説明

被コーティング物品およびそのコーティング方法

被コーティング物品およびコーティングを付与する方法を記載する。幾つかのケースでは、コーティングは、耐久性、耐食性、および高伝導性のような望ましい特性および特徴を示すことが可能である。物品は、例えば電着処理を使用してコーティングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、被コーティング物品およびそのコーティング関連方法に関する。幾つかの実施形態では、物品は、電着処理を利用してコーティングされる。
【背景技術】
【0002】
基材上には多くの種類のコーティングが付与されることがある。そういったコーティングを堆積させる一般的な技術に電着がある。電着は、一般に、電着槽内に配置された基材に電圧を印加して槽内の金属イオン種を還元することを含み、この槽内の金属イオン種が、金属または合金のコーティングの形態で基材上に堆積する。電圧は、アノードとカソードとの間に電源を使用して印加される。アノードおよびカソードのうちの少なくとも一方は、コーティングされる基材とされてもよい。幾つかの電着処理では、電圧は、パルスめっき法、交流めっき法、または逆パルスめっき法における複合波形として印加されることがある。
【0003】
様々な金属および合金のコーティングは電着を利用して堆積されることがある。例えば、合金コーティングは、Ni、W、Fe、Co等を含む2つ以上の遷移金属がベースとなる。
【0004】
腐食過程は、一般に、腐食環境に晒される電気めっきコーティングの構造および組成に影響を及ぼす可能性がある。例えば、腐食は、コーティングの表面からの直接的な原子の溶解、選択溶解または脱成分腐食によるコーティング界面の化学的性質の変化、または例えば酸化または不動態皮膜の形成によるコーティング界面の化学的性質および構造に変化を及ぼすことがある。これらの過程のうちの幾つかはコーティングの表面形状、質感(texture)、特性または外観を変えてしまうことがある。例えば、コーティングのスポッティングおよび/または変色が生じることがある。そのような影響は、特に、コーティングが部分的に付与される場合、コーティングの抵抗を増加させることがあるため、電気伝導率を高めるのに望ましくないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被コーティング物品およびそのコーティング関連方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
或る一態様では、順パルス(forward pulse)および逆パルス(reverse pulse)を有する波形を使用して、基材上に第1のコーティング層を電着させることを含む方法であって、前記基材が銅を含み、前記第1層がNiと、Wおよび/またはMoとを含み、前記第1層が0.127μm(5マイクロインチ)よりも大きい厚さを有している方法が提供される。前記方法はさらに、前記第1層の上に第2のコーティング層を電着することであって、前記第2層がAu、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、および/またはAgからなるグループから選択された金属を含み、前記第2層が0.762μm(30マイクロインチ)よりも小さい厚さを有している。
【0007】
別の態様では、物品が提供される。該物品は、銅を含む基材を備えている。該物品は、さらに、前記基材の上に形成されたコーティングを備え、該コーティングが、Niと、Wおよび/またはMoとを含む第1層であって、該第1層が0.127μm(5マイクロインチ)よりも大きい厚さを有することと、前記第1層の上に形成された第2層であって、該第2層がAu、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、および/またはAgからなるグ
ループから選択された金属を含み、前記第2層が0.762μm(30マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する。
【0008】
本発明の他の態様、実施形態および特徴は、下の詳しい記載から、添付の図面と併せて考慮すると明らかになる。添付の図面は概略であり、大きさを計るために描かれたものではない。明確にするため、すべての構成要素がすべての図面内にそれぞれ参照符号を付されているとは限らず、当業者が本発明を理解するのに図解は必要ではない場合には本発明の各実施形態の各構成要素が示されているとは限らない。参照によりここに援用された特許出願および特許はすべて、参照によりその全体がここに援用される。解釈が抵触する場合には、定義を含む本明細書がその解釈を支配する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】幾つかの実施形態に係る被コーティング物品を示す図。
【図2A】実施例1に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図2B】実施例1に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図2C】実施例1に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図3A】実施例2に記載されるテスト手順および被コーティング物品の写真を示す図。
【図3B】実施例2に記載されるテスト手順および被コーティング物品の写真を示す図。
【図3C】実施例2に記載されるテスト手順および被コーティング物品の写真を示す図。
