説明

被検体情報取得装置、被検体情報取得システム、表示制御方法、表示方法、及びプログラム

【課題】 従来はユーザが指定領域を指定する際に、受信器の走査回数を把握することができなかった。
【解決手段】 本発明の被検体情報取得装置は、被検体からの音響波を受信し、被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置であって、前記音響波を受信し電気信号に変換するための受信器と、前記受信器を少なくとも一方向に走査するための走査制御部と、ユーザにより指定された、前記特性情報を取得するための指定領域の情報を用いて、第一の方向における前記受信器の走査回数に関するガイドを表示部に表示させるためのガイド情報を生成する表示制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用診断や非破壊検査等に用いられる被検体情報取得装置、被検体情報取得システム、表示制御方法、表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光を用いた光イメージング技術の一つとして、Photo Acoustic Imaging(PAI:光音響イメージング)がある。光音響イメージングでは、光を被検体である生体に照射し、光のエネルギー吸収により腫瘍等の被検部位で発生した音響波を受信器で受信する。そして受信器から出力される受信信号を解析処理することにより、生体内の光学的な特性情報を画像データとして取得する。
【0003】
特許文献1では、保持部材で両側から乳房を保持し、保持部材上を受信器が二次元的に走査しながら音響波を受信する装置について開示されている。受信器を二次元的に走査することで、被検体内の複数位置の特性情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−022812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、受信器が二次元的に主走査方向と副走査方向とを走査する装置の場合、走査可能な全領域を走査するのではなく、操作者であるユーザが被検体内の特性情報の取得領域を指定することが考えられる。具体的には、保持部材で保持された状態の被検体をカメラで撮影し、その撮影画像を表示しながらユーザが表示画面上で所望の領域を指定する方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、指定された領域における特性情報の取得のために必要な音響波の受信時間(全走査位置で音響波の受信に要する時間)は、指定された領域の大きさに比例して増減するわけではない。特に、受信器の走査速度が遅い場合、受信時間は、指定された領域の特性情報を取得するために必要な主走査及び副走査の回数により大きく変わる。しかしながら、従来はユーザが特性情報を取得するための指定領域を指定する際に、受信器の走査回数を把握することができなかった。
【0007】
そのため、指定された領域のわずかな違いにより、不要な受信器の主走査数や副走査数が増加し、特性情報の取得のために必要な音響波の受信時間、ひいては被検者の拘束時間に冗長な時間を生じさせる可能性があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザが特性情報を取得するための指定領域を指定する際に、受信器の少なくとも一方向の走査回数をユーザが把握することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の被検体情報取得装置は、被検体からの音響波を受信し、被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置であって、前記音響波を受信し電気信号に変換するための受信器と、前記受信器を少なくとも一方向に走査するための走査制御部と、ユーザにより指定された、特性情報を取得するための指定領域の情報を用いて、第一の方向における前記受信器の走査回数に関するガイドを表示部に表示させるためのガイド情報を生成する表示制御部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の表示制御方法は、ユーザにより指定された、被検体の特性情報を取得するための指定領域の情報を受けるステップと、前記指定領域の情報を用いて、前記特性情報を取得するために前記被検体からの音響波を受信する受信器の少なくとも第一の方向における走査回数に関するガイドを表示部に表示させるためのガイド情報を生成するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の表示方法は、被検体の撮影画像を表示するステップと、ユーザにより指定された、被検体の特性情報を取得するための指定領域と、前記特性情報を取得するために前記被検体からの音響波を受信する受信器の少なくとも第一の方向における走査回数に関するガイドと、を表示するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受信器を走査して音響波を受信する場合において、ユーザが特性情報を取得するための指定領域を指定する際に、受信器の少なくとも一方向の走査回数に関するガイドを示すことで、少なくとも一方向の走査回数をユーザが容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の適用できる被検体情報取得装置のブロック図である。
【図2】本発明の指定領域の指定方法を示す概念図である。
【図3】本発明の指定領域に対応する三次元の領域の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】第一の実施形態における、走査領域を説明するための概念図である。
【図6】第一の実施形態における、ガイドの表示例を示す概念図である。
【図7】第一の実施形態の変形例における、走査領域を説明するための概念図である。
【図8】第二の実施形態における、走査領域を説明するための概念図である。
