説明

表面コーティングされた真珠光沢顔料、それらの製造方法、およびそれらの使用

本発明は表面変性真珠光沢顔料に関し、その真珠光沢顔料はその表面上に、一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、
およびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、
およびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]
の少なくとも1種の有機リン化合物を備えている。本発明はさらに、それらの真珠光沢顔料を調製するためのプロセスに関し、さらにはそれらの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ホスホン酸、有機亜ホスフィン酸および/またはそれらのエステルを用いてコーティングされた表面変性真珠光沢顔料に関する。本発明はさらに、それらの表面変性真珠光沢顔料を調製するためのプロセスに関し、さらにはそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
多年にわたって、表面をコーティングために、粉体コーティング材料が多く使用されてきた。それらのコーティング材料は微細に粉砕されたポリマー粉体であって、それは各種の方法によって塗布することができる。たとえば、粉体コーティング材料は、静電荷電法によって、コーティングされる部分であって反対の電荷を担持する部分の上にスプレーすることができるが、この場合、薄い膜が形成され、それをその粉体の軟化点にまで加熱することによって硬化させる。塗布のためのまた別の可能な手段は、摩擦静電気による塗布法の手段である(スプレーガンにおける摩擦による帯電)。慣用される溶媒ベースのコーティング系よりも、粉体コーティング材料の方が、溶媒の排出が一切ないこと、およびそれらがリサイクル性を備えているために、実質的に過剰スプレーがないことなどの利点を有している。
【0003】
粉体コーティング材料は、装飾的な効果を得る目的で、着色顔料ならびに金属効果顔料または真珠光沢顔料のような効果顔料を用いて着色させることができる。
【0004】
一般的な有機または無機の顔料およびこれも一般的な粉体コーティングの成分である、たとえばバインダー、硬化剤、充填剤、添加剤などを、最初にミキサーの中でプレミックスし、それを押出加工する。この手順で得られるチップを、ピン付きディスクミルまたは衝撃ライニングミルまたは同様の装置で摩砕する。
【0005】
微小板形状の効果顔料、たとえば真珠光沢顔料または金属効果顔料を、粉体コーティング材料において使用する場合には、それらを比較的穏やかなプロセスで粉体コーティング材料の中に組み入れなければならない。そうしないと、それらの顔料は剪断力の影響を受けやすいために、破砕されてそれらの特性を失ってしまう。
【0006】
工業的な実施態様においては、2種類の組み込みプロセスが慣用されている。第一のプロセス、すなわちドライブレンドプロセスの場合には、粉体コーティング粒子と効果顔料とを互いに単純に混合する。このプロセスの欠点は、粉体コーティング粒子と効果顔料粒子とが独立した構成物として存在していることである。粉体コーティング粒子と効果顔料とでは、形状および化学的性質が異なっているために、静電気を適用したときに分離現象が起きることが多い。これに伴って起きることは、未塗布の粉体コーティング材料のリサイクル性が失われることであるが、その理由は、粉体コーティング材料中における粉体コーティング粒子の効果顔料に対する比率が相対的に変化してしまうからである。新しい粉体コーティングで、その未塗布の粉体コーティング材料を再使用すると、コーティング膜の性質が変化してしまう可能性がある。さらに、粉体コーティングガンの中で、粒子凝集物が成長して、それがコーティング上に大きな凝集物(「スピッツ」)を発生させるために、外観的に受け入れられなくなる。
【0007】
第二のプロセスは、接合法と呼ばれているものである。この場合、真珠光沢顔料の存在下で、粉体コーティング材料をそのガラス温度よりもわずかに低い温度にまで加熱して、それにより部分的に溶融させる。これによって、真珠光沢顔料の粉体コーティング粒子に対する物理的な接着が起こり、それによって複合材料粒子が形成される。この手段によれば、一般的には、ドライブレンドに伴う欠点が軽減される。しかしながら、この接合法操作は一般に不完全なものであって、粉体コーティングの間にバインダーに結合されていない個々の真珠光沢顔料が残る。さらなる欠点としては、比較的大きな真珠光沢顔料を有する画分の場合には、このプロセスをうまく適用できないということがある。
【0008】
この場合、粉体コーティングのバインダー粒子に比較して、真珠光沢顔料が大きいために、十分にしっかりと接着されるのはほんの一部となる。
【0009】
EP0 721 005B1には、真珠光沢顔料、リン酸塩誘導体、および球状粒子を含む顔料調製物の記載がある。そのような調製物は、特に印刷分野において有利になると言われている。粉体コーティング材料やブロンズ効果仕上げでの適用についての記載はない。
【0010】
長鎖飽和脂肪酸を用いてコーティングされた真珠光沢顔料が、EP0 285 977B1に開示されている。そのような真珠光沢顔料はリーフィング特性を有していて、ブロンズ効果仕上げの場合には有利に使用することができる。
【0011】
アルキルシランを用いてコーティングし、リーフィング特性を有する真珠光沢顔料が、EP0 492 223B1に記載されている。それらの顔料は、着色プラスチックの黄変を防止するために使用される。
【0012】
