説明

表面に負圧吸着して移動可能な装置

【課題】表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置において、動力の供給システムや制御システムを簡素化し、寸法や重量を軽減し、製作コストを低減する。
【解決手段】表面に負圧吸着して移動可能な装置において、
表面に面した部分が開口した減圧容器と;該開口した部分に装着され且つ該表面に接触せしめられて該減圧容器及び該表面と協働して減圧領域を規定する吸着シールと;該減圧容器に設けられた吸引入口と;該吸引入口を経由して該減圧領域と連通連結された負圧生成手段と;軸線が該表面と斜めに交差するように該減圧容器に装着された脚部材において、該減圧領域の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器に作用する流体圧力は該脚部材を介して該表面に伝達されるように配置された脚部材と;該減圧容器を該表面から離れる方向と接近する方向に交互に移動させる振動生成手段;から構成されている装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のタンクや水槽などの床、壁あるいは天井といった構造物の表面に付着する汚れの吸引清掃などを目的として、かかる表面に負圧を利用して吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、既に、日本国特許第3175052号(米国特許第5161631号)において、表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置を提案している。
上記の装置においては、伸長及び収縮せしめられ得る非動体部連結手段を介して相互に連結された少なくとも2個の吸引口ユニットを具備し、該吸引口ユニットの各々の構成については、
表面に面した部分が開口した吸引口ユニット本体(本明細書では減圧容器と呼称している)と、該開口した部分に装着され且つ該表面に接触せしめられて該吸引口ユニット本体及び該表面と協働して減圧領域を規定するシール部材(本明細書では吸着シールと呼称している)と、該減圧領域と連通連結された吸引源ユニット(本明細書では負圧生成手段と呼称している)により構成されており、
さらに、該吸引口ユニットの各々には、該吸引口ユニットの各々を表面に沿って移動可能な可動状態と、該物体表面に係止せしめられる係止状態とに選択的に設定せしめるための状態設定手段が配置されており、一方の吸引口ユニットを該係止状態に設定して該非動体部連結手段を伸長或いは収縮せしめると、該一方の吸引口ユニットが該表面に沿って移動せしめられる、ことを特徴とする表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置が提案されている。
【特許文献1】日本国特許第3175052号
【0003】
本発明者は、更に、特公昭60−26752号(米国特許第4095378号)においても、表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置を提案している。
かかる装置は、自由端部が表面に接触せしめられる吸着シールを備えた減圧容器と、該減圧容器に装着された移動手段としての車輪と、該表面と該減圧容器及び該吸着シールによって規定された減圧領域内の流体を外部に抽出するための負圧生成手段とを備えている。
かかる装置においては、該負圧生成手段が付勢されると該減圧領域内の流体が外部に抽出され、該減圧領域の内外の流体圧力差に起因して該減圧容器に作用する流体圧力は該車輪を介して該表面に伝達され、かかる流体圧力によって装置が該表面に吸着する。
また、かかる吸着状態において電動モータの如き駆動手段によって該車輪を回転駆動すると、該車輪の作用によって装置は該表面に沿って移動する。
【特許文献2】特公昭60−26752号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上述した従来の装置には、次の通りの解決すべき問題が存在する。
従来の、例えば上記の日本国特許第3175052号に記載の表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置においては、少なくとも2式の吸引口ユニットが必要であり、而して動力の供給システムや制御システムが複雑となり、寸法や重量も増加し、製作コストも増加する、といった難点があった。
従来の、例えば上記の特公昭60−26752号に記載の表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置においては、移動手段としての車輪と電動モータの如き駆動手段が必要であり、而して同じく動力の供給システムや制御システムが複雑になり、寸法や重量が増加し、製作コストも増加する、といった難点があった。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その技術的解決課題は、
