説明

表示装置

【課題】表示部での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1において、発光ダイオード(光源)8の点灯駆動信号と、データ線駆動回路(駆動回路)22及び走査線駆動回路(駆動回路)23の駆動信号とを重畳して、新たな点灯駆動信号を生成する重畳回路(重畳部)17を設ける。また、アクティブマトリクス基板5上に、発光ダイオード8からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力する光センサー(光電変換素子)18と、光センサー18からの電気信号をデータ線駆動回路22及び走査線駆動回路23の駆動信号に復号する復号回路(復号部)19を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に液晶表示装置などの非発光型の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば液晶表示装置は、在来のブラウン管に比べて薄型、軽量などの特長を有するフラットパネルディスプレイとして、液晶テレビ、モニター、携帯電話などに幅広く利用されている。このような液晶表示装置には、光を発光するバックライト装置と、バックライト装置に設けられた光源からの光に対しシャッターの役割を果たすことで所望画像を表示する液晶パネルとが含まれている。
【0003】
また、上記のような液晶表示装置では、複数のデータ線(ソース線)及び複数の走査線(ゲート線)をマトリクス状に配線するとともに、データ線と走査線との交差部の近傍に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を有する画素をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板を、情報を表示する表示部としての上記液晶パネルに用いたものが知られている。
【0004】
また、従来の液晶表示装置には、一般的に、その液晶層を画素単位に駆動するために、データ線及び走査線にそれぞれデータ信号及び走査信号を出力するデータ線駆動回路(ソースドライバ)及び走査線駆動回路(ゲートドライバ)が設けられている。また、従来の液晶表示装置では、例えばCOG(Chip On Glass)実装を用いて、上記アクティブマトリクス基板上にデータ線駆動回路及び走査線駆動回路を設置するとともに、外部からの映像信号に応じて、データ線駆動回路及び走査線駆動回路に対する各指示信号を生成して、出力する表示制御装置がフレキシブルプリント回路基板(FPC;Flexible Printed Circuit)を介在させて当該データ線駆動回路及び走査線駆動回路に接続されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0005】
また、従来の液晶表示装置には、例えば下記特許文献2に記載されているように、液晶パネルのアクティブマトリクス基板において、太陽電池セルを画素単位に設けることが提案されている。そして、この従来の液晶表示装置では、太陽電池セルにより、環境光(外光)やバックライト光などの入射光から電力を発生させる。そして、この従来の液晶表示装置では、この発生した電力を利用して、アクティブマトリクス基板上のデータ線駆動回路及び走査線駆動回路を駆動することができ、液晶パネルの外部から供給する電力を削減可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−309018号公報
【特許文献2】特開2007−171321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような液晶表示装置では、液晶パネル(表示部)での大画面化や高精細化などに伴って、画素数の増加が求められている。
【0008】
ところが、上記のような従来の液晶表示装置では、液晶パネルでの画素数を増加したときに、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができず、さらにはフレキシブル回路基板の設置数の増加やその回路規模が大型化するのを防ぐことができないなどの問題点を生じた。
【0009】
上記の課題を鑑み、本発明は、表示部での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示装置は、光源を有するバックライト部と、複数の画素が設けられたアクティブマトリクス基板を有するとともに、前記バックライト部からの照明光を用いて、情報を表示する表示部を具備した表示装置であって、
前記バックライト部の駆動制御を行うバックライト制御部と、
前記表示部の駆動制御を行う表示制御部と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記複数の画素を画素単位に駆動する駆動回路と、
前記バックライト制御部から前記光源の点灯駆動信号を入力し、かつ、前記表示制御部から前記駆動回路の駆動信号を入力するとともに、入力した点灯駆動信号に対して、入力した駆動信号を重畳して、新たな点灯駆動信号を生成して、前記バックライト部に出力する重畳部と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記光源からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記光電変換素子からの電気信号を前記駆動回路の前記駆動信号に復号して、当該駆動回路に出力する復号部とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
