説明

表示装置

【課題】ユーザが簡単に所望の情報を見つけることができる表示装置を提供すること。
【解決手段】起点表示順序から第2目標表示順序に至るまでの画像を対象とする間は、追従処理により、第1移動量で画像を,表示順序の順に表示する。一方、第2目標表示順序に対応する画像を対象とした後は、減衰処理により、第1移動量よりも少ない第2移動量で、画像を表示順序の順に表示する。よって、ユーザにとっては、第2目標表示順序に対応する画像から第1目標表示順序の画像に至るまでをじっくり視認することができ、所望の表示情報を簡単に見つけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示面に表示されたスライドバー上のスライダにユーザがタッチし、その表示面上で指を滑らす操作を行うことに基づいて、スライダの表示位置を変更し、且つ、該スライダの変更前の位置に応じた情報から変更後の位置に応じた情報までの情報が順番に画面上を移動していくとユーザに視認させるための表示をする装置が開示されている。特許文献1は、表示対象とされる情報の全体量がスライダの移動可能範囲に対応し、1度に表示できる情報の量がスライダの幅に対応したスライドバー操作装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−139321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術によれば、例えば、1度に表示できる情報の量に比較して、表示対象とされる情報の全体量が大きい場合は、スライダを僅かに動かしただけでも非常に多くの情報が短時間に画面上を移動していくとユーザには視認されることとなるので、ユーザは、所望の情報に対応した適切な位置にスライダを合わせて止めることが困難である。その結果、ユーザが所望の情報を見つけ難いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが簡単に所望の情報を見つけることができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、表示順序が対応づけられた表示情報を表示する表示手段と、前記表示順序に対応する検出領域が備えられた入力手段と、前記検出領域に入力媒体が接近または接触した接触状態である場合に、前記検出領域のうち入力媒体が接近または接触している領域である接触領域を検出する検出手段と、その検出手段により検出される接触領域に対応する表示順序を第1目標表示順序とする場合、その第1目標表示順序と、前記接触状態が成立する前に前記表示手段に表示されていた表示情報に対応づけられた起点表示順序との間にある表示順序を、第2目標表示順序として取得する取得手段と、前記起点表示順序から前記第2目標表示順序に至るまでの表示情報を対象表示情報として、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が第1数となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する第1表示処理を実行し、前記第1表示処理が前記第2目標表示順序に対応する表示情報を前記対象表示情報とした後は、前記第1目標表示順序の表示情報に至るまでの表示情報を対象表示情報として、前記単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が前記第1数よりも少ない第2数となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する第2表示処理を実行する表示制御手段とを備える。
【0007】
なお、本発明は、表示装置、該表示装置を制御する表示制御装置、表示方法、表示装置を制御する表示プログラム、該表示プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の表示装置によれば、第1表示処理が第2目標表示順序に対応する表示情報を対象表示情報とした後は、第2表示処理により、第1目標表示順序の表示情報に至るまでの表示情報が対象表示情報として、表示順序の順に表示される。ここで、第2表示処理は、第1表示処理に比較して、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が少なくなるように制御する。よって、ユーザにとっては、第2目標表示順序の表示情報から第1目標表示順序の表示情報に至るまでをじっくり視認することができ、所望の表示情報を簡単に見つけることができるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の表示装置によれば、請求項1に記載の表示装置の奏する効果に加え、前記第2表示処理の実行において、前記第2数が徐々に少なくされるので、第1目標表示順序の表示情報に近づくにつれて、ユーザは、各表示情報をよりじっくりと視認することができ、所望の表示情報を簡単に見つけることができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の表示装置によれば、請求項1または2に記載の表示装置の奏する効果に加え、前記第2表示処理の実行において、接触領域の大きさに応じて、前記第2数が決定されるので、ユーザにとって操作性が良いという効果がある。
【0011】
請求項4記載の表示装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の表示装置の奏する効果に加え、第2表示処理の実行において、前記接触領域へ前記入力媒体が接近あるいは接触しなくなった場合、または、前記検出領域内のうち前記接触領域とは異なる領域に前記入力媒体が接近あるいは接触する場合、前記第2表示処理が停止されるので、ユーザにとっては簡単な操作で第2表示処理を停止することができ、ユーザにとって操作性が良いという効果がある。
【0012】
請求項5記載の表示装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の表示装置の奏する効果に加え、対応検出領域において入力媒体が接近または接触した後、前記対応検出領域とは異なる領域が前記接触状態となってから所定時間が経過した場合に第2表示処理が実行されるので、第2表示処理を実行させるためのユーザの操作が簡単であり、操作性が良いという効果がある。
【0013】
請求項6記載の表示装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の表示装置の奏する効果に加え、表示対象とされる表示情報の数が所定数以上であることが第2表示処理の作動条件とされているので、表示情報数が多く、全表示情報の閲覧が困難である場合において、ユーザが所望の情報を簡単に見つけることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は、本発明の表示装置の一例であるMFPの外観構成を示した斜視図であり、(b)は、LCDに表示される操作画面の一例を示す概略図である。
