説明

表面被覆無機粒子

【課題】 樹脂に分散させることにより、より高い剛性および耐擦傷性を示す樹脂組成物を与えうる表面被覆無機粒子を提供する。
【解決手段】 本発明の表面被覆無機粒子は、無機粒子の表面が、炭素数4〜12のアルキル基を有する表面処理剤により、前記アルキル基の表面密度が1×1016個/m2〜5×1018個/m2となるように、被覆されてなる。好ましくは水酸化アルミニウムからなり、アスペクト比5〜100の針状である。本発明の無機粒子が樹脂に分散されてなる樹脂組成物は高い剛性および耐擦傷性を示す。好ましくは無機粒子が水酸化アルミニウム粒子であり、樹脂が水酸化アルミニウムにより造核作用を受けるもの、例えばポリオレフィンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面被覆無機粒子に関し、詳しくは無機粒子の表面が表面処理剤により被覆されてなる表面被覆無機粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
無機粒子は、樹脂の剛性、耐擦傷性を向上させるための充填剤として広く用いられており、その表面を表面処理剤で被覆して、剛性などをより向上させることのできる表面被覆無機粒子も知られている〔特許文献1:特開2001−261902号公報〕。
【0003】
このような表面被覆無機粒子としては、より高い剛性、耐擦傷性を示す樹脂組成物を与えうるものが望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−261902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者は、より高い剛性および耐擦傷性を示す樹脂組成物を与えうる無機粒子を開発するべく鋭意検討した結果、無機粒子の表面を、炭素数4〜12のアルキル鎖を有する表面処理剤により、アルキル鎖の表面密度が1×1016個/m2〜5×1018個/m2となるように、被覆することにより、樹脂中に分散させたときに、剛性および耐擦傷性が、より向上することを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、無機粒子の表面が、炭素数4〜12のアルキル基を有する表面処理剤により、前記アルキル基の表面密度が1×1016個/m2〜5×1018個/m2となるように、被覆されてなる表面被覆無機粒子を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の表面被覆無機粒子が樹脂中に分散された樹脂組成物は、より高い剛性および耐擦傷性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の無機粒子の表面を被覆する表面処理剤は、炭素数4〜12のアルキル基を有するものであり、かかるアルキル鎖としては、例えばブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。
【0009】
表面処理剤として、具体的には、例えば炭素数4〜12のアルキル基のほかに、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基などを有するアルキルアルコキシシラン、リン酸エステル、カルボン酸およびその塩、脂肪酸エステル、チタネートカップリング剤などが挙げられる。
【0010】
表面処理剤による表面の被覆の程度は、樹脂中に均一に分散しうる点で、表面処理剤を構成する炭素数4〜12のアルキル基の表面密度が、1×1016個/m2以上、好ましくは1×1017個/m2以上となる程度であり、剛性および耐擦傷性の高い樹脂組成物が得られる点で、5×1018個/m2以下、好ましくは3×1018個/m2以下となる程度である。
【0011】
無機粒子は特に限定されるものではなく、例えば水酸化アルミニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、シリカ粒子、タルク、炭酸カルシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、チタニア粒子、塩基性硫酸マグネシウム粒子、チタン酸カリウム粒子、ウォラストナイト粒子、酸化亜鉛粒子などが挙げられる。
【0012】
本発明の表面被覆無機粒子を製造する方法としては、例えば表面処理剤が溶解された溶媒中に、表面が被覆されていない無機粒子を分散させ、この状態で、無機粒子を表面処理剤と反応させる方法、ヘンシェルミキサーなどのような攪拌混合装置により、無機粒子と表面処理剤とを無溶媒で攪拌混合し、必要により加熱して反応させる方法などが挙げられる。表面におけるアルキル基の密度は、例えば無機粒子の表面積と、表面処理剤の使用量とから求めることができる。
【0013】
本発明の表面被覆無機粒子の大きさは、レーザー回折法により測定した中心粒子径で、通常0.1μm〜10μm程度、好ましくは5μm以下程度である。
【0014】
本発明の表面被覆無機粒子の形状は特に限定されないが、針状であることが、剛性の高い樹脂組成物が得られる点で好ましく、さらに好ましくはアスペクト比5〜100程度である。針状の無機粒子である場合、その長径は通常0.05μm〜10μm、好ましくは0.1μm〜5μm程度であり、短径は通常0.005μm〜2μm、好ましくは0.01μm〜0.1μm程度である。
【0015】
