被検体情報取得装置および被検体情報取得方法
【課題】 光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することのできる、新規な構成の被検体情報取得装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る被検体情報取得装置は、複数の受信素子の一部を第1の部分、第1の部分以外の前記複数の受信素子のうち少なくとも一部を第2の部分とした場合、第1の部分が出力した複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、第2の部分が出力した複数の受信信号に基づき超音波画像を取得する第1のモードと、複数の受信素子のうち第1の部分とは少なくとも一部が異なる部分を第3の部分、第3の部分以外の複数の受信素子のうち少なくとも一部を第4の部分とした場合、第3の部分が出力した複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、第4の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成された信号処理部を有する。
【解決手段】 本発明に係る被検体情報取得装置は、複数の受信素子の一部を第1の部分、第1の部分以外の前記複数の受信素子のうち少なくとも一部を第2の部分とした場合、第1の部分が出力した複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、第2の部分が出力した複数の受信信号に基づき超音波画像を取得する第1のモードと、複数の受信素子のうち第1の部分とは少なくとも一部が異なる部分を第3の部分、第3の部分以外の複数の受信素子のうち少なくとも一部を第4の部分とした場合、第3の部分が出力した複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、第4の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成された信号処理部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被検体に光または超音波を照射し、被検体からの超音波を受信して、光音響画像または超音波画像を形成する被検体情報取得装置および被検体情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体に光を照射すると、生体の光吸収に伴う生体組織の温度上昇・熱膨張により光音響波(典型的には超音波)が発生することが知られている。この光音響波の受信信号である光音響信号を用いて、非侵襲で生体内を可視化しようとする光音響イメージングの臨床現場への適用が試みられている。超音波の周波数の下限の定義は必ずしも明確でないが、本発明では20kHz以上の弾性波のことを「超音波」と呼ぶ。
【0003】
また、光音響イメージングと、被検体に送信した超音波の反射波の受信信号である超音波信号を用いて超音波画像を形成する超音波イメージングとを組み合わせることで、臨床現場における診断精度を大きく向上させることができると期待されている。
【0004】
このように光音響イメージングと超音波イメージングを組み合わせることができるプローブとして、光音響波を受信するトランスデューサアレイと、超音波を送受信するトランスデューサアレイとを並べて配置するプローブが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−22816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のプローブでは、光音響波を受信する受信領域と超音波を送受信する受信領域とに差異が生じてしまう。これにより、光音響画像および超音波画像の画質の低下を招いてしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することのできる、新規な構成の被検体情報取得装置および被検体情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る被検体情報取得装置は、複数の受信素子の一部を第1の部分、第1の部分以外の前記複数の受信素子のうち少なくとも一部を第2の部分とした場合、第1の部分が出力した受信信号に基づき光音響画像を取得し、第2の部分が出力した受信信号に基づき超音波画像を取得する第1のモードと、複数の受信素子のうち第1の部分とは少なくとも一部が異なる部分を第3の部分、第3の部分以外の複数の受信素子のうち少なくとも一部を第4の部分とした場合、第3の部分が出力した受信信号に基づき光音響画像を取得し、第4の部分が出力した受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成された信号処理部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することのできる、新規な構成の被検体情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理部の一構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、素子アレイの一構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理モジュールの一構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理モジュールの別の構成例を示す図である。
【図6】モードを切り替えなかった場合の受信状況を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る、被検体情報取得装置における受信状況を示す図である。
【図8】図7のState1における、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図9】図7のState2〜State4のおける、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図10】図7のState5における、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図11】図7のState2〜4における、被検体情報取得装置の動作シーケンスの別の例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る、被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る、接続切替え部とその接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
