説明

被接合材の接合方法及び鉄筋籠の形成方法

【課題】曲折加工が施された被接合材や回転不能な被接合材であっても、摩擦圧接により強固な接合が可能な被接合材の接合方法、鉄筋籠の形成方法及び補強筋を提供することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため、一方の被接合端部11と、他方の被接合端部12とを所定間隔を開けて対向させて配置して接合補助材30を介在させ、これを回転又は往復運動させながら、両被接合端部11、12をそれぞれ接合補助材30の両端部31、32に押し付けて、一方の被接合端部11と接合補助材の一端部31とを摩擦圧接するとともに、他方の被接合端部12と接合補助材30の他端部32とを摩擦圧接する被接合材の接合方法を提供する。また、当該方法を採用した鉄筋籠の形成方法及び補強筋を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、被接合材を接合補助材を用いて接合する被接合材の接合方法、及び当該被接合材の接合方法を適用した鉄筋籠の形成方法に関し、特に曲折加工が施された被接合材又は回転不能な被接合材についても、摩擦接合が可能な被接合材の接合方法及び当該方法を適用した鉄筋籠の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造等の柱又は梁等の部材として、鉄筋籠が用いられている(例えば、「特許文献1」及び「特許文献2」参照)。鉄筋籠とは、予め組み立てて、網状又は籠状にした鉄筋群のことをいう。
【0003】
鉄筋籠の具体的な構成として、例えば、柱や梁等の形状に合わせて所定長の主筋群が配置され、その周囲を所定長の補助筋材を曲折成形して溶接閉鎖した1ターンの補助筋を所定間隔で軸線直角に複数設けたものが知られている(例えば、「特許文献1」及び「特許文献2」参照)。主筋群の周囲に長尺の線材を螺旋状に連続的に巻回した構成の鉄筋籠と比較して、溶接閉鎖型の補強筋を用いた鉄筋籠は軽量であるため、配筋作業上好まれている。
【0004】
ところで、従来より金属や樹脂などの接合しようとする2つの部材(以下、「被接合材」という。)を接合する際に摩擦圧接方法が適用されている。摩擦圧接方法とは、例えば、図6(a)に示すように回転把持手段61により回転される一方の被接合材51を、固定把持手段62により固定された他方の被接合材52に押し付け、接合面で発生する摩擦熱を利用して、図6(b)に示すように2つの被接合材を互いに接合する方法である。摩擦圧接方法により被接合材を接合する場合、熱源を必要とせず、現場でも比較的簡単な作業で寸法精度の高い製品を得ることができ、接合部53の引張り強さは各母材よりも高く、2つの被接合部材を強固に接合することができるという利点がある。このため、補強筋材の両端部を接合して閉鎖型の補強筋を形成する際に、従来適用されてきた抵抗溶接等の方法に代えて、当該摩擦圧接方法を適用することができると好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2670909号公報
【特許文献2】特許第4117114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の摩擦圧接方法を適用する場合、互いに接合される被接合部の一方を回転させる必要があるため、接合する二つの被接合材は互いに異なる部材である必要があった。すなわち、図7に示すように、閉鎖型の補強筋を形成する際のように、一つの被接合材53を曲折してその両端部を接合する必要がある場合に、当該摩擦圧接方法を適用して被接合材53の両端部を互いに接合することはできなかった。また、偏心の発生を防止するため、互いに接合しようとする被接合材のうち、回転させる側の被接合材は回転させやすい直線状の形状である必要であった。このため、図8(a)、(b)に示すように、曲折加工が施された被接合材51を回転側の被接合材として回転把持手段61に把持させて、当該被接合材51を直線状の形状の被接合材52に摩擦圧接することはできなかった。
【0007】
