説明

表面用保護剤としての、ピペリジニル官能基を1つ以上有するポリオルガノシロキサンを含む組成物

【課題】表面用保護剤としての、ピペリジニル官能基を1つ以上有するポリオルガノシロキサンを含む組成物の提供。
【解決手段】ピペリジニル官能基を1つ以上有するポリオルガノシロキサンを含む洗浄/保護組成物は、UV−又は酸化−誘発損傷等の環境曝露からのビニル、プラスチック及び他の硬質表面の保護において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジニル官能基を1つ以上有するポリオルガノシロキサンを含む洗浄/保護組成物、及びUV−又は酸化−誘発損傷等の環境曝露からのビニル表面及び他の表面の保護におけるそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、UV−誘発又は酸化−誘発損傷等の環境曝露からビニル表面及び他の表面を保護するための、ピペリジニル官能基を1つ以上有するポリオルガノシロキサンを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
織物繊維製の洗濯物の処理のためのシリコンベースの組成物の使用は、既に示唆されている。より詳細には、柔軟効果を得るための、洗浄又はリンス(すすぎ)組成物へのアミノ−シリコンの添加は、例えば米国特許第4,585,563号明細書、国際公開第92/07927号パンフレット、国際公開第98/39401号パンフレット及び欧州特許出願公開第150872号明細書に示唆されている。静電気防止、抗しわ(anti−wrinkling)及びアイロンの容易さ等の他の認識可能な効果ももたらされ得る。1ないし6個の炭素原子を含むアルキレン橋によってシリコン原子に結合される記載されたアミノ官能基は、−N(X)(Y)型のもの[ここで、前記記号X及びYは、独立して、H、炭素原子数1ないし3のアルキル基、フェニル基、炭素原子数5ないし6のシクロアルキル基、炭素原子数1ないし6のアルキレン−NH2基、又は−COR基(ここで、Rは、一価の炭化水素基を表わす。)を表わす。]である。ピペリジニル基で官能的に変性されたものを含むアミノ−変性シリコンはまた、米国特許第6,800,602号明細書、米国特許第6,815,412号明細書、米国特許第6,825,683号明細書、米国特許第6,831,055号明細書及び仏国特許第2,824,841号明細書において繊維柔軟剤として開示されている。
【0004】
長年にわたり市販されてきた塩化ポリビニル(PVC)保護剤は、しばしば、米国特許第3,956,174号明細書及び米国特許第5,183,845号明細書に記載されるもののようにポリジメチルシロキサンと様々な他の添加剤の溶液又はエマルジョンを含む。製品は、一般に、光沢を与えることによって外観を改善するために、及び、耐久性及び撥水性を改善することによって表面を保護するために、自動車内部及び外部のPVC(ビニル)部品並びに家庭用のビニル又は他のプラスチック製品において使用される。これらの製品は、ビニル及びプラスチック表面に一時的な改善を与えるが、試験は、これらの製品の単独使用は、長期間の風化及び紫外線への曝露からビニルを効果的に保護しないことを示した。
【0005】
製造プロセス中にビニル樹脂中にヒンダードアミン光安定剤(HALS)等の添加剤を直接配合することによって、紫外線の悪影響に耐性を有するビニル製品を製造する試みが為されてきた。例えば、様々な有機ポリマーの製造におけるHALSの使用が、米国特許第4,472,547号明細書、米国特許第4,547,537号明細書及び米国特許第5,241,067号明細書に記載されている。しかしながら、これらの添加剤は、例えば、自動車及びボートの室内装飾品、ビニル製の自動車のルーフ(vinyl car top)等の紫外線に常に暴露されるビニル製品において必要とされる基材に長期間の保護をもたらさない。
【0006】
表面を処理するたびに更なる量の保護剤を与えるために、ビニル保護製剤中にHALS
分子を直接配合する試みも為されている。HALS成分を含むポリシロキサンエマルジョン組成物は、国際公開第96/21696号パンフレットに記載されている。これらの組成物は好適な一時的な保護を与えるが、HALSは、拭き取り又は水によって表面から容易に除去され、保護効果が失われる。HALS分子は保護を必要とする表面から離れた下方の基材中に移動するため、残りのシロキサンコーティングの保護力が減少することも分かっている。
【特許文献1】米国特許第4,585,563号明細書。
【特許文献2】国際公開第92/07927号パンフレット。
【特許文献3】国際公開第98/39401号パンフレット。
【特許文献4】欧州特許出願公開第150872号明細書。
【特許文献5】米国特許第6,800,602号明細書。
【特許文献6】米国特許第6,815,412号明細書。
【特許文献7】米国特許第6,825,683号明細書。
【特許文献8】米国特許第6,831,055号明細書。
【特許文献9】仏国特許第2,824,841号明細書。
【特許文献10】米国特許第3,956,174号明細書。
【特許文献11】米国特許第5,183,845号明細書。
【特許文献12】米国特許第4,472,547号明細書。
【特許文献13】米国特許第4,547,537号明細書。
【特許文献14】米国特許第5,241,067号明細書。
【特許文献15】国際公開第96/21696号パンフレット。
【発明の開示】
【0007】
驚くべきことに、ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンが、ビニル及びプラスチック表面等の硬質表面に風化及び紫外線への曝露に対して永続的な保護を与え得ることが今や発見された。
【0008】
従って、本発明の一つの観点は、ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンを含む、ビニル及びプラスチック表面等の硬質表面のための保護及び洗浄組成物である。
【0009】
本発明の他の観点は、硬質表面を保護する方法であって、前記硬質表面を、有効量の、ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンを含む保護製剤と接触させることを含む方法である。
【0010】
例1:本発明の詳細な説明
本発明の1つの観点は、ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンを含む、硬質表面のための保護及び表面洗浄組成物である。前記ピペリジニル基は、シロキサン骨格又は末端基に直接又は間接的に結合され得る。
【0011】
1つの態様において、処理組成物は、式
(R)a(X)bpSi(O)[3−(a+b)]/2 (I)
{式中、
−R基は、同じであり得るか又は異なり得、一価の直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし4のアルキル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基を表わし、
−X基は、同じであり得るか又は異なり得、一価の直鎖状の又は枝分かれしたヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし3のアルコキシ基を表わし、
pは、
◆式(II)
【化1】

