説明

表面処理顔料及びそれを含有する顔料分散体

【課題】有機溶媒等の液体媒体中に分散した際の分散安定性に優れ、且つカラーフィルターの画素部に使用した場合、表示画面がよりハッキリ見える高コントラストで、より明るい高輝度の表示装置が得られ、更にカラーフィルターの製造工程において加熱処理を加えても輝度及びコントラストが下がらない良好な耐熱性を発現する表面処理顔料及びそれを用いた顔料分散体を提供。
【解決手段】
有機顔料(A)の表面を表面処理剤によって化学修飾した表面処理顔料であって、前記表面処理剤が、イソシアネート基、エポキシ基又はアミノ基を有するシランカップリング剤、チタンアシレート及びチタンアルコキシドから選択される1種以上の化合物(B)と一般式(1)で表される化合物(C)との反応生成物であることを特徴とする表面処理顔料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理顔料に関し、特に、液晶表示装置のカラーフィルターの画素部に好適な顔料分散体及び該顔料分散体を画素部に用いてなるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーフィルタ(CF)は、液晶表示素子(LCD)用途ではモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にあり、この用途拡大の傾向に伴い、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。このような要求に対して、より微細な状態で顔料を分散させ(良好な分散性)、かつCF製造工程における加熱処理を加えても輝度/コントラストが下がらないこと(良好な耐熱性)が求められている。
【0003】
分散性が不十分である場合には、着色感光性組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題がある。耐熱性が不十分である場合には、製品実装後、CFの色度/コントラスト性能が徐々に低下するという問題がある。特に、青色顔料(PB15:6)は、顔料としての性能は高いものの、難分散性のため、前述の課題によりその適用が限られてきた。
【0004】
顔料の分散性を向上させる技術としては、顔料表面を種々の材料で表面処理する方法がこれまで行なわれてきた。この顔料の表面処理に使用する処理剤としては、たとえば、ロジン、ロジン誘導体、顔料誘導体、合成樹脂、シランカップリング剤等が知られている。
【0005】
また、顔料そのものではないが、顔料組成物に添加して顔料の分散安定性を向上させる方法として、シランカップリング剤処理した有機顔料のスルホン酸誘導体に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
一方、特許文献2には、前顔料の凝集体(=粗製顔料の乾式粉砕物)をアセチレンジオール系界面活性剤の存在下、有機溶剤単独かあるいは有機溶剤を水のエマルジョンとした混合系に前顔料を浸漬することによって、前顔料の凝集体に対する有機溶剤の浸透力を高めて、処理速度を増大させる技術が開示されている。この技術により、顔料化工程における溶剤処理に要する時間が短縮される。しかしながら、分散安定性や、耐熱性については十分な改善が行なわれていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−294769
【特許文献2】特開2001−49139
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、有機溶媒等の液体媒体中に分散した際の分散安定性に優れ、且つカラーフィルターの画素部に使用した場合、表示画面がよりハッキリ見える高コントラストで、より明るい高輝度の表示装置が得られ、更にカラーフィルターの製造工程において加熱処理を加えても輝度及びコントラストが下がらない良好な耐熱性を発現する表面処理顔料及びそれを用いた顔料分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは種々検討したところ、特定構造の化合物で表面処理を行なった表面処理顔料が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、有機顔料(A)の表面を表面処理剤によって化学修飾した表面処理顔料であって、前記表面処理剤が、イソシアネート基、エポキシ基又はアミノ基を有するシランカップリング剤、チタンアシレート及びチタンアルコキシドから選択される1種以上の化合物(B)と一般式(1)
【0011】
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6の分岐していても良いアルキル基、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは−(OCnH2n)-OH、Rは−(OCnH2n)-OHで表される基であるが、nは2〜4の整数、jとkは括弧内の基の平均繰り返し数、jとkの合計は1〜20の範囲内の値であり、(OCnH2n)mで表される繰り返し単位は、同一炭素数の基の繰り返しであっても、異なる炭素数の基がランダム又はブロック状に連なる基であっても良い。)で表される化合物(C)との反応生成物であることを特徴とする表面処理顔料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記の表面処理顔料を液体媒体中に分散した顔料分散体を提供する。
更に、本発明は、上記の表面処理顔料を画素部に用いたカラーフィルターを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表面処理顔料は、有機溶媒等の液体媒体中に分散した際の分散安定性に優れている。そして、カラーフィルター用の顔料分散体としてカラーフィルターの画素部を形成する材料として使用した場合、表示画面がよりハッキリ見える高コントラストで、より明るい高輝度の表示装置が得ることができる。更にカラーフィルターの製造工程において加熱処理を加えても輝度及びコントラストが下がらない良好な耐熱性を発現する顔料分散体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、有機顔料(A)の表面を表面処理剤によって化学修飾した表面処理顔料であって、前記表面処理剤が、イソシアネート基、エポキシ基又はアミノ基を有するシランカップリング剤、チタンアシレート及びチタンアルコキシドから選択される1種以上の化合物(B)と一般式(1)