【図9】第二の実施形態における、ガイドの表示例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、ユーザにより指定された領域に対して必要な受信器の走査領域が、受信器の走査回数によって決まることに着目した。詳細は各実施形態において説明するが、本発明は、特性情報を取得するための指定領域をユーザが指定する際に、受信器の少なくとも一方向の走査回数に関するガイドを示すことを特徴とする。
【0015】
本発明において、音響波とは、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含み、受信器は、被検体内を伝播した音響波を受信する。つまり、本発明の被検体情報取得装置とは、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体内の特性情報を取得する光音響効果を利用した装置を含む。光音響効果を利用した装置の場合、取得される被検体内の特性情報とは、光照射によって生じた音響波の初期音圧や、あるいは、初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や、吸収係数、組織を構成する物質の濃度等を反映した被検体情報を示す。物質の濃度とは、例えば、酸素飽和度やオキシ・デオキシヘモグロビン濃度などである。また、特性情報としては、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として取得しても良い。つまり、吸収係数分布や酸素飽和度分布等の分布情報を画像データとして取得しても良い。
【0016】
また、本発明の被検体情報取得装置は、被検体に超音波を送信し、被検体内部で反射した反射波を受信して、被検体内の特性情報を取得する超音波エコー技術を利用した装置であってもよい。この超音波エコー技術を利用した装置の場合、取得される特性情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の符号を付して、説明を省略する。
【0018】
<実施形態1>
本実施形態では、受信器を主走査方向と副走査方向とに走査する光音響効果を利用した装置を例に挙げて、特性情報を取得するための領域(指定領域)をユーザが指定する際に、副走査方向の走査回数に関するガイドを表示する形態について説明する。以下では、まず装置の基本的な構成と各構成の機能について説明し、その後、指定領域の指定方法と本発明の特徴である表示制御方法について説明する。
【0019】
(装置の基本的な構成)
図1は、第1の実施の形態における被検体情報取得装置100と外部装置である操作装置120とからなる被検体情報取得システムの構成を示す概略図である。
【0020】
本実施形態の被検体情報取得装置100は、被検体である生体101を保持する保持部材102、光を照射する照射ユニット103、音響波を受信し受信信号に変換するための受信器104、受信信号を増幅してデジタル信号に変換する計測部105を備える。さらに、デジタル化された受信信号の積算処理等を行う信号処理部106、信号処理部からの出力信号を用いて画像データを生成する画像構成部121、表示制御部130、受信器104の走査制御部107、撮像手段としてのカメラ108を備える。
【0021】
操作装置120は、撮影画像を表示する表示部124と、ユーザが指定領域を指定するための領域指定部123と、画像構成部121で生成された画像を表示する表示部122と、を有する。
【0022】
以下、各構成の詳細を述べる。
【0023】
(保持部材)
保持部材102は、乳房等の生体101を両側から保持する第一保持部材102Aと第二保持部材102Bとの2枚1対で構成される。両保持部材は、保持間隙と保持圧力を変更するために、図示しない保持機構によって相対位置が制御される。以降の説明において、保持部材102Aと102Bとを区別する必要がない場合は、まとめて保持部材102と表記する。
【0024】
保持部材102で生体101を挟むことで生体101を固定し、生体101が動くことによる計測誤差を低減することができる。また、光の浸達深度に合わせて、生体101を所望の厚さに調整することができる。なお、保持部材102は、光の光路上に位置するため、ポリメチルペンテン等、使用する光に対して高い透過率を有する材料が好ましい。また、受信器104側の保持部材102Aは、受信器104との音響整合性が高い部材であることが好ましい。
【0025】
(照射ユニット)
生体101に対して光を照射する照射ユニット103は、光を発生する光源と、光源からの光を被検体へ導き照射する照射部と、から構成される。光源としては、530〜1300nmの近赤外領域に中心波長を有するパルス光(パルス幅100nsec以下)を発生可能な固体レーザが好ましい。例えば、Yttrium−Aluminium−GarnetレーザやTitan−Sapphireレーザが使用される。なお、光の波長は、検査対象とする生体内の光吸収物質(例えばヘモグロビンやグルコース、コレステロールなど)に応じて530nmから1300nmの間で選択される。照射部としては、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を分散・屈折・反射するプリズム、光を伝搬させる光ファイバ、拡散板等が挙げられる。照射部は、光源から発せられた光が被検体の所望の領域に所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、照射部からの光の出射端(つまり照射領域)の位置は走査制御部107により制御される。
【0026】
(受信器)
受信器104は、被検体からの音響波を受信して電気信号(受信信号)に変換するための複数の素子を備える。受信器104の素子としては、圧電効果を用いた変換素子、光の共振を用いた変換素子、静電容量の変化を用いた変換素子などが考えられる。音響波を受信して電気信号に変換できるものであればどのような素子を用いてもよい。なお、発生する音響波の音圧は光の光強度に比例するため、受信信号のSNR(signal−to−noise ratio)を向上させるには受信器の前面の領域を照射することが好ましい。そのため、照射ユニット103の光の出射端と受信器104とは被検体を挟んで対向する位置に配置することが好ましい。そして走査制御部107により、光の出射端と受信器104とは両者の位置関係を保つように同期して走査されることが好ましい。また、照射部が受信器104側にも光を導くことで、生体101に対して受信器104と同じ側からも光を照射することができる。
