説明

表示装置

【課題】光の反射防止機能と光透過性に優れ、ディスプレイ画面の視認性に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイパネル2の上に、タッチパネル3を配置して成る入力手段付の表示装置において、タッチパネル3の表面に可視光の波長以下のピッチで二次元的に配置された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部を備えた透明樹脂層4を設けると共に、このような透明樹脂層4を上記タッチパネル3の裏面及びディスプレイパネル2の表面の一方又は双方に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力手段としてタッチパネル(タッチスクリーン)を備え、例えば交通機関等における自動券売機、書店や図書館等における検索システム、カーナビゲーションシステム、魚群探知機、船舶用ナビゲーションシステム、携帯端末、ゲーム機、さらには種々の電化製品などに好適に用いられる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子手帳、携帯電話等の携帯端末や、交通機関の券売機などには、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの画面上を指やペン状の道具を用いて押圧することによって、種々の入力が可能なタッチパネルを備えた表示装置が広く普及している。
【0003】
このようなタッチパネルの一般的な構造例としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1には、バックライトの光量を増すことなく視認性を向上させるため、タッチパネルの光の透過率を高めるべく、表面側に反射防止層を備えた光透過性フィルム基材の裏面側に第2の反射防止層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−136625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの反射防止層は、それぞれの屈折率と膜厚が所定の関係となるように成膜することで、反射波が干渉によって互いに打消し合うことを利用したものであって、層の数に比例して反射率が下がるという効果が得られる。しかしながら、反射防止層を構成する総数が多くなることによって、透過率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、タッチパネルを備えた従来の表示装置における上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、光の反射防止機能と光透過性に優れ、ディスプレイ画面の視認性に優れた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、錐状微細凹凸による反射防止構造を備えた透明樹脂層をタッチパネルの最表面に適用すると共に、同様の透明樹脂層をタッチパネルの裏面及びディスプレイパネルの表面の一方又は双方に設けることによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の表示装置は、ディスプレイパネル上に、タッチパネルを積層して成り、可視光の波長以下のピッチで二次元的に配置された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部を備えた透明樹脂層をタッチパネル表面に設けると共に、当該透明樹脂層を上記タッチパネルの裏面及びディスプレイパネルの表面の少なくとも一方に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可視光の波長以下のピッチで周期配列された微細な錐状の凸部や凹部を備えた透明樹脂層によってタッチパネル表面での反射が抑えられ、表面への外景や太陽光、照明の映り込みが少なくなる。これに加えて、タッチパネル裏面とディスプレイパネル表面の一方又は両方にも同様の透明樹脂層を設けたため、表示装置の内部反射が抑制されてディスプレイ画面からの光の透過率が増し、ディスプレイの視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)〜(d)は本発明の表示装置の実施形態をそれぞれ示す断面図である。
【図2】(e)〜(h)は本発明の表示装置のさらなる実施形態をそれぞれ示す断面図である。
【図3】本発明の表示装置のタッチパネルやディスプレイパネル面に設ける透明樹脂層表面の微細凹凸構造の形状例を示す断面図である。
【図4】(a)〜(h)は本発明の実施例による表示装置の構造をそれぞれ示す概略断面図である。
【図5】(a)〜(f)は比較例1〜6、14による表示装置の構造をそれぞれ示す概略断面図である。
【図6】(g)〜(m)は比較例7〜13による表示装置の構造をそれぞれ示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の表示装置について、図面に基づいて、さらに具体的、かつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の表示装置の種々の実施形態を示すものであって、例えば、図1(a)に示す表示装置1は、表示手段である液晶ディスプレイ2の上に、入力手段としてのタッチパネル3を積層した構造を有している。
