説明

表面検査装置

【課題】フラットディスプレイパネルの大面積基板上に形成された塗布膜の表面形状を短時間で、低コストに検査可能な大面積用表面検査装置を提供する。
【解決手段】基板13上に形成された塗布膜14の表面検査装置において、点光源20と、点光源20から発せられた光の光路に設けられ点光源20からの光の光強度分布を調整するための光強度分布調整フィルター30と、ハーフミラー21と、ハーフミラー21を経由した前記光を平行光に変換して塗布膜14の表面に照射するとともに塗布膜14の表面からの反射光を集光するように配置されたフレネルレンズ22と、フレネルレンズ22により集光されハーフミラー21により点光源20とは別の光路に導かれた前記反射光の集光結像された光学像を観察するCCDカメラ26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置に関し、特にフラットディスプレイパネル用の基板上に形成された塗布膜の表面検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置などに用いるフラットディスプレイパネルでは、基板上に形成された塗布膜がパネルを構成する要素部材として各種の目的で使用されている。このような塗布膜の多くには、表面の平坦性、局所的な凹凸の無いこと、膜厚が均一であることなどが要求される。
【0003】
例えば、プラズマディスプレイパネルは、前面基板および背面基板の両ガラス基板を対向配置して放電空間を形成し、両ガラス基板の周囲を封着材で封着し、放電空間に放電ガスを封入することにより構成されている。前面基板上には誘電体層で覆われた複数の電極が形成され、背面基板上には複数の電極および隔壁が形成されるとともに隣接する隔壁間の溝に赤色、緑色、青色に発光する蛍光体層が形成されている。このプラズマディスプレイパネルでは、前面基板上に形成された誘電体層や背面基板上に形成された隔壁は、いずれも高い厚み精度や表面の平坦性を要求される。
【0004】
通常、基板上に形成された塗布膜の塗布状態は、それぞれの基板で微妙に異なる場合があり、塗布膜の性状を検査するときは全数の基板について基板全面の状態を検査できることが求められる。このような検査には、段差計または光学干渉式膜厚測定装置を用いた検査方法がある。この検査方法では、点あるいは微少エリアでの測定評価を積み重ねて基板全面を評価する。
【0005】
また上記のような検査方法以外に、点光源からの光をフレネルレンズにより平行光に変換し、その平行光を基板上の塗布膜表面に照射したときの反射光を解析して反射光の明暗から塗布膜表面の凹凸を検出する検査方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、高い平行度を持つ平行光を被評価面(塗布膜表面)に照射すると、被評価面の凹凸が反射光の方向を変えるために光束密度分布が生じて明暗の差として検出されるという原理が利用されている。
【特許文献1】特開2006−84255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなフレネルレンズを用いた検査方法の場合、解析に用いる点光源からの光が被評価面では中央で明るく周辺ほど暗くなるため、被評価面内を一定条件で評価し、ムラ検出することが難しいという課題を有しており大面積基板の表面を短時間かつ低コストに信頼性良く検査することは非常に難しかった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、フラットディスプレイパネルの大面積基板上に形成された塗布膜の表面形状を短時間で、低コストに検査可能な大面積用表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の表面検査装置は、基板上に形成された塗布膜の表面検査装置において、点光源と、前記点光源から発せられた光の光路に設けられ前記点光源からの光の光強度分布を調整するための光強度分布調整フィルターと、ハーフミラーと、前記ハーフミラーを経由した前記光を平行光に変換して前記塗布膜の表面に照射するとともに前記塗布膜の表面からの反射光を集光するように配置されたフレネルレンズと、前記フレネルレンズにより集光され前記ハーフミラーにより前記点光源とは別の光路に導かれた前記反射光の集光結像された光学像を観察する観察手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フラットディスプレイパネル用の基板上に形成された塗布膜などの表面ムラ形状を短時間かつ低コストで信頼性良く検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態による表面検査装置について、フラットディスプレイパネルの一例であるプラズマディスプレイパネルを例として、その基板上の塗布膜表面を検査対象物表面として検査する場合について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、プラズマディスプレイパネルの構造を示す斜視図である。