本発明の表面被覆無機粒子を樹脂中に分散させることで、剛性および耐擦傷性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0016】
樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などのスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマーなどのエラストマーなどが挙げられる。
【0017】
ポリオレフィン樹脂とは、オレフィン単位を主成分とする重合体であって、例えばエチレン重合体、プロピレン重合体、ブテン重合体などが挙げられる。
【0018】
エチレン重合体は、エチレン単位を主成分とする重合体、具体的には50質量%以上含む重合体であって、エチレン単位単独からなるエチレン単独重合体、エチレンおよびエチレンと共重合可能な他の単量体の共重合体が挙げられる。エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン、アクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0019】
エチレンおよびエチレンと共重合可能な他の単量体の共重合体として具体的には、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0020】
プロピレン重合体は、プロピレン単位を主成分とする重合体、具体的には50質量%を超えて含む重合体であって、例えばプロピレン単位単独からなるプロピレン単独重合体、プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばエチレンが挙げられる。また、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数4〜20のα−オレフィン、上記したと同様のアクリル酸エステル、酢酸ビニルなども挙げられる。
【0021】
プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体は、ランダム重合体であってもよい。このようなランダム共重合体としては、例えばプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
【0022】
プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体は、ブロック重合体であってもよい。このようなブロック共重合体としては、例えばプロピレン単位単独からなる第1ポリマー単位と、プロピレンおよびエチレンがランダム共重合した構造の第2ポリマー単位とからなるエチレン−プロピレンブロック共重合体が挙げられる。エチレン−プロピレンブロック共重合体の第2ポリマー単位におけるプロピレン単位の含有量は通常20質量%〜90質量%であり、エチレン単位の含有量は通常80質量%〜10質量%である。
【0023】
また、ブロック共重合体として、プロピレン単位単独からなる第1ポリマー単位と、プロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンがランダム共重合した構造の第2ポリマー単位とからなるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられ、具体的には、例えばプロピレン−1−ブテンブロック共重合体、プロピレン−1−ペンテンブロック共重合体、プロピレン−1−ヘキセンブロック共重合体などが挙げられる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の第2ポリマー単位におけるプロピレン単位の含有量は通常20質量%〜90質量%であり、炭素数4以上のα−オレフィン単位の含有量は通常80質量%〜10質量%である。
【0024】
ブテン重合体は、1−ブテン単位を主成分とする単量体、具体的には50質量%を超えて含む重合体であって、1−ブテン単位単独からなる1−ブテン単独重合体、1−ブテンおよび1−ブテンと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0025】
樹脂としてオレフィン樹脂などのような、水酸化アルミニウム粒子により造核作用を受けるものを用いる場合には、本発明の無機粒子として水酸化アルミニウム粒子を用いると、造核作用によって、より高剛性の樹脂組成物が得られる点で、好ましい。
【0026】
かかる樹脂組成物を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば本発明の無機粒子と樹脂とを溶融混練する方法などが挙げられる。
【0027】
かかる樹脂組成物は、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、造核剤、中和剤などを含んでいてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の無機粒子を充填剤として含んでいてもよい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0029】
なお、評価方法は以下のとおりである。
(1)曲げ弾性率〔FM、単位はMPa〕
樹脂組成物を100mm×5mm×2mmのテストピースに成形し、JIS−K−7171に準拠して、厚み4mm、スパン長さ64mm、加重速度2mm/分、測定温度23℃の条件で曲弾性率(FM)を測定した。この値がが高いほど、剛性に優れることを示す。