図8(a)、(b)に示す場合、直線状の形状の被接合材52を回転させる側の被接合材とすれば、両被接合材51、52を摩擦圧接により接合することが可能になる。しかしながら、例えば、直線状の形状の被接合材52の他端部が既に他の部材等に固定されている場合、或いは、当該被接合材52が長く、回転時に接合面の偏心が発生する場合等、直線状の被接合材52を回転させることができない場合は、摩擦圧接法を利用して、これらの被接合材51、52を接合することはできなかった。
【0008】
そこで、本件発明は、曲折加工が施された被接合材や回転不能な被接合材であっても、摩擦圧接により強固な接合が可能な被接合材の接合方法及び当該被接合材の接合方法を適用した鉄筋籠の形成方法及び補強筋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明に係る被接合材の接合方法は、被接合材の被接合端部同士を接合補助材を用いて接合する被接合材の接合方法であって、一方の被接合端部と、他方の被接合端部とを所定間隔を開けて対向させて配置し、当該一方の被接合端部と、当該他方の被接合端部との間に当該接合補助材を介在させ、当該接合補助材を回転又は往復運動させながら、当該一方の被接合端部を当該接合補助材の一端部に押し付けるとともに、当該他方の被接合端部を当該接合補助材の他端部に押し付けて、当該一方の被接合端部と当該接合補助材の一端部とを摩擦圧接するとともに、当該他方の被接合端部と接合補助材の他端部とを摩擦圧接することを特徴とする。
【0010】
本件発明に係る被接合材の接合方法において、一方の被接合端部及び前記接合補助材の一端部の各接合面の面心が一致し、他方の被接合端部及び前記接合補助材の各接合面の各面心が一致するように、前記被接合材及び前記接合補助材とを配置することが好ましい。
【0011】
本件発明に係る被接合材の接合方法において、一つの被接合材を折り曲げて、当該被接合材の両端部をそれぞれ前記一方の被接合端部及び前記他方の被接合端部とし、前記接合補助材を用いて当該被接合材の両端部を接合することが好ましい。このとき、一つの被接合材を少なくとも二回以上折り曲げることがより好ましい。
【0012】
本件発明に係る被接合材の接合方法において、前記被接合材として、線材又は棒鋼を用いることができる。
【0013】
本件発明に係る被接合材の接合方法において、前記被接合材及び前記接合補助材は同一の素材から構成されることが好ましい。
【0014】
本件発明に係る被接合材の接合方法は、前記被接合材として、鉄筋籠の主筋の周りを取り囲む補強筋材の接合に用いることができる。
【0015】
本件発明に係る被接合材の接合方法において、前記接合補助材は断面円形の円筒状又は円柱状に形成されたものであることが好ましい。
【0016】
本件発明に係る鉄筋籠の形成方法は、当該鉄筋籠の主筋の周囲を所定長に形成された補強筋材で囲って、補強筋材の両端部を被接合端部として、互いに所定間隔を開けて対向させて配置し、この被接合端部間に当該接合補助材を介在させ、当該接合補助材を回転又は往復運動させながら、当該一方の被接合端部を当該接合補助材の一端部に押し付けるとともに、当該他方の被接合端部を当該接合補助材の他端部に押し付けて、当該一方の被接合端部と当該接合補助材の一端部とを摩擦圧接するとともに、当該他方の被接合端部と接合補助材の他端部とを摩擦圧接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本件発明によれば、被接合材の被接合端部同士を接合する際に接合補助材を用い、互いに接合する被接合端部間に、この接合補助材を介在させ、接合補助材を回転させながら一方の被接合端部と他方の被接合端部とをそれぞれ接合補助材に押し付けて、被接合材の被接合端部同士を接合補助材を介して接合する方法を採用しているため、閉鎖型の補強筋を形成する場合等、曲折加工が施された被接合材に対しても摩擦圧接により被接合端部間を強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本件発明に係る被接合材の接合方法の工程を示す図である。
【図2】本件発明に係る被接合材の被接合端部を所定間隔を開けて配置した状態を示す図(a)、接合補助材を回転させる様子を説明するための図(b)及び被接合材の接合形態を示す図(c)である。