【0015】
【化2】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6の分岐していても良いアルキル基、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは−(OCnH2n)-OH、Rは−(OCnH2n)-OHで表される基であるが、nは2〜4の整数、jとkは括弧内の基の平均繰り返し数、jとkの合計は1〜20の範囲内の値であり、(OCnH2n)mで表される繰り返し単位は、同一炭素数の基の繰り返しであっても、異なる炭素数の基がランダム又はブロック状に連なる基であっても良い。)で表される化合物(C)との反応生成物であることを特徴とする表面処理顔料を提供する。
【0016】
本発明で使用する有機顔料(A)としては公知の顔料を使用でき、青色有機顔料、緑色有機顔料、黄色有機顔料、赤色有機顔料を用いることができる。中でも分子中に金属原子を有する有機顔料であることが好ましく、より具体的にはC.I.Pigment Blue15:3、C.I.Pigment Blue15:6、C.I.Pigment Yellow150、C.I.Pigment Green36、C.I.Pigment Green58が好ましい。分子中に金属原子を有する有機顔料以外の顔料としてはC.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red254が好ましい。
【0017】
イソシアネート基、エポキシ基又はアミノ基を有するシランカップリング剤、チタンアシレート及びチタンアルコキシドから選択される1種以上の化合物(B)としては、例えば、
【0018】
<イソシアネート基>を有する化合物
3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、
<エポキシ基>を有する化合物
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
<アミノ基>を有する化合物
N−2−(アミノエチル)メチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン
が挙げられる。なお、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランは反応性が高いものの、皮膚刺激性が強いため、工業的な利用には、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好んで使用される。
【0019】
これらは市販品でもよく、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランはKBE−9007(商品名、信越化学工業(株)製)を、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランはKBM−403(商品名、信越化学工業(株)製)を、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランはKBM−603(商品名、信越化学工業(株)製)を使用することができる。
【0020】
チタンアシレート及びチタンアルコキシドとしては、例えば、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジステアレート、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート
が挙げられる。
【0021】
これらは市販品でもよく、例えば、チタニウムステアレートはS−151(商品名、日本曹達(株)製)を、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンはTAT(商品名、日本曹達(株)製)を使用することができる。
【0022】
一般式(1)で表される化合物(C)としては、特に限定なく使用できるが、一般式(1)中のRが−(OC2H4)-OH、Rは−(OC2H4)-OHで表される基であり、jとkの合計が1〜20の範囲であることが好ましく、jとkの合計が1〜10の範囲であることがより好ましい。更に、R及びRがCHCH(CH)CH−であり、R及びRがメチル基、Rが−(OC2H4)-OH、Rは−(OC2H4)-OHで表される基であり、jとkの合計が1〜20の範囲であることが好ましく、jとkの合計が1〜8の範囲であることがより好ましく、jとkの合計が1〜5の範囲であることが更により好ましい。
【0023】
本発明で用いる表面処理剤には、上記の化合物(B)と化合物(C)以外に、更に、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物又はチタニルフタロシアニンを含有させることが好ましい。これらを含有させることにより顔料の分散安定性がより良好となる。また、これらを含有した表面処理剤により処理された顔料を用いたカラーフィルターの画素部は、これらを用いない表面処理顔料による画素部よりも耐熱性が向上する。
【0024】
これの技術的な理由は必ずしも明らかではないが、以下のようメカニズムと推察している。チタニルフタロシアニンは,フタロシアニン環の中心にチタン原子が配位し,このチタン原子に酸素原子が二重結合している。Ti-O 基に注目すると,チタニルフタロシアニンは四角錐(シャトルコック)型構造をとり,炭素水素間以外の結合は共役しており自由回転できない剛直な構造を有している。従って、顔料の結晶表面に四角錐型のチタニルフタロシアニンが吸着すると、その部位には新たに顔料粒子が付着することはできず、結果的に表面処理されたのと同様の効果が発現する。微細な顔料粒子は、他の顔料粒子や顔料分散剤との安定した相互作用を保持し、加熱処理しても顔料粒子の結晶成長は抑制されるため、耐熱性も向上する。このことは、チタニルフタロシアニンを同様の四角錐型構造を有するバナジルフタロシアニンでも同様であったことからも、推察内容が妥当と考えている。
【0025】
【化3】