通常、超音波イメージングにおいては、超音波を1ライン(2次元ではピクセルを、3次元ではボクセルを被検体深度方向に1次元的に並べたもの)に相当する領域に送信することにより、1ライン分の情報を有した反射波を受信する。そして、この受信信号に基づき1ライン分の超音波画像を形成する。このとき、超音波の反射波を受信する受信領域の正面の1ライン分の領域の超音波画像が形成される。そのため、受信領域の正面以外の領域の超音波画像を取得することは難しい。
【0012】
一方、光音響イメージングにおいては、複数のラインに相当する領域から発生した光音響波を受信し、この受信信号に基づき、複数のラインに相当する領域を画像化して、光音響画像を形成する。ところが、光音響波を受信する受信素子は指向性をもっているため、受信素子の検出面に対して角度をもって入射してきた光音響波の受信信号は低減されてしまう。そのため、光音響波を受信する受信領域の正面以外の領域の光音響画像の定量性が低下してしまう。
【0013】
以上より、光音響画像の取得に用いられた受信領域と、超音波画像の取得に用いられた受信領域とに差異が生じる場合、光音響画像および超音波画像の劣化や欠落が起こってしまう。
【0014】
そのため、光音響波を受信する受信領域と超音波の反射波を受信する受信領域との差異が低減されることが望まれている。
【0015】
そこで、本発明者は、ある受信素子が出力した受信信号に対して、光音響画像を取得するため信号処理を行うのか、超音波画像を取得するための信号処理を行うのかを、任意のタイミングで切り替え可能に構成した被検体情報取得装置を見出した。
【0016】
以下、図面を用いて本発明に係る被検体情報取得装置の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置1の構成を示す図である。
【0018】
図1における、被検体情報取得装置1は、複数の受信素子を備える探触子(プローブ)2、信号処理部5、画像表示部7、制御用CPU10、複数の送信素子を備える超音波送信部11、光照射部12、移動部としての機械走査機構50から構成される。なお、信号処理部5は、探触子2に内蔵されていてもよい。
【0019】
光照射部12は、制御用CPU10等の制御に従ってある一定のタイミングで検体Eに光を照射する。光照射部12によって検体Eに光が照射されると、検体E内で光音響波が発生する。
【0020】
一方、超音波送信部11は、制御用CPU10等の制御に従って検体Eに超音波を送信する。
【0021】
そして、探触子2に備えられた複数の受信素子は、検体E内で発生した光音響波、および、検体Eに送信された超音波の反射波を受信してアナログ電気信号に変換する。本実施形態では、超音波送信部11と探触子2とを別々に設けているが、探触子2が超音波を送信してもよい。
【0022】
次に、信号処理部5は、受信素子が出力したアナログ電気信号を、デジタル化された電気信号へと変換する。そして、信号処理部5は、デジタル化された電気信号に整相加算、フィルタ処理、対数圧縮、包絡線検波等の処理を行う。
【0023】
次に、信号処理部5は、受信信号に対して以上のような処理を行った信号に対して、画像生成に必要な処理を行い、画像データ(光音響画像および超音波画像)を生成する。
【0024】
なお、信号処理部5は、光音響波の受信信号であるか、反射波の受信信号であるかに応じて適切な処理を施す。
【0025】
また、信号処理部5が施す信号処理の順序は本実施形態の順序に限らない。例えば、整相加算処理を行った後に、デジタル変換を行うことなどもできる。
【0026】
そして、画像表示部7には、信号処理部5によって生成された画像データに基づき、光音響画像及び超音波画像が表示される。
【0027】
なお、制御用CPU10は、各ブロックをコントロールするのに必要なデータ、コントロール信号を供給する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る信号処理部5を示す図である。信号処理部5は、信号処理モジュール20−1〜20−Zから構成される。以下、信号処理モジュールのいずれかを特定することなく、これらの信号処理モジュール20−1〜20−Zのうちのいずれかを示す場合には、「信号処理モジュール20」と示す。
【0029】
図3は、本実施形態に係る探触子2が備える素子アレイ30を示す図である。図3に示すように、素子アレイ30は、複数の受信素子(1,1)〜(Z,32)から構成されている。受信素子には、圧電素子、半導体プロセスを応用した静電容量型超音波トランスデューサ、ファブリペロー共振器などを用いることができる。なお、素子アレイ30が光音響波、超音波の反射波のいずれも受信することを考慮すると、周波数受信帯域が広い素子を素子アレイに用いることが好ましい。
【0030】
以下、受信素子のいずれかを特定することなく、受信素子(1,1)〜(Z,32)のうちいずれかを示す場合には「受信素子」と示す。素子アレイ30は2次元アレイで構成されていることが好ましい。
【0031】
図3に示す複数の受信素子(1,1)〜(Z,32)は、いくつかのグループに振り分けられ、それぞれのグループに対応する信号処理モジュールに接続される。例えば、受信素子(1,1)〜(1,32)は信号処理モジュール20−1に接続される。また、受信素子(2,1)〜(2,32)は信号処理モジュール20−2に、受信素子(Z,1)〜(Z,32)は信号処理モジュール20−Zに接続される、といった具合である。
【0032】
なお、受信素子と信号処理モジュールの接続状態はこれに限定されるものではない。例えば、素子アレイ30の受信素子それぞれに信号処理モジュール20を接続することや、素子アレイ30の全ての受信素子を1つの信号処理モジュール20に接続することなど、必要に応じて最適の接続状態を選択して良い。
【0033】
本発明の第1の特徴は、複数の受信素子をいくつかの部分に分割して用いる点にある。
【0034】
本発明の第2の特徴は、素子アレイの任意の受信素子が音響波を受信したときの受信信号に対して、施す信号処理を切り換える点にある。例えば、本実施形態においては、図2の制御用CPU10が信号処理モジュール20を制御することによって、素子アレイのある受信領域で受信した信号に対する信号処理の切り換え(モードの切り替え)が行われる。
【0035】
本実施形態に係る第1のモードにおいては、図3の領域Aで受信した信号に対して光音響波に対応した信号処理を行い、領域Bで受信した信号に対して検体Eからの超音波の反射波に対応した信号処理を行う。
【0036】
