説明

表示装置

【課題】液晶モジュールの背面に設けられる制御回路基板と液晶モジュールの下面に配置されるソースドライバ基板とを接続するフラットケーブルを伝って水がソースドライバ基板に浸入する。
【解決手段】ソースドライバ基板60は液晶モジュール52の下縁を支持するモールドフレーム62の下面に配置される。制御回路基板56は液晶モジュール52の背面に配置される。フラットケーブル66は制御回路基板56とソースドライバ基板60との間をモールドフレーム62の後端面114と基板カバー58との間隙を通って接続する。後端面114に貼り付けた吸水部材110をフラットケーブル66にあてがう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビなどの表示パネルを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイを始めとするいわゆる平面型表示装置がテレビジョン受像機や各種モニターなど種々の用途に広く利用されるようになっている。この表示装置は通常は気密性を備えない。そのため、例えば、表示パネル表面を水拭きされたり、多湿な環境に置かれたりすると、水分、湿気は筐体内部に浸入し得る。そして、侵入した水や結露により生じた水滴が筐体内部の回路基板に付着すると、ショートを起こすなど故障の原因となる可能性がある。
【0003】
特許文献1は、表示パネル表面を水拭きした場合などに水が表示パネルと筐体との間隙を通って表示モジュールの内部に進入することを防止するために、当該間隙にて表示パネルに対向する部材に吸水部材を貼り付けた表示装置を開示している。
【0004】
図9は従来の液晶表示装置の下部の模式的な断面図である。液晶パネル2の背面に導光板4及び下フレーム金具8などが配置されたパネル状構造体10は外縁をモールドフレーム12(フレーム部材)で支持される。下フレーム金具8の背面には制御回路基板14が取り付けられ、モールドフレーム12の下辺部の下面にはソースドライバ基板20が取り付けられる。制御回路基板14とソースドライバ基板20とはフラットケーブル22で接続される。フラットケーブル22はその端部のコネクタ24をソースドライバ基板20のコネクタ26に差し込まれる。制御回路基板14、ソースドライバ基板20及びフラットケーブル22の背後は金属製のカバー28(遮蔽板)で覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−212652号公報
【特許文献2】特開2009−282216号公報
【特許文献3】特開2010−237464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高湿度環境下では表示装置内の各部材に水滴が付着し得る。特に、フラットケーブル22に付着した水滴は当該ケーブル表面を伝って下へ流れ、ソースドライバ基板20へ向けて水平方向に向きを変えるフラットケーブル22の屈曲部30を経由して、フラットケーブル22の表面をソースドライバ基板20側へ広がり、また毛細管現象によってモールドフレーム12とフラットケーブル22との間隙やコネクタ24,26の接合部の間隙に浸潤してソースドライバ基板20に達し得る。このように制御回路基板14とソースドライバ基板20との間に上下に延在されたフラットケーブル22を有する表示装置においては、フラットケーブル22の表面に水滴が付着し、フラットケーブル22がその水滴をソースドライバ基板20に導き、その結果、当該水滴がソースドライバ基板20にて電子回路のショートを起こし、故障の原因となることがあるという問題を発見した。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、フレーム部材の下面に配置された回路基板が電線を伝う水滴により故障することが防止される表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、表示パネルを含むパネル状構造体と、当該パネル状構造体の下縁を支持する下縁支持部材とを有する表示装置であって、前記パネル状構造体の背面に配置された第1の回路基板と、前記下縁支持部材の下面に配置された第2の回路基板と、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を前記下縁支持部材の後ろ側を通って接続する電線と、前記第1及び第2の回路基板並びに前記電線の背後を覆う遮蔽板と、前記下縁支持部材と前記遮蔽板とに前記電線と共に挟まれ、当該電線にあてがわれた吸水部材と、を有する。
