説明

表面保護フィルムの製造方法および表面保護フィルム

【課題】フィッシュアイの数が少ない表面保護フィルムの製造方法、および、該表面保護フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を溶融押し出しして溶融フィルムをなし、次いで、該溶融フィルムを基材に押出コーティングして多層フィルムとし、該多層フィルムの溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層側の表面を金属ロールで、該基材層側の表面を押付ロールで押し付け、溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層と基材層とを圧着する表面保護フィルムの製造方法であって、金属ロールと押付ロールとで多層フィルムを押し付ける押付ロール線圧を16〜35kN/mとすることを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護フィルムの製造方法、および、該表面保護フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や液晶テレビなどの液晶ディスプレイ、CDやDVDに用いられる光学フィルム製品、工業用や建築用などに用いられるアルミニウムやステンレスなどの金属板、アクリルやエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂板、木質化粧板などの物品には、物品の加工や貯蔵、輸送時において、物との接触や摩擦により物品に傷が付くことを防止したり、埃の付着などにより物品の表面が汚れることを防止したりするために、該物品に表面保護フィルムを貼り付けることが行われている。該表面保護フィルムとしては、基材層と粘着層とを有する多層フィルムなどが用いられており、該多層フィルムの製造方法としては、例えば、基材層樹脂として低密度ポリエチレンを押出機(設定温度200℃)で溶融し、粘着層樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを押出機(設定温度240℃)で溶融し、Tダイ(設定温度210℃)から共押し出しする方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−229082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の製造方法で製造された表面保護フィルムは、フィッシュアイ数に関し、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、フィッシュアイの数が少ない表面保護フィルムの製造方法、および、該表面保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の第一は、ポリオレフィン系樹脂を溶融押し出しして溶融フィルムをなし、次いで、該溶融フィルムを基材に押出コーティングして多層フィルムとし、該多層フィルムの溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層側の表面を金属ロールで、該基材層側の表面を押付ロールで押し付け、溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層と基材層とを圧着する表面保護フィルムの製造方法であって、金属ロールと押付ロールとで多層フィルムを押し付ける押付ロール線圧を16〜35kN/mとすることを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。
【0006】
本発明の第二は上記製造方法により製造される表面保護フィルムにかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、フィッシュアイの数が少ない表面保護フィルムの製造方法、および、該表面保護フィルムを提供することができる。また、本発明により、提供される該表面保護フィルムは、被着体に対する粘着特性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いられる基材としては、樹脂、紙、金属などが用いられる。該樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、セロハン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アセチルセルロースなどがあげられ、好ましくは、ポリエステル系樹脂である。
【0009】
本発明で基材として用いるポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸に基づく単量体単位と、グリコールに基づく単量体単位とを有する重合体があげられる。該ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸をあげることができ、該グリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどをあげることができる。これらは、一種又は二種以上を用いることができる。また、ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸およびグリコール以外の単量体に基づく単量体単位を有していてもよく、該単量体としては、p−オキシ安息香酸などをあげることができる。
【0010】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などをあげることができる。
【0011】
本発明で用いられる基材は、フィルムなどの形状で用いられ、単層であっても、多層であってもよい。該基材の肉厚は押出コーティング加工が可能であればよく、好ましくは5〜300μm、より好ましくは8〜250μm、さらに好ましくは12〜200μmである。
【0012】
本発明で溶融押し出しするポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどの炭素原子数2〜18のオレフィンに基づく1種または2種以上単量体単位を70重量%以上含有する重合体であり、エチレンに基づく単量体単位を50重量%以上含有する重合体であるポリエチレン系樹脂、プロピレンに基づく単量体単位を50重量%以上含有する重合体であるポリプロピレン系樹脂などがあげられる。
【0013】
