説明

被搬送物の移載装置及び被搬送物の移載システム

【課題】製造ラインを複数列で搬送される複数の被搬送物(ワーク)が連続しないで抜けが生じて搬送されても、このワークを移載したラインでは、ワークが抜けることなくすべて積載された状態で搬送することができるようにした被搬送物の移載装置を提供する。
【解決手段】搬送ラインLの下流端から各列上のワークWを個々に搬送するリードコンベア10aを並列したリード搬送手段10と、リードコンベア10aと第1のラインX又は第2のラインYとに架け渡される第1、第2のシフトコンベア20x,20yを有し、少なくとも1本のリードコンベア10aに共通して架け渡される前記第1、第2の両シフトコンベア20x,20yを振分けコンベアとする。各シフトコンベア20x,20yと第1、第2の各ラインX,Yとの間に、ワークWを一旦ストックしてから各ラインX,Y上に落下させる開閉部31を複数段重ねた多段調整手段30が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシップ薬やプラスタなどの医薬品、海苔やスライスチーズなどの食品、その他の被搬送物を製造ラインから排出する段階で使用される被搬送物の移載装置及び被搬送物の移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シップ薬の製造装置は、図6に示すように、搬送ラインの上流側から下流側(図面において左側から右側)に、基布原反の供給手段101、薬剤塗布手段102、透明フィルム原反の供給手段103、原反貼り合わせ手段104、切断手段105、不良品検出手段(図示せず)、不良品排出手段107、良品排出手段108が配置されている。このような製造ラインの下流端には、シップ薬を一旦ストックしてから排出する移載装置(図示せず)が配置されている。この移載装置の下方には、シップ薬を包装機(図示せず)の方へ搬送するためのロードコンベア(図示せず)が配置されている。
【0003】
前記切断手段105では、上流側の各手段101〜104によって製造されたシップ薬の原反を長さ方向に複数列に切断するとともに、幅方向に所定の寸法で切断することにより、所定のサイズのシップ薬に仕上げる。このシップ薬は、不良品検出手段107によって良品であるか不良品であるかが判定される。不良品と判定されたシップ薬は、不良品排出手段107において製造ライン外へ排出される。
【0004】
良品のシップ薬は、移載装置によって列ごとに良品排出手段108からロードコンベアに移載される。移載装置は、シップ薬を例えば7枚ごとにストックし、7枚のシップ薬をロードコンベアのキャリー部上に落下させる。ロードコンベアは、連続的に進行し、7枚のシップ薬を包装機の方へ搬送する。包装機では、2本の帯状のヒートシール性袋原反が7枚のシップ薬を上下両面から挟んだ状態とし、シップ薬を囲む四方が加熱して切断(溶断)されることにより、シップ薬を密封した袋が製造される。
【0005】
なお、プラスタやスライスチーズなどのような薄い製品(薄葉体)を包装機へ供給するための供給方法及び供給装置が特許文献1に開示されている。この供給装置は、薄葉体製造機の下流端に設けられた集積ステーションと包装機の供給コンベアとの間で移送されるトレーに開閉自在の底板が取り付けられたことを特徴としている。そして、この供給方法は、集積ステーションで所定枚数の薄葉体がトレーに集積されると、このトレーを集積ステーションから包装機の供給コンベアの上方へ移送し、供給コンベアの上方で前記トレーの底板を開くことにより、薄葉体を供給コンベア上に移載することを特徴としている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−251809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シップ薬の製造装置では、不良品のシップ薬が不良品排出手段107によって製造ラインから排出され、良品のシップ薬のみが良品排出手段108から移載装置によってロードコンベアに移載される。移載装置は、搬送ラインから排出されるシップ薬を列ごとにストックするため、良品のみ搬送された列の移載装置に7枚のシップ薬がストックされている時に、不良品を排出してシップ薬が抜けている別の移載装置には、6枚以下のシップ薬しかストックされていないことがある。この別の移載装置は、7枚のシップ薬がストックされた時に、この7枚のシップ薬をロードコンベアのキャリー部上に移載させる。
【0008】
したがって、ある移載装置から7枚のシップ薬がロードコンベアのあるキャリー部に落下された時に、6枚以下のシップ薬しかストックされていない移載装置からは、シップ薬が落下されない。すると、ロードコンベアは、シップ薬を積載したキャリー部とシップ薬を積載していないキャリー部とが混在した状態で進行する。
【0009】
しかし、ロードコンベアの下流端に配備された包装機は、連続して供給される袋原反を溶断するため、適宜、製袋したりしなかったりすることができない。したがって、ロードコンベアのキャリー部にシップ薬が積載されていなくても、包装機は連続して製袋することになり、シップ薬を密封していない空袋が製造される。
【0010】
空袋が製造されないようにするため、シップ薬を積載していないキャリー部に手作業でシップ薬を補充することも可能であるが、手作業は非効率であり、生産性を向上させることができない。また、不良品のシップ薬が製造されても、ロードコンベアのすべてのキャリー部に7枚のシップ薬が積載されるようにシップ薬の製造装置の製造速度を上げると、良品のシップ薬のみ製造される列のシップ薬がオーバーフローする。オーバーフローしたシップ薬は、手作業で回収しなければならず、大変面倒な作業となる。
【0011】
一方、特許文献1に開示された供給装置は、薄葉体製造機の下流端と包装機との間に複数列の搬送コンベアが架け渡され、所定枚数の薄葉体を集積したトレーがこの搬送コンベア上を移動する。このトレーを移動させるため、この供給装置には、斜め上向きと斜め下向きとに揺動する転送板を備えた転送手段、昇降する受け板を備えた昇降手段、縦シリンダーと横シリンダーとを組み合わせたロード手段、そして昇降するロードセルを備えた引込み手段が配備されている。しかし、このような多数の手段を配備した供給装置は、高速化を図ることが困難であるだけでなく、各手段の制御が複雑なものとなり、メンテナンスも面倒になる。
