説明

被加工物を加工するためのレーザ加工機械においてレーザビームを遮蔽するための装置及び方法

【課題】レーザビーム及び/又は被加工物におけるレーザビームの衝突箇所の遮蔽の機能信頼性を改善する。
【解決手段】被加工物2を加工するためのレーザ加工機械1において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置において、使用位置にある遮蔽部材14の端面19の、被加工物面に対する配向を検出可能な検出装置5を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置に関し、遮蔽ユニットを備え、該遮蔽ユニットが遮蔽部材を有しており、該遮蔽部材が、前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するために、被加工物における使用位置へと移動可能であり、かつ前記遮蔽部材の自由端に端面が形成されており、該端面が、前記遮蔽部材の使用位置で、対応する被加工物面に面しており、該被加工物面に対する目標とする配向(向き又は方向付け)の時に該被加工物面に対して略平行に配向されている、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置に関する。
【0002】
また本発明は、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法に関し、前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置の遮蔽ユニットの遮蔽部材を、被加工物における使用位置へと移動させ、使用位置へと移動される遮蔽部材を、該遮蔽部材の自由端に形成された端面が対応する被加工物面に対向するように配置し、目標配向時には被加工物面に対して平行に配向されるようにする、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法に関する。
【0003】
さらに本発明は、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械及び被加工物、特に金属薄板をレーザ加工機械により加工する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
上位概念に相当する従来技術は、ドイツ連邦共和国実用新案第29620304号明細書に開示されている。従来技術においては、レーザビーム又はウォータビームを用いて被加工物を加工するための工作機械の加工ヘッドに、保護ブラシの形態の遮蔽部材を備える遮蔽装置が設けられている。保護ブラシは、複数のブラシ列を有している。これらのブラシ列は、遮蔽したいレーザビーム又はウォータビームと同心的にレーザビーム又はウォータビーム周りに延在している。保護ブラシのブラシは、被加工物側の端部に環状の端面を形成している。被加工物の加工中、保護ブラシの端面は、加工したい被加工物の上面に載置される。その際、保護ブラシは、プリロードをかけられたばねにより、被加工物表面に圧着される。保護ブラシの端面は、ばねによる弾性的な支持に基づいて、加工したい被加工物の変化する表面輪郭に従うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国実用新案第29620304号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、レーザビーム及び/又は被加工物におけるレーザビームの衝突箇所の遮蔽の機能信頼性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置では、遮蔽ユニットを備え、該遮蔽ユニットが遮蔽部材を有しており、該遮蔽部材が、前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するために、被加工物における使用位置へと移動可能であり、かつ前記遮蔽部材の自由端に端面が形成されており、該端面が、前記遮蔽部材の使用位置で、対応する被加工物面に面しており、該被加工物面に対する目標配向時に該被加工物面に対して略平行に配向されている、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置において、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出可能な検出装置を備えるようにした。
【0008】
好ましくは、前記遮蔽部材のために受けが設けられており、該受けに前記遮蔽部材が該遮蔽部材の端面の横方向(横方向、交差方向、又は直交方向)で遮蔽側の基準部材を介して支持されており、該遮蔽側の基準部材自体は、前記遮蔽部材の端面に対して所定の配向を有しており、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向は、前記検出装置により前記遮蔽部材のための受け及び前記遮蔽側の基準部材の相互の配向が検出可能であることにより検出可能である。
【0009】
好ましくは、前記遮蔽装置が、前記遮蔽部材のための受け及び前記遮蔽側の基準部材の相互の配向を検出するための検出装置として、校正可能な検出装置を備える。
【0010】
好ましくは、前記遮蔽装置が、使用位置にある遮蔽部材の端面の検出された配向が前記目標配向からずれている場合に、前記遮蔽部材の端面を該端面の横方向で調節可能とし、これにより前記目標配向を有した状態に配置可能とする調節装置を備える。
【0011】
好ましくは、前記遮蔽装置が、前記遮蔽部材の端面を前記目標配向を有した状態に配置するための調節装置として、前記遮蔽部材のための受け及び前記遮蔽側の基準部材を前記遮蔽部材の端面の横方向で互いに相対的に調節可能とする調節装置を備える。
【0012】
