説明

表示装置

【課題】画面に帯電した静電気を良好に除去することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、第1主表面を含む第1基板411と、第1主表面と対向する第2主表面と、第2主表面と反対側に位置する第3主表面とを含み、第1基板411と間隔をあけて配置された第2基板421と、第1基板411および第2基板421の間に位置し、液晶分子を含む液晶層430と、第1基板411に形成された第1電極412と、第1電極412と協働して、液晶分子の向きを制御可能な第2電極413と、第3主表面に向けて正イオンおよび負イオンを選択的に吹き付けるイオン放出モジュールと、第3主表面の電気的極性を検知可能な検知部とを備える。上記イオン放出モジュールは、第3主表面が負極に帯電しているときに第3主表面に向けて正イオンを吹きつけ、第3主表面が正極に帯電しているときに第3主表面に向けて負イオンを放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に液晶層を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の液晶表示装置が提案されており、特開2003−284766号公報などのように、近年使用者が操作を行う操作パネルを有するタッチ機能付き表示装置などが着目されている。
【0003】
液晶表示装置は、液晶分子含む液晶層と、対向電極および画素電極とを備え、対向電極および画素電極間に電圧を印加することで液晶分子の配列方向を制御し、画像を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−284766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような液晶層を含む表示装置においては、画面に蓄積された帯電電圧によって液晶層内の液晶分子の配列が変化する場合がある。液晶分子の配列が乱れると、画像が乱れてしまう。また、特開2003−284766号公報に記載された表示装置においては、画面の帯電電圧を考慮せずに、イオンを画面に吹き付けているため、画面に付着した静電気を十分に叙電することができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、画面に帯電した静電気を良好に除去することができる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、第1主表面と対向する第2主表面と、第2主表面と反対側に位置する第3主表面とを含み、第1基板と間隔をあけて配置された第2基板と、第1基板および第2基板の間に位置し、液晶分子を含む液晶層と、第1基板に形成された第1電極と、第1電極と協働して、液晶分子の向きを制御可能な第2電極と、第3主表面に向けて正イオンおよび負イオンを選択的に吹き付けるイオン放出モジュールと、第3主表面の電気的極性を検知可能な検知部とを備える。
【0008】
上記イオン放出モジュールは、検知部が前記第3主表面が負極に帯電していることを検知したときに前記第3主表面に向けて正イオンを吹きつけ、検知部が前記第3主表面が正極に帯電していることを検知したときに前記第3主表面に向けて負イオンを放出する。
【0009】
好ましくは、上記第2電極は第1基板に形成され、第1電極および第2電極は互いに間隔をあけて配置される。
【0010】
好ましくは、上記第2基板には、液晶層に含まれる不純物イオンを吸着可能な吸着層が形成される。
【0011】
好ましくは、上記イオン放出モジュールは、第3主表面の全面に向けて正イオンおよび負イオンの少なくとも一方を吹き付け可能とされる。
【0012】
好ましくは、上記第2基板に形成された第1配向膜をさらに備える。上記第1配向膜は、第1電極に加えられる電圧と同極の残留電圧を発生する第1残留電圧膜と、第1電極に加えられる電圧と異極の残留電圧を発生する第2残留電圧膜との少なくとも一方を含む。好ましくは、上記第1配向膜は、第2主表面を覆うように形成され、イオン放出モジュールは、第3主表面の全面に向けて正イオンおよび負イオンの少なくとも一方を吹き付け可能とされる。
【0013】
好ましくは、上記第3主表面には、第3主表面を覆うように複数の分割エリアが設定される。上記検知部は、分割エリアごとに設けられた帯電量検知センサを含む。上記イオン放出モジュールは、検知部からの出力に基づいて分割エリアのうち、所定の帯電量を超えた対象分割エリアを検知すると、対象分割エリアに向けて正イオンまたは負イオンを吹き付ける。
【0014】
好ましくは、上記イオン放出モジュールは、イオンの吹きつけ方向を調整可能とされる。好ましくは、上記第1基板は、第1主表面と対向する第4主表面を含む。上記第4主表面に向けて光を照射可能なバックライトモジュールをさらに備える。上記イオン放出モジュールは、送風機と、イオンを発生可能なイオン発生装置とを含む。上記送風機は、バックライトモジュールに向けて空気を送り出す。
【0015】
好ましくは、上記バックライトモジュールは、第1基板に向けて開口する有底状の筐体と、筐体の底面に配列する複数の光源と、筐体の開口部を覆うように配置された光学モジュールと、筐体内に設けられ、筐体内を複数の区画領域に仕切る仕切部材とを含む。表示装置は、区画領域内に設けられた検温部をさらに備える。上記イオン放出モジュールは、検温部からの出力に基づいて、所定温度以上となった区画領域に向けて空気を供給する。
【0016】
好ましくは、上記イオン放出モジュールは、第3主表面のうち、所定温度以上となった区画領域と対向する部分に向けて空気を送る。好ましくは、上記第1基板と、前記第2基板との間に設けられたタッチセンサをさらに備える。好ましくは、上記イオン放出モジュールは、殺菌作用を有するイオンを発生させ、該イオンは正イオン及び負イオンを含む。上記正イオンはH(HO)(mは任意の自然数)を含む。上記負イオンは0(H0)(nは任意の自然数)を含み、正イオンと負イオンとが反応してH又はOHラジカルを生成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る表示装置によれば、画面に帯電した静電気を良好に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液晶表示装置を備えたインフォメーションディスプレイ1の斜視図である。
【図2】液晶表示装置2の分解斜視図である。
【図3】液晶表示装置2の側断面図である。
【図4】裏ベゼル300およびLED301を示す斜視図である。
【図5】イオン放出モジュール10の詳細を示す断面図である。
【図6】液晶表示装置2の一部を模式的に示す正面図である。
【図7】液晶表示装置2の一部を模式的に示す正面図である。
【図8】表示パネル7の回路図を模式的に示した回路図である。
【図9】対向基板150側から表示パネル7の一部を平面視した平面図である。
【図10】アクティブマトリックス基板120に形成された出力用素子117などを示す平面図である。
【図11】図9のXI−XI線における断面を模式的に示す断面図である。
【図12】図9に示すXII−XII線における断面図である。
【図13】対向基板150が押圧されたときの表示パネル7の断面図である。
【図14】上部電極171が上層絶縁層136と接触する領域を模式的に示す平面図である。
【図15】本実施の形態に係る圧力センサ118の特性と、他の例としての圧力センサの特性とを比較するグラフである。
【図16】他の例としての圧力センサを備えた表示装置を示す断面図である。
【図17】イオン発生装置を模式的に示す斜視図である。
【図18】イオン発生装置を模式的に示す模式図である。
【図19】電極202,203に印加する電圧パルスを模式的に示すグラフである。
【図20】液晶表示装置を模式的に示す正面図である。
【図21】制御部9の制御フローを示すフロー図である。
【図22】分割エリア50Aを洗浄しているときにおける液晶表示装置を模式的に示す正面図である。
【図23】イオン放出モジュール10の変形例を示す断面図である。
【図24】図23に示すイオン放出モジュール10を示す正面図である。
【図25】本実施の形態2に係る液晶表示装置2を模式的に示す正面図である。
【図26】放出ユニット250を示す断面図である。
【図27】放出ユニット250を示す断面図である。
【図28】画面6aの全面に向けてイオンを吹き付けているときの状態を示す放出ユニットの正面図である。
【図29】特定の領域を殺菌するときにおける放出ユニットを示す正面図である。
【図30】本実施の形態3に係る液晶表示装置2を模式的に示す正面図である。
【図31】図30に示す液晶表示装置2の断面図である。
【図32】裏ベゼル300の斜視図である。
【図33】裏ベゼル300およびLEDモジュール310を示す平面図である。
【図34】LEDモジュール310の斜視図である。
【図35】制御部9のフロー図である。
【図36】液晶表示装置を模式的に示す正面図である。
【図37】表示パネル7を模式的に示す断面図である。
【図38】アクティブマトリックス基板410を平面視したときにおいて、画素電極412および共通電極413を模式的に示す平面図である。
【図39】吸着バリア層424および垂直配向膜425の構造を模式的に示す断面図である。
【図40】本実施の形態に係る液晶表示装置2に設けられた表示パネル7の断面図である。
【図41】アクティブマトリックス基板731を模式的に示す平面図である。
【図42】従来の表示パネルの対向電極704、液晶層733および画素電極705を模式的に示す模式図である。
【図43】画素電極に印加される電圧を示すグラフである。
【図44】画素電極に印加される電圧のグラフである。
【図45】本実施の形態6に係る液晶表示装置2の断面図である。
【図46】ファン500およびその周囲の構成を示す断面図である。
【図47】本実施の形態7に係るインフォメーションディスプレイ1を示す斜視図である。
【図48】液晶表示装置2の一部を示す平面図である。
【図49】制御部9の制御フローを示すフロー図である。
【図50】制御フローの変形例を示すフロー図である。
【図51】制御部9の制御フローの第2変形例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図51を用いて、本発明に係る表示装置について説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量、位置などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量、位置などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、液晶表示装置を備えたインフォメーションディスプレイ1の斜視図である。この図1に示すように、インフォメーションディスプレイ1は、液晶表示装置2と、液晶表示装置2を支持する土台部3とを備える。図2は、液晶表示装置2の分解斜視図である。本実施の形態に係る液晶表示装置2は、タッチ機能を有している。そして、液晶表示装置2に搭載された制御部は、画面に複数の分割領域を設定し、使用者のタッチ回数が所定回数を超えた分割領域に向けてイオンを吹き付けることで、短時間でかつ効率的に画面の清浄化を図る。
【0021】
そこで、液晶表示装置2の構成について詳細に説明する。図2に示すように、液晶表示装置2は、前面カバー4と、背面カバー5と、前面カバー4および背面カバー5の間に配置され、画面6aを有する液晶表示モジュール6と、前面カバー4に設けられた人感センサ11とを備える。
【0022】
前面カバー4は、枠状に形成されており、画面6aを外部から観察可能なように窓部が形成されている。背面カバー5は有底状に形成されており、液晶表示モジュール6を受け入れ可能とされている。
【0023】
液晶表示モジュール6は、表示パネル7と、表示パネル7に光を照射するバックライトモジュール8と、バックライトモジュール8および表示パネル7の駆動を制御する制御部9と、画面6aに向けてイオンを吹き付けるイオン放出モジュール10とを備える。バックライトモジュール8は、表示パネル7よりも背面カバー5側に位置している。表示パネル7は、略直方体形状とされており、画面6aは長方形形状となっている。
【0024】
人感センサ11は、前面カバー4の下辺に設けられており、表示パネル7の周囲に人がいるか否かを検知することができる。人感センサ11は、人間の所在を検知するためのセンサであり、赤外線、超音波、可視光などを利用することで人を検知することができる。
【0025】
図3は、液晶表示装置2の側断面図である。この図3に示すように、表示パネル7は、偏光板20と、偏光板20よりも正面側に位置するアクティブマトリックス基板120と、アクティブマトリックス基板120より正面側に配置された液晶層130と、液晶層130より正面側に配置された対向基板150と、対向基板150より正面側に配置された偏光板21と、表ベゼル30と、押え部材31とを含む。
【0026】
偏光板20は、バックライトモジュール8から照射される光から一方向に振動する振動成分を取り出す。
【0027】
アクティブマトリックス基板120は、ガラス基板と、対向基板150と対向するガラス基板の主表面に形成された複数のTFTトランジスタと、画素電極とを含む。
【0028】
対向基板150は、ガラス基板と、ガラス基板に形成されたカラーフィルタと、対向電極と、配向膜とを含む。液晶層130は、アクティブマトリックス基板120と対向基板150との間に封入されており、液晶層130内には、複数の液晶分子が存在する。
【0029】
偏光板21は、偏光板20を通過した振動成分と直交する方向の振動成分が通過可能なように形成されている。
【0030】
前面カバー4は、偏光板21の正面側の主表面の外周縁部を覆っている。偏光板21の主表面のうち、前面カバー4の窓部4aから露出する部分が画面6aであり、画像が表示される表示領域である。その一方で、偏光板21の主表面のうち、前面カバー4によって覆われている部分は、非表示領域である。