[式中、
・R4は、
・2ないし18個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキレン基、
・直鎖状の又は枝分かれしたアルキレン部分が2ないし20個の炭素原子を有するところのアルキレン−カルボニル基、
・直鎖状の又は枝分かれした部分が2ないし12個の炭素原子を有し、かつシクロへキシレン部分がOH基、及び所望により1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を1ないし2つ含むところのアルキレン−シクロヘキシレン基、
・式−R7−O−R7−(式中、同じであるか又は異なるR7基は、1ないし12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす。)で表わされる基、
・式−R7−O−R7−(式中、R7基は、上記定義を有し、1つ又は両方とも、1又は2つの−OH基で置換される。)で表わされる基、
・式−R7−COO−R7−(式中、R7基は、上記定義を有する。)で表わされる基、
・式−R8−O−CO−R9−(式中、同じであるか又は異なるR8及びR9基は、2ないし12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、ここで、R8及びR9基は、所望によりヒドロキシル基で置換され得る。)で表わされる基、
から選択される二価の炭化水素基を表わし
・Uは、−O−又は−NR10−を表わし、
ここで、R10は、水素原子、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基、又は、以下の式
【化2】

(式中、
4は、上記で定義した通りであり、R5及びR6は以下の定義を有し、
11は、1ないし12個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれした二価のアルキレン基を表わし、ここで、R11は−NR10−基に結合され、R4はシリコン原子に結合される。)で表される二価の基から選択される基を表わし、
・R5基は、定義が同じであり得るか又は異なり得、1ないし3個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基又はフェニル基を表わし、
・R6基は、水素原子、R5基又はO・を表わす。]で表わされる基、及び、
◆残りの式(III)
【化3】