しかしながら、リーフィング特性を有するそれら2種類の公知の表面変性真珠光沢顔料は、粉体コーティング材料においては欠点を示す。ルミナンスやフロップ性のような光学的効果の向上が実質的にない。脂肪酸またはアルキルシランを極めて高レベルとした場合にのみ、強いリーフィング挙動と、そのための大きな視覚的ブリリアンスが得られる。しかしながらこの場合には、耐摩耗性の面で欠陥が生じる。その上、アルキルシランコーティングされた真珠光沢顔料を適用すると、十分な再現性が得られない。
【0013】
DE197 08 167A1には、他の成分と共に表面活性物質、たとえば脂肪酸やフルオロ界面活性剤を含む、顔料調製物が開示されている。表面活性物質を使用するのは、ダストフリーで均質な顔料調製物を製造するためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、粉体コーティング材料において使用した場合に、上述したような公知の顔料の欠点を示さない真珠光沢顔料を提供することである。粉体コーティング材料においては、その真珠光沢顔料は良好な加工特性を示すはずであり、粉体コーティングにおいては、それらは効果的な配向性を有しているはずであり、そして粉体コーティングによって製造されたコーティングにおいては、それらは高いブリリアンス、ルミナンス、およびフロップ性を示すはずである。
【0015】
さらなる目的は、このタイプの真珠光沢顔料を調製するための単純で、コスト的に有利なプロセスを見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
その目的は、その表面に一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、
およびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、そして
およびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]、の少なくとも1種の有機リン化合物を備えた表面変性真珠光沢顔料を得ることにより達成された。
【0017】
一般式(I)の化合物は、亜ホスフィン酸の有機誘導体(有機亜ホスフィン酸と呼ばれる)であって、この場合、有機ラジカルのRおよびRは直接リン原子に結合されている。ラジカルRが1〜10個の炭素原子を有するアルキルである場合には、その有機誘導体は亜ホスフィン酸のエステルである。Rが水素の場合には、それは遊離の亜ホスフィン酸の有機誘導体である。
【0018】
一般式(II)の化合物は、ホスホン酸の有機誘導体(有機ホスホン酸と呼ばれる)であって、この場合、有機ラジカルRは直接リン原子に結合されている。ラジカルRおよびRが1〜10個の炭素原子を有するアルキルである場合には、問題にしているその誘導体は、ホスホン酸のジエステルの有機誘導体である。Rが水素であり、Rが1〜10個の炭素原子を有するアルキルである場合には、それはホスホン酸のモノエステルの有機誘導体である。RおよびRが水素の場合には、問題にしているその誘導体は、遊離のホスホン酸の有機誘導体である。
【0019】
驚くべきことには、本発明の真珠光沢顔料が、効果的なレベリング性や良好な加工特性のような良好な性能特性を有しているだけではなく、粉体コーティング材料における優れた平行配向性と合わせて強力な浮遊挙動も示し、その結果として、改良された光学的効果と共に、通常よりは低いレベルの着色が可能であるということが判明した。着色のレベルが比較的低いために、すなわち粉体コーティング材料の中の顔料の量が少ないために、かなりのコスト削減をしながら、同程度または改良された外観を得ることができる。その上、従来からの真珠光沢顔料に比較すると、ブリリアンスおよびルミナンス、さらにはルミナンスフロップ性が際だって向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の真珠光沢顔料は、0.05〜10重量%の有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルの表面コーティングを有している。本発明においては、有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらそれぞれのエステルの混合物を使用することも可能である。一つの実施態様においては、有機亜ホスフィン酸または有機ホスホン酸またはそのそれぞれのエステルを使用して表面変性が行われる。
【0021】
したがって、以下における記述では、個々の有機亜ホスフィン酸または個々の有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルに代えて、それぞれの場合において、混合物を使用したり、その逆を行ったりすることも可能であるという効果を理解されたい。
【0022】
有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルの割合は、いずれの場合も全真珠光沢顔料の重量を基準にして、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。0.1重量%未満の量では、有機亜ホスフィン酸および/またはホスホン酸および/またはそれらのエステルの効果が低すぎるし、その一方で10重量%を超えると、その真珠光沢顔料の表面の疎水性が高くなりすぎて、粉体コーティング材料の中で、解体現象および耐摩耗性の初期欠如が起きる。
【0023】
本発明の真珠光沢顔料の平均顔料サイズは、1〜400μm、好ましくは2〜150μm、より好ましくは5〜50μmである。上述の顔料サイズは、真珠光沢顔料の平均長さである。
【0024】
使用することが可能な真珠光沢顔料には、一般的に市販されている顔料すべてが含まれる。
【0025】