【図3】本件発明に係る被接合材の接合方法を説明するための図であり、図2の(b)を補完する図である。
【図4】本実施の形態で使用する摩擦圧接装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】本件発明に係る被接合材の接合形態を示す他の図である。
【図6】従来の摩擦圧接方法を説明するための図である。
【図7】従来の摩擦圧接方法を適用することのできない形態を示す図である。
【図8】従来の摩擦圧接方法を適用することのできない他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本件発明に係る被接合材の接合方法、鉄筋籠の形成方法、補強筋の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態における被接合材の接合方法の工程を示す図である。ここでは、図1に示す工程の順序に従って、鉄筋籠の主筋群の周囲を取り囲む閉鎖型の補強筋の形成方法を例に挙げながら、必要に応じて他の図を参照して本実施の形態における被接合材の接合方法を説明するものとする。
【0020】
被接合端部の配置(ステップS1): 被接合材10を接合するに当たり、まず、互いに接合する被接合材10の被接合端部11、12を対向させて配置する(ステップS1)。このとき、図2(a)に示すように、被接合材10の一方の被接合端部11と、他方の被接合端部12とは所定間隔Wを開けて配置されており、それぞれ把持手段21、22により被接合材10の軸線方向(矢印XY方向(図3参照))に移動可能に把持されている。この所定間隔Wは、次のステップS2において説明する接合補助材30の長さと略等しく設定される(図3参照)。
【0021】
ここで、本件発明に係る被接合材10としては、金属、樹脂等様々な素材からなるものを用いることができるが、本実施の形態では、鉄筋籠の主筋の周囲を取り囲む補強筋材を例に挙げて説明する。但し、鉄筋籠(図示略)とは、上述したように、主筋の周囲を補強筋(フープ筋)で囲って網状又は籠状に予め組み立てた鉄筋群である。また、補強筋は、剪断力を補強するために用いられる。本実施の形態の補強筋はいわゆる閉鎖型の補強筋であり、主筋群の周囲に所定間隔で軸線直角に複数設けられるものである。
【0022】
本実施の形態において、被接合材10として用いる補強筋材は、剪断補強筋としての機械的性質を満たす棒鋼又は高強度線材を主筋群の周囲を囲むことができる所定長に切断したものである。当該ステップS1においては、図3に示すように、この補強筋材を主筋群(図示略)の周囲を取り囲むように4箇所折り曲げ加工を施すことにより、その両端部が被接合端部11、12として所定間隔を開けて対向配置される。
【0023】
接合補助材の配置(ステップS2): 次に、図2(b)及び図3に示すように、一方の被接合端部11と、他方の被接合端部12との間に、接合補助材30を配置する(ステップS2)。ここで、本件発明に係る接合補助材30は、金属、樹脂等様々な素材からなるものを用いることができる。但し、接合補助材30として、熱硬化性樹脂を用いることは好ましくない。熱硬化性樹脂の場合、摩擦熱によって樹脂が硬化するため、被接合材10と接合することができないためである。
【0024】
また、本件発明に係る接合補助材30は、被接合材10と同一の素材からなるものであってもよいし、被接合材10と異なる素材からなるものを用いることもできる。但し、金属製の被接合材10を接合する場合であって、耐食性が求められる場合には、接合補助材30は被接合材10と同じ素材からなることが好ましい。被接合材10と接合補助材30とが異なる金属材料からなる場合、被接合材10と接合補助材30との接合部40(図2(c)参照)に水が触れると、イオン化傾向の差から局部電池が形成され、被接合材10又は接合補助材30のいずれかが犠牲防食作用により溶け出し、当該接合部40の劣化が生じ、被接合材10と接合補助材30との接合強度が低下する恐れがあるためである。このような恐れがない場合には、接合補助材30と被接合材10とは、異なる素材からなるものを用いることができる。
【0025】
また、本件発明に係る接合補助材30は、後述する回転手段により高速回転される部材であるため、回転中心軸の偏心の発生等を防止するために円形断面を有し、高速回転や高推力に耐え得る部材であることが好ましい。
