説明

袋状角目網の製造方法及び袋状角目網

【課題】 袋状角目網を製造するに際し、角目網同士を縫合することなく、編機上で一体に編成可能とするとともに、不用な部分を分離することで得られる経緯の編目の伸長率が小さい袋状角目網を提供することを目的とする。
【解決手段】 ダブルニードル列経編機を用い、前部網形成用編糸と後部網形成用編糸により、前部網及び後部網を個別に編成するとともに、前部網と後部網を構成する編ウエールのうち、所望の網体を画成する編ウエール相互を、連結糸により斜め方向に接結編成することで袋状網体を形成後、接結編成された個所の外方を含んだ画成個所を、切断などで分離することにより、角目を有する袋状網体を製造する方法と、この製造方法により得られる袋状角目網を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角目を有する袋状網体の製造方法と該製造方法により製造された袋状角目網に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、角目を有する網体の製造方法の一つとして、技術文献1に示されるように、先ず、菱目状網体をラッシェル機等で編成し、編成された網体の網目を構成する脚部に沿って、直線状に斜め方向に切断し三角部位を分離することで角目網形態とし、この角目網の各辺を用途に応じた形状、サイズになるように縫合して、目的の角目網としていた。
【0003】
一方、袋状角目網については、特許文献2,3にあるように、護岸工事などの土木工事に用いられる土嚢や石袋として利用されている。これらの土嚢や石袋は、ラッシェル機による網、無結節網あるいは蛙股網で編成されているが、いずれも網目は菱目状であり、特に、生産性の高いラッシェル機による網が多く用いられる。
【特許文献1】特許登録第3200027号公報
【特許文献2】特許登録第3730021号公報
【特許文献3】特開2005−54400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、菱目状網体から袋状角目網を形成せんとした場合、先ず、特許文献1のごとく、菱目状網体を編成し、この編成された網体を斜め方向に切断することで、角目網を得た後、2枚の角目網を重ねて少なくとも2辺を縫合して一枚の袋状角目網とする必要があった。
【0005】
又、従来の袋状角目網については、特許文献2,3のように、菱目状網を縫製により袋状としたものであり、この網袋の中に、砂利、石などを充填すると、菱目状の編組織上の物性により、網は、緯方向に拡張することになり、経方向の長さは自ずと短縮したものとなる。
【0006】
本発明は、袋状角目網を製造するに際し、角目網同士を縫合することなく、編機上で一体に編成可能とするとともに、不用な部分を分離することで得られる経緯の目合いの伸長率が小さい袋状角目網を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、ダブルニードル列経編機を用い、前部網形成用編糸と後部網形成用編糸により、前部網及び後部網を個別に編成するとともに、前部網と後部網を構成する編ウエールのうち、所望の網体を画成する編ウエール相互を、連結糸により斜め方向に接結編成することで袋状網体を形成後、接結編成された個所の外方を含んだ画成個所を、切断などで分離することにより、角目を有する袋状網体を製造するようにしたものである。
【0008】
又、本発明は、脚部及び結節部を含む菱目状編組織を構成する前部網及び後部網からなる袋状網体が連結糸により接結編成されてなり、前記網体の網目が角目を呈してなる袋状角目網としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、菱目状編組織からなる角目を前部及び後部に有する袋状角目網が、前部網及び後部網を編成すると同時に編成され、編成後、不用個所を切断等で分離することで、所望の袋状角目網を簡単に得ることができる。
【0010】
又、本発明の製造方法により得られる袋状角目網は、菱目状編組織で編成されているにも拘わらず、網目形状は角目であるので、袋に収納される物体が石である場合、収納される石の重みで網に付加が掛かったときに、袋の縦横の寸法安定性及び保形性が良好となり、使用時に変形しにくい袋状角目網になる。
【0011】