【0012】
そこで、本発明は、製造ラインを複数列で搬送される複数の被搬送物が連続せず、抜けが生じて搬送されても、被搬送物を移載して搬送するラインでは、被搬送物が抜けることなくすべて積載された状態で搬送し、しかも高速に処理することができるようにした被搬送物の積載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る被搬送物の移載装置は、被搬送物が複数列で搬送される搬送ラインの下流端に配置され、被搬送物を第1のライン又は第2のラインに振り分ける被搬送物の移載装置であって、前記搬送ラインの下流端から各列上の被搬送物を個々に搬送するリードコンベアを並列したリード搬送手段と、前記リードコンベアと第1のラインとに架け渡される第1のシフトコンベアと、前記リードコンベアと第2のラインとに架け渡される第2のシフトコンベアとを有し、少なくとも1本のリードコンベアに共通して架け渡される前記第1、第2の両シフトコンベアを振分けコンベアとするシフト搬送手段と、前記各シフトコンベアと第1、第2の各ラインとの間に配置され、かつ、被搬送物を一旦ストックしてから移載させる開閉部を複数段連続して設けた多段調整手段と、被搬送物を前記リードコンベアから第1、第2の各シフトコンベアへ移載させるロード手段と、前記各多段調整手段内の被搬送物の過不足を解消すべく、被搬送物が不足している方のラインに架け渡されている振分けコンベアに被搬送物を移載させるロード手段と、被搬送物を前記各シフトコンベアから前記各多段調整手段の開閉部上に移載させるロード手段とが備えられていることを特徴としている。
【0014】
この被搬送物の移載装置によれば、搬送ラインを列ごとに搬送された被搬送物がリード搬送手段からシフト搬送手段を経由して第1、第2の各ラインに移載される。詳しくは、リード搬送手段の各リードコンベア上の被搬送物は、ロード手段によってシフト搬送手段の第1のシフトコンベア又は第2のシフトコンベアに強制的に移載され、続いて第1のシフトコンベア又は第2のシフトコンベアから多段調整手段の最上段の開閉部上にロード手段によって移載される。そして、所定数の被搬送物が最上段の開閉部にストックされると、この所定数の被搬送物は、多段調整手段に複数段連続して設けられた各開閉部が開閉することによって次々と後段の開閉部ヘ移載され、最下段の開閉部から第1のライン又は第2のラインに移載される。なお、第1、第2の各ラインには、各多段調整手段から移載される被搬送物を積載するキャリー部を連続して設けたロードコンベアが備えられており、すべてのキャリー部に被搬送物が積載される。
【0015】
そして、不良品の被搬送物が製造されると、搬送ラインを搬送される被搬送物に抜けが生じる。抜けが生じた搬送ラインから多段調整手段内に集積される被搬送物は、抜けが生じていない搬送ラインから多段調整手段内に集積される被搬送物よりも少なくなる。そこで、被搬送物が多く集積されている多段調整手段を備えている第1又は第2のラインから、被搬送物が少なく集積されている多段調整手段を備えている第2又は第1のラインの方に、被搬送物が搬送されるように、ロード手段によって搬送ラインから振分けコンベアに移載される。
【0016】
すなわち、被搬送物を少なくストックしている多段調整手段を備えている第1又は第2のラインに架け渡された振分けコンベアの第1又は第2のシフトコンベアによって、被搬送物が第1又は第2のラインの方に搬送される。したがって、第1のラインの各多段調整手段でストックされた被搬送物の合計数と、第2のラインの各多段調整手段でストックされた被搬送物の合計数とがほぼ同じになるようにされる。そして、各多段調整手段には複数の開閉部が連続して設けられていることにより、第1、第2の各ラインの多段調整手段内にストックされている被搬送物がほぼ同数となるように、被搬送物がストックしている開閉部から第1、第2の各ラインに移載される。したがって、多段調整手段の各開閉部内には被搬送物が必ずストックされた状態とされ、ロードコンベアのすべてのキャリー部には被搬送物が積載され、空(から)の状態で搬送されないようにすることができる。
【0017】
また、前記本発明に係る被搬送物の移載装置において、前記リードコンベアには、スリットを下面に形成し、かつ、負圧とされる内部空間を設けたサクションボックスと、該サクションボックスと同一又はほぼ同一の幅で通気性を有する無端のサクションベルトとが備えられ、前記サクションボックスが一定の間隔を空けて並列され、前記サクションベルトが前記各サクションボックスの下面に摺接するように並列されていることが好ましい。
【0018】
この被搬送物の移載装置によれば、リードコンベアがサクションボックスとサクションベルトを備えたものとされている。そして、サクションボックスが内部空間を負圧とし、下面にスリットを形成したものとされ、一方、サクションベルトが通気性を有し、サクションボックスの下面に摺接するように並列されていることにより、このサクションベルトが被搬送物の上面を吸着し、下面を露呈させて搬送することができる。サクションベルトが被搬送物の上面を吸着することにより、リードコンベアは、搬送ラインの下流端まで搬送された被搬送物を受け取りやすくなる。
【0019】
そして、サクションボックスが一定の間隔を空けて並列され、サクションベルトがサクションボックスと同一又はほぼ同一の幅とされることにより、並列されたサクションボックス及びサクションベルト間に空間部が設けられる。この空間部から下方にロード手段が突出することにより、吸着されている被搬送物を第1、第2の各シフトコンベア上に突き落として移載することができる。
【0020】
また、前記本発明に係る被搬送物の移載装置において、前記シフトコンベアには、前記リードコンベアから移載された被搬送物を上面に載せた状態で搬送する前段コンベアと、該前段コンベアの下流端で被搬送物の上面を吸着した状態で搬送する後段コンベアとが備えられていることが好ましい。
【0021】
この被搬送物の移載装置によれば、シフトコンベアが前段コンベアと後段コンベアとを組み合わせたものとされ、前段コンベアが被搬送物を上面に載せた状態で搬送することにより、被搬送物をリードコンベアから受け取りやすくなり、後段コンベアが被搬送物の上面を吸着した状態で搬送することにより、被搬送物を前段コンベアから受け取りやすく、また多段調整手段の開閉部上に落下させて移載することができる。
