説明

表面処理された金属酸化物粒子

本発明は、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子、その製造方法およびそれを含むトナーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
疎水性金属酸化物は、高度の分散性を必要とする、数多くの用途に有用である物理的性質を有する。いくつかの疎水性金属酸化物粒子は、トナー用組成物における使用に望ましい物理的性質を有する。
【背景技術】
【0002】
未処理の金属酸化物粒子は、未処理のシリカ粒子の表面上の、ヒドロキシル基(−OH)のような極性基の存在により親水性である。親水性金属酸化物粒子を処理することにより、粒子の親水性の性質は減少され、それにより粒子の疎水性の変動する程度を付与する。多くの異なる方法が金属酸化物粒子の表面を処理するために知られている。しかし、金属酸化物粒子の水性分散体の直接処理は達成するのに不十分か困難であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、付加的な、処理された金属酸化物粒子、特にトナー粒子の電荷を変更するのに有用な粒子、ならびに疎水性金属酸化物粒子を処理する付加的な方法、特に水性分散体から直接に疎水性金属酸化物粒子を調製するのに用いられ得る方法、に対する要望は残っている。しかし、このような粒子のすべてが、いくつかの用途に要求される電荷調節特性を与えるというわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子を含む粒子組成物を提供し、金属酸化物粒子は疎水性であり、一次凝集しておらず、そしてタップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である。
【0005】
さらに、本発明は、トナー粒子および少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物を提供し、金属酸化物粒子は疎水性であり、一次凝集しておらず、そしてタップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である。
【0006】
さらに、本発明は、(a)親水性金属酸化物粒子の水性分散体を得ること、(b)その分散体を少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にして反応混合物を得、ここでその反応混合物は塩基性であること、ならびに(c)反応混合物を乾燥して、タップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である疎水性金属酸化物粒子を得ること、を含む疎水性金属酸化物粒子の製造方法を提供する。
【0007】
さらに、本発明は、(a)一次凝集していない、親水性金属酸化物粒子の水性分散体を得ること、(b)その分散体を少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にして反応混合物を得、ここでその反応混合物は塩基性であること、(c)反応混合物を乾燥して疎水性金属酸化物粒子を得ること、ならびに(d)ジェットミルまたはハンマーミルにより疎水性金属酸化物粒子の二次凝集径を減少させること、を含む疎水性金属酸化物粒子の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】未処理シリカ粒子およびOTES(オクチルトリエトキシシラン)で処理されたシリカ粒子のNMRスペクトルを示す。
【図2】粒径分布(v/v%粒子)対ジェットミルされ、OTES(オクチルトリエトキシシラン)で処理されたシリカ粒子、およびジェットミルされておらず、OTESで処理されたシリカ粒子、についての粒径のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子を含む粒子組成物を提供し、金属酸化物は疎水性であり、一次凝集しておらず、そしてタップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である。本発明粒子は、トナー粒子を含む組成物に利用され得る。本発明の疎水性金属酸化物粒子の製造方法は、(a)親水性金属酸化物粒子の水性分散体を得ること、(b)その分散体を少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にして反応混合物を得、ここでその反応混合物は塩基性であること、ならびに(c)反応混合物を乾燥して、疎水性金属酸化物粒子を得ること、を含む。得られる疎水性金属酸化物粒子は、タップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満であり、および/または疎水性金属酸化物粒子の平均径を減少させる、付加的ステップをさらに含み得る。
【0010】
ここでその用語が用いられる、「疎水性」金属酸化物粒子は、疎水性の変動レベルまたは程度を含む。金属酸化物粒子に付与される疎水性の程度は、使用される処理剤の程度および量に依存して変動する。本発明による疎水性金属酸化物粒子は、約25%以上の(たとえば、約35%以上、約45%以上または約50%以上)、利用し得る金属酸化物表面の、反応されるヒドロキシル基を有するのが好ましいが、必ずしも限定されない。通常、本発明による疎水性金属酸化物粒子は、約85%以下の(たとえば、約75%以下または約65%以下)、利用し得る金属酸化物表面の、反応されるヒドロキシル基を有する。
【0011】
金属酸化物粒子は、シリカ、アルミナ、セリアまたはチタニアのような、いかなる適切な種類の金属酸化物粒子も含み得る。好適には、金属酸化物粒子は、コロイドシリカ粒子のような、コロイド金属酸化物粒子である。コロイド金属酸化物粒子は、一次凝集しておらず、個別に離散した粒子であり、一般的に形状が球形状またはほとんど球形状であるが、他の形状(たとえば、楕円形、正方形または四角形の断面を持つ形状)を有し得る。このような粒子は、一次凝集した一次粒子の鎖様構造である、フュームまたは熱で調製された粒子とは構造的に異なる。
【0012】
本発明に従って表面処理された金属酸化物粒子を得るために処理され得る、一次凝集されていない金属酸化物(たとえばコロイド金属酸化物)は、商業的に入手し得、または種々の出発材料から公知の方法により調製され得る(たとえば、湿式法型の金属酸化物)。シリカ粒子は、pH約9〜約11を有するアルカリシリケート溶液に由来するケイ酸から調製され得、そこではシリケートイオンは重合して、水性分散体の形態で、望ましい平均粒径を有する離散シリカ粒子を生成する。通常、コロイド金属酸化物出発材料はゾルとして利用し得、それは適切な溶媒中、最も多くは水単独で、または共溶媒および/または安定化剤とともに、コロイド金属酸化物の分散体である。たとえば、Akitoshi Yoshida, Silica Nucleation, Polimerization,and Growth Preparation of Monodispersed Sols, in Colloidal Silica Fundamentals and Applications 47-56(H.E. Bergna & W.O.Roberts, ends., 2006)参照.本発明に用いられるのに適した、商業的に入手し得るコロイドシリカの非制限的な例は、日産化学からのSNOWTEX(登録商標)製品、Nyacol Nanotechnologies,Inc.,から入手し得る NexSil(商標) およびNexSil A(商標)シリーズ製品、ならびに H.C. Starckから入手し得る Lavasil(登録商標)製品を含む。
【0013】