必要な吸引口ユニットを1式とすることにより、動力の供給システムや制御システムを簡素化し、寸法や重量を軽減し、製作コストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的解決課題を達成するために、
表面に面した部分が開口した減圧容器と;該開口した部分に装着され且つ該表面に接触せしめられて該減圧容器及び該表面と協働して減圧領域を規定する吸着シールと;該減圧容器に設けられた吸引入口と;該吸引入口を経由して該減圧領域と連通連結された負圧生成手段と;軸線が該表面と斜めに交差するように該減圧容器に装着された脚部材において、該減圧領域の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器に作用する流体圧力は該脚部材を介して該表面に伝達されるように配置された脚部材と;該減圧容器を該表面から離れる方向と接近する方向に交互に移動させる振動生成手段;から構成されている表面に負圧吸着して移動可能な装置を提案する。
【発明の作用】
【0006】
上記のように構成された本発明の装置において、
負圧生成手段を付勢して装置の減圧領域から流体の抽出を開始すると、該減圧領域の流体の負の圧力が増加して装置は表面に負圧吸着するが、この際、該減圧領域の内外の流体圧力差に起因して、減圧容器は外部の流体圧力により該表面方向へ強く押され、而して該減圧容器へ装着された脚部材は該表面へ強く押し付けられる。
この時、該減圧容器を該表面から離れる方向と接近する方向に交互に移動させる振動生成手段を付勢すると、脚部材の軸線が在る面と垂直に交差する面であって、且つ表面とも垂直に交差する面上において表面と平行な直線の方向、且つ該脚部材の軸線が在る面と表面とが交差する線から見て、該脚部材の軸線が在る面と表面との成す角度が鋭角の方向に向けて、装置は移動する。
この時、吸着シールが表面に接触した状態で負圧吸着移動されることによって該表面に付着する汚れなどの異物に対し効果的な吸引清掃作業が施される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、日本国特許第3175052号や特公昭60−26752号などに記載の従来の表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置と比較して、構造が簡単であるため、動力の供給システムや制御システムが簡素化され、寸法や重量が軽減され、製作コストも低減されるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
表面に面した部分が開口した減圧容器と;該開口した部分に装着され且つ該表面に接触せしめられて該減圧容器及び該表面と協働して減圧領域を規定する吸着シールと;該減圧容器に設けられた吸引入口と;該吸引入口を経由して該減圧領域と連通連結された負圧生成手段と;軸線が該表面と斜めに交差するように該減圧容器に装着された脚部材において、該減圧領域の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器に作用する流体圧力は該脚部材を介して該表面に伝達されるように配置された脚部材と;該減圧容器を該表面から離れる方向と接近する方向に交互に移動させる振動生成手段;から構成されている。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に従って構成された装置の第1の実施例を図1乃至図8を参照して説明する。
減圧容器1は、例えば鋼の如き剛性乃至半剛性の材料から形成されている。
減圧容器1は適宜の形状でよいが、図示の具体例では、略円筒形の箱の開口部の周囲に表面01に対向する環状板12が溶着された形状を成している。
該環状板12には吸着シール2が装着されている。吸着シール2の形状構成については、環状の取付部が減圧容器1の環状板12に固定され、また環状のリップ部が表面01に接触せしめられており、具体例において吸着シール2は減圧容器1及び表面01と協働して減圧領域9を規定している。かかる吸着シール2は、ポリウレタンの如き非通気性で且つ比較的柔軟な材料から形成されており、従って比較的小さな力によってそれ自体が弾性変形し表面01の凹凸に倣って自在に変形せしめられる。
【0010】
減圧容器1の内側の上面壁には、2個を1組とする脚部材軸支板31が、装置の直進方向に向かって左側と右側に各2組が、該直進方向に向かって前後に、溶着されている。
脚部材軸支板31に軸支される4個の脚部材揺動ピン32の軸線は、表面01に平行かつ該直進方向に垂直に交差するように配置されている。
各脚部材揺動ピン32は、脚部材揺動金具33を軸支しており、各脚部材揺動金具33にはポリウレタンなど弾性体を素材とする長方形の板状の脚部材34がボルト、ナット、押さえ板により固定されている。
各脚部材34の軸線は、脚部材揺動ピン32の軸線と垂直に交差している。
各脚部材34は、表面01と垂直に交差する面であって且つ脚部材揺動ピン32の軸線が在る面を対称基準面として、装置の直進方向の前方の対称位置から後方の対称位置へ、またはその逆方向に、揺動することができる。