一方、第2のモードにおいては、領域Aで受信した信号に対して反射波に対応した信号処理を行い、領域Bで受信した信号に対して光音響波に対応した信号処理を行う。なお、これらのモードは、制御用CPU10によって選択的に実行可能に制御されている。
【0037】
上記の例では、信号処理モジュール単位で領域をモードの切り替えを行うことを説明したが、後述するように、各信号処理モジュール内の動作の切り換えによって、より細かい単位で領域の切り換えが可能である。
【0038】
図4は、信号処理モジュール20の構成を示す図である。ここでは、信号処理モジュール20が32チャンネル(ch)で構成される場合の例を示す。
【0039】
本実施形態に係る信号処理モジュール20は、複数のAD変換器3−1〜3−32、遅延メモリ制御回路8、重み付け係数供給回路9、加算回路13、データメモリ14−1〜14−32、アポダイゼーション用の乗算器15−1〜15−32、マルチプレクサ16から構成される。
【0040】
図3に示す素子アレイ30の各受信素子は、図4に示すAD変換器3−1〜3−32と接続される。例えば、図4に示す信号処理モジュール20が図2に示す信号処理モジュール20−1であった場合、図3の受信素子(1,1)〜(1,32)がそれぞれAD変換器3−1〜3−32と接続される。そして、AD変換器3−1〜3−32によってデジタル化された受信信号は、対応するデータメモリ14−1〜14−32に取り込まれる。
【0041】
次に、受信信号に基づいて整相加算を行うことにより画像データを取得する方法を説明する。
【0042】
まず、遅延メモリ制御回路8は、制御用CPU10から供給された遅延情報に基づき、整相加算に必要なデータメモリアドレスを算出し、算出されたデータメモリアドレスを各データメモリ14−1〜14−32に供給する。そして、遅延メモリ制御回路8が供給したデータメモリアドレスにしたがって、検体E内の任意のピクセルまたはボクセルに対応する受信デジタルデータがデータメモリ14−1〜14−32より読み出される。そして、読み出された受信デジタル信号がそれぞれ乗算器15−1〜15−32に出力される。このようにして、位相のそろった受信信号が乗算器15−1〜15−32に出力される。
【0043】
重み付け係数供給回路9は、検体E内の任意のピクセルまたはボクセル座標に基づき、最適な窓関数重み係数を乗算器15−1〜15−32に供給する。そして、乗算器15−1〜15−32に供給された受信デジタル信号は、チャンネル毎に重み付け係数供給回路9が算出した窓関数重み係数を付され、加算回路13へ出力される。
【0044】
そして、加算回路13が上記の処理が行われることにより位相のそろった受信信号を加算することにより、32ch分の整相加算が行われた出力Aが出力される。
【0045】
そして、図示しない上位のCPU、GPU、DSP、その他ハードウェアが、整相加算された信号に輝度値変換などの処理を施すことにより、整相加算が行われた信号に基づく画像データが生成される。
【0046】
なお、信号処理モジュール20において、整相加算処理を行わないチャンネルに対しては、重み付け係数供給回路9より乗算器15−1〜15−32に対し、0を供給するようにしてもよい。こうすることにより、整相加算処理を行いたいチャンネルのみを用いて整相加算を行うことが可能となる。これは、素子アレイ30の領域分割を、信号処理モジュール単位ではなく、さらに細かいチャンネル単位で行えるということを意味し、素子アレイ30の領域分割を任意の様式で行うことが可能となる。
【0047】
また、複数の信号処理モジュール20−1〜20−Zにおいて整相加算処理が行われ、信号処理モジュール20−1〜20−Zの整相加算データ出力を全て加算する必要がある場合は、システム構成に応じて適切に加算処理を行えば良い。
【0048】
次に、受信信号に基づいて整相加算以外の任意のアルゴリズムを適用して画像再構成を行い、画像を取得する方法を説明する。
【0049】
まず、制御用CPU10からマルチプレクサ16を制御し、各データメモリ14−1〜14−32に格納された受信デジタル信号のうち、任意のピクセルまたはボクセルに対応する受信デジタル信号を読み出す。
【0050】
そして、図示しない上位のCPU、GPU、DSP、その他ハードウェアが、読みだされた受信デジタル信号に基づき、任意の画像再構成を行うことにより、画像データ信号を生成する。そして、この上位のCPUなどがこの画像データ信号に輝度値変換などの処理を施すことにより、任意の画像再構成を行うことによって得られた画像データ信号に対応する画像が生成される。
【0051】
この構成により、取得した受信信号に対して整相加算処理だけでなく、任意のアルゴリズムを適用して画像再構成を行うことができる。このようにして、受信信号に基づき光音響画像と超音波画像とを任意に取得することができる。
【0052】
典型的に、超音波画像を生成する際には整相加算が行われ、光音響画像を生成する際には、整相加算とは別のアルゴリズムを適用した画像再構成が行われる。例えば、光音響画像を生成する画像再構成方法としては、トモグラフィー技術で通常に用いられるタイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影法などがある。
【0053】
もちろん、超音波画像、光音響画像を取得する際に、整相加算処理、任意のアルゴリズムを適用した画像再構成のどちらを適用してもよい。
【0054】
また、データメモリ14とマルチプレクサ16との間に乗算器15を設け、重みづけ係数供給回路9が、画像再構成に用いないチャンネルの乗算器に対して0を供給することにより、任意のチャンネルからの信号のみを用いて画像データ信号を生成することができる。
【0055】
また、図5に示すように、データメモリ14と乗算器15との間にマルチプレクサ17が設けられることにより、任意のチャンネルの信号を整相加算に用いてもよい。図5においては、制御用CPU10から供給されたチャンネル分割信号に基づき、マルチプレクサ17−1〜17−32の切り替えを行う。この方法により、素子アレイ30の領域分割をチャンネル単位で行うことが可能である。すなわち、乗算器15に入力されるチャンネルをマルチプレクサ17により選択することができる。
【0056】
なお、マルチプレクサ17は、乗算器15と加算回路13との間にそれぞれ配置されてもよい。また、データメモリ14とマルチプレクサ16との間にマルチプレクサ17を設けることにより、任意のチャンネルからの信号を用いて整相加算以外の信号処理により画像データを生成してもよい。
【0057】
本発明において、信号処理モジュールの構成は上述した構成に限らない。許容されるシステム規模に応じて、それぞれの構成を複数並列に配置し、整相加算処理能力をさらに高める構成にしてもよい。
【0058】