処理された金属酸化物粒子が調製され得るコロイドシリカは、コロイドシリカが製造されまたは分散体中で安定化された方法の結果として、アルカリ金属カチオンを含むことが多い。そのアルカリ金属カチオンは、粒子の内部ならびに粒子の表面の両方に存在し得る。「遊離アルカリ金属カチオン」は、コロイドシリカの分散体水性相中で安定化された、または金属酸化物粒子の表面に存在するアルカリ金属カチオンをいい、金属酸化物粒子の内部に結合され、または取り込まれ得、したがって水性相に接近できないようなアルカリ金属カチオンではない。アルカリ金属カチオンは、ナトリウム、カリウム、または他のI族金属カチオンであり得る。
【0014】
シリカである金属酸化物分散体の遊離アルカリ金属カチオン含量は、たとえば水性コロイド分散体を両性イオン交換樹脂で処理することにより、減少され得る。あるいは、またはそれに加えて、シリカの塩基安定化された分散体の遊離アルカリ金属カチオン含量は、限外ろ過、たとえば透析および膜分離(difiltration)を用いて減少され得る。さらに、遊離アルカリ金属カチオン含量の減少は、分散体のpHを減少させ得る。所望ならば、アミンまたは水酸化アンモニウム(NHOH)の添加によりアルカリ金属含量を増加させることなく、そのpHが調節される。この点について、さらに、出発材料として金属酸化物のアンモニウム安定化水性分散体を用いることにより、本発明の好適な態様にしたがって、分散体のアルカリ金属カチオン含量を減少させる必要性を避けることができる。
【0015】
金属酸化物の水性分散体の遊離アルカリ金属カチオン含量の減少は、望まれる限度まで、少なくとも1つのアルコキシシランが金属酸化物の水性分散体に添加される前に、または添加された後に、いつでも実施され得る。たとえば、その遊離アルカリ金属カチオン減少処理(たとえば、イオン交換、限外ろ過等)は、金属酸化物分散体の製造方法の一部として実施され得、または本発明で使用される前に(たとえば使用前の約1時間もしくはそれ未満、または使用前の約1日もしくはそれ未満、または使用前の1週間もしくはそれ未満)、商業的に入手し得る金属酸化物水性分散体について実施され得る。
【0016】
あるいは、このような処理は、少なくとも1つのアルコキシシランが金属酸化物粒子の分散体と一緒にされた後に、用いられ得る。代わりに、もしくはそれに加えて、遊離アルカリ金属カチオン減少処理も、たとえば乾燥され、処理された金属酸化物粒子を水中にもしくは許容し得る溶媒中に分散させ、そしてその分散体のアルカリ金属含量を減少させることにより、処理された金属酸化物粒子のアルカリ金属含量を比較的遅い時間で減少させるのに用いられ得、その後、処理された金属酸化物粒子は、適切な方法により、単離および/または乾燥され得る。
【0017】
イオン交換された水性分散体は、約1〜約7のpHを有し、約0.05%以下の遊離アルカリ金属カチオンを有するのが通常である。塩基性水性分散体は、約7〜約12のpHを有することを特徴とするのが通常である。このような分散体は、反応混合物のpHが約7以上のpHに調節されるならば、本発明粒子を調節するのに使用され得る。
【0018】
親水性金属酸化物粒子は、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で処理される。少なくとも1つのアルコキシシラン化合物は、一般式:RSi(OR4−xを有し、ここで、RはC〜C30分岐および直鎖のアルキル、アミノアルキル、アルケニル、およびアミノアルケニル、C〜C10シクロアルキル、ならびにC〜C10アリールからなる群より選ばれ、RはC〜C10分岐または直鎖のアルキル、そしてxは整数1〜3である。適切なアルコキシシラン化合物の例は、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、等を含むが、これらに限定されない。
【0019】
好適には、アルコキシシラン化合物はトリアルコキシシラン化合物である。トリアルコキシシラン化合物はいかなる適切なトリアルコキシシラン化合物であってもよい。たとえば、トリアルコキシシラン化合物は、式:RSi(ORを有し、ここで、RはC〜C30分岐および直鎖のアルキル、アミノアルキル、アルケニル、およびアミノアルケニル、ならびにC〜C10シクロアルキルからなる群より選ばれ、RはC〜C10分岐または直鎖のアルキルである。好適には、トリアルコキシシラン化合物は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。もっと好適には、トリアルコキシシラン化合物は、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノブチルトリエトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0020】
金属酸化物粒子は、1つより多いアルコキシシラン化合物(たとえば、少なくとも2つのアルコキシシラン化合物、または少なくとも3つのアルコキシシラン化合物)で処理され得る。たとえば、金属酸化物粒子は、オクチルトリエトキシシランまたは3−アミノプロピルトリエトキシシランで処理され得る。
【0021】
疎水性金属酸化物粒子は、約300g/Lより小さいポア(pour)密度を有する。通常、金属酸化物粒子は、約50g/L以上のポア密度(たとえば、約60g/L以上、約70g/L以上、約80g/L以上、約90g/L以上、または約100g/L以上)を有する。金属酸化物粒子のポア密度は、通常、約280g/L以下、さらには約270g/L以下(たとえば、約250g/L以下、約240g/L以下、約230g/L以下、約220g/L以下、または約210g/L以下)である。好適には、金属酸化物粒子のポア密度は、約20g/L〜約300g/L、そしてもっと好適には約30g/L〜約300g/L(たとえば、約50g/L〜約300g/L、約75g/L〜約300g/L、約80g/L〜約280g/L、約100g/L〜約300g/L、または約100g/L〜約280g/L)である。
【0022】
通常、金属酸化物粒子は、約75g/L以上、または約100g/L以上のタップ密度を有する。金属酸化物粒子のタップ密度は、通常、約450g/L以下、さらには約420g/L以下(たとえば、約400g/L以下、約380g/L以下、約350g/L以下、約320g/L以下、約300g/L以下、約280g/L以下、約250g/L以下、約230g/L以下、約210g/L以下、または約180g/L以下)である。好適には、金属酸化物粒子のタップ密度は、約50g/L〜約420g/L、約75g/L〜約400g/L、約80g/L〜約380g/L、約110g/L〜約420g/L、または約150g/L〜約400g/Lである。金属酸化物粒子のタップ密度は、タップ体積計および次式:タップ密度(g /L)=(処理される金属酸化物粒子の質量g)×(1000/(処理される金属酸化物粒子の体積mL))を用いて測定され得る。タップ密度に対するポア密度の比は約0.7である。いかなる適切な数のタップもタップ体積計により計られ得る。好適には、タップ体積計は、処理される金属酸化物粒子試料の約300タップ以上(たとえば約600タップ以上、約1250タップ以上、または約3000タップ以上)を計る。ここで記載される、すべてのタップ密度は、特に異なる指摘がない限り、約3000タップが計られた後に、測定された。
【0023】
疎水性金属酸化物粒子は約200m/gより小さいBET表面積を有する(BETと一般的にいわれる、S.Brunauer, P.H.Emmet and I.Teller, J.Am.Chemical Society, 60,309(1938)の方法により測定された)。通常、金属酸化物粒子は約10m/g以上のBET表面積を有する(たとえば、約20m/g以上、約30m/g以上、約40m/g以上、約50m/g以上、または約60m/g以上、)。金属酸化物粒子のBET表面積は、通常、約180m/g以下、さらには約160m/g以下、である(たとえば、約140m/g以下、約120m/g以下、約100m/g以下、約80m/g以下、約70m/g以下、または約50m/g以下)。好適には、金属酸化物粒子のBET表面積は、約10m/g〜約200m/g、そしてもっと好適には約20m/g〜約180m/gである(たとえば、約20m/g〜約160m/g、約20m/g〜約140m/g、約20m/g〜約130m/g、約20m/g〜約120m/g、または約20m/g〜約100m/g)。
