説明

被搬送物の移載装置

【課題】ストッパ等を必要とせず、構造を簡単にすることを可能とする。
【解決手段】搬入コンベヤ10と搬出コンベヤ20との間にパレットPを供給するパレット供給装置30と、このパレット供給搬出装置30の上方に位置して機枠に設けられ搬入されてくる被搬送物WをパレットP上に一旦貯留する載置台40と、搬入コンベヤ10とパレット供給搬出装置30との間に設けられ搬入コンベヤ10によって載置台40上に搬入されてくる被搬送物WをパレットPと共に搬出コンベヤ20上に移動する移動装置50から構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの積層ブロック等の被搬送物をパレットに乗せ替えて搬送するためなどに供される被搬送物の移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートの積層ブロック等被搬送物の移載装置は、製紙工場や段ボール工場等において、所定寸法にカットされた紙シート或いは段ボールシートの積層ブロックをパレットに乗せ替えて搬送する場合に用いられている。この被搬送物の移載装置として、例えば特許第2528251号公報に記載されたようなものがある。
【0003】
従来の被搬送物の移載装置は、パレット待機位置に対し無端チェーンにより循環駆動される薄板と、パレット待機位置の一側に設けられたストッパとを備えている。
【0004】
段ボールシートの積層ブロックは、パレット待機位置の他方側から製品供給ラインにより搬送されて前記薄板上に供給される。積層ブロックは、薄板と共にパレット上へ移行し、ストッパで位置決められる。この状態で、無端チェーンの駆動により薄板が積層ブロックの下から引き抜かれ、積層ブロックがパレット上に移載される。この積層ブロックは、パレットと共に搬出ローラにより搬出される。従って、積層ブロックをパレットに移載して搬送することができる。
【0005】
しかしながら、この従来の移載装置では、ストッパを使用して薄板の引き抜き動作を行わなければ成らず、ストッパや薄板の供給構造が複雑になるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特許第2528251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、ストッパや薄板の供給構造が複雑になる点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、構造を簡単にするため、搬入された被搬送物をパレットに乗せ替えて搬出する被搬送物の移載装置において、搬入コンベヤと搬出コンベヤとの間にパレットを供給するパレット供給装置と、このパレット供給装置の上方に位置して機枠に設けられ搬入されてくる被搬送物をパレットの上方に一旦貯留する載置台と、前記搬入コンベヤと前記パレット供給装置の近傍に設けられ前記搬入コンベヤによって前記載置台上に搬入されてくる被搬送物をパレットと共に前記搬出コンベヤ上に移動する移動装置から構成し、前記被搬送物を乗せたパレットを搬出可能とすることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の被搬送物の移載装置は、搬入、搬出コンベヤとこの各コンベヤの間に配置されたパレット供給装置と、載置台及び被搬送物をパレットと共に前記搬出コンベヤ上に移動する移動装置との協働により被搬送物をパレットに乗せ替えるため、従来のようなストッパや薄板を必要とせず、その分構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
搬入、搬出コンベヤとパレット供給装置及び載置台の協働により被搬送物をパレットに乗せ替えるという目的を、簡単な構造で実現した。
【実施例1】
【0011】
図1〜図3は、本発明の実施例に係り、図1は被搬送物の移載装置の正面視説明図、図2は同平面視説明図、図3は被搬送物の載置台と被搬送物の移動装置の概略を示す斜視説明図である。
【0012】
本発明の実施例からなる被搬送物の移載装置Eは、図1及び図2に示すように、搬入コンベヤ10と搬出コンベヤ20との間にパレットPを供給するパレット供給装置30と、このパレット供給装置30の上方に位置して機枠Kに設けられ搬入されてくる被搬送物WをパレットP上に一旦貯留する載置台40と、前記搬入コンベヤ10と前記パレット供給装置30の近傍に設けられ前記搬入コンベヤ10によって前記載置台40上に搬入されてくる被搬送物WをパレットPと共に前記搬出コンベヤ20上に移動する移動装置50から構成されている。
【0013】
さらに説明すると、前記搬入コンベヤ10の被搬送物載置面11の高さ10hは、前記搬出コンベヤ20の被搬送物載置面21の高さ20hより、パレットPの厚さPhの分だけ高く構成されている。正確には前記載置台40の板状体41の厚み41hも前記パレットPの厚さPhに加算するべきであるが、板状体41の厚み41hは、パレットPの厚さPhと比較して極めて薄いので無視しても好い。
【0014】
また、前記パレット供給装置30と前記移動装置50の移動体51との間に、この実施例では搬入補助コンベヤ60が配置されている。この搬入補助コンベヤ60は、搬送力を向上するため搬送面の摩擦係数を、前記搬入コンベヤ10の摩擦係数よりも大きく設定されている。
【0015】
前記パレット供給装置30は、前記搬入コンベヤ10によって搬入される被搬送物Wの搬入方向に交差する方向から、前記パレットPの供給動作を可能とするパレット搬入部31が形成されており、前記搬入コンベヤ10と搬出コンベヤ20に対して、昇降動作が可能であると共に、前記パレット搬入部31よりも下位へ下降動作可能な昇降テーブル32を備えている。