更に、本発明の製造方法により得られる他の袋状角目網は、蛇籠と呼ばれる直方体形状の網籠の形成において、網籠を構成する各編面については、菱目状の編組織からなる角目網により二重に形成されてなるので、網籠を画成する個所を切断などで分離することで得られる展開網素材を折曲して、折曲部の一部を縫製することで、角目網からなる堅牢な所望の蛇籠などの製品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
連結糸を通糸する編筬が、ジャカード制御可能なジャカード筬であり、網目を形成する編ウエール毎における接結編成を、個別の連結糸が分担して行なって、袋状の網体に形成することで、前後網の接結編成において、接結位置が自在に選択可能となる結果、前後網の任意位置での接結編成によって、種々の角目形態を有する袋状角目網の編成が可能となる。
【0013】
連結糸を通糸する編筬が、長尺体を張設してなるストリングバーであり、網目を形成する編ウエール毎における接結編成を、ストリングバーに付設してなるガイドに通糸した連結糸が分担して行なって、袋状の網体に形成することで、前部網と後部網の接結編成において、連結糸を通糸するストリングバーの移動可能幅が、従来のガイドバーの3倍以上大きくとれることで、連結糸を最小限の本数で、採用可能となり、かつ、角目網の幅を最大限幅広く採ることができる。
【0014】
前部網と後部網それぞれの目合いを異ならせて編成することで、角目の密度、形状が前後で異なる袋状角目網に製造が機上で製造可能となる。
【0015】
網体の少なくとも1辺が開放され、他辺が連結糸により接結編成されていることで、石等の投入口を有する袋状角目網として、縦横の寸法安定性があり、石等を充填した際も、角目が変形しない保形性のよい袋状角目網となる。
【0016】
前部網と後部網のそれぞれの目合いが異なっていることで、植生などの土木工事における袋状角目網の使用において、目合いの違う複合物として使用可能となる。又、縫製することで、土嚢としての適用も可能となる。
【実施例】
【0017】
次に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の袋状角目網を編成するために使用してなるダブルニードル列経編機の筬配列図の一例である。FNは前部編針列、BNは後部編針列であって、GB1〜GB4は、前部網を編成するための編糸1〜4を導糸するための地筬であり、GB6〜GB9は、後部網を編成するための編糸6〜9を導糸するための地筬である。JB5は、ジャカード筬であって、実施例では、圧電制御可能なピエゾ制御片10を備えており、連結糸5を導糸する。地筬GB1〜GB4、ジャカード筬JB5、地筬GB6〜GB9は、編針列(FN,BN)の配設方向に、パターンホイール、あるいはサーボモータ等の柄出し装置により、ラッピング可能に設けられている。
【0019】
図2は、図1に示すダブルニードル列経編機を用いて実施例の袋状角目網を製造するための基礎となる菱目状網組織を有する前部網体及び後部網体の編組織と、前部網体と後部網体を接結編成するための連結糸の編組織、及び編糸1〜4、連結糸5、編糸6〜9について、地筬GB1〜4、ジャカード筬JB5及び地筬GB6〜9への糸入れ本数及び糸入れ位置について示している。
【0020】
【表1】

表中、地筬GB1,GB2,JB5,GB8,GB9の各地筬の糸ガイドは、ガイド密度を編機ゲージ(7G)に対応する編針密度の2倍(14G)に設定しているので、チェーン番号は14Gに対応して、チェーン番号を0.1.2.3…の読みで示している。地筬GB3,GB4,GB6,GB7については、ガイド密度を編機ゲージ密度(7G)と同じにしているので、7ゲージの編針密度とし、糸ガイドは、各編針(FN,BN)の間隙中央間を変位させるようにしたので、チェーン番号を0.2.4.6…の読みで示している。打ち込み密度の設定は、3C/cmとした。
【0021】
図2中、1−1,1−2は、地筬GB1の各糸ガイドに2イン2アウトで通糸してなる一組の補強用の編糸であり、ポリエステル糸 1650dtexの2本引き揃え糸を用いており、2−1,2−2は、地筬GB2の各糸ガイドに2イン2アウトで通糸してなる別の一組の補強用の編糸であって、糸種、糸番手は編糸1−1,1−2と同じである。各編糸1−1,1−2,2−1,2−2は、地筬GB3,GB4の糸ガイドより導糸される編目形成用の編糸3,4により編成される結節部及び脚部からなる基布ウエールに対し挿入編成され、前部網を構成する。なお、編糸3,4についてもポリエステル糸 1650dtexの2本引き揃え糸である。又、8−1,8−2は、地筬GB8の各糸ガイドに2イン2アウトで通糸してなる一組の補強用の編糸であり、9−1,9−2は、地筬GB9の各糸ガイドに2イン2アウトで通糸してなる別の一組の補強用の編糸であって、各編糸8−1,8−2,9−1,9−2は、地筬GB6,GB7の糸ガイドより導糸される編目形成用の編糸6,7により編成される結節部及び脚部からなる基布ウエールに対し挿入編成され、後部網を構成する。編糸6,7,8−1,8−2,9−1,9−2についてはともに、前部網形成糸同様、ポリエステル糸 1650dtexの2本引き揃え糸を用いている。そして、編幅方向で糸ガイドに連続して通糸されているこれら各組の編糸が、編幅全体に編成され、前部網及び後部網が編成される。