各脚部材揺動金具33には、他の脚部材揺動金具33とリンク連結されるための副レバー35が溶着されており、装置の直進方向に向かって左側に在る2個の脚部材揺動金具33は1個のリンク板36と2個のリンクピン37により連結されている。また、該2個の脚部材揺動金具33のうちの1個にはさらに主レバー38が溶着されており、一方、減圧容器1の外側の上面壁に固定された復動エアシリンダ4の該減圧容器1の内側に突き出したピストンロッド42の端部にはロッドエンド39が固定されており、ロッドエンド39と主レバー38はリンクピン37により連結されている。
而して、装置の直進方向に向かって左側に在る2個の脚部材34は、復動エアシリンダ4の動作により同一の方向に揺動するものである。
次に、装置の直進方向に向かって右側に在る2個の脚部材揺動金具33は1個のリンク板36と2個のリンクピン37により連結されている。また、該2個の脚部材揺動金具33のうちの1個にはさらに主レバー38が溶着されており、一方、減圧容器1の外側の上面壁に固定された復動エアシリンダ4の該減圧容器1の内側に突き出したピストンロッド42の端部にはロッドエンド39が固定されており、ロッドエンド39と主レバー38はリンクピン37により連結されている。
而して、装置の直進方向に向かって右側に在る2個の脚部材34は、復動エアシリンダ4の動作により同一の方向に揺動するものである。
図示していないが、2個の復動エアシリンダ4は、ピストンロッド42の伸長もしくは収縮が任意の時に動作するように該復動エアシリンダ4の押側と引側の給気口は適宜の空気圧回路を介して加圧空気源に接続されている。
2組の脚部材34軸支板31と2個の脚部材揺動ピン32と2個の脚部材揺動金具33と1個のリンク板36と3個のリンクピン37と1個のロッドエンド39と1個の復動エアシリンダ4と適宜の空気圧回路から構成された1式の脚部材反転手段は、2個の脚部材34と共に1式の脚ユニットを構成している。
すなわち、上述した本発明の実施例の装置においては、2個の脚部材34と1式の脚部材反転手段から構成された脚ユニットが、装置の直進方向に向かって左と右の位置に各1式配置されている。
なお、図1乃至図5の図面に図示された、装置が表面01に負圧吸着していない時の左右両方の脚ユニットの状態について、脚部材34の軸線が表面01に垂直に交差しており、左右両方の脚ユニットがいわゆる中立状態にあることを図示している。
図6の図面に図示された、装置が表面01に負圧吸着していない時の左右両方の脚ユニットの状態について、左右両方の脚部材34の軸線が表面01に斜めに交差しており、装置が図中において上方向に直進移動するときの左右両方の脚ユニットの状態を図示している。
図7の図面に図示された、装置が表面01に負圧吸着していない時の左右両方の脚ユニットの状態について、左右両方の脚部材34の軸線が表面01に斜めに交差しており、装置が図中において下方向に直進移動するときの左右両方の脚ユニットの状態を図示している。
図8の図面に図示された左右両方の脚ユニットの状態について、図6の図面に図示された左右両方の脚ユニットの状態を備える装置が表面01に負圧吸着しており、装置が図中において上方向に直進移動するときの左右両方の脚ユニットの状態を図示している。
【0011】
減圧容器1には負圧破壊弁ユニット5が具備されている。
負圧破壊弁ユニット5は、図5に図示するように、
減圧容器1の上面壁に設けられた方形の開口に溶着された箱形の負圧破壊弁ケース51と;
負圧破壊弁ケース51の一方の側面に設けられた円形の開口である吸引入口52に溶着された円筒状のサクションホース継手53と;
負圧破壊弁ケース51のもう一方の側面に溶着された軸支部材54および円筒状のシリンダケース55と;
負圧破壊弁ケース51の内部とシリンダケース55の内部を連通する穴56と;
軸支部材54により軸支され、吸引入口52の方向に自由に出入り可能な弁ロッド57と;
弁ロッド57の一方の端部に溶着された円板状の弁板58と;
弁ロッド57のもう一方の端部付近に装着された円板状のピストン板59と;
ピストン板59と軸支部材54との間に装着された圧縮コイルバネ60と;
ピストン板59に装着され、円周部分がシリンダケース55の内面に接触する、ポリウレタンなどの柔軟材料を素材とするピストンパッキング61;から構成されている。
サクションホース継手53にはサクションホース(図示せず)の一方の端部が接続されており、該サクションホースの他方の端部は負圧生成手段(図示せず)に接続されている。
すなわち、減圧容器1、表面01及び吸着シール2によって規定される減圧領域9は該負圧生成手段に連通連結されている。
該負圧生成手段は減圧領域9から流体を吸引抽出するもので、装置を例えば大気中で使用する場合には真空ポンプ又はエゼクタ等を用いることができ、また装置を例えば水中で使用する場合には排水ポンプ又はエゼクタ等を用いることができる。
【0012】
負圧破壊弁ユニット5の機能について、減圧領域9の負の圧力が該負圧破壊弁ユニット5にプリセットされている任意の負の圧力より増大する場合においては、ピストン板59と弁ロッド57と弁板58が圧縮コイルバネ60の抗力に打ち勝って、弁板58が吸引入口52を塞ぐ方向に移動し、よって該減圧領域9と該負圧生成手段の連通が遮断されるので、該減圧領域9における負の圧力の増大は阻止される。
