説明

表示装置

【課題】3次元表示を行う表示装置におけるクロストークの発生を抑制する。
【解決手段】表示装置に視認者の位置情報を検出する手段を設け、当該位置情報に基づいて視差バリアを形成する。具体的には、表示装置にマトリクス状に配設された複数の画素を用いて表示を行う表示パネルと、ストライプ状に配設された複数の透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号に応じて液晶に印加される電圧を制御することで視差バリアを形成するシャッタパネルと、視認者の位置情報を検出する位置情報検出手段とを設ける。そして、マトリクス状に配設された複数の画素に含まれる左目用表示列に配設された複数の画素が左目用表示を行い、且つマトリクス状に配設された複数の画素に含まれる左目用表示列とは異なる右目用表示列に配設された複数の画素が右目用表示を行う際に、複数の透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号が位置情報に基づいて定める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。特に、3次元表示を行うことが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機などの大型表示装置から携帯電話などの小型表示装置に至るまで表示装置の普及が進んでいる。当該表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配設された表示部を有する。そして、当該画素毎に所望の色表示を行うことで表示部に画像を形成する。近年では、3次元表示が可能な表示装置が開発されている。
【0003】
3次元表示を行う表示方式としては、表示部において左目用表示を行う期間と右目用表示を行う期間に分離すると共に、前者のみが左目に視認され且つ後者のみが右目に視認されるように利用者が眼鏡を用いる方式(以下、眼鏡方式ともいう)と、表示部において左目用表示を行う画素と右目用表示を行う画素とに分離すると共に、前者のみが左目に視認され且つ後者のみが右目に視認されるような構成(視差バリア(パララックスバリア)等)を設ける方式(以下、裸眼方式ともいう)とがある。
【0004】
裸眼方式によって3次元表示を行う場合、眼鏡を別途準備する必要がなく、利便性に優れている。ただし、裸眼方式によって3次元表示を行う表示装置において2次元表示を行う場合、裸眼方式特有の構成(視差バリア(パララックスバリア)等)の存在に起因して解像度が低下することになる。
【0005】
特許文献1では、裸眼方式によって3次元表示を行う表示装置において2次元表示を行う場合における解像度の低下を防ぐことが可能な表示装置が開示されている。具体的には、特許文献1で開示される表示装置は、印加される電圧によって配向状態が制御される液晶を用いて視差バリアを形成する。これにより、当該表示装置においては、視差バリアが配設されるか否かを選択することが可能である。すなわち、当該表示装置においては、視差バリアが配設された状態において3次元表示を行い、且つ視差バリアが配設されない状態において2次元表示を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−258013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
視差バリアを用いて3次元表示を行う場合には、クロストークの問題が顕在化しやすい。ここで、クロストークとは、左目用表示を行う画素が右目に視認され、又は右目用表示を行う画素が左目に視認されることを指すこととする。
【0008】
上述の点に鑑み、本発明の一態様は、3次元表示を行う表示装置におけるクロストークの発生を抑制することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の表示装置は、視認者の位置情報を検出する手段を有する。そして、当該位置情報に基づいて視差バリアを形成する。
【0010】
具体的には、本発明の一態様は、マトリクス状に配設された複数の画素を用いて表示を行う表示パネルと、ストライプ状に配設された複数の透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号に応じて液晶に印加される電圧を制御することで視差バリアを形成するシャッタパネルと、視認者の位置情報を検出する位置情報検出手段と、を有し、シャッタパネルは、表示パネルの表示面側に配設されており、透光性を備える電極は、マトリクス状に配設された複数の画素の列方向と平行又は略平行に配設されており、透光性を備える電極の幅は、マトリクス状に配設された複数の画素の行方向における画素の長さよりも短く、マトリクス状に配設された複数の画素に含まれる左目用表示列に配設された複数の画素が左目用表示を行い、且つマトリクス状に配設された複数の画素に含まれる左目用表示列とは異なる右目用表示列に配設された複数の画素が右目用表示を行う際に、複数の透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号が位置情報に基づいて定められる表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の表示装置は、視認者の位置情報に基づいて視差バリアを形成することが可能である。よって、クロストークの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)表示装置の構成例を示す図、シャッタパネルの構成例を示す(B)平面図、(C)断面図。