【0031】
押え部材31と表ベゼル30とは、偏光板20、アクティブマトリックス基板120、液晶層130、対向基板150、および偏光板21を挟み込み、各部材を固定している。表ベゼル30と押え部材31とは、互いにビスやボルトなどの固定部材32によって固定されている。
【0032】
表示パネル7は、タッチセンサを備えており、使用者が画面6aのどの位置をタッチしたかを検知可能なタッチセンサを内蔵しているが、このタッチセンサの構造を含め、アクティブマトリックス基板120や対向基板150の具体的な構成やその駆動状態については後述する。バックライトモジュール8は、有底状の裏ベゼル300と、裏ベゼル300の底面に配置された複数のLED(Light Emitting Diode)301と、裏ベゼル300の開口部を覆うように配置された積層シート群302とを含む。
【0033】
裏ベゼル300は、図示されない固定部材によって表ベゼル30に固定されている。複数のLED301は、図4に示すように、裏ベゼル300の底面にアレイ状に配置されている。図3において、LED301は、積層シート群302に向けて光を照射している。積層シート群302は、拡散シート303と、拡散シート303よりも正面側に配置された複数のプリズムシート304とを含む。
【0034】
積層シート群302は、裏ベゼル300と押え部材31とによって挟み込まれることで固定されている。
【0035】
押え部材31は、表示パネル7とバックライトモジュール8との間に入り込み、表示パネル7とバックライトモジュール8との間に隙間を形成している。表示パネル7とバックライトモジュール8とが仮に接触すると、ニュートンリングが形成される。そこで、偏光板20と、プリズムシート304との間には、たとえば、2mm程度の隙間が形成されている。図5は、イオン放出モジュール10の詳細を示す断面図である。この図5に示すように、イオン放出モジュール10は、ファン500と、背面カバー5に形成された吸気口501に接続され、ファン500に外気を供給する吸気管502と、ファン500の周囲の空気の流れを整流する整流板503とを備える。
【0036】
さらに、イオン放出モジュール10は、ファン500からの空気を画面6aに向けて吹き付ける送風管510と、送風管510内に設けられたイオン発生装置520と、送風管510の送風口511から画面6aに向けて吹出される空気の送風方向を調整する調整機構530とを備える。
【0037】
ファン500としては、たとえば、貫流ファンなどが採用されており、円柱状に形成されている。ファン500の周面には、複数のフィンが設けられている。
【0038】
吸気管502内には、フィルタ504が配置されている。整流板503には、取込口505が形成されており、ファン500が回転することで、吸気口501から取り込まれた外気は、取込口505を通ってファン500に達する。
【0039】
整流板503は、ファン500の周囲の空気の流れを整流し、ファン500から吹出された空気を送風管510に案内する。
【0040】
イオン発生装置520は、正イオンおよび負イオンを選択的に発生可能な装置であって、発生させたイオンは、ファン500からの空気流に乗って、送風管510内を流れる。
【0041】
イオンを含んだ空気は、送風口511から画面6aに向けて吹き付けられる。
調整機構530は、複数の第1ルーバ540と、第1ルーバ540の向きを調整するルーバ調整機構560とを含む。
【0042】
図6は、液晶表示装置2の一部を模式的に示す正面図であって、前面カバー4および整流板503を取り外し、背面カバー5、表ベゼル30の一部を省略した図である。
【0043】
この図6に示すように、第1ルーバ540は、表ベゼル30の下辺部に配置されている。第1ルーバ540は、背面カバー5の下辺部に沿って配列する複数の分割ルーバ550,551,552を含む。各分割ルーバ550,551,552は、各々複数のフィン541を含む。
【0044】
ルーバ調整機構560は、複数のスライドバ561,562,563と、各スライドバ561,562,563を背面カバー5の下辺部に沿ってスライド移動させるスライド機構564とを含む。
【0045】
スライドバ561は、分割ルーバ550のフィン541に接続されており、スライドバ562は、分割ルーバ551のフィン541に接続されている。スライドバ563は、分割ルーバ552のフィン541に接続されている。
【0046】
図5において、各フィン541は、軸部542を中心に回転可能に設けられている。フィン541は、当該フィン541に接続されたスライドバ561,562,563がスライド移動することで、軸部542を中心として回転する。
【0047】
このため、図6において、たとえば、スライドバ561がスライド移動することで、スライドバ561に接続された分割ルーバ550のフィン541が回転し、分割ルーバ550を通る空気の送風方向が変更される。
【0048】
同様に、スライドバ562がスライド移動することで、分割ルーバ551のフィン541が回転し、分割ルーバ551を通る空気の送風方向が変更される。スライドバ563がスライド移動することで、分割ルーバ552のフィン541が回転し、分割ルーバ552
を通る空気の送風方向が変更される。
【0049】
各フィン541は、表ベゼル30の下辺部に間隔をあけて複数配列しており、フィン541の間には、イオン発生装置520が配置されている。
【0050】
イオン発生装置520は、正イオンおよび負イオンを発生させる。イオン発生装置520で発生したイオンは、ファン500からの空気と共に、画面6aに向けて送り出される。
【0051】
図6に示す状態においては、分割ルーバ550、551,552は、空気およびイオンを表示パネル7の幅方向中央部に向けて案内している。
【0052】
また、図7に示すように、イオン放出モジュール10は、全てのフィン541を一様に上方に向けることで、画面6aの全面に均一に、空気およびイオンを案内することができる。
【0053】
図8から図16を用いて、タッチ機能を有する表示パネル7の構成について、説明する。図8は、表示パネル7の回路図を模式的に示した回路図である。この図8に示すように、表示パネル7は、アレイ状に配置された複数の画素110を備え、画素110は、複数のTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子115と、このTFT素子115に接続された画素電極114とを備える。
【0054】
表示パネル7は、第1方向に延びると共に、第2方向に間隔をあけて複数配置されたゲート配線112およびセンサ用ゲート配線113と、第2方向に延びると共に第1方向に間隔をあけて配置された複数のソース配線111とを備える。
【0055】
各ゲート配線112は、ゲートドライバ102に接続され、各ソース配線111は、ソースドライバ101に接続されている。センサ用ゲート配線113は、隣り合うゲート配線112間に配置され、第1方向に延びており、第2方向に間隔をあけて複数形成されている。各センサ用ゲート配線113は、センサドライバ103に接続されている。
【0056】
ソースドライバ101と、ゲートドライバ102と、センサドライバ103とは、制御部9に接続されている。そして、隣り合う2つのゲート配線112と、隣り合う2つのソース配線111とによって、画素110が規定されている。
【0057】
画素110内には、TFT素子115、選択用TFT素子116および圧力検知素子119が配置されている。TFT素子115のソース電極は、ソース配線111に接続され、TFT素子115のゲート電極はゲート配線112に接続されている。TFT素子115のドレイン電極には、画素電極114が接続されている。
【0058】
選択用TFT素子116のソース電極は、ソース配線111に接続されており、選択用TFT素子116のゲート電極は、センサ用ゲート配線113に接続されている。選択用TFT素子116のドレイン電極に圧力検知素子119が接続されている。
【0059】
圧力検知素子119は、選択用TFT素子116のドレイン電極に接続された出力用素子117と、この出力用素子117のゲート電極に接続された圧力センサ(圧力検出装置)118とを含む。出力用素子117は、選択用TFT素子116のドレイン電極に接続されたソース電極と、ソース配線111に接続されたドレイン電極と、圧力センサ118の下部電極に接続されたゲート電極とを含む。なお、選択用TFT素子116のソース電極が接続されたソース配線111は、出力用素子117のドレイン電極が接続されたソース配線111と隣り合う他のソース配線111である。
【0060】
ここで、選択用TFT素子116のON/OFFは、時分割で適宜切り替えられ、制御部9は、選択された選択用TFT素子116に接続された圧力検知素子119からの出力を検知する。具体的には、圧力検知素子119からの電気特性としての電流量を検知する。
【0061】
出力用素子117の出力は、出力用素子117のゲート電極に印加される電圧によって変動する。このゲート電極に印加される電圧は、ゲート電極に接続された圧力センサ118の下部電極の電位によって決定される。圧力センサ118の下部電極の電位は、もう一方の上部電極との間の容量によって決定される。上部電極と下部電極との間の容量は、上部電極が設けられた基板に加えられる押圧力によって変動する。すなわち、制御部9は、出力用素子117からの電流量から基板に加えられる押圧力を検知することができる。
【0062】
図9は、対向基板150側から表示パネル7の一部を平面視した平面図である。この図9に示すように、対向基板150は、カラーフィルタ基板151と、このカラーフィルタ基板151の下面に配置された対向電極152とを含む。
【0063】
カラーフィルタ基板151は、格子状に形成されたブラックマトリックス155と、このブラックマトリックス155の枠内に形成され、赤色、緑色、青色のそれぞれの色の着色感材からなる着色層153とを含む。なお、1つの画素110の上方に1つの着色層153が配置されている。
【0064】
対向電極152は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム酸化スズ)から形成された透明電極である。
【0065】
図10は、対向基板150下に位置するアクティブマトリックス基板120の平面図であり、この図10および上記図9において、ソース配線111およびゲート配線112は、ブラックマトリックス155下に位置している。そして、選択用TFT素子116および圧力検知素子119は、画素電極114に対してTFT素子115と反対側に配置されている。
【0066】
この図10に示すように、選択用TFT素子116は、半導体層123と、半導体層123およびソース配線111を接続するソース電極121と、センサ用ゲート配線113に接続されたゲート電極122と、ドレイン電極125とを備える。
【0067】
出力用素子117のソース電極183と、選択用TFT素子116のドレイン電極125とは、接続配線124によって接続されている。なお、本実施の形態においては、選択用TFT素子116の半導体層123と、出力用素子117の半導体層180とを切り離し、選択用TFT素子116のドレイン電極125と、出力用素子117のソース電極183とを接続配線124で接続しているが、ドレイン電極125とソース電極183とを接続するように半導体層123と、半導体層180とを一体としてもよい。
【0068】
図11は、図9のXI−XI線における断面を模式的に示す断面図である。なお、図11および後述する図12、図13等に示す断面図は、説明の便宜を図るため簡略化した断面図であり、各図における縦横比等は正確なものではない。
【0069】
図11に示すように、表示パネル7は、アクティブマトリックス基板120と、アクティブマトリックス基板120と対向するように間隔をあけて配置された対向基板150と、対向基板150およびアクティブマトリックス基板120の間に充填された液晶層(表示媒体層)130とを備える。なお、アクティブマトリックス基板120と対向基板150の間には、アクティブマトリックス基板120および対向基板150の間隔を所定の間隔に維持するスペーサ161が形成されている。
【0070】
なお、図11には、上記2つの偏光板20,22は、図示されていない。
対向基板150は、主表面を有するガラス基板156と、ガラス基板156の主表面に形成されたカラーフィルタ基板151と、このカラーフィルタ基板151下に形成された対向電極152とを含む。
【0071】
アクティブマトリックス基板120は、主表面(第1主表面)を有するガラス基板(第1基板)140と、ガラス基板140の上方に位置する画素電極114とを含み、このガラス基板140の主表面上にはTFT素子(スイッチング素子)115が形成されている。
【0072】
ガラス基板140の主表面上には、シリコン酸化層(SiO2層)、シリコン窒化層(SiN)、およびシリコン酸窒化層(SiNO層)等の絶縁層から形成された下地層131が形成されている。この下地層131の膜厚は、たとえば、0nm以上500nm以下とされ、好ましくは、0nm以上400nm以下とされる。
【0073】
TFT素子115は、下地層131の上面上に形成された半導体層132と、この半導体層132を覆うように形成されたゲート絶縁層133と、ゲート絶縁層133の上面上に形成されたゲート電極134と、半導体層132に接続されたドレイン電極137およびソース電極138とを含む。
【0074】
ゲート電極134は、ゲート絶縁層133の上面上であって、半導体層132の上方に位置している。ドレイン電極137は、ゲート電極134と間隔をあけて配置されている。ソース電極138は、ゲート電極134に対してドレイン電極137と反対側に位置している。ソース電極138は、ソース配線111に接続されており、ドレイン電極137は、画素電極114に接続されている。
【0075】
ゲート電極134に所定の電圧が印加されることで、TFT素子115がONとなり、ソース配線111およびソース電極138に所定の電圧が印加されることで、ドレイン電極137および画素電極114に所定の電圧が印加される。
