説明

【課題】箱形容器内に収容して詰替袋として使用する袋を、箱形容器内で大きく開口し、使い易い状態に簡便にセットできるようにし、かつ低コストで提供する。
【解決手段】上面に開口部を有し、該開口部を覆う蓋40を備えた箱形の容器本体30に収容される、粉末状物質Pが充填されたフィルム製の袋10Aが、底部にマチ11を有し、上部が平袋型で、袋10Aの外法の幅が上端部に対して底端部で狭い。側部のシール部に開封開始部(ノッチ16)を有し、袋10Aの底端縁からの開封開始部までの長さH1が、容器本体30の深さH2と略同寸法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗剤等の粉末状物質が充填された袋であって、箱形容器内で使用される詰替袋として好適な袋に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗剤等の顆粒ないし粉末の粉末状物質に用いる容器として、板紙、プラスチックシート等の板紙状材料からなる箱形容器が使用されている(特許文献1)。この箱形容器は、内容物の使用後には通常廃棄される。
【0003】
これに対し、省資源化を図るものとして、内容物をチャック付きの自立性の袋に収容すること(特許文献2)や、内容物を詰替袋に充填し、その袋ごと箱形容器に入れることにより箱形容器を繰り返し利用することが知られている。そして、このような、詰替袋と箱形容器の組み合わせとしては、袋を収容する箱形の容器本体に詰替袋の開口縁部を係止する係止部を設け、詰替袋の開口がつぼまらないようにすることが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−1221号公報
【特許文献2】特許4043229号公報
【特許文献3】特開2010−143635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チャック付きの袋は、その製造コストが高くなる。また、詰替袋を箱形容器と組み合わせて使用する場合に、詰替袋の開封後に、詰替袋の開口縁部を箱形容器に係止させる作業を行うのは煩雑であり、さらに、詰替袋の開口縁部を箱形容器に係止させても、袋の開口面と箱形容器の開口面との位置のズレが大きいと、計量スプーンなどを用いて粉末状物質を箱形容器から取り出すときに、袋と箱形容器との隙間に粉末状物質が入り込む場合がある。
【0006】
これに対し、本発明は、箱形容器内に収容して詰替袋として使用する袋を、箱形容器内で大きく開口し、かつ使い易い状態に簡便にセットでき、また、低コストで提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、箱形の容器本体に収容する袋を、底部にマチを有する特定形状とし、袋を開口したときの開口面と容器本体の開口面とが面一になるように、袋の底端縁から袋の開封開始部までの長さと容器本体の深さとを略同寸法とすると、箱形容器内で袋を開封しただけで、袋が内容物によって容器本体へ強く押し付けられ、袋の開口面が広く開いた状態で維持され、また、袋の開口面と容器本体の開口面とが面一になることにより、袋の開口後の使い勝手も向上することを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、上面に開口部を有し、該開口部を覆う蓋を備えた箱形の容器本体に収容される、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋であって、
袋は、底部にマチを有し、上部が平袋型で、袋の外法の幅が上端部に対して底端部で狭く、側部のシール部に開封開始部を有し、
袋の底端縁からの開封開始部までの長さが、容器本体の深さと略同寸法である袋を提供する。
【0009】
また、本発明は、上述の袋を箱形の容器本体に入れ、袋を容器本体内に置いた状態で開封開始部から開封する袋の使用方法を提供し、上述の袋、該袋を収容した箱形の容器本体、及び容器本体の開口部を覆う蓋を備えた箱形容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の袋によれば、袋の形状を、底部にマチを有し、上部が平袋型で、袋の外法の幅が上端部に対して底端部で狭い形状としたので、袋を容器本体に入れるときには、袋は、底部側が細い逆テーパー型となることにより容器本体に入れやすく、かつ、容器本体内に入れた後はすわりがよい。即ち、袋の外側面と容器本体とに殆ど隙間が生じることなく、袋は容器本体内に嵌り込んだ状態となる。