【0027】
(計測部)
計測部105は、受信器104から入力されるアナログ信号(アナログの受信信号)を増幅する信号増幅部と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部から構成される。信号増幅部では、生体内の深度によらずに均一なコントラストをもつ画像データを得るために、光の照射から音響波が受信器の素子に到達するまでの時間に応じて増幅利得を増減する制御などを行う。
【0028】
(信号処理部)
信号処理部106は、計測部105から出力されたデジタルの受信信号に対して素子の感度ばらつき補正や、物理的または電気的に欠損した素子の補完処理、図示しない記録媒体への記録動作、ノイズ低減のための積算処理などを行う。積算処理は、生体101に対して同じ走査位置で音響波の受信を繰り返し行い、受信信号の加算平均処理を行うことでシステムノイズを低減して、受信信号のSNRを向上するために行う。
【0029】
(画像構成部)
画像構成部121は、信号処理部106から出力された信号を用いて、生体101内の各位置の光学的な特性情報を示す分布(吸収係数分布や酸素飽和度分布等の特性分布)を画像データとして取得する特性情報取得部である。また、生成した画像データに対して、必要に応じて輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用して、より診断に好ましい画像データを取得してもよい。また、ノイズ低減のために同じ位置の特性情報同士の積算処理を行っても良い。表示部122は、画像構成部121より画像データが入力され、特性分布の画像を表示することができる。
【0030】
(走査制御部)
走査制御部107は、上述したように、光の出射端と受信器104の走査位置を制御するための手段である。生体101に対して二次元走査して各走査位置で音響波の受信を行うことで、小型の受信器でも広い範囲の特性情報を得ることができる。ただし、本発明では、受信器を二次元走査する場合だけでなく、受信器を少なくとも一方向に走査できればよい。なお、走査制御部107は、後述の表示制御部130の制御結果に従って、走査領域を変更することができる。
【0031】
(撮影手段)
撮影手段であるカメラ108は、生体101を保持する保持部材102に対して直交する視線方向に設置されており、保持部材を介して生体101を撮影する。撮影された画像は撮影画像処理部133を介して表示部124に送信される。カメラ108の視野は、受信器104の全走査可能範囲が撮影できる視野角で設置されていることが好ましい。撮影画像は表示部124に表示され、ユーザは、表示された撮影画像を参照して、特性情報の取得を所望する領域として指定領域を指定する。本実施形態では、表示部124は、特性情報の画像を表示する表示部122とは別に設けたが、1つの表示部に指定領域と特性情報の画像との両方を表示する兼用型であってもよい。
【0032】
(領域指定部)
領域指定部123は、ユーザが指定領域を指定するための入力手段である。ユーザは、表示部124に表示された生体202の撮影画像を参照しながら、指定領域201(図2参照)を入力する。領域指定部123としては、マウスやキーボードといったポインティングデバイスでもよく、ペンタブレットタイプのものや表示部124表面に取り付けたタッチパッドでもよい。
【0033】
(表示制御部)
表示制御部130は、ユーザにより指定された指定領域の情報を受け、少なくとも一方向(第一の方向)における受信器の走査回数に関するガイドを表示部に表示させるための情報(表示情報)であるガイド情報を生成する。本実施形態では、指定領域の情報を受けて走査領域を導出する領域算出部109と、ガイド情報を生成するガイド情報生成部134と、を有する。また、本実施形態の表示制御部130は、カメラにより撮影された被検体の撮影画像データを表示部124に出力する撮影画像処理部133を有する。本実施形態では第一の方向を副走査方向、第二の方向を主走査方向として説明する。なお、本実施形態において、主走査方向とは、受信器が各受信位置で音響波を受信しながら走査する方向であり、副走査方向とは、主走査方向に交差する方向である。
【0034】
本実施形態の領域算出部109は、領域指定部123で指定された指定領域201の情報を受け指定領域を表示座標系から走査座標系へ変換した後、指定領域の特性情報を取得するために必要となる受信器の走査領域を算出する。走査領域については、後で図5を用いて詳細に説明する。
【0035】
本実施形態のガイド情報生成部134は、走査領域の情報に基づいて、副走査方向の走査回数に関するガイドを表示するためのガイド情報を生成する。本発明において、「走査回数に関するガイド」とは、受信器の走査回数のテキスト形式のガイド(図6(b)参照)や、受信器の走査幅を示すライン等のガイド(図6(a)参照)などが含まれる。後者に関しては、走査幅を示すラインを示すことで走査回数を把握することができる。例えばラインが1本増えると走査回数も一回増える。ただし、本発明の「走査回数に関するガイド」は、前述の2つの例だけに限定されず受信器の走査回数や走査回数の増減が把握できる情報であればどのような情報でも良い。
【0036】
本発明の表示制御部130は、走査幅を決定する走査幅情報生成部131を有することが好ましい。副走査幅及び主走査幅が固定値である場合は本手段は必ずしも必要ないが、副走査幅及び主走査幅は、SNRを向上するための受信信号同士を積算する積算回数や、特性情報同士(画像データ同士)を合成する回数によって変わる。よって、走査幅情報生成部131は、ユーザからこのようなSNRを向上するための設定を受け、走査幅を決定し、走査幅の情報を領域算出部109及びガイド情報生成部134に送信する。詳細は、本実施形態の変形例において説明する。
【0037】
このようにして、表示制御部130は生成したガイド情報を表示部124に送信し、、走査回数に関するガイドを表示させる。表示制御部130は、マウスのドラッグ操作中のように指定中の指定領域に応じて、その指定領域の特性情報を取得するために必要な走査回数に関するガイドを表示させるとよい。この表示により、ユーザは、指定している指定領域201のサイズのわずかな変化により生じる、受信器の走査回数の違いを把握することが可能となる。よって、ユーザは指定した指定領域(途中まで指定した状態の指定領域を含む)と、走査回数との関係を把握して、最終的な指定領域を決定することができる。表示制御部130での詳細な制御フローは、図4等を用いて後述する。