好ましくは、前記遮蔽装置が、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための検出装置として、接触式の検出装置を備え、該接触式の検出装置が接触装置及び評価装置を備え、前記接触装置が、被加工物面又は該被加工物面を表す面の横方向で可動であり、接触位置で被加工物面又は該被加工物面を表す面に当接可能であることによって、該接触装置により被加工物面の延びが検出可能であり、かつ前記評価装置により、前記接触装置により検出された被加工物面の延びが、使用位置にある遮蔽部材の端面の延びと比較可能である。
【0013】
好ましくは、前記接触式の検出装置の接触装置として前記遮蔽部材が使用されている。
【0014】
好ましくは、前記接触式の検出装置の評価装置が、参照部材、表示装置、ストローク測定装置及び比較装置を備え、前記表示装置が少なくとも2つの表示部材を備え、該表示部材が、前記接触装置に接続されており、該接触装置を介して、被加工物面又は該被加工物面を表す面の、互いに間隔を置いた2点に割り当てられており、かつ前記参照部材に対して基本位置及び終端位置へと移動可能であり、前記表示部材の基本位置で、前記接触装置が、被加工物面又は該被加工物面を表す面から間隔を置いており、前記表示部材が、基本位置にある遮蔽部材の端面の延びを表示し、かつ前記表示部材の終端位置で、前記接触装置が接触位置を占め、前記表示部材が前記被加工物面の延びを表示し、前記ストローク測定装置により、それぞれの基本位置とそれぞれの終端位置との間の前記表示部材の運動の量が測定可能であり、かつ前記比較装置により、前記表示部材の運動の、前記ストローク測定装置により測定された量が互いに比較可能である。
【0015】
また上記課題を解決するために、本発明に係る被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械では、上述のように形成された、レーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビームを遮蔽するための遮蔽装置を備えるようにした。
【0016】
好ましくは、前記レーザ加工機械が、機械制御部を有しており、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための検出装置が、前記機械制御部の一部を形成している。
【0017】
好ましくは、前記レーザ加工機械が、加工したいかつ/又は加工される被加工物の厚さを測定するための装置(被加工物厚さ測定のための装置)を有しており、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための、接触式の検出装置として形成される検出装置が、前記被加工物厚さ測定のための装置の一部を形成している。
【0018】
また上記課題を解決するために、本発明に係る被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法では、前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置の遮蔽ユニットの遮蔽部材を、被加工物における使用位置へと移動させ、使用位置へと移動される遮蔽部材を、該遮蔽部材の自由端に形成された端面が対応する被加工物面に対向するように配置し、目標配向時には被加工物面に対して平行に配向されるようにする、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法において、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するようにした。
【0019】
好ましくは、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を、被加工物面の延びを検出するために、接触装置を被加工物面又は該被加工物面を表す面の横方向で運動させ、接触位置で被加工物面又は該被加工物面を表す面に当接させ、かつ被加工物面の、接触装置により検出された延びを、使用位置にある遮蔽部材の端面の延びと比較することにより、検出する。
【0020】
さらに上記課題を解決するために、本発明に係る被加工物、特に金属薄板をレーザ加工機械により加工する方法において、前記レーザ加工機械においてレーザビームを被加工物に向け、該被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を、上述の方法にしたがって遮蔽するようにした。
【0021】
好ましくは、加工したいかつ/又は加工される被加工物の厚さ(被加工物厚さ)を、使用位置にある遮蔽部材の端面の配向を検出するための、接触式の検出装置として形成される検出装置の接触装置を、被加工物面の横方向で運動させ、接触位置で被加工物面に当接させ、接触装置の接触位置をレーザ加工機械の参照系において参照位置と比較し、かつ実施された比較に基づいて被加工物厚さを測定することにより、測定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、使用位置にある遮蔽部材の端面の、遮蔽部材に対向する被加工物面に関する配向が、特にこのために設けられた検出装置により特定される。遮蔽部材は、レーザビーム又は被加工物におけるレーザビームの衝突箇所若しくは加工箇所を少なくとも部分的に包囲する。目標配向時には、遮蔽部材の端面は、遮蔽部材に対応する被加工物面に対して平行に延びている。遮蔽部材の端面がこのように配向されているとき、レーザビーム又は該当する被加工物におけるレーザビームの衝突箇所の最適な遮蔽が保証されている。遮蔽部材の端面の、目標延在から逸脱した延在は、種々異なる原因を有している場合がある。例えば、遮蔽部材の誤調整に原因がある場合もあれば、加工したい被加工物又は周囲にある機械部品との遮蔽ユニットの衝突の結果としての遮蔽部材の誤配向に原因がある場合もある。遮蔽部材の端面の、目標配向から逸脱した配向が確認されると、本発明によれば、種々異なる形式で反応することができる。特に、レーザビーム源を有利には自動的に停止させることができる。次に、遮蔽部材の端面の配向を修正するために、必要な対策を講じることができる。
【0023】
独立請求項に係る装置及び方法の特別な態様は、従属請求項2〜8,10,11,13及び15に看取される。