真珠光沢顔料には、雲母、タルク、セリサイト、カオリン、ならびにSiO、ガラス、グラファイト、およびAlのフレーク、およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される微小板形状の基材が含まれる。この場合、好適な基材は雲母、ならびにSiO、ガラスまたはAlのフレークである。
【0026】
この低屈折率の微小板形状の基材の上に、好ましくは高屈折率を有する、さらなる層を沈着させる。そのタイプの層は、金属カルコゲニド、特に金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、および金属硫化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属炭化物、ならびにそれらの混合物からなる群より選択するのが好ましい。
【0027】
真珠光沢顔料の基材は、金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化物水和物を含むかまたはそれらからなる多層構造を用いてコーティングされるのが好ましいが、それらの層の順序は各種変更可能である。金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化物水和物は、同一の層の中で互いに並んで存在していてもよい。
【0028】
真珠光沢顔料の基材は、1種または複数の金属酸化物層を用いてコーティングされているのが好ましいが、そのようなものは、TiO、Fe、Fe、TiFe、ZnO、SnO、CoO、Co、ZrO、Cr、VO、V,(Sn,Sb)O、およびそれらの混合物からなるか、あるいはそれらを含む群からなる。特に好ましいのは、TiOおよび/またはFeである。
【0029】
さらなる一つの実施態様においては、その多層構造が、基材の上に、高屈折率の少なくとも1種の層と低屈折率の少なくとも1種の層とが交互に配置されているような、層の順序を特色としている。
【0030】
交互配置の場合には、高屈折率の1種または複数の層を相互の上に直接配置し、その後で、低屈折率の1種または複数の層を相互の上に直接配置することも可能である。しかしながら、高屈折率の層と低屈折率の層とが、その層構造の中に存在しているということが必須である。
【0031】
高屈折率の少なくとも1種の層、低屈折率の少なくとも1種の層、そして高屈折率の少なくとも1種の層が基材の上に連続的に配置されているという、層の順序を特色としている多層構造が好ましい。
【0032】
このタイプの場合も同様にして、低屈折率の1種または複数の層および/または高屈折率の1種または複数の層が、いずれの場合も、相互の上に直接配置されているようにすることも可能である。しかしながら、その層構造の内部では、内側から外側に向けて、高屈折率の層、低屈折率の層、もう一度高屈折率の層が配置されていることが必須である。
【0033】
高屈折率の少なくとも1種の層が、TiO、Fe、Fe、TiFe、ZnO、SnO、CoO、Co、ZrO、Cr、VO、V、(Sn,Sb)O、およびそれらの混合物からなる群よりの金属酸化物および/または金属水酸化物を含むか、それらからなるのが好ましい。低屈折率の層が、SiO、Al、およびそれらの混合物からなる群よりの金属酸化物および/または金属水酸化物を含むか、それらからなるのが好ましい。
【0034】
高屈折率の層と低屈折率の層とを有する真珠光沢顔料は、特に強い干渉色を与える。とりわけ、高屈折率の層、低屈折率の層、さらに他の高屈折率の層を有する真珠光沢顔料が特に好ましい。TiO/SiO/TiOを含むかそれらからなる層の順序、さらには場合によってはFeを含む層が、強い金色の色相を与え、特に好ましい。
【0035】
上述の層の順序を有する真珠光沢顔料は、Merckによって製造され、Iriodin Stargoldの商品名で販売されている。
【0036】
また別な実施態様においては、真珠光沢顔料が、その両面を半透明な金属層でコーティングされたガラスフレーク基材からなる。
【0037】
その半透明な金属層の金属は、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛、ならびにそれらの混合物および合金、からなる群より選択されるのが好ましい。その半透明な層の厚みは、好ましくは約2〜約30nm、より好ましくは約5〜約20nmの範囲とする。
【0038】
言うまでもないことであるが、上述の真珠光沢顔料を、さらなる保護層を用いてさらにコーティングすることも可能である。これによって、天候の影響に関する真珠光沢顔料の安定性が一段と改良される可能性がある。ここでは特に、適切な保護層により抑制することが可能である、TiO層を含む真珠光沢顔料の光触媒的活性を挙げることができる。
【0039】
本発明の一つの好ましいタイプにおいては、金属カルコゲニド(1種または複数)、特に金属酸化物(1種または複数)、金属水酸化物(1種または複数)、金属酸化物水和物(1種または複数)、金属亜酸化物(1種または複数)および金属硫化物(1種または複数)、金属フッ化物(1種または複数)、金属窒化物(1種または複数)、金属炭化物(1種または複数)またはそれらの混合物を含むかそれらからなる1種または複数の層を用いてコーティングされた真珠光沢顔料の基材を、ケイ素、アルミニウム、セリウム、マンガン、ジルコニウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属の、金属酸化物および/または金属水酸化物および/または金属酸化物水和物を含むかそれらからなる少なくとも1種の外側保護層を用いて、包むようにしてさらにコーティングするが、一般式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機リン化合物を、外側の被覆保護層に対して適用する。
【0040】
さらなる実施態様においては、真珠光沢顔料が単一の微小板形状物質からなるが、その物質はオキシ塩化ビスマス、TiO、およびFeからなる群より選択される。