【0022】
また、前記本発明に係る被搬送物の移載装置において、前記後段コンベアには、スリットを下面に形成し、かつ、負圧とされる内部空間を設けたサクションボックスと、該サクションボックスと同一又はほぼ同一の幅で通気性を有する無端のサクションベルトとが備えられ、前記サクションボックスが一定の間隔を空けて並列され、前記サクションベルトが前記サクションボックスの下面に摺接するように並列されていることが好ましい。
【0023】
この被搬送物の移載装置によれば、後段コンベアは、前記のリードコンベアと同じように被搬送物の上面を吸着して搬送することができる。また、サクションボックス及びサクションベルトが一定の間隔を空けて並列されることにより、空間部が設けられ、この空間部から下方にロード手段が突出することにより、サクションベルトに吸着されている被搬送物を多段調整手段の開閉部上に突き落として移載することができる。
【0024】
また、前記本発明に係る被搬送物の移載装置において、前記ロード手段には、被搬送物の上面を押圧するプッシャと、回転するクランクと、前記プッシャとクランクとを連結するリンクとが備えられていることが好ましい。
【0025】
この被搬送物の移載装置によれば、ロード手段は、プッシャが前記リードコンベアや後段コンベアの空間部から下方に突出するように配置される。そして、クランクが回転するだけでリンクに連結されたプッシャが昇降動し、搬送される被搬送物のタイミングに合わせてプッシャを下降し、プッシャが前記空間部よりも下方に突出することにより、被搬送物を突き落とすことができる。
【0026】
また、前記本発明に係る被搬送物の移載装置において、前記多段調整手段には、被搬送物の幅とほぼ同じ間隔を空けて対峙させたブレードが落下してくる被搬送物を一旦ストックする水平姿勢と、所定枚数ストックされた被搬送物を落下させる下向き鉛直姿勢とに方向転換するようにした開閉部を備えていることが好ましい。
【0027】
この被搬送物の移載装置によれば、水平姿勢と鉛直姿勢とに方向転換するブレードが被搬送物の幅とほぼ同じ間隔を空けて対峙させた開閉部を備え、この開閉部が鉛直方向に複数段連続して設けられる。そして、被搬送物は水平姿勢のブレードに一旦ストックされ、ブレードが下向き鉛直姿勢となることにより、下方に落とされる。
【0028】
すなわち、被搬送物は、各シフトコンベアから最上段の開閉部に落とされるなどして移載されるが、最上段の開閉部は、ブレードが水平姿勢で待機しており、所定枚数(例えば7枚)の被搬送物がストックされると、ブレードが下向き鉛直姿勢となり、所定枚数の被搬送物をいっきに下側の開閉部で水平姿勢で待機しているブレード上に落とす。所定枚数の被搬送物は、同様に、下側の開閉部のブレードが下向き鉛直姿勢となることにより、さらに下側の開閉部のブレード上に落とされる。なお、ブレードは、正面視で十字形に設けられ、周方向に回転する回転羽根に備えられていることが好ましいが、水平姿勢と鉛直姿勢の90°の範囲で揺動するだけとしてもよい。
【0029】
また、本発明に係る被搬送物の移載システムは、搬送ラインを複数列で連続して又は連続しないで搬送される被搬送物が第1のライン又は第2のラインに向けて振り分けられ、該被搬送物が第1、第2の各ラインを連続して進行するキャリー部に積載されて搬送されるようにした被搬送物の移載システムであって、前記搬送ラインの各列と第1、第2の各ラインとの間に被搬送物を一旦ストックしてから移載させる開閉部を複数段連続して設けた多段調整手段が備えられ、前記搬送ラインの列を連続しないで搬送される被搬送物が移載される方の第1のライン又は第2のラインの方に、搬送ラインの列を連続して搬送されている被搬送物を振り分け、第1のラインに備えられた各多段調整手段と、第2のラインに備えられた各多段調整手段とで被搬送物をストックしている複数の開閉部が一定の範囲となるようにしつつ、該被搬送物を各多段調整手段から第1、第2の各ラインのキャリー部に移載することを特徴としている。
【0030】
この被搬送物の移載システムによれば、被搬送物が搬送ラインの各列を連続して搬送されなくても、この列から被搬送物が搬送される第1のライン又は第2のラインの方に、連続して搬送されている被搬送物が振り分けられることにより、第1のラインのすべての多段調整手段の開閉部と第2のラインのすべての多段調整手段の開閉部とにほぼ同じ数量の被搬送物をストックすることができる。多段調整手段には、開閉部が複数段連続して設けられていることにより、被搬送物が一定の範囲内の開閉部にストックされた状態を維持することができる。したがって、この開閉部にストックされた被搬送物を第1、第2の各ラインのすべてのキャリー部に移載して、キャリー部に空(あ)きが生じないようにすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、被搬送物が搬送ラインの各列を連続しないで搬送されても、第1、第2の各ラインには空(あ)きがないように被搬送物が移載され、この被搬送物を包装機の方へ搬送することができる。したがって、本発明に係る被搬送物の移載装置及び被搬送物の移載システムは、包装機が空袋を製造しないようにすることができるため、生産性及び作業性を向上させ、また、高速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る被搬送物の移載装置及び搬送物品の移載システムの一実施形態について図1から図4を参照しながら説明する。この被搬送物の移載装置は、例えばシップ薬の製造装置において、シップ薬のような被搬送物(以下、「ワーク」という。)Wを搬送するための搬送ラインLの下流端と、ワークWを包装する包装機(図示せず)の方へ搬送するロードコンベア50を配備した第1、第2の各ラインX,Yとの間に配備される。
【0033】
搬送ラインLは、複数列が並列され、各列にワークWが連続して搬送される。しかし、不良品のワークWが搬送ラインLから排出されると、ワークWは連続して搬送されず、抜けが生じる。そこで、この被搬送物の移載装置は、ワークWが搬送ラインLの列を連続して搬送されず、抜けが生じていても、包装機が空袋を製袋しないようにするため、リード搬送手段10、シフト搬送手段20、多段調整手段30そしてロード手段40を備えている。