続いて、該減圧領域9と該負圧生成手段の連通の遮断に起因して、該減圧領域9における負の圧力が減少を開始し、ピストン板59と弁ロッド57と弁板58が圧縮コイルバネ60の抗力に負けて、弁板58が吸引入口52を開放する方向に移動し、よって該減圧領域9と該負圧生成手段の連通が回復され、再び減圧領域9の負の圧力が該負圧破壊弁ユニット5にプリセットされている任意の負の圧力より増大する。
以下、上記の運動が繰り返され、而して減圧容器1は表面01から離れる方向と接近する方向に交互に短い周期で移動し、すなわち減圧容器1は表面01と交差する方向に振動する。
【0013】
上述した本発明の第1の実施例の装置の作用効果について以下に説明する。
主として図8を参照して説明すると、
負圧生成手段(図示せず)を付勢すると、表面01と減圧容器11と吸着シール22により囲まれた減圧領域9の流体は、負圧破壊弁ユニットのサクションホース継手53に挿入されたサクションホース(図示せず)を通って外部へ抽出され始め、該減圧領域9の流体の負の圧力が増加して装置は表面01に負圧吸着するが、この際、該減圧領域9の内外の流体圧力差に起因して、減圧容器1は外部の流体圧力により該表面01方向へ強く押され、而して該減圧容器1へ装着された左右両方の脚部材34は、図8に図示のごとく、該表面01へ強く押し付けられて撓む。
すなわち、該減圧領域9の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器1に作用する流体圧力は左右両方の該脚部材34を介して該表面01に伝達される
該減圧領域9からの流体の抽出を続行すると、該減圧領域9の流体の負の圧力がさらに増加するため左右両方の脚部材34はさらに撓み、而して減圧容器1は表面01へ接近する方向へ移動する。該移動時、減圧容器1を図中において上方向へ移動させる分力が発生するので装置は図中において上方向へ直進移動する。
すなわち、左右両方の脚部材の軸線が在る面と垂直に交差する面であって、且つ表面とも垂直に交差する面上において表面と平行な直線の方向、且つ該脚部材の軸線が在る面と表面とが交差する線から見て、該脚部材の軸線が在る面と表面との成す角度が鋭角の方向に向けて、装置は移動する。
該減圧領域9の流体の負の圧力がさらに増加すると、該減圧領域9の外部の流体がピストン板59を吸引入口52の方向に強く押し始め、ついには、ピストン板59と弁ロッド57と弁板58が圧縮コイルバネ60の抗力に打ち勝って、弁板58が吸引入口52を塞ぐ方向に移動し、よって該減圧領域9と該負圧生成手段の連通が遮断されるので、該減圧領域9における負の圧力の増大は阻止される。
続いて、該減圧領域9と該負圧生成手段の連通の遮断に起因して、該減圧領域9における負の圧力が減少を開始するが、減圧容器1が外部の流体圧力により表面01方向へ強く押されていた状態が解消に向かうので、減圧容器1は左右両方の脚部材34の弾性力により表面01から離れる方向に移動する。
この時、左右両方の脚部材34の自由端部は、図中において上方向へ、表面01に沿って滑りながら移動する。
さらに該減圧領域9における負の圧力が減少すると、ピストン板59と弁ロッド57と弁板58が圧縮コイルバネ60の抗力に負けて、弁板58が吸引入口52を開放する方向に移動し、よって該減圧領域9と該負圧生成手段の連通が回復され、再び減圧領域9の負の圧力が増大する。
以下、上記の運動が繰り返され、而して減圧容器1は表面01から離れる方向と接近する方向に交互に短い周期で移動し、すなわち減圧容器1は表面01と交差する方向に振動する。
同時に装置は、上述の動作を繰り返して図中において上方向へ直進移動する。
すなわち、上述の負圧破壊弁ユニット5は振動生成手段を構成しており、該振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、該表面01に負圧吸着している装置は該表面01に沿って移動するものである。
【0014】
図8において、装置を下方向へ直進移動させる場合においては、先ず、左右両方の脚部材反転手段を用いて左右両方の脚部材34を反転移動させる。すなわち、左右両方の複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、左右両方の脚部材34を反転移動させる。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、該表面01に負圧吸着している装置は該表面01に沿って下方向へ直進移動する。
【0015】
図8において、装置を表面01と反対の方向から見て、装置を時計方向へ回転移動させる場合においては、先ず、右側の脚部材反転手段を用いて右側の脚部材34を反転移動させる。すなわち、右側の複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、右側の脚部材34を反転移動させる。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、左の脚ユニットは上方向へ移動し右の脚ユニットは下方向へ移動するので、すなわち、該表面01に負圧吸着している装置は該表面01に沿って時計方向へ回転移動する。