プラズマディスプレイパネルは、放電空間を形成するように対向して配置されたガラス製の前面基板1と背面基板2とを備えている。前面基板1上には2つの表示電極3、4から構成された表示電極対が複数配列されており、表示電極3、4を覆うように誘電体層5が形成され、誘電体層5上に酸化マグネシウムからなる保護層6が形成されている。背面基板2上には表示電極3、4と直交する方向に複数のアドレス電極7が形成され、アドレス電極7を覆うように誘電体層8が形成されている。誘電体層8上にはアドレス電極7の間に位置するように隔壁9が形成され、誘電体層8の表面および隔壁9の側面には蛍光体層10が形成されている。放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスからなる放電ガスが400〜600Torr(53kPa〜80kPa)の圧力で封入されている。表示電極対を構成する表示電極3および表示電極4の間で表示放電を起こさせたときに発生する紫外線によって、蛍光体層10を発光させてカラー画像を表示している。ここに示した誘電体層5、誘電体層8などは、基板に塗布材料を塗布して塗布膜を形成した後、これを乾燥、焼成して形成する。これら塗布膜は、表面の平坦性、局所的な凹凸のないこと、膜厚が均一であることなどが要求される。本発明の表面検査装置は、これら塗布膜を検査するのに用いられる。
【0012】
図2は本発明の第1の実施の形態における表面検査装置の概略を示す図であり、基板13上に形成された塗布膜14を検査するときの状態を示している。まず基本的な光束の状態と検査の原理を説明する。
【0013】
点光源20は、図示していないがピンホール板にハロゲンランプを照射する構成となっている。この場合はピンホールの位置が点光源20の位置となる。点光源20から発せられた光は、光路上に設けられた光強度分布調整フィルター30を通過した後、ハーフミラー21により曲げられ、平行光生成用のフレネルレンズ22によって平行光23に変換され、塗布膜14に照射される。塗布膜14からの反射光24は再びフレネルレンズ22によって集光され、ハーフミラー21を直進して結像レンズ25によって観察手段であるCCDカメラ26に結像される。本実施の形態では結像レンズ25を用いているが、結像レンズ25を用いずにフレネルレンズ22によって反射光24をCCDカメラ26に直接結像させるようにしてもよい。
【0014】
反射防止コーティングを施した透明な平板50と反射防止コーティングを施した透明な平板60とを所定の間隔をあけて平行に配置し、それらの周囲を封止部材61で封止して容器を構成し、その容器内にフレネルレンズ押さえ枠部材55およびフレネルレンズ22が設けられている。フレネルレンズ22は、凹凸が形成された凹凸面を有するとともにその凹凸面の反対側の表面が平らな面(平面)となっており、フレネルレンズ22を大面積かつ低コストで実現するために、レンズ材料として光学樹脂材料、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)のような透明光学アクリル材料が用いられている。
【0015】
フレネルレンズ22は凹凸面が塗布膜14に向くように水平に配置され、フレネルレンズ22の周辺部にフレネルレンズ押さえ枠部材55を載せている。これによりフレネルレンズ22は平板50に押し付けられて形状が平板50の形状に沿うように規制される。フレネルレンズ22は、平板50と接着されていることはなく、またフレネルレンズ押さえ枠部材55によって平板50に取り付けられた状態でもない。すなわちフレネルレンズ22は平板50に固定された状態ではないので、温度や湿度など環境条件の変化によってフレネルレンズ22の反りや膨張が発生する場合でも、フレネルレンズ22はフレネルレンズ押さえ枠部材55によって平板50に沿った形状を保つことができる。
【0016】
光強度分布調整フィルター30は、図3(a)に示すような光透過率分布特性を有するフィルターであり、点光源20からの光の光強度分布を調整するためのものである。すなわち、フィルターの中心C1で光透過率が低く、中心C1から離れ周辺Aおよび周辺Bに行くほど光透過率が高くなるという光透過率分布特性を有しており、中心C1を中心とする円周上では光透過率が等しくなるような分布特性である。上側の図では光透過率の値が等しい位置を結んだ線を示している。
【0017】
図3(b)は、図2の表面検査装置において光強度分布調整フィルター30が無い状態で、点光源20から発せられた光がフレネルレンズ22の面に照射されるときの照射光照度分布を示しており、照射面の中心C2における照度が最も高く、周辺に行くほど照度が低くなっている。上側の図では照射光照度の値が等しい位置を結んだ線を示している。
【0018】