(2)耐傷付き性試験
樹脂組成物を100mm×5mm×2mmのテストピースに成形し、引っかき試験機〔上島製作所社製、「特殊大型U−F」型〕を用いて、先端直径1mmのSUS製半球の傷付き試験用針により、荷重1300gにて、600mm/minの速度で傷を付けた。
次いで、このテストピースの表面の傷の深さを、表面粗さ形状測定機〔東京精密社製、「サーフコム550A」〕を用いて、傷の周りの盛り上がった部分から傷の底部までの深さとして、0.1μm単位で測定した。この値が小さいほど傷付き性に優れることを示す。
(3)BET比表面積
窒素吸着法により求めた。
(4)アルキル基の表面密度
原料として用いた無機粒子のカーボン含有量(C0、質量%)と、表面被覆無機粒子のカーボン含有量(C1、質量%)とを「スミグラフNCH−21型」((株)住化分析センター製)を用いて求め、表面処理剤1モルあたりのカーボン含有量(Cm、質量%)から、式(1)

により、表面処理剤含有量(質量%)を求め、表面処理剤1分子に含まれるアルキル基の数(An、個)、表面処理剤の分子量(Mn)、無機粒子の比表面積(S、m2/g)およびアボガドロ数(N=6×1023)より、式(2)

により、アルキル基の表面密度(個/m2)を求めた。
なお、表面処理剤1モルあたりのカーボン含有量(Cm)は表面処理剤の分子式より求め、表面処理剤としてシランカップリング剤を用いた場合は、加水分解後の分子式より求めた。
(5)中心粒径
レーザー散乱式粒度分布計〔リード アンド ノースラップ社製、「マイクロトラックHRA」〕により測定した粒度分布曲線から、50重量%粒子径(D50)として求めた。
(6)長径および短径
透過型電子顕微鏡写真から求めた。
【0030】
参考例1〔水酸化アルミニウムの調製〕
アルミニウムアルコキシド〔BET比表面積241m2/g〕を加水分解して得られたベーマイト型水酸化アルミニウム〔軽装嵩比重0.76g/cm3、DOP吸油量80ml/100g、BET比表面積241m2/g、コンデア社製「CATAPAL D」〕7質量部をイオン交換水93質量部と混合してスラリーとし、連続型ビーズミルにて粉砕した。粉砕後のスラリー2130gに、ギブサイト型水酸化アルミニウム〔中心粒径1.4μm、BET比表面積6m2/g、Na2O含有量0.3質量%、住友化学社製、「C−301」〕2850gおよび水18000gを加えて混合し、さらに酢酸マグネシウム4水和物〔特級試薬、和光純薬工業製〕4110gを加えて溶解させて、水酸化アルミニウム粒子を含む酢酸マグネシウム水溶液を得た。
【0031】
得られた水溶液を、内容積30Lのオートクレーブ〔耐圧硝子工業製〕に入れ、180℃、4時間の条件で水熱処理を行った。内容物を冷却し、固体状の内容物を取り出した。この内容物に対して2容量倍の水を加えて混合し、クロスフロー濾過機により濃縮して固形分を回収する方法により洗浄した。この洗浄を合計3回行ったのち、固形分をエアバスにより乾燥して水酸化アルミニウム粒子を得た。
【0032】
得られた水酸化アルミニウム粒子は、主結晶相がベーマイトであり、短径が約10nm〜約20nm、長径が約200nm〜約500nmの針状粒子であった。この水酸化アルミニウム粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率50000倍)を図1に示す。この水酸化アルミニウムは中心粒径2.7μm、BET比表面積90m2/g、カーボン含有量(C0)1.6質量%であった。
【0033】
実施例1
〔表面処理水酸化アルミニウム粒子の製造〕
参考例1で得た水酸化アルミニウム粒子に水を加えて、固形分濃度5.5質量%のスラリーを調製し、回転半径261mmの遠心分離機により4000rpm、20分の処理条件で遠心分離し、遠心分離後の上澄み液を除去し、次いで上澄み液の除去量と同量のエタノールを添加して水酸化アルミニウム粒子を分散させてスラリーとした。このスラリーを遠心分離機にて上記と同じ遠心分離条件にて遠心分離し、上澄み液を除去し、上澄み液の除去量と同様のエタノールを加える操作を2回行ったのち、エタノールを加えて、固形分濃度5質量%のスラリーを得た。
【0034】
このスラリーに、該スラリー中の水酸化アルミニウム粒子の乾燥質量100質量部あたり5.3質量部の表面処理剤〔ヘキシルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製、「AZ-6177」〕を添加して均一に混合し、次いでコンデンサを備えたセパラブルフラスコに入れ、85℃の湯浴中で3時間加熱還流して表面処理を行った。表面処理後のスラリーを冷却し、遠心分離機により4000rpm、20分の処理条件で遠心分離し、遠心分離後の上澄み液を除去し、次いで上澄み液の除去量と同量のエタノールを添加して水酸化アルミニウム粒子を分散させてスラリーとした。このスラリーを遠心分離機にて上記と同じ遠心分離条件にて遠心分離し、上澄み液を除去したのち、室温(約25℃)で乾燥し、さらに120℃で2時間、加熱乾燥した。その後ロータスピードミル〔フリッチュ社製〕にて粉砕して、表面処理水酸化アルミニウム粒子(B-1)を得た。この表面処理水酸化アルミニウム粒子のカーボン含有量(C1)は2.4質量%であり、アルキル基の表面密度は、6.3×1017個/m2であった。
【0035】
