説明

袋入り家庭用薄葉紙

【課題】従来よりも利便性の向上した袋入り家庭用薄葉紙を提供する。
【解決手段】可撓性フィルムにより形成されて内部に収容部が設けられた袋本体2と、その袋本体2の収容部に、折り畳んで交互に重ね合わされた家庭用薄葉紙3とを含んで構成されており、袋本体2には、その表面2bの中央部に、表面2bの長辺方向に沿って、長辺よりも短い長さのスリット予定部5aがミシン目によって形成されており、スリット予定部5aは、家庭用薄葉紙3の幅100〜185mmに対し30%〜70%の長さとされ、ミシン目を裂開することにより、スリット予定部5aが開口されてスリット部とされ、スリット部において家庭用薄葉紙3の幅、すなわち短辺が縮められながら家庭用薄葉紙3引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋入り家庭用薄葉紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム等から形成された袋や紙製等の箱に、折り畳まれた家庭用薄葉紙を収納した袋入り家庭用薄葉紙や箱入り家庭用薄葉紙が知られている(例えば、特許文献1〜4)。これらの家庭用薄葉紙は、袋や箱に収納されているため、埃等から保護されるとともに、持ち運びもしやすく、家庭用薄葉紙が破れたりすることからも保護され、長期間の使用にも耐えうるため便利である。
【0003】
【特許文献1】実開昭56−80796号公報
【特許文献2】特開2000−33978号公報
【特許文献3】特開2001−340257号公報
【特許文献4】特開平8−91429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、袋入り家庭用薄葉紙は、家庭用薄葉紙を取り出す取出し口から、一度に多くの家庭用薄葉紙がでてしまう問題点がある。特に、使用を続けて袋内の家庭用薄葉紙の枚数が減少してくると、取り出し口から袋内の家庭用薄葉紙が大量に飛び出してしまうことが頻繁に起こるようになってくる。また、取り出し口から埃等が内部に入りやすい。さらに、袋入り家庭用薄葉紙は、意匠性向上や宣伝効果のために袋に印刷を施すことが多いが、この場合、袋内の家庭用薄葉紙の残量が分かりにくい。
【0005】
本発明の課題は、従来よりも利便性の向上した袋入り家庭用薄葉紙を提供することにある。具体的には、袋内の家庭用薄葉紙の保護性に優れ、袋内の家庭用薄葉紙を取り出しやすい袋入り家庭用薄葉紙を提供する。さらに、袋内の家庭用薄葉紙の残量が認識しやすい袋入り家庭用薄葉紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明によって以下の袋入り家庭用薄葉紙が提供される。
【0007】
[1] 可撓性フィルムにより形成されて内部に収容部が設けられた袋本体と、その袋本体の前記収容部に収容された、折り畳んで交互に重ね合わされた家庭用薄葉紙と、を含み、前記袋本体の表面の中央部に、前記表面の長辺方向に沿って、前記家庭用薄葉紙の幅100〜185mmに対し30%〜70%の長さのスリット予定部がミシン目によって形成され、前記ミシン目を裂開することにより、前記スリット予定部が開口されてスリット部とされ、そのスリット部において前記家庭用薄葉紙の幅が縮められながら前記スリット部から引き出されることにより、次の層の前記家庭用薄葉紙が順に引き出される袋入り家庭用薄葉紙。
【0008】
[2] 前記袋本体内の前記家庭用薄葉紙は、その短辺側が前記袋本体の前記長辺に沿うようにIフォールドに折り畳まれて収容されており、前記スリット部において前記家庭用薄葉紙の前記短辺が縮められながら引き出される前記[1]に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【0009】
[3] 前記袋本体の側面に、印刷の施されていない非印刷部が形成され、その非印刷部が前記家庭用薄葉紙の残量を視認するための残量視認部とされた前記[1]または[2]に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【0010】
[4] 前記袋本体の側面が、前記収容部を形成するために前記可撓性フィルムを貼り合わせることにより閉じられた密封部とされ、その密封部が前記非印刷部とされている前記[3]に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【0011】
[5] 前記家庭用薄葉紙は、1〜4枚を一組として折り畳んで交互に重ね合わされており、1枚当たりのJIS P 8124で規定する坪量は、11〜25g/mである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【0012】
[6] 前記家庭用薄葉紙は、抄紙機におけるドライヤーパートの周速度と巻取部の周速度の差によって付与され、かつ下記式によって規定されるクレープ率が12〜35%である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の袋入り家庭用薄葉紙。
クレープ率 =100×(ドライヤー周速度−巻取部周速度)/巻取部周速度
【0013】
[7] 前記家庭用薄葉紙は、エンボス加工が施された前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【発明の効果】
【0014】