【0024】
本発明の有利な態様において、使用位置にある遮蔽部材の端面の、対応する被加工物面に対する配向は、直接端面において検出されるのではなく、むしろ端面から空間的に間隔を置いて検出される。この目的のために、遮蔽部材のための受け、及び遮蔽部材の端面に対して規定された状態に配向された遮蔽側の基準部材が設けられている。遮蔽部材のための受け及び遮蔽側の基準部材の相互の位置は、遮蔽部材の端面及び対応する被加工物面の相互の位置を表している(請求項2)。
【0025】
実際の状況に即した検出結果の関心から、本発明の別の有利な態様では、遮蔽部材のための受け及び遮蔽側の基準部材の相互の配向を検出するために、校正可能な検出装置が設けられている(請求項3)。検出装置の校正は、被加工物加工の開始の時間的至近に、理想的には直前に実施可能である。
【0026】
使用位置にある遮蔽部材の端面が、対応する被加工物面に対して誤調整されていることが確認されたときに、有利に反応することができるように、本発明に係る遮蔽装置の別の態様は、遮蔽部材の端面を必要なときに端面の横方向で調節可能とし、これにより目標配向を有した状態に配置可能とする調節装置を有している(請求項4)。
【0027】
使用位置にある遮蔽部材の端面及び対応する被加工物面の相互の配向の検出が、遮蔽部材のための受け及び遮蔽側の基準部材によりなされると、目標配向を有した状態に遮蔽部材の端面を配置するための調節装置は、有利には、遮蔽部材のための受けと遮蔽側の基準部材との間に設けられている(請求項5)。
【0028】
使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための検出装置として、種々異なる形態の検出装置が可能である。本発明において有利であるのは、接触装置及び評価装置を備える接触式の検出装置である。接触装置により、接触装置を被加工物面の横方向又は被加工物面を表す面の横方向で運動させ、接触位置で被加工物面又は被加工物面を表す面に当接させることによって、被加工物面の延びが計測される。評価装置により、こうして計測された被加工物面の延びが、使用位置にある遮蔽部材の端面の延びと比較される(請求項6,13)。
【0029】
本発明の有利な態様では、接触式の検出装置の接触装置として遮蔽部材自体が使用される(請求項7)。遮蔽部材は端面で、被加工物面又は被加工物面を表す面に当接する。
【0030】
接触式の検出装置のための、構造的に簡単に形成され、しかし機能信頼性の高い評価装置は、請求項8に記載されている。請求項8に係る評価装置は、詳細には、少なくとも2つの表示部材を備える表示装置、参照部材、ストローク測定装置及び比較装置を有している。接触式の検出装置の少なくとも2つの表示部材は、接触式の検出装置の接触装置に接続されている。接触装置が被加工物面又は被加工物面を表す面から間隔を置いているとき、表示部材は基本位置を取っている。基本位置において、表示部材は、基本位置にある遮蔽部材の端面の延びを表示している。終端位置において、表示装置の表示部材は、被加工物面の延びを表示している。表示部材が基本位置と終端位置との間で実施する運動の量は、ストローク測定装置により測定される。個々の表示部材に関する測定された運動量は、比較装置により互いに比較される。実施された比較の結果として、基本位置にある遮蔽部材の端面及び対応する被加工物面の相互の延びが得られる。
【0031】
本発明に係るレーザ加工機械において、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための、本発明により形成された検出装置が、機械制御部に組み込まれている(請求項10)。レーザ加工機械の該当する機能ユニットは、使用位置にある遮蔽部材の端面及び対応する被加工物面の、検出された相互の配向に基づいて制御可能である。既に上述した通り、特に、遮蔽部材の端面の誤配向が確認されると、機械のレーザビーム源を停止することができる。対応する被加工物面に対して遮蔽部材を調整するための制御可能な調節装置が設けられていると、遮蔽部材の端面の誤配向を確認したとき、調節装置は、遮蔽部材の端面の配向の修正の意味で制御可能である。
【0032】
請求項11によれば、使用位置にある遮蔽部材の端面の、被加工物面に対する配向を検出するための、接触式の検出装置として形成された装置が、同時に被加工物厚さ測定のために利用される。当該加工法の範囲内で、加工したいかつ/又は加工される被加工物の厚さは、接触式の検出装置の接触装置を接触位置で被加工物面に当接させ、接触装置の接触位置を参照位置と比較することにより測定される(請求項15)。
【0033】
以下に、本発明について例示的かつ概略的な図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】レーザビームのための遮蔽装置を備える金属薄板加工のためのレーザ加工機械を示す図である。
【図2】図1に示した遮蔽装置の遮蔽ユニットを示す図である。
【図3】図2に示した遮蔽ユニットの著しく概略的な部分図である。
【図4】図4a及び図4bは、図1〜図3に示した遮蔽装置の機能を説明するための著しく概略的な図である。
【図5】図5a及び図5bは、不正規の運転状態における図2〜図4aに示した遮蔽ユニットの著しく概略的な図である。
【図6】図6a及び図6bは、不正規の運転状態における図2〜図4aに示した遮蔽ユニットの著しく概略的な図である。
【図7】不正規の運転状態における図2〜図4aに示した遮蔽ユニットの著しく概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1において、金属薄板2を加工するためのレーザ加工機械1は、いわゆる「コンビ機械」として形成されており、コンビ機械としてレーザ切断ステーション3及び打抜きステーション4を兼備している。レーザ切断ステーション3及び打抜きステーション4は、C形の機械フレーム6の上側のフレーム辺5の自由端に位置している。機械フレーム6の開口部7には、従来慣用の座標ガイド8が格納されている。座標ガイド8により、通常のように、金属薄板2が、加工目的で水平の運動平面内でレーザ切断ステーション3あるいは打抜きステーション4に対して相対的に運動する。
