説明

袋状タンク固縛装置

【課題】 液体等を搬送するための袋状タンクを車両の荷台等へ固定するための固縛装置を提供する。
【解決手段】 固縛装置300は柔軟なロープ等でつくられる立体ネット構造体310と補強ロープ320を有し、内部に収容した袋状タンクの給排口52が貫通する開口部330を備える。固縛装置300は、それ自体では自立せず、内部の袋状タンクに内容物を充填したときに、袋状タンクの形状に対応する立体を形成する袋状タンクの出し入れ用の開口部はファスナ350で開閉され、緊迫用のロープの吊り具360が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の輸送装置における液体運送に用いられる折りたたみ可能な袋状のタンクを台車に固定する固縛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車両によって液体を運送する際には、専用の金属製のタンクを備えたタンクローリー車を使用することが一般的である。
しかしながら、タンクローリー車では、液体の運送に限定され、復路は空車で運行される等の効率が悪い問題がある。
そこで、下記の特許文献は、液体搬送と液体以外の荷物に対応できる技術を開示している。
【特許文献1】特許第3074337号公報
【特許文献2】特開2000−85883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたものは、コンテナを必要とし、また、特許文献2のものは、専用構造を要するトラックである。
本発明は通常のトラックで安全かつ簡便に利用することができる袋状タンク(ソフトタンク)の固縛装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の袋状タンクの固縛装置は、袋状タンクを内部に納めて袋状タンクを固縛する立体ネット構造体を備え、該立体ネット構造体は袋状タンクに内容物を充填したときに該袋状タンクの形状を規制する立体形状を構成するものである。
【0005】
立体ネットに構造体は、立体ネット構造体の少なくとも立方体の各辺に配置される補強ロープを備え、また、袋状タンクを出し入れするために開口部を備える。
そして、立体ネット構造体は、袋状タンクを搬送具に固定するための固定具の取付け部位を備え、収納した袋状タンクの給排口に対応する部位のネットに給排口が貫通する開口部を備えるものである。
【0006】
さらに、立体ネット構造体は、その下部に配設されて立体ネット構造体に係止される深鉢状のシート部材を備え、立体ネット構造体と搬送具の搬送面の間に配設される保護材を備えることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体を輸送する柔質な材料でつくられる袋状タンクを確実に固縛することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1,図2は、本発明を実施する車両の説明図である。
トラック等の車両1は荷台2を有し、荷台2上にソフトタンクと称される袋状のタンク5が載置され、固縛装置10で固定される
袋状タンク5は、液体を収容しないときには、折りたたむことができる軟質の材料でつくられる。
【0009】
図3は、本発明の固縛装置の基本的な構造を示す説明図である。
全体を符号100で示す固縛装置は、袋状タンクを内部に納めるネット構造体110を有する。ネット構造体110は、柔軟で強度の高いワイヤー、ロープ等で構成され、必要に応じて縁部を補強ロープ120で補強することができる。
このネット構造体110は、単体では自立することはできず、内部に袋状タンクを収納し、袋状タンクに空気や液体を充填して袋状タンクを膨張させたときに、袋状タンクの形状に応じた立体形状を形成する。
そこで、ネット構造体110の短辺側の側面110aの中央に袋状タンクの給排口が貫通する開口部130が設けてある。
【0010】
図4は、袋状タンクを出し入れするための開口部を有する固縛装置の例を示す。
固縛装置200は、ネット構造体210を有し、短辺側の側面210aに袋状タンクの給排口が貫通する開口部230を備える。ネット構造体210の上面210bの中央部には、長手方向に沿って開口部240が形成される。
この開口部240の周囲は補強ロープ220で補強され、後述するリング部材が設けられる。
【0011】
図5は、本発明の固縛装置の他の例を示す。
固縛装置300は、ネット構造体310と補強ロープ320と、袋状タンクの給排口が貫通する開口部330を有する。そして、ネット構造体の上面に設けられる開口部340を開閉するファスナ350が取付けられる。
【0012】
次に、図6、図7を用いて固縛装置300に袋状タンク5を収容する工程を説明する。固縛装置300は、袋状タンクを収容しない状態では自立せず、図6に示すような状態に折り畳まれている。
【0013】
図7は、袋状タンク5を折り畳む手順を示す。袋状タンク5は、ゴム等の柔軟性のある材料でつくられるタンク本体50と、タンク本体50に空気や液体を出し入れするための給排口52を備える。
タンク本体50内の充填物を排出させると、タンク本体50を図の(b)に示すように折り畳むことができる。折り畳まれたタンク本体50は、図の(c)に示しように、折り曲げることも可能となる。
【0014】
袋状タンク5の柔軟性を利用して、図6に示す折り畳まれた固縛装置300の開口部340からタンク本体50を固縛装置300のネット構造体310内に差し入れる。
【0015】
図8に示すように、袋状タンク本体を収納した固縛装置300のファスナ350を閉じ、給排口52からタンク内に充填物を注入すると、タンク本体50は膨張し、固縛装置300も膨張してタンク本体の内圧を受けて、立体形状となる。