【0009】
本発明の好適な態様は、前記電線がフラットケーブルであって、前記吸水部材が、前記下縁支持部材の後端面のうち前記フラットケーブルが対向する幅全体に亘って貼り付けられた表示装置である。
【0010】
上記本発明に係る表示装置においては、前記フラットケーブルにおける前記第1の回路基板へ向かって縦に延在される部分と前記第2の回路基板へ向かって水平に延在される部分との間の屈曲部は、前記第2の回路基板との接続部の高さよりも下に窪んだ溝部を有する構造とすることができる。また、当該溝部は、前記フラットケーブルの幅全体に亘って形成され、端へ向かって低くなる傾斜を有する構成としてもよい。
【0011】
上記本発明に係る表示装置において、前記吸水部材をさらに、前記フラットケーブルの全幅に対向して前記遮蔽板にも貼り付けてもよい。
【0012】
本発明の好適な態様においては、前記吸水部材は不織布からなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電線が通される下縁支持部材と遮蔽板との間隙に吸水部材が設けられる。当該吸水部材は下縁支持部材と遮蔽板とに電線と共に挟まれ、当該電線にあてがわれ、電線を伝って流下してきた水滴を吸収する。これにより、下縁支持部材の下面に配置される第2の回路基板に水滴が達することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である液晶表示装置における液晶モジュールの模式的な背面図である。
【図2】基板カバーを外した液晶モジュールの模式的な部分背面図である。
【図3】図1の線分III‐IIIにおける液晶モジュールの模式的な垂直断面図である。
【図4】フラットケーブルが配される位置の近傍における液晶モジュールの模式的な部分背面図である。
【図5】図3とは異なる垂直断面形状を有する吸水部材の一例を示す液晶モジュールの模式的な部分断面図である。
【図6】図3とは異なる垂直断面形状を有する吸水部材の他の例を示す液晶モジュールの模式的な部分断面図である。
【図7】フラットケーブルを吸水部材に押し当てる他の構造の例を示す液晶モジュールの模式的な部分断面図である。
【図8】フラットケーブルの屈曲部に溝部を設けた構造を示す液晶モジュールの模式的な部分断面図である。
【図9】従来の液晶表示装置の下部の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)である液晶表示装置50について、図面に基づいて説明する。液晶表示装置50は、液晶モジュールを含む主要部及び、外装のカバー・枠、スタンドなどから構成される。図1は、液晶モジュール52の模式的な背面図であり、液晶パネルに対応して液晶モジュール52も略矩形の平板形状である。液晶モジュール52は、液晶パネル、バックライトユニットなどの部品を組み合わせたパネル状の構造体をフレーム部材で支えた構造を有する。本実施形態では液晶モジュール52の後面は当該フレーム部材の一つである下フレーム金具54で基本的に覆われ、外周には縁を支持するモールドフレームが設けられる。液晶モジュール52は下フレーム金具54の後面上に取り付けられた制御回路基板56、モールドフレームの下辺部分(下縁支持部材)の下面に取り付けられ、制御回路基板56にコネクタケーブルで接続されるソースドライバ基板、及びこれら制御回路基板56等の背面を覆う基板カバー58(遮蔽板)を備える。
【0016】
液晶パネルはマトリクス状に配列された複数の画素を有し、当該画素の配列に対応して液晶パネルには、垂直方向(列方向)に伸びるソース信号線(データ信号線)が水平方向に複数配列され、また水平方向(行方向)に伸びるゲート信号線(走査信号線)が垂直方向に複数配列される。液晶モジュール52は各ソース信号線を駆動するソースドライバ回路、及び各ゲート信号線を駆動するゲートドライバ回路を備え、制御回路基板56に設けられる制御回路は入力される映像信号に基づいてソースドライバ回路及びゲートドライバ回路の動作を制御する。具体的には、各ゲート信号線には水平方向に並ぶ複数の画素回路が接続され、ゲートドライバ回路は複数のゲート信号線に順番にゲート信号を出力して、当該ゲート信号線に接続される画素回路をデータ書き込み可能にする。また、各ソース信号線には垂直方向に並ぶ複数の画素回路が接続される。ソースドライバ回路は1走査線に対応する画像データから当該走査線を構成する複数の画素それぞれに対応する信号を生成して複数のソース信号線に出力する。各ソース信号線に出力された画素信号は、ゲート信号により書き込み可能とされている画素回路に書き込まれ、各画素回路は書き込まれた画素信号に応じて画素から出射される光量を制御する。