【0016】
図8において、装置を表面01と反対の方向から見て、装置を反時計方向へ回転移動させる場合においては、先ず、左側の脚部材反転手段を用いて左側の脚部材34を反転移動させる。すなわち、左側の複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、左側の脚部材34を反転移動させる。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、左の脚ユニットは下方向へ移動し右の脚ユニットは上方向へ移動するので、すなわち、該表面01に負圧吸着している装置は該表面01に沿って反時計方向へ回転移動する。
【実施例2】
【0017】
以上に本発明の第1の実施例の装置について説明した。
以下、本発明に従って構成された装置の第2の実施例を、図9乃至図10を参照して説明する。
該第2の実施例において、該第1の実施例と相違する部分は、振動生成手段として該第1の実施例においては負圧破壊弁ユニット5を使用しているのに対し、該第2の実施例においては表面01から離れる方向と接近する方向に振動するバイブレータ100を使用していることである。
図9乃至図10に図示の装置において、
負圧生成手段(図示せず)を付勢すると、表面01と減圧容器11と吸着シール22により囲まれた減圧領域9の流体は、サクションホース継手53に挿入されたサクションホース(図示せず)を通って外部へ抽出され始め、該減圧領域9の流体の負の圧力が増加して装置は表面01に負圧吸着するが、この際、該減圧領域9の内外の流体圧力差に起因して、減圧容器1は外部の流体圧力により該表面01方向へ強く押され、而して該減圧容器1へ装着された左右両方の脚部材34は、図8に図示のごとく、該表面01へ強く押し付けられて撓む。
すなわち、該減圧領域9の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器1に作用する流体圧力は左右両方の該脚部材34を介して該表面01に伝達される
以下の説明においては、左右両方の該脚部材34の状態は図8に図示の状態と同様として説明を行う。
バイブレータ100を付勢し、バイブレータ100の慣性力が減圧容器1を表面01へ接近する方向に作用すると、左右両方の脚部材34はさらに撓み、而して減圧容器1は表面01へ接近する方向へ移動する。該移動時、減圧容器1を図中において上方向へ移動させる分力が発生するので装置は図中において上方向へ直進移動する。
すなわち、左右両方の脚部材の軸線が在る面と垂直に交差する面であって、且つ表面とも垂直に交差する面上において表面と平行な直線の方向、且つ該脚部材の軸線が在る面と表面とが交差する線から見て、該脚部材の軸線が在る面と表面との成す角度が鋭角の方向に向けて、装置は移動する。
次に、バイブレータ100の慣性力が減圧容器1を表面01から離反させる方向に作用すると、減圧容器1は該慣性力と左右両方の脚部材34の弾性力の作用により表面01から離れる方向に移動する。
この時、左右両方の脚部材34の自由端部は、図中において上方向へ、表面01に沿って滑りながら移動する。
以下、上記の運動が繰り返され、而して減圧容器1は表面01から離れる方向と接近する方向に交互に短い周期で移動し、すなわち減圧容器1は表面01と交差する方向に振動する。
同時に装置は、上述の動作を繰り返して図中において上方向へ直進移動する。
図中において下方向へ直進移動する際の脚ユニットの動作及び原理について、本発明の第2の実施例の装置は第1の実施例の装置と同様であるので、以下説明を省略する。
なお、本発明の第2の実施例の装置において、バイブレータ100は振動生成手段を構成しており、該振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、該表面01に負圧吸着している装置は該表面01に沿って移動するものである。
本発明の第2の実施例の装置は、第1の実施例の装置と同様に、表面01に負圧吸着しながら、時計方向または反時計方向に表面01に沿って回転移動が可能であるが、回転移動する際の脚ユニットの動作及び原理について、本発明の第2の実施例の装置は第1の実施例の装置と同様であるので、以下説明を省略する。
【実施例3】
【0018】
以上に本発明の第2の実施例の装置について説明した。
以下、本発明に従って構成された装置の第3の実施例を、図11を参照して説明する。
第3の実施例において、該第1乃至第2の実施例と相違する部分は、振動生成手段が異なる点にある。
図11において、減圧容器1に外部の流体と連通する電磁2方弁110が設けられ、減圧領域9の負の圧力の増大を圧力センサ120が検知すると電磁2方弁110が開となり、減圧領域9の負の圧力の減少を圧力センサ120が検知すると電磁2方弁110が閉となるように減圧領域9の圧力を周期的に変動せしめる手段を備えており、該手段が振動生成手段を構成している。