ところで、本実施形態では、先に説明したように、モードに応じて図3に示す素子アレイ30の領域Aと領域Bとが受信した信号に対して行うそれぞれの信号処理を切り替える。このようにモードを切り替えて信号処理を行う理由を以下に説明する。
【0059】
図6は、モードを切り替えなかった場合の音響波の受信状況を示す模式図である。ここでは、機械走査機構50が素子アレイ30を走査することにより、素子アレイ30を移動させている。また、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する。
【0060】
図6は、スタート地点(1)から、領域Aと領域Bが相対的位置を一定に保ちつつ、中間地点(2)を経由し、終了地点(3)まで移動して受信を行う様子を示している。この場合、領域Aに対応する受信領域58と、領域Bに対応する受信領域59は同一にはならない。
【0061】
すなわち、領域60においては、領域Aからの受信信号は得られるが、領域Bからの受信信号は得られない。また、領域61では、領域Bからの受信信号は得られるが、領域Aからの受信信号は得られない。
【0062】
このような場合、前述したように受信信号が得られなかった受信領域に対応する画像の画質は低下してしまう。
【0063】
一方、被検体情報取得装置は、光音響画像と超音波画像とを統合することで被検体情報をより正確に取得することを目的のひとつとする装置である。したがって、領域60や領域61のように片方の領域からしか受信信号を取得できない領域に対応する画像は、装置の目的を達することができない。
【0064】
そこで、本発明は、以下に説明するようにモードを切り替えて、音響波を受信する。
【0065】
図7は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置における受信状況を示す。
【0066】
例えば、まず、スタート地点(1)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する(State1)。
【0067】
次に、スタート地点(1)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得するように設定する(State2)。
【0068】
更に、信号処理部5がState2と同様の状態に設定されたまま、素子アレイ30を移動させて、音響波の受信を行う(State3)。図7のState3は、素子アレイ30が中間地点(2)を通過している様子を示したものである。そして、素子アレイ30が終了地点(3)に到着するまで、信号処理部5はState2と同様の設定がされる(State4)。
【0069】
最後に、終了地点(3)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する(State5)。
【0070】
ここで、「第1のモード」は、State1のときの信号処理部5の設定に相当し、「第2のモード」とは、State2のときの信号処理部5の設定に相当する。
【0071】
そして、State1のときの領域Aに配列された受信素子が「第1の部分」に相当し、領域Bに配列された受信素子が「第2の部分」に相当する。また、State2のときの領域Bに配列された受信素子が「第3の部分」に相当し、領域Aに配列された受信素子が「第4の部分」に相当する。
【0072】
図7に示すように、信号処理部5が第1のモードと第2のモードとを選択的に実行可能に構成されていることにより、光音響波を受信する受信領域36と超音波の反射波を受信する受信領域37との差異を低減することができる。
【0073】
本実施形態においては、State5に示すように、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得し、領域Aは画像取得に使用しないモードが存在する。本発明において、第1のモードと第2のモードを選択的に実行可能とは、State5のときの信号処理部5の設定に相当するような更なるモードを信号処理部が実行可能であることを包含するものである。
【0074】
また、超音波信号処理と光音響信号処理を行う受信領域は、必ずしも図7に示した手法に限定されない。第1のモードと第2のモードとを選択的に実行可能とし、超音波画像の受信領域36と光音響画像の受信領域37の差異を低減することができる限り、どのような動作を行ってもよい。
【0075】
すなわち、第2のモードにおいて光音響信号処理に対応する第3の部分が、第1のモードにおいて光音響信号処理に対応する第1の部分以外の少なくとも一部を含んでいればよい。また、第2のモードにおいて超音波信号処理に対応する第4の部分が、第1のモードにおいて超音波信号処理に対応する第2の部分以外の少なくとも一部を含んでいればよい。
【0076】
また、受信する範囲が限られている場合には、素子アレイ30を走査することなく、固定して受信を行ってもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、探触子2を移動させるための機械走査機構50を設け、生体の皮膚表面上を機械的に走査させているが、検査者が探触子2を把持し探触子2を移動させてもよい。
【0078】
図8〜図11は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置における、光照射と、光音響画像を取得するための処理(光音響信号処理)と、超音波画像を取得するための処理(超音波信号処理)の動作シーケンスの関係を示す図である。
【0079】
図8は、図7のState1のときの動作シーケンスを示す。図8(a)は領域Aにおける動作シーケンスを、図8(b)は領域Bにおける動作シーケンスを示す。
【0080】
図8(a)においては、まず、測定サイクル開始とともに、光音響画像を取得するために光照射部12が検体へ光を照射する。次に、光音響信号処理Aでは、光を吸収した検体で発生した光音響波を素子アレイ30が受信し、素子アレイ30のうち領域Aから出力された受信信号に基づき、光音響画像が生成される。
【0081】
一方、図8(b)においては、光音響信号処理Aで光音響画像を生成する信号処理を行っている間に、超音波送信部11が検体に超音波の送信し、その超音波の反射波を受信する。この超音波の送受信をN回繰り返し行うことにより得られた受信信号に基づき、超音波画像を取得する。すなわち、State1においては、光音響信号処理Aと超音波信号処理Bとが同時に行われている。
【0082】
次に図9は、図7のState2〜State4のときの領域AおよびBにおける動作シーケンスを示す。ここでは、図9(a)に示す領域Aにおいては、超音波信号処理Bが行われ、図9(b)に示す領域Bにおいては、光音響信号処理Aが行われる。
【0083】