【図2】(a)は、MFPの電気的構成を示すブロック図であり、(b)は、移動量選定テーブルの構成を模式的に示す図であり、(c)は、ユーザの指がタッチパネルに接触した場合に、接触が検出される電極の一例を説明する概略図である。
【図3】スライドバーの操作方法の一例を説明する概略図である。
【図4】減衰処理中における操作方法の一例を示す図である。
【図5】指の動きと移動量との関係の一例を示すグラフである。
【図6】MFPにおいて実行される表示更新処理を示すフローチャートである。
【図7】MFPにおいて実行されるスライダ操作取得処理を示すフローチャートの一部である。
【図8】MFPにおいて実行されるスライダ操作取得処理を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の表示装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の外観構成を示した斜視図である。
【0016】
MFP1は、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、及び、コピー機能などの各種機能を有し、その正面上部は、横長形状の操作パネル6が設けられている。この操作パネル6は、MFP1を操作するためのものであり、操作キー15と、LCD16と、タッチパネル17とが主に設けられている。
【0017】
このLCD16の表示面には、入力装置の一種であるタッチパネル17が配設されている。タッチパネル17は、表面全体が碁盤の目のように細かく(例えば、1mm間隔)区分けされており、区分けされた各領域(以後、「検出領域」と称する)に、指の接触を検出する電極(センサ)が配設されている。各検出領域の面積は、タッチパネル17に接触するユーザの指の面積よりも十分に小さいため、ユーザの指がタッチパネル17に触れると、その指で複数の検出領域が触れられることになる。
【0018】
また、各検出領域には、それぞれ個別に各検出領域を識別するための識別番号が付されており、タッチパネル17の左上の検出領域の識別番号を(0,0)として、X方向(タッチパネル17の横方向)およびY方向(タッチパネル17の縦方向)に向かって番号が連続するように識別番号(x,y)が付されている。なお、識別番号は、タッチパネル17の右方向および下方向に向かうほど大きくなる。
【0019】
このタッチパネル17では、指など入力媒体の接触が検出された場合、指の接触が検出されている検出領域の識別番号(x,y)が全て特定される。CPU10(図2参照)は、タッチパネル17により検出された識別番号(x,y)の検出領域に対応する各処理を実行する。
【0020】
MFP1に接続された記憶媒体またはMFP1のフラッシュメモリ14などに記憶された複数の画像ファイルの中からユーザに所望する(例えば、印刷したい)ファイルを選択させる場合、MFP1は、LCD16においてスライド表示を行う。スライド表示とは、全ファイルに連続する表示順序を対応づけ、全ファイルの中で表示順序が連続する所定数のファイルに基づいた画像を対象に、対象の画像(以下、単に画像とも称する)を、昇順に並べた状態で表示し、ファイル数が多く全画像を一覧表示できない場合は、表示中の画像を一定数ずつ、表示順序に従って入れ替えながら表示していくことで、画像が画面上を順番に移動していくとユーザに視認させ、ひいては、ユーザが全ファイルを閲覧できるように表示することである。すなわち、スクロール表示や、画面に表示される画像全てを一度に切り替えて表示することも、スライド表示に相当する。
【0021】
特に、このMFP1は、LCD16にスライド表示される多数の画像の中から、ユーザが簡単に所望の画像を見つけることができるように構成されている。
【0022】
図1(b)は、スライド表示を行う間、LCD16に表示される操作画面の一例を示す図である。図1(b)に示すように、スライド表示の際には、LCD16の上方から下方に向かって順に、タイトル表示エリア29と、画像表示エリア30と、右スクロールキー31と、左スクロールキー32と、スライドバー33と、スライダ34とが表示される。
【0023】
タイトル表示エリア29は、操作画面のタイトル29aとページ数29bとが表示される領域である。
【0024】
画像表示エリア30内には、その画像の基になるファイルの表示順序(以下、単に画像の表示順序とも称する)が左端から右端に向かって順番に大きくなるような、所定数(例えば、6個)の画像が表示される。図1(b)においては、画像の表示順序を分かり易くするために、表示中の各画像上には、それぞれの表示順序を付している。つまり、図1(b)では、表示順序「1〜6」の各画像が表示されていることを示している。本実施形態では、一画面に一度に表示される単位である6個の画像の集合を、1ページとして取り扱う。そして、全ファイル数を6で割り、余りを繰り上げた数値を、ページ数29bの分母として示し(図1(b)に示す例では9999)、画像表示エリア30に表示中のページ数を、ページ数29bの分子としてユーザに示す(図1(b)に示す例では001)。なお、画像表示エリア30に表示される画像の中から、ユーザが所望の画像を認識することができるよう、画像の基であるファイルの作成日付などが表示順序と共に画像に付されても良い。また、画像表示エリア30に表示される各画像は、各ファイルのサムネイル画像であっても良い。
【0025】
図1(b)に示す操作画面において、右スクロールキー31に重なる領域にてユーザの指がタッチパネル17に触れる操作が行われると、画像表示エリア30における表示を、その時点で表示中の1ページから1つ後のページへ切り替える。逆に、左スクロールキー32に重なる領域にてユーザの指がタッチパネル17に触れる操作が行われると、画像表示エリア30における表示を、その時点で表示中の1ページから1つ前のページへ切り替える。
【0026】
スライドバー33は、その横方向幅がファイルの全体数を表しており、スライドバー33の各位置が、表示順序に対応している。具体的には、スライドバー33に向かって左端位置が最小の表示順序に対応し、向かって右端が最大の表示順序に対応し、右端に向かうほど、対応する表示順序が大きくなる。したがって、タッチパネル17のうち、スライドバー33に重なる領域が、表示順序に対応する検出領域に相当する。
【0027】
スライダ34は、画像表示エリア30に表示されている画像の基であるファイルの表示順序に対応する検出領域を示す指標である。例えば、図1(b)に示すように、表示順序が1から6の画像が表示されているとき、スライダ34は、表示順序が1から6の表示順序に対応づけられたスライドバー33の領域に描画される。したがって、タッチパネル17のうちスライダ34に重なる領域は、表示中の画像の表示順序に対応した検出領域である。
【0028】
次に、図2(a)を参照して、MFP1の電気的構成について説明する。図2(a)は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、CPU10、ROM11、RAM12、VRAM13、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24とを主に有している。