【0024】
処理された金属酸化物粒子は、いかなる適切な平均非二次凝集粒径も有し得る。その粒径は、非二次凝集粒子を囲む最小球の直径をいう。二次凝集粒子(アグロメレート)は、通常ファンデルワールス力により互いにゆるく付着された、いくつかの一次(primary)粒子からなる。これは一次凝集粒子(アグリゲート)と対照的であり、そこでは粒子が焼結する場合のように、一次粒子間の結合は比較的強い。その結果、解二次凝集は、アグロメレートに対して容易に達成され得る。たとえば、トナー粒子を有する、処理された金属酸化物粒子の分散体(乾式分散体)、または高速撹拌または音波処理を用いる、適切な液体(たとえばテトラヒドロフラン(THF))中の、処理された金属酸化物粒子の分散体は、二次凝集を戻すのに用いられ得る。しかし、有意の程度に一次凝集を戻すことは、かなり困難であるか、不可能でさえある。非二次凝集疎水性金属酸化物粒子の平均径は、たとえば約1μmより小さくてもよい(たとえば、約0.8μm以下、約0.7μm以下、約0.5μm以下、または約0.3μm以下、)。非二次凝集疎水性金属酸化物粒子の平均径は、約0.01μm以上であり得る(たとえば、約0.05μm以上、約0.1μm以上、約0.2μm以上、または約0.3μm以上)。非二次凝集疎水性金属酸化物粒子の平均径は、たとえば約0.01μm〜約5μmであり得る(たとえば、約0.05μm〜約3μm、約0.1μm〜約1μm、約0.2μm〜約0.8μm、または約0.3μm〜約0.6μm)。
【0025】
親水性金属酸化物粒子は、いかなる適切な真密度も有し得る。通常、金属酸化物粒子は約1.5g/cm以上の真密度を有する(たとえば、約1.6g/cm以上、約1.7g/cm以上、約1.8g/cm以上、約1.9g/cm以上、または約2g/cm以上)。金属酸化物粒子の真密度は、通常、約5g/cm以下、さらには約4g/cm以下である(たとえば、約3.5g/cm以下、約3g/cm以下、約2.8g/cm以下、または約2.5g/cm以下)。好適には、金属酸化物粒子の真密度は、約0.1g/cm〜約5g/cm、そしてもっと好適には約0.5g/cm〜約4g/cmである(たとえば、約1g/cm〜約3.5g/cm、約1.5g/cm〜約3g/cm、約1.8g/cm〜約2.8g/cm、約2g/cm〜約2.5g/cm、または約2.2g/cm〜約2.4g/cm)。
【0026】
親水性金属酸化物粒子のアルコキシシラン表面処理は、金属酸化物粒子表面に付着された、または金属酸化物粒子表面に間接的に付着された、置換ケイ素原子の種々のパターンを生じさせる。これらの置換パターンはMサイト、Dサイト、およびTサイトとして、文献に言及されている。たとえば、Sindorf, Dean William, “Silicon-29 and Carbon-13 CP/MAS NMR Studies of Silica Gel and Bonded Silane Phases,”Department of Chemistry, Colorado State University, Fort Collins, Colorado, 1982 を参照されたい。CP/MAS29Si NMRスペクトルにおける共鳴信号に対するMサイト、Dサイト、およびTサイトの相関は、Maciel, G., Sindorf, D.W., J.Am. Chem. Soc., 102:7607-7608(1980), Sindorf, D.W.,Maciel, G., J. Phys. Chem., 86:5208-5219(1982)およびSindorf, D.W.,Maciel, G., J.Am. Chem. Soc., 105:3767-3776(1983)において検討されている。
【0027】
特に、本発明の1つの態様による、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物での親水性金属酸化物粒子の表面処理は、T2およびT3サイトといわれる置換パターンを主に有する金属酸化物粒子を与える。ここで用いられるように、T2サイトは、さらにケイ素原子に結合された酸素原子への2つの結合を持つアルコキシシラン化合物に由来するケイ素原子に相当し、少なくともその1つは金属酸化物粒子表面にあり、シラノール(Si-OH)基を含む酸素原子への1つの結合、および炭素原子への1つの結合である。T2サイトは、式(I):R-Si(OH)-(OSI-P1)(OSiP2)により表され、ここでR基は、ここで定義されるように、アルコキシシラン化合物であり、P1およびPは、独立して、粒子表面上のケイ素原子および/またはもう1つのシラン含有分子のケイ素原子、への結合を示す。T2サイトに相当するSi原子は、CP/MAS29Si NMRスペクトルにおける−56ppm〜−59ppmの範囲の化学シフトを有する共鳴信号と相関し、そこでその化学シフトppmは標準テトラメチルシランに関して測定される。
【0028】
ここで用いられるように、T3サイトは、さらにケイ素原子に結合された酸素原子への3つの結合を持つアルコキシシラン化合物に由来するケイ素原子に相当する。そのケイ素原子の少なくとも1つは粒子上のケイ素原子である。そのサイトは、式(II):R-Si(OSI-P1)(OSi-P2) (OSi-P)により表され、ここでR基は、ここで定義されるように、アルコキシシラン化合物であり、P1、P、およびPは、独立して、粒子表面上のケイ素原子および/またはもう1つのシラン含有分子のケイ素原子、への結合を示す。T3サイトに相当するSi原子は、CP/MAS29Si NMRスペクトルにおける−65ppm〜−69ppmの範囲の化学シフトを有する共鳴信号と相関し、そこでその化学シフトppmは標準テトラメチルシランに関して測定される。
【0029】
ここで定義されるように、T2は、−56ppm〜−59ppmの範囲内に中心があるCP/MAS29Si NMRスペクトルにおける化学シフトを有するピークの面積強度である。T3は、−65ppm〜−69ppmの範囲内に中心があるCP/MAS29Si NMRスペクトルにおける化学シフトを有するピークの面積強度である。ピークの強度は、当業者によく知られている標準検定法を用いて計算された、引用範囲で生じるピークの近似位置における信号の最大ピーク高さ、またはピークの面積をいう。
【0030】
疎水性金属酸化物粒子は、ピークの面積領域に基づいてT2に対するT3比(すなわち、T3:T2)が約1.5以上(たとえば、約2以上、約2.5以上、約3以上、または約3.5以上)であるのが好適であり、T2およびT3はここで定義されるとおりである。
【0031】
疎水性金属酸化物粒子は、疎水性金属酸化物粒子を含む、乾燥粒子組成物(たとえば乾燥した粉末)または湿った粒子組成物(たとえば分散体)として調合され得る。分散体は、いかなる適切な分散剤も含み得、好適には、それは水単独、または共溶媒、処理剤もしくは疎水性金属酸化物粒子の分散体に一般的に使用される種類の添加剤、と水との併用である。
【0032】
疎水性金属酸化物粒子は、トナー組成物、アンチブロッキング剤、接着調節剤、ポリマー添加剤(たとえば、エラストマーおよびシリコーンゴムのようなゴム用)、耐摩耗被覆および膜、つや消し被覆および膜、レオロジー調節剤(たとえば、エポキシまたは液体ポリマー用)、および機械的/光学的調節剤(たとえば、複合体およびプラスチックス用)を含む(これらに限定されない)、多くの異なる用途に使用され得る。疎水性金属酸化物粒子は、トナー組成物に特に有利である。それに関して、本発明は、トナー粒子および少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物を提供し、金属酸化物粒子は疎水性であり、一次凝集しておらず、そしてタップ密度が約110g/L、〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g以下である。
