説明

表面エネルギ差バンクの形成方法、パターンの形成方法、バンク構造、電子回路、電子デバイス、および電子機器

【課題】マイクロコンタクトプリンティングにより、平坦でない対象面にも、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを均一に形成する製造方法を提供する。
【解決手段】表面エネルギ差バンクの形成方法は、スタンプの基部12から突出している複数の弾性素子14の複数の先端面14aからなる接触領域16,17,18に自己組織化分子膜の材料30を配置するステップと、複数の弾性素子14に対応した複数のドット32からなる表面エネルギ差バンク34,35,36が対象面24の上に得られるように、接触領域16,17,18を対象面24に接触させて材料30を接触領域16,17,18から対象面24へ転写するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面エネルギ差バンクの形成方法、パターンの形成方法、バンク構造、電子回路、電子デバイス、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス製造において、パターニングを行う方法として、従来はフォトリソグラフィ技術が用いられていたが、露光プロセスが不要なインクジェット印刷技術が用いられるようになってきている。また、インクジェット印刷により高精細なパターニングを行うため、表面エネルギの差を有するバンク構造(表面エネルギ差バンク)により、インクを閉じ込めて解像度を高める方法が採用されてきている。
【0003】
上記の表面エネルギ差バンクのように高精細な薄膜パターンを形成する方法の一つとして、所望のパターンを形成したスタンプを基板に接触させることにより薄膜パターンを転写する、マイクロコンタクトプリンティング(μCP)、あるいはソフトコンタクトプリンティングと呼ばれる技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−4091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマイクロコンタクトプリンティングでは、平坦でない対象面に、スタンプの接触領域全体を均一に接触させ表面エネルギ差バンクを形成することは困難であった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされ、その目的の一つは、マイクロコンタクトプリンティングにより、平坦でない対象面にも、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを均一に形成する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のある態様に係る表面エネルギ差バンクの形成方法は、スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、スタンプの接触領域は、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる。ここで、複数の弾性素子のそれぞれは変形することができるので、対象面の平坦度にかかわらず、複数の弾性素子が対象面に接触することができる。そのようなスタンプの接触領域に自己組織化分子膜の材料を配置した上で、接触領域を対象面に接触させるので、対象面の平坦度にかかわらず、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを対象面上に形成することができる。
【0009】
(2)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記対象面は平坦でない面であり、前記複数の弾性素子は、前記対象面に応じてそれぞれが変形することにより前記接触領域の全体が前記対象面にほぼ合うように、構成されていてもよい。
【0010】
これによれば、対象面が平坦でない面であっても、複数の弾性素子が対象面に応じてそれぞれが変形することにより、複数の弾性素子が対象面に接触できる。したがって、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを、平坦でない対象面に形成することができる。
【0011】
(3)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記複数の先端面は、前記対象面上に形成された前記複数のドットを横切って機能液が流れるのを抑止するように配置されていてもよい。
【0012】
これによれば、対象面上に形成された複数のドットは、この複数のドットを横切って機能液が流れるのを抑止するように配置されているので、この表面エネルギ差バンクで仕切られた領域内にインクジェット印刷で機能液を配置する際、機能液のオーバーフロー、およびそれに伴うブリッジの発生を抑えることができる。
【0013】
(4)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記複数の先端面は、複数の列をなすように配置されていてもよい。