【図4A】実施例3に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図4B】実施例3に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図4C】実施例3に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図4D】実施例3に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図5A】実施例4に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図5B】実施例4に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図5C】実施例4に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図5D】実施例4に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図6】実施例5に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図7】実施例5に記載される被コーティング物品の写真を示す図。
【図8A】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図8B】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図8C】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図8D】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図9A】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【図9B】実施例5に記載される抵触抵抗測定結果のプロットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
コーティングを付与するための被コーティング物品およびその方法が記載される。物品は、基材、およびその基材上に形成された多層コーティングを備える。幾つかのケースでは、コーティングは、合金(例えばニッケルタングステン合金)を含む第1層と、貴金属(例えばRu、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、および/またはAu)を含む第2層とを備える。幾つかのケースでは、コーティングが電着処理を利用して付与されることがある。コーティングは、例えば電気的な用途の際に有益になることがある耐久性、耐食性、および高伝導性のような望ましい特性および特徴を呈することが可能である。幾つかのケースでは、第1層の存在は、望ましい特性を保ちながら第2層の厚さを低減させることが可能である。
【0011】
図1は、一実施形態に係る物品10を示している。この物品は、基材30上に形成されたコーティング20を有している。このコーティングは、基材上に形成された第1層40、およびこの第1層上に形成された第2層50を備える。より詳細には以下に記載されるように、各層は、適切な製法を利用して付与される。コーティングは、2層より多くの層を備えることもあると考えられるが、幾つかの実施形態では、図に示されるように、コーティングは、2層のみを備えることがある。
【0012】
幾つかの実施形態では、第1層は、一又は複数の金属を含む。例えば、第1層は、合金を含むことがある。幾つかのケースでは、ニッケルを含む合金が好ましい。そのような合金は、さらにタングステンおよび/またはモリブデンを含むことがある。幾つかのケースでは、ニッケルタングステン合金が好まれることがある。
【0013】
幾つかのケースでは、前記合金中のニッケルの重量%は25〜75重量%であり、さらに幾つかのケースでは、50〜70重量%である。これらのケースでは、合金内の残部はタングステンおよび/またはモリブデンである。この範囲外の重量%も同様に使用されてもよい。
【0014】
第1層は、特定用途に合わせてどの様な厚さにしてもよい。例えば、第1層の厚さは約0.0254μm(約1マイクロインチ)よりも厚くてもよく(例えば、約0.0254μm〜2.54μm(約1マイクロインチ〜約100マイクロインチ)の間または約0.0254μm〜約1.27μm(約1マイクロインチ〜50マイクロインチの間)、幾つかのケースでは、約0.127μm(約5マイクロインチ)よりも厚くてもよく(例えば、約0.127μm〜2.54μm(約5マイクロインチ〜約100マイクロインチ)の間または約0.127μm〜1.27μm(約5マイクロインチ〜50マイクロインチ)の間)、約0.635μm(約25マイクロインチ)よりも厚くてもよい(例えば、約0.635μm〜約2.54μm(約25マイクロインチ〜約100マイクロインチ)の間または約0.0254μm〜1.27μm(約1マイクロインチ〜50マイクロインチ)の間)である。この他の厚さが、第1層に適切であることも考えられる。幾つかの実施形態では、第1層の厚さは、第1層が表面で本質的に透明になるように選択される。この厚さは、当業者に公知の技術によって測定することが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態では、第1層が基材上に直接形成されるのが好ましい。そのような実施形態では、第1層と基材との間に存在する層が利用される幾つかの先行技術の構造に比べて、そのような介在層がないので全体的な材料費を節約することができ、より好ましいことがある。しかし、他の実施形態では、一又は複数の層が第1層と基材との間に形成されることが可能であると考えられる。