そして、図10は、図7のState5のときの領域AおよびBにおける動作シーケンスを示す。ここでは、図10(a)に示す領域Aにおいては、受信信号から画像を取得しない。一方、図10(b)に示す領域Bにおいては、超音波信号処理Bが行われる。
【0084】
このように、光音響信号処理と超音波信号処理を並列して、かつ各々の測定サイクルを順次行うことにより、光音響画像と超音波画像の同時取得を行う。加えて、素子アレイ30の光音響画像の取得に用いる受信領域と超音波画像の取得に用いる受信領域の分割様式を適宜変更する。
【0085】
本発明において、光音響信号処理と超音波信号処理の時系列は、必ずしも図8〜10の通りである必要はない。一方の信号処理動作が、他方の信号取得動作に悪影響を及ぼさない限り、どのような時的関係であっても良い。
【0086】
例えば、図11は、State2〜State4のときの動作シーケンスの変形例を示す。図11(b)に示す領域Bにおいて、光音響信号処理Aの終了後に、超音波の送受信を行い超音波信号処理Bにより領域Bに対応する超音波画像を取得している。なお、State2〜State4のときに限らず、信号処理能力によっては、検体内を伝搬する光音響波が十分減衰するとただちに、超音波の送受信を開始し、光音響信号処理Aと超音波信号処理Bとを同時に行ってもよい。
【0087】
また、診断上特に気になる領域では、全ての素子アレイからの受信信号を用いて光音響画像、または超音波画像を取得するモードが存在してもよい。この場合、素子アレイ30の一部を使用して音響波を受信した場合と比べ、コントラストの向上した光音響画像または超音波画像を診断に用いることができる。
【0088】
また、光音響画像または超音波画像に求められる画質に応じ、素子アレイ30の分割様式を調整しても良い。例えば、より高いコントラストを得たい画像に対しては、信号取得に際し、受信素子を多く割り当てるといった処理が可能である。
【0089】
また、光音響信号処理に際しては、検体Eに照射された光の、検体E内での拡散度合いに応じて、適切に光音響波の受信領域を設定する必要がある。そこで、制御用CPU10が、光照射部12の特性に応じ、光音響波の受信領域が適切となるよう、信号処理部5が行う処理を制御してもよい。
【0090】
このように本実施形態によれば、探触子の素子アレイを光音響信号処理用と超音波信号処理用とに分割し、かつ領域分割様式を柔軟に変更できる。このため、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することができる。また、取得したい画像の種類に応じ、装置の信号処理手法を柔軟に変更することによって、様々なニーズに対応可能である。
【0091】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係る被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【0092】
図12の被検体情報取得装置70は、探触子2と信号処理部5の間に、接続切替え部71が挿入されている点が、第1の実施形態と異なる。本実施形態では、受信する音響波の周波数特定に応じて、接続切替え部71の接続状態を切り替える。図12において図1と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0093】
以下、接続切替え部71の動作について具体的に説明する。
【0094】
超音波イメージング装置の分野において、整相加算による受信ビーム形成時にサイドローブを抑制するために、受信素子ピッチが受信する超音波の波長の1/2以下であればよいことが一般的に知られている。また、超音波装置の場合、超音波信号の周波数は数MHz〜十数MHzの範囲が多く用いられている。
【0095】
一方、光音響イメージング装置の場合、人体への光照射によって発生する光音響波の周波数は1MHz程度である。
【0096】
例えば、本実施形態において、光音響波の中心周波数が1MHz、超音波の中心周波数が3MHzであったとする。それに伴い、本実施形態においては、超音波の中心周波数に合わせて、中心周波数帯域が3MHzの探触子を用いることとする。
【0097】
ところが、光音響波に対しては、中心周波数帯域が3MHzの探触子の素子ピッチでは必要以上に細かくなってしまう。
【0098】
そこで、本実施形態においては、接続切り替え部71を用いて、他方に比べて周波数が数倍低い音響波を受信する場合には、隣り合う複数の受信素子をまとめて1素子と見なし、実効的に素子ピッチを広げる。
【0099】
図13は、本実施形態における接続切替え部の接続状況を説明するための図である。図13において、探触子2の複数の受信素子2−1〜2−9は、それぞれ3個を一組として、複数の接続切替え部71−1〜71−3を介して、複数のAD変換器3−1〜3−9に接続されている。ここで、受信素子2−1〜2−9は、超音波信号の中心周波数の3MHzに合わせた素子ピッチで設けられている。
【0100】
例えば、3MHzの超音波を受信する場合には、図13(a)に示すように探触子2に配置された受信素子2−1〜2−9をそれぞれAD変換器3−1〜3−9に別個に接続する。各受信素子2−1〜2−9で受信された超音波の受信信号は、AD変換器3−1〜3−9でデジタル化され、複数のデータメモリ14−1,・・・に格納される。そして、データメモリ14−1,・・・に格納された超音波デジタル受信信号は、加算回路13に出力されて整相加算される。
【0101】
一方、1MHzの光音響波を受信する場合には、図13(b)に示すように接続切替え部71−1により受信素子2−1〜2−3を互いに接続する。そして、接続切り替え部71−1とAD変換器3−1〜3−3のそれぞれと接続する。
【0102】
すなわち、受信素子2−1〜2−3から出力された各受信信号は、接続切り替え部71−1により加算される。そして、接続切り替え部71−1により加算された信号が、それぞれのAD変換器3−1〜3−3に供給される。このように、各受信信号を接続切り替え部71−1が加算することにより、信号のSN比は高くなる。
【0103】
ここで、接続切り替え部71−1が行う加算は、位相がそろえられた信号を加算しているわけではないので、整相加算とは異なる。また、AD変換器3−1〜3−3に供給される信号はすべて同じ信号である。
【0104】
同様に、受信素子2−4〜2−6、2−7〜2−9と、接続切替え部71−2、71−3と、AD変換器3−4〜3−6、3−7〜3−9とを接続する。
【0105】
図13(b)のような構成とすることで、隣り合う3つの受信素子を1グループとし、その1グループをまとめて1素子と見なし、実効的に素子ピッチを広げることができる。AD変換器3−1〜3−3、3−4〜3−6、3−7〜3−9からは、実質的に各々同一の信号が出力され、データメモリ14−1,・・・に格納される。