そして、タッチパネル3の表面には、上記のように、可視光の波長以下のピッチで二次元的に周期配列された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部、すなわち反射防止微細凹凸構造を備えた透明樹脂層4が設けてある。したがって、後述するように、可視光の屈折率が透明樹脂層4の表面から内部に向けて連続的に変化することから、タッチパネル表面の反射率を効果的に低減することができる。
【0013】
さらに、タッチパネル3の裏面にも、同様の微細凹凸構造を備えた透明樹脂層4が設けてある。これによって、タッチパネル3の裏面反射を低減することができ、当該装置の内部反射が少なくなり、ディスプレイ画面からの光の透過率が高まる。
このように、表面反射率低減による外光の映り込み低減と内部反射の低減によって、ディスプレイ画面の視認性が向上することになる。
【0014】
図1(b)に示す表示装置1においては、同様に、タッチパネル3の表面に透明樹脂層4を設けると共に、ディスプレイパネル2の表面にも、同様の微細凹凸構造を備えた透明樹脂層4が設けてある。
したがって、タッチパネル表面の反射率と、ディスプレイパネル2の表面反射を低減することができ、図1(a)に示した表示装置1と同様の効果が得られることになる。
【0015】
図1(c)に示す表示装置1は、表示手段である液晶ディスプレイ2の表面と、入力手段であるタッチパネル3の表裏両面に同様の構造を備えた透明樹脂層4が設けてある。
したがって、タッチパネル表面の反射率を効果的に低減することができると共に、タッチパネル3の裏面反射とディスプレイパネル2の表面反射を同時に低減することができ、当該装置の内部反射がさらに少なくなる。これによって、ディスプレイ画面からの光の透過率が高まり、表面反射率低減による外光の映り込み防止と内部反射の低減とが相俟って、ディスプレイ画面の視認性がより一層向上することになる。
【0016】
本発明の表示装置においては、図1(d)や図2(e)に示すように、上記タッチパネル3と透明樹脂層4の間にスモーク粘着層5や直線偏光層6を設けることができる。
これによって、これら層から下に入射する光量を調節することができ、ディスプレイ画面の視認性を調節することができる。
【0017】
なお、図2(f)に示すように、タッチパネル3と透明樹脂層4の間に、スモーク粘着層5と直線偏光層6の両方を設けることもできる。このとき、これらスモーク粘着層5と直線偏光層6とは、どちらが表面側(図中上側)であっても支障はない。
【0018】
さらに、本発明の表示装置においては、図2(g)や(h)に示すように、上記タッチパネル3の両面に位相差層7を設けることができる。これによって、タッチパネル裏面での反射光を低減することができ、ディスプレイ画面の視認性を向上させることができる。
【0019】
次に、本発明の表示装置を構成する上記各層について、その構造や材料、製造方法などについて、さらに具体的に説明する。
【0020】
〔ディスプレイパネル〕
本発明の表示装置に用いるディスプレイパネル2としては、特に限定はなく、有機ELディスプレイ(ELD)や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイなど、従来からこのような表示装置に用いられているものを適用することができる。
また、これらディスプレイパネルの具体的な用途としては自動車用ナビゲーションシステム用ディスプレイがあり、オーディオディスプレイ、バックビューモニター用ディスプレイ、アラウンドビューモニター用ディスプレイなどがあり、例えばオープンカーなどにおいても視認性に優れた自動車用ディスプレイを提供できる。
【0021】
〔タッチパネル〕
タッチパネル3としても、とくに限定されず、抵抗式(抵抗膜式)、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、投影型静電容量方式、インセル方式など種々の方式のものを用いることができる。
【0022】
〔透明樹脂層〕
図3は、本発明の表示装置に用いる透明樹脂層の形状例を示す拡大断面図であって、図に示す透明樹脂層4は、その表面側に、互いに略合同な錐状(この図では錐台状)をなす無数の微細な凸部4aを二次元的に周期配列させて成る構造を有する。
隣接する微細凸部4a間の距離、すなわちピッチPは、反射防止機能を確保する観点から可視光の波長(380nm)以下とする必要がある。また、当然のことながら、微細凸部4aの底面寸法Dbについても、可視光の波長以下であることが必要となる。
【0023】
透明樹脂層4においては、可視光の波長以下の底面寸法Dbを有し、可視光の波長以下のピッチPで配置された無数の錐状微細凸部4aを備えているので、当該透明樹脂層4の表面から厚み方向に、素材樹脂の占有面積率が連続的に変化(増加)するようになる。これによって、当該樹脂層4の光の屈折率がその表面から厚み方向に素材樹脂の屈折率まで連続的に増加することから、入射した光がほとんど回折や反射を生じることなくほぼ直進することになって、入射表面における光の反射率を効果的に低減することができる。
【0024】
また、この透明樹脂層4は、微細凸部4aを設けた表面とは反対側(裏面)からの入射光に対し、その入射光の透過量を低減することがない、もしくはほとんど低減せずに維持する性質がある。すなわち、透明樹脂層4が上述の可視光の波長以下の底面寸法Dbと、可視光の波長以下のピッチPで配置された無数の錐状微細凹部4aを具えることにより、当該透明樹脂層4の裏面から厚み方向に、素材樹脂の占有面積率が連続的に変化(低減)するようになる。
【0025】
これによって、当該樹脂層4の光の屈折率がその裏面表面から厚み方向に素材樹脂の屈折率が連続的に減少することから、裏面側から入射した光がほとんど回折や反射をおこすことなくほぼ直進することになって、透明樹脂層4では裏面側からの入射光の透過量をほぼ減少させることなく透過させることができる。