【0016】
第2層は、一又は複数の貴金属を含むことがある。適切な貴金属の例は、例えばRu、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、および/またはAuを含んでいる。金が幾つかの実施形態で好まれることがある。幾つかの実施形態では、第2層は、本質的に1つの貴金属からなる。幾つかの実施形態では、第2層が錫を含まないことが好ましいことがある。他のケースでは、第2層は、少なくとも1つの貴金属および少なくとも1つの他の金属を含んだ合金を含有することがある。該金属は、Ni、W、Fe、B、S、Co、Mo、Cu、Cr、Zn、およびSn等から選択されることがある。
【0017】
第2層は、任意の適切な厚さにしてもよい。例えば、材料費を節約するために、第2層を薄くするのは有利なことがある。例えば、第2層の厚さは、0.762μm(30マイクロインチ)よりも薄いことがあり(例えば、約0.0254μm〜約0.762μm(約1マイクロインチ〜約30マイクロインチ)の間、幾つかのケースでは、約0.127μm〜約0.762μm(約5マイクロインチ〜約30マイクロインチ)の間)、幾つか
のケースでは、第2層の厚さは、0.508μm(20マイクロインチ)よりも薄いこともある(例えば、約0.0254μm〜約0.508μm(約1マイクロインチ〜約20マイクロインチ)の間、幾つかのケースでは、約0.127μm〜約0.508μm(約5マイクロインチ〜約20マイクロインチ)の間である)。また、幾つかのケースでは、第2層の厚さは、0.254μm(10マイクロインチ)よりも薄いこともある(例えば、約0.0254μm〜約0.254μm(約1マイクロインチ〜約10マイクロインチ)の間、幾つかのケースでは、約0.127μm〜約0.254μm(約5マイクロインチ〜約10マイクロインチ)の間)である。幾つかの実施形態では、第2層の厚さは、第2層が表面で本質的に透明になるように選択される。これ以外の厚さが、第2層に適切であることも考えられる。
【0018】
第2層は、第1層全体をカバーしてもよい。しかしながら、他の実施形態では、第2層が第1層の一部のみをカバーすると考えられる。幾つかのケースでは、第2層が、第1層の表面積の少なくとも50%をカバーし、他のケースでは、第1層の表面積の少なくとも75%をカバーする。幾つかのケースでは、第1層の元素が第2層内に組み入れられる、および/または第2層の元素が第1層内に組み入れられることがある。
【0019】
幾つかのケースでは、コーティング(例えば第1層および/または第2層)が、特定の微細構造を有することがある。例えば、コーティングの少なくとも一部がナノ結晶体微細構造を有することがある。ここで使用される「ナノ結晶体」構造は結晶粒の数平均サイズが1マイクロメートルよりも小さい構造を指す。結晶粒の数平均サイズでは、各結晶粒に等しい統計学的重みが与えられ、粒体の代表的な体積中のすべての球状の等価結晶粒径の合計を粒の総数で除算して計算される。幾つかの実施形態では、コーティングの少なくとも一部がアモルファス構造を有していることがある。従来技術で知られているように、アモルファス構造は、原子位置に長距離の対称性が存在しないことにより特徴づけられた非晶質の構造である。アモルファス構造の例は、ガラス、またはガラス状の構造を含む。幾つかの実施形態では、本質的に全体に亘ってナノ結晶体構造を持つコーティングを提供することが可能である。幾つかの実施形態では、本質的に全体に亘って非晶質構造を持つコーティングを提供することが可能である。
【0020】
幾つかの実施形態では、コーティングは、異なる微細構造を持つ様々な部分を含むことがある。例えば、第1層は、第2層とは異なる微細構造を持っている。コーティングは、例えば、一又は複数のナノ結晶体構造の部分、および一又は複数のアモルファス構造の部分を含んでいることがある。一組の実施形態では、コーティングは、ナノ結晶体粒と、アモルファス構造を呈する他の部分とを含んでいる。幾つかのケースでは、コーティングまたはその一部分(つまり、第1層の一部分、第2層の一部分、または第1層および第2層の両方の一部分)が、結晶粒を含有する一部分を含むことがあり、その大多数は直径1マイクロメートルよりも大きい粒径を有している。幾つかの実施形態では、コーティングは、他の「構造」または「相」を、単独でもしくはナノ結晶体部分またはアモルファス部分との組合せで含むことがある。当業者であれば、本発明と関連して使用する場合に適切な他の構造または相を選択できるであろう。
【0021】
有利なことに、コーティング(つまり、第1層、第2層、または第1層および第2層の両方)は、高い毒性または他の欠点を有する元素もしくは化合物を実質的に有しなくてもよい。幾つかの場合では、コーティングが、高い毒性または他の欠点を有する種を使用して堆積される元素または化合物を実質的に含有しないことが有利なことがある。例えば、幾つかのケースでは、コーティングは、有毒のクロムイオン種(例えば、Cr6+)を使用して堆積されることの多いクロム(例えば、酸化クロム)を含有しない。そのようなコーティングは、幾つかの先に行われたコーティングにおいて各種処理、健康面および環境面において有利なことがある。
【0022】
幾つかの実施形態では、金属、非金属、および/またはメタロイド材料、塩類等(例えば、リン酸塩、またはフェリシアン化カリウム等の酸化還元メディエーター、またはその断片)が、コーティングに組み入れられることが可能である。
【0023】
コーティングまたはその一部分、もしくはコーティングの層の構成は、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)等の既知の技術の中で適切なものを使用して特徴づけられる。例えば、AESおよび/またはXPSはコーティングの表面の化学組成を特徴づけるために使用されることがある。