【0038】
以上の各部材により本実施形態の被検体情報取得システムは構成される。なお、図1では、操作装置120を外部装置とし、被検体情報取得装置100と操作装置120とを別々のハードウェア構成としているが、それぞれが有する機能を集約して一体化する構成でも構わない。
【0039】
(指定領域の指定方法)
次に、本実施形態における指定領域の指定方法について説明する。本発明の場合、生体内部で発生した音響波の信号を取得可能であるので、特性分布は、二次元(断層像)の画像だけではなく、三次元の画像としても取得可能である。図2は、三次元画像を取得する際において、表示画面上での指定領域の指定方法を示す概念図である。また、図3は、指定領域に対応する生体内の三次元の領域を示す概念図である。
【0040】
図2に示すように、ユーザが、撮影画像が表示された表示画面203上で特性情報を取得したい領域として二次元の矩形を設定することで、指定領域201が指定される。本実施形態では領域指定部123としてマウスを用い、カーソル204を操作して矩形を入力することで、任意サイズの領域を指定する。ユーザは、生体202の撮影画像を見ながら表示画面上で指定領域201を指定することができるため、意図した指定領域201を入力することができる。
【0041】
図3の領域303は、表示座標系の指定領域201に対応した、受信器104の走査座標系における指定領域を示す。図3の右図は、図3の左図の矢印305で示す向きから見た際の概念図である。三次元の指定領域306は、指定領域303を受信器が走査することにより特性情報が取得可能な三次元の領域である。三次元の指定領域306は、保持部材102間の距離から定まる。測定時は、保持部材102間の距離は固定されている。このように、表示画面上の表示座標系で指定領域201を指定することにより、実際の生体内における三次元の指定領域306が決定する。つまり、表示座標系で指定領域201を指定していることは、三次元座標系で三次元の指定領域306を指定していることを意味する。
【0042】
なお、以降の説明において、三次元の指定領域306の指定方法としては、マウスを用いて矩形領域(表示座標系の指定領域201)を指定する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、走査座標系の指定領域303と保持部材102間の距離とを別の領域指定部により指定して本発明を実施することも可能である。
【0043】
また、指定する指定領域201は、必ずしも矩形でなくてもよく、円、楕円、多角形等任意の領域であっても本発明が適用可能であることは言うまでもない。操作の一例としては、マウスで指定された矩形に内接する円や楕円、多角形を指定領域201とすることで同様に実施することができる。指定領域201を指定する操作は、例えば、一般的なマウスのドラッグ操作でカーソル204の軌跡205のように左上から右下の点を指定して矩形を定めるような方法でよい。指定された指定領域201が矩形の場合は、三次元の指定領域306の直方体の一面に指定領域201が相当するように変換し、三次元の指定領域306を決定することができる。このようなマウスのドラッグ操作により指定領域201のサイズと三次元の指定領域306のサイズが決定される。
【0044】
(表示制御方法のフロー)
以下で図4を参照しながら、本実施形態の表示制御の処理の流れを説明する。図4は本実施形態の表示制御のフローチャートである。
【0045】
図4に示すフローは、装置起動後、生体101に対する特定方向からの撮影画像が表示されているときに、ユーザが表示画面上において指定領域を入力する状況から開始される。つまり、本実施形態の表示方法としては、まず被検体の撮影画像が表示されるステップを有している。本実施形態においては、領域指定部123としてマウスを用いる。
【0046】
ステップS401では、ユーザが表示画面上においてマウスをダウンしたポイントが指定領域201の始点として入力される。ステップS402では、ユーザがマウスをドラッグし、指定領域201の大きさを変更すると、その時点でのマウスカーソルの位置が指定領域201の終点として入力され、その時点での指定領域201が決定する。
【0047】
ステップS403において、領域算出部109は、指定領域201の情報を受け、受信した指定領域201を、表示座標系から受信器の走査座標系に変換する。そして、ステップS404で、走査座標系の指定領域303の情報に基づいて、走査座標系における受信器の走査領域を算出する。ただし、走査座標系における受信器の走査領域は、走査座標系の指定領域303から求める方法に限定されるわけではない。例えば、表示座標系の指定領域201を基に三次元の指定領域306を算出し、三次元の指定領域306に基づいて、走査座標系における受信器の走査領域を算出してもよい。
【0048】
ここで走査領域について、図5を用いて説明する。図5は走査座標系の指定領域303の特性情報を取得するために必要な受信器104の走査領域を説明するための概念図である。走査領域の算出においては、指定領域の情報と共に、走査幅の情報を用いる。以下では、副走査方向における受信器104の走査幅が、受信器104の副走査方向の大きさ(長さ)と同じ場合を例にあげて説明する。ただし、受信器104の大きさは、複数の素子が設けられている有効素子領域(画像データ生成に用いるための受信信号を出力する素子が設けられた領域)の大きさと同じとして説明する。
【0049】
例えば、受信器104の副走査方向の大きさが5cmの場合、1ストライプ分の主走査を行うと副走査方向に5cmのストライプ幅の特性情報を取得でき、受信器の副走査(504A、504B)の幅も、受信器104の副走査方向の大きさと同じ5cmである。ここで、主走査方向に走査して音響波を受信する直線状の領域を、ストライプと定義する。副走査幅は、あらかじめ決められていてもよいし、走査幅情報生成部131より走査幅の情報がその都度入力されてもよい。
【0050】