微細凸部4aを設けた表面側からの入射光と、その反対側(裏面)からの入射光と、に対して透明樹脂層4において上記の作用が発生するのは、屈折率差がある界面で反射が起きるためである。スネルの法則から、屈折率が異なるもの同士の界面の反射率は入射光がどちら側からであっても同じ作用で同じ値になるためである。よって透明樹脂層4はディスプレイパネル2の発光を妨げずに透過させ、その視認性を向上させるという効果も併せ持つものである。
【0026】
上記錐状微細凸部4aの形状は、基端側から先端に向けて断面積が徐々に減少するような先細り形状である限り、特に限定はない。すなわち、本発明において「錐状」とは、先細り形状を意味し、正確な意味での円錐や角錐のみならず、先細りとなっている限り、母線や稜線形状が曲線をなし、釣り鐘形や椎の実形、半紡錘形のものや、側面が曲面を有する角錐状のものであってもよい。
また、成形性や耐破損性を考慮して、図3に示したように、先端部を平坦にしたり(錐台状)、丸みをつけたりすることも可能であって、工業的な製造方法においては、先端や先端面の周縁、基端周縁の立ち上がり部分などの丸み(R部)を避けることの方がむしろ難しいことになる。
【0027】
図3に示したように、凸部4aが錐台状をなす場合、先端面寸法Dtが大きいほど凸部4aが折れ難くなり、耐擦傷性が向上することになるが、大きすぎると反射防止効果が損なわれることから、30nm以下であることが望ましい。構造の先端が大きいと、屈折率が大きくなるため、先端部と空気の界面で反射が起き、30nm以上になるとこの影響が顕著になる。また、ピッチPの0.4倍以下、すなわちDt≦0.4Pであることが、反射率低減の観点から望ましい。
なお、底面寸法Db、先端面寸法Dtについては、底面や先端面の形状が円形(円錐、円錐台)の場合には、その直径、多角形(角錐、角錐台)の場合は、当該多角形に外接する円の直径を意味するものとする。
【0028】
また、凸部4aの周期的配列としては、正方配列や六方配列が採用されるが、正方配列のように、方向によってピッチPが相違するような場合には、大きい方の値をピッチPと定義する。
【0029】
透明樹脂層4の表面に形成する凹凸構造、すなわち反射防止微細凹凸構造については、上記した凸部4aに換えて、このような凸部を反転させることによって得られる漏斗状や擂り鉢状の凹部から成るものとすることができる。
また、このような錐状微細凹部と上記したような錐状微細凸部とが周期的に配置されたものにすることも可能である。さらに、例えば正弦波形状のような曲面が三次元的に連続するような微細凹凸面とすることもできる。
【0030】
このような透明樹脂層4の材料樹脂としては、特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン樹脂を含む環状ポリオレフィンさらには、これらの樹脂を含むポリマーアロイ等を挙げることができる。
【0031】
これらの樹脂中には、耐衝撃性向上のためのゴム、耐候性改良のための紫外線吸収剤、その他の改質用に酸化防止剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤が含まれていても構わない。
なお、光透過性の観点からは、上記した樹脂のうち、特にアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂を用いることがより好ましい。
【0032】
その表面に、反射防止微細凹凸構造を備えた透明樹脂層4の作製方法については、特に限定するものではないが、例えば、一般的な微細凹凸構造の作製方法として、次のような方法を採用することができる。
【0033】
まず、電子ビームによるリソグラフィーにより、所望の構造を反転させた微細凹凸を備えたシリコン製又はアルミニウム合金製の金型を作成する。次に、ナノインプリントとして、離型剤を塗布した金型上に、光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を基板を介して、任意の圧力で所定時間押し当て、金型の微細凹凸構造を樹脂に転写する。
この際、光硬化性樹脂を用いる場合は、基板に石英板等のUV透過性を有するものを用い、UVを樹脂に照射することにより硬化させる。また、熱硬化性樹脂を用いる場合は、熱伝導性のよい金属性基板を用いて、加熱することによって硬化させる。
【0034】
なお、金型や基板については、必ずしも平板状のものに限らず、例えばロール状にすることによって、連続性を向上させたものや、大面積に対応したものを作製することができるようになる。
この透明樹脂層4の厚さとしては、5〜500μm程度とすることが望ましい。
【0035】
なお、各層を貼り合わせるための透明粘着剤として、例えばアクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコンゴム系粘着剤や、これらの混合物を用いることができる。さらに、透明両面テープを適用することもでき、例えばアクリル系両面テープ、エポキシ系両面テープ、シリコンゴム系両面テープなどが挙げられる。
【0036】
ここで、タッチパネル裏面とディスプレイパネル表面の少なくとも一方に、透明樹脂層4を設ける理由は、ディスプレイパネル2とタッチパネル3の間に介在する空気層によるタッチパネル裏面やディスプレイパネル表面での反射を抑制するためである。なお、両面からの反射を抑えるためには、タッチパネル裏面とディスプレイパネル表面の両方に透明樹脂層4を設けることが好ましいことは言うまでもない。
これによってディスプレイパネル2の発光は、空気層による反射で低減されることがほとんどないままタッチパネル3を透過できることになる。また、上述のように、タッチパネル表面の透明樹脂層4は、その裏面からの入射光を妨げることなく透過させるものである。