(式中、R及びRは、エチレン基又はプロピレン基、m及びnは括弧内の基の平均繰り返し数を表し、それぞれ独立的に0〜10の範囲の値であり、m+nは0〜12である。)
【0026】
【化4】

(式中、R〜R14はメトキシ基又はエトキシ基、R15はエチレン基を表す。)
【0027】
一般式(2)で表される化合物としては、R及びRはプロピレン基であることが好ましい。また、m及びnは2〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましい。m+nは4〜10であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。一般式(3)で表される化合物としては、R及びR14はエトキシ基であることが好ましい。
【0028】
チタニルフタロシアニンとしては、下記一般式(4)で表される化合物を用いることが好ましく、中でも下記一般式(5)で表される化合物を用いることがより好ましい。
【0029】
【化5】

(式中、X、X、X及びXは各々独立にフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表わし、MはTi=O又はV=Oを表し、p、q、r及びsは各々独立的に0〜4の数字を表わす。)
【0030】
【化6】

(式中、MはTi=O又はV=Oを表す。)
【0031】
一般式(2)、一般式(3)で表される化合物、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニンを含有させる場合、それぞれの配合量は顔料に対して0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.2質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜2質量%であることが更により好ましい。
【0032】
一般式(2)、一般式(3)で表される化合物、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニンは、市販品でもよく、例えば、一般式(2)で表される化合物はBA−P8グリコール(商品名、日本乳化剤(株) 製)を、一般式(3)で表される化合物はSIB1817.0 (商品名、米Gelest社製)を使用することができる。
【0033】
一般式(2)、一般式(3)で表される化合物、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニンは、任意の組合せで併用することができる。一般式(2)で表される化合物と、チタニルフタロシアニン又はバナジルフタロシアニンの併用、あるいは一般式(3)で表される化合物と、チタニルフタロシアニン又はバナジルフタロシアニンを併用することが好ましい。
【0034】
本発明の表面処理顔料の製造は、以下のようにして行うことができる。
【0035】
有機顔料(A)と、化合物(B)と、前記一般式(1)で表される化合物(C)とを、必要に応じて、一般式(2)、一般式(3)で表される化合物、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、有機溶剤を加えた混合物を、公知慣用の方法、例えばペイントコンディショナー、ビーズミル等を用いた湿式粉砕・分散処理によって本発明で用いられる表面処理顔料を容易に製造することができる。
【0036】
本発明の表面処理顔料において、有機顔料(A)、化合物(B)及び一般式(1)で表される化合物(C)からなる3成分の質量比は、特に制限されるものではないが、有機顔料(A)100質量部に対して、化合物(B)は0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上4質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以上3質量部以下であり、一般式(1)で表される化合物(C)は、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上4質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以上3質量部以下である。
【0037】
本発明の表面処理顔料は、液媒体中への分散性、分散安定性が高く、後記する顔料分散体中の顔料粒子は微細な粒子に分散しており、分散体の粘度は低く、かつニュートン流動性も高いまま安定し、それでカラーフィルター画素部を製造した場合に、均質な塗膜を形成して輝度、コントラストおよび光透過率のいずれもが高いカラーフィルターを得ることができる。
【0038】
ここでコントラストとは、2枚の偏光板の偏光方向を平行にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度を2枚の偏光板の偏光方向を垂直にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度で除したものである。
【0039】
また、本発明にいう顔料分散体は、上記顔料粉末組成物が媒体中に分散して得られる混合液のことであり、使用される媒体は特に制限なく用いることができるが、特に下記に挙げる有機溶媒が好ましい。
【0040】
用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0041】
また本発明の顔料粉末組成物だけをカラーフィルター画素部の顔料として用いても良いが、必要応じて、カラーフィルター用分散体及びインキの粘度特性の向上と分散安定性の向上のために、顔料誘導体を添加することも有効である。このような顔料誘導体としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、下記一般式(6)の顔料誘導体が好ましい。
【0042】
【化7】