【実施例4】
【0019】
以上に本発明の第3の実施例の装置について説明した。
以下、本発明に従って構成された装置の第4の実施例を、図12を参照して説明する。
第4の実施例において、該第1乃至第3の実施例と相違する部分は、振動生成手段が異なる点にある。
図12において、吸着シール2のすべてもしくは1部を表面01から離反せしめる吸着シール離反手段として、内部に圧縮コイルバネ140を備えるベローズ機構130が設けられ、減圧領域9の内外の流体の圧力差の増大に起因してベローズ機構130が収縮するので吸着シール2が離反され、減圧領域9の内外の流体の圧力差の減少に起因してベローズ機構130の収縮が元に戻るので吸着シール2の離反が停止されて吸着シール2が再び表面01に密着するように減圧領域9の圧力を周期的に変動せしめる手段を備えており、該手段が振動生成手段を構成している。
【実施例5】
【0020】
以上に本発明の第4の実施例の装置について説明した。
以下、本発明に従って構成された装置の第5の実施例を、図13を参照して説明する。
第5の実施例において、第1乃至第4の実施例と相違する部分について述べると、
第5の実施例においては、脚部材回転軸32の軸心を中心として揺動可能に構成されている脚部材において、その自由端部が表面に接近する方向に抗力を作用せしめるバネを備えている。
すなわち、減圧容器1の外側の上面壁に固定された復動エアシリンダ4は、シリンダケースの両側にピストンロッドが突き出た両ロッド形復動エアシリンダであり、減圧容器1の内側に突き出したピストンロッド42の端部にはロッドエンド39が固定されており、ロッドエンド39と主レバー38はリンクピン37により連結されている。
減圧容器1の外側に突き出したピストンロッド42aの端部にはバネ押し板42bが固定されており、バネ押し板42bと復動エアシリンダ4のシリンダケースとの間には圧縮コイルバネ43aが配置されている。
バネ押し板42bとバネケース44との間には圧縮コイルバネ43bが配置されている。
【0021】
上述した本発明の第5の実施例の装置の作用効果について以下に説明する。
主として図13を参照して説明すると、
先ず、復動エアシリンダ4のピストンロッド42を表面01の方向に伸長させると、当初はピストンロッド42が伸長して脚部材34が傾くが、次第に圧縮コイルバネ43aの抗力により伸長が困難となり、図13の状態で伸長が停止する。
この時、負圧生成手段(図示せず)を付勢すると、表面01と減圧容器11と吸着シール22により囲まれた減圧領域9の流体は、サクションホース継手53に挿入されたサクションホース(図示せず)を通って外部へ抽出され始め、減圧領域9の流体の負の圧力が増加して装置は表面01に負圧吸着するが、この際、減圧領域9の内外の流体圧力差に起因して、減圧容器1は外部の流体圧力により表面01方向へ強く押され、而して減圧容器1へ装着された脚部材34は表面01へ強く押し付けられる。
すなわち、減圧領域9の内外の流体の圧力差に起因して減圧容器1に作用する流体圧力は脚部材34を介して表面01に伝達される
なお、図13に図示の脚部材揺動金具33は、脚部材34の自由端部近くまで長く伸びて脚部材34を両側から挟み込んでいるので、図8に図示のように脚部材34が撓むことは無い。
減圧領域9からの流体の抽出を続行すると、減圧領域9の流体の負の圧力がさらに増加するため、減圧容器1に対し表面01へ接近させる方向に強い力が作用する。
よって、バネ押し板42bが圧縮コイルバネ43aをさらに圧縮して脚部材34はさらに傾き、而して減圧容器1は表面01へ接近する方向へ移動する。該移動時、減圧容器1を図中において上方向へ移動させる分力が発生するので装置は図中において上方向へ直進移動する。
すなわち、脚部材の軸線が在る面と垂直に交差する面であって、且つ表面とも垂直に交差する面上において表面と平行な直線の方向、且つ該脚部材の軸線が在る面と表面とが交差する線から見て、該脚部材の軸線が在る面と表面との成す角度が鋭角の方向に向けて、装置は移動する。
減圧容器1が表面01までいっぱいに接近すると、今度は逆に、振動生成手段の作用により、減圧容器1は表面01から離れる方向に移動を開始する。
この時、脚部材34の傾きの度合いは、圧縮コイルバネ43aの抗力により、少ない傾きの状態を示す図13の状態まで戻され、而して、脚部材34の自由端部は、図中において上方向へ、表面01に沿って滑りながら移動する。
以下、上記の運動が繰り返され、而して減圧容器1は表面01から離れる方向と接近する方向に交互に短い周期で移動し、すなわち減圧容器1は表面01と交差する方向に振動する。
同時に装置は、上述の動作を繰り返して図中において上方向へ直進移動する。
すなわち、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、表面01に負圧吸着している装置は表面01に沿って移動するものである。
【0022】
図13において、装置を下方向へ直進移動させる場合においては、先ず、脚部材反転手段を用いて脚部材34を反転移動させる。すなわち、複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、脚部材34を反転移動させる。