【0076】
画素電極114に印加される電圧をTFT素子115が切り替えることで、画素電極114と、対向電極152との間に位置する液晶層130内の液晶分子の向きを制御する。液晶分子の向きを切り替えることで、バックライトユニットからの光が対向基板150の上面に配置された偏光板を通過する状態と対向基板150の上面に配置された偏光板によって遮光される状態とが切り替えられる。
【0077】
半導体層132は、たとえば、連続粒界結晶シリコン膜等が採用されており、半導体層132の膜厚は、たとえば、20nm以上200nm以下とされる。なお、半導体層132の膜厚は、好ましくは、30nm以上70nm以下程度とされる。
【0078】
ゲート絶縁層133は、たとえば、SiO2、SiN、SiNO等の絶縁層から形成されている。ゲート絶縁層133の膜厚は、たとえば、20nm以上200nm以下とされ、好ましくは、50nm以上120nm以下とされる。
【0079】
ゲート電極134は、たとえば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属層、または、これらを含む合金、または、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の元素を含む化合物等から形成された導電層とされている。ゲート電極134の膜厚は、たとえば、50nm以上600nm以下とされ、ゲート電極134の膜厚は、好ましくは、100nm以上500nm以下とされる。
【0080】
ゲート電極134を覆うように、ゲート絶縁層133の上面上には、層間絶縁層135が形成されている。層間絶縁層135は、たとえば、SiO2、SiN、およびSiNO
等の絶縁層から形成されている。層間絶縁層135の膜厚は、たとえば、100nm以上1000nm以下とされ、層間絶縁層135の膜厚は、好ましくは、100nm以上700nm以下とされる。
【0081】
ソース配線111は、層間絶縁層135の上面上に位置しており、ソース電極138はソース配線111に接続されている。ドレイン電極137も、層間絶縁層135の上面に達するように形成されている。
【0082】
ソース配線111、ソース電極138およびドレイン電極137は、たとえば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、チタン(Ti)等の金属層または、これらの金属層を順次積層して形成された積層金属層としてもよい。これらソース配線111等の膜厚は、たとえば、300nm以上1000nm以下とされ、ソース配線111等の膜厚は、好ましくは、400nm以上800nm以下とされる。
【0083】
層間絶縁層135の上面上には、ソース配線111を覆うように、上層絶縁層136が形成されている。上層絶縁層136は、SiO2、SiN、およびSiNO等の絶縁層から形成されている。上層絶縁層136の膜厚は、たとえば、50nm以上500nm以下とされ、上層絶縁層136の膜厚は、好ましくは、50nm以上200nm以下とされる。
【0084】
画素電極114は、上層絶縁層136の上面上に形成されている。画素電極114は、ITO等の透明導電層から形成されている。
【0085】
図12は、図9に示すXII−XII線における断面図である。この図12に示すように、ガラス基板140の主表面上には、下地層131が形成されており、この下地層131の上面上に出力用素子117が形成されている。
【0086】
出力用素子117は、下地層131上に形成された半導体層180と、半導体層180を覆うように形成されたゲート絶縁層133と、ゲート絶縁層133の上面のうち、半導体層180の上方に位置する部分に形成されたゲート電極181と、半導体層180に接続されたソース電極183およびドレイン電極182とを備える。
【0087】
ソース電極183は、ゲート電極181と間隔をあけて配置され、ドレイン電極182は、ゲート電極181に対してソース電極183と反対側に配置されている。
【0088】
層間絶縁層135は、ゲート電極181を覆うようにゲート絶縁層133の上面上に形成されている。
【0089】
ドレイン電極182は、ゲート絶縁層133、層間絶縁層135を貫通し、層間絶縁層135の上面に形成されたソース配線111に接続されている。ソース電極183も、ゲート絶縁層133および層間絶縁層135を貫通し、層間絶縁層135の上面に達するように形成されている。
【0090】
層間絶縁層135の上面には、下部電極172および接続配線124が形成されている。接続配線124は、図10に示す選択用TFT素子116のドレイン電極125に接続されている。下部電極172は、コンタクト184によって、ゲート電極181に接続されている。このため、ゲート電極181に印加される電圧は、下部電極172の電位によって決定される。
【0091】
下部電極172上には、上層絶縁層136が形成されている。下部電極172は、平坦面状に形成されている。上層絶縁層136のうち、少なくとも下部電極172上に位置する部分は、下部電極172の上面に沿って、平坦面状に形成されている。
【0092】
圧力センサ(圧力検出装置)118は、上記下部電極172と、この下部電極172の上方に位置する上部電極171とを含む。
【0093】
本実施の形態においては、上部電極171は、対向基板150に形成されており、上部電極171は、カラーフィルタ基板151の下側に形成された突起部170と、この突起部170の表面を覆うように形成された対向電極152とによって形成されている。
【0094】
突起部170は、たとえば、アクリル樹脂や可塑性樹脂などの弾性変形可能な材料で形成されている。突起部170をの弾性変形可能な導電性樹脂で形成してもよい。
【0095】
突起部170の高さは、たとえば、1μm以上10μm以下とする。突起部170の高さは、好ましくは、1.5μm以上5μm以下とする。
【0096】
この図12に示す例においては、対向電極152のうち、突起部170の頂点部に位置する部分が、上層絶縁層136に接触している。
【0097】
本実施の形態においては、突起部170は、突出方向に対して垂直な断面では、円形状となるように形成され、突起部170の表面は、滑らかな湾曲面状とされている。さらに、図9に示すように、突起部170は、間隔をあけて複数形成されている。
【0098】
突起部170の形状としては、上記のような形状に限られない。たとえ、複数の圧力センサ118の下部電極172に亘って延びるように突起部170を形成してもよい。また、突起部170の形状としては、断面形状が円形形状のものに限られず、さらに、外表面がなめらかな湾曲面に限られない。
【0099】
図13は、対向基板150が押圧されたときの表示パネル7の断面図である。この図13に示すように、ペンや人の指によって押圧されると、対向基板150のうち、押圧された部分およびその近傍がたわむ。
【0100】
ガラス基板156がたわむことで、上部電極171が下部電極172に近づく。上部電極171が下部電極172に近づくことで、上部電極171が上層絶縁層136に押圧され、突起部170が弾性変形し、上部電極171が下部電極172に沿って変形する。
【0101】
図14は、上部電極171が上層絶縁層136と接触する領域を模式的に示す平面図である。この図7において、領域R1は、図14中の破線によって囲われた領域であり、領域R2は、実線で囲われた領域である。領域R1は、対向基板150が押圧されていない状態(初期状態)における上部電極171と、上層絶縁層136との接触領域を示す。
【0102】
領域R2は、図13に示す状態における上部電極171と、上層絶縁層136との接触領域を示す。この図7に示すように、上部電極171が僅かに変位することで、上部電極171と上層絶縁層136の接触面積が非常に大きくなる。
【0103】
上部電極171が上層絶縁層136と接触した部分では、上部電極171と下部電極172とは、いずれも上層絶縁層136に接触しており、上部電極171と下部電極172と間の間隔は、上層絶縁層136の厚み分となる。
【0104】
具体的には、上部電極171の表面上に位置する対向電極152と、下部電極172との間の距離が、上層絶縁層136の厚み分となる。
【0105】
これにより、図13に示す状態における上部電極171および下部電極172によって規定される容量は、図12に示す初期状態における上部電極171および下部電極172によって規定される容量よりも遥かに大きくなる。
【0106】
図15は、本実施の形態に係る圧力センサ118の特性と、他の例としての圧力センサの特性とを比較するグラフである。
【0107】
なお、この図15に示すグラフにおいて、横軸は、上部電極のストローク量を示し、縦軸は、上部電極および下部電極間の容量変化率を示す。グラフの実線L1は、本実施の形態に係る圧力センサの特性を示し、破線L2は、他の例の圧力センサの特性を示す。
【0108】
図16は、他の例としての圧力センサを備えた表示装置を示す断面図である。この図16に示す他の例の圧力センサは、本実施の形態に係る圧力センサ118と異なり、突起部170を含まない。このため、他の例の圧力センサは、カラーフィルタ基板151の下面に平坦面状に形成された対向電極152と、下部電極172とを備える。
【0109】
なお、他の例における対向基板150と、アクティブマトリックス基板120との間の距離と、本実施の形態における対向基板150とアクティブマトリックス基板120との間の距離をいずれも、3.3μmとする。
【0110】
この他の例において、対向基板150が押圧されると、対向電極152が下部電極172に向けて近接する。そして、対向電極152と下部電極172との間の距離が小さくなることで、対向電極152と下部電極172との間の容量が大きくなる。
【0111】
そして、上記図15に示すように、上部電極の変位量(ストローク量)が小さいときには、他の例の圧力センサの容量変動率は、本実施の形態に係る圧力センサ118の容量変動率よりも小さい。
【0112】
他の例に係る圧力センサでは、対向基板150に加えられる押圧力が小さいときには、正確に容量の変動を検知することが困難であり、加えられた圧力を正確に検知することが困難なものとなっている。
【0113】
その一方で、図15に示すように、本実施の形態に係る圧力センサ118においては、上部電極のストローク量が小さい場合でも、容量変化率が大きいことが分かる。このため、本実施の形態に係る圧力センサ118においては、上部電極のストローク量が小さい場合でも、図15に示すゲート電極181に印加する電圧を大きく変動させることができる。これにより、制御部が加えられた押圧力を正確に加えられた押圧力を検知することができる。
【0114】
他の例の圧力センサは、ストローク量が所定値を超えると、急激に容量変化率が大きくなる。容量が急激に変化する範囲では、上部電極と下部電極との間が僅かに縮んだときでも、容量が急激に変化する。このため、容量が急激に変化する範囲では、出力用素子のゲート電極に印加される電圧も急激に変化し、出力用素子117からの電流量も大きく変動する。このため、制御部は、正確な押圧力を算出することは困難である。
【0115】
その一方で、本実施の形態に係る圧力センサ118は、ストローク量が大きくなっても、容量変化率は略一定である。このように、本実施の形態に係る圧力センサ118においては、容量の変化率が略一定であるので、上部電極および下部電極間の容量から加えられた圧力を算出し易く、加えられた圧力を正確に算出することができる。
【0116】
このように、本実施の形態に係る圧力センサ118は、下部電極172と、この下部電極172から間隔をあけて配置されると共に、下部電極と対向するように配置された上部電極171と、上部電極171および下部電極172の間に形成された上層絶縁層(絶縁層)136とを備え、上部電極171が弾性変形可能な突起部170の表面上に形成されている。突起部170が上層絶縁層136と当接し、さらに上層絶縁層136に押圧されることで、突起部170上の対向電極152が下部電極172に沿うように変形する。そして、下部電極172と上部電極171との間の容量は、所定の大きさで一定の変化率を保って変化する。このため、出力用素子117からの電流量を検知することで、上部電極171および下部電極172間の容量を検知することができ、加えられた圧力を正確に算出することができる。
【0117】
このように、本実施の形態1に係る表示パネル7においては、容量変動を正確に出力することができる圧力センサ118を搭載しているため、対向基板150が大きく撓まなくても、対向基板150に加えられた押圧力を正確に算出することができる。これにより、対向基板150のガラス基板156の厚さをガラス基板140よりも厚く形成したとしても、加えられた押圧力を算出することができる。このため、対向基板150の剛性を高めることができる。
【0118】
なお、図16を用いて、図13などに示す圧力センサの優位性について説明したが、図16に示す圧力センサを除外するものではなく、図16に示す他の例としての圧力センサを採用したとしてもよい。
【0119】
さらに、図13に示す例においては、圧力センサの上部電極は、対向電極と一体的に形成されているが、上部電極と対向電極とを別体としてもよい。
【0120】
図17から図19を用いて、イオン発生装置520について説明する。本実施の形態に係る液晶表示装置2に搭載されたイオン発生装置520は、「殺菌性能」を高めた設定と、「除電性能」を高めた設定とを切り替え可能とされている。
【0121】
そこで、まず、「殺菌性能」を高めた設定と、「除電性能」を高めた設定とを切り替え方法の概要について説明する。
【0122】
イオン発生装置520は、正イオンと負イオンとを交互に生成し、生成された正イオンおよび負イオンは、ファン500からの空気の送風方向205に沿って流れる。この結果、正イオンが密な空気領域207と、負イオンが密な空気領域208とが送風方向205に交互に形成される。イオン発生装置520は、空気領域207の中心と空気領域208の中心と間の距離Lを調整することで、「殺菌性能」を高めた設定と、「除電性能」を高めた設定とを切り替えている。