[式中、
・R’4は、以下の式
【化4】

(式中、mは2ないし20を表わす。)を有する三価の基、又は以下の式
【化5】

(式中、pは2ないし20を表わす。)を有する三価の基を表わし、
・U’は、−O−又はNR12(式中、R12は、水素原子又は1ないし6個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基を表わす。)を表わし、
・R5及びR6は、式(II)において示したものと同じ定義を有する。]で表わされる基から選択される1種以上の立体障害性ピペリジニル基を表わし、
−aは、0、1又は2を表わし
−bは、0、1又は2を表わし
−そして、ここで‘‘a+b’’は2より大きくなり得ない。}で表わされる基を少なくとも1つ含むところの少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含む。
【0012】
式(I)に示したような、立体障害性アミノ官能基を有するポリオルガノシロキサンは、欧州特許出願公開第659930号明細書に記載される方法に従って得ることができる。
【0013】
これらは、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて測定すると、25℃において約100mpa.sないし200000mpa.sの範囲の動的粘度を有し得る。
【0014】
1つの態様において、前記立体障害性アミノ官能基を有するポリオルガノシロキサンは、式(I’)
【化6】

で表わされる直鎖状の、環状の又は枝分かれしたポリオルガノシロキサンであって、
(1)Zは、同じであるか又は異なり、R1及び/又はRpを表わし、
(2)R1、R2及びR3は、同じであるか又は異なり、1ないし4個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基、1ないし4個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基、メトキシ基及びメチル基から選択される一価の炭化水素基を表わし、
(3)Rpは、同じ又は異なる官能基であり、上記式(II)又は(III)中のものから選択された1種以上の立体障害性ピペリジニル官能基を有する基を表わし、
(4)Rp基なしのSi含有単位10ないし450個、
−及び、Rp型分類のSi含有単位1ないし10個を含み、
−0≦w≦10、及び8<(x+y)<448
であるところのポリオルガノシロキサンである。
【0015】
1、R2及びR3は、好ましくはヒドロキシル基、メトキシ基又はメチル基を表わす。
【0016】
式(1’)で表わされるポリシロキサンは、好ましくはRp基なしのSi含有単位を5ないし250個、及び、好ましくはRp型分類のSi含有単位を1ないし10個含む。
【0017】
本発明の第二の対象は、紫外線保護効果を与えるのに十分な量において、式(I)又は(I’)で表わされる、立体障害性アミノ官能基を有するポリオルガノシロキサンの少なくとも1種を組成物に添加することによって、ビニル又は他のプラスチック表面等の硬質表面を保護するために設計された組成物の性質を改善する方法を定義することである。
【0018】
このような組成物は、様々な形態であり得るが、一般に、オルガノポリシロキサンの水エマルジョン又はシリコン水溶液である。オルガノポリシロキサンは、好ましくは天然で直鎖状のジメチルシロキサンポリマーである。使用のために適当なジメチルポリシロキサン溶液は、10ないし100000センチストークの範囲の粘度を有する。好ましくは、使用されるシリコン溶液の粘度は、約100ないし10000センチストークの範囲であるべきである。メチル基の幾つかを他の有機基又は有機官能基で置換することによって、他のオルガノポリシロキサンが生成され得、そしてこれは本発明の組成物における使用のために適当である。例えば、アミノ変性ポリシロキサンが使用され得る。
