。
【0052】
次に、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した光は、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。保護板1の表面での反射率は4%程度である。したがって、ここでの反射率は、残りの光40%に対して4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は40×0.04≒1.6%となる。続いて、反射光R2を追ってみると、反射光R2は、再度第一の偏光板31を透過する。このとき、反射光R2の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際には、表示面に対して斜めから入射した光が反射する際等には、少しの位相差が付与されて楕円偏光を形成することがある。このとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R2の強度は、1.6×0.86≒1.4%となる。
【0053】
次に、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した光は、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。保護板1側の表面での反射率は4%程度である。したがって、ここでの反射率は、残りの光40−1.6≒38%に対して4.0%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は38.4×0.04≒1.5%となる。続いて、反射光R3を追ってみると、反射光R3は、再度第一の偏光板31を透過する。ここでも、反射光R3の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際にはこのとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R3の強度は、1.5×0.86≒1.3%となる。
【0054】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになるが、反射光R4については実施形態1と同様であるので省略する。
【0055】
なお、実施形態2において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+1.4%+1.3%=6.7%となる。
【0056】
(実施形態3)
図3は、実施形態3の表示装置の構成を示す断面模式図である。実施形態3の表示装置は、保護板の表面、及び、表示パネルの表面のいずれか一方のみに反射防止層が設けられている点で実施形態1の表示装置と異なるが、それ以外は実施形態1の表示装置と同様である。なお、図3においては、保護板1の表示パネル2側の表面に第一の反射防止層41を備える形態を示しているが、表示パネル2の保護板1側の表面に第二の反射防止層を備える形態であっても同様の効果を得ることができ、本実施形態に含まれる。
【0057】
実施形態3の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図3を用いて説明する。
【0058】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、保護基材11がガラスで形成されている場合には、4.0%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は4.0%となる。
【0059】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第一の偏光板31を透過することになる。第一の偏光板31は、自然光に対して特定の方向に振動方向をもつ成分だけを透過させるため、第一の偏光板31を透過することで、反射光R1として反射しなかった残りの光は、第一の偏光板31の偏光軸と同じ方向に振動方向をもつ直線偏光以外、遮断されることになる。具体的に、第一の偏光板の透過率は42%程度であるので、反射光R1が差し引かれた残りの96%の光は、96×0.42≒40%が更に表示装置の内部側に進行することになる。
【0060】
次に、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した光は、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。ここでの反射率は、第一の反射防止層41がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光40%に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は40×0.014≒0.56%となる。続いて、反射光R2を追ってみると、反射光R2は、再度第一の偏光板31を透過する。このとき、反射光R2の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際には、表示面に対して斜めから入射した光が反射する際等には、少しの位相差が付与されて楕円偏光を形成することがある。このとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R2の強度は、0.56×0.86≒0.48%となる。
【0061】
次に、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した光は、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。保護板1側の表面での反射率は4.0%程度である。したがって、ここでの反射率は、残りの光40−0.56≒39%に対して4.0%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は39×0.04≒1.6%となる。続いて、反射光R3を追ってみると、反射光R3は、再度第一の偏光板31を透過する。ここでも、反射光R3の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際にはこのとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R3の強度は、1.6×0.86≒1.4%となる。
【0062】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになるが、反射光R4については実施形態1と同様であるので省略する。
【0063】
なお、実施形態3において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+0.48%+1.4%≒5.9%となる。
【0064】
(実施形態4)
図4は、実施形態4の表示装置の構成を示す断面模式図である。実施形態4の表示装置は、保護板1の外界側の表面に更に第三の反射防止層43が設けられている点で実施形態1の表示装置と異なるが、それ以外は実施形態1の表示装置と同様である。
【0065】
実施形態4の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図4を用いて説明する。