【0123】
ここで、「殺菌性能」とは、細菌、ウィルスもしくはアレルゲンに作用して、その活動もしくは作用を抑制する性能または有害化学物質等を変性させて有害性を抑制する性能をいい、「除電性能」とは、壁面や衣服等の物体に付着した菌や塵芥を、静電気を除去することによりその物体から離脱させることをいう。また、「殺菌性能を高めた設定」とは、殺菌性能および除電性能の両性能を有するが、より殺菌性能が高い設定を意味し、「除電性能を高めた設定」とは、殺菌性能および除電性能の両性能を有するが、より除電性能が高い設定を意味する。
【0124】
これらの設定間の切り替えは、空気領域207と空気領域208の配置の距離を変化させることにより行なう。すなわち、空気領域207と空気領域208の配置の距離に関して、殺菌性能を高めた設定における空気領域207と空気領域208の配置の距離をL1、除電性能を高めた設定における空気領域207と空気領域208の配置の距離をL2とした場合に、L1とL2とを切り替えることにより殺菌性能を高めた設定と除電性能を高めた設定とを切り替える。
【0125】
本発明においては、L1<L2となるように空間へイオンを放出することが好ましい。本発明では、L1は概して1μm〜1mm未満の範囲の値に設定され、L2は、概して1mm〜1000mmの範囲の値に設定される。
【0126】
このように、「殺菌性能」を高めた設定と、「除電性能」を高めた設定とを切り替え可能とされたイオン発生装置520の構成について説明する。
【0127】
イオン発生装置520は、アルミナ誘電体201と、アルミナ誘電体201内に埋め込まれた電極202と、アルミナ誘電体201の表面に形成された電極203と、電極202および電極203に電圧を印加する高圧交流電圧パルス発生部204とを含む。
【0128】
高圧交流電圧パルス発生部204は、正および負からなる電圧を周期的に交流パルスとして印加する。印加される電圧および尖頭値電圧は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、電圧は周波数20kHz、尖頭値電圧は正負それぞれ3kVである。
【0129】
電極202,203に上記のような電圧が印加されることで、電極202から正イオンおよび負イオンとが、20Hzの周期で交互に空間に放出される。
【0130】
正イオンとしては、H+(H2O)、負イオンとしては、O2-(H2O)(m、nは自然数)を主たる成分として含むイオンを発生するが、一般に放電電極から放出されるイオンは、放電電圧と電極構造を調整することによりイオン種を変更することが可能である。
【0131】
したがって、本明細書中における「正イオン」とは、上記イオンH+(H2O)だけでなく、たとえばH2+、H3+、N2+、O2+、CO2+などを含む概念であり、本明細書中における「負イオン」とは、上記イオンO2-(H2O)nだけでなく、たとえばOH-、H2-、O3-、O2-、N2-、NO2-、NO3-、CO2-、CO3-などを含む概念である。
【0132】
このように、殺菌作用を有するイオンは、正イオンとしてH+(H2O)m、負イオンとしてO2-(H2O)nを主体とするイオンを好適に用いることができる。これらのイオンは、浮遊菌や浮遊ウィルスの表面で化学反応して活性種としてのラジカル[・OH]又は過酸化水素[H22]を生成し、浮遊菌や浮遊ウィルスの表面のタンパク質から水素原子を引き抜くことにより浮遊菌の殺菌や浮遊ウィルスの不活化が行われる。
【0133】
放出された負イオンおよび正イオンは、それぞれ、ファン500からの空気の送風方向205に送り出される。
【0134】
その結果、正イオンが密な空気領域207と、負イオンが密な空気領域208とが周期的に重ね合わせた状態で順次送り出される。
【0135】
たとえば、「殺菌性能」を高めるときには、電極202および電極203に印加される電圧の周波数を20Hzとする。このとき、正イオンと負イオンとが放出され周期は、25μ秒となる。
【0136】
電極202,203の近傍における空気の流速は、たとえば、1m/秒のときには、正イオンが密な空気領域207と負イオンが密な空気領域208との間隔L1は0.025mmとなる。
【0137】
このように、放電装置が放出する正負イオンにより形成される正イオンが密な空気領域と負イオンが密な空気領域の配置の距離L1は、比較的小さいことから空気中でイオンの結合が急速に進み、イオンすなわち荷電粒子の結合により発生した結合エネルギーあるいは発生したラジカルのエネルギーが浮遊菌もしくは浮遊菌が付着した塵芥等に作用し、殺菌もしくは変性作用が大きくなる。
【0138】
次に「除電性能」を高めるときには、電極202および電極203に印加する周波数を小さくする。図19は、電極202,203に印加する電圧パルスを模式的に示すグラフである。
【0139】
この図19において、「A」は、「殺菌性能」を高めた状態における電圧パルスを示し、「B」は、「除電性能」を高めた状態における電圧パルスを示す。
【0140】
このように電極202,203に印加する電圧の周波数を変更することで、空気領域207および空気領域208の間の距離を広げることができ、「除電性能」を高めることができる。
【0141】
なお、「除電性能」を高めた設定において、電極202および電極203に、正の電圧パルスを供給したり、負の電圧パルスを供給することで、正イオンのみを発生させたり、負イオンのみを発生させたりすることができる。
【0142】
図20は、液晶表示装置を模式的に示す正面図であり、図21は、制御部9の制御フローを示すフロー図である。
【0143】
上述のように、本実施の形態に係る液晶表示装置2は、画面6aに向けてイオンを吹き付けるイオン放出モジュール10と、イオン放出モジュール10の駆動を制御する制御部9と、画面6aの周囲に人がいるか否かをセンシング可能な人感センサ11とを備える。
【0144】
イオン放出モジュール10は、「除電性能」および「殺菌性能」を切り替え可能なイオン発生装置520と、ファン500と、ファン500からの空気およびイオンの流れる方向を制御する第1ルーバ540とを含む。
【0145】
制御部9は、液晶表示装置2が駆動しているかを判断する(STEP1)。液晶表示装置2が駆動しているときには、タッチ回数が所定回数を超えた対象分割エリアがあるか否かを判断する(STEP2)。なお、所定回数とは、適宜変更可能であり、1回であってもよい。なお、制御部9は、分割エリア50ごとにタッチ回数を記憶し、所定のタッチ回数を超えた分割エリア50を対象分割エリアとする。
【0146】
具体的には、制御部9は、画面6aに複数の分割エリア50を設定する。図20に示す例においては、画面6aに10個の分割エリア50が設定されているが、分割エリア50の設定個数としては、これに限られない。なお、各分割エリア50には、各々、帯電センサ440が設けられている。
【0147】
制御部9は、圧力センサ118からの出力信号に基づいて、各分割エリア50ごとにタッチされたタッチ回数を記憶する。
【0148】
制御部9は、タッチ回数が予め設定されたタッチ回数を超えた対象分割エリアを検知すると、イオン放出モジュール10を殺菌駆動させる。なお、タッチ回数を超えた対象分割エリアがなかったときには、周囲に人がいるのかいないのかを判断する。
【0149】
殺菌駆動においては、制御部9は、タッチ回数が所定回数を超えた対象分割エリアにイオンが吹き付けられるように、第1ルーバ540を駆動する。
【0150】
たとえば、図22においては、分割エリア50Aのタッチ回数が所定回数を超えた対象分割エリアとする。この場合には、イオン放出モジュール10は、各分割ルーバ550、551,552を分割エリア50Aに向ける。さらに、制御部9は、イオン発生装置520を「殺菌性能」を高めた殺菌設定とする。これにより、分割エリア50Aが積極的に清浄化される(STEP3)。
【0151】
制御部9は、人感センサ11からの出力に基づいて、液晶表示装置2の周囲に人がいるかいないを検知する(STEP4)。
【0152】
制御部9は、人を検知すると、イオン放出モジュール10の殺菌駆動を停止して、イオン放出モジュール10を除電駆動させる。
【0153】
除電駆動においては、制御部9は、図20に示すように、イオンが画面6aの全面に略均一に吹き付けられるように、第1ルーバ540を駆動する。さらに、制御部9は、イオン発生装置520の設定を「除電性能」が高められた設定に切り替える(STEP5)。この際、制御部9は、帯電センサ440からの出力に基づいて、画面6aが負極に帯電している場合には、正イオンを画面6aに供給する。また、画面6aが正極に帯電している場合には、負イオンを画面6aに供給する。
【0154】
これにより、画面6aの表面に付着した静電気を除去することができ、人の衣服や人が通ることで巻き上げられる埃等が画面6aに付着することを抑制することができる。
【0155】
さらに、画面6aに付着した静電気を除去することで、圧力センサ118を誤作動することを抑制することができるが、その詳細については、後述する。
【0156】
制御部9は、「除電駆動」が所定時間経過するまで、「除電駆動」を継続する(STEP6)。
【0157】
制御部9は、「除電駆動」を所定時間、継続した後、「除電駆動」を行う前に、「殺菌駆動」を行っていたかを判断する(STEP7)。「除電駆動」前に「殺菌駆動」を行っていなかったときには、上記「STEP1」に戻る。
【0158】
制御部9は、「除電駆動」前に「殺菌駆動」を行っていた場合には、「殺菌駆動」の駆動時間のトータル時間が所定時間を越えているかを判断する(STEP8)。そして、トータル時間が所定時間を越えていない場合には、「殺菌駆動」を行う。
【0159】
そして、「殺菌駆動」のトータル駆動時間が所定時間を越えているときには、上記の
「STEP1」に戻る。
【0160】
このように、本実施の形態1に係る液晶表示装置2によれば、タッチ回数が所定のタッチ回数をこえた分割エリア50を清浄化することができる。さらに、画面6aに埃等が付着することを抑制することができる。また、画面6aに表示された操作部に向けて積極的にイオンを吹き付けることで、画面6aのうち、使用者がタッチする可能性の高い領域を洗浄することができる。
【0161】
さらに、後述するように、画面6aに付着した静電気を除去することで、図12に示す圧力センサ118の誤作動を抑制することができる。
【0162】
図5において、画面6aに付着する静電気は、画面6aに均一に分布するケースは少なく、静電気の分布にもばらつきが生じる。その結果、たとえば、対向電極152の位置によって、対向電極152に蓄積される電荷量に差が生じる。対向電極152の位置によって蓄積される電荷量に差が生じると、各下部電極172ごとに蓄積される電荷量にも差が生じる。
【0163】
下部電極172ごとに蓄積される電荷量に差が生じると、たとえば、使用者が画面6aをタッチしていなくても、出力用素子117にON電流が流れたり、使用者が画面6aをタッチしても、出力用素子117にON電流が流れなかったりする。
【0164】
これに対して、本実施の形態1に係る液晶表示装置2においては、画面6aに付着した静電気を除電することができるため、圧力センサ118の誤作動を抑制することができる。さらに、圧力センサ118の出力性能にばらつきが生じることも抑制することができ、対向基板150に加えられた圧力を正確に検知することができる。
【0165】
なお、本実施の形態1においては、タッチセンサとして、圧力センサ118を搭載した例について説明したが、タッチセンサとしてはこれに限られない。
【0166】
たとえば、下部電極172と、使用者との指との間で生じる容量をセンシングする容量変動式のタッチセンサにも適用することができる。
【0167】
この容量変動式のタッチセンサにおいても、画面6aに分布する静電気の分布によっては、正確に指と下部電極172との間の容量変動を検知することができなくなる場合がある。そこで、画面6aに付着した静電気を除電することで、この容量変動式のタッチセンサであっても、正確に容量変動を検知可能となる。
【0168】
図23は、イオン放出モジュール10の変形例を示す断面図である。図24は、図23に示すイオン放出モジュール10を示す正面図である。
【0169】
図23および図24に示す例においては、イオン放出モジュール10は、第1ルーバ540とは、別に第2ルーバ555を含み、送風管510の終端部には、末広部512が形成されている。
【0170】
図24に示すように、第2ルーバ555の両端には、第2ルーバ555を回転させるための回転機構566が設けられている。
【0171】
第2ルーバ555の回転角度を調整することで、ファン500からの空気およびイオン発生装置520で生成されたイオンの送り出し方向を調整することができる。具体的には、イオン放出モジュール10から吹出される空気の送風方向570と、画面6aとのなす角度を調整することができる。
【0172】
たとえば、画面6aのうち、イオン放出モジュール10の吹出口の近傍に位置する領域に、集中的にイオンを吹き付けたい場合には、図23に示す送風方向570と画面6aとの成す角度が大きくなるように第2ルーバ555を回転させる。
【0173】
その一方で、画面6aのうち、イオン放出モジュール10の吹出口から離れた領域に向けてイオンや空気を吹き付けたいときには、送風方向570と画面6aとのなす角度が小さくなるように、第2ルーバ555を回転させる。
【0174】
さらに、画面6aのみならず、液晶表示装置2の周囲の空気の清浄化を積極的に図りたい場合には第2ルーバ555が末広部512の内壁面と接触する程度まで第2ルーバ555を回転させる。これにより、イオン発生装置520によって生成されたイオンが広い範囲に亘って広がり、液晶表示装置2の周囲の空気の清浄化をより積極的に図ることができる。
【0175】