【図2】(A)表示装置の駆動方法例を示す図、(B)シャッタパネルの駆動方法例を示す図。
【図3】(A)表示装置の駆動方法例を示す図、(B)シャッタパネルの駆動方法例を示す図。
【図4】(A)表示装置の駆動方法例を示す図、(B)シャッタパネルの駆動方法例を示す図。
【図5】(A)表示装置の駆動方法例を示す図、(B)シャッタパネルの駆動方法例を示す図。
【図6】(A)表示装置の駆動方法例を示す図、(B)シャッタパネルの駆動方法例を示す図。
【図7】(A)、(B)画素の具体例を示す図。
【図8】シャッタパネルの具体例を示す図。
【図9】シャッタパネルの(A)具体例を示す図、(B)動作例を示す図。
【図10】位置情報検出手段の具体例を示す図。
【図11】位置情報検出手段による視認者の位置情報の検出の一例を示す図。
【図12】(A)、(B)電子機器の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の一態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態を様々に変更し得る。したがって、本発明は以下に示す記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
<表示装置の構成例>
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置の構成例を示す図である。図1(A)に示す表示装置は、表示を行う表示パネル10と、視差バリアを形成するシャッタパネル20と、視認者の位置情報を検出する位置情報検出手段30とを有する。なお、表示パネル10は、マトリクス状に配設された複数の画素100を用いて表示を行う。また、シャッタパネル20は、表示パネル10の表示面側に重畳して配設されている。また、透光性を備える電極200は、マトリクス状に配設された複数の画素100の列方向と平行又は略平行に配設されている。また、透光性を備える電極200の幅は、マトリクス状に配設された複数の画素100の幅(行方向における画素100の長さ)よりも短い。
【0015】
なお、図1(A)に示す表示パネル10としては、各画素100において液晶に印加される電圧を制御することで所望の色表示を行う表示パネル(いわゆる液晶パネル)又は各画素100において有機エレクトロルミネッセンス(有機ELともいう)を利用して所望の色表示を行う表示パネル(いわゆる有機ELパネル)などを適用することが可能である。また、図1(A)に示す位置情報検出手段30としては、超音波を検出媒体として利用した検出手段(いわゆる超音波センサ)又は赤外線を検出媒体として利用した検出手段(いわゆる赤外線センサ)などを適用することが可能である。
【0016】
図1(B)、(C)は、図1(A)に示す表示装置が有するシャッタパネル20の構成例を示す図である。具体的には、図1(B)は、図1(A)に示すA1−A2線における断面を含む領域におけるシャッタパネル20の構成例を示す平面図であり、図1(C)は、図1(A)に示すA1−A2線におけるシャッタパネル20の構成例を示す断面図である。図1(B)、(C)に示すシャッタパネル20は、対向配置された基板205及び基板206と、基板206に対向する基板205の一面上に配設された複数の透光性を備える電極200と、基板205に対向する基板206の一面上に配設された電極204と、複数の透光性を備える電極200及び電極204の間に配設された液晶202とを有する。なお、基板205、206及び電極204は、透光性を備える。
【0017】
図1(A)〜(C)に示すシャッタパネル20は、複数の透光性を備える電極200に入力される信号に応じて液晶202に印加される電圧を制御することで視差バリアを形成する。具体的には、複数の透光性を備える電極200のそれぞれと、電極204との間に存在する液晶の配向を複数の透光性を備える電極200のそれぞれに入力される信号に応じて制御する。
【0018】
なお、シャッタパネル20は、液晶に印加される電圧が低いほど透光率が高くなるパネル(ノーマリーホワイト型パネルともいう)であることとする。また、当該信号としては、透光性を備える電極200が配設された領域と同一又は略同一の領域を遮光状態とするための信号(遮光信号)及び当該領域を透光状態とするための信号(透光信号)があることとする。さらに、複数の透光性を備える電極200のそれぞれに入力される信号は、独立に制御することができることとする。
【0019】
図1(A)〜(C)に示す表示装置においては、複数の画素100の全てにおいて両目用表示を行うと共に複数の透光性を備える電極200の全てに透光信号を入力することで2次元表示を行うこと、及び複数の画素100の一部において左目用表示を行い且つ残部において右目用表示を行うとともに、複数の透光性を備える電極200の一部に透光信号を入力し且つ残部に遮光信号を入力することで3次元表示を行うことが可能である。