【0014】
これによれば、対象面上に形成された複数のドットは複数の列をなすように配置されており、複数の列のそれぞれが機能液の流れを抑止するので、複数のドットを横切って機能液が流れるのを抑止することができる。
【0015】
(5)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記複数の先端面は、前記複数の列のそれぞれにおいて所定のピッチで配置され、前記複数の列は、隣合ういずれの2つの列も互いに列方向に前記所定のピッチの略半分ずれるように配置されていてもよい。
【0016】
これによれば、対象面上に形成された複数のドットの隣合う2つの列は、ドットとドットの間とが交互に向かいあって配置されているので、機能液が1つの列のドットの間を横切って流れたとしても、隣合う列のドットが機能液が横切って流れるのを抑止する。したがって、複数のドットを横切って機能液が流れるのをより効果的に抑止することができる。
【0017】
(6)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記自己組織化分子膜は、前記対象面よりも撥液性であってもよい。
【0018】
これによれば、撥液性の部分には機能液が配置されにくく、撥液性の部分以外の領域には機能液が配置されやすいので、この表面エネルギ差バンクで仕切られた領域内にインクジェット印刷により配置された機能液を留めることができる。
【0019】
(7)この表面エネルギ差バンクの形成方法では、前記自己組織化分子膜は、前記対象面よりも親液性であってもよい。
【0020】
(8)本発明に係るパターンの形成方法は、スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に所定材料を含有した機能液を配置して、前記領域内に前記所定材料を含んだパターンを形成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、スタンプの接触領域は、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる。複数の弾性素子のそれぞれは変形することができるので、対象面の平坦度にかかわらず、スタンプの接触領域の全体がほぼ均一に対象面に接触することができる。そのスタンプの接触領域に配置した自己組織化分子膜の材料を対象面へ転写するので、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを対象面にほぼ均一に形成することができる。そして、そのような表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に機能液が配置されるので、機能液から良好なパターンが得られる。
【0022】
(9)本発明に係るバンク構造は、スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、を含む製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0023】
(10)本発明に係る電子回路は、前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、を備えたことを特徴とする。
【0024】
(11)本発明に係る電子デバイスは、前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、を備えたことを特徴とする。
【0025】
(12)本発明に係る電子機器は、前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、を備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本実施形態に係る表面エネルギ差バンクの形成工程は、パッシブマトリクス型の強誘電メモリデバイスの製造工程の一部として実現されている。ただし、表面エネルギ差バンクの形成工程は、強誘電メモリデバイス以外の電子デバイスの製造工程の一部として実現されていてもよいし、電子回路の製造工程の一部として実現されていてもよいし、電子機器の製造工程の一部として実現されていてもよい。
【0027】
ここで、電子デバイスとは、例えば、強誘電メモリデバイス、発光ダイオード、薄膜トランジスタ、電気化学セル、光電装置、等を包含する用語である。また、電子機器とは、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機EL表示装置、FED、SED、電気泳動型表示装置、等を包含する用語である。
【0028】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、図面上で認識可能な大きさとするために縮尺は各部材ごとに異なる場合がある。
【0029】
(A.スタンプ)
まず、表面エネルギ差バンクの形成に用いるスタンプを説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係るスタンプの構成を説明する模式図である。図2は、図1のIIの側から見た平面図である。