【0017】
図2は基板カバー58を外した液晶モジュール52の模式的な部分背面図であり、基板カバー58で覆われる部分を示している。ソースドライバ基板60はモールドフレームの下辺部分である下縁支持部材(以下、単にモールドフレーム62と表す)の下面に例えば、水平方向に延在し、当該基板上に形成されるソースドライバ回路が液晶パネルの各ソース信号線に接続される。制御回路基板56とソースドライバ基板60とはコネクタケーブル64で接続される。コネクタケーブル64はフラットケーブル66とその両端に取り付けられたコネクタとからなり、両端のコネクタはそれぞれ制御回路基板56、ソースドライバ基板60側のコネクタ68,70に挿入される。ちなみに、本実施形態では液晶パネルの幅に亘って配列される各ソース信号線への信号伝達ができるだけ均等になるように、ソースドライバ基板60のコネクタ70は液晶モジュール52の水平方向のほぼ中央部に配置され、これに対応して制御回路基板56もそのほぼ真上、つまり液晶モジュール52の水平方向のほぼ中央部に配置される。また、モールドフレーム62の下面に配置されるソースドライバ基板60との間の配線長を小さくするために、制御回路基板56は液晶モジュール52の下縁寄りに配置されている。また、液晶パネルの左右(両側又はいずれか一方)にはゲートドライバ回路が形成されたゲートドライバ基板(図示せず)が配置される。例えば、ソースドライバ基板60の端部をゲートドライバ基板に接続し、制御回路基板56からゲートドライバ基板への信号伝達をコネクタケーブル64及びソースドライバ基板60を介して行うことができる。
【0018】
図3は、液晶モジュール52の模式的な垂直断面図であり、図1、図2の線分III−IIIでの部分断面図である。図3において左側が液晶表示装置50の表面、つまり表示面側であり、右側が背面側である。液晶モジュール52の表面には表示パネルである液晶パネル80が配置される。液晶パネル80は、図3には示していないが、その背面側のTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)基板及び前面側の対向基板と、それらの間に挟まれた液晶層とを有する。液晶パネル80は透過型であり、TFT基板の背面には下偏光板80bが配置され、対向基板の前面には上偏光板80fが配置され、当該液晶パネル80の背面に対向してバックライトユニット82が配置される。
【0019】
本装置50ではバックライトユニット82はエッジライト方式を採用しており、導光板84を含む積層体86と、導光板84の側面から光を入射する光源88とを有し、また光源88を冷却する放熱板90を有する。積層体86は、導光板84の前面に積層された拡散シート等の光学シート類85f、及び背面に配置された反射シート85bを含む。また、例えば、光源88は発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を用いて構成することができ、光源88はLEDが配列された基板にレンズ等の光学素子を搭載した構造を有する。
【0020】
このバックライトユニット82の背面に下フレーム金具54が配置され、下フレーム金具54に制御回路基板56が例えばスペーサ等を介してねじ止めされる。なお、下フレーム金具54には制御回路基板56の他、例えば、液晶表示装置50がテレビジョン受信機である場合における受信信号処理回路などの回路基板が取り付けられる。下フレーム金具54は下縁にてバックライトユニット82の背面から下面にL字型に折り曲がる。
【0021】
モールドフレームは樹脂成形により、液晶モジュール52の外周に沿った一体の枠に形成される。図3に示すモールドフレーム62はその下辺部分である。モールドフレーム62もL字型の断面を有し、液晶モジュール52の前後方向に水平な部分62hと、前方にて上へ向けて折れ曲がる垂直部分62vとを有する。水平部分62hは、下フレーム金具54のバックライトユニット82の下に折れ曲がった部分の下面を支持する。一方、垂直部分62vは液晶パネル80とバックライトユニット82との間に設けられる間隙に挿入され、緩衝材92,94を介して液晶パネル80の裏面の下縁部及び積層体86(導光板84)の前面の下縁部が当該垂直部分62vに当接される。
【0022】