【0020】
<表示装置の駆動方法例1(視点が基準位置にある場合)>
図2(A)、(B)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置の駆動方法例を示す模式図である。具体的には、図2(A)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置においてマトリクス状に配設された複数の画素100の行方向に沿った断面を示す模式図であり、図2(B)は、図2(A)に示すシャッタパネル20の拡大図である。なお、図2(A)、(B)は、位置情報検出手段30によって検出された位置情報から視認者が基準位置に存在すると表示装置が認定した場合の駆動方法例を示す図である。
【0021】
なお、図2(A)中の表示パネル10内に記されたL1〜L6のそれぞれは左目用表示を行っている画素100を表し、R1〜R6のそれぞれは右目用表示を行っている画素100を表している。また、図2(A)、(B)中のシャッタパネル20内に記されたLA〜LZのそれぞれは視認者側から見てシャッタパネル20の左側に存在する透光状態又は遮光状態の選択が可能な領域を表し、RA〜RZのそれぞれは視認者側から見てシャッタパネル20の右側に存在する透光状態又は遮光状態の選択が可能な領域を表している(図2(A)ではLA及びRZ以外の符号は付記していない)。なお、領域LA〜RZのそれぞれにおいて、領域内が空白である領域は透光状態であること(当該領域に存在する透光性を備える電極200に透光信号が入力されること)を表し、領域内に斜線が記されている領域は遮光状態であること(当該領域に存在する透光性を備える電極200に遮光信号が入力されること)を表す。さらに、図2(A)においては、視認者の左目41及び右目42も付記している。
【0022】
図2(A)、(B)に示す駆動方法例においては、視認者側から見て表示パネル10の左端に配設された列から起算して奇数列目に配設された複数の画素L1〜L6において左目用表示を行い、且つ偶数列目に配設された複数の画素R1〜R6において右目用表示を行っている。さらに、図2(A)、(B)に示す駆動方法例においては、シャッタパネル20における領域LA〜LD、LI〜LL、LQ〜LT、LY〜RB、RG〜RJ、RO〜RR、RW〜RZが透光状態であり、領域LE〜LH、LM〜LP、LU〜LX、RC〜RF、RK〜RN、RS〜RVが遮光状態である。これにより、左目用表示を行う画素が右目42に視認されること及び右目用表示を行う画素が左目41に視認されることを防止することができる。
【0023】
具体的には、領域LE〜LHが遮光状態となることによって、画素R1が左目41に視認されること及び画素L1が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LM〜LPが遮光状態となることによって、画素R2が左目41に視認されること及び画素L2が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LU〜LXが遮光状態となることによって、画素R3が左目41に視認されること及び画素L3が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RC〜RFが遮光状態となることによって、画素R4が左目41に視認されること及び画素L4が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RK〜RNが遮光状態となることによって、画素R5が左目41に視認されること及び画素L5が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RS〜RVが遮光状態となることによって、画素R6が左目41に視認されること及び画素L6が右目42に視認されることを防止することができる。
【0024】
<表示装置の駆動方法例2(視点が基準位置から左側に移動する場合)>
図3(A)、(B)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置の駆動方法例を示す模式図である。なお、図3(A)、(B)に示す駆動方法例は、図2(A)、(B)に示す駆動方法例とは視点が異なる(図3(A)中に点線で記載した左目及び右目が図2(A)に示す視点)。具体的には、図3(A)、(B)は、位置情報検出手段30によって検出された位置情報から視認者が基準位置から左側に移動した位置に存在すると表示装置が認定した場合の駆動方法例を示す図である。
【0025】
なお、図3(A)、(B)中の符号(L1〜L6等)等は、図2(A)、(B)における当該符号等と同内容を意味している。
【0026】