【0031】
図1のスタンプ10は、基部12から突出している複数の弾性素子14を備えている。複数の弾性素子14は、それぞれが個別に変形できるようになっている。スタンプ10の基部12と複数の弾性素子14とは、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる。スタンプ10の基部12と複数の弾性素子14との材料は、弾性を有するものであれば、トリメチルシロキシ末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン(VDT−731)とメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(HMS−301)との混合物等の、他のポリマーであってもよい。
【0032】
複数の弾性素子14のそれぞれの先端面14aの形状は特に限定されず、矩形、三角形、円、六角形、あるいはその他の形状であってもよい。本実施形態では、複数の先端面14aの形状は矩形である。複数の先端面14aのそれぞれの1辺の長さA(図2参照)は、10nm以上10μm以下の範囲にあればよい。また、複数の弾性素子14の基部12からの突出量Bは、50nm以上10μm以下の範囲にあればよい。
【0033】
複数の先端面14aから、「接触領域」が構成される。本実施形態では、複数の先端面14aから3つの接触領域16,17,18が構成されている。そして、接触領域16,17,18のそれぞれにおいて、複数の先端面14aは、複数の列をなすように配置されている。本実施形態では、複数の先端面14aは、図2に示すように、Y軸方向に、複数の列としての列L1,L2,L3,L4をなすように配置されている。また、複数の先端面14aは、列L1,L2,L3,L4のそれぞれにおいて、所定のピッチCで配置されている。複数の先端面14aのそれぞれの間隔D(D=C−A)は、Aの0.1倍以上10倍以下の範囲にあればよい。
【0034】
列L1,L2,L3,L4が延びる方向とはほぼ垂直な方向に関して、接触領域16,17,18のそれぞれの幅は、10nm以上100μm以下の範囲にあればよい。また、接触領域16と17との間、および接触領域17と18との間の幅は、10nm以上100μm以下の範囲にあればよい。
【0035】
なお、スタンプの製造方法については後述する。
【0036】
(B.対象体)
【0037】
図3(a)の下に示す対象体20は、基板21と、下部電極22と、強誘電体層23と、表面層(図示しない)と、を備えている。基板21は、前述した強誘電メモリデバイスの製造に用いるものであり、例えば、ガラスからなる。ただし、他の実施形態では、基板21の材料は、シリコンまたはプラスチックであってもよい。
【0038】
複数の下部電極22は基板21上に形成されている。複数の下部電極22は、いずれもX軸方向に延びている。隣合う2つの下部電極22の間には所定の距離がある。強誘電体層23は、これら複数の下部電極22と、複数の下部電極22の間で露出している基板21の表面と、を覆っている。そして、表面層は、強誘電体層23の表面を覆っている。表面層の表面は、下地に位置する複数の下部電極22に起因した凹凸形状を縁取っている。
【0039】
本実施形態では、「対象面」は、このような表面層の表面である。ただし、他の実施形態では、「対象面」は基板21の表面そのものであり得るし、誘電体層の表面でもあり得るし、複数の電極と基板21とによって構成される表面でもあり得る。「対象面」は、平坦な面、および平坦でない面のいずれであってもよいが、本実施形態では、平坦でない面である。具体的には本実施形態では、「対象面」は、電極上の表面層と、電極がない部分での表面層と、によって規定された表面であり、このため「対象面」は凹凸形状を形取っている。
【0040】
具体的には本実施形態では、対象面24は、上面25,27,29と、底面26,28と、上面25,27,29と、底面26,28と、を繋ぐ側面と、からなっている。上面25,27,29は、基板21の表面からいずれも同じ高さのレベルに位置する。一方、底面26,28はいずれも、上面25,27,29のレベルよりも基板21側の同じレベルに位置している(図4参照)。
【0041】
(C.強誘電体メモリデバイスの製造方法)
(C1.対象体の製造方法の例)
まず、基板21上にスピンコート法で、PMMAを含んだ材料を約1μmの厚さに塗布し、120℃で5分間焼成してPMMA層を得る。次に、それぞれ10μmの幅を有している複数の溝であって、互いから40μmの距離をおいて配置された複数の溝、を有したシリコンチップを用いて、PMMA層にエンボス処理を施す。そうすると、いずれも約40μmの幅を有した複数の溝がPMMA層に与えられる。
【0042】
その後、複数の溝のそれぞれの底部で基板21の表面が露出するように、PMMA層にO2プラズマ処理を施す。次に、複数の溝にCF4プラズマ処理を施す。そうすると、CF4プラズマ処理によって、溝の側面の撥液性が増大するとともに、溝の底面の親液性が増大する。つまり、溝の側面(PMMA)と底面(ガラス)との間に、濡れ性の差(コントラスト)が生じる。