【0066】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、第三の反射防止層43がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は1.4%となる。
【0067】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第一の偏光板31を透過することになる。第一の偏光板31は、自然光に対して特定の方向に振動方向をもつ成分だけを透過させるため、第一の偏光板31を透過することで、反射光R1として反射しなかった残りの光は、第一の偏光板31の偏光軸と同じ方向に振動方向をもつ直線偏光のみにまで削減されることになる。具体的に、第一の偏光板の透過率は42%程度であるので、反射光R1が差し引かれた残りの99%の光は、99×0.42≒42%が更に表示装置の内部側に進行することになる。
【0068】
次に、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した光は、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。ここでの反射率は、第一の反射防止層41がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光42%に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は42×0.014≒0.59%となる。続いて、反射光R2を追ってみると、反射光R2は、再度第一の偏光板31を透過する。このとき、反射光R2の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際には、表示面に対して斜めから入射した光が反射する際等には、少しの位相差が付与されて楕円偏光を形成することがある。このとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R2の強度は、0.59×0.86≒0.50%となる。
【0069】
次に、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した光は、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。ここでの反射率は、第二の反射防止層42がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光42−0.58≒41%に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は41×0.014≒0.56%となる。続いて、反射光R3を追ってみると、反射光R3は、再度第一の偏光板31を透過する。ここでも、反射光R3の偏光軸は、第一の偏光板31を透過したときの偏光軸と大きく変化がないので、理論上は第一の偏光板31によって遮断されることはないが、実際にはこのとき、第一の偏光板31を透過するときの透過率は、86%程度であるので、実際に外界に出射される反射光R3の強度は、0.56×0.86≒0.48%となる。
【0070】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになるが、反射光R4については実施形態1と同様であるので省略する。
【0071】
なお、実施形態4において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、1.4%+0.50%+0.48%≒2.4%となる。
【0072】
(参考例1)
図5は、参考例1の表示装置の構成を示す断面模式図である。参考例1の表示装置は、反射防止用の第一の偏光板が設けられておらず、かつ保護板の表面、及び、表示パネルの表面のいずれにも反射防止層が設けられていない点で実施形態1の表示装置と異なるが、それ以外は実施形態1の表示装置と同様である。
【0073】
参考例1の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図5を用いて説明する。
【0074】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、保護基材11がガラスで形成されている場合には、4.0%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は4.0%となる。
【0075】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した後、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。保護板1の表示パネル2側の表面での反射率は4.0%程度である。したがって、ここでの反射率は、反射光R1が差し引かれた残りの96%の光に対して4.0%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は96×0.04≒3.8%となり、そのまま外界へ出射される。
【0076】
次に、反射光R2として反射しなかった残りの光は、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した後、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。表示パネル2の保護板1側の表面での反射率は4.0%程度である。したがって、ここでの反射率は、残りの光96−3.8≒92%に対して4.0%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は92×0.04≒3.7%となり、そのまま外界へ出射される。
【0077】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになるが、実施形態1と異なり、第一の偏光板を有していないので、反射光R4に対する更なる反射防止効果は得られない。
【0078】
なお、参考例1において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+3.8%+3.7%≒12%となる。
【0079】
(参考例2)
図6は、参考例2の表示装置の構成を示す断面模式図である。参考例2の表示装置は、反射防止用の第一の偏光板が設けられていない点で実施形態1の表示装置と異なるが、それ以外は実施形態1の表示装置と同様である。
【0080】
参考例1の液晶表示装置に入射する光が反射するときの光の経路、及び、各反射地点での反射率について、図6を用いて説明する。
【0081】
まず、外界から入射してきた光は、一部の成分が保護板1の外界側の表面で反射し、反射光R1として外界へ出射される。ここでの反射率は、保護基材11がガラスで形成されている場合には、4.0%程度となる。したがって、入射光の強度を100%とすると、外界に出射される反射光R1の強度は4.0%となる。
【0082】