【0029】
CPU10、ROM11、RAM12、VRAM13、フラッシュメモリ14は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、バスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
【0030】
CPU10は、ROM11やRAM12やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム或いは、NCU23を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御するものである。
【0031】
ROM11は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。後述する図6のフローチャートに示す表示更新処理、図7,図8のフローチャートに示すスライダ操作取得処理を実行する各プログラムは、このROM11に格納されている。
【0032】
また、このROM11には、基準電極数パターンメモリ11aと、移動量選定テーブルメモリ11bとが設けられている。
【0033】
次に、図2(b)を参照して、移動量選定テーブルの内容の一例について説明する。移動量選定テーブルは、スライド表示において、単位時間の最初に表示されている画像の表示順から、単位時間の最後に表示される画像の表示順序がどれだけ増えるか(移動量)を設定するために参照されるテーブルである。この移動量選定テーブルは、電極数の変化率aと、その電極数の変化率に対応する移動量変化率とにより構成されている。
【0034】
電極数の変化率aは、タッチパネル17の入力操作中に検出された電極数(具体的には、後述する操作中電極数メモリ12aの電極数)を、基準となる電極数(具体的には、後述する基準電極数メモリ14aの電極数)で除算した場合の演算結果を示す。詳しくは後述するが、第2移動量は第1移動量に複数の係数を乗じて算出する。移動量変化率は、その第2移動量を決定する際に乗じる係数の一つである。
【0035】
例えば、移動量選定テーブルにおいて、電極数の変化率「a=1」には、移動量変化率「1」が対応付けられており、「1<a≦1.5」という範囲の電極数の変化率aには、「1.5」という移動量変化率が対応付けられており、「0.2≦a<1.0」という範囲の電極数の変化率aには、「0.5」という移動量変化率が対応付けられている。これによりMFP1は、指が接触する接触領域の大小に対応した係数を乗じるため、指が接触する接触領域の大小に対応した第2移動量を算出することができる。
【0036】
ここで、図2(a)の説明に戻り、電気的構成の説明を続ける。RAM12は、書換可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM12には、操作中電極数メモリ12aが設けられている。
【0037】
操作中電極数メモリ12aは、スライド表示中に、ユーザがタッチパネル17に触れている間、そのタッチパネル17の検出領域内で指の接触が検出されている電極の合計数を、操作中電極数として記憶するためのメモリである。
【0038】
VRAM13は、LCD16に表示される1画面分のビットマップデータを記憶するメモリである。CPU10は、VRAM13に記憶されたビットマップデータを定期的に読み出し、そのビットマップデータに対応した画面をLCD16に描画させる。
【0039】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、基準電極数メモリ14aおよびユーザ設定値メモリ14bが設けられる。基準電極数メモリ14aは、ユーザが普段タッチパネル17を操作する場合に触れる電極数を、予め基準電極数として記憶するためのメモリである。ユーザ設定値メモリ14bは、第2目標表示順序を決定するために用いる係数kを記憶するメモリである。なお、係数kは、0<k<1の範囲において、ユーザが任意に設定することができる値である。
【0040】
図2(c)は、ユーザの指がタッチパネル17に接触した場合に、接触が検出される電極の一例を説明するための概略図である。なお、図2(c)に示す各検出領域の大きさは、分かり易く説明するために拡大したものであり、実際の大きさとは異なる。
【0041】
例えば、MFP1の初期設定の際には、ユーザが普段タッチパネル17を操作する場合と同様に、1本の指(例えば、人差し指)でタッチパネル17に触れるよう要求がなされる。ここで、図2(c)に示すように、ユーザが普段通りにタッチパネル17に触れると、タッチパネル17において指が接触している各電極が特定され、その電極の合計数がCPU10により計数される。
【0042】
そして、ROM11の基準電極数パターンメモリ11aに記憶されている各電極数の中から、計数された電極数に最も近い電極数が選択され、基準電極数として、フラッシュメモリ14の基準電極数メモリ14aに記憶される。
【0043】
このように、本実施形態では、MFP1を使用するユーザの指の接触面積(電極数)を予め記憶させておくので、ユーザの指の太さや、ユーザの指の接触面積に関わらず、電極数の変化率aを精度良く算出することができる。
【0044】
図3(a)〜(d)は、スライドバー33の操作方法の一例を説明する概略図である。図3(a)に示すように、まず、ユーザはスライダ34に重なるタッチパネル17の領域に触れた状態で、その位置を始点とし、タッチパネル17に触れた状態でスライドバー33上において指を右方向に移動させるドラッグ操作を行う。なお、ドラッグ操作が行われる前に表示中であった画像の表示順序を、起点表示順序と称する。
【0045】
MFP1は、右方向へのドラッグ操作が行われた場合、スライドバー33の左端からドラッグ操作の終点までの距離xに、ユーザの設定値である係数k(0<k<1)を乗算した距離(k×x)だけ、スライドバー33の左端から離隔した位置を、スライダ34の表示位置として求める。逆に、左方向へのドラッグ操作が行われた場合は、スライドバー33の右端からドラッグ操作の終点までの距離xに、ユーザの設定値である係数kを乗算した距離(k×x)だけ、スライドバー33の右端から離隔した位置を、スライダ34の表示位置として求める。すなわち、ドラッグ操作の終点の手前(ドラック操作の始点に近い位置)を、スライダ34の位置として求める。なお、距離xは、検出領域に付された識別番号(x,y)に基づいて求めることができる。
【0046】