【0043】
そして、インクジェット印刷法で、水をベースにしたコロイド状の銀懸濁液を溝の中に配置して、100℃の温度で10分間乾燥する。そうすると、100nmの厚さの銀ラインを得る。その後、アセトンを用いて残っているPMMA層を取り除き、そして、銀ラインを150℃の温度で1時間、アニールする。そうすると、銀ラインから構成される複数の下部電極22が得られる。
【0044】
次に、基板21上と複数の電極上とにスピンコート法で、PVDF−TrFEコポリマーを500nmの厚さに塗布して、140℃で1時間、焼成する。そうすると、PVDF−TrFEコポリマー層からなる強誘電層が得られる。得られた非平坦な表面、つまり強誘電層上に、スピンコート法で、PMMAなどを50nmの厚さに塗布して、100℃の温度で20分間、焼成する。そうすると、PMMA層から構成される表面層が得られる。その後、1分間、表面層の表面にO2プラズマ処理を施す。
【0045】
以上のようにして、対象体20が得られる。
【0046】
(C2.表面エネルギ差バンクの形成方法)
次に、図3および図4を参照しながら、対象体20の表面上に、表面エネルギ差バンクを形成する方法を説明する。なお、図3は、本発明の実施形態に係る表面エネルギ差バンクの形成方法を説明する模式図である。また、図4は、図3のIVの側から見た表面エネルギ差バンクの形成方法を説明する模式図である。
【0047】
まず、スタンプ10の基部12から突出している複数の弾性素子14の複数の先端面14aからなる接触領域16,17,18に、自己組織化分子膜の材料30を配置する。本実施形態では、接触領域16,17,18に、約0.01モル/リットルの1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシランを材料30として含んだヘキサン溶液を付ける。
【0048】
本実施形態では、自己組織化分子膜の材料30の撥液性の程度は、対象面24の撥液性の程度よりも大きい。このような撥液性を有する自己組織化分子膜の材料30は、例えば、フルオロアルキルシランである。ただし、他の実施形態では、自己組織化分子膜の材料30の親液性の程度が、対象面24の親液性の程度よりも大きくてもよい。
【0049】
本実施形態の材料30は、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシランであるが、このような材料に代えて、一端に例えば、−CF3、−CH3(CH2)n、−NH2、−OH、または−COOHを備えて、下地表面に応じて他端に、例えば、シランまたはチオールを備えた分子からなる材料であってもよい。上記の一端に−CF3,−CH3(CH2)nなどを備える分子は、撥液性を有する材料として機能するし、一端に−NH2,−OH、−COOHなどを備えた分子は、親液性を有する材料として機能する。
【0050】
次に、スタンプ10の接触領域16,17,18を、対象体20の対象面24に接触させるように、スタンプ10を対象体20に押し当てる(図3矢印の方向)。この際、接触領域16,17,18が延びる方向と、下部電極22が延びる方向とが、ほぼ直交するように、対象面24に対してスタンプ10を配向させる。
【0051】
スタンプ10の複数の弾性素子14は、図4に示すように、対象面24の凹凸形状に応じてそれぞれが変形することにより、接触領域16,17,18のそれぞれのほぼ全体が、対象面24の凹凸形状にほぼ合うように、構成されている。本実施形態では、スタンプ10の基部12に対して、上面25,27,29は、底面26,28よりも近い位置にあるので、上面25,27,29に接触する複数の弾性素子14は、底面26,28に接触する複数の弾性素子14よりも大きく変形する。これにより、例えば、接触領域16を構成する複数の弾性素子14が、上面25,27,29と、底面26,28と、のどちらにも接触することができる。なお、この点で、接触領域17を構成する複数の弾性素子14および接触領域18を構成する複数の弾性素子14も、接触領域16を構成する複数の弾性素子14と同じである。
【0052】
そしてこのようなことから、スタンプ10を対象面24へ、例えば1回押し当てることで、対象面24上の少なくとも異なる2つのレベルに位置した複数の部位、例えば上面25と底面26と、に材料30を接触させることができる。またこのことから、上面25に材料30を接触させる工程と、上面25よりも低いレベルにある底面26に材料30を接触させる工程と、が同一工程で行える。
【0053】
材料30が対象面24に接すると、自己組織化分子膜の材料30の分子と、対象面24を構成する分子と、が強力に結合し、自己組織化分子膜の材料30が、接触領域16,17,18から、対象面24へ転写される。
【0054】
この結果、図3(b)に示すように、複数の弾性素子14に対応した自己組織化分子膜からなる複数のドット32で構成されるバンク34,35,36が、凹凸形状を縁取る対象面24上に得られる。これらバンク34,35,36は、いずれも表面エネルギ差バンクの一例である。