【0037】
すなわち、タッチパネル裏面、ディスプレイパネル表面の両方に透明樹脂層を設けることによって、ディスプレイパネル2の発光は、タッチパネル3を反射の影響で妨げられることなく透過し、さらにタッチパネル上面の透明樹脂層4においても反射の影響で妨げられることなく透過することになる。
このように透明樹脂層4をタッチパネル3の表裏両面と、ディスプレイパネル表面のすべてに備えることで視認性を一層向上させることができる。
【0038】
〔スモーク粘着剤層〕
スモーク粘着剤層5は、視認性の改善を目的として、全波長の光を対象に表示装置内部に入光する光量を低減するために、必要に応じて用いられるものであって、種々のフィルムの貼着に用いられるアクリル系やエポキシ系、シリコンゴム系などの粘着剤に染料を添加して着色したものを適用することができる。
なお、スモーク粘着剤層5の厚さとしては、10〜50μm程度であればよい。
【0039】
〔直線偏光層〕
直線偏光層6も表示装置内部に入光する光量を低減する機能を有する。直線偏光層は、あらゆる方向に振動している光からある特定の方向の光(直線偏光)だけを透過する機能を持っている。LCDの光は偏光しているため、直線偏光層をディスプレイのLCD側からの偏光を透過させる配置にすることで、画面の明るさを落とすことなく、外界からの入光成分の一部をカットする。
この層は視認性をさらに改善するために必要に応じて用いられるものであって、直線偏光フィルムから構成される層である。なお、直線偏光層6の厚さとしては、25〜200μm程度とすることが好ましい。
【0040】
ここで、直線偏光フィルムとは、PVA(ポリビニルアルコール)から成る基材フィルムをヨウ素や有機系染料で染色した後、2〜3倍程度に一軸延伸することによって染料分子を規則的に並べ、吸収二色性を持たせたもので、色合いを変えることなく、光の透過率を減らす機能を発揮する。
【0041】
なお、先に、図2(f)や(h)に示したように、タッチパネル3と透明樹脂層4の間に、スモーク粘着層5と直線偏光層6の両方を設けることもできる。
また、これらスモーク粘着層5及び直線偏光層6は、タッチパネル3と透明樹脂層4の間に設けられるが、タッチパネル3の表裏両面に透明樹脂層4がある場合、表面側の透明樹脂層4との間に配置される。
【0042】
〔位相差層〕
なお、同様の機能を有するフィルムとしては、上記した直線偏光フィルムの他に、透過する光の位相を1/4ずらす機能を備えた1/4位相差フィルム(位相差層、1/4波長板)や、上記直線偏光フィルムに1/4位相差フィルムを貼り合わせた円偏向フィルム等がある。
ここで、位相差フィルムは、主にTACフィルムにディコティック液晶を特定の向きに固定し、コーティングして製造される。
【0043】
なお、位相差層7は、タッチパネル3の両面に配置され、表示装置内部に入光する光量を低減する機能を有する。
【0044】
本発明の表示装置の製造に際して、上記した各層は、例えばローラーによるフィルム張り合わせ、インサート成形、真空成形、インジェクションプレス成形、スプレー塗布、蒸着、スパッタ、ディッピング、グラビアコートなどの貼り付け方法や、層形成方法から選択される方法を用いて積層することができる。また、構造が簡便なので部品点数が低減され、また製造する上で成膜工程も簡略化されるので安価に製造できることとなる。
【0045】
すなわち、本発明の表示装置は、タッチパネルの少なくとも表面に透明樹脂層を貼り合わせて積層体を作成しておき、必要に応じてディスプレイ表面に透明樹脂層を貼り合わせ、その上に先に得られた積層体を設置することによって製造することができる。
また、タッチパネルの両面に透明樹脂層を貼り合わせて積層体を作成しておき、ディスプレイ表面に透明樹脂層を貼り合わせ、ディスプレイ表面に貼り合わせた透明樹脂層の上に先に、得られた積層体を設置することによって製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0047】
(実施例1)
先ず、UV硬化型アクリル樹脂(東亞合成(株)製PAK01)を用い、ナノインプリント法によって、底面径Db=100nm、先端面径Dt=30nm、高さH=200nmの円錐台状凸部4aがピッチP=100nmで六方配列された反射防止構造(錐状微細凹凸構造)を表面に備えた透明樹脂層4を110μmの厚さに作製した。
【0048】
次に、タッチパネル3として、(株)翔栄製カーナビ用7インチの抵抗膜式タッチパネルを使用し、当該タッチパネル3の両面に、上記により得られた透明樹脂層4をゴムローラーで空気を抜きながら直接貼り合わせ、3層の積層体を得た。このとき、上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側には全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤を用いてスモーク粘着剤層5とする一方、タッチパネル裏面と透明樹脂層4との接着にはアクリル系透明粘着剤を使用した。
なお、ここで空気を抜く作業は片方の端を固定して、エアーを外側に押出しながら、一方向にローラーを進めることで可能となる。また、直接貼り合わせる状態とは、透明樹脂層4の裏面側粘着剤とタッチパネル3を向かい合わせ、端部の位置合わせが終った状態のことであって、後はローラーを進めるだけで貼付けができる状態のことを言い、その貼り合わせる作業中、及び貼り合わせが完了した状態も含む。
【0049】