【0016】
この昇降テーブル32の上昇位置は、前記搬出コンベヤ20とほぼ一致する高さであり、前記搬入方向に交差する方向から前記パレットPの供給動作を可能とすると共に、パレットPに移載された被搬送物WをパレットPと共に前記搬出コンベヤ20に搬出可能とする搬出ユニット33が設けられている。
【0017】
前記昇降テーブル32は、前記搬入、搬出コンベヤ10、20に対して昇降動作が可能であると共に、前記パレット搬入部31の無端チェーン34,35よりも下位へ下降動作可能となっている。昇降テーブル32は、昇降アクチュエータである昇降リフト装置36に支持されている。
【0018】
前記被搬送物の載置台40は、被搬送物Wの載置面42を滑動面に形成した板状体41により構成され、搬入されてくる被搬送物WをパレットP上において一旦貯留可能な位置に設けられている。
【0019】
前記被搬送物Wの移動装置50は、前記搬入コンベヤ10と前記パレット供給装置30の近傍に設けられ、前記搬入コンベヤ10によって前記載置台40上に搬入されてくる被搬送物Wを、前記昇降テーブル32の搬出ユニット33と協同して、パレットPと共に前記搬出コンベヤ20上に移動できるよう構成されている。
【0020】
すなわち、この実施例において図2に示すように、前記パレット供給装置30の上方に位置して、前記搬入コンベヤ10と平行に、しかも昇降可能にコンベヤ52、52が配置されており、この左右コンベヤ51,52に前記移動体51が取り付けられている。
【0021】
その作動状態を説明すると次の通りである。
【0022】
被搬送物Wが、搬入補助コンベヤ60の後端部を通過すると、前記移動装置50の移動体51が上昇し、被搬送物Wの後端面に当接される。(図6参照)
被搬送物Wの後端部が、前記搬入コンベヤ10上から離れると被搬送物Wを搬出側に移動し載置台40の板状体41へと押し出す。(図7参照)
被搬送物Wが板状体41を介してパレットP上に略完全に載置されると、移動体51の移動と同期して、前記昇降テーブル32の上面に設けられている搬出ユニット33が作動し、被搬送物WはパレットPと共に搬出コンベヤ20へと搬出されていく、(図8参照)
パレットPが被搬送物Wを載置した状態で、完全に搬出コンベヤ20上に搬出されると、移動体51が待機位置への復帰に備えてその位置で待機する。(図9参照)
パレットPが被搬送物Wを載置した状態で搬出コンベヤ20によってさらに搬出されて行くと、移動体51が待機位置の上方に復帰し、その位置で待機する。(図10参照)
被搬送物Wの搬出が完了するか完了に近づくと、前記移動装置50の移動体51が、前記搬入コンベヤ10と搬入補助コンベヤ60の間に形成されている待機位置に復帰し、その位置で待機する。(図11参照)
図4〜図11は本被搬送物の移載装置Eを用いて、被搬送物WをパレットPに移載し搬出する各段階を経時的に示したものであり、これらの図を参照しつつ搬送されてくる被搬送物WをパレットPに移載し搬出する過程を説明する。
(第1段階)
搬入コンベヤ10に被搬送物Wが積載され運ばれて来る。この時には既に前記パレット供給装置30の昇降テーブル32の上方には、パレットPが搬入され昇降テーブル32が下降した状態で待機している。(図4参照)
(第2段階)
さらに搬送され被搬送物Wの先端部が搬入コンベヤ10の端部を越え、移動装置50の移動体51上を通過し、搬入補助コンベヤ60上に運ばれてくると、前記パレット供給装置30の昇降テーブル32が上昇し、パレットPが載置台40の板状体41の裏面側に配置される一方、昇降テーブル32の上面に設けられている搬出ユニット33の搬送面と、搬出コンベヤ20の搬送面とを一致させる。そして、被搬送物Wは、搬入補助コンベヤ60と前記搬入コンベヤ10とが協同した搬送力で載置台40の板状体41へと搬入されてくる。(図5参照)
(第3段階)
被搬送物Wが、搬入補助コンベヤ60と前記搬入コンベヤ10との搬送力で載置台40の板状体41へと搬入され、被搬送物Wの後端部が、搬入補助コンベヤ60の後端部を通過すると、前記移動装置50の移動体51が上昇し、被搬送物Wの後端面に当接される。(図6参照)
(第4段階)
被搬送物Wの後端部が、前記搬入コンベヤ10上から離れると搬送力が搬入補助コンベヤ60のみの搬送力となるが、上述したように、移動装置50の移動体51が上昇し、被搬送物Wの後端面に当接され、被搬送物Wを搬出側に移動し載置台40の板状体41へと押し出す。(図7参照)
(第5段階)
被搬送物Wが板状体41を介してパレットP上に略完全に載置されると、移動体51の移動と同期して、前記昇降テーブル32の上面に設けられている搬出ユニット33が作動し、被搬送物WはパレットPと共に搬出コンベヤ20へと搬出されていく、その時、被搬送物Wは板状体41上を滑り、徐々にパレットP上に移載されていく。(図8参照)
(第6段階)
パレットPが被搬送物Wを載置した状態で、完全に搬出コンベヤ20上に搬出されると、前記パレット供給出装置30の昇降テーブル32が、下降を開始すると共に、前記移動装置50の移動体51が待機位置への復帰に備えてその位置で待機する。(図9参照)
(第7段階)
パレットPが被搬送物Wを載置した状態で、完全に搬出コンベヤ20上に搬出されると、前記パレット供給装置30の昇降テーブル32が、下降を開始すると共に、前記移動装置50の移動体51が待機位置への復帰に備えてその位置で待機する。(図9参照)
(第8段階)
パレットPが被搬送物Wを載置した状態で搬出コンベヤ20によってさらに搬出されて行くと、前記パレット供給装置30の昇降テーブル32が下降を完了し、下降した昇降テーブル32の上方にパレットPが搬入されてくる一方、移動体51が待機位置の上方に復帰し、その位置で待機する。(図10参照)