【0019】
シリコン溶液又は溶液の混合物は、典型的には水エマルジョンの形態(ここで、水は配合物の総量の約30ないし99%を示す。)で使用される。このようなシリコン水溶液及びこれらの水エマルジョンは、米国特許第3,956,174号明細書及び米国特許第5,183,845号明細書に詳細に記載されており、両文献は参照としてここに組み込まれる。
【0020】
保護組成物のシリコン溶液は、本発明において記載されるピペリジニル基(HALS)で置換されたポリシロキサンポリマーを少なくとも1部として含む。HALSで置換されたポリマーは、HALS含有成分の量が処理する表面に保護を与えるために十分である限りは、保護製剤中に存在するポリシロキサンの総量の0.1質量%ないし100質量%の何れも示し得る。HALSで置換されたポリマーの好ましい量は、ポリシロキサンの総量に対して10ないし100質量%、最も好ましくは40ないし100質量%の量である。
【0021】
保護製剤の更なる成分は、当業者に既知の様々な材料を含み得る。これらの添加剤は、以下のものを含み得るが、これらに限定されない:水、有機溶媒、乳化剤(エマルジョンに安定性を与えるためのもの)、他の界面活性剤及び湿潤剤(適用により湿潤化を助け、エマルジョンの破壊を促進するためのもの)、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、他のグリコール、染料、香料、発泡防止剤、UV吸収剤、安定剤、防腐剤、さび止め剤、他の補助材料及びそれらの混合物。
【0022】
本発明の保護組成物の使用方法は、噴霧、拭くこと又は他の類似する手段によって保護する硬質表面上に該組成物を適用することを含む。
【0023】
組成物はまた、不織布、拭き取り用具又は表面上への組成物の送達のために適当な他の用具に最初に適用され得る。その後、物質は、ある程度の時間で、表面を完全にぬらし、コーティングする。あらゆる余分な物質は、必要に応じて拭き取られ得、表面は所望により磨かれて光沢を出され得る。
【0024】
好ましくは、保護組成物は、本発明の式(1)又は(1’)で表わされる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含む。
【0025】
用語‘‘硬質表面’’は、硬質材料及び軟質材料を含む。特に好ましいものは、UV損傷又は酸化損傷を受けやすく、かつ表面への悪影響なくシロキサンエマルジョンで処理され得る表面を有する材料である。これらは、プラスチック(例えば、ビニル/PVC、プレキシグラス(登録商標:plexiglas)/PMMA、他のアクリル系、スチレン系、ポリオレフィン、ナイロン、ポリウレタン等)、ゴム、シリコン及び未加工の木材;様々な硬質表面、特に木材上のラテックス又はオイルベースの塗料及びコーティング(例えば、ステイン、ポリウレタン、ワニス、セラック);メラミン、複合材料、壁紙等の紙ベースの表面(paper−based surface)及び天然革及び合成革を含む。
【0026】
以下の実施例に本発明の特定の態様を記載するが、本発明はこれに制限されない。開示された態様の多数の変更が、本発明の意図又は範囲から外れることなく、本願明細書の開示に従って為され得ると理解されるべきである。それ故、これらの実施例は、本発明の範囲を制限することを意味しない。むしろ、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲及びそれらと対応する記載によってのみ決定される。これらの実施例において、全ての部は、特に記載がない限りは質量に対するものである。
【実施例】
【0027】
(a)実施例1
保護組成物:窒素含有率が0.38%の、HALSで変性されたポリシロキサン(CAS登録番号:171543−65−0)を水へ15質量%の量で添加した。シロキサンの推定される構造を以下に示す:
【化7】