そして、ディスプレイパネル2としてのカーナビ用7インチ液晶ディスプレイ(クラリオン製)の表示画面側に、上記積層体を作成した際と同じように、ゴムローラーを用いて透明樹脂層4を貼り付けた。この上に上記積層体のタッチパネル裏側が接するように載置した。これにより、図1(d)に示すような実施例1の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0050】
(実施例2)
ディスプレイパネル2の表示画面上の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8((株)美舘イメージング製 MFAR−Roll)を配置したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図4(a)に示すような実施例2の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/透明樹脂層4 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0051】
(実施例3)
タッチパネル3の裏面側の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、図4(b)に示すような実施例3の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/AR8 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0052】
(実施例4)
予め、タッチパネル3の表面側のみに、直線偏光層6として直線偏光フィルム((株)美舘イメージング製MLPH40S)を貼り付けた状態で、その両面に上記により得られた透明樹脂層4をゴムローラーで空気を抜きながらアクリル系透明粘着剤によって直接貼り合わせ、4層の積層体を得た。そして、上記実施例1と同様に、透明樹脂層4を貼り付けたディスプレイパネル2の上に、上記積層体のタッチパネル裏側が接するように載置することによって、図2(e)に示すような実施例4の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0053】
(実施例5)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例4と同様の操作を繰り返すことによって、図2(f)に示すような実施例5の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/直線偏光層6/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0054】
(実施例6)
予め、上記タッチパネル3の両面に、位相差層7((株)美舘イメージング製MCR140U)を貼り付けたこと以外は、上記実施例4と同様の操作を繰り返すことによって、図2(g)に示すような実施例6の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0055】
(実施例7)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例6と同様の操作を繰り返すことによって、図2(h)に示すような実施例7の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0056】
(実施例8)
透明樹脂層4をタッチパネル3の表面側とディスプレイパネル2の表示画面上に配置し、タッチパネル3の裏面側への配置を省略したこと以外は、上記実施例6と同様の操作を繰り返すことによって、図4(c)に示すような実施例8の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0057】
(実施例9)
タッチパネル3の裏面側の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例6と同様の操作を繰り返すことによって、図4(d)に示すような実施例9の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/AR8 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0058】
(実施例10)
ディスプレイパネル2の表示画面上の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例6と同様の操作を繰り返すことによって、図4(e)に示すような実施例10の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0059】
(実施例11)
タッチパネル3として、抵抗膜式タッチパネルに換えて、翔栄製の静電容量型タッチパネルを使用し、当該タッチパネル3の両面に、アクリル系透明粘着剤を用いて透明樹脂層4を空気を抜きながら直接貼り合わせ、3層の積層体を得た。そして、透明樹脂層4を同様に貼り付けたディスプレイパネル2の上に、上記積層体のタッチパネル裏側が接するように載置することによって、図1(c)と同様の実施例11の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0060】
(実施例12)
ディスプレイパネル2の表示画面上の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図4(f)に示すような実施例12の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/タッチパネル3/透明樹脂層4 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0061】