上述したように、制御回路基板56とソースドライバ基板60との間は、コネクタケーブル64により接続される。コネクタケーブル64は、制御回路基板56に取り付けられたコネクタ68に一方端を挿入され、ソースドライバ基板60に取り付けられたコネクタ70に他方端を水平に挿入される。ここで、フラットケーブル66はコネクタ68からソースドライバ基板60が位置する液晶モジュール52の下端までは基本的に上下方向に沿って配置されるが、液晶モジュール52の下端側ではコネクタ70の向きに合わせて水平方向に屈曲させる必要がある。具体的には、フラットケーブル66の屈曲部96はモールドフレーム62の水平部分62hより下に形成される。
【0023】
またソースドライバ基板60と液晶パネル80との間はフレキシブル基板98で接続される。
【0024】
上フレーム金具100は液晶モジュール52の外周に沿った一体の枠に形成される。当該枠の各辺にて上フレーム金具100はL字型の断面を有し、例えば図3に示す下辺部分では液晶モジュール52の前後方向に水平な部分100hと、前方にて上に折れ曲がる前面部分100vとを有する。この上フレーム金具100の枠内に、上述した液晶パネル80、バックライトユニット82、モールドフレーム等を組み立てた液晶モジュール52の主要部がはめ込まれ、液晶モジュール52の外周側面は上フレーム金具100の水平部分100hで覆われ、前面外縁部は前面部分100vで覆われる。例えば、液晶モジュール52の下縁においては、水平部分100hはソースドライバ基板60の下面を覆う。また、前面部分100vは液晶パネル80の端部や、フレキシブル基板98を覆い隠す。
【0025】
また、既に述べたように、基板カバー58は液晶モジュール52の背面にて制御回路基板56、コネクタケーブル64及びソースドライバ基板60を覆い隠し、これら電子回路からの輻射ノイズを遮蔽する。
【0026】
上述の液晶モジュール52の構造において、フラットケーブル66はモールドフレーム62の水平部分62hの後端と基板カバー58との間に設けられる間隙を通って制御回路基板56とソースドライバ基板60との間に配線される。液晶表示装置50は、この間隙にフラットケーブル66と共に挟まれ、当該ケーブル66にあてがわれる吸水部材を有する。具体的には、モールドフレーム62の後端面に吸水部材110が例えば耐水性の高い両面粘着テープや糊などの粘着部材・接着剤を用いて貼り付けられる。この吸水部材110はフラットケーブル66の前側の面にあてがわれる。これにより、フラットケーブル66の当該面に例えば結露等で生じた水滴が当該面を伝って下がってきた場合にも吸水部材110が当該水滴を吸収するので、水滴が水平部分62hより下に流れ、さらに屈曲部96から水平方向に拡散してソースドライバ基板60のコネクタ70に浸入することが阻止され、ソースドライバ基板60での短絡等による液晶表示装置50の故障が防止される。
【0027】
また、本装置50は基板カバー58の内側面に、水平部分62hの後端面に向き合う対向部材112を有する。対向部材112はフラットケーブル66の背面側を押して吸水部材110を確実にフラットケーブル66に接触させる。対向部材112は吸水部材110と同様の方法で基板カバー58に貼り付けることができる。対向部材112は弾力性を有する材料で形成することが好適であり、例えば、スポンジのような発泡状、多孔質形状の材料を用いることができる。
【0028】
さらにこの対向部材112も吸水性の部材とすることができる。これによりフラットケーブル66の後ろ側の面を伝って下がってきた水滴が対向部材112で吸収され、屈曲部96からフラットケーブル66の水平部分の下面を伝ってソースドライバ基板60のコネクタ70に浸入することが阻止され、液晶表示装置50の故障が防止される。
【0029】
なお、吸水部材110の材料を不織布に代えて、より弾力性に富んだ例えば発泡状の他の吸水性材料や吸水ゲルなどにしてもよい。
【0030】
図4は液晶モジュール52の部分背面図であり、フラットケーブル66が配される位置におけるモールドフレーム62の後端面近傍を模式的に示した図である。吸水部材110はモールドフレーム62の水平部分62hの後端面114のうち、フラットケーブル66に対向する幅全体を含むように配することが好適である。また、フラットケーブル66が可撓性を有し横方向に多少変位し得ることや、吸水部材110の貼り付け位置の必要精度を緩和できるという観点から、吸水部材110を貼り付ける水平方向の範囲をフラットケーブル66の幅よりも大きく設定することが好適である。対向部材112もフラットケーブル66を吸水部材110へ押し当てるという機能やフラットケーブル66の背面側を伝う水滴を吸収するという機能から、吸水部材110と同様の範囲に配置する。