【0034】
リード搬送手段10は、図1に示すように、ワークWを4列で搬送する搬送ラインLの下流端に連続して配置され、ワークWを列ごとに搬送するリードコンベア10aが搬送ラインLに連続して複数列(図面ではA,B,C,D列の4列)並列されている。
【0035】
このリードコンベア10aは、図2に示すように、サクションボックス11とサクションベルト12を備えている。サクションボックス11は、断面形状が下向きコ字形のケーシング11aによって内部空間11bが設けられ、この内部空間11bに連続するスリット11cが下面に形成されている。このケーシング11aの側面には、内部空間11bを負圧とするための排気孔11dが1箇所又は複数箇所に形成されている。
【0036】
このようなサクションボックス11は、一定の間隔を空けて並列されている。すなわち、複数列(図面では3列)のサクションボックス11が空間部13を設けて並列されることにより、1枚の幅のワークWとほぼ同じ幅の1列のリードコンベア10aが構成されている。したがって、図示したリード搬送手段10は、4列のリードコンベア10aが配列されていることから、12列のサクションボックス11が並列されている。
【0037】
また、サクションベルト12は、サクションボックス11と同一又はほぼ同一の幅の無端ベルトであり、中心線上に吸気孔(図示せず)が連続して多数形成され、又は、メッシュのように多数の小孔が設けられることにより、通気性を有するものとされている。このサクションベルト12は、下側が往動側とされ、サクションボックス11のスリット11cを塞ぐようにサクションボックス11の下面を摺接する。サクションボックス11の内部空間11bが負圧とされることにより、サクションベルト12の露呈している下面側がワークWを吸着するようにされている。
【0038】
このサクションベルト12の復動側とされる上側は、サクションボックス11の上面に取り付けられた上向きコ字形のガイド14内を摺動する。ただし、サクションベルト12の上側は、サクションボックス11の上面から離隔して復動するようにしてもよい。いずれにしても、サクションベルト12もサクションボックス11の空間部13を塞がないように複数(図面では3列)並列されることにより、1列のリードコンベア10aが構成されている。
【0039】
このようなリードコンベア10aの上方には、サクションベルト12に吸着されているワークWをシフトコンベア上に強制的に落下させるためのロード手段40が配備されている。このロード手段40は、各リードコンベア10aの空間部13内から空間部13の下方へ突出するプッシャ41と、モータによって回転するクランク42と、前記プッシャ41とクランク42とを連結するリンク43とを備えている。図示したように2列の空間部13が設けられているときは、プッシャ41は2本一組で備えられている。
【0040】
なお、図示しないが、リードコンベア10aがサクションボックス11を2列で並列し、1列の空間部13が設けられるときは、プッシャ41は1本とされるが、ワークWを水平姿勢で落下させるため、空間部13を2列以上設け、2本以上のプッシャ41を備えることが好ましい。
【0041】
また、各プッシャ41は、鉛直姿勢のガイドロッド44に連結され、このガイドロッド44が鉛直姿勢のガイド受け45内を昇降動することにより、ふらつくことなく安定して昇降動するようにされている。このようなプッシャ41がリードコンベア10aの空間部13から下方へ突出することにより、サクションベルト12に吸着されたワークWがサクションベルト12から強制的に離隔され、突き落とされる。
【0042】
さらに、ロード手段40には、リードコンベア10aに搬送されたワークWを検知するセンサ46が前記サクションボックス11間の空間部13内に取り付けられている。このセンサ46がワークWを検知したときに、プッシャ41がワークWを突き落とすようにモータが回転する。
【0043】
このようなロード手段40は、図1に示すように、リード搬送手段10のA列とD列の2列において、1台ずつ配備され、B列とC列の2列において2台ずつ配備されている。B列とC列の2台のロード手段40は、いずれか一方のみ作動することにより、ワークWをシフト搬送手段20に突き落とす。
【0044】
シフト搬送手段20は、前記リードコンベア10aと第1のラインXとに架け渡される第1のシフトコンベア20xと、前記リードコンベア10aと第2のラインYとに架け渡される第2のシフトコンベア20yとを備えている。第1のシフトコンベア20xは、リード搬送手段10のA列、B列、C列と第1のラインXとに架け渡されている。また、第2のシフトコンベア20yは、リード搬送手段10のB列、C列、D列と第2のラインYとに架け渡されている。
【0045】
したがって、リード搬送手段10のB列とC列を搬送されているワークWは、第1のシフトコンベア20x又は第2のシフトコンベア20yに振り分けられる。このようにワークWが振り分けられる第1のシフトコンベア20x、第2のシフトコンベア20yを振分けコンベアと呼ぶ。
【0046】
そして、第1のシフトコンベア20xも第2のシフトコンベア20yも、リードコンベア10aから突き落とされたワークWを上面に載せた状態で搬送する前段コンベア21と、この前段コンベア21の下流端でワークWの上面を吸着する状態で搬送する後段コンベア22とを備えている。前段コンベア21は、一般的な循環する無端の平ベルトを備えており、上流端が前記リードコンベア10aを間に挟んで前記ロード手段40と対向するように配置されている。また、前段コンベア21は、突き落とされたワークWを確実に受け止めることができるように、後段コンベア22よりも幅広とされている。
【0047】
一方、後段コンベア22は、図4に示すように、前記リードコンベア10aと同じ構成のサクションボックス22aとサクションベルト22bを備えており、サクションベルト22bの下面がワークWを吸着する。したがって、後段コンベア22の上流端は、前段コンベア21の下流端の上側に位置している。また、後段コンベア22の下流側の下方に第1、第2の各ラインX,Yが配備されている。なお、後段コンベア22の下流端は、オーバーフローしたワークWを収集するためのワーク回収手段23が配備されている。
【0048】