【0011】
また、袋を容器本体に入れ、容器本体内に置いた状態で開封開始部から開封すると、袋内の内容物の重さを手で支えることなく、容易に開封できる。そして、袋の開口面は、袋が内容物によって容器本体へ強く押し付けられることにより、大きく広く開いた状態に維持される。したがって、内容物を計量スプーンなどで取り出すことが容易となる。またこれにより、容器本体内で袋が大きく開口するように袋を容器本体の内壁に掛止させるための切り込み、穴、押さえ部材などを容器本体に設けることが不要となる。
【0012】
さらに、開封後に、袋の開口面と容器本体の開口面とが面一になるので、容器本体の開口面から袋の開口端部が無用に突出しない。したがって、容器本体に蓋を被せると、容器本体の開口端と蓋との間に隙間が生じることなく、蓋で容器本体を密封するように閉じることができる。よって、蓋を閉じた箱形容器を洗面所等の湿気の高い所に保管しても、内容物が湿気ることを防止できる。また、袋の開口面と容器本体の開口端面とが面一であることにより、内容物を計量スプーンなどで取り出すときに、袋と容器本体との間に内容物が入り込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、粉末状物質が充填されている実施例の袋10Aの斜視図である。
【図2】図2は、粉末状物質が充填されていない袋10Aの(1)正面図、(2)A−A図及び(3)B−B図である。
【図3A】図3Aは、袋10Aが収容されている箱形容器の斜視図である。
【図3B】図3Bは、袋10Aが収容されている箱形容器の蓋を開けた状態の斜視図である。
【図4】図4は、容器本体に収容された袋10Aの開封開始時の斜視図である。
【図5】図5は、容器本体に収容された袋10Aの開封後の(1)斜視図及び(2)正面図である。
【図6】図6は、粉末状物質が充填されている実施例の袋10Bの斜視図である。
【図7】図7は、粉末状物質が充填されていない袋10Bの(1)正面図、(2)A−A図及び(3)B−B図である。
【図8】図8は、開口部に袋の係止部を備え容器本体の(1)斜視図、及び(2)その容器本体に袋が収容され、開口縁部が係止されている状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一
又は同等の構成要素を表している。
【0015】
図1は、本発明の一実施例の、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋10Aの斜視図である。図2は、説明の便宜上、粉末状物質を充填しない状態での袋10Aの正面図(1)、A−A図(2)、及びB−B図(3)を示したものである。また、図3Aは、この袋10Aを収容した箱形容器1の斜視図であり、図3Bは、その箱形容器1の蓋40を開けた状態の斜視図である。
【0016】
図2に示すように、この袋10Aは、1枚のフィルムシートを、底部に折り返しのマチ11が形成されるように矩形に折り畳み、両側部にヒートシール等によりサイドシール12を形成し、上端部にシール幅の広いトップシール13を形成し、底部の折り返し部にヘムシール14を形成したものである。この場合、トップシール13のシール幅L1は、ここを摘んでノッチ16から開封するときの摘みやすさを向上させる点から、10mm以上とすることが好ましい。
【0017】
両側部のサイドシール12は、マチ11の領域では袋10Aの底端縁に対して傾いた斜めシール部12aとなっている。この斜めシール部12aの縁辺と底端縁の延長線との挟む角度θは、好ましくは40〜50°、より好ましくは45°である。これより、袋10Aの底部の外形が矩形になるので、袋10Aを箱形容器1の容器本体30に収容したときに、袋10Aの外形を容器本体30の内側形状にうまく沿わせることができる。
【0018】