【0024】
前述のように、基材30は、被コーティング物品を形成するためにコーティングされることが可能である。幾つかのケースでは、基材が、金属、合金、または金属間材料等の導電性材料を含むことがある。適切な基材は、導電性面を有する、および/または、表面処理をした、透明導電性酸化物を有する、鋼、銅、アルミニウム、真鍮、青銅、ニッケル、ポリマー等を含んでいる。幾つかの実施形態では、銅基材が好まれる。
【0025】
前記物品は、電気コネクタ(例えば、プラグタイプ)のような電気的な用途を含む様々な用途において使用することが可能である。コーティングは、耐久性、耐食性および向上した電気伝導率等の、物品に望ましい特性を与えることが可能である。これらの特性は、物品の、電気コネクタのような電気的な用途の際に特に有利になることがある。この電気的な用途では、物品上の導電層に損傷を与えるか、その伝導性を弱めることがある電気回路との接続および/または電気回路からの切断の際に摩擦または摩耗のストレスを受けることがある。幾つかの実施形態では、コーティングの第1層の存在によって、コーティングに少なくとも或る程度の耐久性および耐食性を与えることが可能である。さらに、第1層の存在は、第2層の厚さの減少させることが可能にし、それにより、物品上の貴金属量は著しく減少する。
【0026】
コーティング20は、電着処理を利用して形成される。電着は、一般に、基板を電着槽に接触させて、電着槽を介して2つの電極間に電流を流すことによって、基板上への材料(例えば、電気めっき)の堆積に関係する、すなわち、2つの電極間の電位の差に起因するものである。例えば、ここに記載される方法は、アノード、カソード、これらのアノードおよびカソードに関連した(例えば、接した)電着槽(電着液としても知られる)を提供するとともに、アノードとカソードとに接続された電源を提供する。幾つかのケースでは、以下に、さらに十分に記述されるように、電源が、コーティングを生成するための波形を生成するように駆動されることがある。
【0027】
一般に、コーティングの第1層および第2層は、個別の電着槽を使用して付与されることがある。幾つかのケースでは、物品が、例えば、リール・ツー・リール製法で個別の電着槽に連続して晒されるように、それぞれ接続されることがある。例えば、物品は、共通の導電性基板(例えば、ストリップ)に接続される。幾つかの実施形態では、各電着槽は、個別のアノードと関連していることがある。また、相互に連結した複数の個々の物品は、共に1つのカソードに接続されることがある。
【0028】
電着処理は、電極間で印加される電位を変更すること(例えば、電位制御または電圧制御)、または流れている電流または電流密度を変更すること(例えば、電流制御または電流密度制御)により調節されることが可能である。幾つかの実施形態では、コーティングは、直流(DC)めっき法、パルス電流めっき法、逆パルス電流めっき法、またはこれらの組合せを利用して形成(例えば、電着)することが可能である。幾つかの実施形態では、逆パルスめっき法が、例えば、第1層(例えば、ニッケルタングステン合金)を形成するのに好まれる。以下に、さらに十分に記述されるように、パルス、発振、および/また
は他の、電圧、電位、電流および/または電流密度における変化が電着処理中に組み込まれることもある。例えば、制御された電圧のパルスは、制御された電流または電流密度のパルスと交互に入れ替わることがある。一般に、電着処理中に、電位は、コーティングされる基板(例えば基材)上に存在し、印加された電圧、電流、または電流密度における変化は基板上の電位への変化へとつながる。幾つかのケースでは、以下に、さらに十分に記述されるように、電着処理は、一又は複数のセグメントからなる波形の使用を含むことがあり、各セグメントは、電着状態(例えば、電流密度、電流持続時間、電着槽の温度等)の特定の組合せに関している。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態は、電着材料(例えば、金属および合金等)の粒径を制御することが可能である電着方法に関係している。幾つかの実施形態では、合金堆積物の組成物等の選択された特定のコーティング(例えば、電気めっき)組成は、望ましい粒径を持ったコーティングを提供することが可能である。幾つかの実施形態では、ここに記載される電着方法(例えば、電着状態)は特定の組成物を生成するために選択されることがあり、それによって、堆積された材料の粒径を制御する。本発明の前記方法は、参照によりその全体がここに援用される、「合金堆積物の生成法および負パルス電流の電着を利用した、合金皮膜のナノ構造体の制御方法、およびそのような堆積物を組込んだ物品」という発明の名称の米国特許出願公開第2006/02,722,949号明細書、および2008年5月14日に出願された、「被コーティング物品およびその関連方法」という発明の名称である米国特許出願第12/120,564号明細書に記載される方法の特定の態様を利用することが可能である。参照によりその全体がここに援用される、平成7年11月15日に出願された、「ナノ結晶体またはアモルファス金属、もしくは合金の表面トポグラフィーを調整する方法、および該方法によって形成される物品」という発明の名称である米国特許出願第11/985,569号および米国特許出願公開第2006/0,154,084号に記載されるものを含む他の電着方法の態様も適切なことがある。
【0030】