ライン505Aとライン505Bの幅、ライン505Bとライン505Cの幅、ライン505Cとライン505Dの幅が、夫々副走査方向の走査幅を示す。つまり、1ストライプ分の主走査領域を表す。本実施形態において、走査座標系に変換された指定領域303の副走査方向の長さが13cmの場合、この大きさの領域の特性情報を取得するには受信器104は3ストライプ分の主走査(つまり、2回の副走査)を行う必要がある。よって、この場合の走査領域は、副走査方向の長さが15cmの領域である。走査領域の主走査(503A、503B、503C)方向の長さも同様に、主走査方向の走査幅に基づいて算出される。以上のように受信器の走査領域が算出される。上記の例では受信器の副走査方向の走査幅が5cmの場合を説明したが、本発明は、受信器の走査幅がどのような長さの場合でも、走査領域を算出可能である。
【0051】
このように、領域算出部109で走査領域を算出することにより、受信器の走査回数自体も導出される。そこで、次にS405において、ガイド情報生成部134は、受信器の走査領域に基づいて、少なくとも一方向(本実施形態においては副走査方向)における受信器の走査回数に関するガイドを表示するためのガイド情報を生成する。そしてS406でガイドを表示部124に表示させる。図6(a)と図6(b)に表示の一例を示す。
【0052】
図6(a)は、指定領域201を指定する際に、ガイドとして、受信器の副走査方向の走査回数が把握可能な副走査幅を示すライン(601A、601B、601C、601D)を表示した例を示している。これにより、ユーザが表示画面203上の生体202を参照しながらカーソル204を操作して指定領域201を入力する際に、副走査方向の走査回数を認識しながら指定領域201を指定することができる。本例のように走査幅を示すラインの形式の情報で表示させる場合は、ステップS406において生成したラインの位置及び大きさを走査座標系から表示座標系に変換して表示部124に送信する。
【0053】
また、指定領域201の指定中、つまりユーザが指定領域を指定可能な状態(モード)においては、ガイドの表示だけでなく、指定領域201自体の大きさを表示させることも可能である。つまり表示制御部130は指定領域を表示させるための表示情報を出力することも可能である。指定領域201自体の大きさを表示させることで、指定している領域とその領域に対して必要な走査回数との関係を把握しながら入力することができる。
【0054】
また、図6(b)に示すように、ガイドとして、指定された指定領域に対して必要な受信器の副走査方向の走査回数をテキスト形式(符号701)で表示させるためのガイド情報を生成してもよい。この際も指定領域201自体の大きさを一緒に表示させることで、指定している領域とその領域に対して必要な走査回数との関係を把握しながら入力することができる。
【0055】
ステップS407において、マウスアップにより指定領域201の終点指定が終わると、指定領域が決定される。また、マウスアップされていない場合はステップS402の処理に戻り、上述の処理を繰り返す。これによりユーザが指定領域201のサイズをドラッグにより変更する度に、必要な受信器の走査領域を変更し、走査回数に関するガイドを表示させることが可能となる。つまり、指定領域の変化量に応じてガイド情報を更新して走査回数に関するガイドを表示させるため、走査回数がリアルタイムに把握可能となる。
【0056】
本実施形態では矩形の入力としては始点を指定領域の左上、終点を右下としたが、始点を指定領域の右上、終点を左下としてもよい。終点指定により、表示されている指定領域が、実際に受信器の走査によって特性情報を取得する取得領域として設定される。そして、被検体情報取得装置100は、設定された取得領域に対応する被検体内の三次元の取得領域の特性情報を取得することができる。
【0057】
また、上述のフローにおいては、S404で走査座標系の指定領域303の情報に基づいて、走査座標系における受信器の走査領域を算出したが、本発明は走査領域を算出しなくても構わない。走査座標系の指定領域303に基づいて、直接、ガイド情報を生成してもよい。
【0058】
また、上述のフローにおいては、表示座標系の指定領域201を走査座標系に変換してから、ガイド情報を生成したが、指定領域201に基づいて表示座標系のままでガイド情報を生成してもよい。この場合、走査幅の情報を走査座標系から表示座標系に変換しておく必要がある。
【0059】
(変形例)
次に、実施形態1の変形例を説明する。本変形例では、副走査方向における受信器の走査幅が受信器の副走査方向の長さより短く、受信器の主走査方向の走査軌道が副走査方向に重畳する場合について説明する。本変形例の被検体情報取得システムの構成は図1と同様であるため、説明を省略する。また、表示制御のフローも基本的には図3と同じであるため、以下では、S404以降の処理について説明する。
【0060】
図7は、走査領域を説明するための概念図である。ライン812A〜Gは、夫々副走査方向の走査幅を示すラインである。図7では、副走査方向における受信器104の走査幅が2.5cm、受信器104の副走査方向の長さが5cmである場合を例にあげて説明する。この際、受信器104の大きさを、複数の素子が設けられている有効素子領域の大きさと同じとする。
【0061】
走査座標系に変換された指定領域811の副走査方向の長さが13cmとすると、この大きさの領域の特性情報を取得するには受信器104は5ストライプ分の主走査(つまり、4回の副走査)を行う必要がある。つまり、この場合の走査領域は、副走査方向の長さが15cmの領域である。走査領域の主走査方向の長さも同様に、主走査方向の走査幅に基づいて算出される。ガイド情報生成部134も同様に副走査方向の走査幅の情報を受け、走査回数に関するガイドを表示部に表示するためのガイド情報を生成する。
【0062】
このように、本変形例は、受信器の副走査幅が受信器の副走査方向の長さより短い。これは、SNRを向上するために、信号処理部が、複数の受信信号同士の積算を行うためである。具体的には、受信器が有する複数の素子のうちの夫々異なる2つ以上の素子が、夫々異なる時刻(時点)において、被検体に対して同じ走査位置で音響波を受信した際に、前記夫々異なる2つ以上の素子から夫々出力される電気信号同士を積算する。この複数の受信信号の積算数(積算回数)によって、受信器の走査幅が決定する。走査幅が小さければ小さいほど、走査領域は重畳するので積算回数が増え、SNRは向上することになる。