【0036】
打抜きステーション4は、従来慣用の構造形態である。レーザ切断ステーション3は、レーザ切断ヘッド9及び遮蔽装置10を有している。遮蔽装置10は、レーザ切断ヘッド9から加工したい金属薄板2に向けられたレーザビーム、及び金属薄板2におけるレーザビームの加工箇所を、周囲に対して遮蔽するために用いられる。遮蔽装置は、安全技術上特に重要である。作業安全性を提供するために、レーザ切断ステーション3においてレーザ放射が周囲に漏れることは回避されなければならない。この必要性は、特に、金属薄板加工のために使用されるレーザ放射が固体レーザからである場合に生じる。この種のレーザ放射は、眼中を進行する性質を有しているので、特に大きな危険性をはらんでいる。
【0037】
遮蔽装置10の遮蔽ユニット11は、レーザ切断ヘッド9とは独立的に、鉛直の運動軸線12の方向で移動可能である。相応の運動可能性は、レーザ切断ヘッド9にもある。レーザ加工機械1のその他の重要な機能と同様に、レーザ切断ヘッド9及び遮蔽ユニット11の運動も、数値制御式の機械制御部13により制御される。数値制御式の機械制御部13の3軸の座標系は、図1にx軸、y軸及びz軸により概略的に表示してある。
【0038】
遮蔽装置10の遮蔽ユニット11の詳細は、図2に示してある。
【0039】
図2に示すように、遮蔽ユニット11は、遮蔽部材として遮蔽ブラシ14を有している。遮蔽ブラシ14は、基板15と、基板15に固定されたブラシ領域(Borstenfeld)16とを有している。ブラシ領域16は、円環の形状を有しており、複数の環状のブラシ列からなっている。ブラシ列は、遮蔽ユニット11の軸線17と同心的に軸線17周りに配置されている。遮蔽ブラシ14の基板15には、略長方形の窓18が開けられている。窓18内には、遮蔽ユニット11の組み付け位置で、レーザ切断ステーション3のレーザ切断ヘッド9が配置されている。レーザ切断ステーション3の運転時、レーザ切断ヘッド9から加工したい金属薄板2に向けられたレーザビームのビーム軸線が、遮蔽ユニット11の軸線17と一致する。遮蔽ブラシ14は、加工したい金属薄板2に端面19で対向する。端面19は、ブラシ領域16のブラシの被加工物側の自由端により形成されており、平たんな円環面の形状を有している。
【0040】
その他の部品として、遮蔽ユニット11は、支持板21と、支持板21に固定された支持アングル材22とを備える支持ユニット20を有している。支持アングル材22を介して、遮蔽ユニット11は、遮蔽装置10の、図2に概略的に示した位置決め用駆動装置23に接続されている。位置決め用駆動装置23は、数値制御式の機械制御部13により制御され、遮蔽ユニット11を鉛直の運動軸線12の方向で、遮蔽ブラシ14が使用位置を占め、レーザ切断ヘッド9から放射されたレーザビームと、該当する金属薄板2におけるレーザビームの加工箇所とを有効に周囲に対して遮蔽する位置へと移動させるために用いられる。
【0041】
支持ユニット20の支持板21は、レーザ切断ヘッド9のための切欠き24を有している。支持板21には、遮蔽ブラシ14が支持ユニット20に鉛直方向で浮動式に懸架されている。この目的のために、図示の実施の形態では、計3つの支承箇所25が設けられている。3つの支承箇所25のうちの1つは、図3に著しく概略的に示した断面図に示してある。残りの2つの支承箇所25における形態も、同じである。
【0042】
図3に示すように、支持板21は各々の支承箇所25に軸受ハウジング26を有している。軸受ハウジング26は、軸受ハウジング26の内部にハウジング室27を有している。ハウジング室27は、上方で、天板貫通部29を備えるハウジング天板28により画成される。天板貫通部29は、ハウジング室27より小さな横断面を有している。
【0043】
支持板21の近傍で、ハウジング室27の壁に、環状の肩部30が形成されている。肩部30は、ガイドブシュ31のための台として機能する。ガイドブシュ31自体は、支承ピン32を鉛直方向可動に案内している。ガイドブシュ31は、支承ピン32の比較的大きな直径を有する軸方向の区分33を包囲している。この大径の軸方向の区分33には、上方に、支承ピン32の減径された軸方向の区分34が接続している。支承ピン32のこの減径された軸方向の区分34の自由端には、雄ねじ山35が設けられている。雄ねじ山35は、測定フラグ36に設けられた雌ねじ山と係合し、さらに、保持ナット37に設けられた雌ねじ山と係合する。保持ナット37は、測定フラグ36の上側に配置されている。支承ピン32の減径された軸方向の区分34の自由端の端面には、回転操作工具、例えばねじ回し又は六角棒レンチ等のための係合部38が設けられている。
【0044】
ハウジング室27の内部において、支承ピン32の減径された軸方向の区分34に、ばね39が被せ嵌められている。ばね39は、軸方向の一端でハウジング天板28の天板貫通部29の縁部に支持され、軸方向の他端で支承ピン32の大径の軸方向の区分33と減径された軸方向の区分34との間の移行部に形成されている段面40に支持されている。遮蔽ブラシ14に向かって、支承ピン32は、支承ピン32の軸方向の区分33でもって、支持板21の貫通開口41を貫通している。支承ピン32の、大径の軸方向の区分33に接続する下側の軸方向の端部区分42も、軸方向の区分33に対して減径されており、かつ雄ねじ山を有している。軸受スリーブ43が、支承ピン32の下側の軸方向の端部区分42に螺着されており、固定ナット44により固定ナット44と支承ピン32の軸方向の区分33との間で締め付けられている。
【0045】