【0106】
そして、このように実効的に素子ピッチを広げて取得した信号を用いて画像再構成を行うことにより、光音響画像を生成する。このようにして、1MHzの光音響波に適した光音響画像を形成することができる。
【0107】
本実施形態においては、接続切り替え部が隣り合う3つの受信素子を結合して3つのAD変換器と接続したが、この構成に限定されない。接続切り替え部が、1つ、2つ、または4つ以上のAD変換器と接続される構成としてもよい。
【0108】
ここで、1グループとしてまとめる素子数は必ずしも3つである必要はない。サイドローブを抑制できる限り、いくつの素子をまとめても良い。
【0109】
また、必ずしも光音響波の受信の場合のみに素子をまとめるわけではない。状況に応じて、超音波の受信のときに素子をまとめても良い。また、接続切替え部71は、探触子2に内蔵されていてもよい。
【0110】
また、接続切り替え部71は、実質的に1素子と見なされる受信素子に接続されている複数のAD変換器3の出力を加算し、データメモリ14に入力するようにしても良い。例えば、接続切替え部71をAD変換器3−1〜3−9とデータメモリ14−1,・・・との間に挿入し、AD変換器3−1〜3−3の出力を加算し、加算結果を3つのデータメモリにそれぞれ入力する。同様に、AD変換器3−4〜3−6及び3−7〜3−9の出力をそれぞれ加算し、加算結果をそれぞれに対応した3つずつのデータメモリに入力する。この構成により、3つのAD変換器に入力された受信信号が重畳されて、SN比が向上する。
【0111】
本実施形態においても、探触子の素子アレイを光音響信号処理用と超音波信号処理用とに分割し、かつ領域分割様式を柔軟に変更できる。このため、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することができる。また、取得したい画像の種類に応じ、装置の信号処理手法を柔軟に変更することによって、様々なニーズに対応可能である。
【0112】
さらに、隣り合う受信素子を結合して、各受信信号を加算することにより、光音響波と超音波の中心周波数が異なる場合でも、同一のプローブを用いてそれぞれの画像でのサイドローブの発生を抑えることができる。
【0113】
図示はしないが、本発明の第1及び第2の実施形態における画像表示には様々な方法が存在する。例えば、生成された光音響画像と超音波画像は、重畳表示しても、別個に片方のみ表示しても良い。また、2つの画像をモニタ上に別個に並べて表示できるようにしても良い。さらに、光音響画像データと超音波画像データを合成処理して重畳表示する際に微妙な画像情報が失われてしまう恐れがある場合、光音響画像と超音波画像をモニタ上の同一領域上で交互表示させ、両画像の対応を観察しても良い。この場合、検査者が診断に最適と感じる両画像の交互表示割合は、検査対象や生成された画像のコントラストによって異なる。そこで、検査時に、交互表示割合を連続して変化させ、各々の検査者が最適と感じる交互表示割合を選択可能なテストモードを設けても良い。また、画像の交互表示割合は画像データとともに装置に記録し、再現可能にしておくことが望ましい。
【0114】
以上、好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例、応用例も包含するものである。
【符号の説明】
【0115】
1 被検体情報取得装置
2 探触子
5 信号処理部
7 画像表示部
11 超音波送信部
12 光照射部
50 機械走査機構
E 検体
【技術分野】
【0001】
本発明は被検体に光または超音波を照射し、被検体からの超音波を受信して、光音響画像または超音波画像を形成する被検体情報取得装置および被検体情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体に光を照射すると、生体の光吸収に伴う生体組織の温度上昇・熱膨張により光音響波(典型的には超音波)が発生することが知られている。この光音響波の受信信号である光音響信号を用いて、非侵襲で生体内を可視化しようとする光音響イメージングの臨床現場への適用が試みられている。超音波の周波数の下限の定義は必ずしも明確でないが、本発明では20kHz以上の弾性波のことを「超音波」と呼ぶ。
【0003】
また、光音響イメージングと、被検体に送信した超音波の反射波の受信信号である超音波信号を用いて超音波画像を形成する超音波イメージングとを組み合わせることで、臨床現場における診断精度を大きく向上させることができると期待されている。
【0004】
このように光音響イメージングと超音波イメージングを組み合わせることができるプローブとして、光音響波を受信するトランスデューサアレイと、超音波を送受信するトランスデューサアレイとを並べて配置するプローブが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−22816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のプローブでは、光音響波を受信する受信領域と超音波を送受信する受信領域とに差異が生じてしまう。これにより、光音響画像および超音波画像の画質の低下を招いてしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することのできる、新規な構成の被検体情報取得装置および被検体情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る被検体情報取得装置は、複数の受信素子の一部を第1の部分、第1の部分以外の前記複数の受信素子のうち少なくとも一部を第2の部分とした場合、第1の部分が出力した受信信号に基づき光音響画像を取得し、第2の部分が出力した受信信号に基づき超音波画像を取得する第1のモードと、複数の受信素子のうち第1の部分とは少なくとも一部が異なる部分を第3の部分、第3の部分以外の複数の受信素子のうち少なくとも一部を第4の部分とした場合、第3の部分が出力した受信信号に基づき光音響画像を取得し、第4の部分が出力した受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成された信号処理部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することのできる、新規な構成の被検体情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理部の一構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、素子アレイの一構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理モジュールの一構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る、信号処理モジュールの別の構成例を示す図である。