【0026】
また、本件発明に係る接合補助材30では、当該接合補助材30の両端部31、32が、それぞれ被接合材10の被接合端部11、12と接合される。このため、接合補助材30の回転中心軸の偏心が発生すると、接合補助材30の両端部31、32に対し、それぞれ被接合材10の被接合端部11、12を同時に接合させることが困難になる。従って、高速回転時の偏心の発生を防止するという観点から、接合補助材30の長さは、数十mm〜数百mm程度であることが現実的である。但し、接合補助材30の回転中心軸の偏心を発生させないように回転することができれば、接合補助材30の長さは特に限定されるものではない。
【0027】
被接合端部の圧接(ステップS4): 次に、接合補助材30を回転させた状態で、被接合材10の一方の被接合端部11を接合補助材30の一端部31に押し付けるとともに、他方の被接合端部12を接合補助材30の他端部32に押し付ける。これにより、接合補助材30の両端部31、32と、この両端部31、32に突き合わせられる被接合端部11、12との間に摩擦熱が発生する。この結果、摩擦熱の発生した被接合補助材30と、被接合端部11、12との突き合わせ面及びその近傍の熱影響部の軟化が始まる。
【0028】
接合補助材の回転停止(ステップS5): そして、摩擦熱により、互いに突き合わせられた被接合材10と接合補助材30との突き合わせ面及びその近傍が十分に温度上昇した時点で、接合補助材30の回転を停止する。以上説明したステップS1〜ステップS5の工程により、図2(c)に示すように、被接合材10の一方の被接合端部11と、接合補助材30の一端部31とが摩擦圧接により接合されるとともに、被接合材10の他方の被接合端部12と、接合補助材30の他端部32とが摩擦圧接により同時に接合される。これにより、所定長に切断された被接合材10としての補強筋材の両端部が接合され、閉鎖型の補強筋100を形成することができる。また、以上の手順に従って、主筋群の周囲に、所定間隔で軸線方向直角に補強筋100を形成することにより、本件発明に係る鉄筋籠を形成することができる。
【0029】
摩擦圧接装置: 以上の工程に従って、被接合材を接合するに際して、図4に示す摩擦圧接装置20が用いられる。図4に示す摩擦圧接装置20は、被接合材10の一方の被接合端部11側を把持する把持手段21と、被接合材10の他方の被接合端部12側を把持する把持手段21と、接合補助材30を回転させる回転手段23と、これらを制御する制御手段24とを有している。
【0030】
各把持手段21、22は、上述したように、被接合材10を把持した状態で図3に矢印で示すXY方向に移動可能に構成されている。また、回転手段23は、接合補助材30を治具によりチャッキングして回転させるもので、例えば、アイドラードライブ又はベルトドライブを用いることができる。上述したように、本実施の形態では、接合補助材30の両端部31、32に対して、被接合材10の一方の被接合端部11と、他方の被接合端部12とを同時に接合する構成としている。したがって、接合補助材30の回転時にそれぞれの接合面において偏心が発生すると、接合面のずれが生じて、接合補助材30の両端部31、32に同時に各被接合端部11、12を接合することができなくなる恐れがある。このため、これらの把持手段21、22及び回転手段23は、被接合材10の両被接合端部11、12の各接合面の面心と、接合補助材30の両端部31、32の接合面の面心とが一致するようにこれらを移動可能に把持又は回転可能に支持することが好ましい。また、回転手段23は、回転中心軸が概ね水平になるように接合補助材30を回転可能に支持することが好ましい。さらに、把持手段21、22は、被接合材10の両端部の軸線方向が接合補助材30の回転中心軸と一致するように、それぞれ被接合端部11、12を水平方向に移動可能に把持することが好ましい。
【0031】