ファスナ350の両側の補強ロープ320には、リング部材360が設けられる。このリング部材360は、補強ロープ320と同じ材料でつくることもできる。
【0016】
図9は、ファスナ360の両側に設けたリング部材360を利用した緊迫用ロープのかけ方を示す。
緊迫用ロープ400は、ファスナ350を越えた側のリング部材360に結ばれ、内部の袋状タンクを緊迫するとともに、ファスナ350にかかる応力を緩和する。
緊迫用ロープ400の他端は図示しない荷締器及びラッシングベルト等で荷台2に係止される。
【0017】
図10は、固縛装置に設ける補強ロープの配置の例を示す説明図である。
固縛装置500は、ネット構造体510と補強ロープ520及び袋状タンクの給排口が貫通する開口部530を有する。
補強ロープ540は、ネット補強体510の各辺の対角方向を連結するように配置される。
【0018】
図11は、固縛装置600をトラックの荷台2上に固定する手段を示す。
固縛装置600のネット構造体610の下面の補強ロープ620の四隅から延長ロープ660を延ばし、リング670を介して図示しない荷締器に連結されるラッシングベルト680を利用して固縛装置600を荷台2上に固定する。
【0019】
図12は、固縛装置700をトラックの荷台2上に固定する他の手段を示す。
固縛装置700のネット構造体710の上面の補強ロープ720の四隅から延長ロープ760を延ばし、リング770を介して図示しない荷締器に連結されるラッシングベルト780を利用して固縛装置700を荷台2上に固定する。
【0020】
以上のように、本発明の袋状タンク固縛装置は、液体等を収納した柔軟性を有する袋状タンクを荷台等の搬送具に対して確実かつ容易に固縛することができる。
袋状タンクが損傷したときに備えて立体ネット構造体の下面に着脱自在に深鉢状のシート部材を配設することができる。
また、立体ネット構造体と搬送具の搬送面の間に保護材を備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施する車両の説明図。
【図2】本発明を実施する車両の説明図。
【図3】本発明の固縛装置の基本的な構造を示す説明図。
【図4】本発明の固縛装置の他の例を示す説明図。
【図5】本発明の固縛装置の他の例を示す説明図。
【図6】固縛装置に袋状タンクを収容する工程を示す説明図。
【図7】固縛装置に袋状タンクを収容する工程を示す説明図。
【図8】固縛装置の立体形状を示す説明図。
【図9】緊迫用ロープのかけ方を示す説明図。
【図10】補強用ロープの配置を示す説明図。
【図11】固縛装置を荷台上に固定する手段を示す説明図。
【図12】固縛装置を荷台上に固定する手段を示す説明図。
【符号の説明】
【0022】
1 車両
2 荷台
5 袋状タンク
10 袋状タンク固縛装置
50 袋状タンク本体
52 給排口
100 袋状タンク固縛装置
110 ネット構造体
120 補強ロープ
130 袋状タンクの給排口貫通用開口部
200 袋状タンク固縛装置
210 立体ネット構造体
220 補強ロープ
230 袋状タンクの給排口貫通用開口部
240 袋状タンク出し入れ用開口部
300 袋状タンク固縛装置
310 立体ネット構造体
320 補強ロープ
330 袋状タンクの給排口貫通用開口部
340 袋状タンク出し入れ用開口部
350 ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送具に対して袋状タンクを固縛する装置において、
袋状タンクを内部に納めて袋状タンクを固縛する立体ネット構造体を備え、該立体ネット構造体は袋状タンクに内容物を充填したときに該袋状タンクの形状を規制する立体形状を構成することを特徴とする袋状タンク固縛装置。
【請求項2】
立体ネット構造体は、立体ネット構造体の少なくとも立方体の各辺に配置される補強ロープを備える請求項1記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項3】
立体ネット構造体は、袋状タンクを出し入れするために開口部を備える請求項1記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項4】
前記開口部を開閉する手段を備える請求項3記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項5】
立体ネット構造体は、袋状タンクを搬送具に固定するための固定具の取付け部位を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項6】
立体ネット構造体は、収納した袋状タンクの給排口に対応する部位のネットに給排口が貫通する開口部を備える請求項1乃至5のいずれかに記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項7】
立体ネット構造体は、その下部に配設されて立体ネット構造体に係止される深鉢状のシート部材を備える請求項1乃至6のいずれかに記載の袋状タンク固縛装置。
【請求項8】
立体ネット構造体と搬送具の搬送面の間に配設される保護材を備える請求項1乃至7のいずれかに記載の袋状タンク固縛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−30742(P2007−30742A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218718(P2005−218718)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504105265)株式会社 ワーカム北海道 (3)
【Fターム(参考)】