【0022】
5a1,5a2は、連結糸用のジャカード筬JB5のジャカードガイドから導糸される連結糸であり、ポリエステル糸 165dtexの3本引き揃え糸を用いており、交互に1本おきにジャカードガイドに通糸され、図示される編組織に基づいて編成を行う。図3に示す菱目状編組織を有する前部網体及び後部網体の編成において、太実線で示す部分が、前部網NFと後部網NBを接結編成する個所を表している。太実線で示す前部網NF及び後部網NBの脚部位置Nc1,Nc2,Nc3…の編成については、個別の連結糸が分担して、前後部の編針列(FN、BN)に交互にオーバラッピングする編組織5bによって、前部網NFと後部網NBを接結編成する。又、連結糸5の編組織5a1については、分担個所の編成を行う脚部の次に、前部網NFの脚部に沿い図3に示す矢印方向に編み進む。更に、編組織5a1を編成する連結糸と交互に通糸した連結糸については、同じく矢印方向に、編組織5a2により後部網NBの脚部に沿って、各々編み進んでいくものである。
【0023】
そして、編成後、太実線で示す接結編成個所の外方を含む点線で示す画成個所を切断して、図4(a)に示す袋状網体NAを分離する。このようにした後、袋状網体NAの両側辺部11,12と底辺部13が略直角となるように変形させることにより、図4(a)の菱目NDが同図(b)のような角目NSを有し、石等の充填物投入用の口部Mを有する袋状網体NAが形成されるものである。
【0024】
次に、上記両側辺部11,12及び底辺部13における前後網の接結状態について、図5により説明する。図中、編ウエールを構成するニードルループについて太線で描いているものが連結糸であり、細線で描いているものが、前部網NF用の編糸又は後部網NB用の編糸の一部を構成する編目形成用の編糸である。図ではその一部分を示しており、実際の網体は、図2の編組織図で示すように、前部網NFを構成する編目形成用の編糸3,4及び補強用の編糸1,2と、後部網NBを構成する編目形成用の編糸6,7及び補強用の編糸8,9より構成されるが、説明の便宜上、連結糸の接続状態を分かり易くするために、対応する各編糸のニードルループの一部からなる編ウエールのみを示し、その他の編糸の図示を省略している。
【0025】
図5に示す編目拡大部分については、図6の菱目状編組織を有する前後網体の編成において、太線で示すように、2つの袋状網体NA1,NA2を編方向で底辺部をつき合わせて2枚分連接して編成する実施例における菱目D1,D2,D3,D4を含む各個所に対応している。図5において、5−1、5−2、5−3、5−4、5−5はジャカードガイドに通糸されている連結糸を示しており、各連結糸5−1,5−2,5−3,5−4,5−5は前部網と後部網の接結の有無によって、ジャカード制御により、編組織が変化する。K1〜K4は、編成する編コース区間を示している。
【0026】
連結糸5−1は、まず編コースK1で、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となり、次に、編コースK2で前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、更に、編コースK3で、再び前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となり、編コースK4で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなる。
【0027】
連結糸5−2は、まず編コースK1で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、次に、編コースK2で、後部編針(BN)のみにオーバラッピングして編組織5a2となり、更に、編コースK3で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、
編コースK4で、後部編針(BN)のみにオーバラッピングして編組織5a2となる。