【0041】
例を挙げれば、以下の真珠光沢顔料を使用することが可能である:Merck KGaA、Darmstadt、GermanyからIriodin(登録商標)、Florapearl(登録商標)、Solarflair(登録商標)、Lazerflair(商標)、Biflair(登録商標)、Minatec(登録商標)、Miraval(登録商標)、Xirallic(登録商標)もしくはColorstream(登録商標)の商品名で販売されているもの、Engelhard、USAからMearlin(登録商標)もしくはExterior Mearlin(登録商標)の商品名で販売されているもの、ならびにEckartからPrestige(登録商標)またはPhoenix(登録商標)の商品名で販売されているもの。
【0042】
さらなる実施態様においては、上述の真珠光沢顔料が、着色顔料を用いてさらにコーティングされていてもよい。この手段によれば、より強い色彩と、特に二色性の真珠光沢顔料を得ることができる。そのようなものとしては、EngelhardからDynacolorの商品名で販売されている真珠光沢顔料がある。
【0043】
少なくとも1種の有機リン化合物は、一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、RおよびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、そしてRおよびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]を有する。
【0044】
ここで、RおよびRが互いに独立して、H、メチル、またはエチルであるのが好ましい。一つの好ましい展開においては、RとRとが同一である。
【0045】
有機ラジカルのRおよびRは、互いに独立して、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、C〜C30アルキニル;C〜C30アリール、C〜C30アルキルアリール、C〜C30アリールアルキル、C〜C30アルケニルアリール、C〜C30アリールアルキニル、C〜C30アルキニルアリール;C〜C30シクロアルキル、C〜C30アルキルシクロアルキルまたはC〜C30シクロアルキルアルキル基であってよい。ラジカルRおよびRは、互いに独立して、分岐状であっても、非分岐状であってもよい。4〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカルが好ましく、6〜18個の炭素原子を有するアルキルラジカルが特に好ましいが、それらのラジカルは、それぞれ、非分岐状であるのが好ましい。一つの好ましいタイプにおいては、RとRとが同一である。その炭素鎖には、ヘテロ原子、好ましくはO、S、および/またはNが含まれていてもよい。
【0046】
一つの特に好ましい実施態様においては、RおよびRが水素であり、Rが好ましくは非分岐状の、6〜18個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。それらの例としては、容易に市場で入手可能なオクタンホスホン酸(たとえばRhodia)またはドデシルホスホン酸が挙げられる。
【0047】
金属顔料に関連して、安定化剤としてホスホン酸を使用することは、ずっと以前から公知である。特にアルミニウム顔料の場合においては、有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルを腐食防止剤として使用して、水との接触で起きるガス発生(水素の発生)を防止することができる。ホスホン酸基は、常に天然の酸化物層で被覆されているアルミニウム表面上への、特に良好なアンカー基であることが知られている。
【0048】
驚くべきことには、一般的には、まったく異なる物質から構成されている真珠光沢顔料の表面が、有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルにより容易にコーティングされるということが、今や見出された。有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルは明らかに、極めて広く各種の異なった酸化物に吸着されるに違いないとされていたので、このことは特に予想もされなかった。必ず焼成工程が含まれるという、その調製方法のために、真珠光沢顔料は多くの場合、OH基が少ない表面を有している。しかしながら、有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルが好適に結合を示す相手は、特にOH基なのである。したがって、有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸がそのような各種の真珠光沢顔料に吸着されること、およびそれによって有利な性質をそれらに付与するということは、極めて驚くべきことであった。
【0049】
本発明の基礎となっている目的はさらに、請求項1〜15のいずれか1項に記載の真珠光沢顔料を調製するためのプロセスを提供することによっても達成されるが、そのプロセスには以下の工程が含まれる:
(a)真珠光沢顔料を、一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、
およびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、
およびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]
のリン化合物と液相中で混合する工程、
(b)その真珠光沢顔料をその液相、および適切であるならば過剰の有機リン化合物から分離する工程、