【0028】
12の親水性/親油性バランス(HLB)を有する乳化剤を6%の量で添加し、混合物を高速ミキサーで乳化させた。混合物が透明になるまで、攪拌しながら適当量の酸を添加した。該エマルジョンはチバスペシャルティ ケミカルズ社からウルトラテックス(登録商標:ULTRATEX)FMWとして市販で入手可能である。
【0029】
実施例2
ビニルの処理方法:水中に実施例1のHALSで置換されたポリジメチルシロキサンポリマーを15%含むシリコンマイクロエマルジョンを、自動車のダッシュボードのビニル片(7cm×14cm) 3つに、保護製剤 1mLを表面に添加し、15秒間、綿タオル地でビニル上の物質を拭くことによって、適用した。3つのビニル片を市販の保護製剤
を使用して同様の方法で処理した。その後、処理したビニル見本並びに一連の3つの未処理のビニル見本を、アトラス Ci4000 キセノン ウェザロメーター中に置き、SAE−J−1885に記載された自動車内装用促進耐候性プログラムを使用して紫外線に曝露した。
【0030】
ビニル表面の劣化を、まず、清浄液を使用して十分に洗浄し、脱イオン水を用いてすすぎ、その後、空気乾燥させることによって、評価した。その後、ビニルを、ダイヤモンド結晶が取り付けられたスマート オービット ATRアクセサリ(Smart Orbit ATR accessory)を備えたサーモ エレクトロン アバター 370 FTIR分光計(Thermo Electron Avatar 370 FTIR spectrometer)を使用して分析した。各々の洗浄及び乾燥したビニルサンプルについて吸収スペクトルを記録し、〜1250cm-1及び1098cm-1における吸収度のピーク高さの比を計算した。このピーク比の減少は、ビニル見本上のポリウレタン表面コーティングの劣化に相当する。よって、この比の値が低いほど、劣化度が高いことを示す。
【0031】
計48時間の紫外線曝露時間(曝露エネルギー:〜90kJ)で処理したビニル見本及び対照ビニル見本の劣化値を以下の表に示した。実施例1のエマルジョンで処理したサンプルは、対照又は市販の保護剤で処理したものに比べて劣化値が低かった。
【表1】

【0032】
実施例3
ビニルの処理方法:ビニル見本を、該見本をウェザロメーター中で16時間及び32時間曝露した後、保護剤で再処理したことを除いて、実施例2と同様の方法で処理した。計48時間の曝露(曝露エネルギー:〜90kJ)の後、サンプルを洗浄し、すすぎ、乾燥させ、そして実施例2に記載したIR法によって分析した。
【0033】
以下の表のピーク比は、実施例1のエマルジョンを用いて処理した材料が、再度、試験した3つのサンプルの内、最も低い劣化度であったことを示した:
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンを含む、硬質表面を保護するための組成物。
【請求項2】

(R)a(X)bpSi(O)[3−(a+b)]/2 (I)
{式中、
−R基は、同じであり得るか又は異なり得、一価の直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1ないし4のアルキル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基を表わし、
−X基は、同じであり得るか又は異なり得、一価の直鎖状の又は枝分かれしたヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基又は炭素原子数1ないし3のアルコキシ基を表わし、
pは、
◆式(II)
【化1】

[式中、
・R4は、
・2ないし18個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキレン基、
・直鎖状の又は枝分かれしたアルキレン部分が2ないし20個の炭素原子を有するところのアルキレン−カルボニル基、
・直鎖状の又は枝分かれした部分が2ないし12個の炭素原子を有し、かつシクロへキシレン部分がOH基、及び所望により1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を1ないし2つ含むところのアルキレン−シクロヘキシレン基、
・式−R7−O−R7−(式中、同じであるか又は異なるR7基は、1ないし12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす。)で表わされる基、
・式−R7−O−R7−(式中、R7基は、上記定義を有し、1つ又は両方とも、1又は2つの−OH基で置換される。)で表わされる基、
・式−R7−COO−R7−(式中、R7基は、上記定義を有する。)で表わされる基、
・式−R8−O−CO−R9−(式中、同じであるか又は異なるR8及びR9基は、2ないし12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、ここで、R8及びR9基は、所望によりヒドロキシル基で置換され得る。)で表わされる基、
から選択される二価の炭化水素基を表わし
・Uは、−O−又は−NR10−を表わし、
ここで、R10は、水素原子、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基、又は、以下の式
【化2】

(式中、
4は、上記で定義した通りであり、R5及びR6は以下の定義を有し、
11は、1ないし12個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれした二価のアルキレ
ン基を表わし、ここで、R11は−NR10−基に結合され、R4はシリコン原子に結合される。)で表される二価の基から選択される基を表わし、
・R5基は、定義が同じであり得るか又は異なり得、1ないし3個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基又はフェニル基を表わし、
・R6基は、水素原子、R5基又はO・を表わす。]で表わされる基、及び、
◆残りの式(III)
【化3】