【0028】
連結糸5−3は、まず編コースK1で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、編コースK2でも、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、次に、編コースK3では、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となり、編コースK4でも、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となる。
【0029】
連結糸5−4は、まず編コースK1で、後部編針(BN)のみにオーバラッピングして編組織5a2となり、次に、編コースK2で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、更に、編コースK3で、後部編針(BN)のみにオーバラッピングして編組織5a2となり、編コースK4でも、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a2となる。
【0030】
連結糸5−5は、まず編コースK1で、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となり、次に、編コースK2でも、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となり、更に、編コースK3で、前後部編針(FN、BN)に交互にオーバラッピングして編組織5bとなり、編コースK4で、前部編針(FN)のみにオーバラッピングして編組織5a1となる。
【0031】
上記説明では、図6における菱目D1,D2,D3,D4に対接する編ウエールについてのみ説明しているが、その他の個所についても同様の接結方法に基づき、連結糸がジャカード制御されて編成されるが、ここではその説明を省く。
【0032】
図6のように、袋状網体NA1,NA2を複数枚一体に編成した後、例えば今、1ピースの袋状角目網を製造する場合、点線で示す画成個所について切断して取り出し、図4で示すように、角目を有する袋状網体とした後、袋状網体NA1を折り返しまくり上げ、袋状網体NA2の外側に重ね合わせて2重にする。このようにすることで、より強度の高い2重袋状角目網を製造することができる。
【0033】
図7は、6枚の袋状角目網体を折曲して縫製することで蛇籠と呼ばれる箱状の二重角目網体を製造するための、菱目状二重網体を示している。なお、使用した編糸の糸種、及び糸番手は、前記実施例と同様とした。
図中、太実線で示す個所を、前記実施例同様、ジャカード制御される連結糸5によって、前部網と後部網を構成する編ウエールのうち、太実線部分に対応する個所の編ウエール相互を、斜め方向に接結編成するものである。
【0034】
連接して編成された袋状菱目網体S1,S2,S3,S4,S5,S6は、太実線で示す接結編成個所の外方を含む点線で示す画成個所を切断して、図8(a)のような1ピースの箱状角目網体とするための展開体15を折曲して、蓋部網体16以外の各網体の4個所を縫製個所17,18,19,20とすることで、二重の角目網からなる蓋付きの蛇籠と呼ばれる網籠を製造することができる。
【0035】
以上の実施例については、連結糸5を通糸する編筬をジャカード制御可能なジャカード筬により編成を実施してなるもので説明してきたが、次に、ジャカード筬に変えて、編筬に長尺体を張設してなるストリングバーを備えた経編機による場合について説明する。
【0036】
図9には、ストリングバーを備えたダブルニードル列経編機の筬配列図の一例を示しており、編針(FN,BN)及び、地筬GB1〜GB4、地筬GB6〜GB9は、図1に示すものと同じ種類、同じ配列であるので、説明を省略する。
【0037】
地筬GB5−1は、ワイヤーからなる長尺体21が複数段設けられ、編機の左右に設けられた柄出し装置(図示せず)にその両端を保持し張設してなるストリングバー22を備えており、ガイド23が長尺体21に取着されている。ストリングバー22は、通常の地筬が可能なショギング量(筬が編針列方向で移動可能な長さ)の3倍以上変位が可能であるので、連結糸5を網体の接結が必要な個所を連続して接結編成が可能となる。
【0038】
