説明

袖付き衣類

【課題】本発明は、脇下の汗を効果的に吸収しながらも、圧迫感がなく、外から汗染みが見えることのない袖付き衣類を提供することを目的とする。
【解決手段】胴部12と袖部14とから成る袖付き衣類10を、胴部12と袖部14との縫合部(境界)16に脇下パッド18を備えて構成した。また、脇下パッド18を、綿等から成る楕円形状又は円形状等の生地を二つ折りにして形成し、胴部12と袖部14とが縫合される際に、この脇下パッド18の湾曲形状の下端30が同時に縫合されて縫合部16に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャツや上着等の袖付き衣類に関する。
【0002】
従来から、身体から生じる汗の処分は、不快感を防止するために重要な課題であった。特に、脇の下から生じる汗は不快な匂いを伴うため、その処分は重要な課題であった。そこで、脇の下から生じる汗の処分を考慮したブラジャーに関して案出され出願されている(例えば、特許文献1参照。)。また、着用時に脇下部に正確に位置され、かつ汗取りパッドが取れないように脇部に縫着された袖付き衣類が提案されている(例えば、引用文献2参照。)。
【0003】
しかし、ブラジャーに汗取りパッド収納袋を固定した構成であるので、パッド収納袋が胴体に密着し圧迫感を受けることが考えられる。また、脇下から胴体にわたる部分の汗を吸収することができても、脇下から腕にわたる部分の汗を吸収することはできないと考えられ、このブラジャーの上に装着したシャツ等の袖付き衣類において、外から汗染みが見えてしまうことも考えられる。また汗取りパッドが縫着された袖付き衣類では、汗取りパッドの縫着ラインの凹凸が外側に表れるため外観を損なうだけでなく、いかにも汗取りパッドがついていることが分かることは女性から敬遠される問題があった。
【0004】
【特許文献1】実願平4−85715号公報
【特許文献2】特開2005−290584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者は、このような課題の原因を究明してこのような課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0006】
すなわち、本発明は、脇下の汗を効果的に吸収しながらも、圧迫感がなく、外から汗染みが見えることのなく、汗取りパッドが付いていることが外観からは分かりにくい袖付き衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の袖付き衣類は、胴部と袖部とから成る袖付き衣類において、前記胴部と袖部との境界に脇下パッドを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の袖付き衣類は、前記袖付き衣類において、前記身体に装着した時に、前記脇下パッドが脇に向かって立ち上がることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の袖付き衣類は、前記袖付き衣類において、前記脇下パッドが、装着する身体の前後方向に伸縮可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の袖付き衣類は、前記袖付き衣類において、前記胴部と袖部との境界が、該胴部と袖部との縫合部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の袖付き衣類によれば、胴部と袖部との境界に備えた脇下パッドによって脇から生じる汗を吸収することができる。このため、脇下の汗を効果的に吸収しながらも、圧迫感がなく、外から汗染みが見えることがなく、汗取りパッドが付いていることが外観からは分かりにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係る衣類の製造方法及び成形編みされた衣類について、図面に基づいて詳しく説明する。図1において、符号10は、本発明の袖付き衣類である。
【0013】
本発明の袖付き衣類10は、胴部12と袖部14とから成る袖付き衣類において、胴部12と袖部14との縫合部(境界)16に脇下パッド18を備えている。
【0014】
脇下パッド18は吸水性及び速乾性の高い素材が好ましく、例えば、綿糸とアクティコット(旭化成工業(株)の商標名)糸の交編からなるフライス生地を用いて、図2に示すように、楕円形状又は円形状等にした生地を二つ折りにして形成している。袖付き衣類10は胴部12と袖部14とが縫合されて形成されるが、胴部12と袖部14とが縫合される際に、図2に示すように、この脇下パッド18の湾曲形状の下端30が同時に縫合されて縫合部16に固定される。縫合部16に固定された脇下パッド18は、装着する身体20の前後方向(Y軸方向)に伸縮可能な生地から形成されるため、身体20の寸法に対応でき、また腕を動かした際にも突っ張らずに柔軟に脇にフィットする。また、脇下パッド18は、腕22の形状や汗腺の位置等を考慮して中止線Cよりも前方の面積が広くなっている。なお、脇下パッド18の幅Wは3cm〜10cmである。
【0015】
また、脇下パッド18は、胴部12と袖部14との縫合部16に固定されているため、腕22を袖部14に通して身体20に装着した時に、図3に示すように、脇下パッド18が前後方向に引っ張られて脇28に向かって立ち上がる。すなわち、脇下パッド18は上端32が脇28に突き当たり、また腕を下ろした状態で脇下パッド18が脇28に挟まれるように構成されている。
【0016】
このような袖付き衣類10は、折り畳んだ状態で販売され、販売時には脇下パッド18も折り畳んだ状態となっている。この袖付き衣類10を身体20に装着すると、脇下パッド18が身体20の前後方向に伸びながら、図3に示すように、上端32が脇28に接触する。このため、脇28から生じる汗が脇下パッド18に吸収される。脇28から脇下パッド18の上端32に吸収された汗は幅W方向である上下方向に流れていくことが可能であるため、脇28から生じた汗の全てを吸収することができる。このため、袖付き衣類10の胴部12又は袖部14に汗が染み込むことなく、外から汗染みが見えることもない。
【0017】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその他の態様でも実施できる。例えば、図4に示す脇下パッド40を備えた袖付き衣類10であってもよい。この脇下パッド40は帯状に構成されているため、脇下パッド40の下に空間42が生じることとなる。このため、脇下付近において清涼感を得ることができる。
【0018】
また、本発明は図示した実施形態には限定されない。例えば、本発明の袖付き衣類の種類は特に限定されず、下着であっても上着であってもよい。また、胴部と袖部との境界は縫合に限定されず、溶着や接着であってもよい。また、胴部と袖部とが連続した袖付き衣類において、胴部と袖部との境界に脇下パッドを備えてもよい。その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の袖付き衣類によれば、脇下の汗を効果的に吸収しながらも、圧迫感がなく、外から汗染みが見えることがなく、汗取りパッドが付いていることが外観からは分かりにくい。このため、脇から生じる汗を吸収できる袖付き衣類として、広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の袖付き衣類を示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)はA−A線切断部断面図である。
【図2】図1の袖付き衣類の製造方法を説明するための斜視図である。
【図3】図1の袖付き衣類の作用を説明するための図であり、同図(a)は正面断面図であり、同図(b)はB−B線切断部断面図である。
【図4】本発明の袖付き衣類の他の実施形態を説明するための側面断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10:袖付き衣類
12:胴部
14:袖部
16:縫合部(境界)
18,40:袖下パッド
20:身体
22:腕
28:脇
30:下端
32:上端


【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と袖部とから成る袖付き衣類において、
前記胴部と袖部との境界に脇下パッドを備えた袖付き衣類。
【請求項2】
前記身体に装着した時に、前記脇下パッドが脇に向かって立ち上がる請求項1に記載する袖付き衣類。
【請求項3】
前記脇下パッドが、装着する身体の前後方向に伸縮可能である請求項1〜請求項2のいずれかに記載する袖付き衣類。
【請求項4】
前記胴部と袖部との境界が、該胴部と袖部との縫合部である請求項1〜請求項3のいずれかに記載する袖付き衣類。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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