次に、図3(b)に示すように、MFP1は、スライドバー33の右端または左端から距離(k×x)だけ離隔した位置にスライダ34の表示位置を移動させる。そして、その移動後のスライダ34の表示位置に対応した表示順序を第2目標表示順序として取得する。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、MFP1は、起点表示順序から第2目標表示順序まで、表示対象の画像を、表示順序の順に第1移動量で入れ替える追従処理を行う。第1移動量とは、単位時間(例えば、0.6秒間)の間に、表示対象とされる画像の数を表す値であり、具体的には、単位時間の最初に表示される画像の表示順序と、単位時間の最後に表示される画像の表示順序との差を表す。なお、第1移動量は、第2目標表示順序と起点表示順序との差に基づいて算出される。具体的には、第2表示順序と起点表示順序との差が大きいほど、第1移動量が大きくなるように算出される。また、第1移動量の算出は、追従処理中であり第2目標表示順序と基点表示順序との差が広がっているときにも所定時間間隔で行われる。本実施形態では、単位時間が0.6秒であり、第1移動量が30であるものとする。この場合、例えば、単位時間の最初である0.1秒目に1〜6の表示順序の画像が表示されていた場合は、単位時間の最後である0.6秒目に、31〜36の画像が表示される速さで、画像表示エリア30に表示する画像を入れ替える。すなわち、単位時間の最初に表示される6個のうち、左端に表示される画像の表示順序(例えば1)と、単位時間の最後に表示される6個のうち、左端に表示される画像(例えば31)の表示順序の差が30となるように、画像の入替えが行われる。
【0048】
MFP1において、CPU10は、定期的にVRAM13に記憶されたビットマップデータを読み出し、そのビットマップデータに基づく画面をLCD16に描画する。したがって、MFP1においては、第1移動量で画像の入替えを行うために、VRAM13に記憶するビットマップデータを0.1秒間隔で更新する。例えば、表示順序1から6の画像を画像表示エリア30に含む画面に対応したビットマップデータを作成してVRAM13に記憶する処理、表示順序7から12の画像を画像表示エリア30に含む画面に対応したビットマップデータを作成してVRAM13に記憶する処理、・・・表示順序31から36の画像を画像表示エリア30に含む画面に対応したビットマップデータを作成してVRAM13に記憶する処理の各処理を、それぞれ0.1秒間隔で行う。なお、数値を簡単に表すために単位時間を0.6秒、各処理の間隔を0.1秒としたが、例えば各処理の間隔を0.016秒間隔など、より短い間隔にし、単位時間も0.6秒よりも短い間隔としてかまわない。逆に、より長い単位時間、より長い間隔としてもよい。
【0049】
次に、図3(d)に示すように、追従処理が第2目標表示順序(図3(d)に示す例では33601)の画像を表示した後においても、ドラッグ操作終点に接触した状態でユーザが指を停止している場合、MFP1は、画像の入替えを待機する。そして、ドラッグ操作の終点が接触状態となってから1秒が経過した場合、MFP1は減衰処理を行う。
【0050】
図4は、減衰処理中における操作方法の一例を示す図である。減衰処理の開始において、MFP1は、ドラッグ操作の終点位置に対応した表示順序を第1目標表示順序として取得する。また、この時点で表示中である画像の表示順序を算出用表示順序として取得する。そして、第1目標表示順序と算出用表示順序との差を求め、第1目標表示順序と起点表示順序の差で序した数である第1の係数(1よりも小さい正数となる)と、上述した移動量変化率(第2の係数)とを第1移動量に乗じた値である第2移動量を算出する。算出された第2移動量は、必然的に第1移動量よりも少ない値である。すなわち、減衰処理の実行中は、追従処理の実行中に比較して画像の入替えがゆっくりと行われる。なお、減衰処理の実行中は、追従処理の実行中に比較して画像の入替えがゆっくりと行われる限りにおいては、第1目標表示順序と算出用表示順序との差を第1目標表示順序と起点表示順序の差で序した数に、所定の数を乗除加減した数を第1の係数としても構わない。
【0051】
図4(a)に示すように、MFP1は、減衰処理を開始すると、第2移動量が例えば「18」で、画像表示エリア30に表示する画像を、表示順序の順に入れ替える。上述した追従処理においては、第1移動量(=30)で、画像の入替えを行うものであったため、VRAM13の更新を0.1秒間隔で行うものとして説明したが、第2移動量は、第1移動量よりも小さいため、VRAM13の更新の時間間隔を第1移動量の場合の時間間隔(例えば、0.1秒間隔)よりも長くする。
【0052】
また、MFP1は、画像表示エリア30に表示される画像の表示順序に対応した位置にスライダ34を表示する。すなわち、画像表示エリア30に表示される画像の表示順序が大きくなるにつれて、スライダ34の位置は、ドラッグ操作の終点位置に徐々に近づく。
【0053】
また、MFP1は、所定の時間間隔ごとに、その時点で表示中である画像の表示順序を新たな算出用表示順序として取得し、第2移動量を算出しなおす。時間が経過するにつれて、画像表示エリア30に表示される画像の表示順序は第1目標表示順序に近づく(第1の係数が小さくなる)ため、図4(b)に示すように、画像表示エリア30に表示される画像の表示順序が第1目標表示順序に近づくにつれて第2移動量は徐々に少なくなる(例えば、図5に「減衰処理中」と示されるように)。このため、表示される画像の表示順序が第1目標表示順序に近づくにつれて、ユーザは、各画像をよりじっくりと視認することができ、所望のファイルを簡単に選択することができる。
【0054】
また、第2移動量は、上述したように第1移動量に移動量変化率(第2の係数)を乗じて算出されている。すなわち、図4(c)に示すように、MFP1は、接触領域の大きさに応じて、第2移動量を決定していることになる。したがって、ユーザは、複数の指を使用したり、指を強く押しつけるなどして接触領域を大きくするという直感的な操作で、一定の時間の間に多くの画像を表示させることができる。一方、スライドバー33上の指を意図的に浮かせるなどして接触領域を小さくするという直感的な操作で、同じ画像を長い時間表示させることができる。
【0055】
また、図4(d)に示すように、減衰処理の実行中に、ユーザが所定の減衰停止操作を行った場合、MFP1は、減衰処理を停止する。本実施形態では、ドラッグ操作の終点からユーザが指を離す操作、右スクロールキー31,左スクロールキー32およびスライドバー33以外の領域に指を接触する操作、ドラッグ操作の終点からスライダ34の表示位置まで指をスライドさせる操作、図示しないキー(戻るキー、リターンキー)などを押下する操作が減衰停止操作に相当する。
【0056】
したがって、減衰処理により、第2目標表示順序から第1目標表示順序まで、同じ画像が長く表示される中で、所望の画像を見つけた場合は、ユーザは、例えば、ドラッグ操作の終点から指を離すなどの簡単な操作で画像の入替えを停止することができ、その状態で所定の操作を行うことにより所望のファイルを選択することができる。
【0057】
例えば、スライド表示中の画像の基であるファイルの数(例えば、6個)に対して、全ファイル数が多い場合であっても、MFP1によれば、まず、ユーザは、選択したいファイルの表示順序に対応する大体の位置を予測しその位置までドラッグ操作を行えば良い。このようにすれば、MFP1においては、追従処理により、起点表示順序の画像から第2目標表示順序の画像まで、すなわち選択したいファイルの表示順序の近傍の画像に至るまではドラッグ操作を停止させてから短い時間で多くの画像が移動していくようにユーザに視認され、第2目標表示順序の画像から第1目標表示順序の画像まで、すなわち選択したいファイルの表示順序の近傍の画像は減衰処理によりそれぞれ長めの時間をかけて移動していくように視認される。すなわち、ユーザは、選択したいファイルに基づく画像を選択したいファイルの表示順序の近傍の画像については十分に視認しながら、そうでない画像については無駄に長い時間視認することなく見つけることができる。