(式中、Pはフタロシアニン、インダンスロンブルー、ジオキサジンバイオレット残基を、Aは直接結合又は二価の連結基を、Yは第1〜3級アミノ基又は複素環残基を、そしてnは1〜4を表す。)
【0043】
具体的には、フタロシアニン、インダンスロンブルー又はジオキサジンバイオレットのフタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同N−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体が好ましい。これらの顔料誘導体には、更に1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン塩、エチレンジアミン等のアミンを添加して用いることも好ましい。
【0044】
さらに、本発明の顔料分散剤を用いた顔料分散体は、粘度のずり速度依存性が小さいことに特徴を有する。粘度のずり速度依存性は、円錐平板型回転粘度計を用いて、JIS K7117-2(粘度測定方法)に準拠した方法により、公知慣用の方法で評価を行うことができる。
【0045】
本発明の顔料粉末組成物は、従来公知の方法でカラーフィルター画素部の形成に使用することができる。この顔料粉末組成物を使用してカラーフィルター画素部を製造するに当たっては、顔料分散法が好適である。
【0046】
この方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルター用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
【0047】
青色、緑色、赤色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に青色、緑色、赤色の着色画素部を有するカラーフィルターを製造することができる。本発明の黄色顔料を含む顔料粉末組成物からは、緑色画素部を形成することができる。尚、青色画素部および赤色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の青色顔料と赤色顔料を使用することができる。
【0048】
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、同209、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同10、同36、同47、同58等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルター全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
【0049】
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0050】
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
【0051】
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルターは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルターが完成する。
【0052】
カラーフィルターの画素部を形成するための光硬化性組成物は、本発明方法の顔料粉末組成物と、光硬化性化合物とを必須成分とし、必要に応じて有機溶剤と分散剤と熱可塑性樹脂とを併用し、これらを混合することで調製することができる。青色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルターの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
【0053】
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明方法の表面処理顔料と、必要に応じて有機溶剤と分散剤とを併用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルターの画素部を形成するための顔料分散体を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
【0054】
ここで分散剤としては、例えば、ビックケミー社製のBYK130、同161,同162、同163、同170、DisperBYK2000、同2001、エフカ社製のEFKA46、EFKA47等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、各種界面活性剤等も併せて使用可能である。
【0055】
有機溶剤としては、特にプロピオネート、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましく、具体例としては前記有機溶媒が挙げられる。また、水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することもできる。
【0056】
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
【0057】
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
【0058】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
【0059】
前記した様な各材料を使用して、質量換算で、本発明の方法で製造された顔料粉末組成物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、必要に応じて1〜100部の顔料分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散体を得ることができる。次いで、この顔料分散体に、本発明の顔料粉末組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、必要に応じて光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルター青色画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることができる。
【0060】
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂又は光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルター画素部の形成に効果的である。
【0061】
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルター画素部の製造方法について詳記したが、本発明の方法で製造された顔料粉末組成物を使用して調製されたカラーフィター画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で青色画素部を形成して、カラーフィルターを製造してもよい。
【0062】