次に、反射光R1として反射しなかった残りの光は、保護板1の表示パネル2側の表面に到達した後、保護板1の表示パネル2側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R2として外界へ出射される。第一の反射防止層41がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、反射光R1が差し引かれた残りの96%の光に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は96×0.014≒1.3%となり、そのまま外界へ出射される。
【0083】
次に、反射光R2として反射しなかった残りの光は、表示パネル2の保護板1側の表面に到達した後、表示パネル2の保護板1側の表面でいくらかの成分が反射し、反射光R3として外界へ出射される。第二の反射防止層42がLRフィルムである場合には、1.4%程度となる。したがって、ここでの反射率は、残りの光96−1.3≒95%に対して1.4%の反射率となるので、保護板1の表示パネル2側の表面における反射光R2の強度は95×0.014≒1.3%となり、そのまま外界へ出射される。
【0084】
次に、反射光R3として反射しなかった残りの光は、表示装置の内部側に進行し、更に第二の偏光板32を透過することになるが、実施形態1と異なり、第一の偏光板を有していないので、反射光R4に対する更なる反射防止効果は得られない。
【0085】
なお、参考例2において保護板1及び表示パネル2の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+1.3%+1.3%=6.6%となる。
【0086】
以下に、実施形態1〜4及び参考例1、2の保護板の表面での反射(R1,R2)、表示パネルの表面での反射(R3)、及び、外界に出射される光の総量(合計)をまとめたものを表1として記す。なお、各数値は、入射光の強度を100%としたときのパーセンテージである。
【0087】
【表1】

【0088】
参考例1の表示装置と実施形態1〜4の表示装置とを比較すると、反射光として外界に出射される光の総量が大きく異なっており、偏光板を1枚加えるのみで、高い反射防止効果を得ることができることがわかる。
【0089】
参考例2の表示装置と実施形態2の表示装置とを比較すると、偏光板を1枚加えるのみで、反射防止層を2枚配置したときと同等の効果を得ることができることがわかる。本発明の構成によれば、反射防止用の偏光板(第一の偏光板)として、液晶表示パネルが備える偏光板(第二の偏光板)と同様の仕様の偏光板を用いることができるので、反射防止層を2枚配置する場合よりも容易に作製を行うことができ、効率的に、高い反射防止効果を有する構造を作製することができる。
【0090】
更に、実施形態1〜4からわかるように、保護板が反射防止用の第一の偏光板を備える場合には、反射防止層を追加すればするほど、そのまま反射防止効果を追加的に得ることができる。
【0091】
なお、実施形態1及び参考例2の表示装置の構成において評価試験を行ったところ、液晶層を透過してきたバックライトからの光の透過光強度は、185cd/cmであったのに対し、参考例2の表示装置では、210cd/cmであった。このように、実施形態1(実施形態2〜4であっても同様)の表示装置によれば、偏光板を一枚追加しているため、バックライトからの光の透過率は、参考例2(参考例1であっても同様)と比較して88%程度に落ちることになるが、それ以上に外光反射が参考例1と比較して50%近く減少することになるので、全体として表示品位は大きく向上する。
【0092】
以上より、実施形態1〜4の表示装置によれば、表示パネルの表面に保護板を追加することで表示パネルに対して傷つき防止、汚れ防止、外部衝撃からの保護を行うとともに、液晶表示装置がもともと有する偏光板と同じ偏光軸を有する偏光板を保護板に追加するということを行うのみで、高い反射防止効果を得ることができ、更に、反射防止層を配置することで、互いが干渉することなく追加的に反射防止効果を得ることができる。
【0093】
(実施形態5)
図7は、実施形態5の表示装置の構成を示す断面模式図である。図7に示すように、実施形態5の表示装置は、表示パネル3と、表示パネル3と対向して配置された保護板1とを備え、表示パネル3及び保護板1は、表示面側(観察面側)に向かってこの順に配置されている。保護板1の構成は実施形態1と同様であり、保護基材11と第一の偏光板31とを含んで構成されているが、表示パネル3が液晶表示パネルではなく、有機EL表示(OLED)パネルである点で実施形態1と異なる。
【0094】
表示パネル3は、保護板1側に向かって、第二の支持基板24、反射電極62、有機EL層71、透明電極61、第一の支持基板23、λ/4板81、第二の偏光板32をこの順に備えている。λ/4板81及び第二の偏光板32が重なって配置されることで、λ/4板81及び第二の偏光板32は、円偏光板としての機能を果たす。表示パネル3内に円偏光板91が配置されることにより、表示パネル3内に進行した光は、円偏光板91を透過することによって円偏光へと変換される。反射電極62で反射した光R4は、逆回転の円偏光になるので、同じ円偏光板91によって遮断される。これによって、表示パネル3内で反射した光R4は、ほとんどの成分が外界に出射されない。
【0095】
実施形態1と同様、保護板1が備える偏光板(第一の偏光板)31の偏光軸の軸方向と、表示パネル3が備える観察面側偏光板(第二の偏光板)32の偏光軸の軸方向とは、一致しており、これらの偏光軸は互いに平行の関係にある。実施形態5においても、第一の偏光板31と第二の偏光板32との間に、λ/4板等の、透過光の位相差を乱す層が形成されていないので、こうすることで、第一の偏光板31と第二の偏光板32との間を透過する光を直線偏光とすることができ、第二の偏光板32を透過した光をそのまま第一の偏光板31に透過させることができるので、透過率を大きく落とすことなく、表示を行うための光を透過させることができる。
【0096】
第一の偏光板31の表示パネル3側の表面には第一の反射防止層41が形成されており、第二の偏光板32の保護板1側の表面には第二の反射防止層42が形成されている。これにより、保護板1及び表示パネル3の表面で光が反射することを防止することができる。反射防止層41,42の種類としては、実施形態1と同様のものを用いることができる。
【0097】
保護板1と表示パネル3とは直接接しておらず、保護板1と表示パネル3との間には、一定のスペース(空気層)4が設けられている。このように一定のスペースを設けることで、熱等により保護板1がたわんだとしても設計に与える影響は少なく、また、保護板1が外部から衝撃を受けたときに、表示パネル3に対して直接衝撃が加わることを低減することができる。更に、リワークの必要が生じたときであっても容易にリワークを行うことができる。ただし、このように一定の空白スペースを設けることで、保護板1と空気層4との間、及び、表示パネル3と空気層4との間にそれぞれ屈折率の異なる境界面が現れることになり、この境界面で反射が起こりやすくなる。しかしながら本発明の構成によれば、このように一定のスペースが設けられる場合であっても、その境界面において生じる反射光の量を低減するための工夫がなされているので、表示品位が低下することが抑制される。
【0098】