【0033】
トナー組成物に用いられる疎水性金属酸化物粒子のすべての態様は、本発明の粒子組成物に関して記載されるとおりである。
【0034】
処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の摩擦帯電は、正でも負でもよい。本発明の処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の摩擦帯電は、処理された粒子の存在により影響される。特定の理論に拘束されるわけではないが、処理された金属酸化物粒子の存在は、金属酸化物粒子を含むトナー組成物の正もしくは負の摩擦帯電を安定化し、増加させると考えられる。
【0035】
処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物は、たとえば4wt%の処理された粒子を、外部添加剤がなく、平均粒径が9μmである粉末スチレンアクリレートトナー粒子と、実験室ブレンダーで混合することにより、調合され得る。処理された粒子を含むトナー組成物は、たとえばガラスジャー内でトナー/キャリア比2/98で、30分間回転することにより、調製され得る。キャリアは、シリコーン樹脂で被覆された70μmのCu-Znフェライトであり得る。試料は、高湿度および高温度(30℃および相対湿度80%)または低湿度および低温度(18℃および相対湿度15%)で夜通し、標準的な湿度チャンバー内で調節され得る。
【0036】
処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の摩擦帯電は、正でも負でもよい。摩擦帯電測定は、この分野で知られる適切な方法および装置を用いて実施され得る(たとえば、Vertex T-50 トリボチャージャー)。測定は、30℃および相対湿度80%(HH)ならびに18℃および相対湿度15%(LL)で夜通し、標準的な湿度チャンバー内でトナー粒子を調節した後に、実施され得る。トナー粒子(たとえば、約4wt%の処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の)は、好適には、HH条件で約-40μC/g〜約+15μC/g(たとえば、約-40μC/g〜約-20μC/g、約-40μC/g〜約0μC/g、約-5μC/g〜約+10μC/g、約0μC/g〜約+5μC/g、または+5μC/g〜約+10μC/g)の摩擦帯電を有する。
【0037】
トナー粒子は、好適には、LL条件で約-100μC/g〜約+25μC/g(たとえば、約-80μC/g〜約-50μC/g、約-80μC/g〜約0μC/g、約-5μC/g〜約+10μC/g、約+5μC/g〜約+35μC/g、または+10μC/g〜約+25μC/g)の摩擦帯電を有する。
【0038】
本発明の処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の自由流動は、処理された粒子の存在により影響される。特定の理論に拘束されるわけではないが、処理された金属酸化物粒子、特にジェットミルされた粒子、の存在は、処理された粒子の比較的低いタップおよびポア密度により、金属酸化物粒子を含むトナー組成物の自由流動を改善すると考えられる。本発明の関係において、自由流動は、7つの0.5mm排出孔を有し、25mm径と350mm長さの、接地された金属ロール管から排出されるトナーの%であり、40gのトナー組成物を含み、1分間に30rpmで合計30回転される。そのトナー組成物は、約0.5wt%損失以上(たとえば、約1wt%損失以上、約1.5wt%損失以上、約2wt%損失以上、または約3.5wt%損失以上)の自由流動を有し得る。そのトナー組成物の自由流動は、約8wt%損失以下(たとえば、約6wt%損失以下、約5wt%損失以下、約4wt%損失以下、または約3wt%損失以下)である。好適には、そのトナー組成物の自由流動は、約0.5wt%損失〜約8wt%損失(たとえば、約1wt%損失〜約6wt%損失、約1.5wt%損失〜約5wt%損失、または約2wt%損失〜約4.5wt%損失)である。
【0039】
アルコキシシラン化合物で処理される親水性金属酸化物粒子は、水性分散体である。好ましくは、金属酸化物粒子の水性分散体は、コロイド安定である。分散体のコロイド安定性は、粒子の実質的部分を不可逆的に二次凝集またはゲル化すること、または使用中に分散体が沈降すること、を防止する。本発明において使用される金属酸化物粒子の水性分散体は、動的光散乱により測定され、分散体中のシリカ平均粒径が、1時間以上(たとえば、約8時間以上、または約24時間以上)にわたって、もっと好ましくは2週間以上(たとえば、約4週間以上、または約6週間以上)にわたって、最も好ましくは8週間以上(たとえば、約10週間以上、または約12週間以上)にわたって、または約16週間以上でさえ、変化しないような程度のコロイド安定性を有するのが好適である。
【0040】
本発明は、(a)親水性金属酸化物粒子の水性分散体を得ること、(b)その分散体を少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にして反応混合物を得、ここでその反応混合物は塩基性であること、ならびに(c)反応混合物を乾燥して、疎水性金属酸化物粒子を得ること、を含む疎水性金属酸化物粒子の製造方法を提供する。本発明の1つの態様によれば、疎水性金属酸化物粒子は、タップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である。本発明のもう1つの態様によれば、疎水性金属酸化物粒子の二次凝集径はジェットミルまたはハンマーミルにより減少され得る。
【0041】
疎水性金属酸化物粒子を含む水性分散体は、ここに記載されるような、商業的に入手し得る金属酸化物分散体であり得る。あるいは、水性分散体は、適切な方法で調製され得る。1つの態様において、金属酸化物粒子は、金属酸化物を水および水溶性有機溶媒と混合することによるような、湿式法で調製され得る。水溶性有機溶媒は、いかなる適切な水溶性有機溶媒であってもよく、たとえばアルコール(たとえば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2−プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコール)、ケトン(たとえば、アセトンおよび2−ブタノン)、エーテル(たとえば、テトラヒドロフランおよび1,2−ジメトキシエタン)、およびそれらの組み合わせである。水および水溶性有機溶媒はいかなる順序で添加されてもよい。たとえば、水溶性有機溶媒の前に、水が添加され得、またはその逆である。特定の理論に拘束されるものではないが、水溶性有機溶媒の前に、水を添加することは、分散体をゲル化から防止すると考えられる。通常、その反応混合物は、50wt%以下の有機溶媒を含み、好適には40wt%以下の有機溶媒を含む。
【0042】
水に対する水溶性有機溶媒の体積比は、いかなる適切な比であってもよい。通常、その比は、約10未満である(たとえば、約8以下、約6以下、約5以下、約3以下、または約2以下)。その比は、約0.05以上である(たとえば、約0.1以上、約0.5以上、約0.7以上、約1以上、または約1.2以上、)。その比は、たとえば、約0.05〜約10である(たとえば、約0.1〜約5、または約0.2〜約2)。
【0043】
親水性金属酸化物粒子を含む水性分散体は、いかなる適切な量の金属酸化物粒子を含み得る。通常、水性分散体は、約30wt%以下(たとえば、約25wt%以下、約20wt%以下、約15wt%以下、約10wt%以下、または約5wt%以下)の金属酸化物粒子を含む。水性分散体は、約5wt%以上(たとえば、約10wt%以上、約15wt%以上、約20wt%以上、約25wt%以上、または約30wt%以上)の金属酸化物粒子を含み得る。このように、水性分散体は、たとえば、約5wt%〜約30wt%(たとえば、約10wt%〜約25wt%または約15wt%〜約20wt%)の金属酸化物粒子を含み得る。