本発明で溶融押し出しするポリオレフィン系樹脂は、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0014】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体とは、エチレンに基づく単量体単位および炭素原子数3〜18のα−オレフィンに基づく単量体単位を含む共重合体である。また該エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに基づく単量体単位および炭素原子数3〜18のα−オレフィンに基づく単量体単位に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の単量体に基づく単量体単位を有していてもよい。炭素原子数3〜18のα−オレフィン単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどがあげられる。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等があげられる。
【0015】
本発明で溶融押し出しするエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が70〜98重量%、酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量(酢ビ含量)が30〜2重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、好ましくはエチレンに基づく単量体単位の含有量が80〜95重量%、酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量が20〜5重量%である。なお、該酢ビ含量はJIS K6924に規定された方法で測定される。
【0016】
本発明で溶融押し出しするエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンに基づく単量体単位の含有量が70〜98重量%、(メタ)アクリル酸エステルに基づく単量体単位の含有量が30〜2重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、好ましくはエチレンに基づく単量体単位の含有量が72〜95重量%、(メタ)アクリル酸エステルに基づく単量体単位の含有量が28〜5重量%である。なお、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における(メタ)アクリル酸エステルに基づく単量体単位の含有量は、次に示す方法で測定される。
すなわち、赤外線吸収スペクトル分析法を用い、(メタ)アクリル酸エステル由来の吸収スペクトルを示す波数での入射光強度(I0)と透過光強度(I)より、厚み[t(cm)]のサンプルの(メタ)アクリル酸エステルに基づく単量体単位の含有量(重量%)は式1を用いて算出する。
含有量=a×log(I0/I)/t−b (式1)
例えば、メタクリル酸メチルに基づく単量体単位の含有量を求める場合、装置として日本分光(株)製FT/IR−7300を用い、厚さ0.3mmのシートを測定するとき、式1のaは4.1であり、式1のbは5.3である。また、メタクリル酸メチル由来の吸収スペクトルを示す波数は3448cm-1である。さらに、I0を求めるときのベースラインは3510〜3310cm-1とする。
【0017】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸t−ブチル共重合体等が挙げられる。
【0018】
本発明で溶融押し出しするポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)としては、好ましくは0.01〜300g/10分、より好ましくは0.1〜100、さらに好ましくは1〜30である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定される。
【0019】
本発明で溶融押し出しするポリエチレン系樹脂の密度としては、フィルムのハンドリング性、被着体からの剥離性を高める観点から、好ましくは、880kg/m3以上であり、より好ましくは、900kg/m3以上である。また、該密度は、フィルム製造の際のフィルムとロールとの摩擦による粘着層樹脂の白粉発生を低減する観点から、好ましくは、960kg/m3以下であり、より好ましくは、940kg/m3以下である。なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。
【0020】
本発明で溶融押し出しするポリエチレン系樹脂としては、公知の重合方法により製造される。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法や、ラジカル発生剤の存在下に、重合圧力50〜400MPa、重合温度100〜300℃において適当な重合溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に重合させる高圧ラジカル重合法等があげられる。
【0021】
本発明で溶融押し出しするポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体などがあげられ、これらは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。該ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定されるMFRが1〜300g/10minの範囲にあることが好ましい。また、これらポリプロピレン系樹脂は、公知の方法、例えばイオン重合法により製造される。
【0022】
本発明で溶融押し出しするポリオレフィン系樹脂としては、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤等の添加剤を添加してもよい。
【0023】
本発明の製造方法では、ポリオレフィン系樹脂を溶融押し出しして溶融フィルムをなし、次いで、該溶融フィルムを基材に押出コーティングして多層フィルムとし、該多層フィルムの溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層側の表面を金属ロールで、該基材層側の表面を押付ロールで押し付け、溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層と基材層とを圧着するものである。
【0024】