カラーフィルターは、黄色顔料、青色顔料、赤色顔料、ならびに本発明の方法で製造された顔料粉末組成物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤、緑および青の何れか1色から選ばれたカラーフィルター着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルター着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることができる。
【0063】
本発明の方法で製造されたカラーフィルター画素部用顔料粉末組成物は、鮮明性と明度、さらには貯蔵安定性と耐熱性に優れたより色相を有する顔料であり、カラーフィルター用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、もとより本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
【0065】
(実施例1)
有機顔料(A)として、青色顔料(DIC(株)製 FASTOGEN BLUE EP193(商品名)、C.I.Pigment Blue15:6(表1中、PB15:6と表記。))100部、化合物(B)として、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン(CAS番号:24801−88−5、商品名:KBE−9007、信越化学工業(株)製)0.5部、化合物(C)として、サーフィノール420(商品名、エアープロダクツ社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物、j+k=1.3、GPC数平均分子量=500)1部、酢酸エチル400部を仕込み、10分間攪拌混合したのち、溶剤を留去して、表面処理顔料(E1)を得た。
【0066】
なお、上記(j+k)の値は、サーフィノール420の1H NMR測定結果をもとに以下の計算方法により求めた。
(1)H NMRによるj+kの算出方法
サーフィノール420のメチル基水素に帰属されるピーク(ケミカルシフトδ0.8ppm〜1.0ppm)の積分値(水素12個相当)を基準として、付加されたエチレンオキサイドに帰属されるピーク(ケミカルシフトδ3.0ppm〜3.2ppm)の積分値をエチレンオキサイド1個あたり水素4個相当として、j+kを算出した。
(2)GPC測定方法
GPCは以下の条件により測定した。
装置:HLC-8220 東ソー
カラム:TSK-GEL HXL-H+G5000HXL+G3000HXL+G2000HXL+G2000HXL
サイズ 7.8mmI.D.×30cm 排除限界分子量 ポリスチレン換算400万
温度:40℃ カラム恒温槽
検出器:RI
溶媒:THF 1級 和光純薬
流速:1ml/min
注入量:50μl
検量線:TSK標準ポリスチレン 東ソー 3次近似式
【0067】
(実施例2)〜(実施例44)並びに(比較製造例1)〜(比較製造例9)
使用原料を表1、表2および表3記載の組合せとした以外は実施例1と同様にして表面処理顔料(E2)〜(E44)(E901)〜(E909)を得た。
【0068】
なお、表1、表2、表3、表3−2、表3−3及び表3−4において、
PG36とは、ポリ臭素化銅フタロシアニン(DIC(株) FASTOGEN GREEN 2YK−CF(商品名)、C.I.Pigment Green36)であり、
PG58とは、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニン(DIC(株) FASTOGEN GREEN A110(商品名)、C.I.Pigment Green58)であり、
PR177とは、ジアミノアンスラキノニルレッド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)Cromophtal Red A3B(商品名)、C.I.Pigment Red177)であり、
PR254とは、ジケトピロロピロール(DPP)レッドBO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)Irgaphor Red BT−CF(商品名)、C.I.Pigment Red254)であり、
PY150とは、Yellow Pigment E4GN−GT(ランクセス(株)製、商品名)、C.I.Pigment Yellow150)であり、
サーフィノール104とは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(商品名、エアープロダクツ社製)であり、
サーフィノール440とは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物(j+k=3.8、GPC数平均分子量=570)(商品名、エアープロダクツ社製)であり、
サーフィノール465とは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物(j+k=9.8、GPC数平均分子量=850)(商品名、エアープロダクツ社製)であり、
KBM−403とは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(CAS番号:2530−83−8、信越化学工業(株)製、商品名:KBM−403)であり、
KBE−402とは、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(CAS番号:2897−60−1、信越化学工業(株)製、商品名:KBE−402)であり、
KBM−603とは、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(CAS番号:1760−24−3、信越化学工業(株)製、商品名:KBM−603)であり、
KBM−903とは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(CAS番号:13822−56−5、信越化学工業(株)製、商品名:KBM−903)であり、
TOTとは、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン(CAS番号:1070−10−6、日本曹達(株)製、商品名:TAT)であり、
S−151とは、チタニウムステアレート(CAS番号:61417−49−0、日本曹達(株)製、商品名:S−151)であり、
BA−P8グリコールとは、一般式(2)で示される化合物の一つ、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレンオキシフエニル)プロパン(m+n≒8)であり、
Ti=OPcとは、チタニルフタロシアニン(CAS番号:26201−32−1、DIC(株)製)であり、
V=OPcとは、バナジルフタロシアニン(CAS番号:13930−88−6、DIC(株)製)であり、
BTSEとは、一般式(3)で示される化合物の一つ、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(CAS番号:16068−37−4、米SIGMA−ALDRICH社製)である。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】