制御手段24は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備え、ROM等に格納された制御プラグラム等に従って、RAMの一部を作業領域として、CPUにより各種演算を行うことにより、コンピュータ制御により把持手段21、22及び回転手段23を制御する。この制御手段24により、図1のステップS3において、接合補助材30を回転させる際の回転速度が制御される。また、図1に示したステップS4において、接合補助材30の両端部31、32に被接合材10の被接合端部11、12を押し付ける際の摩擦推力やアップセット推力が制御される。これらの回転速度、摩擦推力及びアップセット推力は、被接合材10及び接合補助材30の材質や形状等に応じて、適宜、適切な値が設定される。
【0032】
以上説明した、本実施の形態の被接合材10の接合方法によれば、鉄筋籠の主筋群の周囲を囲う閉鎖型の補強筋100の形成方法を例に挙げて説明したように、従来の摩擦圧接方法と異なり、補強筋材のように曲折加工が施された被接合材10や回転不能な被接合材10であっても、接合補助材30を用いて、摩擦圧接により強固に接合することができる。
【0033】
また、本実施の形態の被接合材10の接合方法によれば、接合補助材30を回転させるので、接合補助材30を円形断面を有する直線状の形状とすれば、被接合材10の形状に対する制限が緩和される。すなわち、従来にあっては、摩擦圧接方法を利用して二つの被接合材を接合する際には、偏心等の発生を防止するため、互いに接合する被接合材のうち、回転させる側の被接合材は直線状の形状である必要があったが、本件発明に係る接合方法では、接合補助材30を円形断面を有する円筒状又は円柱状等の直線状の形状とすればよいので、被接合材10の形状に対する制約が緩和される。このため、例えば、図5に示すように、互いに接合する被接合材15と被接合材16又は被接合材17と被接合材16のうち、一方の被接合材16を曲折加工が施されたものとすることができる。また、図5に示す3つの被接合材15、16、17のうち、直線形状を呈する長尺な被接合材15と、同じく直線形状を呈する長尺な被接合材17の間に、略Z字型に曲折加工された被接合材16を接合する際に、二つの接合補助材30を用いて、直線形状を呈する被接合材15、17のうち、一方の被接合材15に接合補助材30を用いて、図1に示した工程に従って略Z字型に曲折加工された被接合材16を接合することができる。そして、この二つの被接合材15、16が接合された状態において、別の接合補助材30を用いて、直線形状を呈するもう一方の被接合材17を接合することができる。従って、このような接合補助材30を用いて、接合補助材30を回転させて、被接合材10、15、16、17を接合する方法を採用することにより、様々な形状の被接合材10、15、16、17を互いに接合することができる。
【0034】
また、本実施の形態では、摩擦圧接方法を利用して、被接合材10、15、16、17を接合補助材30を用いて接合する方法を採用しているため、熱源を必要とせず、現場でも比較的簡単な作業で寸法精度の高い製品を得ることができる。またこの様に接合された、接合部40の引張り強さは母材としての各被接合材10、15、16、17よりも高くすることができ、強固に接合することができる。
【0035】
但し、上記説明した本実施の形態は、本件発明の一態様であり、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、上記実施の形態では、接合補助材30を回転させながら、被接合材10、15、16、17の被接合端部11、12等を押し付ける方法を採用しているが、この方法に限定されるものではない。要は、被接合補助材30と、被接合端部11、12等との間に摩擦熱を発生させることができればよく、被接合材30を往復移動させながら、被接合材10、15、16、17の被接合端部11、12等を押し付ける方法を採用してもよい。また、曲折加工が施された被接合材10、16だけではなく、直線状の被接合材同士を接合する際に本件発明を適用してもよいのは勿論である。
【0036】