【0044】
親水性金属酸化物粒子を含む水性分散体は、適切な方法で、少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にされ得、反応混合物を得る。分散体は酸性または塩基性であり得、分散体のpHは少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤の添加により変更され得る。
【0045】
親水性金属酸化物粒子を含む水性分散体に添加される、少なくとも1つのアルコキシシラン化合物の量は、いかなる適切な量であってもよい。その少なくとも1つのアルコキシシラン化合物の量は、通常、約50μmole/m2金属酸化物粒子未満(たとえば、約25μmole/m2金属酸化物粒子以下、約15μmole/m2金属酸化物粒子以下、約10μmole/m2金属酸化物粒子以下、または約5μmole/m2金属酸化物粒子以下)である。その少なくとも1つのアルコキシシラン化合物の量は、約0.1μmole/m2金属酸化物粒子以上(たとえば、約0.5μmole/m2金属酸化物粒子以上、約1μmole/m2金属酸化物粒子以上、または約2μmole/m2金属酸化物粒子以上)であり得る。このように、その少なくとも1つのアルコキシシラン化合物の量は、約0.1μmole/m2金属酸化物粒子〜約50μmole/m2金属酸化物粒子(たとえば、約0.5μmole/m2金属酸化物粒子〜約25μmole/m2金属酸化物粒子、または約2μmole/m2金属酸化物粒子〜約15μmole/m2金属酸化物粒子)である。
【0046】
水性分散体のpHは、少なくとも1つのアルコキシシランが添加される前は、いかなる適切なpHであってもよい。出発分散体が酸性、塩基性または中性であるか否かにかかわらず、反応混合物は塩基性pHを有するべきであり、すなわちpHは約7以上である(たとえば、約8以上、約9以上、約10以上、約11以上、または約12以上)。通常、反応混合物のpHは、約7〜約12である(たとえば、約8〜約11、約9〜約10.5、または約9.5〜約10.5)。
【0047】
金属酸化物粒子を含む水性媒体とアルコキシシラン化合物の間の反応は、アルコキシシラン化合物が金属酸化物粒子を含む水性媒体と、完全にまたは所望の程度に反応することができる、いかなる温度および時間でも生じ得る。通常、反応混合物は、約20℃〜約100℃(たとえば、約30℃〜約70℃、または約45℃〜約75℃)で、約5分間以上(たとえば、約30分間以上、または約1時間以上)、または2時間以上(たとえば、約3時間以上、または約4時間以上)、保持される。比較的長い反応時間(たとえば、約5時間以上、10時間以上、または約20時間以上)は、特定の反応条件(たとえば、温度および試薬濃度)に依存して要求され得る。 追加のアルコキシシラン、シラザンまたは他の処理剤は、第1のアルコキシシラン化合物の添加の前または後に、いかなる適切なときに添加され得る(たとえば、第2、第3、または第4のアルコキシシラン、シラザンまたは処理剤)。もう1つの処理剤の添加後に、反応混合物の温度は、追加のアルコキシシラン化合物が金属酸化物粒子を含む水性媒体と、完全にまたは所望の程度に反応することができる、適切な時間に対する適切な温度に調節され得る。
【0048】
好適には、疎水性金属酸化物粒子を含む反応混合物は、乾燥され、粉末を形成する。反応混合物の乾燥は、適切な方法で行われ得る。たとえば、スプレー乾燥は疎水性金属酸化物粒子を乾燥するのに用いられ得る。スプレー乾燥は、疎水性金属酸化物粒子を含む反応混合物またはその一部を、微細なミストとして乾燥チャンバー内にスプレーすることからなり、その微細なミストは熱い空気と接触され、反応混合物の揮発性成分の蒸発を引き起こさせる。熱い空気のために選ばれる温度は、蒸発を必要とする反応混合物の特定成分に、少なくとも一部は依存する。通常、乾燥温度は、約40℃以上(たとえば、約50℃以上)であり、たとえば約70℃以上(たとえば、約80℃以上)、または約120℃以上(たとえば、約130℃以上)が挙げられる。このように、通常、乾燥温度は、約40℃〜250℃の範囲内(たとえば、約50℃〜200℃)であり得、たとえば約60℃〜200℃(たとえば、約70℃〜175℃)、または約80℃〜150℃(たとえば、約90℃〜130℃)である。
【0049】
疎水性金属酸化物粒子は乾燥前に反応混合物から単離され得、または疎水性金属酸化物粒子は疎水性金属酸化物粒子から直接に乾燥され得る。いかなる適切な方法も、反応混合物から疎水性金属酸化物粒子を単離するのに使用され得る。適切な方法は、ろ過および遠心分離を含む。
【0050】
疎水性金属酸化物粒子は、乾燥前に反応混合物から単離後に、または反応混合物から直接に、適切な方法、たとえば疎水性金属酸化物粒子から反応混合物の揮発性成分を蒸発させることにより、乾燥され得る。反応混合物の揮発性成分の蒸発は、いかなる適切な方法、たとえば熱および/または減圧、を用いて達成され得る。熱が使用されるとき、疎水性金属酸化物粒子は、たとえば炉または他の類似の装置を用いて、適切な乾燥温度に加熱され得る。その温度は、本発明のスプレー乾燥の態様に関して述べられているとおりであり得る。
【0051】
疎水性金属酸化物粒子は、有用な蒸発速度を与えるいかなる圧力でも乾燥され得る。約120℃以上(たとえば、約120〜150℃)の乾燥温度が用いられるとき、約125kPa以下(たとえば約75〜125kPa)の乾燥圧力が望ましい。約120℃未満(たとえば、約40〜120℃)の乾燥温度で、約100kPa以下(たとえば約75kPa以下)の乾燥圧力が望ましい。もちろん、減圧(たとえば、約100kPa以下、約75kPa以下、または約50kPa以下の圧力)は、反応混合物の揮発性成分を蒸発させるための単独の方法として使用され得る。
【0052】
あるいは、疎水性金属酸化物粒子は、凍結乾燥により乾燥され得、反応混合物の揮発性成分は固相に転換され、ついで真空の適用により気相に転換され得る。たとえば、疎水性金属酸化物粒子を含む反応混合物は、適切な温度(たとえば、約−20℃以下、または約−10℃以下、または約−5℃以下、)にされ、反応混合物の揮発性成分を凍らせ、そしてこれらの反応混合物の揮発性成分を蒸発させて乾燥した疎水性金属酸化物粒子を与えるために、真空が適用される。
【0053】
疎水性金属酸化物粒子は、単離および/または反応混合物からの乾燥の前または後に洗浄され得る。疎水性金属酸化物粒子の洗浄は、適切な洗浄溶媒、たとえば水、水と混和し得る有機溶媒、水と混和しない溶媒、またはそれらの混合物、を用いて実施され得る。その洗浄溶媒は、反応混合物に添加され得、そして得られる混合物は適切に混合され、ついでろ過、遠心分離、または乾燥して、洗浄された疎水性金属酸化物粒子を単離する。あるいは、その疎水性金属酸化物粒子は、洗浄前に反応混合物から単離され得る。洗浄された疎水性金属酸化物粒子は、さらに追加の洗浄ステップで洗浄され得、ついでろ過、遠心分離、および/または乾燥ステップに送られる。
【0054】
疎水性金属酸化物粒子は、最初の分散体における金属酸化物粒子の全体的粒径に、少なくとも一部は依存する全体的粒径を有する。疎水性金属酸化物粒子の平均全体的粒径は、いかなる適切な方法でも測定され得、その多くの方法は、動的光散乱のようにこの分野で知られている。本発明方法により調製された、疎水性金属酸化物粒子の好適な平均径は、本発明の処理された金属酸化物粒子について記載されているとおりである。望ましくは、本発明方法により調製された、疎水性で、一次凝集していない粒子の平均粒径は、最初の分散体の金属酸化物粒子の平均粒径の約50%以内、好ましくは約30%以内(たとえば、約20%以内、約15%以内、約10%以内、または約5%以内、)である。好適には、疎水性金属酸化物粒子の平均粒径は、乾燥後にさらに減少される。疎水性金属酸化物粒子の粒径および二次凝集径を減少させる適切な方法は、湿式または乾式摩砕、ハンマーミルおよびジェットミルを含むが、これらに限定されない。