【0063】
ただし、本発明においては、SNRを向上するために、受信信号同士ではなく、特性情報同士(画像データ同士)の合成を行っても良い。具体的には、画像構成部は、複数の素子から出力される複数の電気信号を用いて、副走査を1回行う毎に1ストライプ分ずつの特性情報を取得する。そして、複数のストライプ分の特性情報を合成して被検体内の特性分布を取得する。つまり、画像構成部は、被検体内の同じ位置に対応する特性情報同士を合成(加算や乗算等)する。この合成する回数によって、受信器の走査幅が決定する。
また、受信信号同士の積算処理と特性情報同士の合成処理の両方を行っても良い。
【0064】
よって、走査幅情報生成部131は、ユーザからの積算回数や合成回数に関する指示を受け、主走査の走査幅や副走査の走査幅を決定する。そして、走査幅の情報を領域算出部109及びガイド情報生成部134に送信する。
【0065】
また、図7を用いて説明した走査軌道では、1ストライプは一度の往路走査だけであったが、1ストライプを往復走査したり複数回走査してもよい。さらに、一番上と一番下のストライプでは積算回数がそれ以外のストライプでの積算回数に比べて少なくなるため、一番上と一番下のストライプのみ多く走査してもよい。
【0066】
また、図5や図7では、受信器104の大きさを複数の素子が設けられている有効素子領域の大きさと同じとして説明したが、受信器104の大きさより有効素子領域が小さい場合(受信信号を用いないダミーの素子等が周囲に設けられている場合等)もある。この場合は、有効素子領域の大きさをもとに走査幅を算出するとよい。
【0067】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、ユーザにより指定された指定領域の主走査方向の走査幅に関するガイドを表示する形態について説明する。つまり、本実施形態では、第一の方向を主走査方向とし、第二の方向を副走査方向として説明する。
【0068】
本実施形態の被検体情報取得システムの構成は実施形態1と同様であるが、表示制御部130の機能が異なる。よって、実施形態1と同様の構成については説明を省略し、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。また、表示制御のフローも基本的には図4を用いて説明した実施形態1のフローと同じであるため、以下では、S403以降の処理について説明する。
【0069】
まず、領域算出部109では、領域指定部123において撮影画像上で指定された指定領域201に基づき、表示座標系から走査座標系に変換する(S403)。図8は走査領域を説明するための概念図である。
【0070】
図8では、主走査方向における受信器104の走査幅が、受信器104の主走査方向の長さと同じ場合を例にあげて説明する。受信器104は、各走査位置で音響波の受信を行う。この際、受信器104の大きさを、有効素子領域の大きさと同じとする。図8において、ライン803Aとライン803Bの幅、ライン803Bとライン803Cの幅、ライン803Cとライン803Dの幅、ライン803Dとライン803Eの幅が、夫々主走査方向の走査幅を示す。例えば、受信器104の主走査方向の大きさが5cmの場合、受信器の主走査方向の走査幅(804A、804B、804C)も5cmであるとする。走査幅は、あらかじめ決められていてもよいし、走査幅情報生成部131により走査幅の情報がその都度入力されてもよい。
【0071】
走査座標系に変換された指定領域801の主走査方向の長さが18cmとすると、この大きさの領域の特性情報を取得するには、受信器を主走査方向に走査位置をずらしながら音響波を受信する。具体的には、受信器の主走査回数は3回、つまり4つの走査位置で音響波を受信することになる。この場合、副走査を行う必要はない。以上のように受信器の走査領域が算出される(S404)。もちろん、主走査方向における受信器104の走査幅が、受信器104の主走査方向の大きさと同じでない場合も、主走査幅に基づいて受信器の走査領域を算出することが可能である。
【0072】
このように、走査領域算出部109で走査領域を算出することにより、受信器の走査回数自体も導出される。そこで、S405において、ガイド情報生成部134は、主走査方向における受信器の走査回数に関するガイドを表示させるための情報であるガイド情報を生成し、そしてS406で走査回数に関するガイドを表示部124に表示させる。図9(a)と図9(b)に表示の例を示す。
【0073】
図9(a)は、指定領域201を指定する際に、ガイドとして、受信器の主走査方向の走査回数が把握可能な主走査幅を示すライン(901A、901B、901C、901D)を表示した例を示している。これにより、ユーザが表示画面203上の生体202を参照しながらカーソル204を操作して移動し、指定領域201を入力する際に、主走査方向の走査回数を認識しながら指定領域201を指定することができる。本例のように走査幅を示すラインの形式の情報で生成して表示させる場合は、ステップS406において生成したラインの位置及び大きさを走査座標系から表示座標系に変換して表示部124に送信する。
【0074】
また、指定領域201の指定中、つまりユーザが指定領域を指定可能な状態(モード)においては、指定領域201自体の大きさを表示させることも可能である。指定領域201自体の大きさを表示させることで、指定している領域とその領域に対して必要な走査回数との関係を把握しながら入力することができる。
【0075】
また、図9(b)に示すように、ガイドとして、指定領域201に対して必要な受信器の主走査方向の走査回数をテキスト形式(符号1001)で表示させる構成にしてもよい。この際も指定領域201自体の大きさを一緒に表示させることで、指定領域201の入力中に、指定している指定領域201に対して必要な主走査方向の走査回数を認識しながら指定領域201を指定することができる。
【0076】