そして、後段コンベア22と第1、第2の各ラインX,Yの交差地点であって、後段コンベア22の上方には、前記ロード手段40と同じ構成のロード手段40が配備されている。すなわち、後段コンベア22の上方に配備されるロード手段40も、図4に示すように、サクションボックス22a間の空間部22c内から空間部22cの下方へ突出するプッシャ41と、モータによって回転するクランク42と、前記プッシャ41とクランク42とを連結するリンク43とを備えている。
【0049】
このようなロード手段40の下方であって、後段コンベア22と第1、第2の各ラインX,Yとの間に、多段調整手段30が配備されている。多段調整手段30は、図4に示すように、ロード手段40から落下してくるワークWを一旦、ストックしてから第1、第2の各ラインX,Y上に落下させる開閉部31を復数段鉛直方向に連続して設けている。図4に示した開閉部31は、鉛直方向に6段重ねられている。
【0050】
各開閉部31は、櫛歯状又は平板状のブレード31aを正面視で十字形に設けた一対の回転羽根を備えている。以下、主として、開閉部31を回転羽根31と呼ぶ。回転羽根31は、ブレード31aが水平姿勢と鉛直姿勢とで一旦停止するように周方向に回転する。また、一対の回転羽根31は、水平方向に対峙し、その間隔は、ワークWの幅よりもわずかに広くされている。また、鉛直方向の回転羽根31の間隔は、ブレード31aが櫛歯状であれば、上側のブレード31aの歯が下側のブレード31aの歯と歯との間に入るようにすることにより、1枚のブレード31aの幅よりもわずかに大きい程度とし、ブレード31aが平板状であれば、ブレード31aの幅の2倍分とされる。
【0051】
なお、開閉部31は、回転羽根31ではなく、1枚の平板状のブレード31aが水平姿勢と下向き鉛直姿勢とに90°の範囲で揺動するだけのものであってもよいし、あるいは、1枚の平板状のシャッタが水平方向に突出・退入するようにしてもよい。ただし、ワークWがシップ薬のように、柔軟でしかも周縁部において粘着性を有している場合は、シャッタよりも回転羽根31を使用することが好ましく、ワークWがプラスタのように、ある程度の剛性を有し、しかも周縁部において粘着性を有していない場合は、シャッタを使用してもよい。
【0052】
いずれにしても、多段調整手段30には、最上段の開閉部31上に所定枚数(例えば7枚)のワークWがストックされたことを検知するセンサ(図示せず)が備えられ、他の開閉部31上に7枚のワークWがストックされているかどうかを検知するセンサ(図示せず)が備えられている。このセンサは、前記振分けコンベア20x,20y上にワークWを突き落とすためのロード手段40とも電気的に接続され、ロード手段40は多段調整手段30にストックされているワークWが少ない方のラインにワークWを振り分ける。
【0053】
このような多段調整手段30は、各シフトコンベアの後段コンベア22の下流に配備されるため、図1においては、第1、第2の各ラインX,Yでそれぞれ3台、合計6台配備される。以下、多段調整手段30について、第1のラインXの各上流側から第1のa、第1のb、第1のcの多段調整手段30Xa,30Xb,30Xcと呼び、第2のラインYの各上流側から第2のa、第2のb、第2のcの多段調整手段30Ya,30Yb,30Ycと呼んで説明することがある。
【0054】
そして、各多段調整手段30の最下段の開閉部31が図3及び図4に示すように、第1、第2の各ラインX,Yに配備されたロードコンベア50と対向している。ロードコンベア50は、連続的に進行し、下流端側に包装機(図示せず)が対向するように配備されている。
【0055】
また、ロードコンベア50には、多数の爪部51,51…がワークWの幅よりもわずかに広い一定の間隔で一列に連続して突設され、一対の爪部51,51間がワークWを積載するキャリー部52とされている。キャリー部52上に積載されたワークWは、上流側の爪に押される状態となって搬送される。なお、キャリー部52は、一対の爪部51でなく、バケット又はトレーなどを固定したものとしてもよい。
【0056】
この被搬送物の移載装置は、以上のように構成され、次に、製造ライン上のワークWを第1、第2の各ラインX,Yのロードコンベア50のキャリー部52に積載する動作ないしシステムについて説明する。
【0057】
リード搬送手段10によって搬送されているワークWは、図2に示すように、上面がリード搬送手段10の各リードコンベア10aに吸着され、下面が露呈した状態とされている。リードコンベア10aは、内部空間11bが負圧とされ、スリット11cを形成した下面に通気性を有するサクションベルト12が摺接するため、ワークWの上面がサクションベルト12に吸着された状態で搬送される。
【0058】
また、リード搬送手段10のA列のリードコンベア10aとD列のリードコンベア10aによって搬送されている各ワークWは、ロード手段40のプッシャ41が下降することにより、それぞれ第1、第2の各シフトコンベア20x,20yの前段コンベア21,21上に突き落とされる。そして、リード搬送手段10のB列のリードコンベア10aによって搬送されているワークWは、各ロード手段40によって第1のシフトコンベア20xの前段コンベア21上と、第2のシフトコンベア20yの前段コンベア21上とに交互に突き落とされる。同様に、リード搬送手段10のC列のリードコンベア10aによって搬送されているワークWも、各ロード手段40によって第2のシフトコンベア20yの前段コンベア21上と、第1のシフトコンベア20xの前段コンベア21上とに交互に突き落とされる。
【0059】
いずれにしても、ロード手段40は、センサ46がワークWを検知すると、モータが駆動し、図2の点線で示すようにリンク43が下降することにより、プッシャ41がリードコンベア10aの下面から突出し、ワークWがプッシャ41に押し下げられることにより、ワークWはサクションベルト12から第1、第2の各シフトコンベア20x,20yの前段コンベア21,21上に強制的に突き落とされる。
【0060】
第1、第2の各シフトコンベア20x,20yは、前段コンベア21と後段コンベア22とを組み合わせたものであり、前段コンベア21が無端の平ベルトされることから、ワークWは前段コンベア21上に落下して、後段コンベア22の方に搬送される。そして、ワークWは前段コンベア21の下流端まで搬送されると、後段コンベア22のサクションベルト22bに吸着される。