(c)場合によっては、その表面変性真珠光沢顔料を乾燥させる工程。
【0050】
真珠光沢顔料と一般式(I)および/または(II)を有するリン化合物とを混合している間に、そのリン化合物が真珠光沢顔料の表面に結合する。リン化合物の顔料表面に対する結合は、化学的結合によるか、および/または吸着によって起きる。
【0051】
このプロセスの場面においては、真珠光沢顔料をまず溶媒の中でペースト化または分散させ、次いで有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルを添加するのがよい。しかしながら、まず有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルを溶媒の中に溶解または分散させ、次いで、真珠光沢顔料を加え、それらを互いに撹拌するか、あるいは、有機亜ホスフィン酸の溶液および/または有機ホスホン酸の溶液および/またはそれらのエステルの溶液を、真珠光沢顔料および溶媒を含むペーストに供給することも可能である。真珠光沢顔料と、有機ホスホン酸またはそれらのエステルとの接触時間は、好ましくは5分〜5時間、より好ましくは15分〜2時間とするべきである。溶媒を、30℃から最高はその沸点までの範囲の温度に加熱することもできる。このことにより特に、有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸および/またはそれらのエステルの溶解性を改良することができる。
【0052】
コーティングされた真珠光沢顔料は、一般的な方法たとえば、濾過、吸引濾過、デカントなどの手段により溶媒から分離される。
【0053】
乾燥は、約40〜100℃の範囲の昇温下、場合によっては減圧下に実施するのが好ましい。
【0054】
その中で有機亜ホスフィン酸(1種または複数)および/または有機ホスホン酸(1種または複数)および/またはそれらの誘導体もしくは塩またはリン酸エステルが可溶であるかまたは分散可能であるような溶媒は、好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。言うまでもないことであるが、その他の炭化水素系溶媒を選択することも可能である。
【0055】
また別な実施態様においては、真珠光沢顔料と有機ホスホン酸とを、溶媒を存在させることなく、互いに混合させることも可能である。このタイプの手順は、ニーダー装置、ミキサー、または類似の装置で実施してもよい。
【0056】
本発明の基礎となっている目的はさらに、本発明の真珠光沢顔料を含む粉体コーティング組成物を提供することにより達成される。
【0057】
本発明の真珠光沢顔料は、粉体コーティング材料の中で使用するのに極めて適している。しかしながら、本発明の真珠光沢顔料がさらなる用途においても使用できることが明らかになった。本発明の真珠光沢顔料は、コーティング、ワニス、印刷インキ、プラスチックまたはブロンズ効果仕上げにおいてもまた有利に使用することができる。
【0058】
コーティングの分野においては、それらは、自動車用仕上げ剤(ただしそれらが保護層を有する真珠光沢顔料である場合)において、コイルコーティングにおいて、および特に粉体コーティング材料において使用することができる。
【0059】
本発明の真珠光沢顔料は、粉体コーティング材料において、およびブロンズ効果仕上げにおいて使用するのが好ましい。このタイプの製品はさらに、ビーズ、ペレット、ブリケット、タブレット、ソーセージ状物、顆粒などの形態の、ドライ調製物の製造における用途も見出される。それらのドライ調製物は、その湿分量が、いずれの場合も真珠光沢顔料の全重量を基準にして、好ましくは10重量%未満、より好ましくは6重量%未満、さらに好ましくは4重量%未満である。1〜3重量%の湿分量であれば、極めて好適であることが見出された。
【0060】
有機亜ホスフィン酸および/または有機ホスホン酸(1種または複数)および/またはそれらのエステルを用いてコーティングされた、上述のような本発明の真珠光沢顔料から、当業者に公知のプロセスによって、真珠光沢顔料を用いて着色された粉体コーティング材料を製造することが可能である。製造は、たとえば、ドライブレンド法または接合法の手段により実施する。好ましくは0.1〜12%、より好ましくは1〜5%、極めて好ましくは2〜4重量%の本発明の真珠光沢顔料と、それに対応した、88〜99.9%、好ましくは95〜99%または96〜98重量%の粉体コーティングバインダーとを、撹拌容器の中で当業者によく知られている適切な条件下で互いに混合する。いずれの場合においても、本発明の真珠光沢顔料と粉体コーティングバインダーとの重量分率の合計が、さらなる添加剤を加えなければ、100重量%となるようにする。加熱は、粉体コーティングバインダーの軟化温度まで、好ましくは約50〜90℃(接合法)の範囲で実施するのがよい。ここで重量パーセントの数字は、いずれの場合においても、粉体コーティング材料の全重量を基準とする。
【0061】
本発明のコーティングされた真珠光沢顔料から粉体コーティング材料が得られるが、それにおいては、塗布した後に、真珠光沢顔料が表面近くに位置する、すなわちリーフィング効果を示す。このために、コーティングされた物品において、高いルミナンスおよび高いフロップ性と共に、高いブリリアントな真珠光沢効果を示す粉体コーティング材料が得られる。着色真珠光沢顔料を使用する場合には、高い彩度が得られる。このようにして得られた粉体コーティング材料は、極めて良好な加工特性を有し、焼付け前の基材に対して傑出した接着性を示す。
【0062】
一般的に、粉体コーティング材料のブリリアンスは高いため、通常よりも少ない真珠光沢顔料で使用できるので、経済的に極めて有利である。
【0063】