軸受スリーブ43は、同心的な軸受リング45により包囲されている。軸受リング45自体は、遮蔽ブラシ14の基板15に設けられた軸受開口46内に装入されている。軸受スリーブ43及び軸受リング45の向かい合った面には、凹部47,48が設けられている。凹部47,48は、支承ピン32の軸線周りに環状に延びており、軸受ボール49を収容している。軸受スリーブ43、軸受リング45及び軸受ボール49は、相俟って1つのピボット軸受(Gelenklager)50を形成している。ピボット軸受50を介して、支承ピン32と、基板15あるいは遮蔽ブラシ14とは、揺動可能あるいは傾倒可能に互いに支承されている。支承ピン32と遮蔽ブラシ14の基板15との間の結合箇所は、遮蔽ブラシ14の端面19に対して平行に延びる一平面内に位置している。
【0046】
支持ユニット20の支持板21の上方で、軸受ハウジング26から、ストロークセンサあるいは距離センサ52のための保持腕51が外方に張り出している。ストロークセンサ52は、支承ピン32に設けられた測定フラグ36と協働し、測定フラグ36と相俟ってストローク測定システム54のストローク測定装置53を形成している。ストローク測定システム54は、数値制御式の機械制御部13に組み込まれている。
【0047】
ストローク測定システム54は、遮蔽ブラシ14の端面19の、被加工物面、すなわち図4a〜図7に示した金属薄板2の表面56に対する配向あるいは姿勢を検出可能な接触式の検出装置(taktile Erfassungseinrichtung)55の構成部分である。
【0048】
図4a〜図7は、接触式の検出装置55の原理的な機能形態を示しているだけである。相応に、図2及び図3に示したアッセンブリは、図4a〜図7において、原理的にのみ、すなわち著しく概略化された形態で示してある。例えば、遮蔽ブラシ14の支承箇所25は、実際には3つ存在しているが、2つしか図示していない。
【0049】
金属薄板加工の開始前、遮蔽ユニット11は、数値制御式の機械制御部13により制御される位置決め用駆動装置23によって、鉛直の運動軸線12の方向で、遮蔽ブラシ14の端面19が加工したい金属薄板2の表面56から鉛直方向に離間した位置へと移動させられる。支持ユニット20の支持板21の、遮蔽ブラシ14のための支承箇所25において、各々の軸受ハウジング26の内部で、ばね39にハウジング天板28と支承ピン32の段面40との間でプリロードがかけられている。これにより、支承ピン32は、金属薄板2に向かって付勢され、支承ピン32に設けられた測定フラグ36は、上方から軸受ハウジング26のハウジング天板28に当接する。これにより、各々の支承箇所25で、図3に示した状況が生じる。表示部材として機能する支承ピン32は、鉛直の運動方向で基本位置を占めている。支承ピン32の基本位置は、ストローク測定システム54により検出される。この目的のために、支承箇所25の各々で、支持ユニット20に結合されたストロークセンサ52と、支承ピン32に結合された測定フラグ36との間の、鉛直方向に生じる間隔が測定される。
【0050】
図4aに原理的に示したこの運転状態から出発して、遮蔽ユニット11は、数値制御される位置決め用駆動装置23により、鉛直の運動軸線12の方向で金属薄板2に向かって下降される。その際、支持ユニット20及び遮蔽ブラシ14は、まず、共通の下降運動を実施する。共通の下降運動は、接触装置として使用される遮蔽ブラシ14の端面19が金属薄板2の表面56に載置されると直ちに終了する。以降、支持ユニット20の下降運動は、支持ユニット20の支持板21の、遮蔽ブラシ14に対する相対運動、より詳細に言えば遮蔽ブラシ14の基板15に対する相対運動を生じる。この相対運動に基づいて、支承箇所25において、遮蔽ブラシ14の基板15に結合された支承ピン32が、上方に、支持ユニット20の支持板21に固定された軸受ハウジング26から進出する。軸受ハウジング26の内部のばね39は、圧縮される。支承ピン32に設けられた測定フラグ36は、軸受ハウジング26から持ち上がり、対応するストロークセンサ52から鉛直方向で離間する。基板15における支承ピン32の支承箇所によって規定される平面は、端面19に対して平行に延びているので、基板15は、遮蔽ブラシ14の端面19のための遮蔽側の基準部材として機能する。支持ユニット20は、遮蔽ブラシ14のための受けを形成している。
【0051】
支持ユニット20が、数値制御式の機械制御部13内に格納された下側の終端位置に到達すると、位置決め用駆動装置23は停止される。これにより、図4bに原理的に示した運転状態が生じる。表示部材として機能する支承ピン32は、支承ピン32の終端位置にある。
【0052】
すべての支承箇所25において、それぞれのストロークセンサ52と対応する測定フラグ36との間の、鉛直方向に生じた間隔が測定される。測定結果は、数値制御式の機械制御部13の比較装置内で、支承ピン32の基本位置で実施された間隔測定の結果と比較される。すべての支承箇所25において同じ間隔差が生じると、このことは、遮蔽ブラシ14が金属薄板2の表面56から鉛直方向に間隔を置いているとき、遮蔽ブラシ14の端面19が金属薄板2の表面56に対して平行に延びていることを示している。後続の金属薄板加工のために、このことは、位置決め用駆動装置23による遮蔽ユニット11の適当に量定された下降運動により、遮蔽ブラシ14が、加工したい金属薄板2に対して、被加工物近傍の使用位置であって、遮蔽ブラシ14の端面19が目標配向を有した状態で10分の1mm領域の間隔を置いて金属薄板2の表面56に対して平行に延びる使用位置へと移動可能であることを意味している。その後、遮蔽ブラシ14は、金属薄板2に向けられたレーザビーム、及び金属薄板2におけるレーザビームの加工箇所を最適に周囲に対して遮蔽する位置を占める。遮蔽ブラシ14の傾斜位置の結果としてレーザ放射が漏れる可能性は排除される。
【0053】
レーザビーム及びレーザビームの加工箇所の機能安全性の遮蔽が保証されない状況は、図5a〜図7に示されている。
【0054】
図5a及び図5bでは、遮蔽ブラシ14が金属薄板2の表面56から間隔を置いた状態にあるとき、遮蔽ブラシ14の端面19が、遮蔽ブラシ14の誤調整のために金属薄板2の表面56に対して平行に延びていない。このような状態で遮蔽ユニット11が金属薄板2上に降ろされると、支持ユニット20の支持板21における遮蔽ブラシ14のための支承箇所25において、支承ピン32に結合された測定フラグ36と、対応するストロークセンサ52との間の間隔は、それぞれ異なる大きさで変化する(図5b)。