(第9段階)
被搬送物Wの搬出が完了するか完了に近づくと、前記移動装置50の移動体51が、前記搬入コンベヤ10と搬入補助コンベヤ60の間に形成されている待機位置に復帰し、その位置で待機する。尚この状態は、図4に示し前述した第1段階と同じ状態である。(図11参照)
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例からなる被搬送物の移載装置の正面視説明図である。
【図2】同上平面視説明図である。
【図3】同上被搬送物の載置台と被搬送物の移動装置の概略を示す斜視説明図である。
【図4】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第1段階を説明する正面視説明図である。
【図5】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第2段階を説明する正面視説明図である。
【図6】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第3段階を説明する正面視説明図である。
【図7】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第4段階を説明する正面視説明図である。
【図8】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第5段階を説明する正面視説明図である。
【図9】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第6段階を説明する正面視説明図である。
【図10】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第7段階を説明する正面視説明図である。
【図11】同上被搬送物の移載装置を用いて被搬送物をパレットに移載する第8段階を説明する正面視説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 搬入コンベヤ
11 搬入コンベヤの載置面
20 搬出コンベヤ
21 搬出コンベヤの載置面
30 パレット供給装置
31 パレット搬入部
32 昇降テーブル
33 搬出ユニット
40 被搬送物の載置台
41 板状体
50 被搬送物の移動装置
51 移動体
60 搬入補助コンベヤ
E 被搬送物の移載装置
W 被搬送物
P パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された被搬送物をパレットに乗せ替えて搬出する被搬送物の移載装置において、
搬入コンベヤと搬出コンベヤとの間にパレットを供給するパレット供給装置と、
このパレット供給装置の上方に位置して機枠に設けられ搬入されてくる被搬送物をパレットの上方に一旦貯留する載置台と、
前記搬入コンベヤと前記パレット供給装置の近傍に設けられ前記搬入コンベヤによって前記載置台上に搬入されてくる被搬送物をパレットと共に前記搬出コンベヤ上に移動する移動装置から構成したことを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の被搬送物の移載装置であって、
前記パレット供給装置は、搬入方向に交差する方向から前記パレットの供給動作を可能とするパレット搬入部及び前記搬入コンベヤと搬出コンベヤに対して、昇降動作が可能であると共に、前記パレット搬入部よりも下位へ下降動作可能な昇降テーブルを備えたことを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項3】
請求項1〜2記載の被搬送物の移載装置であって、
前記昇降テーブルの上昇位置は、前記搬出コンベヤとほぼ一致する高さ位置であることを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項4】
請求項1〜3記載の被搬送物の移載装置であって、
前記昇降テーブルは、前記搬入方向に交差する方向から前記パレットの供給動作を可能とすると共に、パレットに移載された被搬送物をパレットと共に前記搬出コンベヤに搬出可能とする搬出ユニットを設けたことを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の被搬送物の移載装置であって、
前記被搬送物の載置台は、被搬送物の載置面を滑動面に形成した板状体により構成され、搬入されてくる被搬送物をパレット上において一旦貯留可能な位置に設けたことを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項6】
請求項1〜5記載の被搬送物の移載装置であって、
前記搬入コンベヤの被搬送物載置面の高さを、搬出コンベヤの被搬送物載置面の高さより、少なくともパレットの厚さ分高く構成したことを特徴とする被搬送物の移載装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の被搬送物の移載装置であって、
前記パレット供給装置と前記移動装置の移動体との間に、搬入補助コンベヤを配置したことを特徴とする被搬送物の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−145467(P2007−145467A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340191(P2005−340191)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(592247595)株式会社神戸製作所 (19)
【Fターム(参考)】