粉体コーティングバインダーとしては、たとえば、TGICポリエステル、非TGICポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、またはエポキシポリエステルを使用することができる。
【0064】
本発明をいくつかの実施例により説明するが、それらは、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1:
100gの耐候安定性の真珠光沢顔料であるPhoenix XT2001(Eckart製、水酸化クロムコーティングあり)を、150gのエタノール中に分散させる。20gのエタノール中の溶液とした1.5gのオクタンホスホン酸を添加し、30分間撹拌することによりその二つの成分を互いに均質に混合する。室温で1時間の撹拌を行った後、その顔料を濾過により単離し、真空乾燥炉中、40℃で6〜8時間かけて乾燥させる。
【0066】
実施例2:
実施例1と同様であるが、2.5gのオクタンホスホン酸を使用する。
【0067】
比較例3:
さらなる有機後処理なしのPhoenix XT2001
【0068】
比較例4:
さらなる有機後処理なしのIriodin 9119WR:耐候安定化真珠光沢顔料(水酸化クロムコーティングあり)
【0069】
比較例5:
ステアリン酸コーティングを有するIriodin 9119PC S WR:耐候安定化真珠光沢顔料
【0070】
比較例6(EP0 492 223B1からの改変):
100gの真珠光沢顔料Phoenix XT2001を、250gの工業グレードのエタノール中に分散させ、その分散体を加熱して60℃とする。最初に1.5gのエチレンジアミン、5分後に20gのエタノール中の溶液とした1.5gのDynasylan 9116を添加する。60℃で2時間撹拌した後、顔料を濾過により単離し、洗浄し、真空乾燥炉中、40℃で6〜8時間かけて乾燥させる。
【0071】
比較例7(EP0 492 223B1からの改変):
比較例6と同様であるが、2.5gのDynasylan 9116を使用し、塩基と共にさらに10gの水を添加する。
【0072】
本発明実施例1および2による真珠光沢顔料と、比較例3〜7による真珠光沢顔料を、全粉体コーティング材料の重量を基準にしてそれぞれ3重量%の量で、市販のTGICフリーのポリエステル粉体コーティング材料(その色合いは接合法の手段によりRAL9005(Tiger、Wels、Austria)であった)の中に組み入れた。
【0073】
粉体コーティング材料は、鋼製テストパネルに、ITWGema PG1を使用した電圧70〜80kVでのコロナ法の手段により塗布してから、200℃で10分かけて焼き付けた。
【0074】
粉体コーティングのルミナンスおよびフロップ性は、湿式表面コーティングの場合には通例の色彩計による測定では再現性よく特徴付けを行えないが、その理由は、粉体コーティング材料では同じ程度の再現性が存在しないからである。そのため、このテストパネルのルミナンスおよびフロップ性は、視覚的に評価した。この場合のテストパネルは、DIN53230の方針に倣って、評点システムを使用して特性付けを行った。数字による評点の意味合いは次の通りである:
0:極めて良
1:良
2:普通
3:許容可能
4:許容不能
5:まったく許容不能
【0075】
さらに、ルミナンスの測定は、色彩計(Minolta CM−508E)により実施した。この測定において得られるパラメーターは拡散反射であって、これは、ルミナンスの視覚的印象を現実に合わせて再現性よく反映している。
【0076】
さらに、分析によって、サンプルの炭素量を元素分析の手段により求め、理論的にありえる値と比較した。測定された炭素量が有機表面変性だけに由来していると仮定すると、この方法によって、使用された変性剤の量および分子量と理論的に存在する炭素量とを参照することにより、そこに存在する実際の量を計算することが可能となる。
【0077】
コーティングされた金属テストパネルの、炭素量、表面変性剤の計算量、および色彩計および視覚的評価のデータを表1にまとめた。
【0078】
【表1】

【0079】
コーティングされた金属テストパネルのルミナンス値は、本発明に従ってコーティングされた真珠光沢顔料を粉体コーティング材料の中で使用する場合に最高となる。このことは、視覚的印象でルミナンスが向上していることと一致している。視覚的に評価したルミナンスとフロップ性の組合せの見地からも、本発明実施例に、同様にベストスコアが与えられる。
【0080】
金属テストパネル上のサンプルコーティングにおいて、最も成績が悪いのが、比較例4および5の市販の真珠光沢顔料である。したがって、ステアリン酸を用いたコーティングは、未処理の真珠光沢顔料と比較して、粉体コーティング材料における真珠光沢顔料に実質的に何のメリットも与えていないように思われる。
【0081】
金属テストパネル上のサンプルコーティングの場合、アルキルシランを用いて真珠光沢顔料を処理すると(比較例6および7を参照)、未処理の真珠光沢顔料(比較例3を参照)と比較して顕著に、ルミナンスおよびフロップ性の点で視覚的外観が改良される。しかしながら、本発明実施例の真珠光沢顔料のルミナンスおよびフロップ性の挙動は、さらに顕著に、より強く、そのため、比較例の場合に比べて顕著に優れた外観を与える。
【0082】
実施例8:
実施例1と同様であるが、真珠光沢顔料としてExterior Mearlin Mayan Gold 233X(Engelhard)を使用し、1.0重量%のオクタンホスホン酸を用いてコーティングする。
【0083】
比較例9:
さらなる後処理をしていない、真珠光沢顔料Exterior Mearlin Mayan Gold 233X。
【0084】
実施例10:
実施例1と同様であるが、真珠光沢顔料としてExterior Mearlin Super Blue 639Z(Engelhard)を使用し、1.0重量%のオクタンホスホン酸を用いてコーティングする。