【0055】
疎水性金属酸化物粒子の炭素含量は、疎水性金属酸化物粒子の処理レベルの指標として、したがってさらに疎水性の度合いの指標として、使用され得る。処理された粒子の炭素含量は、商業的に入手し得る炭素アナライザー(たとえば、Leco C-200)を用いて測定され得る。本発明により調製された疎水性金属酸化物粒子は、望ましくは炭素含量が約0.1wt%以上(たとえば、約0.2wt%以上、約0.3wt%以上、約0.4wt%以上、約0.5wt%以上、または約0.8wt%以上)である。疎水性金属酸化物粒子の炭素含量は、通常、約10wt%未満(たとえば、約8wt%以下、約7wt%以下、約6wt%以下、または約5wt%以下、)である。このように、疎水性金属酸化物粒子の炭素含量は、たとえば、約0.01wt%〜約10wt%(たとえば、約0.05wt%〜約8wt%、約0.1wt%〜約7wt%、約0.3wt%〜約7wt%、または約0.5wt%〜約6wt%)である。
【実施例】
【0056】
次の例は、本発明をさらに説明するが、もちろんその範囲を制限するように解釈されるべきではない。
例1
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0057】
反応器は、pH9.4で水性溶液中の40wt%コロイドシリカ41.6kgを充填された(SNOWTEX MP-1040, Nissan Chemical Co.)。脱イオン水2.5kgおよび2−プロパノール27kgが、そのコロイドシリカ溶液に添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。水に対する2−プロパノールの比は1.24v/vであった。
【0058】
OTES(オクチルトリエトキシシラン)1.44kgが反応混合物に添加され、そして混合物は約72℃に加熱された。OTESの添加後、混合物の撹拌は継続され、そして混合物はホモジナイザーをとおって約8時間再循環された。ついで、混合物は反応器内に保持され、そして夜通し撹拌しながら室温に冷却された。混合物は約110℃(乾燥機出口温度)の温度で次の日にスプレー乾燥された。乾燥機への入口温度は230℃であった。得られる粉末はサイクロン捕集器から捕集された。乾燥後に、粉末はジェットミルされ、包装された。
【0059】
この例に記載される、本発明粒子(ボトムスペクトル)および未処理シリカ粒子(トップスペクトル)の29Si CP/MAS NMRスペクトルスペクトルが図1に示される。スペクトルにおけるQ3およびQ4ピークの相対強度の変化は、処理されたシリカ粒子の表面に存在する単一シラノール基のいくつかがOTESと反応されることを示す。処理されたシリカのスペクトルにおけるT2およびT3ピークは、シリカ粒子の表面に固定化された、OTES分子のSi元素によるものである。T3はT2よりも約4〜5倍も強く、オクチルトリシラノールが表面によく架橋されていることを示唆する。
【0060】
この例に記載される本発明粒子の二次凝集径に対するジェットミルの効果は図に示される。図2から明らかなように、ジェットミルは有意に比較的二次凝集の少ない材料を生じさせ、トナー用途に好適である。
【0061】
抽出可能な炭素の量が、ソクスレー法を用いて、処理されたシリカ0.5〜2gをトルエン100mLで抽出し、3時間沸騰させることにより測定された。
【0062】
トナーは、4wt%の処理されたシリカ粒子を、外部添加剤がなく、平均粒径が9μmである粉末スチレンアクリレートブラックトナーと、実験室ブレンダーで混合することにより、調合された。トナー粒子の平均径は9μmであった。トナーは、ガラスジャー内でトナー/キャリア比2/98で、30分間回転することにより、調製された。キャリアは、シリコーン樹脂で被覆された70μmのCu-Znフェライトであった。試料は、高湿度および高温度(30℃および相対湿度80%)または低湿度および低温度(18℃および相対湿度15%)で夜通し、標準的な湿度チャンバー内で調節された。摩擦帯電測定は、Vertex T-50 トリボチャージャーを使用して実施された。
【0063】
自由流動は、有孔で、接地された金属ロール管を用いて、回転の際に管から排出されるトナー量を測定することにより計算された。ロール管は、25mm径と350mm長さであり、7つの0.5mm排出孔を有しており、30rpmで回転された。管への最初の充填は40gであった。
【0064】
処理されたシリカ粒子の特性は表1に示される。
【0065】
【表1】

【0066】
例2
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0067】
反応器は、pH9.4で水性溶液中の40wt%コロイドシリカ48.3kgを充填された(SNOWTEX MP-1040, Nissan Chemical Co.)。脱イオン水10.1kgおよび2−プロパノール44.7kgが、そのコロイドシリカ溶液に添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。水に対する2−プロパノールの比は1.45v/vであった。
【0068】
OTES 1.78kgが反応混合物に添加され、そして混合物は約65℃に加熱された。OTESの添加後、混合物の撹拌は継続され、そして混合物はホモジナイザーをとおって約7時間再循環された。ついで、混合物は反応器内に保持され、そして夜通し撹拌しながら室温に冷却された。混合物は約115℃(乾燥機出口温度)の温度で次の日にスプレー乾燥された。乾燥機への入口温度は230℃であった。組成物2Aはサイクロン捕集器で乾燥され、そして組成物2Aはバグハウス乾燥機で乾燥された。乾燥後に、粉末はジェットミルされ、包装された。
【0069】
抽出可能な炭素の量および摩擦帯電が、組成物2Aおよび2Bについて、例1に記載されるように測定された。ポア密度は、組成物2Aを有する、処理されたシリカ粒子試料を得、処理されたシリカ粒子を検定された容器に注ぎ、そしてそれを秤量することにより、測定された。
【0070】
処理されたシリカ粒子の特性は表2に示される。
【0071】
【表2】

【0072】
例3
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0073】
反応器(組成物3A〜3E)または3L 三つ口フラスコ(組成物3F)は、pH約9〜約10で水性溶液中の40wt%コロイドシリカを表3に示す量を充填された(SNOWTEX MP-1040, Nissan Chemical Co.)。脱イオン水および2−プロパノールが、そのコロイドシリカ溶液に添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0074】
OTES単独、またはOTESおよびAPS((3−アミノプロピル)トリエトキシシラン)が反応混合物に添加され、そして混合物は約68℃〜約72℃に加熱された。OTES単独、またはOTESおよびAPS、の添加後、混合物の撹拌は継続され、そして混合物はホモジナイザーをとおって約5〜約9時間再循環された。ついで、混合物は反応器またはフラスコ内に保持され、そして夜通し撹拌しながら室温に冷却された。混合物は約118℃〜約127℃(乾燥機出口温度)の温度で次の日にスプレー乾燥された。乾燥機への入口温度は235℃であった。乾燥後に、得られた粉末はジェットミルされ、包装された。組成物3Bおよび3Dはサイクロン捕集器で乾燥され、そして組成物3Cおよび3Eはバグハウス乾燥機で乾燥された。組成物3Fは炉で120℃で乾燥された。
【0075】
各組成物の抽出可能な炭素の量、摩擦帯電および自由流動が、例1に記載されるように測定された。組成物3Aのポア密度が、例2に記載されるように測定された。
【0076】