図3(A)、(B)に示す駆動方法例においては、表示パネル10が図2(A)に示す表示パネル10と同様の表示を行っている。さらに、図3(A)、(B)に示す駆動方法例においては、シャッタパネル20における領域LA〜LC、LH〜LK、LP〜LS、LX〜RA、RF〜RI、RN〜RQ、RV〜RYが透光状態となり、領域LD〜LG、LL〜LO、LT〜LW、RB〜RE、RJ〜RM、RR〜RU、RZが遮光状態となる。図2(A)、(B)に示す駆動方法例におけるシャッタパネル20と比較すると、図3(A)、(B)に示す駆動方法例においてはシャッタパネル20における領域LD、LL、LT、RB、RJ、RR、RZが遮光状態となり、領域LH、LP、LX、RF、RN、RVが透光状態となる点で相違する。端的に述べると、図3(A)、(B)に示す駆動方法例においては、遮光状態となる領域が左側に一領域分移動する点で図2(A)、(B)に示す駆動方法例と相違する。これにより、左目用表示を行う画素が右目42に視認されること及び右目用表示を行う画素が左目41に視認されることを防止することができる。
【0027】
具体的には、領域LD〜LGが遮光状態となることによって、画素R1が左目41に視認されること及び画素L1が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LL〜LOが遮光状態となることによって、画素R2が左目41に視認されること及び画素L2が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LT〜LWが遮光状態となることによって、画素R3が左目41に視認されること及び画素L3が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RB〜REが遮光状態となることによって、画素R4が左目41に視認されること及び画素L4が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RJ〜RMが遮光状態となることによって、画素R5が左目41に視認されること及び画素L5が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RR〜RUが遮光状態となることによって、画素R6が左目41に視認されること及び画素L6が右目42に視認されることを防止することができる。
【0028】
<表示装置の駆動方法例3(視点が基準位置から右側に移動する場合)>
図4(A)、(B)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置の駆動方法例を示す模式図である。なお、図4(A)、(B)に示す駆動方法例は、図2(A)、(B)又は図3(A)、(B)に示す駆動方法例とは視点が異なる(図4(A)中に点線で記載した左目及び右目が図2(A)に示す視点)。具体的には、図4(A)、(B)は、位置情報検出手段30によって検出された位置情報から視認者が基準位置から右側に移動した位置に存在すると表示装置が認定した場合の駆動方法例を示す図である。なお、図4(A)、(B)に示す駆動方法例と図2(A)、(B)に示す駆動方法例における視点位置の変位量は、図3(A)、(B)に示す駆動方法例と図2(A)、(B)に示す駆動方法例における視点位置の変位量よりも大きい。
【0029】
なお、図4(A)、(B)中の符号(L1〜L6等)等は、図2(A)、(B)における当該符号等と同内容を意味している。
【0030】
図4(A)、(B)に示す駆動方法例においては、表示パネル10が図2(A)に示す表示パネル10と同様の表示を行っている。さらに、図4(A)、(B)に示す駆動方法例においては、シャッタパネル20における領域LC〜LF、LK〜LN、LS〜LV、RA〜RD、RI〜RL、RQ〜RT、RY、RZが透光状態となり、領域LA、LB、LG〜LJ、LO〜LR、LW〜LZ、RE〜RH、RM〜RP、RU〜RXが遮光状態となる。図2(A)、(B)に示す駆動方法例におけるシャッタパネル20と比較すると、図4(A)、(B)に示す駆動方法例においてはシャッタパネル20における領域LA、LB、LI、LJ、LQ、LR、LY、LZ、RG、RH、RO、RP、RW、RXが遮光状態となり、領域LE、LF、LM、LN、LU、LV、RC、RD、RK、RL、RS、RTが透光状態となる点で相違する。端的に述べると、図4(A)、(B)に示す駆動方法例においては、遮光状態となる領域が右側に二領域分移動する点で図2(A)、(B)に示す駆動方法例と相違する。これにより、左目用表示を行う画素が右目42に視認されること及び右目用表示を行う画素が左目41に視認されることを防止することができる。
【0031】
具体的には、領域LG〜LJが遮光状態となることによって、画素R1が左目41に視認されること及び画素L1が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LO〜LRが遮光状態となることによって、画素R2が左目41に視認されること及び画素L2が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LW〜LZが遮光状態となることによって、画素R3が左目41に視認されること及び画素L3が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RE〜RHが遮光状態となることによって、画素R4が左目41に視認されること及び画素L4が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RM〜RPが遮光状態となることによって、画素R5が左目41に視認されること及び画素L5が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RU〜RXが遮光状態となることによって、画素R6が左目41に視認されること及び画素L6が右目42に視認されることを防止することができる。