上記のように構成された表示装置では、上記光源の点灯駆動信号と上記駆動回路の駆動信号とを重畳して、新たな点灯駆動信号を生成して、バックライト部に出力する重畳部が設けられている。また、アクティブマトリクス基板上には、光源からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、光電変換素子からの電気信号を駆動回路の駆動信号に復号して、当該駆動回路に出力する復号部とが設けられている。これにより、上記従来例と異なり、表示部での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な表示装置を構成することができる。
【0012】
また、上記表示装置において、前記光電変換素子として、光センサーが用いられてもよい。
【0013】
この場合、光センサーが光源からの光を受光して、受光した光に応じた検出信号を電気信号として上記復号部に出力する。
【0014】
また、上記表示装置において、前記光電変換素子として、太陽電池が用いられるとともに、当該太陽電池は、前記電気信号に加えて、受光した光から電力を取り出して、前記駆動回路及び前記復号部に当該電力を供給することが好ましい。
【0015】
この場合、太陽電池自体と、駆動回路及び復号部とにおいて、必要とする電力を当該太陽電池によって得ることができる。この結果、表示装置の低消費電力化を容易に図ることができるとともに、アクティブマトリクス基板に対して電力供給用の電気配線の設置を省略することが可能となり、構造簡単な表示装置を容易に構成することができる。
【0016】
また、上記表示装置において、前記駆動信号には、クロック信号と、外部からの映像信号に応じたデータ信号とが含まれていることが好ましい。
【0017】
この場合、映像信号に応じて、かつ、適切なタイミングで光源を点灯駆動することができるとともに、映像信号に対応して、複数の画素を適切に駆動することができる。
【0018】
また、上記表示装置において、前記表示部として、液晶パネルが用いられ、
前記アクティブマトリクス基板には、マトリクス状に配列された複数のデータ線及び複数の走査線と、前記データ線と前記走査線との交差部の近傍に設けられたスイッチング素子が設けられ、
前記駆動回路には、前記データ線及び前記走査線にそれぞれ接続されたデータ線駆動回路及び走査線駆動回路が含まれてもよい。
【0019】
この場合、液晶パネルでの画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な液晶表示装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示部での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。
【図2】図2は、上記液晶表示装置の要部構成を説明する図である。
【図3】図3は、図2に示したアクティブマトリクス基板での具体的な画素構造を説明する図である。
【図4】図4(a)〜図4(g)は、上記液晶表示装置の各部での信号波形の具体例を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態にかかる液晶表示装置の要部構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の表示装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。図1において、本実施形態の液晶表示装置1は、図1の上側が視認側(表示面側)として設置される表示部としての液晶パネル2と、液晶パネル2の非表示面側(図1の下側)に配置されて、当該液晶パネル2を照明する照明光を発生するバックライト部としてのバックライト装置3とが設けられている。
【0024】
液晶パネル2は、一対の基板を構成するCF(Color Filter)基板4及びアクティブマトリクス基板5と、CF基板4及びアクティブマトリクス基板5の各外側表面にそれぞれ設けられた偏光板6、7とを備えている。CF基板4とアクティブマトリクス基板5との間には、図示を省略した液晶層が狭持されている。また、CF基板4及びアクティブマトリクス基板5には、平板状の透明なガラス材またはアクリル樹脂などの透明な合成樹脂が使用されている。偏光板6、7には、TAC(トリアセチルセルロース)またはPVA(ポリビニルアルコール)などの樹脂フィルムが使用されており、液晶パネル2に設けられた表示面の有効画素領域を少なくとも覆うように対応するCF基板4またはアクティブマトリクス基板5に貼り合わせられている。
【0025】
また、アクティブマトリクス基板5は、上記一対の基板の一方の基板を構成するものであり、アクティブマトリクス基板5では、液晶パネル2の表示面に含まれる複数の画素に応じて、後述の画素電極や薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)などが上記液晶層との間に形成されている。また、このアクティブマトリクス基板5上には、後に詳述するように、光センサーや復号回路などが実装されており、バックライト装置3からの照明光によって複数の各画素が駆動されて、液晶パネル2において、文字や画像等の情報が表示されるようになっている。一方、CF基板4は、一対の基板の他方の基板を構成するものであり、CF基板4には、カラーフィルタや後述の対向電極などが上記液晶層との間に形成されている。
【0026】