処理されたシリカ粒子の特性は表3に示される。
【0077】
【表3】

【0078】
例4
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0079】
オーバーヘッド撹拌モータおよび凝縮器付きの500mL三つ口丸底フラスコは、pH9.2で水性溶液中の40wt%コロイドシリカ137gを充填された(SNOWTEX MP-1040, Nissan Chemical Co.)。2−プロパノール87gが、そのコロイドシリカ溶液に添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。水に対する2−プロパノールの比は1.45v/vであった。
【0080】
OTES6.2gが反応混合物に添加され、そして混合物は約70℃に約3.5時間加熱された。ついで混合物はフラスコ内に保持され、そして室温に冷却された。混合物はパイレックス(商標)トレイに移され約120℃で乾燥された。
【0081】
得られた、処理されたシリカ粒子の摩擦帯電および自由流動が、例1に記載されるように測定された。処理されたシリカ粒子の特性は表4に示される。
【0082】
【表4】

【0083】
例5
この例は、2つの異なる種類のコロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0084】
オーバーヘッド撹拌モータおよび凝縮器付きの500mL三つ口丸底フラスコは、pH9.2で水性溶液中の40wt%コロイドシリカ100gを充填され(SNOWTEX MP-1040, Nissan Chemical Co.)、それに脱イオン水50mLおよび2−プロパノール65gが添加され、または水性溶液中の40wt%コロイドシリカ75gを充填され(NYACOL 9950, Eka Chemicals),それに脱イオン水75mLおよび2−プロパノール65gが添加された。両組成物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0085】
OTES5.8gが各反応混合物に添加された。SNOWTEXシリカを含む組成物のpHは10.1であり、そしてNYACOL 9950シリカを含む組成物のpHは9.7であった。混合物は約70℃に約5.5時間加熱された。混合物は室温に冷却され、ついで炉内で約125℃で乾燥された。乾燥された混合物はIKA A11実験室グラインダーを用いて破砕(ミル)された。
【0086】
各組成物の抽出可能な炭素含量および自由流動が、例1に記載されるように測定された。処理されたシリカ粒子の特性は表5に示される。
【0087】
【表5】

【0088】
比較例6
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0089】
オーバーヘッド撹拌モータおよび凝縮器付きの500mL三つ口丸底フラスコは、pH9.2で水性溶液中の35wt%コロイドシリカ113gを充填された(PL-8L, Fuso Co.)。そのコロイドシリカ溶液に脱イオン水37mLおよび2−プロパノール65gが添加されたが、混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0090】
OTES4.5gが反応混合物に添加された。混合物のpHは約7.5であった。混合物は約70℃に約5.5時間加熱された。混合物は室温に冷却され、ついで炉内で約125℃で乾燥された。乾燥された混合物はIKA A11実験室グラインダーを用いて摩砕された。
【0091】
得られた、処理されたシリカ粒子の抽出可能な炭素含量および自由流動が、例1に記載されるように測定された。処理されたシリカ粒子の特性は表6に示される。
【0092】
【表6】

【0093】
表6のデータから明らかなように、処理されたシリカ粒子の炭素含量は非常に低く、そしてT3:T2比は測定され得ず、処理が不成功であったことを示す。
例7
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0094】
疎水性コロイドシリカ粒子を含む、3つの異なる組成物が、ここに記載されるように調製された。反応器は、表7に示される量で、塩基性水性溶液中の40wt%コロイドシリカを充填された(Nissan Chemical Co.)。脱イオン水および2−プロパノール(IPA)が、そのコロイドシリカ溶液に表7に示される量で添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0095】
OTES が反応混合物に表7に示される量で添加され、そして混合物は約64℃に加熱された。OTESの添加後、混合物の撹拌は継続され、そして混合物はホモジナイザーをとおって約8〜9時間再循環された。ついで、混合物は反応器内に保持され、そして夜通し撹拌しながら室温に冷却された。混合物は約119℃〜約125℃(乾燥機出口温度)の温度で次の日にスプレー乾燥された。乾燥機への入口温度は235℃であった。粉末はサイクロン捕集機から捕集された。乾燥後に、粉末はジェットミルされ、包装された。
【0096】
処理されたシリカ粒子の特性は7に示される。
【0097】
【表7】

【0098】
例8
この例は、コロイドシリカをアルコキシシランで処理することによる、疎水性金属酸化物粒子の調製を示す。
【0099】
オーバーヘッド撹拌モータおよび凝縮器付きの5L三つ口丸底フラスコは、NaOHで安定化された水性溶液中の41wt%コロイドシリカ1829gを充填された(NEXSIL 86、EKA Chemical)。そのコロイドシリカ溶液に脱イオン水895gおよび2−プロパノール1136gが添加されたが、混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0100】
OTES103.7gが反応混合物に添加され、混合物は約70℃に約6時間加熱された。混合物はフラスコ内に夜通し保持され、そして室温に冷却された。混合物は、均一化するために撹拌され、固相が遠心分離により分離され、ついで約60℃で夜通し乾燥され、さらに約125℃で夜通し乾燥された。乾燥後に、粉末はジェットミルされ、包装された。
【0101】
0,300,600,1250および3000タップ後の、コロイドシリカ粒子のタップ密度は、表8に示される。
【0102】
【表8】

【0103】
比較例9
この例は、疎水性フュームシリカ粒子のタップ密度を示す。OTESで処理された、商業的に入手し得るフュームシリカ粒子(AEROSIL R 805, Degussa)のタップ密度は、タップ体積計で0,300,600,1250および3000タップ後に測定された。フュームシリカ粒子のタップ密度を表9に示す。
【0104】
【表9】

【0105】
例10
この例は、ポア密度に対する、疎水性金属酸化物粒子を含む粉末のジェットミルの効果を示す。
【0106】
反応器は、塩基性水性溶液中の40wt%コロイドシリカを表10に示す量で充填された(Nissan Chemical Co.)。脱イオン水および2−プロパノール(IPA)が、表10に示す量でそのコロイドシリカ溶液に添加されたが、その混合物は撹拌機で連続的に撹拌された。
【0107】
OTESが反応混合物に表10に示す量で添加され、そして混合物は約65℃〜約02℃に加熱された。OTESの添加後、混合物の撹拌は継続され、そして混合物はホモジナイザーをとおって約8〜9時間再循環された。ついで、混合物は反応器内に保持され、そして夜通し撹拌しながら室温に冷却された。混合物は約110℃〜約125℃(乾燥機出口温度)の温度で次の日にスプレー乾燥された。乾燥機への入口温度は235℃であった。粉末は、サイクロン捕集機またはバグフィルターから捕集された。捕集後に、粉末はジェットミルされた。ポア密度が例2に記載されるように測定された。処理されたシリカ粒子の特性は表10に示される。
【0108】
【表10】

【0109】
表10に示されるデータから明らかなように、粉末のポア密度は、ジェットミルにより有意に減少された。