【0032】
<表示装置の駆動方法例4(視点が基準位置から近接する場合)>
図5(A)、(B)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置の駆動方法例を示す模式図である。なお、図5(A)、(B)に示す駆動方法例は、図2(A)、(B)、図3(A)、(B)、又は図4(A)、(B)に示す駆動方法例とは視点が異なる(図5(A)中に点線で記載した左目及び右目が図2(A)に示す視点)。具体的には、図5(A)、(B)は、位置情報検出手段30によって検出された位置情報から視認者が基準位置から近接した位置に存在すると表示装置が認定した場合の駆動方法例を示す図である。
【0033】
なお、図5(A)、(B)中の符号(L1〜L6等)等は、図2(A)、(B)における当該符号等と同内容を意味している。
【0034】
図5(A)、(B)に示す駆動方法例においては、表示パネル10が図2(A)に示す表示パネル10と同様の表示を行っている。さらに、図5(A)、(B)に示す駆動方法例においては、図2(A)、(B)に示すシャッタパネル20において遮光状態となる領域の全てが遮光状態となる。加えて、図5(A)、(B)に示す駆動方法例においては、シャッタパネル20における領域LI、LQ、LY、RB、RJ、RRが遮光状態となる。端的に述べると、図5(A)、(B)に示す駆動方法例においては、視認者から見てシャッタパネル20の左側に存在する遮光領域が右側に一領域分拡張し、且つ視認者から見てシャッタパネル20の右側に存在する遮光領域が左側に一領域分拡張する点で図2(A)、(B)に示す駆動方法例と相違する。これにより、左目用表示を行う画素が右目42に視認されること及び右目用表示を行う画素が左目41に視認されることを防止することができる。
【0035】
具体的には、領域LE〜LIが遮光状態となることによって、画素R1が左目41に視認されること及び画素L1が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LM〜LQが遮光状態となることによって、画素R2が左目41に視認されること及び画素L2が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LU〜LYが遮光状態となることによって、画素R3が左目41に視認されること及び画素L3が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RB〜RFが遮光状態となることによって、画素R4が左目41に視認されること及び画素L4が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RJ〜RNが遮光状態となることによって、画素R5が左目41に視認されること及び画素L5が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RR〜RVが遮光状態となることによって、画素R6が左目41に視認されること及び画素L6が右目42に視認されることを防止することができる。
【0036】
<表示装置の駆動方法例5(視点が基準位置よりも遠い場合)>
図6(A)、(B)は、図1(A)〜(C)に示す表示装置の駆動方法例を示す模式図である。なお、図6(A)、(B)に示す駆動方法例は、図2(A)、(B)、図3(A)、(B)、図4(A)、(B)、又は図5(A)、(B)に示す駆動方法例とは視点が異なる(図6(A)中に点線で記載した左目及び右目が図2(A)に示す視点)。具体的には、図6(A)、(B)は、位置情報検出手段30によって検出された位置情報から視認者が基準位置よりも遠い位置に存在すると表示装置が認定した場合の駆動方法例を示す図である。
【0037】
なお、図6(A)、(B)中の符号(L1〜L6等)等は、図2(A)、(B)における当該符号等と同内容を意味している。
【0038】
図6(A)、(B)に示す駆動方法例においては、表示パネル10が図2(A)に示す表示パネル10と同様の表示を行っている。さらに、図6(A)、(B)に示す駆動方法例においては、図2(A)、(B)に示すシャッタパネル20において遮光状態となる領域の全てが遮光状態となる。加えて、図6(A)、(B)に示す駆動方法例においては、シャッタパネル20における領域LD、LL、LT、RG、RO、RWが遮光状態となる。端的に述べると、図6(A)、(B)に示す駆動方法例においては、視認者から見てシャッタパネル20の左側に存在する遮光領域が左側に一領域分拡張し、且つ視認者から見てシャッタパネル20の右側に存在する遮光領域が右側に一領域分拡張する点で図2(A)、(B)に示す駆動方法例と相違する。これにより、左目用表示を行う画素が右目42に視認されること及び右目用表示を行う画素が左目41に視認されることを防止することができる。
【0039】
