説明

表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法

【課題】 表面研磨陶磁器タイルの表面を有機皮膜又は無機皮膜で覆うことなく、防汚性を付与する方法を提供する。
【解決手段】 テトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が500〜1800よりなるシリケートオリゴマーを含む溶液を、表面に多数の微孔を持つ表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布する。その後直ちに、当該溶液を布ウエス等で拭き取って、当該多数の微孔にシリケートオリゴマーを充填せしめる。そして、24時間程度大気雰囲気中に放置しておくことにより、シリケートオリゴマーを硬化させて、表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する。シリケートオリゴマーに代えて、(CH3O)3SiC36SHや(CH3O)3SiCHCH2等の化合物を用いて、同様の処理を行っても、良好な防汚性を付与しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を研磨して鏡面仕上した表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陶磁器タイルは見た目の高級感から商用施設、ホテル、或いはマンションのロビー、更には近年では戸建て住宅等にも用いられている。なかでも表面を研磨して鏡面仕上した表面研磨陶磁器タイルは、光沢によってよりいっそう高級感がある。したがって、塩ビタイル等の化学タイルのようにワックス掛けによって光沢を出す必要がないため、商用施設等では好んで用いられている。
【0003】
陶磁器タイルは製造工程において高温で焼き固め、成形するが、その際にタイル原料中に含まれる成分が高温で揮発し、タイル中及びタイル表面には無数の微細な気泡(微孔)が発生する。通常、陶磁器タイルは表面に釉薬等を塗り最終製品とするため、これらの微孔が表面に現れることはない。一方、表面研磨陶磁器タイルは表面に釉薬等を使用せず、研磨による鏡面加工によって意匠性を出すため、微孔が表面に現れる。すなわち、表面研磨陶磁器タイルの表面には20μm〜100μm程度の多数の微孔が存在することになる。したがって、かかる表面研磨陶磁器タイル上にコーヒーやカレー等の色素含有物が付着した場合、これらに含まれる色素成分が表面の微孔に入り込み、取り除くことが困難になるため、汚れが容易に沈着する。
【0004】
この問題を解決するため、現在はワックスコーティング等によって表面に有機皮膜を形成し、微孔中に汚れが沈着するのを防ぐ方法が行われている。また、有機皮膜ではなく無機皮膜を形成して、微孔中に汚れが沈着するのを防ぐ方法も提案されている(特許文献1及び2)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−892672号公報
【特許文献2】国際公開W000/23528号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機皮膜であれ無機皮膜であれ、表面研磨陶磁器タイルの表面に皮膜を形成することは、好ましいことではない。なぜなら、表面研磨陶磁器タイルは、表面の鏡面加工による光沢に価値があるのであって、この表面を皮膜で覆うとその価値が低下するからである。
【0007】
そこで、本発明者等は、表面研磨陶磁器タイルの表面を皮膜で覆うのではなく、表面研磨陶磁器タイルの微孔を塞ぐことによって、微孔中に汚れが沈着するのを防止しようと試みた。そして、本発明者等が種々実験を重ねたところ、後記実施例に示したとおり、特定の化合物を表面研磨陶磁器タイルの微孔に充填せしめることにより、汚れの沈着を防止しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、化1で表されるテトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が500〜1800よりなるシリケートオリゴマーを含む溶液を、表面に多数の微孔を持つ表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布した後、直ちに拭き取って、該多数の微孔に該シリケートオリゴマーを充填せしめた後、硬化させることを特徴とする表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法に関するものである。
【化1】

【0009】
また、本発明は、(CH3O)3SiC36SH,(CH3O)3SiCHCH2,(C25O)3SiC36436Si(OC253,(CH3O)3Si(CH29CH3,(C1735COO)3TiOCH(CH32及び(CH(CH32O)2AlOCH(CH3)OOCC1835よりなる群から選ばれた化合物を含む溶液を、表面に多数の微孔を持つ表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布した後、直ちに拭き取って、該多数の微孔に該化合物を充填せしめた後、硬化させることを特徴とする表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法に関するものである。
【0010】
まず、本発明で用いる化合物を説明する。本発明で用いる第一番目の化合物(以下、第一番目の化合物を「化合物1」といい、第二番目の化合物を「化合物2」といい、以下順次、「化合物3」等という。)は、テトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が500〜1800よりなるシリケートオリゴマーである。テトラメトキシシランは、上記した化1の構造式で表されるものである。そして、これが加水分解縮合すると三次元的に結合して網目構造の重合体になる。本発明では、この重合体の平均分子量は500〜1800であり、この範囲のものが表面研磨陶磁器タイルに良好な防汚性を付与し得たのである。なお、この平均分子量は数平均分子量である。
【0011】
本発明で用いる化合物2は、(CH3O)3SiC36SHである。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化2】