上記ストリングバー22を用いて袋状角目網を編成する実施例を説明する。図10は、図8で示す箱状の二重角目網体について製造するための角目網体の平面図であり、1ピースの角目網体として、袋状菱目網体S1−1,S2−1,S3−1,S4−1,S5−1,S6−1が連接して編成されるが、このために、1ピース当たり本実施例の場合、5列の独立したストリングバーを用いて編成を行ったが、むろん、箱体のサイズによっては、3列や6列のストリングバーを使うことも当然考えられる。実施例の菱目状網の場合、1つの菱目を構成する編コースは20編コースに設定しており、全体の1リピート編コース数は、22の菱目の目合いを繰り返しているので、合計は440編コースとしている。図中、5本のストリングバーが、接結編成部分SB1〜SB5を各々分担して接結編成しており、その他の個所は、一方側の菱目網の脚部に編み込んでなるものである。
【0039】
以上のように編成された袋状菱目網体は、前記実施例同様、太実線で示す接結編成個所の外方を含む点線で示す画成個所を切断することで、1ピースの箱状角目網体の展開体とするものである。
【0040】
次に、袋状角目網体の別実施例について説明する。図11の(a)は、図11の(b)に示す襞付き袋状角目網体23を成形するための展開体である。編成は、連結糸をジャカード筬に通糸して行ったが、むろん、ストリングバーを用いて編成することも可能である。図11の(a)において太実線で示しているのが、前部網と後部網を接結編成してなる個所であり、編成後、折り返し個所14を、矢印方向に内側へ折り返して、二重袋状角目部分を押し込み、一辺部分25を他辺部分26に当接するまで押し込むと、図11の(b)に示すように、口部27が形成される。形成された袋状体24の一辺に接して設けられた襞28は二重袋状角目網体よりなるもので、襞29,30は二股状にわかれた構造となる。この袋状角目網体の袋状部分は、全体として四重の網体よりなる非常に堅牢なものとなるとともに、襞28,29,30が設けられていることで、土木工事用に使用される袋材として施工に好適な構造のものとなる。
【0041】
更に、図12に示す袋状角目網体の実施例は、前部網と後部網の目合いを異ならせて編成して製造されたものである。前部網NFと後部網NBにおいて、後部網NBは編機ゲージ14Gをフルゲージで用い、前部網NFは編機ゲージ14Gのうち1本抜きの編針を用いて編成してなり、前部網NFにおける角目DFに対する後部網NBにおける角目DBにおいて、後部網NBにおける角目DBの面積が4分の1となるように、図12(a)のごとく菱目網の編成を実施してなるもので、前述の実施例同様、両側辺部31,32及び底辺部33について、連結糸により接結編成を行うことで、図12(b)のごとく1辺が口部34として開放され、他の3辺が接結編成され編み綴じられた袋状角目網が製造されるものである。この袋状角目網は、植生用の網状体として、有用に使用可能となる。
【0042】
本発明の袋状角目網を製造するための菱目状網編成のための編組織、使用糸の太さ、糸種及び、使用するダブルニードル列経編機のゲージや編成時の打ち込みなどについては、実施例のものに限定されるものでなく、糸種、編目の目合い、編コース数などは、各種網体の用途におけるサイズに応じて選定されるべきで、これらの各種条件については、本発明の特許請求範囲を逸脱しない範囲において、種々の変更例に基づく袋状角目網により決められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の袋状角目網を編成するために使用してなるジャカード筬を備えたダブルニードル列経編機の筬配列図の一例である。
【図2】図1の経編機を用いて、実施例の袋状角目網を製造するための基礎となる、菱目状編組織を有する前後網体編成のための糸入れ本数及び位置を含む編組織図である。
【図3】菱目状編組織を有する前後網体を示す平面図である。
【図4】(a)は、菱目状編組織を有する前後網体から1ピースの網体を分離した平面図であり、(b)は、袋状角目網を表す斜視図である。
【図5】図6における菱目D1,D2,D3,D4付近の一部編糸を省略した編目図である。
【図6】二重袋状角目網を連接して編成してなる状態を示す前後網体の平面図である。
【図7】蛇籠を製造するために、菱目状編組織を有する前後網体を連接して編成してなる状態を示す前後網体の平面図である。
【図8】(a)は、図7の前後網体から、菱目状編組織を有して連接する6面の袋状角目網からなる1ピースの網体を分離した平面図であり、(b)は、袋状角目網をからなる蛇籠を製造した状態を表す斜視図である。
【図9】本発明の袋状角目網を編成するために使用してなるストリングバーを備えたダブルニードル列経編機の筬配列図の一例である。