本発明の袋入り家庭用薄葉紙は、袋本体の表面の中央部に、表面の長辺方向に沿って、家庭用薄葉紙の幅100〜185mmに対し30%〜70%の長さのスリット予定部がミシン目によって形成されており、このスリット予定部を開口することによりスリット部として、収容部内の家庭用薄葉紙を引き出すことができる。家庭用薄葉紙の引き出し時に、スリット部において家庭用薄葉紙の幅が縮められながらスリット部から引き出されるため、引き出される家庭用薄葉紙と次の層の家庭用薄葉紙との摩擦力が増大し、次の層の家庭用薄葉紙が引き出されやすくなる。そして、収容部内の家庭用薄葉紙の残量が少なくなっても、この効果が維持されやすい。
【0015】
一方、袋本体の側面に、印刷の施されていない非印刷部が形成されているため、家庭用薄葉紙の残量を視認しやすい。また袋入り家庭用薄葉紙の製造時に、収容部内に家庭用薄葉紙を収容し、可撓性フィルムを貼り合わせることにより閉じられた密封部とするが、その密封部が非印刷部と兼用されているため、印刷のインク等の影響を受けずに可撓性フィルムを熱融着等により容易に貼り合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1は、本発明の袋入り家庭用薄葉紙1の斜視図である。可撓性フィルムにより形成されて内部に収容部2aが設けられた袋本体2と、その袋本体2の収容部2aに収容された、折り畳んで交互に重ね合わされた家庭用薄葉紙3とを含んで構成されている。
【0018】
袋本体2は、可撓性フィルムにより構成されている。可撓性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類等を用いることができるが、その他のものであってもよい。ただし、後述するように、袋本体2の一部を収容部2a内の家庭用薄葉紙3の残量を確認するために残量視認部とするために、透明、または半透明の材料により形成することが好ましい。なお、残量視認部以外は、印刷等が施されていてもよい。
【0019】
袋本体2の厚みは、20〜50μm程度であることが好ましい。20μm未満になると、家庭用薄葉紙3を保持するための強度が不十分となったり、また熱融着により袋本体を密封する場合に、融着部が裂ける等の問題が生じる。一方、50μmを超えて厚くなると、熱融着等の加工性が悪くなり、生産性が大幅に低下するようになる。
【0020】
袋本体2は、家庭用薄葉紙3を収容しうる扁平な袋状に構成される。その大きさは、収容される家庭用薄葉紙3の形状やサイズにより適宜選択されればよいが、例えば、縦130mm×横197mmの家庭用薄葉紙3が折り曲げられて340枚(170組)収容されるように、縦103×横130×高さ60mm(家庭用薄葉紙3の縦が袋本体2の横に沿うように収容される)程度に形成することができる。
【0021】
袋本体2には、その表面の中央部に、表面の長辺方向に沿って、長辺よりも短い長さのスリット予定部5aがミシン目によって形成されている。このミシン目を裂開することにより、スリット予定部5aが開口されてスリット部5とされる。そのミシン目の強さは、4〜8N/cmの力により裂開されるように形成されるとよい。スリット部5から、収容部2a内に収容されている家庭用薄葉紙3を引き出すことができる。
【0022】
袋本体2内の家庭用薄葉紙3は、その短辺3s(上述の縦)側が袋本体の長辺2l(上述の横)に沿うように、図2に模式的に示すようなIフォールドに折り畳まれて収容されており、図3に示すようにスリット部5において家庭用薄葉紙3の幅、すなわち短辺3sが縮められながら引き出される。このとき、引き出される家庭用薄葉紙3の幅が縮むために、次の層の家庭用薄葉紙3との摩擦力が増大すると共に、家庭用薄葉紙3とスリット部5との摩擦力が減少することにより、次の層の家庭用薄葉紙3が静音かつ容易に引き出し可能となる。また、収容部2a内の家庭用薄葉紙3の残量が減少した場合でも、容易に家庭用薄葉紙3を引き出すことができる。
【0023】
上述のように、家庭用薄葉紙3が連続的に引き出されやすい効果を得るためには、袋本体2の表面2bの中央部に形成されたスリット部5が、表面2bの長辺方向に沿って、家庭用薄葉紙3の短辺3s100〜185mmに対し30%〜70%の長さであることが好ましい。また、家庭用薄葉紙3は、図2に示すように、1〜4枚を一組として、いわゆるIフォールド(インターフォールドとも言う)に折り畳まれ、第1層の家庭用薄葉紙3の間(内側)に、異なる向きの第2層の家庭用薄葉紙3が挟み込まれて積層され、以下順々に次の層を挟み込んで交互に重ね合わされているとよい。家庭用薄葉紙3は、その1枚当たりのJIS P 8124で規定する坪量が、11〜25g/m、好ましくは12〜16g/m、より好ましくは14g/mであるものを使用するとよい。さらに、家庭用薄葉紙3は、クレープ率が12〜35%、好ましくは、14〜20%、さらに好ましくは、17%であるものを使用するとよい。なおクレープ率は、抄紙機におけるドライヤーパートの周速度と巻取部の周速度の差によって付与され、かつ下記式によって規定される。
クレープ率 =100×(ドライヤー周速度−巻取部周速度)/巻取部周速度
【0024】
つまりヤンキードライヤー表面からドクターブレードによってティシュペーパーを掻き取る際の周速差によって生じる撓みがティシュペーパーに皺を生じさせる。さらに、家庭用薄葉紙3は、エンボス加工が施されていてもよい。この家庭用薄葉紙3は、エンボスを付加する事により、見掛けの嵩膨らみ製品高さは、30〜120mmである。エンボス加工としては、マッチドスチール、ネステッド、ピロー等が挙げられる。エンボス加工が施されていると、複数枚を一組とされた家庭用薄葉紙3がより引き出しやすくなる。以上のようなスリット部5の長さ、積層方法、坪量、クレープ率、及びエンボス加工を採用することにより、より効果的に引き出し効果を得ることができる。