(実施例13)
タッチパネル3の裏面側の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図4(g)に示すような実施例13の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/タッチパネル3/AR8 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0062】
(実施例14)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率30%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図1(d)と同様の実施例14の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(30%)5/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0063】
(実施例15)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率35%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図1(d)と同様の実施例15の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(35%)5/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0064】
(実施例16)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図1(d)と同様の実施例16の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0065】
(実施例17)
予め、タッチパネル3表面側のみに、直線偏光層6として直線偏光フィルムを貼り付けた以外は上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図2(e)と同様の実施例17の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0066】
(実施例18)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率40%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例17と同様の操作を繰り返すことによって、図2(f)と同様の実施例18の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/直線偏光層6/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0067】
(実施例19)
予め、上記タッチパネル3の両面に、位相差層7を貼り付けたこと以外は、上記実施例17と同様の操作を繰り返すことによって、図2(g)と同様の実施例19の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0068】
(実施例20)
上記タッチパネル最表面の透明樹脂層4の裏面側のアクリル系透明粘着剤を全光線透過率30%のスモークアクリル粘着剤に変更して、スモーク粘着剤層5としたこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図2(h)に示すような実施例20の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(30%)5/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0069】
(実施例21)
透明樹脂層4をタッチパネル3の表面側とディスプレイパネル2の表示画面上に配置し、タッチパネル3の裏面側への配置を省略したこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図4(c)と同様の実施例21の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0070】
(実施例22)
タッチパネル3の裏面側の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図4(d)に示すような実施例22の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/AR8 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0071】
(実施例23)
ディスプレイパネル2の表示画面上の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図4(e)に示したものと同様な実施例23の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0072】
(実施例24)
直線偏光フィルムの貼り付けを省略したこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図4(h)に示すような実施例24の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0073】
(比較例1)