具体的には、領域LD〜LHが遮光状態となることによって、画素R1が左目41に視認されること及び画素L1が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LL〜LPが遮光状態となることによって、画素R2が左目41に視認されること及び画素L2が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域LT〜LXが遮光状態となることによって、画素R3が左目41に視認されること及び画素L3が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RC〜RGが遮光状態となることによって、画素R4が左目41に視認されること及び画素L4が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RK〜ROが遮光状態となることによって、画素R5が左目41に視認されること及び画素L5が右目42に視認されることを防止することができる。また、領域RS〜RWが遮光状態となることによって、画素R6が左目41に視認されること及び画素L6が右目42に視認されることを防止することができる。
【0040】
<本明細書で開示される表示装置について>
本明細書で開示される表示装置は、視認者の位置情報を検出する手段を有する。そして、当該位置情報に基づいて視差バリアを形成することが可能である(図2〜図6参照)。よって、当該視認者に対するクロストークの発生を抑制することが可能となる。
【0041】
<表示パネルの具体例>
上述した表示装置においては、ストライプ状の視差バリアがマトリクス状に配設された複数の画素100の列方向に平行又は略平行に形成される。そのため、上述した表示装置においては、視認者の視点に応じて、右(左)目用表示を行っている各画素100の右側の領域の一部又は左側の領域の一部が右(左)目に視認されない可能性がある。したがって、上述した表示装置においては、画素100の一部が視認されない状態においても当該画素100において行われる所望の色表示が視認者に視認されるように設計することが好ましい。
【0042】
図7(A)、(B)は、画素100の右側の領域の一部又は左側の領域の一部が右(左)目に視認されない状態であっても視認者に所望の色表示を視認させることが可能な画素100の具体例を示す図である。
【0043】
具体的には、図7(A)に示す画素100は、列方向に並ぶ、赤色表示を行う副画素(図中、「R」と付記)と、緑色表示を行う副画素(図中「G」と付記)と、青色表示を行う副画素(図中、「B」と付記)とを有する。そして、図7(A)に示す画素100においては、それらの副画素の表示を調整することで所望の色表示を行うことが可能である。なお、赤色表示を行う副画素は、赤色を呈する光以外の可視光領域の波長を吸収するカラーフィルタを当該副画素に配設すること又は赤色を呈する光を発光する素子を当該副画素に配設することなどによって形成することが可能である。また、緑色又は青色表示を行う副画素についても同様である。図7(A)に示す画素100においては、仮に画素100の右側の領域の一部又は左側の領域の一部が視認されない状態においても視認者が各副画素の表示を視認することが可能である。よって、視認者が画素100における色表示を視認することが可能である。
【0044】
また、図7(B)に示す画素100は、赤色表示を行う期間T1と、緑色表示を行う期間T2と、青色表示を行う期間T3とを有する。そして、図7(B)に示す画素100においては、それらの期間にて画素100を順次表示させること(いわゆる、フィールドシーケンシャル方式)で所望の色表示を行う事が可能である。なお、図7(B)に示す期間T1〜T3は、1フレーム期間に含まれる期間である。図7(B)に示す画素100においては、仮に画素100の右側の領域の一部又は左側の領域の一部が視認されない状態においても視認者が各期間(T1〜T3)における画素100の表示を視認することが可能である。よって、視認者が画素100における色表示を視認することが可能である。
【0045】
<シャッタパネルの具体例>
図8は、上述した表示装置が有するシャッタパネル20の具体例を示す図である。図8に示すシャッタパネル20は、複数の透光性を備える電極200と、複数の透光性を備える電極200のそれぞれに対して独立に信号を出力する駆動回路210と、駆動回路210に対して外部信号を入力するフレキシブルプリント基板220とを有する。なお、駆動回路210は多数の半導体素子(トランジスタ等)によって構成される。そして、当該半導体素子及び複数の透光性を備える電極200は、同一基板上にフォトリソグラフィ法などを用いて形成することが可能である。
【0046】
図9(A)は、図8に示すシャッタパネル20とは異なるシャッタパネル20の具体例を示す図である。具体的には、図9(A)に示すシャッタパネル20は、駆動回路210と、複数の透光性を備える電極200のそれぞれとの電気的な接続を制御する複数のトランジスタ230が配設されている点で図8に示すシャッタパネル20と異なる。なお、トランジスタ230のスイッチングは、駆動回路210によって制御される。また、トランジスタ230は、駆動回路210を構成する半導体素子及び透光性を備える電極200と共に同一基板上にフォトリソグラフィ法などを用いて形成することが可能である。