【0025】
図1に示すように、袋本体2は、その側面に印刷の施されていない非印刷部7が形成され、その非印刷部7が家庭用薄葉紙3の残量を視認するための残量視認部とされている。つまり、残量視認部は、透明または半透明であるため、利用者は、家庭用薄葉紙3の残量を容易に確認することができる。さらに、袋本体2の側面が、収容部2aを形成するために可撓性フィルムを貼り合わせることにより閉じられた密封部8とされている。すなわち、図4に示すように、収容部2aに家庭用薄葉紙3を収容した後に、可撓性フィルムを、例えば、熱融着により貼り合わせる。この場合、密封部8は、融着部でもあるが、熱融着以外の方法により密封部8を形成してもよい。この密封部8が非印刷部と兼用されているため、密封時に、印刷のインク等の影響を受けずに密封することが可能である。また、密封部周辺以外を印刷部とすることにより、袋入り家庭用薄葉紙1の意匠性を向上したり、宣伝効果を得たりすることができる。
【0026】
以上のような袋入り家庭用薄葉紙1は、袋本体2内の家庭用薄葉紙3を連続的に引き出しやすく、家庭用薄葉紙3の残量が減少しても、同様の効果を維持しやすい。また、密封部8が非印刷部7とされているため、製造時の熱融着等が容易に行えるのみならず、使用時にも利用者が家庭用薄葉紙3の残量を確認しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の袋入り家庭用薄葉紙は、埃等から保護されるとともに、携帯性もよく、家庭用薄葉紙が破れたりすることからも保護され、長期間の使用にも耐えうる家庭用薄葉紙として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の袋入り家庭用薄葉紙を示す斜視図である。
【図2】Iフォールドを模式的に示した模式図である。
【図3】家庭用薄葉紙の引き出しを説明する説明図である。
【図4】密封部の形成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1:袋入り家庭用薄葉紙、2:袋本体、2a:収容部、2b:表面、2l:長辺、3:家庭用薄葉紙、3s:短辺、5:スリット、5a:スリット予定部、7:非印刷部、8:密封部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルムにより形成されて内部に収容部が設けられた袋本体と、
その袋本体の前記収容部に収容された、折り畳んで交互に重ね合わされた家庭用薄葉紙と、を含み、
前記袋本体の表面の中央部に、前記表面の長辺方向に沿って、前記家庭用薄葉紙の幅100〜185mmに対し30%〜70%の長さのスリット予定部がミシン目によって形成され、
前記ミシン目を裂開することにより、前記スリット予定部が開口されてスリット部とされ、そのスリット部において前記家庭用薄葉紙の幅が縮められながら前記スリット部から引き出されることにより、次の層の前記家庭用薄葉紙が順に引き出される袋入り家庭用薄葉紙。
【請求項2】
前記袋本体内の前記家庭用薄葉紙は、その短辺側が前記袋本体の前記長辺に沿うようにIフォールドに折り畳まれて収容されており、前記スリット部において前記家庭用薄葉紙の前記短辺が縮められながら引き出される請求項1に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【請求項3】
前記袋本体の側面に、印刷の施されていない非印刷部が形成され、その非印刷部が前記家庭用薄葉紙の残量を視認するための残量視認部とされた請求項1または2に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【請求項4】
前記袋本体の側面が、前記収容部を形成するために前記可撓性フィルムを貼り合わせることにより閉じられた密封部とされ、その密封部が前記非印刷部とされている請求項3に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【請求項5】
前記家庭用薄葉紙は、1〜4枚を一組として折り畳んで交互に重ね合わされており、1枚当たりのJIS P 8124で規定する坪量は、11〜25g/mである請求項1〜4のいずれか1項に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
【請求項6】
前記家庭用薄葉紙は、抄紙機におけるドライヤーパートの周速度と巻取部の周速度の差によって付与され、かつ下記式によって規定されるクレープ率が12〜35%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の袋入り家庭用薄葉紙。
クレープ率 =100×(ドライヤー周速度−巻取部周速度)/巻取部周速度
【請求項7】
前記家庭用薄葉紙は、エンボス加工が施された請求項1〜6のいずれか1項に記載の袋入り家庭用薄葉紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−183034(P2008−183034A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16573(P2007−16573)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(392018610)株式会社ジョイフル本田 (3)
【Fターム(参考)】