【0055】
遮蔽ブラシ14の誤調整は、手動で修正可能である。この目的で、単数又は複数の該当する支承箇所25において、まず保持ナット37が螺解されなければならない。次に、該当する支承ピン32が、係合部38に係合された回転操作工具により回転され、これにより軸方向で、支承ピン32に取り付けられた測定フラグ36に対して移動される。こうして、遮蔽ブラシ14が金属薄板2の表面56から間隔を置いているときに、基本位置にある支承ピン32が支持ユニット20の支持板21の下面から突出している軸方向の長さを調節することができる。これにより、単数又は複数の該当する支承ピン32のピボット軸受50の鉛直方向での調節、ひいては支承ピン32に取り付けられた遮蔽ブラシ14の端面19の、金属薄板2の表面56に対して平行な配向が得られる。支承ピン32は、これに応じて、遮蔽ブラシ14の端面19を調整するための調節装置57の一部である。遮蔽ブラシ14の正しい調整後、単数又は複数の支承箇所25において、それぞれの保持ナット37が再び支承ピン32に螺着され、これにより、実施された調節が固定される。これにより、検出装置55は、校正されており、レーザビームの有効な遮蔽を後続の金属薄板加工時に保証する。
【0056】
図6a及び図6bは、遮蔽ブラシ14の端面19の誤配向が支持ユニット20の変形に起因する場合を示している。支持ユニット20の衝突の結果、支持ユニット20の支持板21は、上方に曲がっている。遮蔽ブラシ14が、持ち上げられた位置(図6a)から金属薄板2の表面56上に降ろされると、支持ユニット20の支持板21における遮蔽ブラシ14のための支承箇所25において、やはり、それぞれの測定フラグ36と、対応するストロークセンサ52との間の間隔のそれぞれ異なる変化が確認される。このような場合、遮蔽ブラシ14の端面19が、支持ユニット20の下降時、全面的に金属薄板2の表面56に載着可能であるか否か、かつ遮蔽ブラシ14の誤調整の修正が、前述したような方法で調節装置57により可能であるか否かは、支持ユニット20の変形の度合に依存している。支持板21の若干の傾斜位置は、鉛直方向での支承ピン32の適当な調節により補償可能である。支承ピン32と遮蔽ブラシ14の基板15との間に設けられたピボット軸受50は、このような場合、支承ピン32に対する遮蔽ブラシ14の十分な運動を許容し、これにより、支持ユニット20が遮蔽ブラシ14に対して相対的に下降運動する際の、支持ユニット20における支承ピン32の引っ掛かりを防止する。
【0057】
金属薄板2の表面56に対する遮蔽ブラシ14の端面19の配向の検出は、レーザ加工前だけでなく、レーザ加工中にも実施される。図7では、レーザ加工時、不規則な角度が付いた金属薄板2が遮蔽ブラシ14に対して相対的に運動する。その結果、遮蔽ブラシ14は、不均等に上方に変位する。これにより、支持ユニット20の支持板21における遮蔽ブラシ14のための支承箇所25において、該当する支承ピン32に取り付けられた測定フラグ36と、対応するストロークセンサ52との間の間隔は、不均一に変化する。不均一な間隔変化は、ストローク測定システム54により検出され、予め設定された許容値を超過すると、レーザビームのためのビーム源は、数値制御式の機械制御部13により非常停止される。
【0058】
被加工物の加工は、支承ピン32が、遮蔽ブラシ14及び金属薄板2の相対運動の作用下で、すべての支承箇所25において均一に支持ユニット20に対する位置を変化させる場合には、続行される。支承ピン32のこのような均一な鉛直運動時には、金属薄板2の表面56に対する遮蔽ブラシ14の端面19の平行な配向が維持される。
【0059】
支承箇所25における支承ピン32の僅かに不均一な鉛直の変位には、やはり反応しない。支承ピン32のこのような鉛直運動は、加工したい金属薄板2が小さな凹凸を有しているときに発生し得る。支承ピン32における遮蔽ブラシ14の基板15の揺動自在の支承に基づいて、遮蔽ブラシ14は、加工したい金属薄板2のこのような凹凸の結果、支承ピン32に対する補償運動を実施する。支承ピン32は、これに応じて、支持ユニット20に対する配向を維持可能である。支持ユニット20における支承ピン32の引っ掛かりは、回避される。
【0060】
接触式の検出装置55は、金属薄板厚さ測定のためにも使用される。この目的のために、既知の厚さを有する基準金属薄板が使用される。位置決め用駆動装置23により、支持ユニット20は、鉛直の運動軸線12の方向で初期位置から、数値制御式の機械制御部13内に格納された基準位置へ下降される。これにより、支持ユニット20に懸架された遮蔽ユニット11は、鉛直の運動軸線12の方向で、遮蔽ブラシ14の端面19が基準金属薄板の表面から間隔を置いている初期位置から、遮蔽ユニット11の遮蔽ブラシ14が端面19を介して金属薄板表面に支持されている位置に到達する。その際、すべての支承箇所25において、それぞれの支承ピン32に結合された測定フラグ36と、対応するストロークセンサ52との間の間隔が、同程度に変化すると、間隔変化は、基準量として機械制御部13内に格納される。間隔変化が不均一である場合、検出装置55は、間隔変化の基準量が遮蔽ブラシ14を伴う支持ユニット20の再度の下降により求められる前に、前述の方法で校正される。
【0061】
基準金属薄板の後にレーザ加工機械1に装填される金属薄板の厚さを測定するために、支持ユニット20は、改めて基準位置へ鉛直の運動軸線12の方向で下降される。遮蔽ブラシ14の支承箇所25における測定フラグ36と対応するストロークセンサ52との間の間隔の、支持ユニット20の下降に伴う変化は、現在値として測定され、以前に求められた基準値と比較される。基準値と、測定された現在値との間の差から、基準金属薄板の後にレーザ加工機械1に装填された金属薄板の厚さを推定することができる。求められた金属薄板厚さに基づいて機械制御部13において、後続の金属薄板加工時に支持ユニット20が、支持ユニット20に支承された遮蔽ブラシ14と共に鉛直の運動軸線12の方向で移動されて、遮蔽ブラシ14が使用位置を占め、かつ遮蔽ブラシ14の端面19が対応する金属薄板表面に対して目標配向を有した状態で配置されている位置が規定される。