なお、タッチ回数が所定回数を超えた分割エリア50に集中的にイオンを吹き付ける場合について説明したが、画面6aに表示されるボタンやピクトグラムなどの操作部にイオンを特定の領域に集中的に吹き付けるようにしてもよい。制御部9は、画面6aに表示する画像データを格納しており、表示する操作部の大きさおよび座標位置に関するデータを有している。そこで、制御部9は、このような画像データに基づき画面6aに表示するボタンなどの操作部に向けて集中的にイオンを吹き付けるように、イオン放出モジュール10を駆動するようにしてもよい。
【0176】
(実施の形態2)
図25から図29および適宜図1から図24を用いて、本実施の形態2に係る液晶表示装置2について説明する。なお、図25から図29に示す構成のうち、上記図1から図24に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0177】
図25は、本実施の形態2に係る液晶表示装置2を模式的に示す正面図である。この図25に示すように、イオン放出モジュール10は、複数の放出ユニット250を含む。
【0178】
放出ユニット250は、表ベゼル30の下辺部に間隔をあけて複数配置されている。図26は、放出ユニット250を示す断面図である。この図26に示すように、放出ユニット250は、筒状に形成された放出筒251と、放出筒251内に設けられた電極252および電極253と、放出筒251内の空気を圧縮して、放出筒251から外部に圧縮空気を噴出させる空気圧縮装置255とを含む。
【0179】
電極252および電極253には、所定の周期のパルス電圧が印加され、コロナ放電により放出筒251内にイオンを発生させる。
【0180】
空気圧縮装置255は、放出筒251内に移動可能に配置された仕切板260と、仕切板260の背面側に配置された磁性体262と、仕切板260の背面に接続された磁性体262と、仕切板260の正面側に配置されたスプリング263とを含む。
【0181】
仕切板260は、放出筒251内の空間をイオン充填室270と、駆動室271とに区画するように配置されている。
【0182】
仕切板260には、貫通孔265および貫通孔266が形成されており、貫通孔265には電極252が挿入され、貫通孔266には電極253が挿入されている。電極252および電極253の各先端部は、イオン充填室270内に位置している。
【0183】
このため、電極252および電極253によって生成された正イオンおよび負イオンは、イオン充填室270内に充満する。
【0184】
コイル261および磁性体262は、駆動室271内に配置されている。コイル261は、電磁コイルであり、コイル261に供給する電流の向きを切り替えることで、コイル261と磁性体262との間で生じる吸引力および反発力を切り替えることができる。
【0185】
たとえば、コイル261と磁性体262とが反発するように、コイル261に電流を供給すると、仕切板260は、スプリング263からの付勢力に抗して、開口部256に近接する方向に移動する。
【0186】
また、コイル261と磁性体262とが互いに引き合うように、コイル261に電流を供給することで、仕切板260は、開口部256から離れるように移動する。
【0187】
この結果、コイル261に供給する電流の流れを周期的に切り替えることで、仕切板260は、振動方向272に振動する。
【0188】
ここで、図27に示すように、仕切板260が開口部256に近接するように移動することで、イオン充填室270内の空気は圧縮され、開口部256からは圧縮空気が噴出する。この際、イオン充填室270内には、コロナ放電によって生成されたイオンが充満しており、イオン充填室270内のイオンも、圧縮空気と共に、開口部256から外部に押し出される。
【0189】
圧縮空気が、開口部256から噴出される際には、旋回方向280に旋回流が発生する。この結果、開口部256から押し出された空気によって、リング状の空気塊275が形成される。そして、リング状の形状を保った状態で、送風方向570に変位していく。
【0190】
この際、電極252および電極253に供給する電流の周波数と、仕切板260の振動周波数とを同期させることで、開口部256から吹出す空気塊275内に含有されるイオン種を任意に選択することができる。これにより、たとえば、正イオンを多く含む空気塊275と、負イオンを多く含む空気塊275とを交互にふきださせることも可能となる。
【0191】
放出ユニット250は、コイル261に供給する電流量および電圧を調整することで、開口部256から吹出す空気塊275の吹出し速度を調整することができる。
【0192】
たとえば、コイル261に供給する電流量や電圧を高くすると、仕切板260の変位速度を高めることができ、空気塊275の吹出し速度を高めることができる。その一方で、コイル261に供給する電流量および電圧を低くすると、空気塊275の吹出し速度を高めることができる。
【0193】
図28および図25を用いて、画面6aに付着した静電気を除去するときについて説明する。図28に示すように、放出ユニット250Aおよび放出ユニット250Bは、各送風方向570が平行となるように配置される。
【0194】
そして、図27に示すコイル261に供給する電流量や電圧は周期的に変動し、空気塊275の吹出し速度は周期的に速くなったり、遅くなったりする。
【0195】
空気塊275の吹出し速度が遅いときには、空気塊275は、画面6aの下辺部周辺で周囲に広がり、空気塊275に含まれるイオンも画面6aの下辺部周辺で広がる。
【0196】
空気塊275の吹出し速度が速いときには、空気塊275は、画面6aの上辺部周辺で周囲に広がり、空気塊275に含まれるイオンも画面6aの上辺部周辺で周囲に広がる。
【0197】
このように、コイル261に供給する電流量および電圧を周期的に変動させることで、画面6aの全面に略均等にイオンを吹き付けることができる。これにより、画面6aに付着した静電気を除電することができる。
【0198】
図29を用いて、画面6aの特定の領域を殺菌するときのイオン放出モジュール10の駆動について説明する。なお、図29においては、説明を分かりやすくするために、2つの放出ユニット250A,250Bに着目して説明する。
【0199】
図29に示すように、放出ユニット250A,250Bは、互いの送風方向570A,570Bが、除菌する対象分割エリアで交差するように配置される。
【0200】
さらに、放出ユニット250Aから吹出される空気塊275Aに含まれるイオンの極性と、放出ユニット250Bから吹出される空気塊275Bに含まれるイオンの極性は互いに異なるように、放出ユニット250A,250Bの電極に電流が供給される。
【0201】
そして、殺菌する領域で空気塊275Aと空気塊275Bとが互いに混ざり合い、各
空気塊275A,275Bに含まれるイオン同士が結合する。
【0202】
そして、結合エネルギーあるいは発生したラジカルのエネルギーが浮遊菌もしくは浮遊菌が付着した塵芥等に作用し、画面6aが殺菌される。
【0203】
ここで、上述のように、放出ユニット250Aおよび放出ユニット250Bのコイル261に供給する電流量を多くしたり、電圧を高くすることで、空気塊275Aと空気塊275Bとが交じり合う位置を250A,250Bから大きく離すことができる。
【0204】
このため、画面6aが大画面であったとしても、画面6aの任意の位置を殺菌することができる。
【0205】
(実施の形態3)
図30から図34を用いて、本実施の形態3に係る液晶表示装置2について説明する。なお、図30から図34に示す構成のうち、上記図1から図29に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0206】
図30は、本実施の形態3に係る液晶表示装置2を模式的に示す正面図である。なお、この図30においても、前面カバー4を取り外し、さらに、表ベゼル30や背面カバー5の一部を省略している。図31は、図30に示す液晶表示装置2の断面図である。
【0207】
ここで、本実施の形態3に係る液晶表示装置2は、画面6aを含む表示パネル7と、この表示パネル7光を照射するバックライトモジュール8と、イオン放出モジュール10と、イオン放出モジュール10や表示パネル7の駆動を制御する制御部9と、人感センサ11とを備える。
【0208】
イオン放出モジュール10は、ファン500と、ファン500からの空気を画面6aに案内する送風管510と、バックライトモジュール8に案内する送風管610と、ファン500からの空気の流通経路を切り替える切替装置620とを含む。
【0209】
切替装置620は、ファン500からの空気をバックライトモジュール8に選択的に供給して、バックライトモジュール8の冷却を図る。さらに、切替装置620は、人感センサ11が人を検知したときには、ファン500からの空気を画面6aに案内する。
【0210】
送風管510には、イオン発生装置520が設けられており、画面6aには、イオン発生装置520によって生成されたイオンが吹き付けられる。
【0211】
これにより、本実施の形態3に係る液晶表示装置2においても、上記実施の形態1係る液晶表示装置2と同様に、画面6aに埃などの異物が付着することを抑制することができ、さらに、画面6aを殺菌洗浄することができる。さらに、周囲の空気の洗浄も図ることができる。
【0212】
そこで、バックライトモジュール8をも冷却可能なイオン放出モジュール10の構成について詳細に説明する。
【0213】
図31に示すように、イオン放出モジュール10は、上述のように、ファン500からの空気を切り替える切替装置620を含み、切替装置620は、送風管510の開口部に設けられた切替弁621と、送風管610の開口部に設けられた切替弁622とを含む。
【0214】
切替弁621が開状態となることで、ファン500からの空気は画面6aに案内される。また、切替弁622が開状態となることで、ファン500からの空気は、送風管610に案内される。
【0215】
送風管610には裏ベゼル300に設けられた開口部630,631,632,633が面しており、開口部630,631,632,633には、開閉弁640,641,642,643が設けられている。
【0216】
図32は、裏ベゼル300の斜視図である。この図32に示すように、裏ベゼル300は、背面壁部650と、この背面壁部650の外周縁部に形成された周壁部651と、裏ベゼル300内の空間を複数の区画部660に仕切る仕切部材652とを含む。
【0217】
この図32に示すように、区画部660は、上下に2列配置されており、上列および下列は、それぞれ、5つの区画部660が配列している。
【0218】
下列に位置する各区画部660には、周壁部651の下壁部に形成された開口部630と、背面壁部650に形成された開口部631とが形成されている。各開口部630には、開閉弁640が設けられており、各開口部631には、開閉弁641が設けられている。
【0219】
上列に位置する各区画部660には、背面壁部650に形成された開口部632と、周壁部651の上壁部に形成された開口部633とが形成されている。
【0220】
このため、開閉弁640〜644の開閉を制御することで、特定の区画部660にファン500から空気を送り込むことができる。
【0221】
ここで、図32および図30において、画面6aに設定された分割エリア50と、裏ベゼル300に形成された区画部660とは、互いに対向する。たとえば、図32に示す区画部660Aの正面側には、図30に示す分割エリア50Aが配置されている。
【0222】
そして、図33に示すように、各区画部660内には、複数のLED301を有するLEDモジュール310が複数配置されている。
【0223】
図34は、LEDモジュール310の斜視図である。この図34に示すように、LEDモジュール310は、基板311と、基板311の主表面上に配列する複数のLED301と、基板311の主表面上に配置された温度センサ312とを含む。温度センサ312は、検知した温度情報を制御部9に出力している。
【0224】
図33において、制御部9は、温度センサ312からの出力に基づいて、各区画部660内の温度が所定温度よりも高くなっているか否かを判断する。
【0225】
そして、たとえば、区画部660A内の温度が所定温度よりも高いことを検知すると、区画部660Aにファン500からの空気が積極的に案内されるように開閉弁640〜643を駆動すると共に、図30に示す対象分割エリアとしての分割エリア50Aに向けてファン500からの空気が供給されるようにイオン放出モジュール10を駆動する。
【0226】
制御部9は、区画部660Aにファン500からの空気を積極的に案内するために、制御部9は、開閉弁643Aおよび開閉弁642を開状態とし、他の開閉弁を閉状態とする。さらに、図31において、切替弁622を開状態とする。
【0227】
これにより、ファン500からの空気が、送風管610内に入り込む。そして、送風管610内に入り込んだ空気は、図33に示す区画部660Aの開口部632Aから区画部660A内に入り込む。そして、ファン500からの空気は、区画部660A内を冷却した後、開口部633Aから排気される。その後、図31に示す排気口645から外部に排気される。このようにして、特定の区画部660A内の温度が上昇したときには、直ちに、当該区画部660A内の温度を下げることができる。
【0228】
さらに、制御部9は、分割エリア50Aに積極的にファン500からの空気を案内するために、図31に示す切替弁621を開状態とすると共に、図30に示す分割ルーバ550,551,552を分割エリア50Aに向ける。これにより、ファン500からの空気は、分割エリア50Aに向けて吹き付けられ、分割エリア50Aの温度が高くなることを抑制することができる。
【0229】
このように、表示パネル7の温度が高くなることを抑制することができ、表示パネル7の液晶を正常に駆動させることができる。
【0230】
さらに、液晶の応答性は温度が上昇したときに不安定になるが、画面側から対象分割エリアを冷却するため、表示パネル7の温度が高くなることを効率的に抑制することができ、液晶を正常に駆動させることができる。さらに、対象分割エリアに対向する区画部も同時に冷却するため、さらに効率よい。