【0058】
なお、図3,図4においては、最初に行ったユーザの操作が右方向に向かうドラッグ操作であって、画像の表示順序が大きくなる方向へ画像の入替えが行われるものとして説明したが、左方向へ向かうドラッグ操作が行われる場合には、画像の表示順序が小さくなる方向へ画像の入替えが行われる。
【0059】
図5は、指の動きと上述した画像を表示する際の移動量(第1移動量・第2移動量)との関係の一例を示すグラフであり、横軸が時間tを表し、縦軸が指の速度vと移動量を表すグラフである。なお、ここでいう指の速度vは、スライドバー33の横方向における単位時間当たりの指の位置の変化である。
【0060】
まず、時間tにおいて、ユーザがスライダ34にタッチし、その指を右方向または左方向にドラッグ操作すると、そのスライド操作の各時点における位置xに基づいて、スライダ34の位置(k×x)が求められる。そして、そのスライダ34の位置に対応した表示順序の画像まで、追従処理により画像の入替えが行われる。
【0061】
時間tから時間tに至るまで、MFP1は、指の動きに追従するように第1移動量を算出する。そして、時間tにおいて、ユーザが指を停止すると、ドラッグ操作の終点が定まるので、その終点の位置に対応した位置(k×x)に、スライダ34の表示位置が変更される。そして、その変更後のスライダ34の表示位置に対応した第2目標表示順序に至るまでは、追従処理により、第1移動量で画像の入替えを行う。そして、時間tにおいて、画像表示エリア30に表示される画像が第2目標表示順序に至ると、MFP1は、画像の入替えを待機する。
【0062】
本実施形態のMFP1において、減衰処理を作動させるための条件は、ドラッグ操作の終点にユーザが指を接触させた状態で、1秒以上停止することである。ここでは、時間tにおいて、ドラッグ操作の終点に到達してから、ユーザが1秒以上、指の動きを停止したものとする。
【0063】
そして、時間tにおいて、ドラッグ操作の終点における接触状態が1秒以上を経過すると、MFP1は、減衰処理を開始する。この減衰処理は、第2移動量で画像の入替えを行う。
【0064】
そして、時間tにおいて、ユーザが、減衰停止操作を行うと、MFP1は画像の入替えを停止する。
【0065】
図6は、MFP1において実行される表示更新処理(追従処理と減衰処理とを含む)を示すフローチャートである。この表示更新処理は、ユーザの入力操作に応じてスライド表示を行うための処理であり、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
【0066】
まず、CPU10は、基準電極数メモリ14aを初期設定する(S602)。具体的には、1本の指でタッチパネル17に触れさせ、タッチパネル17において指が接触している電極を特定し、その電極の合計数に基づく値を基準電極数として、基準電極数メモリ14aに設定する。
【0067】
次に、CPU10は、図1(b)に示す操作画面をLCD16に描画させ(S604)、次に、ユーザによりタッチパネル17が操作されたか否かを判断する(S606)。S606の判断が否定される場合(S606:No)、CPU10は、処理を待機する。
【0068】
一方、S606の判断が肯定される場合(S606:Yes)、次に、CPU10は、スライダ34が操作されたか否か、すなわち、タッチパネル17の検出領域に、指が接触した接触状態である場合に、その接触領域を検出し、その接触領域がスライダ34の表示位置であるか否かを判断する(S608)。
【0069】
S608の判断が肯定される場合(S608:Yes)、CPU10は、ユーザによるスライダ34の操作に応じて、画像表示エリア30の画像を入れ替えるスライダ操作取得処理(S610)を実行し、S606に戻る。一方、S608の判断が否定される場合(S608:No)、CPU10は、ユーザによるスライダ34以外の操作に応じたその他の処理を実行し(S612)、S606に戻る。例えば、左スクロールキー32が操作された場合は、S612において、画像表示エリア30に表示する画像を、1ページ分前の画像に入れ替える処理を行う。
【0070】
図7は、スライダ操作取得処理(S610)を示すフローチャートである。このスライダ操作取得処理(S610)は、ユーザがスライダ34に対し行った操作に基づいて、画像表示エリア30に表示する画像を入れ替える処理である。
【0071】
まず、CPU10は、スライダ34に触れている指の位置が移動したか否か、すなわちドラッグ操作が行われたか否かを判断する(S702)。S702に判断が否定される場合(S702:No)、CPU10は処理を待機する。
【0072】
一方、S702の判断が肯定される場合(S702:Yes)、CPU10は、次に、移動後の指の接触領域を検出する(S703)。すなわち、タッチパネル17に対する指の接触状態が継続する場合に、その接触している領域である接触領域を検出する。
【0073】
次に、CPU10は、選択対象とされるファイルの数(すなわち、LCD16において表示対象とされる画像の数)が、閾値以上であるか否かを判断する(S705)。なお、この閾値は、ユーザにより設定される値であり、例えば、EEPROM14に予め記憶されている。本実施形態では、S705の判断が肯定されることを、減衰処理の作動条件とする。このようにすれば、選択対象とされるファイル数がそれほど多くない場合には、減衰処理を行わないことにより、ユーザ所望の表示順序のファイルに基づく画像を、より迅速に閲覧させることができる。なお、S705の判断においては、全ファイルの中から選択したいファイルを選択することが困難であるほどファイルの数が多いか否かを判断できればよく、例えば、全ファイルに基づく画像を順番に画像表示エリア30に表示していく場合に必要となるページ数が閾値以上であるか否かを判断するように構成しても良い。
【0074】
S705の判断が肯定される場合(S705:Yes)、CPU10は、スライドバー33の左端から現在の接触領域までの距離x(右方向へのドラッグ操作である場合)、または、スライドバー33の右端から現在の接触領域の距離x(左方向へのドラッグ操作である場合)のk倍の距離(k×x)だけ、スライドバー33の左端または右端から離隔した位置に、スライダ34を表示する(S712)。次に、CPU10は、スライダ34の位置に対応した表示順序を取得する(S713)。すなわち、S703により検出された接触領域に対応する表示順序を、第1目標表示順序とする場合、その第1目標表示順序と、タッチパネル17に指が接触する前に表示されていた画像に対応付けられた表示順序(起点表示順序)との間にある表示順序を、第2目標表示順序として取得する。次に、CPU11は、第1移動量を算出する(S714)。なお、第1移動量は図3を参照して説明したように算出しても良いが、固定値であっても良い。