袋10Aの上部は、トップシール13とサイドシール12により、平袋型にシールされている。このため、底部において内容物が充填される袋の外法の幅W1 が、袋10Aの上端部において内容物が充填される袋の外法の幅W2 よりも狭くなり、袋10Aに粉末状物質が充填されると、図1に示すように、上端部に対して下端部の幅が狭い逆テーパー型となり、マチ11により形成される底部の面積を容器本体30の底面の面積と同等以下にすることができる。したがって、容器本体30内の袋10Aを詰め替えるときに、容易に袋10Aを容器本体30に挿入することができる。また、この袋10Aには、底部にヘムシール14が形成されているので、内容物である粉末状物質が袋10Aに充填されると、袋10Aの底部のマチ11が袋10Aの厚み方向に広がるため、詰替袋単体としての自立性が安定する。
【0019】
サイドシール12は袋10Aの両側部において上下方向に延びており、各サイドシール12には、開封開始部としてV字型に切り込まれたノッチ16が設けられている。なお、本発明において、開封開始部としては、I字型ノッチ、U字型ノッチ、マジックカット等を形成してもよい。
【0020】
ノッチ16とトップシール13の形成位置としては、両側部のノッチ16を結ぶ線が、トップシール13の下端縁の直下にくるようにすることが好ましい。これにより、ノッチ16から袋10Aを開封する時に表裏のフィルムが共にトップシール13に沿って引き裂かれるので、表裏のフィルムの引裂方向が揃い、袋10Aを容器本体30に入れたまま、容易に幅方向に開口することができる。特に、袋10Aが引裂性を有さない汎用的なフィルムである場合の引裂直進性の向上に有用である。また、袋10Aが引裂性を有するフィルムで形成されている場合でも、引裂時の力のかけ方によって表裏のフィルムが揃わず、段違いになったり、片側のフィルムが飛び出したりすることにより、開封後の袋10Aの使い勝手が低下することがあるが、トップシール13とノッチ16の形成により、このような不都合をなくすことができ、袋の幅方向の引裂直進性を顕著に高めることができる。
【0021】
本発明において、サイドシール12におけるノッチ16の形成位置は、袋10Aの底端縁からノッチ16までの袋の上下方向の長さH1が、箱形容器1の容器本体30の深さH2と略同寸法である。ここで、底端縁とは、袋内部の最下端で箱形容器の底部に当たる部分をいい、また袋10Aの底端縁からのノッチ16までの長さH1が、容器本体30の深さH2と略同寸法であるとは、ノッチ16から袋10Aを開封した場合の袋10Aの開口面と容器本体30の開口面とが面一であると言える程度にこれらの寸法H1、H2が近接していることをいう。例えば、容器本体30の深さH2と袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1との差△H(図5)が好ましくは±5mm以内、より好ましくは0mmである場合、袋10Aの開口面と容器本体30の開口面とは面一となる。
【0022】
また、袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1は、容器本体30の深さH2以下とすること、例えば、容器本体30の深さH2と袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1との差(△H=H2−H1)を5mm〜0mmとすることが好ましい。袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1が容器本体30の深さH2よりも過度に大きく、袋本体10Aをノッチ16から開封した後、袋10Aの開口面が容器本体30の開口面よりも突出していると、容器本体30に蓋40を閉めた場合に、容器本体30の開口端と蓋40との間に袋10Aの開口端部が挟まり、容器本体30の開口端と蓋40との間に隙間が生じる場合があるが、袋10Aの開口面を容器本体30の開口面の近傍で容器本体30の開口面以下に位置させることにより、容器本体30を蓋40で密封するように閉じることができる。よって、蓋40を閉じた箱形容器1を洗面所等の湿気の高い所に保管しても、内容物の粉末状物質が湿気ることを防止できる。
【0023】
また、袋10Aの開口面を容器本体30の開口面の近傍で容器本体30の開口面以下に位置させることにより、内容物を計量スプーンなどで取り出すときに、袋10Aと容器本体30との間に内容物が入り込むことを防止できる。
【0024】