【0047】
図9(A)に示すトランジスタ230としては、シリコン若しくはゲルマニウムなどの周期表第14族元素を主構成元素とする半導体層、又は半導体特性を示す酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を材料とする半導体層(以下、酸化物半導体層ともいう)にチャネルが形成される薄膜トランジスタなどを適用することができる。
【0048】
なお、酸化物半導体は、バンドギャップが広く、且つ真性キャリア密度が低いという特徴を有する。よって、酸化物半導体層にチャネルが形成される薄膜トランジスタにおいては、オフ電流を極めて低くすることが可能である。
【0049】
ここで、シャッタパネル20には視差バリアの形成、変形などの際に定期的又は不定期に駆動することが要求される。換言すると、シャッタパネル20を駆動することが要求される期間は、シャッタパネル20に形成される視差バリアの形状が保持される期間と比較して著しく短くなる。そこで、シャッタパネル20に形成される視差バリアの形状が保持される期間においては、シャッタパネル20に含まれる複数の電極に対して信号を出力する駆動回路に対する電源電圧の供給を停止することが好ましい。消費電力の低減のためである。ただし、駆動回路に対する電源電圧の供給を停止する場合には、複数の透光性を備える電極のそれぞれにおける電位が変動し、視差バリアの形状が保持されない蓋然性が高くなる。
【0050】
これに対して、図9(A)に示すシャッタパネル20が有するトランジスタ230として酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタを適用する構成の場合、駆動回路に対する電源電圧の供給を停止する場合であっても複数の電極のそれぞれにおける電位の変動を低減することが可能である。具体的には、当該構成を有する表示装置においては、図9(B)に示す動作を行うことが可能となる。図9(B)に示すように当該構成を有する表示装置においては、視差バリアを形成する又は視差バリアを変形する際の前後の期間にのみ駆動回路に対して電源電圧を供給し、その他の期間において駆動回路に対して電源電圧を供給しないことが可能である。なお、視差バリアの形状が保持される期間が長期間に及ぶ場合には、定期的又は臨時に駆動回路に対して電源電圧を供給し、複数の電極に対して同一形状の視差バリアを形成するための信号を出力することも可能である。
【0051】
<位置情報検出手段の具体例>
図10は、上述した表示装置が有する位置情報検出手段30の具体例を示す図である。図10に示す位置情報検出手段30は、表示パネル10の中央の上に配設されている超音波発信器301と、表示パネル10の両端の上に配設されている2つの超音波受信器302L、302Rとを有する。図10に示す位置情報検出手段30においては、超音波発信器301から超音波を発信することが可能である。そして、超音波受信器302L、302Rにおいて、視認者に当たることで反射された超音波を受信することが可能である。上述した表示装置においては、当該受信された超音波から視認者の位置情報を検出することが可能である。
【0052】
図11は、図10に示す位置情報検出手段30における視認者の位置情報の検出を詳細に示す図である。図11において、A、B、Cのそれぞれは視認者の位置を表している。具体的には、Aは視認者が基準位置にいる場合、Bは視認者がAから右側にいるが表示装置との距離がAと同等である場合、Cは視認者がAよりも遠い場合を示している。
【0053】
ここで、視認者がA又はCにいる場合、表示装置の右側に配設された超音波受信器(図中、「受信:R」と付記)において受信される超音波(図中、「反射波:R」と付記)の振幅と、表示装置の左側に配設された超音波受信器(図中、「受信:L」と付記)において受信される超音波(図中、「反射波:L」と付記)の振幅とが同等となる。よって、表示装置は、検出された超音波から視認者が基準位置と表示装置の中央とを結ぶ直線上にいると認定することができる。
【0054】
また、視認者がBにいる場合、表示装置の右側に配設された超音波受信器において受信される超音波の振幅が、表示装置の左側に配設された超音波受信器において受信される超音波の振幅よりも大きくなる。よって、表示装置は、検出された超音波から視認者が表示装置の右側にいると認定することができる。
【0055】
また、視認者がAにいる場合とCにいる場合では、表示装置の右側に配設された超音波受信器及び左側に配設された超音波受信器において受信される超音波の振幅が異なる。よって、検出された超音波から視認者と表示装置の距離を認定することができる。
【0056】
以上述べたように、図10、11に示す位置情報検出手段30においては、表示装置と視認者の視点がなす角度及び表示装置と視認者間の距離を認定することが可能である。すなわち、視認者の位置情報を検出することが可能である。そして、上述した表示装置では、当該位置情報に基づいてシャッタパネル20における視差バリアを形成することが可能である。
【実施例】
【0057】