ステップS407において、マウスアップにより指定領域201の終点指定が終わると、指定領域が決定される。また、マウスアップされていない場合はステップS402の処理に戻り、上述の処理を繰り返す。これによりユーザが指定領域201のサイズをドラッグにより変更する度に、必要な受信器の走査領域を変更し、走査回数に関するガイドを表示させることが可能となる。つまり、指定領域の変化量に応じてガイド情報を更新して走査回数の関するガイドを表示させるため、走査回数がリアルタイムに把握可能となる。
【0077】
本実施形態では矩形の入力としては始点を指定領域の左上、終点を右下としたが、始点を指定領域の右上、終点を左下としてもよい。終点指定により、表示されている指定領域が、実際に受信器の走査によって特性情報を取得する取得領域として設定される。受信器の走査は、ステップアンドリピート式に各走査位置で止まって音響波を受信し次の走査位置まで移動する走査形態してもよいが、主走査方向においては等速移動で連続的に走査する形態してもよい。受信器を連続的に走査する場合、光が照射された時点における受信器の位置が走査位置となり、主走査の回数は、1ストライプにおいて各走査位置に移動する回数を示す。
【0078】
このようにして、被検体情報取得装置100は、設定された取得領域に対応する被検体内の三次元の取得領域の特性情報を取得することができる。
【0079】
また、上述のフローにおいては、S404で走査座標系の指定領域303の情報に基づいて、走査座標系における受信器の走査領域を算出したが、本発明は走査領域を算出しなくても構わない。走査座標系の指定領域303に基づいて、直接、ガイド情報を生成してもよい。
【0080】
さらに、上述のフローにおいては、表示座標系の指定領域201を走査座標系に変換してから、ガイド情報を生成したが、指定領域201に基づいて表示座標系のままでガイド情報を生成してもよい。この場合、走査幅の情報を走査座標系から表示座標系に変換しておく必要がある。
【0081】
また、実施形態1の変形例で説明したように、本実施形態においても、複数の受信信号同士の積算を行ってSNRを向上するために、受信器の主走査方向の走査位置を重畳させてもよい。つまり、本実施形態は、主走査方向における受信器の走査幅が、受信器の主走査方向の長さより短い場合も適用できる。表示制御フローは、実施形態1の変形例と同じように、走査幅情報生成部131が、ユーザからの受信信号同士の積算回数や特性情報同士(画像データ同士)の合成回数に関する指示を受け、主走査の走査幅の情報を生成し、領域算出部109及びガイド情報生成部134に送信する。このように、主走査方向においても走査位置を重畳させることで、被検体情報取得装置100は、SNRを向上した画像データを取得することができる。
【0082】
<実施形態3>
本発明は、指定している指定領域に対して必要な、主走査方向の走査回数に関するガイド及び副走査方向の走査回数に関するガイドの両方を表示してもよい。本実施形態は、実施形態1、2のそれぞれの領域算出部109とガイド情報生成部134の機能を組み合わせることにより、表示部に主走査方向及び副走査方向の走査回数に関するガイドを表示するための表示情報であるガイド情報を生成する。
【0083】
領域算出部109では、指定領域の情報をもとに、受信器の走査領域を算出する。ガイド情報生成部134では、実施形態1の処理と同様に副走査方向のガイド情報の生成を行った後、実施形態2の処理と同様に主走査方向のガイド情報の生成を行なう。そして、ガイド情報生成部134は、表示部124に両方のガイド情報を送信し、表示させる。
【0084】
上記の構成によって、ユーザが指定した指定領域に応じて、必要な主走査及び副走査方向の走査回数に関するガイドを表示させることにより、指定領域に対して必要な受信器の走査回数をユーザが把握することができる。よって、指定された領域のわずかな違いにより増加する不要な受信器の走査によって、特性情報の取得のための音響波の受信時間、ひいては被検者の拘束時間に冗長な時間が生じる可能性が低減される。
【0085】
<実施形態4>
また、上記実施形態1〜3では、光を被検体に照射することにより発生した音響波を受信する光音響効果を利用した被検体情報取得装置及びシステムについて説明したが、本発明は、超音波エコーを利用した被検体情報取得装置及びシステムにも適用できる。この場合、受信器が受信する音響波は、被検体に送信された超音波が被検体内で反射して返ってきた反射波である。超音波エコーを利用した装置の場合、受信器は、超音波を被検体に送信するための送信器を兼ねていてもよい。
【0086】
<実施形態5>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した各実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0087】
100 被検体情報取得装置
101 生体
102 保持部材
103 照射ユニット
104 受信器
105 計測部
106 信号処理部
107 走査制御部
108 カメラ
109 領域算出部
120 操作装置
121 画像構成部
122 表示部
123 領域指定部
124 表示部
130 表示制御部
131 走査幅情報生成部
134 ガイド情報生成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からの音響波を受信し、被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置であって、
前記音響波を受信し電気信号に変換するための受信器と、
前記受信器を少なくとも一方向に走査するための走査制御部と、
ユーザにより指定された、特性情報を取得するための指定領域の情報を用いて、第一の方向における前記受信器の走査回数に関するガイドを表示部に表示させるためのガイド情報を生成する表示制御部と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記走査制御部は、前記受信器を二方向に走査し、
前記第一の方向は、前記受信器が各受信位置で音響波を受信しながら走査する主走査方向と交差する副走査方向であることを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記受信器は、前記音響波を受信し電気信号に夫々変換する複数の素子を有し、
前記表示制御部は、