【図6】モードを切り替えなかった場合の受信状況を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る、被検体情報取得装置における受信状況を示す図である。
【図8】図7のState1における、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図9】図7のState2〜State4のおける、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図10】図7のState5における、被検体情報取得装置の動作シーケンスを示す図である。
【図11】図7のState2〜4における、被検体情報取得装置の動作シーケンスの別の例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る、被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る、接続切替え部とその接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
通常、超音波イメージングにおいては、超音波を1ライン(2次元ではピクセルを、3次元ではボクセルを被検体深度方向に1次元的に並べたもの)に相当する領域に送信することにより、1ライン分の情報を有した反射波を受信する。そして、この受信信号に基づき1ライン分の超音波画像を形成する。このとき、超音波の反射波を受信する受信領域の正面の1ライン分の領域の超音波画像が形成される。そのため、受信領域の正面以外の領域の超音波画像を取得することは難しい。
【0012】
一方、光音響イメージングにおいては、複数のラインに相当する領域から発生した光音響波を受信し、この受信信号に基づき、複数のラインに相当する領域を画像化して、光音響画像を形成する。ところが、光音響波を受信する受信素子は指向性をもっているため、受信素子の検出面に対して角度をもって入射してきた光音響波の受信信号は低減されてしまう。そのため、光音響波を受信する受信領域の正面以外の領域の光音響画像の定量性が低下してしまう。
【0013】
以上より、光音響画像の取得に用いられた受信領域と、超音波画像の取得に用いられた受信領域とに差異が生じる場合、光音響画像および超音波画像の劣化や欠落が起こってしまう。
【0014】
そのため、光音響波を受信する受信領域と超音波の反射波を受信する受信領域との差異が低減されることが望まれている。
【0015】
そこで、本発明者は、ある受信素子が出力した受信信号に対して、光音響画像を取得するため信号処理を行うのか、超音波画像を取得するための信号処理を行うのかを、任意のタイミングで切り替え可能に構成した被検体情報取得装置を見出した。
【0016】
以下、図面を用いて本発明に係る被検体情報取得装置の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置1の構成を示す図である。
【0018】
図1における、被検体情報取得装置1は、複数の受信素子を備える探触子(プローブ)2、信号処理部5、画像表示部7、制御用CPU10、複数の送信素子を備える超音波送信部11、光照射部12、移動部としての機械走査機構50から構成される。なお、信号処理部5は、探触子2に内蔵されていてもよい。
【0019】
光照射部12は、制御用CPU10等の制御に従ってある一定のタイミングで検体Eに光を照射する。光照射部12によって検体Eに光が照射されると、検体E内で光音響波が発生する。
【0020】
一方、超音波送信部11は、制御用CPU10等の制御に従って検体Eに超音波を送信する。
【0021】
そして、探触子2に備えられた複数の受信素子は、検体E内で発生した光音響波、および、検体Eに送信された超音波の反射波を受信してアナログ電気信号に変換する。本実施形態では、超音波送信部11と探触子2とを別々に設けているが、探触子2が超音波を送信してもよい。
【0022】
次に、信号処理部5は、受信素子が出力したアナログ電気信号を、デジタル化された電気信号へと変換する。そして、信号処理部5は、デジタル化された電気信号に整相加算、フィルタ処理、対数圧縮、包絡線検波等の処理を行う。
【0023】
次に、信号処理部5は、受信信号に対して以上のような処理を行った信号に対して、画像生成に必要な処理を行い、画像データ(光音響画像および超音波画像)を生成する。
【0024】
なお、信号処理部5は、光音響波の受信信号であるか、反射波の受信信号であるかに応じて適切な処理を施す。
【0025】
また、信号処理部5が施す信号処理の順序は本実施形態の順序に限らない。例えば、整相加算処理を行った後に、デジタル変換を行うことなどもできる。
【0026】
そして、画像表示部7には、信号処理部5によって生成された画像データに基づき、光音響画像及び超音波画像が表示される。
【0027】
なお、制御用CPU10は、各ブロックをコントロールするのに必要なデータ、コントロール信号を供給する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る信号処理部5を示す図である。信号処理部5は、信号処理モジュール20−1〜20−Zから構成される。以下、信号処理モジュールのいずれかを特定することなく、これらの信号処理モジュール20−1〜20−Zのうちのいずれかを示す場合には、「信号処理モジュール20」と示す。
【0029】
図3は、本実施形態に係る探触子2が備える素子アレイ30を示す図である。図3に示すように、素子アレイ30は、複数の受信素子(1,1)〜(Z,32)から構成されている。受信素子には、圧電素子、半導体プロセスを応用した静電容量型超音波トランスデューサ、ファブリペロー共振器などを用いることができる。なお、素子アレイ30が光音響波、超音波の反射波のいずれも受信することを考慮すると、周波数受信帯域が広い素子を素子アレイに用いることが好ましい。
【0030】
以下、受信素子のいずれかを特定することなく、受信素子(1,1)〜(Z,32)のうちいずれかを示す場合には「受信素子」と示す。素子アレイ30は2次元アレイで構成されていることが好ましい。
【0031】
図3に示す複数の受信素子(1,1)〜(Z,32)は、いくつかのグループに振り分けられ、それぞれのグループに対応する信号処理モジュールに接続される。例えば、受信素子(1,1)〜(1,32)は信号処理モジュール20−1に接続される。また、受信素子(2,1)〜(2,32)は信号処理モジュール20−2に、受信素子(Z,1)〜(Z,32)は信号処理モジュール20−Zに接続される、といった具合である。