【符号の説明】
【0062】
1 レーザ加工機械、 2 金属薄板、 3 レーザ切断ステーション、 4 打抜きステーション、 5 上側のフレーム辺、 6 機械フレーム、 7 開口部、 8 座標ガイド、 9 レーザ切断ヘッド、 10 遮蔽装置、 11 遮蔽ユニット、 12 運動軸線、 13 機械制御部、 14 遮蔽ブラシ、 15 基板、 16 ブラシ領域、 17 軸線、 18 窓、 19 端面、 20 支持ユニット、 21 支持板、 22 支持アングル材、 23 位置決め用駆動装置、 24 切欠き、 25 支承箇所、 26 軸受ハウジング、 27 ハウジング室、 28 ハウジング天板、 29 天板貫通部、 30 肩部、 31 ガイドブシュ、 32 支承ピン、 33 大径の軸方向の区分、 34 減径された軸方向の区分、 35 雄ねじ山、 36 測定フラグ、 37 保持ナット、 38 係合部、 39 ばね、 40 段面、 41 貫通開口、 42 下側の軸方向の端部区分、 43 軸受スリーブ、 44 固定ナット、 45 軸受リング、 46 軸受開口、 47,48 凹部、 49 軸受ボール、 50 ピボット軸受、 51 保持腕、 52 ストロークセンサ、 53 ストローク測定装置、 54 ストローク測定システム、 55 検出装置、 56 表面、 57 調節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物、特に金属薄板(2)を加工するためのレーザ加工機械(1)において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置であって、遮蔽ユニット(11)を備え、該遮蔽ユニット(11)が遮蔽部材(14)を有しており、
該遮蔽部材(14)が、前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するために、被加工物における使用位置へと移動可能であり、かつ
前記遮蔽部材(14)の自由端に端面(19)が形成されており、該端面(19)が、前記遮蔽部材(14)の使用位置で、対応する被加工物面に面しており、該被加工物面に対する目標配向時に該被加工物面に対して略平行に配向されている、
被加工物、特に金属薄板(2)を加工するためのレーザ加工機械(1)において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置において、
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を検出可能な検出装置(55)を備えることを特徴とする、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材(14)のために受け(20)が設けられており、該受け(20)に前記遮蔽部材(14)が、該遮蔽部材(14)の端面(19)の横方向で遮蔽側の基準部材(15)を介して支持されており、該遮蔽側の基準部材(15)自体は、前記遮蔽部材(14)の端面(19)に対して所定の配向を有しており、使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向は、前記検出装置(55)により前記遮蔽部材(14)のための受け(20)及び前記遮蔽側の基準部材(15)の相互の配向が検出可能であることにより検出可能である、請求項1記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材(14)のための受け(20)及び前記遮蔽側の基準部材(15)の相互の配向を検出するための検出装置(55)として、校正可能な検出装置(55)を備える、請求項1又は2記載の遮蔽装置。
【請求項4】
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の検出された配向が前記目標配向からずれている場合に、前記遮蔽部材(14)の端面(19)を該端面(19)の横方向で調節可能とし、これにより前記目標配向を有した状態に配置可能とする調節装置(57)を備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材(14)の端面(19)を前記目標配向を有した状態に配置するための調節装置(57)として、前記遮蔽部材(14)のための受け(20)及び前記遮蔽側の基準部材(15)を前記遮蔽部材(14)の端面(19)の横方向で互いに相対的に調節可能とする調節装置(57)を備える、請求項1から4までのいずれか1項記載の遮蔽装置。
【請求項6】
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を検出するための検出装置(55)として、接触式の検出装置(55)を備え、該接触式の検出装置(55)が接触装置及び評価装置を備え、前記接触装置が、被加工物面又は該被加工物面を表す面の横方向で可動であり、接触位置で被加工物面又は該被加工物面を表す面に当接可能であることによって、該接触装置により被加工物面の延びが検出可能であり、かつ前記評価装置により、前記接触装置により検出された被加工物面の延びが、使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の延びと比較可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記接触式の検出装置(55)の接触装置として前記遮蔽部材(14)が使用されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記接触式の検出装置(55)の評価装置が、参照部材(20)、表示装置、ストローク測定装置(53)及び比較装置(13)を備え、