さらに、袋10Aの開口面を容器本体30の開口面の近傍で容器本体30の開口面以下に位置させることにより、開封後の袋10Aの開口面を、容器本体30の開口面と袋10A内の内容物の上面との間に位置させることができるので、袋10Aが内容物によって容器本体へ強く押し付けられることにより、袋10Aの開口面が大きく広く開いた状態で維持され、内容物を計量スプーンなどで取り出すことが容易となる。また、袋10Aの開口面が容器本体30の開口面から突出させないことで、容器本体30の蓋40を閉じるときに、袋10Aの上端部を折り曲げる必要がなく、袋10Aの開口面を大きく開いた状態で維持するのが容易になる。
【0025】
一方、袋10Aの開口面が容器本体30の開口面に対して低すぎると、袋10Aの開封時に、容器本体30内でノッチ16から袋10Aを開封することが難しくなる。また、粉末状物質が、袋10Aの開口縁部と容器本体30の開口端部との隙間から袋10Aと容器本体30の間に入り込んで溜まり、その粉末状物質が隙間から入った湿気で固化することがあるが、袋10Aの開口面と容器本体30の開口面とを面一にすることにより、このような問題を防止することができる。
【0026】
袋10Aをノッチ16から開封したときの開口部の周長は、容器本体30の内寸の周長に対して、略同寸法とすることが好ましい。これにより、図5に示すように、袋10Aを開封後、袋10A内の粉末状物質Pが広がろうとすることにより、袋10Aの周面の略全面が容器本体30の内壁に押し付けられる。このため、袋10Aは開口形状が広く安定し、粉末状物質Pを計量スプーンで取り出しやすくなる。ここで、同寸法程度とは、袋10Aの上端開口部の周長が容器本体30の内寸の周長に対して過度に短いことにより、袋10Aの上端開口部が内側に倒れたり、反対に袋10Aの上端開口部の周長が過度に長いことにより袋10Aに大きなたるみができたりする場合を含まず、容器本体30内で袋10Aの上端開口部が内側に倒れず、かつ袋10Aの上端部にたるみができない程度に袋10Aの開口部の周長と容器本体30の内寸の周長が同程度であることをいう。
【0027】
袋10Aを形成するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(L-LDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のオレフィン系フィルム等が挙げられ、単層又は積層フィルムとして使用できる。中でも、延伸などにより引裂直進性を有するフィルムが好ましく、特に、袋10Aを形成するフィルムを外側表層及び/又は中間層と内側シーラント層とを備えた積層フィルムとする場合、内側シーラント層と、外側表層及び/又は中間層がそれぞれ袋の幅方向(図4の矢印方向)の引裂直進性を有することが好ましい。内側シーラント層で引裂直進性を有するものとしては、リニア低密度ポリエチレン(L-LDPE)等に対して易カット加工を施したものが好ましい。
【0028】
なお、引裂直進性を有するフィルムを使用する場合に、袋10Aの全体で使用してもよく、引裂性を付与する袋上部のみで使用してもよい。
【0029】
また、袋10Aを形成するフィルムとしては、袋10Aに充填する粉末状物質に応じて、酸素、水などに対してバリア性を有するものを使用することが好ましい。これにより、容器本体30自体に必要とされるバリア性を低下させることができ、容器本体30の製造コストを低減し、箱形容器1全体としての製造コストも低減させることができる。袋10Aを形成するフィルムにバリア性を持たせるためには、袋10Aを形成するフィルムに、バリア性を有するフィルム層を積層すればよい。この他、必要に応じて、袋10Aを形成するフィルムには、印刷適正を向上させる層や、シール性を向上させる層を設けても良い。
【0030】
袋10Aを形成するフィルムの厚さとしては、内容物が無い状態でも袋10Aが自立する程度にフィルムがコシを有するように、好ましくは40〜200μm、より好ましくは100〜150μmとする。これにより、袋10Aを開封後、袋10A内の粉末状物質の使用に伴って粉末状物質が減り、粉末状物質が袋10Aを容器本体30の内壁に押し付ける位置が下がっても、袋10Aが開口状態を維持し、粉末状物質の取り出しやすさを保つことができる。なお、袋10Aの自立性は、前述のように、袋10Aの底部にヘムシール14を形成することによっても向上させることができる。
【0031】
なお、袋10Aを収容する容器本体30としては、板紙、プラスチックシート、プラスチックボックス等の板紙状材料を用いて形成された直方体型の容器とすることができる。
【0032】