【0231】
また、LEDの輝度変化は温度依存性が高いが、画面側から対象分割エリアを冷却するため、LEDの温度が高くなることを効率的に抑制することができ、LEDの輝度むらを効率的に低減させることができる。さらに、対象分割エリアに対向する区画部も同時に冷却するため、さらに効率よい。液晶パネルとLEDモジュールが近接する薄型の表示装置で特に効果が顕著となる。
【0232】
その上、対象分割エリア(特定の区画部)を必要な時のみを冷却するので、ファンの駆動音に起因した騒音の軽減や、ファンの駆動電源の節約にも貢献することができる。
【0233】
さらに、分割エリア50Aに空気を吹き付ける際には、イオン発生装置520を起動させる。
【0234】
イオン発生装置520を起動させることで、画面6aの清浄化することができると共に、画面6aに付着した静電気を除電することができる。また、画面6a側からも冷却することができる。
【0235】
さらに、本実施の形態3に係る液晶表示装置2は、人感センサ11を備えており、液晶表示装置2の周囲に人がいることを検知すると、図31に示す切替弁621を開状態として、ファン500からの空気を画面6aに向けて吹き付ける。この際、イオン発生装置520は、起動し、画面6aに吹き付けられる空気にイオンを含ませることができる。
【0236】
これにより、画面6aを除電することができ、画面6aに埃などの異物が付着することを抑制することができる。さらに、画面6aを除電することで、後述する実施の形態4,5で説明するように、液晶表示装置2内の液晶分子に画面6aに付着した静電気が影響を与えることを抑制することができる。
【0237】
なお、バックライトモジュール8と、表示パネル7との間には、隙間が形成されており、バックライトモジュール8内に冷却風を供給する際には、表示パネル7とバックライトモジュール8との間の隙間にも冷却風を供給するようにしてもよい。これにより、表示パネル7を効率的に冷却することができる。
【0238】
なお、本実施の形態に係る制御部9の制御フローについて、図35を用いて説明する。所定温度よりも高くなった区画部660の有無を検知する(STEP1)。所定温度よりも高い区画部660を検知した場合には、イオン放出モジュール10は、冷却駆動する。具体的には、温度が高くなった区画部660およびこの区画部660Aと対向する分割エリア50Aに向けて空気を供給する。
【0239】
制御部9は、人感センサ11からの出力に基づいて、液晶表示装置2の周囲に人の有無を判断する。制御部9は、液晶表示装置2の周囲に人の存在を確認すると、画面6aを除電するための除電駆動を開始する(STEP5)。そして、所定時間、除電駆動を継続する(STEP6)。その後、制御部9は、除電駆動前に冷却駆動を行っていたか否かを判断する(STEP7)。
【0240】
冷却駆動を行っていた場合には、冷却駆動のトータル駆動時間が一定時間を経過していたかを判断する(STEP8)。そして駆動時間が一定時間を経過していない場合には、トータル駆動時間が所定時間経過するまで冷却駆動を継続する(STEP8)。
【0241】
(実施の形態4)
図36から図39を用いて、本実施の形態4に係る液晶表示装置2について説明する。なお、図36および図39に示す構成のうち、上記図1から図35に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0242】
図36に示すように、本実施の形態4に係る液晶表示装置2も、画面6aを有する表示パネル7と、画面6aに正イオンおよび負イオンを選択的に吹き付け可能なイオン放出モジュール10と、画面6aに複数の分割エリア50を設定する制御部9と、設定された分割エリア50ごとに設けられた帯電センサ440とを備える。イオン放出モジュール10は、調整機構530と、イオン発生装置520とを備えており、調整機構530は、イオンの吹きつけ方向を調整可能な第1ルーバ540を含む。このため、イオン放出モジュール10は、任意の分割エリア50に向けてイオンを吹きつけ可能であるとともに、画面6aの全面に向けてイオンを吹きつけ可能とされている。
【0243】
帯電センサ440は、分割エリア50の表面に付着した静電気によって形成される電界を検知することで、分割エリア50の帯電電圧を検知することができる。
【0244】
そして、制御部9は、分割エリア50の帯電電圧が所定電圧を超えたときには、所定電圧を超えた分割エリア50に向けてイオンを吹き付けるように、イオン放出モジュール10を駆動する。
【0245】
この際、制御部9は、帯電センサ440からの出力値に基づいて、当該分割エリア50に正イオンの静電気が付着しているか、負イオンの静電気が付着しているかを検知する。
【0246】
そして、分割エリア50に負イオンが付着していると判断したときには、当該分割エリア50に向けて正イオンが吹き付けられるようにイオン放出モジュール10を駆動する。その一方で、分割エリア50に正イオンが付着していると判断したときには、負イオンが分割エリア50に吹き付けられるようにイオン放出モジュール10を駆動する。
【0247】
このように、制御部9がイオン放出モジュール10を駆動させることで、画面6aに静電気が蓄積されることを抑制することができる。
【0248】
特に、画面6aが大画面のときには、静電気の分布にもばらつきが生じる。そこで、本実施の形態4に係る液晶表示装置2においては、画面6aを複数の分割エリア50に分割し、各分割エリア50ごとに帯電電圧を検知し、帯電電圧が所定電圧以上となった分割エリア50に向けて集中的にイオンを吹き付けることで、短時間で帯電電圧を低く抑えることができる。
【0249】
このように、画面6aの帯電電圧が高くなることを抑制することで、画面6aに付着した静電気の帯電電圧が液晶表示装置2内の液晶分子に与える影響を小さく抑えることができる。
【0250】
制御部9は、各帯電センサ440から出力に基づいて、画面6a全面の平均帯電電圧を算出する。算出した画面6aの平均帯電電圧の絶対値が所定値よりも大きいときには、イオン放出モジュール10は、画面6aの全面に向けてイオンを吹き付ける。
【0251】
このように、画面6a全面に向けてイオンを吹き付けるときにおいても、イオン放出モジュール10は、画面6aが負極に帯電しているときには、正イオンを画面6aの全面にふきつけ、正極に帯電しているときには、負イオンを画面6aの全面に吹き付ける。これにより、画面6aが帯電することを抑制することができる。これにより、画面6aに付着した帯電電圧が液晶表示装置2内の液晶分子に与える影響を小さく抑えることができる。
【0252】
本実施の形態4に係る液晶表示装置2は、所謂横電界方式の液晶表示パネルである。なお、詳細については、後述するが、この液晶表示パネルは、液晶層に含まれる不純物イオンを吸着する吸着バリア層を備えたTBA(Transverse Bend Alignment)モードの横電界方式の表示パネルである。さらに、この液晶表示装置2は、上記実施の形態1と同様に複数の圧力センサ118を備えている。
【0253】
図37から図39を用いて、表示パネル7内の構造について説明する。図37は、表示パネル7を模式的に示す断面図である。この図37に示すように、表示パネル7は、アクティブマトリックス基板410と、このアクティブマトリックス基板410のと対向する主表面を有する対向基板420と、対向基板420およびアクティブマトリックス基板410の間に封入された液晶層430とを含む。
【0254】
アクティブマトリックス基板410は、主表面を有する透明基板411と、透明基板411の主表面に形成されたTFTトランジスタと、TFTトランジスタを覆うように形成された絶縁膜と、この絶縁膜上に形成され、TFTトランジスタのドレイン電極に接続された画素電極412と、絶縁膜上に形成された共通電極413と、画素電極412、共通電極413および絶縁膜を覆うように形成された垂直配向膜415とを含む。
【0255】
透明基板411は、板状のガラス基板などから形成されている。垂直配向膜415は、ポリイミドなどの公知の配向膜材料から形成されている。垂直配向膜415には、ラビング処理は施されていない。この垂直配向膜415の表面には、ナノオーダの微細突起が複数形成されており、電圧が印加されていない状態では、液晶分子431は、垂直配向膜415に対して垂直となるように配列する。
【0256】
対向基板420は、ガラス基板などのガラス基板421と、ガラス基板421の液晶層430側の主表面に形成されたカラーフィルタ423およびブラックマトリックス422と、カラーフィルタ423およびブラックマトリックス422より液晶層430側に形成された吸着バリア層424と、吸着バリア層424より液晶層430側に形成された垂直配向膜425とを含む。
【0257】
ガラス基板421は、液晶層430側に位置し、ブラックマトリックス422やカラーフィルタ423等が設けられた主表面と、この主表面と反対側に位置し、画面6aとして機能する主表面とを有する。なお、画面として機能する画素電極412の主表面上には、偏光板が設けられているが、この図37においては、偏光板を省略している。
【0258】
ブラックマトリックス422は、たとえば、格子状に形成されており、ブラックマトリックス422は、複数の窓部を形成している。
【0259】
カラーフィルタ423は、たとえば、青色フィルタ部、赤色フィルタ部および緑色フィルタ部などの三色フィルタ、または、さらに黄色フィルタ部を含む4色フィルタであってもよい。各フィルタ部は、ブラックマトリックス422によって形成された窓部に設けられている。
【0260】
垂直配向膜425も、垂直配向膜415と同様に、ポリイミドなどから形成されており、電圧が印加されていな状態では、液晶分子431は、垂直配向膜425に対して垂直となるように配列する。
【0261】
吸着バリア層424は、液晶層430内に含まれる不純物イオンを吸着すると共に、上記のブラックマトリックス422およびカラーフィルタ423から不純物イオンが液晶層430に入り込むことを抑制する。吸着バリア層424の具体的な構成については、後述する。
【0262】
図38は、アクティブマトリックス基板410を平面視したときにおいて、画素電極412および共通電極413を模式的に示す平面図である。
【0263】
この図38に示すように、1つの画素領域内において画素電極412は櫛歯状に形成され、共通電極413も、櫛歯状に形成されている。画素電極412の歯部と共通電極413の歯部とは、互いに交互に配列している。
【0264】
そして、画素電極412および共通電極413にの間に駆動電圧が加えられることで、図37に示すように、隣り合う画素電極412および共通電極413の間で電界414が生じる。このように、横方向の電界414が生じると、この電界414の向きに沿って液晶分子431が傾斜する。
【0265】
その一方で、画素電極412および共通電極413の間に駆動電圧が加えられていないときには、液晶分子は、各垂直配向膜425および垂直配向膜415によって、対向基板420およびアクティブマトリックス基板410に対して垂直となるように配列する。
【0266】
このように、本実施の形態4に係る液晶表示装置2は、いわゆる、横電界方式の液晶表示装置が採用されている。
【0267】
図39は、吸着バリア層424および垂直配向膜425の構造を模式的に示す断面図である。吸着バリア層424は、液晶層内に含まれる不純物イオン432を吸着可能な多孔質材料から形成されている。たとえば、吸着バリア層424は、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物及びこれらの混合物等を含有する多孔質膜から形成されている。多孔質膜は比表面積が大きいため、より多くの不純物イオン432を吸着することができるという点で有利である。また、無機酸化物を用いることで吸着バリア層424を通過するガス成分の移動を充分に妨げることができる。
【0268】
吸着バリア層424は、たとえば、酸化珪素の一部の酸素を別の元素で置換したSiOF(FSG)、SiOB(BSG)、SiOCや、SiO中にSi−H結合を含むH含有ポリシロキサン(HSQ)等のポーラスシリカ膜と呼ばれる材料から形成されている。これらの材料はSi−O結合以外の結合を含むことから、分子構造内に間隙を有した多孔質膜となり、通常のSiOよりも比誘電率(k値)が低くなる。より具体的には、通常のSiO2のk値が4.2であるのに対し、FSGのk値は3.5〜3.7程度、BSGのk値は3.5程度、SiOCのk値は2.5〜2.8程度、HSQのk値は3.0程度である。なお、SiOCは有機系と無機系との中間的な化合物であり、実体はSi−CH基を多く含むメチル含有ポリシロキサンである。このように、吸着バリア層24に好適な酸化珪素は、有機系と無機系との中間的な化合物であってもよい。SiOC膜は、例えば、原料ガスとして有機シラン系ガスとNOガス又はOガスとを用いてプラズマCVD法により形成する。有機シラン系ガスとしては、モノメチルシラン(SiHCH)、ジメチルシラン((CH)2SiH)等が用いられる。また、吸着バリア層424が表示領域全面に一続きに配置されることから、表示領域全面に渡って不純物イオン432に起因する表示不良の発生を抑制することができる。また、吸着バリア層24の面積が大きくなることで、より多くの不純物イオン432を吸着するとともに、ブラックマトリックスやカラーフィルタからのガス成分が液晶層に進入することをより確実に妨げることができる。
【0269】
垂直配向膜425は、吸着バリア層324の表面形態に追随した大きな表面凹凸を有する。したがって、垂直配向膜325の表面には深い窪みが形成されている。この深い窪みに不純物イオン332を引き付けることにより、窪みに吸着された不純物イオン432が液晶層430に戻ることを抑制することができる。
【0270】
ここで、吸着バリア層424として、SiO膜を採用したときについて、不純物イオン432の振る舞いについて説明する。
【0271】
吸着バリア層424は、陽イオンであるSi(+)と陰イオンであるO(−)とが電気的に平衡な状態であるため、吸着バリア層424に到達した不純物イオン432は、吸着バリア層424を構成する陽イオン又は陰イオンとイオン結合する。