AGフィルム9を表面に備えた直線偏光フィルム6(日東電工(株)製AG150)の粘着剤が位相差フィルム7((株)翔栄製)の側に接するようにゴムローラーを用いて積層し、これを7インチにカットし、その粘着層に抵抗膜式のタッチパネル3の表面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。この積層体のタッチパネルの裏面側に、さらに位相差フィルム7の表面が接するように積層し、その裏面側の位相差フィルム7の粘着剤面と多層ARフィルム8(3層ARフィルム(株)美舘イメージング製MFAR−Roll)の粘着剤面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。
そして、ARフィルム8を備えたカーナビ用7インチ液晶ディスプレイ(LCD)2の画面上に、上記積層体の多層ARフィルム8が対向するように設置し、図5(a)に示すような比較例1の表示装置(表層側から、AG9/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/AR8 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0074】
(比較例2)
AGフィルム9を備えた直線偏光フィルム6を7インチにカットし、その粘着層と抵抗膜式のタッチパネル3の表面が接するようにゴムローラーを用いて積層した。
そして、AGフィルム9付の液晶ディスプレイ2の画面上に、上記積層体のタッチパネル3が対向するように設置し、図5(b)に示すような比較例2の表示装置(表層側から、AG9/直線偏光層6/タッチパネル3 AG9/ディスプレイパネル2)を得た。
【0075】
(比較例3)
抵抗膜式のタッチパネル3の表面側に、上記構造の透明樹脂層4を設けることなく、表面にAGフィルム9を備えた直線偏光フィルムを直線偏光層6として使用したこと以外は、上記実施例3と同様の操作を繰り返すことによって、図5(c)に示すような比較例3の表示装置(表層側から、AG9/直線偏光層6/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0076】
(比較例4)
抵抗膜式のタッチパネル3の裏面と液晶ディスプレイ2の表面に透明樹脂層4を配置することなく、表面にAGフィルム9を備えた液晶ディスプレイ2を使用したこと以外は、上記実施例3と同様の操作を繰り返すことによって、図5(d)に示すような比較例4の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/タッチパネル3 AG9/ディスプレイパネル2)を得た。
【0077】
(比較例5)
予め、直線偏光フィルム6(日東電工(株)製AG150)の表面に、多層ARフィルム8(3層ARフィルム(株)美舘イメージング製MFAR−Roll)を貼り付けたこと以外は、比較例1と同様の操作を繰り返すことによって、図5(e)に示すような比較例5の表示装置(表層側から、AR8/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/AR8 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0078】
(比較例6)
ディスプレイパネル2の表示画面上の透明樹脂層4に換えて、3層ARフィルム8を配置したこと以外は、上記実施例3と同様の操作を繰り返すことによって、図5(f)に示すような比較例6の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/AR8 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0079】
(比較例7)
ゴムローラーを用いて、7インチにカットした直線偏光フィルム6の粘着剤面に静電容量型のタッチパネル3を積層し、このタッチパネル3の下面に、アクリル系透明粘着剤を用いて多層ARフィルム8を貼り合わせて積層体を作成した。これを、AGフィルム9を表面に備えた液晶ディスプレイ2の画面上に配置することによって、図6(g)に示すような比較例7の表示装置(表層側から、直線偏光層6/タッチパネル3/AR8 AGフィルム9/ディスプレイパネル2)を得た。
【0080】
(比較例8)
直線偏光フィルム6を用いることなく、AGフィルム9のみを静電容量型のタッチパネル3上に積層したこと以外は、上記比較例3と同様の操作を繰り返すことによって、図6(h)に示すような比較例8の表示装置(表層側から、AG9/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0081】
(比較例9)
AGフィルム9を多層ARフィルム8に替えたこと以外は、上記比較例8と同様の操作を繰り返すことによって、図6(i)に示すような比較例9の表示装置(表層側から、AR8/タッチパネル3/透明樹脂層4 透明樹脂層4/ディスプレイパネル2)を得た。
【0082】
(比較例10)
液晶ディスプレイ2の画面上に、静電容量型のタッチパネル3を配置することによって、図6(j)に示すような比較例10の表示装置(表層側から、タッチパネル3 ディスプレイパネル2)を得た。
【0083】
(比較例11)
静電容量型のタッチパネル3の裏面と液晶ディスプレイ2の表面に、微細凹凸構造を備えた上記透明樹脂層4を配置しないこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、図6(k)に示すような比較例11の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/タッチパネル3 ディスプレイパネル2)を得た。
【0084】