幾つかの実施形態では、コーティングまたはその一部分は、直流(DC)めっき法を使用して電着されることがある。例えば、基板(例えば、電極)は、基板に堆積される一又は複数の種を含む電着槽に接して(例えば、電着槽内に浸漬して)位置されることがある。一定の安定した電流は、電着槽を通して、基板上にコーティングまたはその一部分を生成することが可能である。前述のように、逆パルス電流を使用してもよい。
【0031】
電着処理では、適切な電着槽を使用する。そのような電着槽は、典型的に、電流の印加において基板に(例えば、電極)堆積される種を含んでいる。例えば、一又は複数の金属種(例えば、金属、塩類、他の金属源)を含む電着槽は、金属(例えば、合金)を含むコーティングの電着に使用されてもよい。幾つかのケースでは、電着槽はニッケル種(例えば、硫酸ニッケル)およびタングステン種(例えば、タングステン酸ナトリウム)を含み、例えばニッケルタングステン合金コーティングの形成に便利なことがある。
【0032】
電着槽は、典型的に水性流体キャリア(例えば、水)を含む。しかし、他の水性流体キャリアが、これに限らないが、融解塩、低温溶媒およびアルコール槽等に、本発明と関連して使用されてもよいと考えられる。当業者は、電着槽での使用に適切な水性流体キャリアを選択できるであろう。幾つかのケースでは、電着槽が約7.0〜9.0のpHを有するよう選択されることがある。幾つかのケースでは、電着槽が、約7.6〜8.4のpHを、または幾つかのケースでは、約7.9〜8.1のpHを有することがある。
【0033】
電着槽は、湿潤剤、光沢剤、またはレベリング剤等の他の添加剤を含んでもよい。当業者は特定用途での使用に適切な添加剤を選択できるであろう。幾つかのケースでは、電着槽が添加剤としてクエン酸イオンを含んでいる。幾つかのケースでは、クエン酸イオンの含有量が、約35〜150g/L(リットル)、40〜80g/L、または幾つかのケー
スでは60〜66g/Lで生成されることがある。
【0034】
本発明の方法は、様々な組成物を持つコーティング(例えば、Ni−W合金コーティング)が単一の電着ステップによって容易に生成されることが可能であるという点で有利なことがある。例えば層状の組成物、段階的な組成物等を含むコーティングは、適切なセグメントを有する波形の選択により、1つの電着槽で生成されるとともに、単一の堆積ステップで生成されることが可能である。被コーティング物品は向上した耐食性および表面の特性を呈することが可能である。
【0035】
コーティングの形成には、以下に記すような気相処理、スパッタリング、PVD処理、化学蒸着処理、熱酸化、イオン注入、スプレーコーティング、粉末系処理、スラリー系処理等の他の技術を利用することも考えられる。
【0036】
幾つかの実施形態では、本発明は、一又は複数の潜在的腐食環境の中で、腐食に対抗し、および/または、腐食から下地層の基板材料を保護することが可能な被コーティング物品を提供する。そのような腐食環境の例は、これに限らないが、水溶液、酸溶液、アルカリ性または塩基性溶液、もしくはこれらの組合せを含んでいる。例えば、ここに記載された被コーティング物品は、腐食液、蒸気または湿度の高い環境のような腐食環境への暴露(例えば、接触、浸漬等)における腐食に対抗することが可能である。
【0037】
耐食性は、「硝酸蒸気による金属基板上への金コーティングにおけるポロシティ(porocity)の標準テスト方法」と題されたASTM B735等のテストを利用して評価されることがあり、さらに「電気接触の混合ガス流(MFG)テストの標準ガイド」と題されたASTM B845のプロトコルクラスIIaを利用して被コーティング物品の耐食性を評価してもよい。これらのテストは、コーティング基板サンプルが腐食雰囲気(つまり硝酸蒸気またはNO、HS、ClおよびSOの混合物)に晒されるという手順の概要を示している。流動ガスの混合物は、200±50ppbのNOと、10±5ppbのHSと、10±3ppbのClと、100±20ppbのSOと、からなることが可能である。温度および相対湿度も制御されることが可能である。例えば、温度は30±1℃で、相対湿度は70±2%であることがある。
【0038】
ガスまたはガス混合物への物品の暴露時間は変更されてもよく、テストされている製品またはコーティングのエンドユーザによって一般に指定されることが可能である。例えば、暴露時間は、少なくとも30分、少なくとも2時間、少なくとも1日、少なくとも5日、または少なくとも40日であることがある。規定の暴露時間の後、サンプルは、腐食および/またはスポッティングに起因する表面外観の変化および/または電気伝導率の変化の兆候について検査される(例えば、以下に記載されるように、人間により視覚によって、および/または機器によって検査される)。テスト結果は、暴露時間経過後に、単純な合格/不合格のアプローチを使用して報告することが可能である。
【0039】
上に検討されたテスト状態にあったコーティングは、例えば、そのコーティングの外観の変化を測定することにより評価されることが可能である。例えば、表面積境界比率が、指定時間に合わせて規定されることがある。もし、指定時間テストした後、腐食に起因して外観が変化するコーティングの表面積の比率が指定された境界値を下回る場合、結果は合格とされる。もし、前記境界比率よりも大きい表面積の外観が腐食に起因して変化した場合、結果は不合格とされる。例えば、腐食スポッティングの程度を判定することが可能である。スポットの程度は、指定時間後のスポットの数密度および/または面密度を判定することにより数値化されることが可能である。例えば、数密度は、単位面積(例えば、スポット/cm)当たりのスポットの数を数えることで判定されることが可能である。スポット領域密度は、例えば、スポットで占められた表面積の比率を測定することで評価