【0085】
比較例11:
真珠光沢顔料Exterior Mearlin Super Red 439Z(Engelhard)を使用する。
【0086】
実施例12:
実施例1と同様であるが、真珠光沢顔料としてExterior Mearlin Super Red 439Z(Engelhard)を使用し、1.0重量%のオクタンホスホン酸を用いてコーティングする。
【0087】
比較例13:
実施例1と同様であるが、真珠光沢顔料としてExterior Mearlin Super Red 439Z(Engelhard)を使用。
【0088】
本発明実施例8、10、および12に従って製造した真珠光沢顔料、ならびに比較例9、11、および13に従って製造した真珠光沢顔料をそれぞれ、前述のようにして粉体コーティング材料の中で使用し、金属テストパネルに塗布した。次いで色彩計を使用して、それらのサンプルコーティングについてそのルミナンスおよび彩度を求めた。表2にそれらの結果を示す。
【0089】
【表2】

【0090】
比較をすれば、本発明によりコーティングした真珠光沢顔料を使用して得られた金属テストパネル上のサンプルコーティングは、本発明ではない真珠光沢顔料を使用したものよりも、顕著により高い彩度とより高いルミナンスを示すことが判る。それらのより高い彩度およびより高いルミナンスが得られるのは、粉体コーティングによって得られるコーティング膜中で本発明の真珠光沢顔料の浮上性がより強い、すなわち、本発明の真珠光沢顔料がコーティング膜の表面または表面の近くに配置される(リーフィング効果)ためである。コーティング膜の表面または表面の近くに真珠光沢顔料が配置されることによって、表面に対して平行な配向性が改良される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面変性真珠光沢顔料であって、
表面上に、一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、
およびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、
およびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]
の少なくとも1種の有機リン化合物が備えられていることを特徴とする、表面変性真珠光沢顔料。
【請求項2】
前記真珠光沢顔料が、0.05〜10重量%の一般式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機リン化合物を含む(重量パーセントの数字は真珠光沢顔料の全重量を基準とする)ことを特徴とする、請求項1に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項3】
前記真珠光沢顔料が、1〜400μmの顔料サイズを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項4】
前記真珠光沢顔料が、雲母、タルク、セリサイト、カオリン、ならびにSiO、ガラス、グラファイト、およびAlのフレーク、およびそれらの混合物からなる群より選択される基材を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項5】
前記真珠光沢顔料の基材が、金属カルコゲニド、特に金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、および金属硫化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属炭化物、ならびにそれらの混合物からなる群からの1種または複数の層を用いてコーティングされていることを特徴とする、請求項4に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項6】
前記真珠光沢顔料の基材が、金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化物水和物を含むかまたはそれらからなる多層構造を用いてコーティングされているが、それらの層の順序は各種変更可能であることを特徴とする、請求項4または5に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項7】
前記真珠光沢顔料の基材が、TiO、Fe、Fe、TiFe、ZnO、SnO、CoO、Co、ZrO、Cr、VO、V、(Sn,Sb)O、およびそれらの混合物からなる群からの1種または複数の金属酸化物の層を用いてコーティングされていることを特徴とする、請求項5または6に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項8】
前記多層構造が、基材の上に、高屈折率の少なくとも1種の層と低屈折率の少なくとも1種の層とが交互に配置されているような、層の順序を特色としていることを特徴とする、請求項6に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項9】
前記多層構造が、高屈折率の少なくとも1種の層、低屈折率の少なくとも1種の層、そして高屈折率の少なくとも1種の層が基材の上に連続的に配置されているという、層の順序を特色としていることを特徴とする、請求項6に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項10】