本発明において、ポリエチレン系樹脂を押出し溶融樹脂に用いる場合、ダイ直下の溶融押出樹脂温度は、加工性の観点、フィッシュアイの数を減少させる観点から200℃以上であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂がエチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体である場合、ダイ直下の溶融押出樹脂温度は300℃以上であることがより好ましい。また、ポリエチレン系樹脂を押出し溶融樹脂に用いる場合、ダイ直下の溶融押出樹脂温度は、樹脂の劣化を抑制する観点、発煙成分による冷却ロール汚染を低減する観点から好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下である。ポリエチレン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体である場合、ダイ直下の溶融押出樹脂温度は300℃以下であることがより好ましい。
【0025】
本発明において、溶融押出フィルムと基材との間の接着強度を高める方法としては、基材の溶融押出フィルムと圧着される面に表面酸化処理が施されている基材を使用する方法、基材の溶融押出フィルムと圧着される面にアンカーコート処理を行う方法などがあげられる。アンカーコート処理を行うと、アンカーコート剤中に溶剤が含まれるため、よりクリーンな表面保護フィルムが要求される分野に対しては、表面酸化処理を行うことが好ましい。表面酸化処理としては、コロナ放電処理の他、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などがあげられ、好ましくはコロナ放電処理である。コロナ放電処理を行う時機としては、押出コーティングを行う工程の事前にオフラインで施してもよく、基材を巻出し後の基材と溶融押出フィルムとを圧着する直前にインラインで行ってもよい。好ましくは圧着する直前にインラインで行う。
【0026】
表面保護フィルムの被着体に対する粘着強度は、被着体の種類・用途、貼合条件等によりさまざまなレベルが要求される。本発明で製造される表面保護フィルムについては、使用する溶融押出フィルムの種類や加工条件によって適宜調整できる。
【0027】
本発明の製造方法における溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層と基材層とを圧着する際の押付ロール線圧は、16〜35kN/mであり、フィッシュアイの数を減少させる観点から、好ましくは20kN/m以上であり、均一に圧着する観点から、好ましくは32kN/m以下である。
【0028】
圧着工程の金属ロールの算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは0.01〜10μmであり、好ましくは0.1〜1μmである。該Raの値が大きいと被着体に対して粘着性が発現しなかったり、透明性が劣ったりすることがある。また、該Raの値が小さいと製膜時に冷却ロールからの離ロール性が悪化することがある。なお、該RaはJIS B0601−1994に規定される方法で測定される。
【0029】
圧着工程の押付ロールは、ゴムロールが好ましい。ゴムロールの硬度は溶融押出フィルムと基材の間で圧着を高める観点から、好ましくは60〜95である。なお、該硬度はJIS K6253に規定される方法で測定される。
【0030】
基材と溶融押出フィルムとの間の接着強度は、被着体より表面保護フィルムを剥がす際に基材と溶融押出フィルムとが剥がれることがあるので、被着体に貼合後の溶融押出フィルムと被着体との間の粘着強度よりも大きいことが好ましい。
【0031】
本発明の表面保護フィルムは、携帯電話や液晶テレビなどの液晶ディスプレイ、CDやDVDに用いられる光学フィルム製品、アルミニウムやステンレスなどの金属板、アクリルやエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂板、木質化粧板などの表面保護に好適に用いられる。表面保護フィルムの肉厚は、好ましくは7〜600μm、より好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは15〜300μmである。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0033】
(1)密度(単位:kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0034】
(2)酢酸ビニル含量(単位:%)
JIS K6924に従って測定した。
【0035】
(3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10min)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
【0036】
(4)接着強度(単位:N/15mm幅)
表面保護フィルムから、幅15mmの試験片を切り出した。東洋精機製作所(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200mm/minの引張速度で、試験片のポリオレフィン系樹脂層と基材層とを180度剥離し、ポリオレフィン系樹脂層と基材層の接着強度を測定した。
【0037】
(5)粘着強度(単位:N/100mm幅)
10cm×25cmの光学フィルム((株)オプテス製ゼオノアフィルムZF−14、厚み100μm)を被着体とし、該被着体に、10cm×25cmの表面保護フィルムを、表面保護フィルムのポリオレフィン系樹脂層が被着体側となるように重ね合わせて積層体とし、該積層体を、ロール温度40℃、圧力0.49MPa、速度0.5m/minの条件で、2本ロール(表面保護フィルム側がゴムロール、被着体側が金属ロール)に通すことにより、表面保護フィルムと被着体とを圧着、貼合した。
次に、東洋精機製作所(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、300mm/minの引張速度で、貼合品の被着体と表面保護フィルムとを180度剥離し、粘着強度を測定した。
【0038】
(6)算術平均粗さ(Ra)(単位:μm)
金属ロールの算術平均粗さをJIS B0601−1994に規定された方法に従って測定した。
【0039】
(7)フィッシュアイ(単位:個/m2
表面保護フィルムから、A4大の試験片を6枚切り出した。直径0.3mm以上のフィッシュアイを目視によって検出し、1m2あたりのフィッシュアイ数を計算した。
【0040】