【0075】
次に、CPU10は、スライダ34の移動後の位置に対応する表示順序に至るまでの画像を対象として、画像表示エリア30に表示される画像を、第1移動量で入れ替える追従処理を実行する(S715)。具体的には、上述したように、VRAM13におけるビットマップデータを、第1移動量に基づいて決まる時間間隔で更新する。次に、CPU10は、スライドバー33から指が離れたか否かを判断する(S716)。S716の判断が肯定される場合(S716:Yes)、CPU10は、スライダ操作取得処理(S610)を終了し、図6に示すS606に戻る。
【0076】
一方、S716の判断が否定される場合(S716:No)、CPU10は、スライドバー33内で指が1秒以上停止したか否か、すなわちドラッグ操作の終点において、指を停止する操作が1秒以上継続したか否かを判断する(S718)。S718の判断が否定される場合(S718:No)、CPU10はS703に戻り処理を繰り返す。なお、ドラッグ操作の終点において、指が停止し、且つ、その停止時間が1秒未満である間、S712によるスライダ34の表示位置は変わらない。そしてCPU10は、第2目標表示順序に至るまで、追従処理により画像の入替えを行う(S715)。なお、このフローチャートにおいて図示は省略しているが、画像表示エリア30における表示が、第2表示順序に至ると、CPU714は、S715の処理をスキップすることにより、画像の入替えを待機する。
【0077】
一方、S718の判断が肯定される場合(S718:Yes)、すなわち、スライダ34が表示された領域に指が接触した後、スライドバー33のうち、スライダ34が表示された領域とは異なる領域が接触状態となるドラッグ操作が行われ、そのドラッグ操作の終点が接触状態となってから所定時間(例えば、1秒)が経過した場合に、図8に示す処理に移行して、減衰処理を実行する。ユーザにとっては、ドラッグ操作の終点において指を所定時間以上停止するという簡単な操作で、MFP1に減衰処理を実行させることができ、操作性が良い。
【0078】
一方、S705の判断が否定される場合(S705:No)、CPU10は、次に、移動した指の位置にスライダ34を表示し(S706)、移動した指の位置に対応する表示順序の画像に至るまで、画像表示エリア30に表示する画像を、表示順序の順に入れ替える(S708)。なお、S708の処理における画像の入替えの速さは任意であるが、例えば、追従処理と同様に、第1移動量としてよい。
【0079】
次に、CPU10は、スライドバー33から指が離れたか否かを判断し(S710)、S710の判断が否定される場合(S710:No)、S702に戻り処理を繰り返す。一方、S710の判断が肯定される場合(S710:Yes)、スライダ操作取得処理(S610)を終了し、図6に示すS606に戻る。
【0080】
図8は、図7に示すスライダ操作取得処理(S610)の続きを示すフローチャートである。図8に示すフローチャートに従った処理により、CPU10は、減衰処理を実行する。
【0081】
まず、CPU10は、スライドバー33内で接触が検出されている電極の合計数を取得する(S802)。この電極の合計数は、接触領域の大きさを示す値である。次に、CPU10は、取得した電極数を操作中電極数として、操作中電極数メモリ12aに記憶する(S804)。次に、CPU10は、操作中電極数メモリ12aの値を基準電極数メモリ14aの値で除算した値を、電極数の変化率aとして算出する(S806)。
【0082】
次に、CPU10は、電極数の変化率aに対応する移動量変化率(第2の係数)を、移動量選定テーブルを参照して取得する(S807)。次に、CPU10は、図4を参照して説明したように、第1移動量に第1の係数と第2の係数を乗ずることで第2移動量を算出する(S808)。なお、第2移動量の初期値を固定値として、減衰処理中の各時点における第2移動量を求めることとしても良い。その場合、スライダ34と指の位置(すなわちドラッグ操作の終点)との間の距離を、距離x1として求め、第2移動量の初期値に、当該距離x1に基づく係数と移動量変化率を乗算することにより、第2移動量を求めてもよい。このようにすれば、距離x1と指の接触面積に応じた第2移動量を決めることができる。
【0083】
そして、CPU10は、第2目標表示順序のファイルから第1目標表示順序のファイルに至るまでのファイルに基づく画像を対象として、第2移動量で、画像表示エリア30に表示する画像を入れ替える減衰処理を実行する(S810)。具体的には、上述したように、VRAM13におけるビットマップデータを、第2移動量に基づいて決まる時間間隔で更新する。
【0084】
次に、CPU11は、表示される画像の表示順序に応じてスライダ34の位置を変更する(S812)。
【0085】
次に、CPU10は、上述した減衰停止操作が有ったか否かを判断する(S814)。S814の判断が肯定される場合(S814:Yes)、次に、スライダ34の位置と指の位置との関係が反転したか否かを判断する(S818)。すなわち、ユーザが、第1目標表示順序に対応したドラッグ操作の終点から、当該ドラッグ操作とは逆方向に指を移動させ、スライダ34の表示位置を通過させた場合、S818の判断が肯定される。この場合(S818:Yes)、CPU10は、図7に示すS706の処理に戻る。すなわち、指が接触された領域に対応する表示順序まで画像を表示順序の順に入れ替える、通常のスライド表示を行う。
【0086】
一方、S818の判断が否定される場合(S818:No)、すなわち、減衰停止操作のうち、ドラッグ操作の終点からユーザが指を離す操作、または、右スクロールキー31,左スクロールキー32およびスライドバー33以外の領域に、ユーザが指を接触させる操作があった場合、CPU10は、図6に示すS606に戻る。これにより、減衰処理が停止される。ユーザにとっては、所望のファイルを見つけた時点において、簡単な減衰停止操作を行うことにより、所望の表示順序で減衰処理を停止することができ、操作性が良い。
【0087】
一方、S814の判断が否定される場合(S814:No)、CPU10は、スライダ34が移動した指の位置(すなわちドラッグ操作の終点)に到達したか否かを判断する(S816)。S816の判断が否定される場合(S816:No)、CPU10は、S802に戻る。一方、S816の判断が肯定される場合(S816:Yes)、CPU10は、図6に示すS606に戻る。これにより、LCD16には、第1目標表示順序の画像が表示された状態で、減衰処理が停止される。
【0088】
上記実施形態においてファイルに基づく画像が表示情報の一例に相当し、LCD16が表示手段の一例に相当し、タッチパネル17が入力手段の一例に相当し、指が入力媒体の一例に相当する。S703を実行するCPU10が検出手段の一例に相当し、S713を実行するCPU10が取得手段の一例に相当し、スライダ操作取得処理(S610)を実行するCPU10が表示制御手段の一例に相当する。S715の追従処理が第1表示処理の一例に相当し、第1移動量が第1数の一例に相当する。S810の減衰処理が第2表示処理の一例に相当し、第2移動量が第2数の一例に相当する。S810を実行するCPU10が減衰手段の一例に相当する。S802の処理を実行するCPU10が数値取得手段の一例に相当する。S809の処理を実行するCPU10が調整手段の一例に相当する。S814の判断が肯定された後、表示更新処理を終わらすCPU10、または、S814の判断が肯定された後、S708を実行するCPU10が、停止手段の一例に相当する。S706,S712,S812を実行するCPU10が指標表示手段の一例に相当する。スライダ34が指標の一例に相当し、S705の判断に用いられる閾値が所定数の一例に相当する。