(比較例12)
静電容量型のタッチパネル3の裏面と液晶ディスプレイ2の表面に透明樹脂層4を配置しないこと以外は、上記実施例17と同様の操作を繰り返すことによって図6(l)に示すような比較例11の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/直線偏光層6/タッチパネル3 ディスプレイパネル2)を得た。
【0085】
(比較例13)
タッチパネル3の表裏両面と液晶ディスプレイ2の表面に配置された3箇所全ての透明樹脂層4をARフィルム8に換えたこと以外は、上記実施例19と同様の操作を繰り返すことによって、図6(m)に示すような比較例13の表示装置(表層側から、AR8/直線偏光層6/位相差層7/タッチパネル3/位相差層7/AR8 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0086】
(比較例14)
抵抗膜式タッチパネルに換えて、翔栄製の静電容量型タッチパネルを用いたこと以外は、上記比較例6と同様の操作を繰り返すことによって、図5(f)と同様な比較例14の表示装置(表層側から、透明樹脂層4/スモーク粘着剤層(40%)5/タッチパネル3/AR8 AR8/ディスプレイパネル2)を得た。
【0087】
このようにして得られた表示装置について、反射率及び直射入光時の表示画面の視認性について下記要領により調査した。これらの結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。
【0088】
〔反射率〕
島津製作所製SS3700を用い、試料面の垂直軸に対して23°の入射角度による正反射の値を測定した。測定波長域380〜780nm、比視感度補正あり、硫酸バリウムに対する相対反射、550nmでゼロ補正の条件で測定を行った。
【0089】
〔視認性〕
試験場所:光環境実験室
照度:人工空照度 5000lx強
直射光照度33400lx(画面中心から面直方向)
57100lx(画面中心から光源方向)
光源方向:上方20°、車両左後方60°
車両条件:実車内のセンターコンソールに、
下方30°、面角度35°、視距離約700mmで取り付けた。
ディスプレイ画面:カーナビのメニュー画面を表示
明るさ、コントラストはデフォルト設定
評価基準:4名の評価者により、下記の基準に基づいて評価した。
◎:標示物の詳細まで判別できる
○:標示物のうち、大きな文字(メニュー)が辛うじて認識できる
△:標示物が全く判別できない
×:標示物が全く判別できない上に、眩しくて長時間直視できない
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
表1に示した結果から明らかなように、タッチパネルに抵抗膜式、静電容量型を含むいずれの構成においても、錐状微細凹凸構造を備えた透明樹脂層をタッチパネルの表面側、裏面側、ディスプレイパネルの表面を備えた表示装置の視認性評価結果が優れ低ることが判明した。そして、たとえタッチパネルの表面側に透明樹脂層を配置したとしても、タッチパネル裏面及びディスプレイパネル表面の双方に透明樹脂層を設けない場合には、表示装置の内部反射を抑えることができないために、視認性が劣ることが確認された。
【符号の説明】
【0093】
1 表示装置
2 ディスプレイパネル
3 タッチパネル
4 透明樹脂層
4a 錐状微細凸部
5 スモーク粘着剤層
6 直線偏光層
7 位相差層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネル上に、タッチパネルを積層した表示装置において、
タッチパネルの表面と、タッチパネルの裏面及びディスプレイパネルの表面の少なくとも一方に可視光の波長以下のピッチで二次元的に配置された複数の錐状微細凸部及び/又は錐状微細凹部を備えた透明樹脂層を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記タッチパネルの両面に、位相差層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記タッチパネルと透明樹脂層との間に、スモーク粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記タッチパネルと透明樹脂層との間に、直線偏光層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記透明樹脂層は、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン樹脂を含む環状ポリオレフィン樹脂、あるいはこれらの樹脂を含むポリマーアロイから選ばれた材料から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の表示装置を用いた自動車用ナビゲーションシステム。
【請求項7】
タッチパネルの両面に透明樹脂層を貼り合わせて積層体を作成し、
一方でディスプレイパネル表面に透明樹脂層を貼り合わせ、
ディスプレイパネル表面に貼り合わせた透明樹脂層上に上記積層体を設置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の表示装置の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185338(P2012−185338A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48466(P2011−48466)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】