【0055】
バンク34,35,36のそれぞれは、複数の先端面14aからなる列L1,L2,L3,L4に対応して、複数のドット32が列L5,L6,L7,L8をなすように配置され構成されている。これらの複数の列のそれぞれが機能液の流れを抑止するので、バンク34,35,36のそれぞれは、複数のドット32を横切って機能液が流れるのを抑止することができる。これにより、この表面エネルギ差バンクで仕切られた領域内にインクジェット印刷で機能液を配置する際、機能液のオーバーフロー、およびそれに伴うブリッジの発生を抑えることができる。
【0056】
以上により、基板の対象面24が平坦でない場合でも、自己組織化分子膜からなる表面エネルギ差バンクを対象面24に亘ってほぼ均一に形成することができる。
【0057】
(C3.上部電極の形成方法)
次に、図5を参照しながら、上部電極の形成方法を説明する。ここで、上部電極は、インクジェット印刷法で得られるパターンの一例である。
【0058】
図5(a)および(b)に示すように、表面エネルギ差バンクで仕切られた領域内に、インクジェット印刷法によって、水をベースにしたコロイド状の銀懸濁液を機能液39として配置する。本実施形態では、ピエゾ素子を有したインクジェットヘッド(図示しない)から、機能液39の液滴38を、凹凸形状を縁取る対象面24へ吐出することで、機能液39を配置する。そして、100℃の温度で10分間、乾燥させる。そうすると、40μmの幅を有するとともに、下部電極22が延びる方向とはほぼ垂直な方向に延びる上部電極が得られる。
【0059】
なお、水をベースにしたコロイド状の銀懸濁液は、「機能液」の一種である。「機能液」とは、インクジェットヘッドのノズルから液滴38として吐出されうる粘度を有する液状体をいう。ここで、「機能液」が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(低い粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。ここで、「機能液」の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であるのが好ましい。粘度が1mPa・s以上である場合には、「機能液」の液滴38を吐出する際にノズルの周辺部が「機能液」で汚染されにくい。一方、粘度が50mPa・s以下である場合は、ノズルにおける目詰まりの頻度が小さく、このため円滑な液滴38の吐出を実現できる。
【0060】
ここで、機能液が含有する所定材料は、例えば、導電性材料、強誘電体材料、半導体材料、誘電体材料、有機EL材料などの電気発光材料、などである。機能液が導電性材料を含有する場合には、本実施形態の下部電極22および上部電極のような導電性パターンが得られる。機能液が半導体材料を含有する場合には、半導体パターンが得られる。機能液が誘電体材料を含有する場合には、誘電体パターンが得られる。また、機能液が電気発光材料を含有する場合には、電気発光体パターンが得られる。
【0061】
(D.スタンプの製造方法−実施例1)
次に、本実施形態に係るスタンプの製造方法を説明する。図6、図7、および図8は、本実施形態に係るスタンプの製造方法を説明する模式図である。
【0062】
スタンプは、フォトリソグラフィ法等の技術を用いて製造したマスタに、PDMS等からなる基材を押し当て加熱形成処理することにより製造することができる。まず、実施例1として、フォトリソグラフィ法を用いて、弾性素子の先端面がμサイズ以上のスタンプを製造する方法の一例について説明する。
【0063】
先に、スタンプの製造に用いるマスタを製造する。図6(a)に示すように、マスタ40の基部となる基板42を用意する。基板42は、例えばシリコンからなる。その基板42の上面にフォトレジスト膜44を形成する。フォトレジスト膜44は、例えば、スピンコート法によりフォトレジストS1811を1.7μmの厚さに塗布し、90℃下で30分間ベーキングを行うことにより形成される。
【0064】
次に、図6(b)に示すように、マスク46を用いて、基板42上のフォトレジスト膜44を露光する。マスク46は、例えば、1辺の長さ1μmの矩形の開口部を有する複数の貫通孔47が1μmの間隔で長さ20μmの複数の列をなすように配置されたポジマスクである。露光した後、フォトレジスト膜44の現像処理を行う。これにより、複数の貫通孔47のそれぞれに対応した部分がフォトレジスト膜44から除去される。このことで、フォトレジスト膜44に、1辺の長さ1μmの矩形の開口部を有し、基板42の上面を露出する複数の穴48が1μmの間隔で長さ20μmの複数の列をなすように形成される。フォトレジスト膜44の現像処理には、例えば、FM−319現像液を用いる。以上により、マスタ40が得られる。
【0065】