また、蓋40は、容器本体30の上面開口部を覆うものであればよく、例えば、その一縁辺が容器本体30の背面とヒンジ状に結合したものを使用することができる。
【0033】
袋10Aは、図3Aに示す箱形容器1の詰替袋として好ましく使用することができる。この場合の使用方法としては、図3Bに示すように蓋40を開け、図4に示すように、袋10Aを容器本体30に置いたまま、手でノッチ16から袋10Aをその幅方向に引き裂く。この引裂により、袋10Aはその全幅にわたってその上端部が除去される。そして、図5に示すように、容器本体30内に残った袋10Aは、袋10A内の粉末状物質Pによって容器本体30の内壁に矢印で示すように押し付けられ、広く開口する。
【0034】
袋10A内の粉末状物質Pの使用により、粉末状物質Pが無くなった場合には、粉末状物質Pが充填された新たな詰め替え用の袋10Aを用意し、それまでの袋10Aと取り替える。この取り替え時において、粉末状物質Pが充填された袋10Aは逆テーパー型をしているので、容易に袋10Aを容器本体30に挿入することが可能となる。
【0035】
以上、図1に示した袋10Aにより本発明の一実施例を説明したが、本発明は、種々の態様をとることができる。例えば、図6及び図7に示す袋10Bは、前述の図1の袋10Aに対して、トップシール13のシール幅を狭くし、トップシール13の下方でノッチ16の直ぐ上に、引裂誘導シール15を形成したものである。引裂誘導シール15は、袋10Bの表裏のフィルムを幅方向に帯状にシールしたものである。この袋10Bによれば、引裂誘導シール15とノッチ16により袋の幅方向の引裂直進性が高められる。
【0036】
引裂誘導シール15の形成方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等によることができる。なお、図7は、説明の便宜上、粉末状物質を充填しない状態での袋10Bの正面図(1)、A−A図(2)、及びB−B図(3)を示したものである。
【0037】
袋10Bには、両側部のノッチ16を結ぶ線上に、易カット性を向上させるレーザー加工が施こされている。図6及び図7において、符号20は、このレーザー加工を施したレーザー加工ラインを表している。レーザー加工ライン20を形成するレーザー加工としては、袋10Bの形成フィルム表面に傷を付ける程度が好ましい。レーザー加工により、容器本体内での袋10Bの開封が一層容易になる。
【0038】
また、この袋10Bにおいては、ヘムシール14が省略されている。フィルムの材質によっては、ヘムシール14を省略しても、袋10Bに自立性をもたせることができる。
【0039】
箱形容器1の容器本体30としては、開口部に袋の開口縁部を係止する係止部を備えたものでもよい。例えば、図8(1)に示すように、容器本体30の開口部の折り返し片31に切込32を設け、折り返し片31の一部を係止部33として使用することができる。図8(2)は、この係止部33に袋10Aの開口縁部を挟み込むことにより係止した状態を示している。
【0040】
なお、本発明において、上述した袋の種々の変形態様は、適宜組み合わせることができる。
【0041】
袋に充填する粉末状物質としては、粉末洗剤、砂糖、塩等の顆粒ないし粉末の粉末状物質をあげることができる。粉末状物質の嵩密度は700g/L以上であれば、袋を外側に開く作用によりきれいに開口できてよい。本発明によれば、袋内の粉末状物質が800g以上となる場合でも、袋を形成するフィルムに、そのような充填量を収容するに十分な強度を持たせ、かつ袋を容易に開封することが可能となる。
【実施例】
【0042】
(1)箱形容器の作製
樹脂コートした板紙を用いて、図3Aに示した箱形容器(容器本体の深さ130mm、底面の横幅150mm、奥行き130mm、蓋の深さ20mm)と、同様の箱形容器であって、図8に示した係止部を備えたものを作製した。
一方、袋のフィルム材料として表層PET、裏層LLDPEの積層フィルム(厚さ50〜150μm)を使用し、図1に示した袋10Aを作製した。この場合、袋の底端縁からノッチ16までの長さを変え、表1に示すように、容器本体30の深さH2と、袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1との差△H(=H2−H1)を異ならせた。
また、袋に充填する粉末状物質として、粉末洗剤(アタック高活性バイオEX、花王株式会社製)を使用した。
【0043】