できる。例えば、1に等しい面密度は、スポットで占められた表面積が100%であることを指し、0.5に等しい面密度は、スポットで占められた表面積が50%であることを指し、また、零に等しい面密度は、表面積にはスポットで占められた箇所がないことを指す。
【0040】
幾つかのケースでは、ASTM B735に従って硝酸蒸気に2時間、またはASTM
B845のプロトコルクラスIIaに従って混合ガス流に5日間晒された被コーティング物品は、0.10よりも小さい、幾つかのケースでは、0.05よりも小さい、また幾つかのケースでは、零のスポッティング面密度を有する。幾つかの実施形態では、これらの状態に晒された被コーティング物品は、3スポット/cmよりも小さい、幾つかの実施形態では、2スポット/cmよりも小さい、また、幾つかの実施形態では、0スポット/cmの数密度のスポットを有している。スポットの面密度および数密度は上記の範囲外にあることも考えられる。
【0041】
サンプルの低レベル接触抵抗は、前述のテストのうちの1つに従って、設定期間の腐食環境への暴露の前後に判定されることが可能である。幾つかの実施形態では、低レベル接触抵抗は、仕様EIA364のテスト手順23によって判定される。一般に、サンプルの接触抵抗率は、指定負荷でサンプルと接触させることにより測定されるとともに、サンプルと接触することにより規定される断面積を有する測定プローブの電流により測定される。例えば、低レベル接触抵抗は、25g、50g、150g、200g等の負荷の下で測定されることがある。一般に、低レベル接触抵抗は負荷が増加するにつれて減少する。
【0042】
低レベル接触抵抗閾値は、サンプルの低レベル接触抵抗値の測定値が該閾値を超すと、前記サンプルはテストに不合格となるように設定してもよい。例えば、ASTM B735に従って硝酸蒸気に2時間またはASTM B845のプロトコルクラスIIaに従って混合ガス流に5日間晒された後に25gの負荷での低レベル接触抵抗閾値は、1mΩよりも大きく、10mΩよりも大きく、100mΩよりも大きく、または1,000mΩよりも大きくなることがある。他の低レベル接触抵抗閾値も実現されることが可能であると考えられる。
【0043】
幾つかの実施形態では、被コーティング物品は低減された低レベル接触抵抗を持つ。低減された低レベル接触抵抗は、電気コネクタのように電気的な用途で使用される物品に便利なことがある。幾つかのケースでは、物品が、約100mΩよりも小さい、また幾つかのケースでは、約10mΩよりも小さい、また幾つかのケースでは、約5mΩよりも小さい、さらに幾つかのケースでは、約1mΩよりも小さい25gの負荷での低レベル接触抵抗を有することがある。この物品は、前記範囲外の低レベルの接触抵抗を有することもあると考えられる。測定プローブによる前記断面積の接触は、測定された低レベル接触抵抗の値に影響を及ぼすことがあると考えられる。
【0044】
被コーティング物品の耐久性もテストされる。幾つかの実施形態では、耐久性テストは、上に検討された腐食テストおよび/または接触抵抗測定結果と協働して行なわれることが可能である。耐久性テストは、テスト対象を備えた被コーティング物品の表面を一期間摩擦し、次いでコーティングの損傷を視覚的に検査すること、および/またはコーティングの接触抵抗を測定することを含み得る。耐久性テストの、これに限らない一例では、対応物は、設定負荷で被コーティング物品の表面に対して保持されるとともに、該被コーティング物品は、対応物が被コーティング物品の表面に対して摩擦するように、往復運動することがある。例えば、対応物は50gの負荷で被コーティング物品の表面に対して保持されることがある。往復動作の継続時間は、例えば、単位時間当たりの往復動作サイクルの回数によって測定されることが可能である。例えば、往復動作は、1サイクル/秒の割合で500秒間行なわれてもよい。幾つかの実施形態では、耐久性は、より詳しくは上に
検討されるような、物品について、腐食テストを受けさせる前後で測定されてもよい。コーティングの接触抵抗は前述のように測定されてもよい。幾つかのケースでは、コーティングは、摩耗痕跡の有無を視覚的に検査されてもよい。幾つかの実施形態では、摩耗痕跡は、指定負荷での指定回数の往復動作サイクルの後に、摩耗痕跡の間に露出した基材の幅を測定することにより分析されてもよい。幾つかの場合では、該分析は、単純に合格/不合格テストにしてもよく、摩耗痕跡間の露出した基材の幅閾値を、露出された物品の前記閾値を超える幅の存在はテストに不合格になることを示すように設定する。
【0045】
次の実施例は、本発明の特定の特徴の限定ではなく実例と考えられる。

実施例
実施例1
この実施例では、本発明の幾つかの実施形態に従って生成された第1層を有するコーティングを含む物品の耐食性と、従来のコーティングを有する2つの物品の耐食性とを比較する。図2A〜図2Cはそれぞれ、ASTM B0735−06に従って30分間硝酸蒸気に晒された後の物品を示している。図2Aは、逆パルス状のDC電流を使用したNi−Wの層(およそ1.016〜1.27μm(40〜50マイクロインチ)厚さ)がコーティングされた銅基材を示しており、本質的に腐食はない。図2Bは、ニッケルでコーティングされた(およそ1.016〜1.27μm(40〜50マイクロインチ)厚さで、パルス状のDC電流を使用してNi−スルファミン酸塩槽で電着)銅基材を示しており、著しい腐食があった。図2Cは、電気めっきしたニッケルリン(EP−NiP)でコーティングされた(およそ1.016〜1.27μm(40〜50マイクロインチ)厚さで、パルス状のDC電流を使用して電着された)銅基材を示しており、著しい腐食があった。この実施例は、従来の被コーティング物品と比較して、本発明の被コーティング物品は耐食性が改善されたことを実証している。