【0076】
(実施例45)
表面処理顔料(E1)95部、顔料誘導体Solsperse5000(商品名、日本ルーブリゾール(株)製)5部、分散剤DisperBYK−2000(商品名、BYK−Chemie GmbH(Wesel, Germany)、変性アクリル系ブロック共重合体40%溶液)100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤490部、0.5mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で3時間分散し、顔料分散体(S1)を得た。
【0077】
(実施例46)〜(実施例88)(比較例10〜比較例18)
実施例45における表面処理顔料(E1)95部、顔料誘導体Solsperse5000(商品名、日本ルーブリゾール(株)製)5部、分散剤DisperBYK−2000(商品名、BYK−Chemie GmbH(Wesel, Germany)、変性アクリル系ブロック共重合体40%溶液)100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤490部を、表4、表5および表5−2記載の組合せとした以外は実施例45と同様にして、顔料分散体(S2)〜(S44)(S113)〜(S138)(S901)〜(S909)を得た。
【0078】
【表7】

【0079】
1)分散剤:DisperBYK−2000
2)混合溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤
【0080】
【表8】

【0081】
1)分散剤:DisperBYK−2000
2)混合溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤
【0082】
【表9】

【0083】
1)分散剤:DisperBYK−2000
2)混合溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤
【0084】
<基礎物性評価>
【0085】
<平均粒径D50/nm>
動的光散乱式粒径分布測定装置LB-550(株式会社堀場製作所製)を用いて、得られた顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3混合溶剤により20倍希釈した溶液を、測定温度25℃における平均粒径D50/nm(メジアン径)を評価した。評価結果を表6および表7に示した。
【0086】
<溶液粘度>
円錐平板型回転粘度計RE−550L(東機産業株式会社製、コーンロータ1゜34´×R24)を用いて、測定温度20℃における溶液粘度(回転数10rpm)を評価し、更に得られた顔料分散体を40℃恒温槽にて2週間保管した後、同条件で再び溶液粘度を評価した。評価結果を表6、表7および表7−2に示した。
【0087】
更に、同装置を用いて、測定温度20℃において溶液粘度のずり速度依存性を評価した。
評価結果を表8−1、表8−2、表9および表9−2に示した。
【0088】
【表10】