[式中、
・R’4は、以下の式
【化4】

(式中、mは2ないし20を表わす。)を有する三価の基、又は以下の式
【化5】

(式中、pは2ないし20を表わす。)を有する三価の基を表わし、
・U’は、−O−又はNR12(式中、R12は、水素原子又は1ないし6個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基を表わす。)を表わし、
・R5及びR6は、式(II)において示したものと同じ定義を有する。]で表わされる基から選択される1種以上の立体障害性ピペリジニル基を表わし、
−aは、0、1又は2を表わし
−bは、0、1又は2を表わし
−そして、ここで‘‘a+b’’は2より大きくなり得ない。}で表わされる基を少なくとも1つ含むところの少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
立体障害性アミノ官能基を有するポリオルガノシロキサンが、式(I’)
【化6】

で表わされる直鎖状の、環状の又は枝分かれしたポリオルガノシロキサンであり、
(1)Zは、同じであるか又は異なり、R1及び/又はRpを表わし、
(2)R1、R2及びR3は、同じであるか又は異なり、1ないし4個の炭素原子を有する
直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基、1ないし4個の炭素原子を有する直鎖状の又は枝分かれしたアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基、メトキシ基及びメチル基から選択される一価の炭化水素基を表わし、
(3)Rpは、同じ又は異なる官能基であり、上記式(II)又は(III)中のものから選択された1種以上の立体障害性ピペリジニル官能基を有する基を表わし、
(4)Rp基なしのSi含有単位10ないし450個、
−及び、Rp型分類のSi含有単位1ないし10個を含み、
−0≦w≦10、及び8<(x+y)<448
であるところの請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1、R2及びR3がヒドロキシル基、メトキシ基又はメチル基を表わす請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
p基なしのSi含有単位5ないし250個、及び、Rp型分類のSi含有単位1ないし10個を有する請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンが、式
【化7】

で表わされるものである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンが、保護製剤中に存在するポリシロキサンの総量の0.1質量%ないし100質量%、好ましくは10質量%ないし100質量%を構成する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
水性エマルジョンの形態にある請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
更なる添加剤を含む請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
更なる添加剤が、水、有機溶媒、乳化剤、他の界面活性剤及び湿潤剤(適用により湿潤化を助け、エマルジョンの破壊を促進するためのもの)、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、他のグリコール、染料、香料、発泡防止剤、UV吸収剤、安定剤、防腐剤、さび止め剤、他の補助材料及びそれらの混合物を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
硬質表面を保護するための、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
硬質表面を保護する方法であって、前記硬質表面を、有効量の、ポリオルガノシロキサンに結合する1つ以上のピペリジニル基を有するポリオルガノシロキサンを含む保護組成物と接触させることを含む方法。
【請求項13】
前記硬質表面を、有効保護量の請求項2に記載の式(1)で表わされるポリオルガノシロキサンと接触させることを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記硬質表面を、有効保護量の請求項3に記載の式(1’)で表わされるポリオルガノシロキサンと接触させることを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記表面がUV損傷又は酸化損傷を受けやすく、かつ表面への悪影響なくシロキサンエマルジョンで処理され得る請求項12ないし14のいずれか1項に記載の硬質表面を保護する方法。
【請求項16】
前記表面が、プラスチック、ゴム、シリコン及び未加工の木材;塗装及びコーティングされた木材を含む硬質表面;メラミン及び複合材料、紙ベースの表面(paper−based surface)及び天然革及び合成革から選択される請求項12ないし15のいずれか1項に記載の硬質表面を保護する方法。


【公表番号】特表2008−544051(P2008−544051A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517464(P2008−517464)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063172
【国際公開番号】WO2007/054381
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】