前記高屈折率の少なくとも1種の層が、TiO、Fe、Fe、TiFe、ZnO、SnO、CoO、Co、ZrO、Cr、VO、V、(Sn,Sb)O、およびそれらの混合物からなる群からの少なくとも1種の金属酸化物および/または少なくとも1種の金属水酸化物を含むかまたはそれらからなり、そして前記低屈折率の層が、好ましくは、SiO、Al、およびそれらの混合物からなる群からの少なくとも1種の金属酸化物および/または少なくとも1種の金属水酸化物を含むかまたはそれらからなることを特徴とする、請求項8または9に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項11】
前記真珠光沢顔料が、両面を半透明な金属層でコーティングされたガラスフレークを含むことを特徴とする、請求項4に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項12】
前記半透明な金属層の金属が、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛、ならびにそれらの混合物および合金、からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項13】
金属カルコゲニド(1種または複数)、特に金属酸化物(1種または複数)、金属水酸化物(1種または複数)、金属酸化物水和物(1種または複数)、金属亜酸化物(1種または複数)および金属硫化物(1種または複数)、金属フッ化物(1種または複数)、金属窒化物(1種または複数)、金属炭化物(1種または複数)またはそれらの混合物を含むかそれらからなる1種または複数の層を用いてコーティングされた前記真珠光沢顔料の基材を、ケイ素、アルミニウム、セリウム、マンガン、ジルコニウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属の、金属酸化物および/または金属水酸化物および/または金属酸化物水和物を含むかそれらからなる少なくとも1種の外側保護層を用いて、包むようにしてさらにコーティングするが、一般式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機リン化合物を、外側の被覆保護層に対して適用することを特徴とする、請求項5〜12のいずれか1項に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項14】
前記真珠光沢顔料が単一の微小板形状物質からなり、前記物質がオキシ塩化ビスマス、TiO、Fe、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項15】
前記真珠光沢顔料が、着色顔料を含む1種または複数の層を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の表面変性真珠光沢顔料。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の真珠光沢顔料を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが以下の工程:
(a)真珠光沢顔料を、一般式(I)
P(O)(OR) (I)
および/または一般式(II)
P(O)(OR)(OR) (II)
[式中、
およびRは互いに独立して、水素または1〜30個の炭素原子を有する有機ラジカルであるが、ただし、RとRが同時に水素であることはなく、
およびRは互いに独立して、Hまたは1〜10個の炭素原子を有するアルキルである]
の少なくとも1種の有機リン化合物と液相で混合する工程、
(b)前記真珠光沢顔料を前記液相、および適切であるならば過剰の有機リン化合物から分離する工程、
(c)場合によっては、前記表面変性真珠光沢顔料を乾燥させる工程、
を含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項17】
コーティングされた真珠光沢顔料を、濾過、吸引濾過、および/またはデカントの手段により溶媒から分離することを特徴とする、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
乾燥を、好ましくは約40〜100℃の昇温下、適切であれば減圧下で実施することを特徴とする、請求項16または17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記溶媒が、その中でホスホン酸(1種または複数)またはそれらのエステルが可溶性であるか、分散可能であるものであり、好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
コーティング、ワニス、印刷インキ、プラスチック、粉体コーティング材料、またはブロンズ効果仕上げにおける、請求項1〜15のいずれか1項に記載のコーティングされた真珠光沢顔料の使用。
【請求項21】
顔料調製またはドライ調製、たとえばビーズ、ペレット、ブリケット、タブレット、またはソーセージ状物における、請求項1〜15のいずれか1項に記載のコーティングされた真珠光沢顔料の使用。
【請求項22】
粉体コーティング組成物であって、前記粉体コーティング材料が請求項1〜15のいずれか1項に記載の表面変性真珠光沢顔料を含む、粉体コーティング組成物。

【公表番号】特表2009−503208(P2009−503208A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524449(P2008−524449)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007749
【国際公開番号】WO2007/017199
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (48)
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
【Fターム(参考)】