本発明の一態様に係る表示装置は、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどが挙げられる。以下では、これら電子機器の具体例について図12を参照して説明する。
【0058】
図12(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5003または表示部5004に用いることができる。表示部5003または表示部5004に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図12(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0059】
図12(B)は携帯情報端末であり、筐体5401、表示部5402、操作キー5403等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5402に用いることができる。表示部5402に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯情報端末を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 表示パネル
20 シャッタパネル
30 位置情報検出手段
41 左目
42 右目
100 画素
200 透光性を備える電極
202 液晶
204 電極
205 基板
206 基板
210 駆動回路
220 フレキシブルプリント基板
230 トランジスタ
301 超音波発信器
302L 超音波受信器
302R 超音波受信器
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
5401 筐体
5402 表示部
5403 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配設された複数の画素を用いて表示を行う表示パネルと、
ストライプ状に配設された複数の透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号に応じて液晶に印加される電圧を制御することで視差バリアを形成するシャッタパネルと、
視認者の位置情報を検出する位置情報検出手段と、を有し、
前記シャッタパネルは、前記表示パネルの表示面側に配設されており、
前記透光性を備える電極は、マトリクス状に配設された複数の前記画素の列方向と平行又は略平行に配設されており、
前記透光性を備える電極の幅は、マトリクス状に配設された複数の前記画素の行方向における前記画素の長さよりも短く、
マトリクス状に配設された複数の前記画素に含まれる左目用表示列に配設された複数の前記画素が左目用表示を行い、且つ前記マトリクス状に配設された複数の画素に含まれる前記左目用表示列とは異なる右目用表示列に配設された複数の前記画素が右目用表示を行う際に、複数の前記透光性を備える電極のそれぞれに入力される信号が前記位置情報に基づいて定められる表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素は、マトリクス状に配設された複数の前記画素の列方向に並ぶ、第1の色表示を行う第1の副画素、第2の色表示を行う第2の副画素、及び第3の色表示を行う第3の副画素を有し、
前記第1の副画素乃至前記第3の副画素によって表示される色を混色することで、前記画素において所望の色表示を行う表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記画素は、第1の色表示を行う第1の期間、第2の色表示を行う第2の期間、及び第3の色表示を行う第3の期間を有し、
前記第1の期間乃至前記第3の期間において表示される色を混色することで、前記画素において所望の色表示を行う表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記シャッタパネルは、複数の前記透光性を備える電極のそれぞれに対して独立に信号を出力する駆動回路を有し、
前記駆動回路を構成する半導体素子は、前記透光性を備える電極と同一基板上に形成される表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記シャッタパネルは、前記駆動回路と、複数の前記透光性を備える電極のそれぞれとの電気的な接続を制御する複数のトランジスタを有し、
前記トランジスタは、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタである表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記位置情報検出手段は、超音波を検出媒体として利用する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41263(P2013−41263A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155439(P2012−155439)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】