次に、スタンプ10を製造するための基材(図示しない)を用意する。スタンプ10の基材は、例えば、PDMSからなる厚さ2μmの板である。図6(c)に示すように、そのスタンプ10の基材をマスタ40のフォトレジスト膜44が形成された側の面に押し当て、70℃下に1時間その状態を維持する。これにより、スタンプ10の基材に、複数の穴48のそれぞれに対応する複数の弾性素子52と、フォトレジスト膜44の上面に接する面を有した基部54と、が形成される。複数の弾性素子52は、1辺の長さ1μmの矩形の先端面52aを有し、基部54上に1μmの間隔で長さ20μmの複数の列をなすように配置されている。
【0066】
次に、複数の弾性素子52と基部54が形成されたスタンプ10をマスタ40から外すことにより、図6(d)に示すように、スタンプ10が得られる。
(D.スタンプの製造方法−実施例2)
【0067】
続いて、実施例2として、リソグラフィ法とリフトオフ法とを用いて、弾性素子の先端面がサブミクロンまたはサブミクロン以下の、より高解像度のスタンプを製造する方法の一例について説明する。なお、実施例1と共通する部分については説明を省略する。
【0068】
まず、スタンプの製造に用いるマスタを製造する。図7(a)に示すように、マスタ60を形成する基材となる基板62を用意し、その基板62の上面にフォトレジスト膜64を形成する。そして、マスク66を用いて、基板62上のフォトレジスト膜64を露光し、フォトレジスト膜64の現像処理を行う。ここで、マスク66の貫通孔67の形状と、それに対応して形成されるフォトレジスト膜64の穴65の形状とは、後の工程で形成される金属薄膜68に対応するものである。
【0069】
次に、図7(b)に示すように、フォトレジスト膜64の除去された基板62の露出面とフォトレジスト膜64の上面とのそれぞれに、金属薄膜68,69を形成する。金属薄膜68,69は、例えば、厚さ50nmのアルミニウムからなる。金属薄膜68,69を形成する方法は、例えば蒸着法を用いる。
【0070】
次に、基板62と、フォトレジスト膜64と、金属薄膜68,69と、で構成される構造体70を、図示しないが、フォトレジスト膜64の溶剤中に浸漬する。このとき、フォトレジスト膜64は溶剤に溶解することにより除去され、これにより、フォトレジスト膜64上にあった金属薄膜69は剥離する。この結果、図7(c)に示すように、フォトレジスト膜64とフォトレジスト膜64上の金属薄膜69とが除去され、基板62上に金属薄膜68のみが残留される。
【0071】
次に、図7(d)に示すように、基板62と金属薄膜68との上面に、フォトレジスト膜72を形成する。フォトレジスト膜72は、例えば、スピンコート法によりネガフォトレジストTHMR−iN PS1を200nmの厚さに塗布し、90℃下で90秒間ベーキングを行うことにより形成される。
【0072】
次に、図7(e)に示すように、フォトレジスト膜72に複数の穴73を形成する。複数の穴73は、例えば、それぞれが直径200nmで格子状に配置されている。複数の穴73は、干渉リソグラフィを用いて露光し、100℃下で90秒間ベーキングを行った後、現像処理を行うことにより形成される。
【0073】
次に、図8(a)に示すように、基板62の上面と金属薄膜68の上面とに金属薄膜からなる複数のドット74を形成する。複数のドット74は、例えば、厚さ30nmのアルミニウムからなる。複数のドット74のそれぞれは、複数の穴73(図7(e)参照)に対応し、それぞれが直径200nmで、基板62と金属薄膜68との上面に格子状に配置されている。複数のドット74の形成方法は、以下の通りである。まず、金属薄膜68の形成と同様に、基板62と金属薄膜68とフォトレジスト膜72(図7(e)参照)との上面に金属薄膜(図示しない)を形成する。その後、フォトレジスト膜72の溶剤中に浸漬する。そうすると、フォトレジスト膜72とフォトレジスト膜72上の金属薄膜とが除去されて、複数のドット74が得られる。
【0074】
次に、金属薄膜68および複数のドット74のいずれにも覆われていない基板62の部分をエッチングする。基板62をエッチングする方法は、例えば、O2+CF4プラズマエッチングを用いる。その後、KOH水溶液中で基板62上の金属薄膜68および複数のドット74を除去する。これにより、図8(b)に示すように、基板62がエッチングされて生じた凹部76と、金属薄膜68に覆われていた部分で残留した凸部77と、複数のドット74に覆われていた部分で残留した複数の凸部78と、を有するマスタ60が得られる。複数の凸部78は、それぞれが直径200nmで格子状に配置されている。
【0075】
次に、スタンプ10aを製造するための基材(図示しない)を用意し、図8(c)に示すように、そのスタンプ10aの基材をマスタ60の形成面に押し当て、70℃下に1時間その状態を維持する。これにより、スタンプ10aの基材に、凹部76に対応する凸部82と、凸部77に対応する凹部84と、複数の凸部78に対応する複数の凹部86と、が形成される。複数の凹部86は、それぞれが直径200nmで格子状に配置されている。
【0076】
次に、凸部82と凹部84と複数の凹部86とが形成されたスタンプ10aをマスタ60から外すことにより、図8(d)に示すように、スタンプ10aが得られる。
【0077】
実施例1のスタンプの製造方法は、ミクロンレベルの解像度のスタンプの製造に適用することができる。
【0078】