前記複数の素子のうち夫々異なる2つ以上の素子が、異なる時点で前記被検体に対して同じ走査位置で音響波を受信した際に前記夫々異なる2つ以上の素子から夫々出力される電気信号同士を積算する積算回数に基づいて、前記受信器の前記第一の方向における走査幅を決定し、
前記指定領域の情報と前記走査幅の情報とを用いて前記ガイド情報を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記受信器は、前記音響波を受信し電気信号に夫々変換する複数の素子を有しており、
前記被検体情報取得装置は、
前記複数の素子から出力される複数の電気信号を用いて、前記副走査を1回行う毎に1ストライプ分ずつ特性情報を取得し、複数のストライプ分の特性情報を合成して被検体内の特性分布を取得する特性情報取得部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記ストライプ毎の特性分布における、被検体内の同じ位置に対応する特性情報同士が合成される回数に基づいて、前記受信器の前記第一の方向の走査幅を決定することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記指定領域の変化量に応じて前記ガイド情報を更新することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記第一の方向における前記受信器の走査幅を示すラインを前記ガイドとして前記表示部に表示させるための前記ガイド情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記指定領域を指定可能な状態において前記指定領域を前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項8】
前記被検体を撮影する撮影手段をさらに有し、
前記表示制御部は、前記指定領域を指定可能な状態において前記被検体の撮影画像を前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置と、
前記ガイドを表示する前記表示部と、
前記指定領域をユーザが指定するための領域指定部と、を有することを特徴とする被検体情報取得システム。
【請求項10】
ユーザにより指定された、被検体の特性情報を取得するための指定領域の情報を受けるステップと、
前記指定領域の情報を用いて、前記特性情報を取得するために前記被検体からの音響波を受信する受信器の少なくとも第一の方向における走査回数に関するガイドを表示部に表示させるためのガイド情報を生成するステップと、
を有することを特徴とする表示制御方法。
【請求項11】
前記第一の方向は、前記受信器が各受信位置で音響波を受信しながら走査する主走査方向と交差する副走査方向であることを特徴とする請求項10に記載の表示制御方法。
【請求項12】
前記ガイド情報を生成するステップは、
前記受信器が有する、前記音響波を受信し電気信号に夫々変換する複数の素子のうち、夫々異なる2つ以上の素子が、異なる時点で前記被検体に対して同じ走査位置で音響波を受信した際に前記夫々異なる2つ以上の素子から夫々出力される電気信号同士を積算する積算回数に基づいて、前記受信器の前記第一の方向の走査幅を決定するステップを有し、
前記指定領域の情報と前記走査幅の情報とを用いて前記ガイド情報を生成することを特徴とする請求項10又は11に記載の表示制御方法。
【請求項13】
前記ガイド情報を生成するステップは、
前記受信器が有する、前記音響波を受信し電気信号に夫々変換する複数の素子から出力される複数の電気信号を用いて、前記副走査を1回行う毎に1ストライプ分ずつ特性情報を取得し、複数のストライプ分の特性情報を合成して被検体内の特性分布を取得するステップをさらに有し、
前記ストライプ毎の特性分布における、被検体内の同じ位置に対応する特性情報同士が合成される回数に基づいて、前記受信器の前記第一の方向の走査幅を決定するステップを有し、
前記指定領域の情報と前記走査幅の情報とを用いて前記ガイド情報を生成することを特徴とする請求項11に記載の表示制御方法。
【請求項14】
前記ガイド情報を生成するステップでは、前記指定領域の変化量に応じて前記ガイド情報を更新することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の表示制御方法。
【請求項15】
前記ガイド情報を生成するステップでは、前記第一の方向における前記受信器の走査幅を示すラインを前記ガイドとして前記表示部に表示させるための前記ガイド情報を生成することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の表示制御方法。
【請求項16】
前記指定領域を指定可能な状態においては、前記指定領域をさらに前記表示部に表示させることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の表示制御方法。
【請求項17】
前記指定領域を指定可能な状態においては、前記被検体の撮影画像をさらに前記表示部に表示させることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載の表示制御方法。
【請求項18】
被検体の撮影画像を表示するステップと、
ユーザにより指定された、被検体の特性情報を取得するための指定領域と、
前記特性情報を取得するために前記被検体からの音響波を受信する受信器の少なくとも第一の方向における走査回数に関するガイドと、を表示するステップと、
を有することを特徴とする表示方法。
【請求項19】
前記指定領域の変化量に応じて前記ガイドを更新して表示することを特徴とする請求項18に記載の表示方法。
【請求項20】
前記第一の方向における前記受信器の走査幅を示すラインを前記ガイドとして表示することを特徴とする請求項18又は19に記載の表示方法。
【請求項21】
請求項10乃至20のいずれか1項に記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−52226(P2013−52226A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156630(P2012−156630)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】