【図10】図9の経編機を用いて、蛇籠を製造するために、菱目状編組織を有する前後網体を連接して編成してなる状態を示す前後網体の平面図である。
【図11】(a)は、両辺部に襞を有する袋状角目網を製造するための菱目状編組織を有する連接する6面の袋状角目網から1ピースの網体を分離した平面図であり、(b)は、両辺部に襞を有する袋状角目網を表す斜視図である。
【図12】(a)は、両面の角目の目合いが異なる袋状角目網を製造するための菱目状編組織を有1ピースの袋状菱目網体を分離した平面図であり、(b)は、両面の角目の目合いが異なる袋状角目網を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
FN 前部編針列
BN 後部編針列
GB1〜GB4 地筬
JB5 ジャカード筬
GB6〜GB9 地筬
1〜4 前部網を編成するための編糸
1−1、1−2 補強用の編糸
2−1、2−2 補強用の編糸
3、4 編目形成用の編糸
5 連結糸
5−1、5−2…5−5 連結糸
5a1、5a2 編組織
5b 編組織
6〜9 後部網を編成するための編糸
6、7 編目形成用の編糸
8−1、8−2 補強用の編糸
9−1、9−2 補強用の編糸
NF 前部網
NB 後部網
Nc1、Nc2、Nc3 脚部位置
10 ピエゾ制御片
11、12 両側辺部
13 底辺部
14 折り返し個所
K1〜K4 編コース区間
D1、D2、D3、D4 菱目
NA1、NA2 袋状網体
S1、S2…S5、S6 袋状菱目網体
15 展開体
16 蓋部網体
17、18、19、20 縫製個所
GB5−1 地筬
21 長尺体
22 ストリングバー
23 ガイド
24 袋状体
25 一辺部分
26 他辺部分
27 口部
28、29、30 襞
31、32 両側辺部
33 底辺部
34 口部
35 襞付き袋状角目網体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルニードル列経編機を用い、前部網形成用編糸と後部網形成用編糸により、前部網及び後部網を個別に編成するとともに、前部網と後部網を構成する編ウエールのうち、所望の網体を画成する編ウエール相互を、連結糸により斜め方向に接結編成することで袋状網体を形成後、接結編成された個所の外方を含んだ画成個所を、切断などで分離することにより、角目を有する袋状網体を製造することを特徴とする袋状角目網の製造方法。
【請求項2】
連結糸を通糸する編筬が、ジャカード制御可能なジャカード筬であり、網目を形成する編ウエール毎における接結編成を、個別の連結糸が分担して行なって、袋状の網体に形成することを特徴とする請求項1に記載の袋状角目網の製造方法。
【請求項3】
連結糸を通糸する編筬が、長尺体を張設してなるストリングバーであり、網目を形成する編ウエール毎における接結編成を、ストリングバーに付設してなるガイドに通糸した連結糸が分担して行なって、袋状の網体に形成することを特徴とする請求項1に記載の袋状角目網の製造方法。
【請求項4】
前部網と後部網それぞれの目合いを異ならせて編成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の袋状角目網の製造方法。
【請求項5】
脚部及び結節部を含む菱目状編組織を構成する前部網及び後部網からなる袋状網体が連結糸により接結編成されてなり、前記網体の網目が角目を呈してなることを特徴とする袋状角目網。
【請求項6】
網体の少なくとも1辺が開放され、他辺が連結糸により接結編成されていることを特徴とする請求項5に記載の袋状角目網。
【請求項7】
脚部及び結節部を含む菱目状編組織を構成する前部網及び後部網が、空隙部を有して二重に接結編成された、少なくとも5枚の角目網体が並接して編まれてなり、前記少なくとも5枚の角目網体を折曲することで、箱状の角目網体に縫製可能に編成してなることを特徴とする袋状角目網。
【請求項8】
前部網と後部網それぞれの目合いが異なっていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の袋状角目網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−13891(P2008−13891A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188986(P2006−188986)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000230168)日本マイヤー株式会社 (14)
【Fターム(参考)】