尚、液晶パネル2の液晶モードや画素構造は任意である。また、液晶パネル2の駆動モードも任意である。すなわち、液晶パネル2としては、情報を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。それ故、図1においては液晶パネル2の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。
【0027】
バックライト装置3は、光源としての発光ダイオード(LED)8と、発光ダイオード8に対向して配置された導光板9とを備えている。また、バックライト装置3では、断面L字状のベゼル13により、導光板9の上方に液晶パネル2が設置された状態で、発光ダイオード8及び導光板9が狭持されている。また、CF基板4には、ケース10が載置されている。これにより、バックライト装置3は、液晶パネル2に組み付けられて、当該バックライト装置3からの照明光が液晶パネル2に入射される透過型の液晶表示装置1として一体化されている。
【0028】
導光板9には、例えば透明なアクリル樹脂などの合成樹脂が用いられており、発光ダイオード8からの光が入光される。導光板9の液晶パネル2と反対側(対向面側)には、反射シート11が設置されている。また、導光板10の液晶パネル2側(発光面側)には、レンズシートや拡散シートなどの光学シート12が設けられており、導光板9の内部を所定の導光方向(図1の左側から右側への方向)に導かれた発光ダイオード8からの光が均一な輝度をもつ平面状の上記照明光に変えられて液晶パネル2に与えられる。
【0029】
尚、上記の説明では、導光板9を具備したエッジライト型のバックライト装置3を用いた構成について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、直下型のバックライト装置を用いてもよい。
【0030】
次に、図2及び図3も参照して、本実施形態の液晶表示装置1の具体的な構成について説明する。
【0031】
図2は、上記液晶表示装置の要部構成を説明する図である。図3は、図2に示したアクティブマトリクス基板での具体的な画素構造を説明する図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置1には、液晶パネル2(図1)及びバックライト装置3(図1)の駆動制御を行う制御部14と、この制御部14と発光ダイオード(LED)8との間に接続された重畳部としての重畳回路17が設けられており、液晶表示装置1では、発光ダイオード8は重畳回路17からの指示信号(点灯駆動信号)に基づいて、点灯駆動するようになっている。また、この点灯駆動信号には、後に詳述するように、液晶パネル2の表示面で表示される情報のデータ信号が含まれており、発光ダイオード8は、含まれたデータ信号に応じて、発光する光量を微小変化させるように構成されている。また、制御部14には、チューナや記録再生装置などの外部機器(図示せず)から映像信号が入力されるようになっている。また、制御部14には、液晶表示装置1に設けられたコントローラ(図示せず)から上記表示面の輝度(明るさ)を指示する調光指示信号が入力されるようになっている。
【0033】
また、制御部14では、画像処理回路15aとタイミング発生回路15bが設けられた表示制御部としてのパネル制御部15と、バックライト制御部16が一体的に設けられている。画像処理回路15aは、入力された映像信号に対して所定の画像処理を施して、データ信号を生成する。そして、画像処理回路15aは、生成したデータ信号をタイミング発生回路15bに出力する。タイミング発生回路15bは、画像処理回路15aからのデータ信号と、出力が所定の周期でハイレベルとローレベルとなるクロック信号を重畳回路17に出力する。また、これらのデータ信号及びクロック信号は、後述のデータ線駆動回路及び走査線駆動回路の駆動信号を構成している。
【0034】
バックライト制御部16には、バックライト輝度制御回路16aが設けられており、バックライト制御部16は、例えば電流調光を用いて、発光ダイオード8を点灯駆動するように構成されている。バックライト輝度制御回路16aは、入力された調光指示信号に基づき、発光ダイオード8の点灯駆動信号を生成して、重畳回路17に出力する。
【0035】
重畳回路17は、バックライト制御部16からの点灯駆動信号に対して、パネル制御部15から入力したデータ信号及びクロック信号(駆動信号)を重畳して、新たな点灯駆動信号を生成して、バックライト装置3の発光ダイオード8に出力する。
【0036】
また、図2に示すように、アクティブマトリクス基板5上には、光電変換素子としての光センサー18と、光センサー18に接続された復号部としての復号回路19と、復号回路19に接続されたタイミング発生回路20及びVRAM(Video Random Access Memory)21と、タイミング発生回路20に接続されるとともに、複数の画素を画素単位に駆動する駆動回路としてのデータ線駆動回路22及び走査線駆動回路23とが設けられている。また、これら光センサー18、復号回路19、タイミング発生回路20、VRAM21、データ線駆動回路22、及び走査線駆動回路23は、図2に示すように、上記表示面の有効画素領域Aの外側で、アクティブマトリクス基板5上に設置されている。
【0037】