圧縮コイルバネ43bの作用については、装置が上方向へ直進移動する場合と同様であるので説明を省略する。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、表面01に負圧吸着している装置は表面01に沿って下方向へ直進移動する。
【0023】
図13において、装置を表面01と反対の方向から見て、装置を時計方向へ回転移動させる場合においては、先ず、右側の脚部材反転手段を用いて右側の脚部材34を反転移動させる。すなわち、右側の複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、右側の脚部材34を反転移動させる。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、左の脚ユニットは上方向へ移動し右の脚ユニットは下方向へ移動するので、すなわち、表面01に負圧吸着している装置は表面01に沿って時計方向へ回転移動する。
【0024】
図13において、装置を表面01と反対の方向から見て、装置を反時計方向へ回転移動させる場合においては、先ず、左側の脚部材反転手段を用いて左側の脚部材34を反転移動させる。すなわち、左側の複動エアシリンダ4のピストンロッド42を収縮せしめることにより、左側の脚部材34を反転移動させる。
次に、振動生成手段を付勢すると、減圧容器1が表面01から離れる方向と接近する方向に振動し、該振動が脚ユニットに伝達されることにより、左の脚ユニットは下方向へ移動し右の脚ユニットは上方向へ移動するので、すなわち、表面01に負圧吸着している装置は表面01に沿って反時計方向へ回転移動する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上に述べた本発明の装置は下記の効果をもたらすものである。
本発明は、日本国特許第3175052号や特公昭60−26752号などに記載の従来の表面に負圧吸着し且つ該表面に沿って移動可能な装置と比較して、構造が簡単であるため、動力の供給システムや制御システムが簡素化され、寸法や重量が軽減され、製作コストも低減されるといった効果がある。
【0026】
以上、添付図面を参照して本発明に従って構成された装置の好適実施例について詳細に説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく更に種々の変形或いは修正を加えることが可能であることは多言を要しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に従って構成された装置の第1の好適実施例の平面図。
【図2】図1に示す装置の側面図。
【図3】図1に示す装置の上面図にしてA−Aの一部断面図。
【図4】図1に示す装置を物体表面の方向から見た背面図。
【図5】図1に示す装置のB−Bの断面図。
【図6】図5に示す装置が図6において上方向に直進移動する時の脚ユニットの状態を示す一部断面図。
【図7】図5に示す装置が図7において下方向に直進移動する時の脚ユニットの状態を示す一部断面図。
【図8】図6に示す装置が表面に負圧吸着した時の脚部材の状態を示す一部断面図。
【図9】本発明に従って構成された装置の第2の好適実施例の平面図。
【図10】図9に示す装置の側面図。
【図11】本発明に従って構成された装置の第3の好適実施例の側部断面図。
【図12】本発明に従って構成された装置の第4の好適実施例の側部断面図。
【図13】本発明に従って構成された装置の第5の好適実施例の側部断面図。
【符号の説明】
【0028】
01 表面
9 減圧領域
1 減圧容器
11 減圧容器本体
12 環状板
2 吸着シール
3 脚ユニット
31 脚部材軸支板
32 脚部材揺動ピン
33 脚部材揺動金具
34 脚部材
35 副レバー
36 リンク板
37 リンクピン
38 主レバー
39 ロッドエンド
4 復動エアシリンダ
42 ピストンロッド
42a ピストンロッド
42b バネ押し板
43a 圧縮コイルバネ
43b 圧縮コイルバネ
44 バネケース
5 負圧破壊弁ユニット
51 負圧破壊弁ケース
52 吸引入口
53 サクションホース継手
54 軸支部材
55 シリンダケース
56 連通する穴
57 弁ロッド
58 弁板
59 ピストン板
60 圧縮コイルバネ
61 ピストンパッキング
100 バイブレータ
110 電磁2方弁
120 圧力センサ
130 ベローズ機構
140 圧縮コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に面した部分が開口した減圧容器と;該開口した部分に装着され且つ該表面に接触せしめられて該減圧容器及び該表面と協働して減圧領域を規定する吸着シールと;該減圧容器に設けられた吸引入口と;該吸引入口を経由して該減圧領域と連通連結された負圧生成手段と;軸線が該表面と斜めに交差するように該減圧容器に装着された脚部材において、該減圧領域の内外の流体の圧力差に起因して該減圧容器に作用する流体圧力は該脚部材を介して該表面に伝達されるように配置された脚部材と;該減圧容器を該表面から離れる方向と接近する方向に交互に移動させる振動生成手段;から構成されている、ことを特徴とする表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項2】