実施例2のスタンプの製造方法は、マスクを必要とせず短時間で露光を行う干渉リソグラフィ技術を用いることで、実施例1と比較して、大きな領域にナノまたはサブミクロンレベルの解像度の格子、ドット、穴等を有するスタンプを低コストで製造することができる。
【0079】
(E.電子機器)
図9は、本発明の実施形態に係る電子機器を示す図である。本実施形態に係る電子機器は、例えば、図9(a)に示すように、携帯電話100であり、図9(b)に示すように、大画面テレビ200である。
【0080】
(変形例1)
図10は、本実施形態に係るスタンプの複数の弾性素子の配置の変形例を説明する模式図である。
【0081】
図10(a)に示すように、接触領域90を構成する複数の先端面14aは、列L9,L10,L11,L12のそれぞれにおいて、所定のピッチCで配置されている。列L9,L10,L11,L12の隣合ういずれの2つの列も互いに列方向にEずれるように配置されている。Eは所定のピッチCの約半分である。また、Eは複数の先端面14aの1辺の長さAより小さいことが好ましい。ここで、複数の先端面14aのそれぞれの間隔D(D=C−A)は、Aの0.1倍以上10倍以下の範囲にあるので、所定のピッチCは、Aの1.1倍以上2倍未満の範囲にあればよい。
【0082】
これにより、図示しないが、複数の先端面14aに対応して対象面24上に形成された複数のドットの隣合う2つの列は、ドットと、ドットの間と、が交互に向かいあって配置されている。このことから、機能液が1つの列のドットの間を横切って流れたとしても、隣合う列のドットが機能液が横切って流れるのを抑止する。したがって、このように複数のドットが配置された表面エネルギ差バンクは、複数のドットを横切って機能液が流れるのをより効果的に抑止することができる。
【0083】
また、図10(b)には複数の弾性素子92の複数の先端面92aのそれぞれの形状が円である場合を、図10(c)には複数の弾性素子94の複数の先端面94aのそれぞれの形状が六角形である場合を示す。このように、複数の先端面92aのそれぞれの形状は、矩形以外でもよい。
【0084】
(変形例2)
上記実施形態では、表面処理として、表面に対してO2プラズマ処理またはCF4プラズマ処理が施されるが、これらプラズマ処理に代わる表面処理として、コロナ放電処理、UVオゾン処理、化学反応処理、コーティング、または真空蒸着等を施してもよい。
【0085】
(変形例3)
上記実施形態では、下部電極22を形成する工程において、PMMA層に複数の溝を形成する際、複数の溝を有したシリコンチップを用いてPMMA層にエンボス処理が施されるが、エンボス処理に代えて、例えば、フォトリソグラフィ法、干渉リソグラフィ法、マイクロコンタクトプリンティング法、オフセット印刷法、等を施してもよい。
【0086】
(変形例4)
上記実施形態では、下部電極22を形成する際、インクジェット印刷法が用いられるが、インクジェット印刷法に代えて、例えば、レジストパターニング法とリフトオフ法、無電解メッキ法、マイクロカッティング法、マイクロ/ナノ−プローブライティング法、等を用いてもよい。
【0087】
(変形例5)
インクジェット印刷に用いる材料は、溶液およびコロイド状の懸濁液のどちらを用いてもよい。また、導電性の材料としては、有機材料および無機材料のどちらであってもよく、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン、金、ニッケル、銅、カーボン、等を用いてもよい。
【0088】
(変形例6)
上記製造方法は、「sheet−to−sheet方式」および「roll−to−roll方式」のどちらにも適用することができる。また、基板の材料は柔軟性を有するものおよび柔軟性を有さないもののどちらであってもよく、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))、等を用いてもよい。
【0089】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本実施形態に係るスタンプの構成を説明する模式図。
【図2】図1のIIの側から見た平面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る表面エネルギ差バンクの形成方法を説明する模式図。
【図4】図3のIVの側から見た表面エネルギ差バンクの形成方法を説明する模式図。
【図5】本実施形態に係るパターンの形成方法を説明する模式図。
【図6】本実施形態に係るスタンプの製造方法を説明する模式図。
【図7】本実施形態に係るスタンプの製造方法を説明する模式図。
【図8】本実施形態に係るスタンプの製造方法を説明する模式図。
【図9】本発明の実施形態に係る電子機器を示す図。
【図10】本実施形態に係るスタンプの複数の弾性素子の配置の変形例を説明する模式図。
【符号の説明】
【0091】