また、図3に示すように、アクティブマトリクス基板5では、複数のデータ線(ソース線)S1〜SM(Mは、2以上の整数、以下、“S”にて総称する。)及び複数の走査線(ゲート線)G1〜GN(Nは、2以上の整数、以下、“N”にて総称する。)がそれぞれデータ線駆動回路(ソースドライバ)22及び走査線駆動回路(ゲートドライバ)23に接続されている。そして、データ線駆動回路22は、タイミング発生回路20からの指示信号に基づいて、外部からの映像信号に応じた電圧信号をデータ線Sに出力するように構成されている。一方、走査線駆動回路23は、タイミング発生回路20からの指示信号に基づいて、走査線Gに対して走査信号を順次出力するようになっている。
【0038】
また、データ線S及び走査線Gは、少なくとも有効画素領域A内において、マトリクス状に配列されており、当該マトリクス状に区画された各領域には、上記複数の各画素Pの領域が形成されている。また、複数の画素Pには、赤色、緑色、及び青色の画素が含まれている。また、これらの赤色、緑色、及び青色の画素は、例えばこの順番で、各走査線Gに平行に順次配設されている。
【0039】
また、各画素Pには、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ24が設けられている。この薄膜トランジスタ24のゲートには、走査線Gが接続され、薄膜トランジスタ24のソースには、データ線Sが接続されている。また、薄膜トランジスタ24のドレインには、画素P毎に設けられた画素電極25が接続されている。また、各画素Pでは、対向電極26が上記液晶層を間に挟んだ状態で画素電極25に対向するように構成されている。
【0040】
図2に戻って、光センサー18は、その受光面が導光板9(図1)に対向するように、アクティブマトリクス基板5上に設けられている。すなわち、この光センサー18は、液晶表示装置1の外部からの光(外光)を受光するのを防がれており、発光ダイオード8からの光だけを検出するようになっている。そして、光センサー18は、発光ダイオード8からの光を受光して、受光した光に応じた検出信号を電気信号として復号回路19に出力するように構成されている。
【0041】
復号回路19は、光センサー18から電気信号を入力するとともに、入力した電気信号を上記駆動信号であるデータ信号及びクロック信号に復号する。そして、復号回路19は、復号したデータ信号及びクロック信号をタイミング発生回路20及びVRAM21に出力する。
【0042】
VRAM21は、復号回路19からデータ信号を入力すると、その入力したデータ信号から映像データを取得し、1フレーム単位に映像データを保持するようになっている。
【0043】
タイミング発生回路20は、復号回路19からのデータ信号及びクロック信号を用いて、VRAM21に保持されている1フレーム単位に映像データを読み出す。そして、タイミング発生回路20は、読み出した映像データに対応した指示信号を生成して、データ線駆動回路22に出力する。これにより、データ線駆動回路22では、上記電圧信号が生成されて、データ線Sに出力される。また、タイミング発生回路20は、復号回路19からのクロック信号を用いて、走査線駆動回路23への指示信号を生成して、当該走査線駆動回路23に出力する。これにより、走査線駆動回路23では、上記走査信号が生成されて、走査線Gに出力される。
【0044】
ここで、図4も参照して、上記のように構成された本実施形態の液晶表示装置1の動作について説明する。尚、以下の説明では、重畳回路17での重畳処理と、復号回路19での復号処理とについて主に説明する。
【0045】
図4(a)〜図4(g)は、上記液晶表示装置の各部での信号波形の具体例を説明する図である。
【0046】
タイミング発生回路15bは、画像処理回路15aから図4(b)に例示するデータ信号が入力されると、タイミング発生回路15bは、図4(a)に示すクロック信号と上記データ信号を重畳回路17に出力する。また、データ信号は、図4(b)に例示するように、外部からの映像信号に対応した2値化信号であり、ハイレベル及びローレベルの一方及び他方がそれぞれデータ“0”及び“1”を示している。また、クロック信号では、ハイレベル及びローレベルの各々の期間がデータ信号での1ビットのデータを示す期間である。さらに、これらクロック信号及びデータ信号を含んだ駆動信号には、例えばI2CやMIPI DPI規格などに準拠したシリアル信号が用いられている。
【0047】
また、バックライト輝度制御回路16aは、図4(c)に例示するように、外部からの調光指示信号に基づいて、発光ダイオード8の点灯駆動信号を生成して、重畳回路17に出力する。そして、重畳回路17は、図4(a)、図4(b)、及び図4(c)にそれぞれ示したクロック信号、データ信号、及び点灯駆動信号を重畳して、新たな点灯駆動信号(図4(d)に例示)を生成する。そして、重畳回路17は、生成した新たな点灯駆動信号をバックライト装置3に出力して、当該点灯駆動信号に従って、発光ダイオード8を点灯駆動させる。なお、図4(d)に示した点灯駆動信号では、ハイレベル及びローレベルのときに、発光ダイオード8に供給される供給電流が例えばそれぞれ20mA及び19.5mAであることを示している。このように、発光ダイオード8では、供給電流がクロック信号とデータ信号に応じて微小変化され、当該発光ダイオード8からの光量(輝度)もクロック信号とデータ信号に応じて微小変化されるようになっている。
【0048】
また、発光ダイオード8が上記のように点灯駆動すると、光センサー18では、図4(e)に例示するように、微少な輝度変化を検出した検出信号が得られる。そして、光センサー18は、その検出信号を電気信号として復号回路19に出力する。
【0049】