【0012】
本発明で用いる化合物3は、(CH3O)3SiCHCH2である。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化3】

【0013】
本発明で用いる化合物4は、(C25O)3SiC36436Si(OC253である。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化4】

【0014】
本発明で用いる化合物5は、(CH3O)3Si(CH29CH3である。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化5】

【0015】
本発明で用いる化合物6は、(C1735COO)3TiOCH(CH32である。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化6】

【0016】
本発明で用いる化合物7は、(CH(CH32O)2AlOCH(CH3)OOCC1835である。これを構造式で表せば、次のとおりである。
【化7】

【0017】
化合物1〜7は、一般的に常温で液状であるから、この溶液を表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布する。また、化合物1〜7のままでは塗布しにくいときは、化合物1〜7をアセトン等の有機溶剤と混合して溶液を調製してもよい。塗布方法は従来公知の方法でよく、たとえばゴムヘラ、ハケ又はポリッシューを用いて塗布する。そして、塗布後、直ちに編織物等の布帛で拭き取る。この拭き取りは手作業でもよく、機械を用いて行ってもよい。拭き取った結果、表面研磨陶磁器タイルは、表面に多数の微孔を有しているので、陶磁器タイルの表面に存在した化合物1〜7は、この微孔に充填せしめられる。
【0018】
微孔に充填せしめられた化合物1〜7は、珪素、チタン又はアルミニウムに結合しているアルコキシ基を持っているので、常温で大気中に放置しておくだけで、加水分解して硬化する。具体的には、24時間程度大気中に放置しておくだけで硬化し、微孔が塞がれるのである。なお、硬化を促進するために加熱処理や風乾処理等を行ってもよいことは言うまでもない。
【0019】
本発明に係る方法は、表面研磨陶磁器タイルを生産した後に行ってもよいし、表面研磨陶磁器タイルをホテル等の施設に敷設した後、行ってもよい。本発明で用いる化合物1〜7は、加熱処理しなくても大気中に放置しておくだけで硬化するため、後者の方法も採用しうるのである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、表面研磨陶磁器タイル表面の微孔が、化合物1〜7の硬化物によって塞がれているため、コーヒーやカレー等の色素含有物が陶磁器タイルの表面に付着しても、色素成分が微孔に沈着するのを防止しうる。したがって、陶磁器タイル表面に付着した色素含有物を布等で拭い取った後、水等を用いて洗浄すれば、色素成分をほぼ完全に取り除くことができ、陶磁器タイルが汚れるのを防止しうるという効果を奏する。
【実施例】
【0021】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、化合物1〜7が表面研磨陶磁器タイルの表面に存在する微孔を良好に塞ぐことができ、汚れの沈着を防止しうるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0022】
実施例1
10cm×10cmの表面研磨陶磁器タイル( セラミカ・クレオパトラ社製、商品名:ナイル オジリス オフホワイト) の表面に、テトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が500〜700よりなるシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)約0.4gを滴下し、ゴムヘラを用いて均一に塗布した後、直ちに布ウエスで拭き取った。そして、一昼夜大気中に放置して、シリケートオリゴマーを硬化させて、表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0023】
実施例2
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、テトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が1500〜1800よりなるシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS58B30」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0024】
実施例3
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に、アセトンを等量混合して溶液を調製した他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0025】
実施例4
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3Si(CH29CH3よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM3103C」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0026】
実施例5
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiC36SHよりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM803」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0027】
実施例6
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiCHCH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM1003」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0028】
実施例7
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(C25O)3SiC36436Si(OC253よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBE846」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0029】
実施例8
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(C1735COO)3TiOCH(CH32よりなる溶液(味の素ファインケミカル社製、商品名「プレンアクト KRTTS」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0030】
実施例9
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH(CH32O)2AlOCH(CH3)OOCC1835よりなる溶液(味の素ファインケミカル社製、商品名「プレンアクト AL−M」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0031】
比較例1
実施例1で用いた表面研磨陶磁器タイルに何らの処理も施さなかった。
【0032】
比較例2
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、テトラエトキシシラン[Si(OC254]よりなる溶液(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製、商品名「TSL8124」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0033】
比較例3
実施例3で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、シリカ粒子(日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL 200」)を用いた他は、実施例3と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0034】
比較例4
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、二酸化珪素及び酸化リチウムを含む溶液(日産化学社製、商品名「LSS−45」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0035】
比較例5
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiC36NHC24NH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM603」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0036】
比較例6