【0089】
【表11】

【0090】
【表12】

【0091】
【表13】

【0092】
【表14】

【0093】
【表15】

【0094】
【表16】

【0095】
<応用物性評価>
以下の方法でカラーフィルターを製造し、その評価結果を表5に示した。
【0096】
<試験用カラーフィルターの製造>
(実施例89)
前記顔料分散体(S1)20部、アルカリ可溶性アクリル樹脂溶液(メタクリル酸ベンジル/ メタクリル酸/ メタクリル酸− 2 − ヒドロキシエチル共重合体(=60:20:20 [物質量比])の酢酸ブチル/1−ブタノール(=3/1)35%溶液)34部
トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMP−3A、大阪有機化学工業(株)製)3部、光重合開始剤(商品名:イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1部
を分散攪拌機で攪拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジストを得た。
【0097】
カラーレジストは1mm厚ガラスに乾燥膜厚1μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後60℃で5分間予備乾燥して塗膜を形成させた。次いでフォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄した後、純水で更に洗浄し、次いで得られた塗膜を230℃で15分間加熱処理して塗膜を硬化させ、カラーフィルター青色画素部とした。
【0098】
(実施例90)〜(実施例350)及び(比較例13)〜(比較例18)
使用する顔料分散体を表4記載の組合せとした以外は実施例44と同様にして、カラーフィルター画素部をそれぞれ製造した。
【0099】
(輝度)
輝度(Y値)は、オリンパス(株)製顕微鏡MX−50と大塚電子(株)製分光光度計MCPD−3000を使用して、F10光源測色で色度座標x値とy値を算出し、両色度座標x、y値を合わせてCIE発色系色度におけるY値を測定した。
【0100】
(コントラスト)
当該カラーフィルター画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側にはCCDカメラを設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。(表11中にコントラスト1と記載)
【0101】
(耐熱性評価)
前記コントラスト測定に供試したカラーフィルター画素部を、空気中で240℃*1時間加熱処理した後、再度コントラスト測定を行い、耐熱性を評価した。(表11−1、表11−2中にコントラスト2と記載)
【0102】
【表17】

【0103】
*実施例109〜112は2種類の分散体(分散体1と分散体2)を混合して使用した。
【0104】
【表18】

【0105】
【表19】

【0106】
【表20】

【0107】
【表21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料(A)の表面を表面処理剤によって化学修飾した表面処理顔料であって、前記表面処理剤が、イソシアネート基、エポキシ基又はアミノ基を有するシランカップリング剤、チタンアシレート及びチタンアルコキシドから選択される1種以上の化合物(B)と一般式(1)
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜6の分岐していても良いアルキル基、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは−(OCnH2n)-OH、Rは−(OCnH2n)-OHで表される基であるが、nは2〜4の整数、jとkは括弧内の基の平均繰り返し数、jとkの合計は1〜20の範囲内の値であり、(OCnH2n)mで表される繰り返し単位は、同一炭素数の基の繰り返しであっても、異なる炭素数の基がランダム又はブロック状に連なる基であっても良い。)で表される化合物(C)との反応生成物であることを特徴とする表面処理顔料。
【請求項2】
前記有機顔料(A)が、分子中に金属原子を有する顔料である請求項1記載の表面処理顔料。
【請求項3】
前記化合物(C)が、一般式(1)中のR及びRが炭素数4の分岐していても良いアルキル基、R及びRがメチル基、Rが−(OC2H4)-OH、Rは−(OC2H4)-OHで表される基であり、jとkの合計が1〜20の範囲である請求項1又は2記載の表面処理顔料。
【請求項4】
前記表面処理剤が、更に、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物、チタニルフタロシアニン又はバナジルフタロシアニンを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理顔料。
【化2】

(式中、R及びRは、エチレン基又はプロピレン基、m及びnは括弧内の基の平均繰り返し数を表し、それぞれ独立的に0〜10の範囲の値であり、m+nは0〜12である。)
【化3】

(式中、R〜R14はメトキシ基又はエトキシ基、R15はエチレン基を表す。)
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかの表面処理顔料を液体媒体中に分散した顔料分散体。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかの表面処理顔料を画素部に用いたカラーフィルター。

【公開番号】特開2011−21169(P2011−21169A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209194(P2009−209194)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】