【0272】
このため、不純物イオン432は、吸着バリア層424に化学吸着することで、吸着バリア層424に強く引き付けられている。これにより、吸着バリア層424に吸着された不純物イオン432が液晶層430に戻ることを抑制することができる。また、不純物イオン432が吸着バリア層424に物理吸着された場合であっても、垂直配向膜425の深い窪みに不純物イオン432が吸着することで、吸着バリア層424に吸着された不純物イオン432が液晶層430に戻ることを抑制することができる。このように、吸着バリア層424内には、複数の不純物イオン432が吸着している。
【0273】
ここで、図36において、液晶表示装置2は、画面6aに向けてイオンを吹きつけ可能とされており、画面6aに静電気が付着することが抑制されている。このため、図39に示すように、吸着バリア層424に付着した不純物イオン432と、画面6aに付着した静電気とが反発し、不純物イオン432が吸着バリア層424から液晶層430内に戻ることを抑制することができる。
【0274】
特に、制御部9は、分割エリア50ごとに帯電電圧を検知し、帯電電圧が高い分割エリア50に向けて積極的にイオンが吹き付けられるように第1ルーバ540を駆動したり、画面6aの平均帯電電圧が所定値よりも大きくなると、画面6aの全面に向けてイオンが吹き付けられるように、第1ルーバ540を駆動する。
【0275】
これにより、効率的に不純物イオン432が吸着バリア層424から液晶層430に戻ることを抑制することができる。
【0276】
さらに、画面6aに付着する静電気を除去することで、液晶層430内の液晶分子431が画面6aに付着した静電気からうける影響を抑制することができ、液晶分子431の姿勢を画素電極412および共通電極413で正確に制御することができる。これにより、鮮明な画像を画面6aに表示することができる。
【0277】
横電界方式では、ガラス基板421に固定電位が印加される共通電極413が設けられていないため、画面6aに付着した静電気からの影響を強く受ける。その一方で、本実施の形態4に係る液晶表示装置2によれば、画面6aに付着した静電気を除去することから、横電界方式が採用された表示パネル7においても、鮮明な画像を表示することができる。
【0278】
なお、本実施の形態に係る液晶表示装置2においても、イオン放出モジュール10は、第1ルーバ540を備えており、画面6a全体にイオンを吹き付ける状態と、特定の分割エリア50に集中的にイオンを吹き付ける状態とを切替可能とされている。
【0279】
このため、本実施の形態4に係る液晶表示装置2においても、制御部9は、人感センサ11からの出力に基づいて、液晶表示装置2の周囲に人を検知したときには、画面6aの全面にイオンを吹き付けることができる。
【0280】
さらに、本実施の形態4に係る液晶表示装置2も、上記実施の形態1に係る液晶表示装置2と同様に、圧力センサ118などのタッチセンサを備えており、使用者は、画面6aをタッチ操作することで、情報の入力および出力が可能となっている。本実施の形態4に係る液晶表示装置2においても、画面6aにイオンを吹き付けるため、圧力センサ118の容量が変動することを抑制することができる。
【0281】
(実施の形態5)
上記図36および図40から図46を用いて、本実施の形態5に係る液晶表示装置2について説明する。なお、図40から図46に示す構成のうち、上記図1から図39に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0282】
図36に示すように、本実施の形態5に係る液晶表示装置2も、画面6aの全面にイオンを吹き付けることができると共に、特定の分割エリア50に向けてイオンを集中的に吹き付けることができる。
【0283】
図40は、本実施の形態に係る液晶表示装置2に設けられた表示パネル7の断面図である。この図40に示すように、表示パネル7は、アクティブマトリックス基板731と、アクティブマトリックス基板731と間隔をあけて配置された対向基板732と、アクティブマトリックス基板731および対向基板732の間に封入された液晶層733とを含む。
【0284】
対向基板732は、ガラス基板などの基板701と、基板701の主表面のうち、液晶層733側の主表面に形成された対向電極704と、対向電極704より液晶層733側に形成された配向膜710および配向膜706とを含む。
【0285】
アクティブマトリックス基板731は、基板702と、基板702の主表面上に形成されたゲート配線708と、ゲート配線708を覆うように形成された絶縁膜709と、絶縁膜709の上面上に形成された画素電極705と、絶縁膜709の上面に形成された配向膜707と、画素電極705を覆うように形成された配向膜711とを含む。配向膜711は、隣り合う2つの画素電極705と、当該2つの画素電極705の間に位置するゲート配線708との上方に配置されている。配向膜707は、配向膜711の両側に配置されており、ゲート配線708の上方に配置されている。
【0286】
図41は、アクティブマトリックス基板731を模式的に示す平面図である。この図41に示すように、基板702の主表面上には、複数のTFTトランジスタ722がアレイ状に配列している。TFTトランジスタ722は、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極とを含む。TFTトランジスタ722のゲート電極には、ゲート配線708が接続されており、ソース電極には、ソース配線721が接続されている。TFTトランジスタ722のドレイン電極には、画素電極705が接続されている。隣り合う2つのソース配線721と、隣り合うゲート配線708とによって囲まれた部分が1つの画素である。
【0287】
制御部は、画像データに基づいて、所定のゲート配線708およびソース配線721に所定電圧を印加して、選択したTFTトランジスタ722をON状態とする。
【0288】
これにより、画素電極705に所定の電圧が加えられ、当該画素電極705と、図40に示す対向電極704との間に電界が発生する。これにより、液晶層733内の液晶分子の向きを制御することができる。
【0289】
ここで、配向膜707が上方に位置するゲート配線708と、配向膜707が上方に形成されていないゲート配線708とが交互に形成されている。配向膜707は、ゲート配線708と同様に、一方向に延びている。そして、図40に示す配向膜711は、配向膜707の間に形成されている。
【0290】
また、図40において、配向膜710は、配向膜711と対向するように形成され、配向膜706は、配向膜707と対向するように形成されている。
【0291】
配向膜706および配向膜710のラビング方向と、配向膜707および配向膜711のラビング方向とは互いに直交する方向となっている。
【0292】
ここで、画素電極705および対向電極704の間に長時間に亘ってオフセット電圧を印加したときに、配向膜706および配向膜707は、オフセット電圧と反対の極性の残留DC電圧を発生する材料から形成されている。
【0293】
配向膜710および配向膜711は、画素電極705および配向膜706の間に長時間に亘ってオフセット電圧を印加すると、オフセット電圧を同じ極性の残留DC電圧を発生する材料から形成されている。
【0294】
ここで、図42は、従来の表示パネルの対向電極704、液晶層733および画素電極705を模式的に示す模式図である。選択されたTFTトランジスタの画素電極705には、図43に示すように、所定周波数の交流電圧が印加され、対向電極704には、図44に示すように一定電圧が印加される。しかし、図43に示すように、画素電極705に、0Vに対して対称的な交流電流を印加することは困難であり、画素電極705に印加される電流は、正側または負側にシフトしている。
【0295】
その一方で、液晶層733内には、製造過程において、不可避的に不純物イオンが含まれている。このため、当該画素電極705の周囲に不純物イオンが集まる。
【0296】
液晶層には、外から電極を通して印加される電圧と、上記液晶パネル内に蓄積された電荷による電圧とが加わることになる。このように、外から印加される電圧に液晶パネル内に蓄積された電荷による電圧が加わった場合、正極性と負極性とで液晶層にかかる電圧が異なるので、液晶パネルからはフリッカーが発生し、所定の透過率が得られなくなる。この液晶パネル内に蓄積された電荷による電圧を残留DC電圧と呼ぶ。このように、従来の表示パネルにおいては、数千時間以上に亘る非常に長時間、同一表示をした場合には、焼付きやフリッカが発生する。
【0297】
その一方で、図40において、本実施の形態5に係る表示パネルは、長時間に亘ってオフセット電圧を印加すると、オフセット電圧を同じ極性の残留DC電圧を発生する配向膜710および配向膜711と、オフセット電圧と反対の極性の残留DC電圧を発生する配向膜706および配向膜706とを含む。
【0298】
このため、図40に示すように、正の不純物イオン712は、配向膜707,710に捕捉され、負の不純物イオン713は、配向膜706,711に捕捉される。
【0299】
これにより、正の不純物イオン712が配向膜707を超えて、他の画素に移動することを抑制することができると共に、負の不純物イオン713が配向膜706を超えて他の画素に移動することを抑制することができる。
【0300】
このように、液晶層733内の不純物イオン712,713が、特定の画素に集中することを抑制することができ、焼き付きやフリッカの発生を抑制することができる。
【0301】
さらに、本実施の形態5に係る液晶表示装置2においては、図36に示すように、画面6aに蓄積された静電気を除去することができる。このため、図40において、静電気によって画面6aの帯電電圧が負や正となることを抑制することができ、配向膜710に捕捉された不純物イオン712や配向膜706に捕捉された不純物イオン713が画面6aに付着した静電気と反発しあうことを抑制することができる。
【0302】
この結果、配向膜710および配向膜706に捕捉された不純物イオンが液晶層733に戻ることを抑制することができ、焼き付きやフリッカの発生をより確実に抑制することができる。
【0303】
(実施の形態6)
図45および図46を用いて、本実施の形態6に係る液晶表示装置2について説明する。なお、図45および図46に示す構成のうち、上記図1から図44に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0304】
図45は、本実施の形態6に係る液晶表示装置2の断面図である。この図45に示すように、本実施の形態6に係る液晶表示装置2は、画面6aを含む表示パネル7と、画面6aに向けてイオンを吹きつけ可能なイオン放出モジュール10とを備える。
【0305】
イオン放出モジュール10は、ファン500からの空気を画面6aと、バックライトモジュール8内と、表示パネル7およびバックライトモジュール8の間の隙間とに、選択的に案内可能とされている。
【0306】
図46は、ファン500およびその周囲の構成を示す断面図である。この図46に示すように、表示パネル7と積層シート群302との間には、隙間680が形成されている。
押え部材31および裏ベゼル300には、開口部31a,300aが形成されており、送風管610内を流れる空気は、開口部31a、300aを通って、隙間680に案内される。
【0307】
イオン放出モジュール10は、ファン500からの空気をバックライトモジュール8内と、隙間680とに案内する送風管610と、送風管610の吸込み口に配置されたイオン発生装置671と、開口部300aに設けられた開閉弁670とを含む。
【0308】
イオン発生装置671は、正イオンおよび負イオンを選択的に発生させることができる。イオン発生装置671によって生成されたイオンは、切替弁622が開状態となることで、送風管610内を流れる。
【0309】
そして、開閉弁670が開状態となることで、イオン発生装置671で生成されたイオンは、ファン500からの空気と共に、隙間680内に案内される。このように、隙間680内にイオンを吹き込むことで、表示パネル7と積層シート群302とに付着した静電気を除電することができる。
【0310】
これにより、表示パネル7のアクティブマトリックス基板の主表面に蓄積された静電気を除去することができ、表示パネル7内に封入された液晶層に加えられる静電気の影響を低減することができる。表示パネル7にタッチセンサが内蔵され、表示パネル7がタッチ操作機能を有するときには、使用者は、画面6aをタッチすることになる。
【0311】
この際、表示パネル7と積層シート群302との間に静電気が帯電していると、表示パネル7と、積層シート群302との間で放電が生じるおそれがあるが、本実施の形態6に係る液晶表示装置2においては、表示パネル7と積層シート群302とに付着している静電気を除去することができるため、上記のような放電の発生を抑制することができる。
【0312】
タッチセンサを備えた表示パネル7においては、アクティブマトリックス基板にタッチセンサの下部電極が配置されており、対向基板側に上部電極が配置されており、上部電極および下部電極の間の容量をセンシングすることで、画面6aがタッチされたことを検出している。
【0313】
そして、上記のように、アクティブマトリックス基板の表面に付着した静電気を除電することで、静電気がアクティブマトリックス基板に形成された下部電極の電位に与える影響を低減することができる。なお、隙間680に面する積層シート群302の上面および表示パネル7の背面には、防水性のシートが設けられている。
【0314】
(実施の形態7)
図47から図50は、本実施の形態7に係る表示ユニットを示す模式図である。なお、図47から図50に示す構成のうち、上記図1から図46に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0315】