【0110】
刊行物、特許出願および特許を含む、ここで引用されたすべての文献は、各文献が個別に、具体的に、引用により組み入れられるように指摘され、ここで十分に説明されているのと同様に、引用によりここに組み入れられる。
【0111】
本発明を説明する関係で(特に特許請求の範囲の関係で)の、用語「a」、「and」および 「the」ならびに同様な指示語の使用は、他に異なる指摘があるか、または文脈から異なることが明らかでない限り、単数および複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「comprising」、「having」、「including」および「containing」は、異なる記載がなければ制約のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」の意味)として解釈されるべきである。数値範囲の列挙は、もし異なる指摘がなければ、その範囲にあたる分離した値を個別に記載する方法として役立つことを意図したにすぎず、分離した値は個別にここに列挙されたかのように明細書に組み入れられる。ここで記載されるすべての方法は、他に異なる指摘があるか、または文脈から異なることが明らかでない限り、いかなる適切な順序でも実施され得る。すべての例、または例示的用語(たとえば、「のような」)の使用は、異なる請求項がなければ、本発明をもっとよく説明しようとするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。明細書の用語は、本発明の実施に必要な、請求されていない構成を示すと解釈されるべきではない。
【0112】
本発明の好適な態様は、ここに記載され、本発明を実施するために発明者が知るベストモードを含む。これらの好適な態様の変形は、前述の記載を読む際に、当業者に明らかとなり得る。本発明者は、当業者が適切にそのような変形をなすことを期待し、さらに本発明者は、本発明がここに具体的に記載されたものと異なってじっしされるのを意図する。したがって、本発明は、適用法により許される限り、請求項に記載された主題の全変形および均等物を含む。さらに、その可能な変形において、上述の構成のいかなる組み合わせも、他に異なる指摘があるか、または文脈から異なることが明らかでない限り、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアルコキシシラン化合物で表面処理された金属酸化物粒子を含む粒子組成物であり、金属酸化物粒子は疎水性であり、一次凝集しておらず、そしてタップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g以下である、粒子組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのアルコキシシラン化合物がオクチルトリエトキシシランである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
金属酸化物粒子が2つのアルコキシシラン化合物で処理された請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
2つのアルコキシシラン化合物が、オクチルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
金属酸化物粒子が約0.1μm〜約1μmの平均非二次凝集粒径を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
金属酸化物粒子が約100m/g以下のBET表面積を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
金属酸化物粒子が約80m/g以下のBET表面積を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
金属酸化物粒子が乾燥粉末の形態を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
金属酸化物粒子が約0.3μm〜約0.6μmの平均非二次凝集粒径を有する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
金属酸化物粒子が約2g/cm〜約2.5g/cmの真密度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
金属酸化物粒子の固相Si核磁気共鳴スペクトルが約2以上のT3:T2比を有し、ここでT2は、−56ppm〜−59ppmの範囲内に中心があるCP/MAS29Si NMRスペクトルにおける化学シフトを有するピークの面積強度であり、T3は、−65ppm〜−69ppmの範囲内に中心があるCP/MAS29Si NMRスペクトルにおける化学シフトを有するピークの面積強度である請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
金属酸化物粒子がコロイドシリカ粒子である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
トナー粒子および請求項1〜12のいずれかに記載の粒子組成物を含むトナー組成物。
【請求項14】
(a)親水性金属酸化物粒子の水性分散体を得ること、
(b)その分散体を少なくとも1つのアルコキシシラン処理剤と一緒にして反応混合物を得、ここでその反応混合物は塩基性であること、ならびに
(c)反応混合物を乾燥して、疎水性であり一次凝集しておらず、かつタップ密度が約110g/L〜約420g/LおよびBET表面積が約200m/g未満である金属酸化物粒子を得ること、を含む疎水性金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項15】
少なくとも1つのアルコキシシラン化合物がオクチルトリエトキシシランである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
金属酸化物粒子が2つのアルコキシシラン化合物で処理された請求項14に記載の方法。
【請求項17】
2つのアルコキシシラン化合物が、オクチルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
疎水性金属酸化物粒子の粒径が、反応混合物が乾燥された後に減少される請求項14に記載の方法。
【請求項19】
疎水性金属酸化物粒子の粒径が、ジェットミルまたはハンマーミルにより減少される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
分散体が、金属酸化物分散体を、水、ついで水溶性有機溶媒と混合することにより調製される請求項14に記載の方法。
【請求項21】
水に対する水溶性有機溶媒の体積比が約0.2〜約2である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
反応混合物が、約45℃〜約75℃の温度で、約1時間以上保持される請求項14に記載の方法。
【請求項23】
分散体が、約10wt%〜約25wt%の金属酸化物粒子を含む請求項14に記載の方法。
【請求項24】
金属酸化物粒子がコロイドシリカ粒子である請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−532742(P2010−532742A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514881(P2010−514881)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/008293
【国際公開番号】WO2009/009011
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】