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiC36OCH223Oよりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM403」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0037】
比較例7
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)2Si(CH3)C36NH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM902」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0038】
比較例8
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)2SiC36NHC65よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM573」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0039】
比較例9
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiC36NH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM903」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0040】
比較例10
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)2Si(CH3)C36OCOCH3CH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM502」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0041】
比較例11
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3Si(CH25CH3よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM3063」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0042】
比較例12
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(C25O)3SiC36NCOよりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM9007」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0043】
比較例13
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(C25O)3SiC36NC(CH3)C49よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM9103」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0044】
比較例14
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、(CH3O)3SiC36OCOC(CH3)CH2よりなる溶液(信越化学工業社製、商品名「KBM503」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0045】
比較例15
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、C817O及びHOP(OC1327のTiへの配位結合体よりなる溶液(味の素ファインケミカル社製、商品名「プレンアクト KR55」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0046】
比較例16
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、CH(CH32Ti(OC24NHC24NH23よりなる溶液(味の素ファインケミカル社製、商品名「プレンアクト KR44」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0047】
比較例17
実施例1で用いたシリケートオリゴマーよりなる溶液(三菱化学社製、商品名「MS51」)に代えて、CH(CH32Ti(OSO26512253よりなる溶液(味の素ファインケミカル社製、商品名「プレンアクト KR9SA」)を用いた他は、実施例1と同様にして表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与した。
【0048】
[塗布性]
実施例1〜9及び比較例1〜17に係る方法において、溶液の塗布性を以下の四段階で評価した。この結果を表1に示した。
◎・・・非常に塗布しやすい。
○・・・塗布しやすい。
△・・・やや塗布しにくい。
×・・・塗布しにいく。
【0049】
[防汚性]
また、実施例1〜9及び比較例1〜17に係る方法で得られた表面研磨陶磁器タイルの防汚性を以下の方法で評価した。まず、表面研磨陶磁器タイルの表面にコーヒーを適量滴下する。そして、15分置いた後、水を含んで布ウエスでコーヒーを拭き取る。コーヒーを拭き取った後の表面研磨陶磁器タイルと、コーヒーを滴下する前の表面研磨陶磁器タイルの色差を測定する。色差測定には、MINOLTA社製の光度計CM−3500dを用い、正反射光除去方式で反射率測定を行った。測定値はJIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系を用い、下記式(1)によりΔEを得た。
[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2=ΔE ・・・(1)
そして、ΔEの値により、以下の三段階により防汚性を評価した。この結果を表1に示した。
○・・・ΔE<1.0
×・・・ΔE≧1.0
【0050】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
塗布性 防汚性
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実施例1 ○ ○
実施例2 ○ ○
実施例3 ◎ ○
実施例4 ○ ○
実施例5 ○ ○
実施例6 ○ ○
実施例7 ○ ○
実施例8 △ ○
実施例9 △ ○
比較例1 − ×
比較例2 ○ ×
比較例3 ○ ×
比較例4 ○ ×
比較例5 ○ ×
比較例6 ○ ×
比較例7 ○ ×
比較例8 ○ ×
比較例9 ○ ×
比較例10 ○ ×
比較例11 ○ ×
比較例12 ○ ×
比較例13 ○ ×
比較例14 ○ ×
比較例15 ○ ×
比較例16 × ×
比較例17 × ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0051】
表1の結果から分かるように、実施例に係る方法で処理された表面研磨陶磁器タイルは、比較例に係る方法で処理された表面研磨陶磁器タイル(未処理も含む。)に比べて、防汚性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1で表されるテトラメトキシシランを加水分解縮合して得られる平均分子量が500〜1800よりなるシリケートオリゴマーを含む溶液を、表面に多数の微孔を持つ表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布した後、直ちに拭き取って、該多数の微孔に該シリケートオリゴマーを充填せしめた後、硬化させることを特徴とする表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法。
【化1】

【請求項2】
(CH3O)3SiC36SH,(CH3O)3SiCHCH2,(C25O)3SiC36436Si(OC253,(CH3O)3Si(CH29CH3,(C1735COO)3TiOCH(CH32及び(CH(CH32O)2AlOCH(CH3)OOCC1835よりなる群から選ばれた化合物を含む溶液を、表面に多数の微孔を持つ表面研磨陶磁器タイルの表面に塗布した後、直ちに拭き取って、該多数の微孔に該化合物を充填せしめた後、硬化させることを特徴とする表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法。
【請求項3】
溶液中にアセトンが含まれている請求項1又は2記載の表面研磨陶磁器タイルに防汚性を付与する方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法で防汚性が付与されてなる表面研磨陶磁器タイル。

【公開番号】特開2011−241102(P2011−241102A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112424(P2010−112424)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】