(8)透明性(HAZE)(単位:%)
ASTM D1003に規定された方法に従った。この値が小さいほど透明性が高いことを示す。
【0041】
実施例1
溶融押出フィルムとして高圧法低密度ポリエチレン樹脂[住友化学(株)製スミカセン L705(MFR=7g/10min、密度=919kg/m3)]をφ65mmの押出機により溶融混練してTダイから押し出し、押し出し直後の溶融ポリエチレン樹脂フィルムを基材[二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製東洋紡エステルフィルムE5100)厚み=50μm]に押出コーティングし、算術平均粗さ0.1μmの金属冷却ロールとシリコンゴム(硬度:80)製押付ロールにより、溶融ポリエチレン樹脂フィルムと基材とを押付ロール線圧19.6kN/mで圧着することにより表面保護フィルムを得た。なお、基材を巻出し後、溶融樹脂フィルムと圧着する直前に溶融樹脂フィルムと圧着される面を出力4kWでコロナ放電処理を行った。
押出コーティング加工において、ダイ直下の溶融樹脂温度は310℃、エアーギャップは160mm、フィルム幅は500mm、コーティング厚みは25μm、引取速度は80m/minとした。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例2
算術平均粗さが1.0μmの金属冷却ロールを用いる以外は実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例3
溶融押出フィルムとしてエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂[住友化学(株)製スミカセンHiα FW401−0(MFR=4.8g/10min、密度=923kg/m3)]を用い、ダイ直下の溶融樹脂温度を324℃とした以外は、実施例1と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表1に示す
【0044】
実施例4
算術表面粗さが1.0μmの金属冷却ロールを用いる以外は実施例3と同様の方法で表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例5
溶融押出フィルムとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂[住友化学(株)製エバテート D3021(MFR=7g/10min、酢ビ含量=6%)]を用い、ダイ直下の溶融樹脂温度を240℃とし、基材の厚みを16μmにした以外は、実施例2と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0047】
実施例6
溶融押出フィルムとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂[住友化学(株)製エバテート D3010(MFR=6g/10min、酢ビ含量=10%)]を用いた以外は、実施例5と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0048】
実施例7
溶融押出フィルムとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂[住友化学(株)製エバテート H3011(MFR=6g/10min、酢ビ含量=15%)]を用いた以外は、実施例5と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0049】
実施例8
ダイ直下の溶融樹脂温度を260℃とした以外は、実施例6と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
実施例9
ロール線圧を16.5kN/m、ダイ直下の溶融樹脂温度を316℃、基材の厚みを16μmにした以外は、実施例4と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表3に示す。
【0052】
実施例10
ロール線圧を20.7kN/mにした以外は、実施例9と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表3に示す。
【0053】
実施例11
ロール線圧を24.8kN/mにした以外は、実施例9と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表3に示す。
【0054】
実施例12
ロール線圧を31.0kN/mにした以外は、実施例9と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表3に示す。
【0055】
【表3】

比較例1
ロール線圧を12.0kN/mにした以外は、実施例9と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表4に示す。
【0056】
比較例2
ロール線圧を14.5kN/mにした以外は、実施例9と同様に行った。得られた表面保護フィルムの物性評価結果を表4に示す。
【0057】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を溶融押し出しして溶融フィルムをなし、次いで、該溶融フィルムを基材に押出コーティングして多層フィルムとし、該多層フィルムの溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層側の表面を金属ロールで、該基材層側の表面を押付ロールで押し付け、溶融ポリオレフィン系樹脂フィルム層と基材層とを圧着する表面保護フィルムの製造方法であって、金属ロールと押付ロールとで多層フィルムを押し付ける押付ロール線圧を16〜35kN/mとすることを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン樹脂である請求項1に記載の表面保護フィルムの製造方法。
【請求項3】
基材がポリエステル系樹脂である請求項1または2に記載の表面保護フィルムの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造される表面保護フィルム。

【公開番号】特開2008−105411(P2008−105411A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248725(P2007−248725)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】