〔樹脂組成物の製造〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体〔住友化学製、「AR−640V」、プロピレン単位単独からなる第1ポリマー単位と、プロピレン単位60質量%およびエチレン単位40質量%の第2ポリマー単位とからなる〕90質量部に、滑剤〔ステアリン酸カルシウム〕0.05質量部、酸化防止剤〔住友化学社製、「スミライザーGA−80」〕0.05質量部、酸化防止剤〔GEスペシャリティーケミカルズ社製、「ウルトラノックス626」〕0.1質量部および上記で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子10質量部を加え、2軸押出機〔スクリュー径15mm、テクノベル社製、「KZW15−45MG」〕にて200℃で溶融混練し、射出成型機〔東洋機械金属社製、「PLASTAR TU−15」〕にて射出成形してテストピースを得た。このテストピースの評価結果を第1表に示す。
【0036】
実施例2
〔表面処理水酸化アルミニウム粒子の製造〕
ヘキシルトリメトキシシラン〔AZ-6177〕に代えて、オクチルトリエトキシシラン〔日本ユニカー社製、「A−137」〕7.1質量部を用いた以外は実施例1と同様に操作して、表面処理水酸化アルミニウム粒子を得た。この表面処理水酸化アルミニウム粒子のカーボン含有量(C1)は3.7質量%であり、アルキル基の表面密度は、1.3×1018個/m2であった。
【0037】
〔樹脂組成物の製造〕
実施例1で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子に代えて、上記で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子を用いた以外は実施例1と同様に操作して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の評価結果を第1表に示す。
【0038】
実施例3
〔表面処理水酸化アルミニウム粒子の製造〕
ヘキシルトリメトキシシラン〔AZ-6177〕に代えて、デシルトリメトキシシラン〔日本ユニカー社製、「AZ−6176」〕7.6質量部を用いた以外は実施例1と同様に操作して、表面処理水酸化アルミニウム粒子を得た。この表面処理水酸化アルミニウム粒子のカーボン含有量(C1)は4.7質量%であり、アルキル基の表面密度は、1.5×1018個/m2であった。
【0039】
〔樹脂組成物の製造〕
実施例1で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子に代えて、上記で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子を用いた以外は実施例1と同様に操作して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の評価結果を第1表に示す。
【0040】
比較例1
〔樹脂組成物の製造〕
実施例1で得た表面処理水酸化アルミニウム粒子に代えて、参考例1で得た水酸化アルミニウム粒子をそのまま用いた以外は実施例1と同様に操作して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の評価結果を第1表に示す。
【0041】
第 1 表
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表面処理剤 アルキル基 曲げ弾性率 耐傷付き性試験
の表面密度 深さ
(個/m2) (MPa) (μm)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 ヘキシルトリメトキシシラン 6.3×1017 1560 8.7
実施例2 オクチルトリエトキシシラン 1.3×1018 1620 3.8
実施例3 デシルトリメトキシシラン 1.5×1018 1500 5.3
───────────────────────────────────────
比較例1 − − 1430 14.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】参考例1で得た水酸化アルミニウム粒子の透過型電子顕微鏡写真(50000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子の表面が、炭素数4〜12のアルキル基を有する表面処理剤により、前記アルキル基の表面密度が1×1016個/m2〜5×1018個/m2となるように、被覆されてなる表面被覆無機粒子。
【請求項2】
無機粒子が水酸化アルミニウム粒子である請求項1に記載の表面被覆無機粒子。
【請求項3】
アスペクト比5〜100の針状である請求項1また請求項2に記載の表面被覆無機粒子。
【請求項4】
請求項1に記載の表面被覆無機粒子が樹脂に分散されてなる樹脂組成物。
【請求項5】
無機粒子が水酸化アルミニウム粒子であり、樹脂が水酸化アルミニウムにより造核作用を受けるものである請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂がポリオレフィン樹脂である請求項5に記載の樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−193339(P2006−193339A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3618(P2005−3618)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】