実施例2
この実施例では、本発明の幾つかの実施形態に従って生成された第1層を有するコーティングを含む物品の耐久性と、従来のコーティングを有する物品の耐久性とを比較する。図3Aは、被コーティング物品の耐久性を分析するためのテスト手順の概略図である。摩耗表面と同じ材料で被コーティング物品がめっきされた対応物100は、50gの負荷の被コーティング物品110に対して定常に保持される一方、経路120に沿って対応物に対して約1サイクル/秒の頻度で、500サイクル分相互に移動される。図3Bは、ニッケルでコーティングされた(およそ1.016〜1.27μm(40〜50マイクロインチ)厚さで、スルファミン酸ニッケル槽およびパルス状のDC電流を使用して電着)銅基材を示しており、広範囲に及ぶ摩耗痕跡130がある。図3Cは、Ni−Wでコーティングされた(およそ1.016〜1.27μm(40〜50マイクロインチ)厚さで、パルス状の逆DC電流を使用して電着)銅基材を示しており、摩耗痕跡が大幅に少ない。この実施例は、従来の被コーティング物品と比較して、本発明の被コーティング物品は耐久性が改善されたことを実証している。

実施例3
この実施例では、本発明の幾つかの実施形態に従って生成された2つの層を有するコーティングを含む物品の耐食性と、従来のコーティングを有する2つの物品の耐食性とを比較する。図4A〜4Dはそれぞれ、ASTM B0845−97R08E01に従って5日間混合ガス流に晒された後の物品を示している。図4A〜4Bは、Ni−Wの第1層(およそ1.016μm(40マイクロインチ厚さで、パルス状の逆DC電流を使用して電着される)、および0.508μm(20マイクロインチ)厚さのAu−Co合金(図4A)または0.762μm(30マイクロインチ)厚さのAu−Co合金(図4B)がコーティングされた銅基材を示しており、本質的に腐食はない。図4C〜4Dは、ニッケル
の第1層(Ni−スルファミン酸塩槽およびパルス状のDC電流を使用して電着)、および0.508μm(20マイクロインチ)厚さのAu−Co合金(図4C)または0.762μm(30マイクロインチ)厚さのAu−Co合金(図4D)がコーティングされた銅基材を示しており、著しい腐食および孔食があった。この実施例は、従来の被コーティング物品と比較して、本発明の被コーティング物品は耐食性が改善されたことを実証している。

実施例4
この実施例では、腐食状態に晒された、本発明の幾つかの実施形態に従って生成された2つの層を有するコーティングを含む物品の耐食性と、腐食状態に晒された、従来のコーティングを有する2つの物品の耐食性とを比較する。図5A〜5Dは、実施例3からの被コーティング物品の低レベル接触抵抗を数値化し、それぞれ複数回反復して行った結果を示している。図5Aは、Ni−Wおよび0.508μm(20マイクロインチ)のAuCo合金でコーティングされた基材の接触抵抗を示しており、図5Bは、Ni−Wおよび0.762μm(30マイクロインチ)のAuCo合金でコーティングされた基材の接触抵抗を示している。接触抵抗は、両方のケースで10mΩよりも小さく、これは、このテストで「合格」として定められた閾値であった。図5Cおよび5Dは、それぞれ、ニッケル(Niスルファミン酸塩槽を使用して電着される)、および0.508μm(20マイクロインチ)の金または0.762μm(30マイクロインチ)の金でコーティングされた基材の接触抵抗を示している。両方の物品は、データの位置が10mΩを超えて示されているので、接触抵抗テストに不合格である。この実施例は、従来の被コーティング物品と比較して、本発明の被コーティング物品は腐食状態への露出後の接触抵抗が改善されたことを実証している。

実施例5
この実施例では、腐食状態に晒された、本発明の幾つかの実施形態に従って生成された2つの層を有するコーティングを含む物品の耐食性と、腐食状態に晒された、従来のコーティングを有する2つの物品の耐食性とを比較する。図6は、それぞれ硝酸蒸気に2時間晒された一連の被コーティング物品の立体鏡図(倍率:〜10X)である。第1層(逆パルスDC電流を使用して電着されたNi−W)の厚さは、列の上にそれぞれ示され、列内の各基材上の第1層の厚さ(左から右に向かって、0.508μm(20マイクロインチ)、0.762μm(30マイクロインチ)、1.016μm(40マイクロインチ))にそれぞれ相当する。第2層(Au−Co)の厚さは、行の左にそれぞれ示され、行内の各基材の第2層の厚さ(上から下に向かって、0.1016μm(4マイクロインチ)、0.254μm(10マイクロインチ)、0.508μm(20マイクロインチ)、0.762μm(30マイクロインチ))にそれぞれ相当する。図7は、図6のものと同じ仕様の一連の被コーティング物品の非拡大図であり、それぞれ混合ガス流に5日間晒されたものである。図8A〜8Dは、図7に示される被コーティング物品の接触抵抗測定結果を示している。パルス電流制御され、図9A〜9Bは、硝酸蒸気に2時間晒された後の(パルスDC電流を使用して電着された)Ep−Nipの第1層およびAu−Coの第2層を含む物品の接触抵抗測定結果を示している。この実施例は、従来の被コーティング物品と比較して、本発明の被コーティング物品は腐食状態への露出後の接触抵抗が改善されたことを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を含む基材と、
該基材の上に形成されたコーティングとを備えるコーティング体において、前記コーティングが、
Niと、WおよびMoの一方又は両方とを含む第1層であって、該第1層が0.127μm(5マイクロインチ)よりも大きい厚さを有することと、