光強度分布調整フィルター30は、点光源20から発せられた光がフレネルレンズ22の面に照射される照射面(照射対象物平面)での光強度分布をほぼ一定にするような光透過率分布を有している。このため、図2に示すように光強度分布調整フィルター30を設けることにより、フレネルレンズ22の面に照射される照射光照度分布が照射面内でほぼ一定にすることができる。
【0019】
ここで塗布膜14に凹部14aがある場合、平行光23は凹部14aで反射されると符号24aで示す光路を通る収束光になり、収束面27に収束する。同様に塗布膜14に凸部14bがある場合、平行光23は凸部14bで反射されると疑似収束面28から発せられたような光路(符号24bで示す)を通る拡散光となる。このような反射光24、24a、24bを、結像レンズ25を通してCCDカメラ26で撮像し光束分布密度を解析する。
【0020】
図4は、反射光24をCCDカメラ26で撮像したときの撮像画像を模式的に表した図である。収束面27を結像レンズ25によってCCDカメラ26上に結像すると、凹部14aの位置では反射光24aが収束して光束密度が高く明るくなり、凸部14bの位置では反射光24bが拡散し光束密度が低く暗くなるので、図4(a)に示すような撮像画像となる。すなわち図4(a)において、破線41aで囲まれたA領域では周囲の領域に比べて明るくかつA領域の中心へ行くほど明るくなる画像が得られ、凹部14aが存在していることを表している。また、破線41bで囲まれたB領域では周囲の領域に比べて暗くかつB領域の中心へ行くほど暗くなる画像が得られ、凸部14bが存在していることを表している。
【0021】
また、疑似収束面28を結像レンズ25によってCCDカメラ26上に結像すると、凸部14bの位置では反射光24bが疑似収束し光束密度が高く明るくなり、凹部14aの位置では反射光24aが拡散して光束密度が低く暗くなるので、図4(b)に示すような撮像画像となる。すなわち図4(b)において、破線42aで囲まれたA領域では周囲の領域に比べて暗くかつA領域の中心へ行くほど暗くなる画像が得られ、凹部14aが存在していることを表している。また、破線42bで囲まれたB領域では周囲の領域に比べて明るくかつB領域の中心へ行くほど明るくなる画像が得られ、凸部14bが存在していることを表している。
【0022】
結像位置を変えるには、結像レンズ25やCCDカメラ26の位置を光軸方向に適宜ずらせばよい。このように任意の位置の光束分布をCCDカメラ26に結像し、得られる画像の明暗状況を解析することによって塗布膜14の表面形状を検査でき、特に検査の難しい局所的な表面の凹凸形状を検査できる。
【0023】
次に一例として、プラズマディスプレイパネルの前面基板1上に設けられた誘電体層5について検査する場合について説明する。プラズマディスプレイパネルの製造工程において、誘電体層5は次のようにして形成される。すなわち、ガラス等の誘電体材料、バインダおよび溶剤を含んだ誘電体ペースト(膜材料)を、前面基板1上に形成した表示電極3、4を覆うように塗布することにより誘電体材料膜(塗布膜)を形成し、その後、誘電体材料膜を昇温して乾燥させると溶剤が揮発し、誘電体材料の粒子間はバインダによって結着される。続いて温度を上げればバインダが除去され、さらに高温にして焼成することで誘電体材料が焼結して誘電体層5が形成される。
【0024】
このようにして形成された誘電体層5の表面の表面粗さは比較的粗くなっている。誘電体材料膜の成分に有機成分が多い場合、乾燥した後に熱処理(焼成)すると誘電体材料膜中の有機成分が焼失するために表面粗さが粗くなる。そこで、この表面粗さが粗くなる前の状態、すなわち、誘電体ペーストを塗布して乾燥した後、焼成するまでの間に誘電体材料膜の表面形状の検査を行う。このとき、正反射光の強い状態で検査することになるため、誘電体材料膜の表面形状の検査を精度よく行うことができる。また、誘電体ペーストの塗布後、乾燥するまでの間に検査してもよい。この場合にも正反射光の強い状態で検査することになるため、誘電体材料膜の表面形状の検査を精度よく行うことができる。すなわち、前面基板1上に溶剤を含む誘電体ペーストを塗布して誘電体材料膜を形成した後、その誘電体材料膜を焼成するまでの間に誘電体材料膜の表面形状の検査を行うことで、その検査を精度よく行うことができる。
【0025】
上記のように、本発明の一実施の形態による表面検査装置は、塗布膜14を乾燥する前の正反射率の高い状態で検査することで特に良好な凹凸検出性能を発揮できるものであるが、塗布膜14を乾燥する前の正反射率の高い状態で検査する場合には、乾燥前の塗布膜14から揮発する溶剤が検査用光学系に接することになる。溶剤としてはテルピネオールやBCA(ブチルカルビトールアセテート)が用いられる。フレネルレンズ22は通常、アクリル樹脂などを成型して製作するが、これら樹脂が溶剤の蒸気に長期間さらされるとフレネルレンズ22の表面に曇りを生じたりフレネルレンズ22が変形したりすることがある。曇りや変形が生じると、均一な平行光を作り出せなくなり塗布膜14の表面の検査性能に重大な障害を生じることになる。