【0061】
このワークWは、上面がサクションベルト22bに吸着され、下面が露呈した状態で第1、第2の各ラインX,Yの方へ搬送される。そして、ワークWは、第1、第2の各ラインX,Yの上方に配置されたロード手段40の下方に到達すると、センサに検知される。すると、ロード手段40のモータが駆動し、プッシャ41が下降することにより、ワークWは多段調整手段30の方へ強制的に突き落とされる。
【0062】
多段調整手段30では、最上段の回転羽根31のブレード31aが水平姿勢で待機しており、ワークWはブレード31a上にストックされる。そして、例えば7枚のワークWがブレード31a上にストックされると、そのことがセンサによって検知され、回転羽根31が90°回転し、水平姿勢のブレード31aが下向き鉛直姿勢となり、ワークWは下側に配置された回転羽根31のブレード31a上に落とされる。このとき、上向き鉛直姿勢のブレード31aが水平姿勢となることにより、この水平姿勢となったブレード31aがワークWを押し下げることによっても、ワークWが強制的に落とされる。
【0063】
そして、下側に配置された回転羽根31のブレード31aは、水平姿勢で待機しており、落とされた7枚のワークWは、このブレード31a上に一旦ストックされる。ただし、この下側に配置された回転羽根31は、先行して7枚のワークWがストックされているため、上側に配置された回転羽根31が回転する前に回転し、ストックしていた7枚のワークWをさらに下側に配置されて水平姿勢で待機している回転羽根31のブレード31a上に落とす。
【0064】
そして、最下段に配置された回転羽根31が回転し、下向き鉛直姿勢となることにより、7枚のワークWがロードコンベア50のキャリー部52上に落下して積載される。ただし、多段調整手段30は、キャリー部52上にワークWが積載されていないことを検知した上でワークWを落下させる。そして、すべてのキャリー部52に7枚のワークWを積載したロードコンベア50は、包装機の方へ進行する。搬送された各7枚のワークWは、包装機によって袋詰めされる。
【0065】
ここで、不良品のワークWが製造されない場合の動作ないしシステムについて説明する。不良品のワークWが製造されない場合は、リード搬送手段10のA列及びD列から搬送されたワークWをストックする第1のb及び第2のaの各多段調整手段30Xb,30Yaは、リード搬送手段10のB列及びC列から搬送されたワークWをストックする第1のa、第2のc及び第2のb、第1のcの各多段調整手段30Xa,30Yc,30Yb,30Xcの2倍の速さでワークWがストックされる。
【0066】
そこで、第1のb及び第2のaの各多段調整手段30Xb,30Ya内のワークは、ロードコンベア50のキャリー部52と対向するたびに落とされ、第1のa、第2のc及び第2のb、第1のcの各多段調整手段30Xa,30Yc,30Yb,30Xc内のワークWは、ロードコンベア50のキャリー部52と1回おきに対向した時に落とされる。したがって、ロードコンベア50は、第1のb及び第2のaの各多段調整手段30Xb,30Ya内のワークが落とされるピッチに合わせた速度で進行する。このようにしてロードコンベア50は、全キャリー部52に常にワークWが積載された状態となって進行する。
【0067】
次に、不良品のワークWが不良品検出手段によって検知され、不良品排出手段107で排出されることにより、リードコンベア10aを搬送されているワークWに抜けが生じ、良品のワークWがリード搬送手段10を連続して搬送されない場合について説明する。
【0068】
例えば、A列又はD列のリードコンベア10aで搬送されているワークWに抜けが生じた場合は、A列又はD列のリードコンベア10aから第1のb又は第2のaの多段調整手段30Xb,30YaにストックされるワークWは、抜けが生じていないときよりも少なくなる。
【0069】
しかし、この第1のb又は第2のaの多段調整手段30Xb,30Yaは、不良品のワークWが製造されない場合において、第1のa、第1のc、第2のb、第2のcの多段調整手段30Xa,30Xc,30Yb,30YcにストックされるワークWの2倍のワークWがストックされるため、A列又はD列のリードコンベア10aで搬送されているワークWに抜けが生じても、第1のb又は第2のaの多段調整手段30Xb,30Yaからロードコンベア50のキャリー部52に積載されるワークWが不足することはない。
【0070】
また、B列のリードコンベア10aを搬送されているワークWに抜けが生じた場合は、第1のa及び第2のcの多段調整手段30Xa,30YcにストックされるワークWが減少する。そこで、例えばB列のリードコンベア10aを搬送されているワークWは、すべて第1のaの多段調整手段30Xaにストックされ、C列のリードコンベア10aを搬送されているワークWは、第2のbと第1のcの多段調整手段30Yb,30Xcにストックされるように振り分ける。
【0071】
したがって、第1のb及び第2のaの多段調整手段30Xb,30Yaに所定枚数のワークWがストックする一方、第1のa、第1のc、第2のb、第2のcの多段調整手段30Xa,30Xc,30Yb,30YcにストックされるワークWは、不良品のワークWが製造されないときよりも減少するものの、第1のラインXのすべての多段調整手段30Xa,30Xb,30XcにストックされたワークWの総数と第2のラインYのすべての多段調整手段30Ya,30Yb,30YcにストックされたワークWの総数とが同一又はほぼ同一となる。
【0072】
そして、各多段調整手段30は、開閉部31が複数段重ねられていることから、不良品のワークWが製造されても、各多段調整手段30の開閉部31内には、ワークWが常にストックされており、このワークWをロードコンベア50のキャリー部52に落下させることができる。したがって、ロードコンベア50のキャリー部52上にワークWが必ず積載された状態となり、包装機が空袋を製造することがない。
【0073】
次に、ワークWを7列で搬送する被搬送物の移載装置の一実施形態について図5を参照しながら説明する。この被搬送物の移載装置のリード搬送手段10では、A列〜G列の7列のリードコンベア10aが並列されている。このリードコンベア10aは、図2に示す4列の場合のリードコンベア10aと同じ構成のサクションボックス11とサクションベルト12を備えている。したがって、7列のリードコンベア10aにあっては、21列のサクションボックス11が並列されている。