【0089】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
例えば、上記実施形態では、ユーザがスライダ34に触れた後、その指を引きずる操作(ドラッグ操作)が行われた場合に、そのドラッグ操作の終点に基づいて第2目標表示順序を決定し、減衰処理を実行するものとして説明した。しかしながら、減衰処理をMFP1に実行させるための具体的操作はこれに限られるものではない。例えば、スライドバー33におけるスライダ34と異なる位置にユーザが指を接触させる操作を行った場合や、その指の接触が継続したままでスライドバー33外にある第2の検出領域がタッチされたりボタンが押下された場合や、その位置における指の停止時間が所定時間以上となった場合や、その位置において指が離され、すぐに同じ位置が接触された(ダブルクリックされた)場合に、その接触位置に対応する表示順序を第1目標表示順序とし、スライドバー33の左端からその接触位置までの距離をxとし、図3に関しての説明と同様に、第1目標表示順序と起点表示順序との間にある表示順序を第2表示順序として取得し、減衰処理を実行するように構成しても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、ユーザの指の接触を検出するタッチパネル17を用いているが、ユーザの指の接近を検出するタッチパネルを用いても良い。具体的には、指先とタッチパネルとが接近(又は接触)した場合に、指とタッチパネルとが静電結合して、指とタッチパネルとの間の静電容量が変化することを利用した投影型静電容量方式のタッチパネルを用いても良い。また、指の接近(又は接触)を赤外線や電界で検知する方式のタッチパネルを用いても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、表示順序の昇順に画像が並べて表示されるものとして説明したが、表示順序の降順に画像が並べて表示される場合にも本発明は適用可能である。
【0093】
また、「単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が第1数(または第2数)となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する」の具体例としては、例えば、1画面に6つの画像が表示される構成において、単位時間が0.6秒間であって、第1数(第1移動量)が24である場合、表示順序1から12の表示情報を対象表示情報とし、そのうち前半の順序である表示順序1から6を含む画面に対応したビットマップデータを作成しVRAM13に記憶するという処理を行った後、次に、表示順序13から24を対象表示情報の表示順序とし、そのうち前半の順序である表示順序13から18に基づいてビットマップデータを作成しVRAM13に記憶するという処理を行い、次に、表示順序25から36を対象表示情報の表示順序とし、そのうち前半の順序である表示順序25から30に基づいてビットマップデータを作成しVRAM13に記憶するという処理を行うことにより、0.2秒毎にVRAM13を更新する構成としても良い。この場合、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序(例えば1〜6)と、単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序(例えば25〜30)との差は、「24」となる。なお、ここでいう差とは、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序のうち最小の値と単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示情報のうちの最小の値の差、または、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序のうち最大の値と単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示情報のうちの最大の値の差、として求めることができる値である。
【0094】
上記具体例のように、表示制御手段による制御は、対象表示情報のうち、LCD16には表示されない表示情報が存在する制御であっても良い。換言すれば、LCD16には表示されない表示情報であっても、対象表示情報としたものとみなす。すなわち、単位時間の最初に表示される。
【0095】
また、第2数(第2移動量)は、第1数よりも少なくさせられるが、その場合は、たとえば、表示順序1から9を対象表示情報の表示順序とし、そのうち前半の順序である表示順序1から6を含む画面に対応したビットマップデータを作成しVRAM13に記憶するという処理を行った後、次に、表示順序10から18を対象表示情報の表示順序とし、そのうち前半の順序である表示順序10から15に基づいてビットマップデータを作成しVRAM13に記憶し、次に、表示順序19から27を対象表示情報の表示順序とし、そのうち前半の順序である表示順序19から24に基づいてビットマップデータを作成しVRAM13に記憶するという処理を行うことにより、0.2秒毎にVRAM13を更新する構成としても良い。この場合、単位時間(0.6秒)の最初に表示される対象表示情報の表示順序(例えば1)と、単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序(例えば19)との差は、「18」となる。すなわち、表示制御手段は、対象表示情報とされる表示情報のうち、表示しない表示情報の数を少なくすることにより、第2数(第2移動量)が第1数よりも少なくなるように制御しても良い。また、VRAM13の更新を行う時間間隔を長くすることにより、第2数(第2移動量)が第1数よりも少なくなるように制御しても良い。
【0096】