【0031】
また別の観点として、吸水部材110の水平幅を大きくすることで吸水部材110の面積・容積を増加させて吸水容量を高めることができる。対向部材112にフラットケーブル66の背面側での吸水機能を担わせる本実施形態では、対向部材112もフラットケーブル66の位置・幅に応じて必要とされる値よりも大きな水平幅として吸水容量を増加させることができる。
【0032】
図3に示す吸水部材110はモールドフレーム62の後端面114に対応した垂直断面形状を有している。図5、図6は吸水部材110の他の垂直断面形状の例を示す模式図であり、後端面114の近傍における液晶モジュール52の垂直断面図である。
【0033】
図5に示す吸水部材110aは、水平部分62hの後端面114に貼り付けられる部分116aと、当該部分116aに連続して水平部分62hの上面118に貼り付けられる部分116bとを有する。この構成では、後端面114上の部分116aがフラットケーブル66に接触して吸収した水分が、上面118上の部分116bに拡散するので、吸水部材110aの吸水容量を増加させることができる。
【0034】
図6に示す吸水部材110bは例えば、不織布のような平らな部材を二つ折りにした垂直断面形状を有する。吸水部材110bは折り曲げ部分を上にして、当該折り曲げ部分を境界とする2つの部分120a,120bのうち一方の部分120aだけが後端面114に貼り付けられる。他方の部分120bは部分120aとフラットケーブル66との間に配置される。この構成でも吸水容量を増加させることができる。また、吸水部材110bの材料の弾性により折り曲げ部分が伸張しようとする結果、他方部分120bがフラットケーブル66に押し当てられやすく、またフラットケーブル66との接触面積が大きくなり、フラットケーブル66表面の水滴を吸収しやすくなる。また、吸水部材110bの弾力性が強い場合には、対向部材112によりフラットケーブル66の背面を押圧する必要がなくなるので、当該対向部材112を省略したり、また対向部材112が吸水機能を兼ね備える場合には弾力性よりも他の要素、例えば吸水性やコスト、加工のし易さなどを重視した材料で形成することができる。
【0035】
なお、上述した構成において、吸水部材110,110aの下端や吸水部材110bの各部分120a,120bの下端及び折り曲げ部分は、後端面114の垂直方向の幅からはみ出してもよい。
【0036】
図7はフラットケーブル66を吸水部材110に押し当てる他の構造の例を示す模式図であり、後端面114の近傍における液晶モジュール52の垂直断面図である。この構成では、基板カバー58の内側面がモールドフレーム62の水平部分62hの上面より高い位置にて前方へせり出した凸部122を有する。これにより、後端面114近傍の間隙の垂直断面形状が屈曲され、そこを通過するフラットケーブル66は凸部122により押されて後端面114側に配置された吸水部材110に押し当てられるので、押圧機能のために対向部材112を配置する必要はなくなる。この構成では、フラットケーブル66のしなりを利用して当該フラットケーブル66を後端面114側に押し当てており、凸部122自体は弾力性を有する必要はない。例えば、凸部122は金属製の基板カバー58をプレス加工して形成することができる。
【0037】
図8はフラットケーブル66を伝って水がソースドライバ基板60へ達することを阻止する他の構造を示す模式図であり、後端面114の近傍における液晶モジュール52の垂直断面図である。この構成では、フラットケーブル66における制御回路基板56へ向かって縦に延在される部分とソースドライバ基板60へ向かって水平に延在される部分との間の屈曲部96は、ソースドライバ基板60のコネクタ70の挿入口124の高さよりも下に窪んだ溝部126を有する。吸水部材110に流れ込む水分がその吸水容量を超えると、当該吸水部材110から下へ水がしみ出し得る。この場合に本構成では溢れた水分を溝部126で受け、フラットケーブル66のソースドライバ基板60へ向かう水平部分表面に水分が拡散することを阻止する。例えば、熱可塑性樹脂で被覆されたフラットケーブル66を熱成形して予め溝部126を作ることができる。
【0038】