【0074】
そして、A列〜D列のリードコンベア10aと第1のラインXとに第1のシフトコンベア20xが架け渡され、D列〜G列のリードコンベア10aと第2のラインYとに第2のシフトコンベア20yが架け渡されている。したがって、D列のリードコンベア10aには、第1のシフトコンベア20xと第2のシフトコンベア20yが架け渡され、この第1のシフトコンベア20xと第2のシフトコンベア20yのみが振分けコンベアとされる。
【0075】
また、第1、第2の各シフトコンベア20x,20yと第1、第2の各ラインX,Yのロードコンベア50との間に配備される多段調整手段30は、図4に示す回転羽根31を備えた開閉部31が鉛直方向に8段重ねられている。ただし、開閉部31は、水平姿勢と鉛直姿勢とに方向転換する一対のブレードによって構成してもよいし、水平方向に突出・退入するシャッタによって構成してもよい。
【0076】
そして、第1のラインX側の多段調整手段30を上流側から第1のa、第1のb、第1のc、第1のd、第1のeの多段調整手段30Xa,30Xb,30Xc,30Xdと呼び、第2のラインY側の多段調整手段30を上流側から第2のa、第2のb、第2のc、第2のd、第2のeの多段調整手段30Ya,30Yb,30Yc,30Ydと呼ぶ。
【0077】
そして、被搬送物の移載装置は、ワークWが7列で搬送される場合であっても、ワークWが4列で搬送される場合と同じく、図2に示すようなロード手段40がリードコンベア10aと第1、第2の各シフトコンベア20x,20yの前段コンベア21との交差部の上側及び各多段調整手段30の上側に配備されている。
【0078】
ここで、このようにワークWが7列で搬送される被搬送物の移載装置の動作ないしシステムについて説明する。ただし、ワークWがロード手段40によって突き落とされるなどの動作は、前記の4列でワークWを搬送する場合と同じであるため、簡単に説明する。
【0079】
不良品のワークWが製造されず、すべてのワークWが良品排出手段108から搬送ラインLに排出される場合には、各ワークWは、A列〜G列の各リードコンベア10aによって搬送される。A列〜C列及びE列〜G列の各リードコンベア10aに搬送されたワークWは、それぞれ第1及び第2の各シフトコンベア20x,20yによって第1及び第2の各ラインX,Yの方へ搬送される。また、D列のリードコンベア10aに搬送されたワークWは、振分けコンベアである第1のシフトコンベア20xと第2のシフトコンベア20yによって交互に第1、第2の各ラインX,Yの方へ搬送される。
【0080】
したがって、第1のa〜c及び第2のa〜cの多段調整手段30Xa〜30Xc,30Ya〜30Ycには、同じ枚数のワークWがストックされ、第1のd、第2のdの多段調整手段30Xd,30Ydには、半分のワークWがストックされる。そこで、第1のd、第2のdの多段調整手段30Xd,30Yd内のワークWは、他の多段調整手段30Xa〜30Xc,30Ya〜30Ycの2分の1のペースでロードコンベア50のキャリー部52に積載する。このようにして、ロードコンベア50のすべてのキャリー部52にワークWが積載された状態となり、ワークWは、包装機の方へ搬送され、包装機において、空袋が製造されることがない。
【0081】
次に、不良品のワークWが不良品検出手段によって検知され、不良品排出手段107で排出されることにより、良品のワークWに抜けが生じた状態で、良品排出手段108からリード搬送手段10に排出される場合について説明する。
【0082】
例えば、A列のリードコンベア10aで搬送されているワークWに抜けが生じた場合は、D列のリードコンベア10aで搬送されているワークWを、振分けコンベアのである第1のシフトコンベア20xによって、第1のラインXに搬送し、D列のリードコンベア10aで搬送されているワークWを第1のラインXに補給するようにする。
【0083】
このようにして、ワークWに抜けが生じても、第1、第2の各ラインX,Yのそれぞれの多段調整手段30にはトータルで同数又はほぼ同数のワークWがストックされる。そして、各多段調整手段30内の開閉部31にはワークWがストックされていることから、ロードコンベア50のキャリー部52には、ワークWが必ず積載され、包装機において、空袋が製造されることがない。
【0084】
そして、ワークWが4列で搬送されても7列で搬送されても、各多段調整手段30内でワークWをストックしている複数の開閉部31が所定数(例えば8段の場合は3段)以下であると、シップ薬の製造装置の製造ピッチを数%アップすることによって製造量を多くし、逆に各多段調整手段30内でワークをストックしている複数の開閉部31が所定数(例えば8段の場合は5段)以上であると、シップ薬の製造装置の製造ピッチを数%ダウンすることによって、ワークWがオーバーフローしないように調整することができる。
【0085】
なお、本発明は、前記の実施形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載された発明特定事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、搬送ラインLを搬送されるワークWは、4列や7列に限定されず、また、7列であっても、振分けコンベアを2本以上設けてもよい。
【0086】
また、リードコンベア10a及び後段コンベア22は、サクションボックス11,22aとサクションベルト12,22bを備えたものに限らず、1本の循環する無端の平ベルトや多数のローラを並列させたローラコンベアなどによって構成してもよい。また、シフトコンベア20は、前段と後段に分割せず、1本の平ベルトやローラコンベアによって構成してもよい。
【0087】
さらに、ロード手段40は、ワークWを保持するヘッドをアームの先端部に取り付け、このアームが揺動するような構成としてもよい。また、多段調整手段30は、不良品の発生率に合わせて重ねる開閉部31の段数を設定することができる。
【0088】