その後、復号回路19では、光センサー18から電気信号が入力されると、その電気信号を復号して、図4(f)及び図4(g)にそれぞれ例示するクロック信号及びデータ信号を取得する。これらクロック信号及びデータ信号は、図4(a)及び図4(b)にそれぞれ示したクロック信号及びデータ信号と同一の信号、すなわちタイミング発生回路15bから重畳回路17に出力されたものと同じ信号である。
【0050】
以上のように構成された本実施形態の液晶表示装置1では、発光ダイオード(光源)8の点灯駆動信号とデータ線駆動回路22及び走査線駆動回路23(駆動回路)の駆動信号とを重畳して、新たな点灯駆動信号を生成して、バックライト装置(バックライト部)に出力する重畳回路(重畳部)17が設けられている。また、本実施形態の液晶表示装置1では、アクティブマトリクス基板5上に、発光ダイオード8からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力する光センサー(光電変換素子)18と、光センサー18からの電気信号を上記駆動信号に復号して、タイミング発生回路20及びVRAM21を介してデータ線駆動回路22及び走査線駆動回路23に出力する復号回路(復号部)19とが設けられている。これにより、本実施形態の液晶表示装置1では、上記従来例と異なり、液晶パネル(表示部)2での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板5に接続される電気配線数を削減することができる。この結果、本実施形態では、構造簡単な液晶表示装置1を構成することができる。
【0051】
また、本実施形態の上記駆動信号には、クロック信号と、外部からの映像信号に応じたデータ信号とが含まれているので、本実施形態の液晶表示装置1では、映像信号に応じて、かつ、適切なタイミングで発光ダイオード8を点灯駆動することができるとともに、映像信号に対応して、複数の画素Pを適切に駆動することができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる液晶表示装置の要部構成を説明する図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、光センサーに代えて、太陽電池をアクティブマトリクス基板上に設置した点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0053】
すなわち、図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置1では、アクティブマトリクス基板5上に、光電変換素子としての太陽電池27が有効画素領域Aの外側に実装されている。また、この太陽電池27は、その受光面が導光板9(図1)に対向するように、アクティブマトリクス基板5上に設けられている。すなわち、この太陽電池27は、液晶表示装置1の外部からの光(外光)を受光するのを防がれており、発光ダイオード8からの光だけを検出するようになっている。
【0054】
また、太陽電池27は、第1の実施形態での光センサー18と同様に、発光ダイオード8からの光を受光して、受光した光に応じた検出信号を電気信号として復号回路19に出力するように構成されている。さらに、太陽電池27は、図5に太線の矢印にて示すように、復号回路19、データ線駆動回路22、及び走査線駆動回路23の各間に電力供給線が接続されており、受光した光から得られる電力を復号回路19、データ線駆動回路22、及び走査線駆動回路23の各々に供給するようになっている。
【0055】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、太陽電池27は電気信号に加えて、受光した光から電力を取り出して、復号回路19、データ線駆動回路22、及び走査線駆動回路23に当該電力を供給している。これにより、本実施形態では、太陽電池27自体と、復号回路19、データ線駆動回路22、及び走査線駆動回路23とにおいて、必要とする電力を当該太陽電池27によって得ることができる。この結果、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、液晶表示装置1の低消費電力化を容易に図ることができるとともに、アクティブマトリクス基板5に対して電力供給用の電気配線の設置を省略することが可能となり、構造簡単な液晶表示装置1を容易に構成することができる。
【0056】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
例えば、上記の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されるものではなく、光源の光を利用して、情報を表示する非発光型の各種表示装置に適用することができる。具体的にいえば、半透過型の液晶表示装置、あるいは上記液晶パネルをライトバルブに用いたリアプロジェクションなどの投写型表示装置に本発明の表示装置を好適に用いることができる。
【0058】
また、上記の説明では、光電変換素子として光センサーまたは太陽電池を用いた場合について説明したが、本発明の光電変換素子はアクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、光源からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力するものであれば何等限定されない。
【0059】
また、上記の説明では、アクティブマトリクス基板において、有効画素領域の外側に光電変換素子である、光センサーまたは太陽電池を設置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記有効画素領域の内部に光電変換素子を設ける構成でもよい。