【0026】
しかしながら、本実施の形態における表面検査装置では、塗布膜14から発生する溶剤の蒸気がフレネルレンズ22に接触するのを抑制する構造となっているので、フレネルレンズ22の溶剤成分による変質や変形を抑制することができる。また、平板50および平板60には、塗布膜14に含有される溶剤に溶解膨潤されない材料として、ガラス材を用いている。このため、塗布膜14の表面の検査性能の低下を防ぐことができる。
【0027】
塗布膜14の表面のような評価対象は非常に高低差の小さな凹凸形状のものもあり、図4におけるムラ検出明暗部の明暗差の小さい微妙な明暗の画像になる場合がある。被評価面内での検査用照射光照度分布に大きな面内差が有る場合は検出明暗差が被評価面内で一定にならないため検出の難しい場所が生じてしまう。検査用照射光照度を一定にする光強度分布調整フィルター30を設置することで、この明暗差が被評価面内で均一にでき、ムラを確実に検出することができる。
【0028】
本発明の効果を検証するため、比較実験を行った。本実施の形態である光強度分布調整フィルター30を光路上に設置した表面検査装置を用いて、フレネルレンズ22の周辺部で評価したムラ部分の画像の階調は、ムラ無し部で75階調、ムラ部で100階調となり階調差25階調を検出できた。比較のため、光強度分布調整フィルター30を設置しない表面検査装置でフレネルレンズ22の周辺部の同じ位置で評価したムラ部分の画像の階調を調べたところ、ムラ無し部で45階調、ムラ部で60階調となり階調差が15階調であった。この比較検討画像の撮像条件は、両方の取り込み画像中央での階調がムラ無し状態で80階調の同じ明るさで取り込むように設定して行った。
【0029】
この比較実験の結果からわかるように、本実施の形態の表面検査装置を用いることで検査評価領域全面にわたって高い感度でムラを検出できるようになるものである。
【0030】
本実施の形態では光透過率分布特性が光強度分布特性を一定にする分布のものを用いているが、この特性でなくても中心ほど光透過率の低い分布を有するものにすればムラの検出感度において改善効果が得られるものである。また、光強度分布調整フィルター30を設けることにより、光強度分布調整フィルター30を設けない場合に比べて、点光源20からの照射光の照射対象物平面上での光強度分布を均一に近づけるようにすれば改善効果を得ることができる。
【0031】
次に、光強度分布調整フィルター30を製造する方法について図5を用いて説明する。
【0032】
この製造方法は、光強度分布調整フィルター30を作成するのに適したサイズのガラス基板31を真空蒸着機32内にセットし、蒸着材料容器33に蒸着遮光材料34を入れて蒸着加熱源の電子線35を蒸着材料容器33中の蒸着遮光材料34に照射する電子線源36を備えた電子線蒸着装置により、固定したガラス基板31上に蒸着遮光材料34の遮光層を蒸着方向37に向けて蒸着形成して光強度分布調整フィルター30を製造する方法である。すなわち、固定したガラス基板31の法線上に蒸着源が設けられ、ガラス基板31上にその蒸着源から蒸着遮光材料34を蒸着して遮光層を形成することにより光強度分布調整フィルター30が得られる。ここで、例えばガラス基板31の法線はガラス基板31の面内の中心を通るように設定されるが、前記法線は前記中心を通らなくてもよく、装置の構成に応じて適宜設定することが可能である。
【0033】
使用する蒸着遮光材料34は、蒸着膜として遮光性あるいは分光遮光性(着色性)を有するものが適用できる。蒸着遮光材料の例としては、アルミニウム等の金属類や炭素塊などを用いることができる。
【0034】
この製造方法では、蒸着材料容器33中の蒸着遮光材料34が点に近い蒸着源から蒸着されるため、ガラス基板31の中心で蒸着遮光材料34の付着量が多く、ガラス基板31の周辺で蒸着遮光材料34の付着量が少なくなり、フィルターとしての光透過率分布が図3(a)のような中心で透過率が低く周辺で高い透過率の特性が得られるものである。
【0035】
透過率分布の調整は、ガラス基板31と蒸着材料容器33との間の距離を調整することにより容易に調整することができる。遮光材料付着膜厚分布はガラス基板31と蒸着材料容器33との間の距離の2乗に反比例することから透過率は容易に計算設計できる。
【0036】
したがって、簡易な製造装置で容易に所望の光強度分布調整フィルターを製造することができるものである。なお、蒸着加熱源として電子線を用いているが電子線に限定されるものではなく、ヒーター加熱など他の蒸着方法でも適用可能である。
【0037】