前記表示装置が少なくとも2つの表示部材(32)を備え、該表示部材(32)が、前記接触装置に接続されており、該接触装置を介して、被加工物面又は該被加工物面を表す面の、互いに間隔を置いた2点に割り当てられており、かつ前記参照部材(20)に対して基本位置及び終端位置へと移動可能であり、前記表示部材(32)の基本位置で、前記接触装置が、被加工物面又は該被加工物面を表す面から間隔を置いており、前記表示部材(32)が、基本位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の延びを表示し、かつ前記表示部材(32)の終端位置で、前記接触装置が接触位置を占め、前記表示部材(32)が前記被加工物面の延びを表示し、
前記ストローク測定装置(53)により、それぞれの基本位置とそれぞれの終端位置との間の前記表示部材(32)の運動の量が測定可能であり、かつ
前記比較装置(13)により、前記表示部材(32)の運動の、前記ストローク測定装置(53)により測定された量が互いに比較可能である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の遮蔽装置。
【請求項9】
被加工物、特に金属薄板(2)を加工するためのレーザ加工機械において、請求項1から8までのいずれか1項にしたがって形成された、レーザ加工機械(1)において被加工物に向けられたレーザビームを遮蔽するための遮蔽装置(10)を備えることを特徴とする、レーザ加工機械。
【請求項10】
前記レーザ加工機械(1)が、機械制御部(13)を有しており、使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を検出するための検出装置(55)が、前記機械制御部(13)の一部を形成している、請求項9記載のレーザ加工機械。
【請求項11】
前記レーザ加工機械(1)が、加工したいかつ/又は加工される被加工物の厚さを測定するための装置(被加工物厚さ測定のための装置)を有しており、使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を検出するための、接触式の検出装置(55)として形成される検出装置(55)が、前記被加工物厚さ測定のための装置の一部を形成している、請求項9又は10記載のレーザ加工機械。
【請求項12】
被加工物、特に金属薄板(2)を加工するためのレーザ加工機械(1)において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法であって、
前記レーザビーム又は前記被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽するための遮蔽装置(10)の遮蔽ユニット(11)の遮蔽部材(14)を、被加工物における使用位置へと移動させ、
使用位置へと移動される遮蔽部材(14)を、該遮蔽部材(14)の自由端に形成された端面(19)が対応する被加工物面に対向するように配置し、目標配向時には被加工物面に対して平行に配向されるようにする、
被加工物、特に金属薄板(2)を加工するためのレーザ加工機械(1)において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法において、
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を検出する、
ことを特徴とする、被加工物、特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機械において被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を遮蔽する方法。
【請求項13】
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の、被加工物面に対する配向を:
被加工物面の延びを検出するために、接触装置を被加工物面又は該被加工物面を表す面の横方向で運動させ、接触位置で被加工物面又は該被加工物面を表す面に当接させ;かつ
被加工物面の、接触装置により検出された延びを、使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の延びと比較することにより;
検出する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
被加工物、特に金属薄板(2)をレーザ加工機械(1)により加工する方法において、前記レーザ加工機械(1)においてレーザビームを被加工物に向け、該被加工物に向けられたレーザビーム及び/又は該被加工物におけるレーザビームの衝突箇所を、請求項12又は13記載の方法にしたがって遮蔽することを特徴とする、被加工物、特に金属薄板をレーザ加工機械により加工する方法。
【請求項15】
加工したいかつ/又は加工される被加工物の厚さ(被加工物厚さ)を:
使用位置にある遮蔽部材(14)の端面(19)の配向を検出するための、接触式の検出装置(55)として形成される検出装置(55)の接触装置を、被加工物面の横方向で運動させ、接触位置で被加工物面に当接させ;
接触装置の接触位置をレーザ加工機械(1)の参照系において参照位置と比較し;かつ
実施された比較に基づいて被加工物厚さを測定することにより;
測定する、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−130969(P2012−130969A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280215(P2011−280215)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(502300646)トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (76)
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann−Maus−Strasse 2,D−71254 Ditzingen,Germany
【Fターム(参考)】