前記第1層の上に形成された第2層であって、該第2層がAu、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、およびAgのうちの1つ以上からなるグループから選択された金属を含み、前記第2層が0.762μm(30マイクロインチ)よりも小さい厚さを有することとを備える物品。
【請求項2】
前記コーティングは、ナノ結晶体である請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記第1層は、0.508μm(20マイクロインチ)よりも大きい厚さを有する請求項1記載の物品。
【請求項4】
前記第2層は、0.508μm(20マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する請求項1記載の物品。
【請求項5】
前記第2層は、0.254μm(10マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記第1層は、ニッケルタングステン合金を含む請求項1記載の物品。
【請求項7】
前記第1層は、ニッケルモリブデン合金を含む請求項1記載の物品。
【請求項8】
前記コーティングは、ASTM B0735に従って、硝酸蒸気に2時間晒された後、約10mΩよりも小さい接触抵抗を持つ請求項1記載の物品。
【請求項9】
前記コーティングは、ASTM B0845のプロトコルクラスIIaに従って、混合ガス流に5日間晒された後、約10mΩよりも小さい接触抵抗を持つ請求項1記載の物品。
【請求項10】
前記コーティングは、ASTM B0735に従って、硝酸蒸気に2時間晒された後、約1スポット/cmよりも小さいスポット密度を有する請求項1記載の物品。
【請求項11】
前記第1層は、前記基材上に直接形成されている請求項1記載の物品。
【請求項12】
前記第1層および第2層は、電着されている請求項1記載の物品。
【請求項13】
順パルスおよび逆パルスを有する波形を使用して、基材上に第1のコーティング層を電着させるステップであって、前記基材が銅を含み、前記第1層がNiと、WおよびMoの一方又は両方とを含み、前記第1層が0.127μm(5マイクロインチ)よりも大きい厚さを有する、前記第1層電着ステップと、
前記第1層の上に第2のコーティング層を電着するステップであって、前記第2層がAu、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、およびAgのうちの1つ以上からなるグループから選択された金属を含み、前記第2層が0.762μm(30マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する、前記第2層電着ステップとを含む方法。
【請求項14】
前記第1層および第2層は、ナノ結晶体である請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第2層は、順パルスおよび逆パルスを有する波形を使用して電着される請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記第1層は、0.508μm(20マイクロインチ)よりも大きい厚さを有する請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記第2層は、0.508μm(20マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記第2層は、0.254μm(10マイクロインチ)よりも小さい厚さを有する請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記第1層は、ニッケルタングステン合金を含む請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記第1層は、ニッケルモリブデン合金を含む請求項13記載の方法。
【請求項21】
物品は、ASTM B0735に従って、硝酸蒸気に2時間晒された後、約10mΩよりも小さい接触抵抗を持つ請求項13記載の方法。
【請求項22】
物品は、ASTM B0845のプロトコルクラスIIaに従って、混合ガス流に5日間晒された後、約10mΩよりも小さい接触抵抗を持つ請求項13記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングは、ASTM B0735に従って、硝酸蒸気に2時間晒された後、約1スポット/cmよりも小さいスポット密度を有する請求項13記載の方法。
【請求項24】
前記第1層は、前記基材上に直接形成されている請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A−4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2012−532988(P2012−532988A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519537(P2012−519537)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/001874
【国際公開番号】WO2011/005302
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508341245)エクスタリック コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】XTALIC CORPORATION
【Fターム(参考)】