さらに、特に本発明の被搬送物の移載システムにあっては、ワークWは、扁平状物品に限定することなく、ブロック状であってもよい。この場合は、ロード手段40や多段調整手段30は、ブロック状のワークWを移載したりストックしたりすることができる構成とされる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の被搬送物の移載装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明の被搬送物の移載装置の一実施形態を示す図1のI−I線断面側面図である。
【図3】本発明の被搬送物の移載装置の一実施形態を示す正面図である。
【図4】本発明の被搬送物の移載装置の一実施形態を示す要部を拡大した概略正面図である。
【図5】本発明の被搬送物の移載装置の図1と異なる実施形態を示す平面図である。
【図6】シップ薬の製造装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0090】
10……リード搬送手段
10a…リードコンベア
11……サクションボックス
12……サクションベルト
13……ガイド
20……シフト搬送手段
20x…シフトコンベア
20y…シフトコンベア
21……前段コンベア
22……後段コンベア
22a…サクションボックス
22b…サクションベルト
30……多段調整手段
31……開閉部(回転羽根)
31a…ブレード
40……ロード手段
41……プッシャ
42……クランク
43……リンク
50……ロードコンベア
52……キャリー部
L………搬送ライン
W………被搬送物(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物が複数列で搬送される搬送ラインの下流端に配置され、被搬送物を第1のライン又は第2のラインに振り分ける被搬送物の移載装置であって、
前記搬送ラインの下流端から各列上の被搬送物を個々に搬送するリードコンベアを並列したリード搬送手段と、
前記リードコンベアと第1のラインとに架け渡される第1のシフトコンベアと、前記リードコンベアと第2のラインとに架け渡される第2のシフトコンベアとを有し、少なくとも1本のリードコンベアに共通して架け渡される前記第1、第2の両シフトコンベアを振分けコンベアとするシフト搬送手段と、
前記各シフトコンベアと第1、第2の各ラインとの間に配置され、かつ、被搬送物を一旦ストックしてから移載させる開閉部を複数段連続して設けた多段調整手段と、
被搬送物を前記リードコンベアから第1、第2の各シフトコンベアへ移載させるロード手段と、
前記各多段調整手段内の被搬送物の過不足を解消すべく、被搬送物が不足している方のラインに架け渡されている振分けコンベアに被搬送物を移載させるロード手段と、
被搬送物を前記各シフトコンベアから前記各多段調整手段の開閉部上に移載させるロード手段とが備えられていることを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項2】
前記リードコンベアには、スリットを下面に形成し、かつ、負圧とされる内部空間を設けたサクションボックスと、該サクションボックスと同一又はほぼ同一の幅で通気性を有する無端のサクションベルトとが備えられ、前記サクションボックスが一定の間隔を空けて並列され、前記サクションベルトが前記各サクションボックスの下面に摺接するように並列されていることを特徴とする請求項1に記載の被搬送物の移載装置。
【請求項3】
前記シフトコンベアには、前記リードコンベアから移載された被搬送物を上面に載せた状態で搬送する前段コンベアと、該前段コンベアの下流端で被搬送物の上面を吸着した状態で搬送する後段コンベアとが備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の被搬送物の移載装置。
【請求項4】
前記後段コンベアには、スリットを下面に形成し、かつ、負圧とされる内部空間を設けたサクションボックスと、該サクションボックスと同一又はほぼ同一の幅で通気性を有する無端のサクションベルトとが備えられ、前記サクションボックスが一定の間隔を空けて並列され、前記サクションベルトが前記サクションボックスの下面に摺接するように並列されていることを特徴とする請求項3に記載の被搬送物の移載装置。
【請求項5】
前記ロード手段には、被搬送物の上面を押圧するプッシャと、回転するクランクと、前記プッシャとクランクとを連結するリンクとが備えられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の被搬送物の移載装置。
【請求項6】
前記多段調整手段には、被搬送物の幅とほぼ同じ間隔を空けて対峙させたブレードが落下してくる被搬送物を一旦ストックする水平姿勢と、所定枚数ストックされた被搬送物を落下させる下向き鉛直姿勢とに方向転換するようにした開閉部が備えられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の被搬送物の移載装置。
【請求項7】
搬送ラインを複数列で連続して又は連続しないで搬送される被搬送物が第1のライン又は第2のラインに向けて振り分けられ、該被搬送物が第1、第2の各ラインを連続して進行するキャリー部に積載されて搬送されるようにした被搬送物の移載システムであって、
前記搬送ラインの各列と第1、第2の各ラインとの間に被搬送物を一旦ストックしてから移載させる開閉部を複数段連続して設けた多段調整手段が備えられ、
前記搬送ラインの列を連続しないで搬送される被搬送物が移載される方の第1のライン又は第2のラインの方に、搬送ラインの列を連続して搬送されている被搬送物を振り分け、
第1のラインに備えられた各多段調整手段と、第2のラインに備えられた各多段調整手段とで被搬送物をストックしている複数の開閉部が一定の範囲となるようにしつつ、該被搬送物を各多段調整手段から第1、第2の各ラインのキャリー部に移載することを特徴とする被搬送物の移載システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−155962(P2008−155962A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347737(P2006−347737)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(593089666)池田機械産業株式会社 (21)
【出願人】(591051885)リードケミカル株式会社 (18)
【Fターム(参考)】