減圧領域の内外の流体の圧力差の増大に起因して吸引入口が閉となり、減圧領域の内外の流体の圧力差の減少に起因して吸引入口が開となるように減圧領域の圧力を周期的に変動せしめる手段を備えており、該手段が振動生成手段を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項3】
シリンダチューブと、ピストンと、シリンダチューブのロッド側の端部を塞ぐロッドカバーと、ピストンロッド、から少なくとも構成されたシリンダユニットにおいて、該ピストンロッドの端部には、該ロッドが吸引入口の方向に伸長して該吸引入口を塞ぐ弁板が装着されており、互いに連結された該ピストン、該ピストンロッド及び該弁板が吸引入口の方向に移動するのを妨害するための圧縮コイルバネ等の手段が具備されており、ピストンを境目として2つの部屋に分割されたシリンダチューブにおいて、ピストンロッドが在る部屋の入口は装置の減圧領域に連通され、もう一方の部屋の入口は装置の外部流体と連通されており、而して以上の機構が減圧領域の圧力を周期的に変動せしめる手段として構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項4】
シリンダユニットの2つの部屋の入口の両方もしくはどちらか片方に、ピストンの動作を緩慢にするための、該入口を通過する流体の絞り機構を備えている、ことを特徴とする請求項3に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項5】
振動生成手段としてバイブレータを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項6】
減圧容器に外部の流体と連通する外部連通弁が設けられ、減圧領域の内外の流体の圧力差の増大に起因して該外部連通弁が開となり、減圧領域の内外の流体の圧力差の減少に起因して該外部連通弁が閉となるように減圧領域の圧力を周期的に変動せしめる手段を備えており、該手段が振動生成手段を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項7】
吸着シールのすべてもしくは1部を表面から離反せしめる吸着シール離反手段が設けられ、減圧領域の内外の流体の圧力差の増大に起因して該吸着シールが離反され、減圧領域の内外の流体の圧力差の減少に起因して該吸着シールの離反が停止されて該吸着シールが再び表面に密着するように減圧領域の圧力を周期的に変動せしめる手段を備えており、該手段が振動生成手段を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項8】
軸線が表面と斜めに交差する脚部材において、該斜めに交差する角度を変えるために、装置の直進方向と直角に交差しかつ表面と平行に配置された脚部材回転軸を備え、該脚部材は該脚部材回転軸の軸心を中心として揺動可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項9】
脚部材回転軸の軸心を中心として揺動可能に構成されている脚部材において、その自由端部が表面に接近する方向に抗力を作用せしめるバネなどのアクチェータを備えている、ことを特徴とする請求項8に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項10】
脚部材反転手段において、装置の直進方向と直角に交差しかつ表面と平行に配置された脚部材回転軸と同一である脚部材反転軸を備え、表面に垂直に交差する面であってかつ該面上に該脚部材反転軸が在る面を対称基準面として、脚部材を対称位置から反対側の対称位置へ任意に移動せしめる脚部材反転手段を備えている、ことを特徴とする請求項8乃至請求項9に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項11】
脚部材と脚部材反転手段から構成された脚ユニットが、装置の直進方向に向かって左と右の位置に少なくとも各1式が配置され、該2式の脚ユニットのそれぞれの脚部材反転軸が装置の直進方向と直角になるように配置されている、ことを特徴とする請求項10に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。
【請求項12】
脚部材が板状の素材から形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の表面に負圧吸着して移動可能な装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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