また、MFP1は、3ページ分のビットマップデータ(すなわち、1度に6個の表示情報が表示される場合は、18個の表示情報を含む画像に対応するビットマップデータ)が展開されたメモリの先頭アドレスにアクセスし、アクセスしたアドレスから1ページ分のビットマップデータが示す画像を表示し、アクセスするアドレスを、表示画面の所定ライン分ずつ変更していくことで、表示画面をスクロールさせる構成であっても良い。この場合、MFP1において、単位時間=0.6秒間に、表示順序の差が第1数=30となるように画像を表示させる処理は、例えば以下の手順となる。まず、表示順序1〜6、7〜12、13〜18に基づいて3ページ分のビットマップデータを作成しメモリに記憶する。次に、そのメモリの先頭アドレスにアクセスして画面を表示し、アクセスするアドレスを後ろのアドレスまでずらしつつ画面を表示する。そして、0.3秒間でメモリに記憶される3ページ分のビットマップデータの表示を行ったら、次に、表示順序19〜24に基づく1ページ分のビットマップデータを作成しメモリの先頭アドレスから記憶する。すなわち、表示順序1〜6に基づくビットマップデータが記憶されていた領域に、表示順序19〜24に基づくビットマップデータを上書きする。さらに0.1秒経過したら、表示順序25〜30に基づく1ページ分のビットマップデータを作成しメモリの先頭アドレスから1ページ分のビットマップデータのメモリサイズ分後ろのアドレスから記憶する。さらに、0.1秒経過したら、表示順序31〜36に基づく1ページ分のビットマップデータを作成しメモリの先頭アドレスから2ページ分のビットマップデータのメモリサイズ分後ろのアドレスから記憶する。このように、MFP1が複数ページ分の画像を記憶するメモリを有し、表示制御手段が、1ページ分のビットマップデータを、0.1秒間隔で、メモリのアドレスをずらしながらメモリに記憶させるものであっても良い。この場合、単位時間(0.6秒)の最初に表示される対象表示情報の表示順序(例えば1〜30)と、単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序(例えば31〜36)との差は、「30」となる。
【0097】
また、第1数よりも少ない第2数で制御するためには、第1数での制御において、1ページ分のビットマップデータを0.1秒間隔で記憶させる処理を行っていたところを、第2数の制御においては、1ページ分のビットマップデータを記憶させる処理を、例えば、0.2秒間隔で行うように制御しても良い。
【0098】
また、「起点表示順序から第2表示順序に至るまでの表示情報を対象表示情報として、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が第1数(または第2数)となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する」の具体例としては、例えば、起点表示順序の表示情報を含む複数個の表示情報が表示順序の順に表示されている画面を、第2表示順序の表示情報を含む複数個の表示情報が表示順序の順に画面に切り替えるように、表示手段を制御することであっても良い。すなわち、起点表示順序と第2表示順序との間にある表示順序の表示情報のうち、表示されない表示情報が存在していても良い。この場合、起点表示順序の表示情報を含む複数個の表示情報が「単位時間の最初に表示される対象表示情報」に相当し、第2表示順序の表示情報を含む複数個の表示情報が「単位時間の最後に表示される対象表示情報」に相当する。
【0099】
また、上記実施形態では、ファイルに基づく画像が、表示情報の一例であったが、表示情報は表示順序が対応づけられた情報であればよく、例えば文字列であっても良い。例えば、画像表示エリア30に代えて、文字列で構成される複数の表示情報が表示されるエリアを設け、ユーザ操作に応じて、表示順序の順に表示する場合にも、本発明は適用し得る。
【符号の説明】
【0100】
1 MFP
11 CPU
16 LCD
17 タッチパネル
33 スライドバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示順序が対応づけられた表示情報を表示する表示手段と、
前記表示順序に対応する検出領域が備えられた入力手段と、
前記検出領域に入力媒体が接近または接触した接触状態である場合に、前記検出領域のうち入力媒体が接近または接触している領域である接触領域を検出する検出手段と、
その検出手段により検出される接触領域に対応する表示順序を第1目標表示順序とする場合、その第1目標表示順序と、前記接触状態が成立する前に前記表示手段に表示されていた表示情報に対応づけられた起点表示順序との間にある表示順序を、第2目標表示順序として取得する取得手段と、
前記起点表示順序から前記第2目標表示順序に至るまでの表示情報を対象表示情報として、単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が第1数となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する第1表示処理を実行し、前記第1表示処理が前記第2目標表示順序に対応する表示情報を前記対象表示情報とした後は、前記第1目標表示順序の表示情報に至るまでの表示情報を対象表示情報として、前記単位時間の最初に表示される対象表示情報の表示順序と前記単位時間の最後に表示される対象表示情報の表示順序との差が前記第1数よりも少ない第2数となるように前記対象表示情報を前記表示順序の順に表示するように前記表示手段を制御する第2表示処理を実行する表示制御手段とを備える表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第2表示処理の実行において、前記第2数を徐々に少なくする減衰手段を備えるものである請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記接触領域の大きさを示す値を取得する数値取得手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第2表示処理の実行において、前記数値取得手段によって取得される値に応じて、前記第2数を決定する調整手段を備えるものである請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第2表示処理の実行において、前記接触領域へ前記入力媒体が接近あるいは接触しなくなった場合、または、前記検出領域のうち前記接触領域とは異なる領域に前記入力媒体が接近あるいは接触する場合、前記第2表示処理を停止する停止手段を備える請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示手段に表示されている表示情報に対応する検出領域である対応検出領域を示す指標を表示する指標表示手段を備え、
前記表示制御手段は、前記対応検出領域において前記入力媒体が接近または接触した後、前記検出領域のうち前記対応検出領域とは異なる領域が前記接触状態となってから所定時間が経過した場合に、前記第2表示処理を実行するものである請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示手段において表示対象とされる表示情報の数が所定数以上であることを、前記第2表示処理の作動条件とする請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−76379(P2011−76379A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227313(P2009−227313)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】