λ/4板81としては、例えば、100〜175nmの位相差をもつように光学軸が調整された、ポリビニルアルコール、ノルボルネン樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート等を材料とする膜を用いることができる。
【0099】
第一の支持基板23及び第二の支持基板24としては、例えば、ガラスや石英等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、アルミナ等のセラミックスからなる絶縁性の基板を用いることができる。なお、第二の支持基板24上には、画素を駆動するための各種配線及びTFTが配置されていてもよい。
【0100】
透明電極61としては、ITO、IZO等の透明性を有する金属酸化物を用いることができる。反射電極62としては、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)からなる単一の層、又は、これらの積層体を用いることができる。透明電極61は、各々が画素を構成するようにマトリクス状に配置されることで、高精細な表示制御を行うことができる。本実施形態では、透明電極61を陽極、反射電極62を陰極としており、いわゆるボトムカソードの形態となっている。
【0101】
有機EL層71としては、発光材料が充填された発光層のみならず、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層のいずれか又は全てを含んでいてもよく、これらは単層構造であっても積層構造であってもよい。発光層の材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)DO−PPP、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)、ポリスピロ(PS)が挙げられる。
【0102】
実施形態5の有機EL表示装置は、保護板1に1枚の偏光板を備え、かつ保護板1と表示パネル3とにそれぞれ1層ずつ反射防止層を備えているため、得られる反射防止効果の程度は実施形態1と同様である。したがって、実施形態5において保護板1及び表示パネル3の表面で反射し、外界に出射された光(R1+R2+R3)の総量は、入射光の強度を100%としたときに、4.0%+0.48%+0.47%≒5.0%となる。なお、有機EL表示の白輝度は、保護板に第一の偏光板を備え付けない場合と比較して、約14%の低減にとどまった。
【0103】
以上より、実施形態5の表示装置によれば、表示パネルの表面に保護板を追加することで表示パネルに対して傷つき防止、汚れ防止、外部衝撃からの保護を行うとともに、有機EL表示装置がもともと有する偏光板と同じ偏光軸を有する偏光板を保護板に追加するということを行うのみで、高い反射防止効果を得ることができ、更に、反射防止層を配置することで、互いが干渉することなく追加的に反射防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施形態1の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図2】実施形態2の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図3】実施形態3の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図4】実施形態4の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図5】参考例1の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図6】参考例2の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図7】実施形態5の表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図8】保護板に対して円偏光板の構成を設けたときの従来の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0105】
1:保護板
2:表示パネル(LCDパネル)
3:表示パネル(OLEDパネル)
4:空気層
11:保護基材
21:第一の基板(カラーフィルタ基板)
22:第二の基板(アクティブマトリクス基板)
23:第一の支持基板
24:第二の支持基板
31:第一の偏光板
32:第二の偏光板
33:第三の偏光板
41:第一の反射防止層
42:第二の反射防止層
43:第三の反射防止層
51、151:液晶層
61:透明電極
62:反射電極
71:有機EL層
81:λ/4板
101:円偏光板付きタッチパネル
102:液晶パネル
111:タッチパネル
121:下側基板
122:上側基板
131:偏光板
132:上偏光板
133:下偏光板
181:円偏光板付きタッチパネルが有するλ/4板
182:円偏光板付きタッチパネルが有するλ/4板の光学軸と直交する方向に光学軸を有するλ/4板
91、191:円偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、該表示パネルと対向して配置された保護板とを備える表示装置であって、
該保護板は、保護基材と第一の偏光板とを備え、
該表示パネルは、第一の偏光板と偏光軸が平行である第二の偏光板を備え、
該第一の偏光板と第二の偏光板との間を透過する光は、直線偏光である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルと保護板との間には、空気層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第一の偏光板は、保護基材よりも表示パネル側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記保護板は、表示パネル側の表面に第一の反射防止層を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、保護板側の表面に第二の反射防止層を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護板は、外界側の表面に第三の反射防止層を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、保護板に向かって、第三の偏光板、第一の基板、液晶層、第二の基板、及び、前記第二の偏光板をこの順に備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、保護板に向かって、第一の電極、有機エレクトロルミネッセンス層、第二の電極、λ/4板、及び、前記第二の偏光板をこの順に備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−252934(P2011−252934A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246107(P2008−246107)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】