図47は、本実施の形態7に係るインフォメーションディスプレイ1を示す斜視図である。
【0316】
液晶表示装置2が、制御部9を含み、制御部9が、画像データに基づいて、液晶表示装置2の画面に画像を表示する。画像データが、外部から制御部9に送信されたり、制御部9の記憶部に格納されている。
【0317】
画像データには、各種画像のデータと、各画像データの位置情報とが格納されている。画像データには、使用者が操作する操作部の画像データである操作部表示データと、表示する操作部の位置情報とを含む。
【0318】
当該操作部表示データおよび位置情報とに基づいて、液晶表示装置2を駆動し、液晶表示装置2は、所定の位置に操作部を表示する。
【0319】
図48は、液晶表示装置2の一部を示す平面図である。この図48に示すように、本実施の形態7に係るインフォメーションディスプレイ1においても、制御部9は、画面6aに複数の分割エリア50を設定する。そして、この図48において、分割エリア50Bは、上記操作部が表示される分割エリア50を示す。
【0320】
図49は、制御部9の制御フローを示すフロー図である。この図49に示すように、制御部9は、液晶表示装置は駆動しているか判断する(STEP1)。液晶表示装置が駆動している場合には、制御部9は、画像データに基づいて表示された操作部が位置する分割領域を算出する(STEP2)。
【0321】
制御部9は、操作部が位置する分割エリア50を殺菌するように殺菌駆動する(STEP3)。具体的には、上記実施の形態1で説明したように、「殺菌性能」を高めた状態となるように、イオン発生装置520を駆動する。制御部9は、所定時間、「殺菌性能」を高めた状態を所定時間継続する(STEP4)。このように構成されたインフォメーションディスプレイ1によれば、予め操作部が表示される領域が分かるため、分割ルーバ550の駆動制御が非常に簡単なものとなる。
【0322】
さらに、操作部が表示される領域を、たとえば、図48に示す分割エリア50Bに固定した場合には、各分割ルーバ550を駆動させる必要がなく、イオン放出モジュール10の構成を非常に簡易な構成とすることができる。図50は、制御フローの変形例を示すフロー図である。この図50に示す例においては、制御部9は、制御部9は、液晶表示装置は駆動しているか判断する(STEP1)。液晶表示装置が駆動している場合には、人感センサ11からの出力に基づいて、画面6aの周囲に人の有無を判断する(STEP2)。
【0323】
制御部9は、画面6aの周囲に人がいると判断すると制御部9は除電駆動を開始する(STEP3)。具体的には、画面6aの全面に向けてイオンが吹きつかられるようにイオン放出モジュール10を駆動する。この際、イオン放出モジュール10は、「除電性能」が高められた駆動をする。これにより、画面6aに付着した静電気を除去することができ、液晶表示装置2および圧力センサなどを正常に駆動させることができる。さらに、人が画面6aの周囲を移動することで舞い上がる埃などが画面6aに付着することを抑制することができる。そして、制御部9は、除電駆動の駆動時間を一定時間継続する(STEP4)。
【0324】
そして、画面6aの周囲に人を検知できなかった場合には、制御部9は、画像データに基づいて表示された操作部が位置する分割領域を算出する(STEP5)。制御部9は、操作部が位置する分割エリア50を殺菌するように殺菌駆動する(STEP6)。具体的には、上記実施の形態1で説明したように、「殺菌性能」を高めた状態となるように、イオン発生装置520を駆動する。制御部9は、所定時間、「殺菌性能」を高めた状態を所定時間継続する(STEP7)。
【0325】
図51は、制御部9の制御フローの第2変形例を示すフロー図である。なお、本実施の形態7に係る液晶表示装置2は、上記実施の形態1と同様に圧力センサ118を備える。そして、制御部9は、圧力センサ118からの出力に基づいて、たとえば、表示した操作部が使用者によってタッチされたか否かを検知することができる。なお、タッチセンサの一例として圧力センサ118を採用しているが、タッチセンサとしてはどのような形式のタッチセンサを採用してもよい。
【0326】
図51に示すように、制御部9は、液晶表示装置は駆動しているか判断する(STEP1)。液晶表示装置が駆動している場合には、制御部9は、画像データに基づいて表示された操作部が位置する分割領域を算出する(STEP2)。そして、制御部9は、圧力センサ118からの出力に基づいて、操作部がタッチされたか否かを検知する(STEP3)。操作部が使用者によってタッチされたときには、殺菌駆動を開始する(STEP4)。そして、制御部9は、殺菌駆動の駆動時間が一定時間を越えるまで継続する(STEP5)。
【0327】
この例によれば、操作部が表示されたとしても、使用者が操作部をタッチしないときにはイオン放出モジュール10を駆動させないため、ランニングコストの低減を図ることができる。尚、液晶表示装置の制御部による制御の替わりに、表示装置に接続された外部処理装置を介した制御を行ってもよい。外部処理装置には、例えば、CPUなどの演算装置を備えたPCを用いることができる。このような外部処理装置を用いた形態は、例えば、映像広告などを表示するデジタルサイネージシステム(Digital Signage System)などに好ましく用いることができる。
【0328】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。
【産業上の利用可能性】
【0329】
本発明は、表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0330】
1 インフォメーションディスプレイ、2 液晶表示装置、3 土台部、4 前面カバー、4a 窓部、5 背面カバー、6 液晶表示モジュール、6a 画面、7 表示パネル、8 バックライトモジュール、9 制御部、10 イオン放出モジュール、11 人感センサ、20,21 偏光板、24,324,424 吸着バリア層、30 表ベゼル、31 押え部材、31a,256,630,631,632,633 開口部、32 固定部材、50,50A 分割エリア、101 ソースドライバ、102 ゲートドライバ、103 センサドライバ、110 画素、111,721 ソース配線、112,708 ゲート配線、113 センサ用ゲート配線、114,412,705 画素電極、115,116 素子、117 出力用素子、118 圧力センサ、119 圧力検知素子、120,410,731 アクティブマトリックス基板、121,138,183 ソース電極、122,134,181 ゲート電極、123,132,180 半導体層、124 接続配線、125,137,182 ドレイン電極、130,430,733 液晶層、131 下地層、133 ゲート絶縁層、135 層間絶縁層、136 上層絶縁層、140,156,421 ガラス基板、150,420,732 対向基板、151 カラーフィルタ基板、152,704 対向電極、153 着色層、155,422 ブラックマトリックス、161 スペーサ、170 突起部、171 上部電極、172 下部電極、184 コンタクト、201 アルミナ誘電体、202,203,252,253 電極、204 高圧交流電圧パルス発生部、205,570 送風方向、207,208 空気領域、250 放出ユニット、251 放出筒、255 空気圧縮装置、260 仕切板、261 コイル、262 磁性体、263 スプリング、265,266 貫通孔、270 イオン充填室、271 駆動室、272 振動方向、275 空気塊、280 旋回方向、300 裏ベゼル、302 積層シート群、303 拡散シート、304 プリズムシート、310 モジュール、311,701,702 基板、312 温度センサ、325,415,425 垂直配向膜、332,432,712,713 不純物イオン、411 透明基板、413 共通電極、423 カラーフィルタ、431 液晶分子、440 帯電センサ、500 ファン、501 吸気口、502 吸気管、503 整流板、504 フィルタ、505 込口、510,610 送風管、511 送風口、512 末広部、520,671 イオン発生装置、530 調整機構、540 第1ルーバ、541 フィン、542 軸部、550,551,552 分割ルーバ、555 第2ルーバ、560 ルーバ調整機構、561,562,563 スライドバ、564 スライド機構、566 回転機構、620 切替装置、621,622 切替弁、640,641,642,643,670 開閉弁、645 排気口、650 背面壁部、651 周壁部、652 仕切部材、660,660A 区画部、680 隙間、706,711 配向膜、722 トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主表面を含む第1基板と、
前記第1主表面と対向する第2主表面と、前記第2主表面と反対側に位置する第3主表面とを含み、前記第1基板と間隔をあけて配置された第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に位置し、液晶分子を含む液晶層と、
前記第1基板に形成された第1電極と、
前記第1電極と協働して、前記液晶分子の向きを制御可能な第2電極と、
前記第3主表面に向けて正イオンおよび負イオンを選択的に吹き付けるイオン放出モジュールと、
前記第3主表面の電気的極性を検知可能な検知部と、
を備え、
前記イオン放出モジュールは、検知部が前記第3主表面が負極に帯電していることを検知したときに前記第3主表面に向けて正イオンを吹きつけ、検知部が前記第3主表面が正極に帯電していることを検知したときに前記第3主表面に向けて負イオンを放出する、表示装置。
【請求項2】
前記第2電極は前記第1基板に形成され、前記第1電極および前記第2電極は互いに間隔をあけて配置された、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2基板には、前記液晶層に含まれる不純物イオンを吸着可能な吸着層が形成された、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記吸着層は、前記第2主表面を覆うように形成され、
前記イオン放出モジュールは、前記第3主表面の全面に向けて正イオンおよび負イオンの少なくとも一方を吹き付け可能とされた、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2基板に形成された第1配向膜をさらに備え、
前記第1配向膜は、前記第1電極に加えられる電圧と同極の残留電圧を発生する第1残留電圧膜と、前記第1電極に加えられる電圧と異極の残留電圧を発生する第2残留電圧膜との少なくとも一方を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記イオン放出モジュールは、前記第3主表面の全面に向けて正イオンおよび負イオンの少なくとも一方を吹き付け可能とされた、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第3主表面には、前記第3主表面を覆うように複数の分割エリアが設定され、
前記検知部は、前記分割エリアごとに設けられた帯電量検知センサを含み、
前記イオン放出モジュールは、前記検知部からの出力に基づいて前記分割エリアのうち、所定の帯電量を超えた対象分割エリアを検知すると、前記対象分割エリアに向けて正イオンまたは負イオンを吹き付ける、請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記イオン放出モジュールは、イオンの吹きつけ方向を調整可能とされた、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1基板は、前記第1主表面と対向する第4主表面を含み、
前記第4主表面に向けて光を照射可能なバックライトモジュールをさらに備え、
前記イオン放出モジュールは、送風機と、イオンを発生可能なイオン発生装置とを含み、
前記送風機は、前記バックライトモジュールに向けて空気を送り出す、請求項1から請求項8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記バックライトモジュールは、前記第1基板に向けて開口する有底状の筐体と、前記筐体の底面に配列する複数の光源と、前記筐体の開口部を覆うように配置された光学モジュールと、前記筐体内に設けられ、前記筐体内を複数の区画領域に仕切る仕切部材とを含み、
前記区画領域内に設けられた検温部をさらに備え、
前記イオン放出モジュールは、前記検温部からの出力に基づいて、所定温度以上となった区画領域に向けて空気を供給する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記イオン放出モジュールは、前記第3主表面のうち、前記所定温度以上となった前記区画領域と対向する部分に向けて空気を送る、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1基板と、前記第2基板との間に設けられたタッチセンサをさらに備えた、請求項1から請求項11のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
前記イオン放出モジュールは、殺菌作用を有するイオンを発生させ、該イオンは正イオン及び負イオンを含み、
前記正イオンはH(HO)(mは任意の自然数)を含み、
負イオンはO(HO)(nは任意の自然数)を含み、正イオンと負イオンとが反応してH又はOHラジカルを生成する請求項1から請求項12のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2012−108224(P2012−108224A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255629(P2010−255629)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】