【0060】
また、上記の説明では、パネル制御部(表示制御部)とバックライト制御部とを制御部として一体的に構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示制御部とバックライト制御部とを別個に構成してもよい。
【0061】
また、上記の説明では、復号回路(復号部)とタイミング発生回路及びVRAMとを別個に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばこれらのタイミング発生回路及びVRAMを復号部の内部に設けて、復号部と一体的に構成してもよい。
【0062】
また、上記の説明では、光源に発光ダイオードを用いた場合について説明したが、本発明の光源はこれに限定されるものではなく、ランプ等の他の点光源や、冷陰極蛍光管などの放電管や、有機EL(Electronic Luminescence)などの他の発光素子を光源に用いることもできる。
【0063】
但し、上記の各実施形態のように、光源に発光ダイオードを用いる場合の方が、バックライト部の小型化を容易に図ることができ、コンパクトな表示装置を容易に構成することができる点で好ましい。
【0064】
また、上記の説明では、電流調光を用いて、発光ダイオード(光源)を点灯駆動する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばPWM調光を用いて、光源を点灯駆動する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、表示部での画素数を増加させたときでも、アクティブマトリクス基板に接続される電気配線数を削減することができる構造簡単な表示装置に対して有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 液晶表示装置(表示装置)
2 液晶パネル(表示部)
3 バックライト装置(バックライト部)
5 アクティブマトリクス基板
8 発光ダイオード(光源)
15 パネル制御部(表示制御部)
16 バックライト制御部
17 重畳回路(重畳部)
18 光センサー(光電変換素子)
19 復号回路(復号部)
22 データ線駆動回路(駆動回路)
23 走査線駆動回路(駆動回路)
24 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
27 太陽電池(光電変換素子)
P 画素
S データ線
G 走査線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有するバックライト部と、複数の画素が設けられたアクティブマトリクス基板を有するとともに、前記バックライト部からの照明光を用いて、情報を表示する表示部を具備した表示装置であって、
前記バックライト部の駆動制御を行うバックライト制御部と、
前記表示部の駆動制御を行う表示制御部と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記複数の画素を画素単位に駆動する駆動回路と、
前記バックライト制御部から前記光源の点灯駆動信号を入力し、かつ、前記表示制御部から前記駆動回路の駆動信号を入力するとともに、入力した点灯駆動信号に対して、入力した駆動信号を重畳して、新たな点灯駆動信号を生成して、前記バックライト部に出力する重畳部と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記光源からの光を受光して、受光した光に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、
前記アクティブマトリクス基板上に設けられるとともに、前記光電変換素子からの電気信号を前記駆動回路の前記駆動信号に復号して、当該駆動回路に出力する復号部と
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光電変換素子として、光センサーが用いられている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光電変換素子として、太陽電池が用いられるとともに、当該太陽電池は、前記電気信号に加えて、受光した光から電力を取り出して、前記駆動回路及び前記復号部に当該電力を供給する請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動信号には、クロック信号と、外部からの映像信号に応じたデータ信号とが含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部として、液晶パネルが用いられ、
前記アクティブマトリクス基板には、マトリクス状に配列された複数のデータ線及び複数の走査線と、前記データ線と前記走査線との交差部の近傍に設けられたスイッチング素子が設けられ、
前記駆動回路には、前記データ線及び前記走査線にそれぞれ接続されたデータ線駆動回路及び走査線駆動回路が含まれている請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−163581(P2012−163581A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146355(P2009−146355)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】