また、溝部126はフラットケーブル66の幅全体に亘って形成することが好適である。さらにフラットケーブル66の幅方向の各位置での溝部126の最下点がフラットケーブル66の幅方向の端へ向かって単調に低くなるように溝部126に傾斜を設けることが好適である。これにより、溝部126溜まった水は、フラットケーブル66の端から下へ流れ落ち易くなり、溝部126からフラットケーブル66の水平部分の表面へ溢れ出ることが防止され、ソースドライバ基板60へ水が浸入しにくくなる。なお、フラットケーブル66の幅方向に対する溝部126の傾斜は、フラットケーブル66の幅の一方端から他方端へ下がるものでもよいし、幅の中央部付近から両側へ下がるようにしてもよい。
【0039】
以上、本発明に係る表示装置を、液晶パネル80を表示パネルとして有する液晶表示装置50を例に説明した。しかし、本発明は他の種類の表示パネルを用いた表示装置にも適用可能である。すなわち、表示装置は表示パネルとして有機EL(エレクトロルミネセンス)パネル、PDP(プラズマディスプレイパネル)、FED(電界放出ディスプレイ)パネル等を用いたものであってもよい。また、液晶パネル80は、IPS(In Plane Switching)方式とすることができるが、IPS以外の駆動方式、例えば、VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
【0040】
また、制御回路基板56とソースドライバ基板60とをつなぐ電線はフラットケーブル66以外であっても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
50 液晶表示装置、52 液晶モジュール、54 下フレーム金具、56 制御回路基板、58 基板カバー、60 ソースドライバ基板、62 モールドフレーム、62h 水平部分、62v 垂直部分、64 コネクタケーブル、66 フラットケーブル、68,70 コネクタ、80 液晶パネル、82 バックライトユニット、84 導光板、86 積層体、88 光源、90 放熱板、92,94 緩衝材、96 屈曲部、98 フレキシブル基板、100 上フレーム金具、110 吸水部材、112 押圧部材、114 後端面、122 凸部、126 溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを含むパネル状構造体と、当該パネル状構造体の下縁を支持する下縁支持部材とを有する表示装置であって、
前記パネル状構造体の背面に配置された第1の回路基板と、
前記下縁支持部材の下面に配置された第2の回路基板と、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を前記下縁支持部材の後ろ側を通って接続する電線と、
前記第1及び第2の回路基板並びに前記電線の背後を覆う遮蔽板と、
前記下縁支持部材と前記遮蔽板とに前記電線と共に挟まれ、当該電線にあてがわれた吸水部材と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記電線はフラットケーブルであって、
前記吸水部材は、前記下縁支持部材の後端面のうち前記フラットケーブルが対向する幅全体に亘って貼り付けられること、を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記フラットケーブルにおける前記第1の回路基板へ向かって縦に延在される部分と前記第2の回路基板へ向かって水平に延在される部分との間の屈曲部は、前記第2の回路基板との接続部の高さよりも下に窪んだ溝部を有すること、を特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記溝部は、前記フラットケーブルの幅全体に亘って形成され、端へ向かって低くなる傾斜を有していること、を特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1つに記載の表示装置において、
前記吸水部材はさらに、前記フラットケーブルの全幅に対向して前記遮蔽板にも貼り付けられること、を特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の表示装置において、
前記吸水部材は不織布からなること、を特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3487(P2013−3487A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137010(P2011−137010)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】