10…スタンプ 10a…スタンプ 12…基部 14…弾性素子 14a…先端面 16…接触領域 17…接触領域 18…接触領域 20…対象体 21…基板 22…下部電極 23…強誘電体層 24…対象面 25…上面 26…底面 27…上面 28…底面 29…上面 30…材料 32…ドット 34…バンク 35…バンク 36…バンク 38…液滴 39…機能液 40…マスタ 42…基板 44…フォトレジスト膜 46…マスク 47…貫通孔 48…穴 52…弾性素子 52a…先端面 54…基部 60…マスタ 62…基板 64…フォトレジスト膜 65…穴 66…マスク 67…貫通孔 68…金属薄膜 69…金属薄膜 70…構造体 72…フォトレジスト膜 73…穴 74…ドット 76…凹部 77…凸部 78…凸部 82…凸部 84…凹部 86…凹部 90…接触領域 92…弾性素子 92a…先端面 94…弾性素子 94a…先端面 100…携帯電話 200…大画面テレビ L1…列 L2…列 L3…列 L4…列 L5…列 L6…列 L7…列 L8…列 L9…列 L10…列 L11…列 L12…列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、
前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、
を含むことを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記対象面は平坦でない面であり、
前記複数の弾性素子は、前記対象面に応じてそれぞれが変形することにより前記接触領域の全体が前記対象面にほぼ合うように、構成されていることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記複数の先端面は、前記対象面上に形成された前記複数のドットを横切って機能液が流れるのを抑止するように配置されていることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記複数の先端面は、複数の列をなすように配置されていることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記複数の先端面は、前記複数の列のそれぞれにおいて所定のピッチで配置され、
前記複数の列は、隣合ういずれの2つの列も互いに列方向に前記所定のピッチの略半分ずれるように配置されていることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記自己組織化分子膜は、前記対象面よりも撥液性であることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表面エネルギ差バンクの形成方法であって、
前記自己組織化分子膜は、前記対象面よりも親液性であることを特徴とする表面エネルギ差バンクの形成方法。
【請求項8】
スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、
前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、
前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に所定材料を含有した機能液を配置して、前記領域内に前記所定材料を含んだパターンを形成するステップと、
を含むことを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項9】
スタンプの接触領域であって、スタンプの基部から突出している複数の弾性素子の複数の先端面からなる接触領域に、自己組織化分子膜の材料を配置するステップと、
前記自己組織化分子膜からなる複数のドットであって前記複数の弾性素子に対応した複数のドットからなる表面エネルギ差バンクが対象面上に得られるように、前記接触領域を前記対象面に接触させて前記材料を前記接触領域から前記対象面へ転写するステップと、
を含む製造方法によって製造されたことを特徴とするバンク構造。
【請求項10】
請求項9に記載のバンク構造と、
前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、
を備えたことを特徴とする電子回路。
【請求項11】
請求項9に記載のバンク構造と、
前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、
を備えたことを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
請求項9に記載のバンク構造と、
前記表面エネルギ差バンクで仕切られた領域に設けられた導電性パターン、強誘電体パターン、半導体パターン、誘電体パターン、および電気発光体パターンの少なくとも一つと、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−27944(P2008−27944A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195190(P2006−195190)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】