図6は光強度分布調整フィルター30を製造する他の方法を示すものである。この製造方法は、光強度分布調整フィルター30を作成するのに適したサイズの固定したガラス基板31に、噴霧塗布ノズル(噴霧手段)38から射出した遮光材料を噴霧射出方向39に射出塗布して遮光膜を形成して光強度分布調整フィルター30を製造する方法である。すなわち、固定したガラス基板31の基板面に垂直に噴霧塗布ノズル38が設けられ、ガラス基板31上に噴霧塗布ノズル38から遮光材料を噴霧塗布して遮光層を形成することにより光強度分布調整フィルター30が得られる。
【0038】
噴霧塗布される遮光材料としては、着色顔料あるいは着色染料を含んだ塗料などを用いることができる。
【0039】
この製造方法では、噴霧塗布ノズル38が点に近く、ガラス基板31の中心で遮光材料の付着量が多く、ガラス基板21の周辺で遮光材料の付着量が少なくなり、フィルターとしての光透過率分布が図3(a)のような中心で透過率が低く周辺で高い透過率の特性が得られる。
【0040】
透過率分布の調整は、ガラス基板31と噴霧塗布ノズル38との間の距離を調整することにより容易に調整することができる。遮光材料付着膜厚分布はガラス基板31と噴霧塗布ノズル38との間の距離の2乗に反比例することから透過率は容易に計算設計できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、基板上に形成された塗布膜などの表面形状の局所的な凹凸異常を速いタクトでかつ低コストで高信頼性の検出をすることができるもので、本発明の表面検査装置はフラットディスプレイパネルなど特に大面積の塗布膜の検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】プラズマディスプレイパネルの構造を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態における表面検査装置の概略を示す図
【図3】(a)、(b)は本発明の実施の形態における光強度分布調整フィルターを説明するための図
【図4】(a)、(b)はCCDカメラによる撮像画像を模式的に示す図
【図5】本発明の実施の形態における光強度分布調整フィルターの製造方法を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態における光強度分布調整フィルターの他の製造方法を説明するための図
【符号の説明】
【0043】
13 基板
14 塗布膜
20 点光源
21 ハーフミラー
22 フレネルレンズ
23 平行光
24 反射光
25 結像レンズ
26 CCDカメラ
30 光強度分布調整フィルター
31 ガラス基板
32 真空蒸着機
33 蒸着材料容器
34 蒸着遮光材料
35 電子線
36 電子線源
37 蒸着方向
38 噴霧塗布ノズル
50 平板
55 フレネルレンズ押さえ枠部材
60 平板
61 封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された塗布膜の表面検査装置において、点光源と、前記点光源から発せられた光の光路に設けられ前記点光源からの光の光強度分布を調整するための光強度分布調整フィルターと、ハーフミラーと、前記ハーフミラーを経由した前記光を平行光に変換して前記塗布膜の表面に照射するとともに前記塗布膜の表面からの反射光を集光するように配置されたフレネルレンズと、前記フレネルレンズにより集光され前記ハーフミラーにより前記点光源とは別の光路に導かれた前記反射光の集光結像された光学像を観察する観察手段とを有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記光強度分布調整フィルターが前記点光源と前記ハーフミラーとの間に位置するように設けられ、前記光強度分布調整フィルターを設けない場合に比べて、点光源からの照射光の照射対象物平面上での光強度分布を均一に近づけるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記光強度分布調整フィルターは、その中心で光透過率が低く、前記中心から離れるほど光透過率が高くなるような特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記光強度分布調整フィルターは、固定した基板の法線上に蒸着源を設け、前記基板上に前記蒸着源から蒸着遮光材料を蒸着して遮光層を形成することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記光強度分布調整フィルターは、固定した基板に垂直に噴霧手段を設け、前記基板上に前記噴霧手段から遮光材料を噴霧塗布して遮光層を形成することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−98089(P2009−98089A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272121(P2007−272121)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】