また、上記実施の形態では、被接合材10に対する折り曲げ加工の数を4回(4箇所)としたが、被接合材10の折り曲げ加工の数は4回に限定する趣旨ではなく、少なくとも2回以上であればよい。要は、施工状況に応じて、一方の被接合端部11及び接合補助材30の一端部31の各接合面の面心が一致し、他方の被接合端部12及び接合補助材30の他端部32各接合面の各面心が一致するように、被接合材10及び接合補助材30とを配置することができればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本件発明は、被接合材の被接合端部同士を接合する際に有用である。また、本件発明では、接合補助材を用い、互いに接合する被接合端部間に、この接合補助材を介在させ、接合補助材を回転させながら一方の被接合端部と他方の被接合端部とをそれぞれ接合補助材に押し付けて、被接合材の被接合端部同士を接合補助材を介して接合する方法を採用することにより、閉鎖型の補強筋を形成する場合等、曲折加工が施された被接合材を接合する際に特に有用である。また、曲折加工が施された被接合材は勿論のこと、直線状の被接合材に対しても摩擦圧接により被接合端部間を接合する際に適用することができる。また、被接合材の形状に対する制約が緩和されるため、比較的簡単な作業で寸法精度の高い製品を得ることができる。このため、建築分野は勿論のこと、各種の製造分野及び加工分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10、15、16、17・・・被接合材
11・・・一方の被接合端部
12・・・他方の被接合端部
20・・・摩擦圧接装置
21、22・・・把持手段
23・・・回転手段
24・・・制御手段
30・・・接合補助材
31・・・一端部
32・・・他端部
40・・・接合部
100・・・補強筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接合材の被接合端部同士を接合補助材を用いて接合する被接合材の接合方法であって、
一方の被接合端部と、他方の被接合端部とを所定間隔を開けて対向させて配置し、
当該一方の被接合端部と、当該他方の被接合端部との間に当該接合補助材を介在させ、
当該接合補助材を回転又は往復運動させながら、当該一方の被接合端部を当該接合補助材の一端部に押し付けるとともに、当該他方の被接合端部を当該接合補助材の他端部に押し付けて、当該一方の被接合端部と当該接合補助材の一端部とを摩擦圧接するとともに、当該他方の被接合端部と接合補助材の他端部とを摩擦圧接する、
ことを特徴とする被接合材の接合方法。
【請求項2】
一方の被接合端部及び前記接合補助材の一端部の各接合面の面心が一致し、他方の被接合端部及び前記接合補助材の他端部の各接合面の各面心が一致するように、前記被接合材及び前記接合補助材とを配置する請求項1に記載の被接合材の接合方法。
【請求項3】
一つの被接合材を折り曲げて、当該被接合材の両端部をそれぞれ前記一方の被接合端部及び前記他方の被接合端部とし、前記接合補助材を用いて当該被接合材の両端部を接合する請求項1又は請求項2に記載の被接合材の接合方法。
【請求項4】
前記被接合材は、鉄筋籠の主筋の周りを囲む補強筋材である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の被接合材の接合方法。
【請求項5】
鉄筋籠の形成方法であって、
当該鉄筋籠の主筋の周囲を所定長に形成された補強筋材で取り囲み、補強筋材の両端部を被接合端部として、互いに所定間隔を開けて対向させて配置し、
当該一方の被接合端部と、当該他方の被接合端部との間に当該接合補助材を介在させ、
当該接合補助材を回転又は往復運動させながら、当該一方の被接合端部を当該接合補助材の一端部に押し付けるとともに、当該他方の被接合端部を当該接合補助材の他端部に押し付けて、当該一方の被接合端部と当該接合補助材の一端部とを摩擦圧接するとともに、当該他方の被接合端部と接合補助材の他端部とを摩擦圧接する、
ことを特徴とする鉄筋籠の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−152563(P2011−152563A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15642(P2010−15642)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390029089)高周波熱錬株式会社 (288)
【Fターム(参考)】