(2)ケーキング試験
箱形容器の容器本体内でノッチから袋を開封し、蓋を閉じて30℃、40〜80%RHサイクル条件(サイクル周期:48hr)で1ヶ月保存した。この保存中、実使用を想定して、7日に1回、計量スープで50gずつ粉末状物質を取り出した。
保存後、粉末状物質の固化の状態を次の評価基準で評価した。
評価基準
◎:ケーキングが全くない
○:ケーキングがない
△:ケーキングが若干あるが、実用上は問題ない程度
×:ケーキングがある
【0044】
【表1】

【0045】
表1から、係止部のない箱形容器に袋を収容した場合、容器本体30の深さH2と、袋10Aの底端縁からノッチ16までの長さH1との差(△H=H2−H1)が、−5mm〜+5mmの範囲内であると、ケーキングが殆ど生じず、特に、ΔH=0(即ち、完全に面一)であるとケーキングが全く生じなかった。これに対し、ΔHがこの範囲よりも大きいと、袋内の粉末状物質にケーキングが見られ、ΔHがこの範囲よりも小さいと、粉末状物質の取り出しにより、袋と容器本体との間に入り込み、容器本体のコーナー部に溜まった粉末状物質に若干のケーキングが見られた。
【0046】
また、係止部のある箱形容器を用いて袋の開口縁部を係止部に係止させた場合には、粉末状物質の取り出しによっても、袋と容器本体との間に粉末状物質がほとんど溜まらず、袋内でも、袋と容器本体との間でも、ケーキングが生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の箱形容器は、粉末洗剤等の粉末状物質の容器として有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 箱形容器
10A、10B 袋
11 マチ
12 サイドシール(上下方向のシール)
12a 斜めシール部
13 トップシール
14 ヘムシール
15 引裂誘導シール
16 ノッチ
20 レーザー加工ライン
30 容器本体
31 折り返し片
32 切込
33 係止部
40 蓋
P 粉末状物質
W1 袋の底部における外法の幅
W2 袋の上端部における外法の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有し、該開口部を覆う蓋を備えた箱形の容器本体に収容される、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋であって、
袋は、底部にマチを有し、上部が平袋型で、袋の外法の幅が上端部に対して底端部で狭く、
側部のシール部に開封開始部を有し、
袋の底端縁からの開封開始部までの長さが、容器本体の深さと略同寸法である袋。
【請求項2】
袋の底端縁から開封開始部までの長さが、容器本体の深さ以下である請求項1記載の袋。
【請求項3】
容器本体の深さと、袋の底端縁から開封開始部までの長さとの差が5mm以下である請求項2記載の袋。
【請求項4】
マチが形成されている領域において両側部のシール部が、袋の底端縁に対して傾いた斜めシール部となっており、斜めシール部の縁辺と底端縁の延長線との挟む角度が、40〜50°である請求項1〜3のいずれかに記載の袋。
【請求項5】
袋の開口部の周長が、容器本体の開口部の内寸の周長と略同寸法である請求項1〜4のいずれかに記載の袋。
【請求項6】
袋に収容された粉末状物質の嵩密度が700g/L以上である請求項1〜5のいずれかに記載の袋。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の袋を箱形の容器本体に入れ、袋を容器本体内に置いた状態で開封開始部から開封する袋の使用方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の袋、該袋を収容した箱形の容器本体、及び容器本体の開口部を覆う蓋を備えた箱形容器。
【請求項9】
容器本体が、袋の開口縁部を係止する係止部を有する請求項8記載の箱形容器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240687(P2012−240687A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109792(P2011−109792)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】