【0032】
なお、受信素子と信号処理モジュールの接続状態はこれに限定されるものではない。例えば、素子アレイ30の受信素子それぞれに信号処理モジュール20を接続することや、素子アレイ30の全ての受信素子を1つの信号処理モジュール20に接続することなど、必要に応じて最適の接続状態を選択して良い。
【0033】
本発明の第1の特徴は、複数の受信素子をいくつかの部分に分割して用いる点にある。
【0034】
本発明の第2の特徴は、素子アレイの任意の受信素子が音響波を受信したときの受信信号に対して、施す信号処理を切り換える点にある。例えば、本実施形態においては、図2の制御用CPU10が信号処理モジュール20を制御することによって、素子アレイのある受信領域で受信した信号に対する信号処理の切り換え(モードの切り替え)が行われる。
【0035】
本実施形態に係る第1のモードにおいては、図3の領域Aで受信した信号に対して光音響波に対応した信号処理を行い、領域Bで受信した信号に対して検体Eからの超音波の反射波に対応した信号処理を行う。
【0036】
一方、第2のモードにおいては、領域Aで受信した信号に対して反射波に対応した信号処理を行い、領域Bで受信した信号に対して光音響波に対応した信号処理を行う。なお、これらのモードは、制御用CPU10によって選択的に実行可能に制御されている。
【0037】
上記の例では、信号処理モジュール単位で領域をモードの切り替えを行うことを説明したが、後述するように、各信号処理モジュール内の動作の切り換えによって、より細かい単位で領域の切り換えが可能である。
【0038】
図4は、信号処理モジュール20の構成を示す図である。ここでは、信号処理モジュール20が32チャンネル(ch)で構成される場合の例を示す。
【0039】
本実施形態に係る信号処理モジュール20は、複数のAD変換器3−1〜3−32、遅延メモリ制御回路8、重み付け係数供給回路9、加算回路13、データメモリ14−1〜14−32、アポダイゼーション用の乗算器15−1〜15−32、マルチプレクサ16から構成される。
【0040】
図3に示す素子アレイ30の各受信素子は、図4に示すAD変換器3−1〜3−32と接続される。例えば、図4に示す信号処理モジュール20が図2に示す信号処理モジュール20−1であった場合、図3の受信素子(1,1)〜(1,32)がそれぞれAD変換器3−1〜3−32と接続される。そして、AD変換器3−1〜3−32によってデジタル化された受信信号は、対応するデータメモリ14−1〜14−32に取り込まれる。
【0041】
次に、受信信号に基づいて整相加算を行うことにより画像データを取得する方法を説明する。
【0042】
まず、遅延メモリ制御回路8は、制御用CPU10から供給された遅延情報に基づき、整相加算に必要なデータメモリアドレスを算出し、算出されたデータメモリアドレスを各データメモリ14−1〜14−32に供給する。そして、遅延メモリ制御回路8が供給したデータメモリアドレスにしたがって、検体E内の任意のピクセルまたはボクセルに対応する受信デジタルデータがデータメモリ14−1〜14−32より読み出される。そして、読み出された受信デジタル信号がそれぞれ乗算器15−1〜15−32に出力される。このようにして、位相のそろった受信信号が乗算器15−1〜15−32に出力される。
【0043】
重み付け係数供給回路9は、検体E内の任意のピクセルまたはボクセル座標に基づき、最適な窓関数重み係数を乗算器15−1〜15−32に供給する。そして、乗算器15−1〜15−32に供給された受信デジタル信号は、チャンネル毎に重み付け係数供給回路9が算出した窓関数重み係数を付され、加算回路13へ出力される。
【0044】
そして、加算回路13が上記の処理が行われることにより位相のそろった受信信号を加算することにより、32ch分の整相加算が行われた出力Aが出力される。
【0045】
そして、図示しない上位のCPU、GPU、DSP、その他ハードウェアが、整相加算された信号に輝度値変換などの処理を施すことにより、整相加算が行われた信号に基づく画像データが生成される。
【0046】
なお、信号処理モジュール20において、整相加算処理を行わないチャンネルに対しては、重み付け係数供給回路9より乗算器15−1〜15−32に対し、0を供給するようにしてもよい。こうすることにより、整相加算処理を行いたいチャンネルのみを用いて整相加算を行うことが可能となる。これは、素子アレイ30の領域分割を、信号処理モジュール単位ではなく、さらに細かいチャンネル単位で行えるということを意味し、素子アレイ30の領域分割を任意の様式で行うことが可能となる。
【0047】
また、複数の信号処理モジュール20−1〜20−Zにおいて整相加算処理が行われ、信号処理モジュール20−1〜20−Zの整相加算データ出力を全て加算する必要がある場合は、システム構成に応じて適切に加算処理を行えば良い。
【0048】
次に、受信信号に基づいて整相加算以外の任意のアルゴリズムを適用して画像再構成を行い、画像を取得する方法を説明する。
【0049】
まず、制御用CPU10からマルチプレクサ16を制御し、各データメモリ14−1〜14−32に格納された受信デジタル信号のうち、任意のピクセルまたはボクセルに対応する受信デジタル信号を読み出す。
【0050】
そして、図示しない上位のCPU、GPU、DSP、その他ハードウェアが、読みだされた受信デジタル信号に基づき、任意の画像再構成を行うことにより、画像データ信号を生成する。そして、この上位のCPUなどがこの画像データ信号に輝度値変換などの処理を施すことにより、任意の画像再構成を行うことによって得られた画像データ信号に対応する画像が生成される。
【0051】
この構成により、取得した受信信号に対して整相加算処理だけでなく、任意のアルゴリズムを適用して画像再構成を行うことができる。このようにして、受信信号に基づき光音響画像と超音波画像とを任意に取得することができる。
【0052】
典型的に、超音波画像を生成する際には整相加算が行われ、光音響画像を生成する際には、整相加算とは別のアルゴリズムを適用した画像再構成が行われる。例えば、光音響画像を生成する画像再構成方法としては、トモグラフィー技術で通常に用いられるタイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影法などがある。
【0053】
もちろん、超音波画像、光音響画像を取得する際に、整相加算処理、任意のアルゴリズムを適用した画像再構成のどちらを適用してもよい。
【0054】
また、データメモリ14とマルチプレクサ16との間に乗算器15を設け、重みづけ係数供給回路9が、画像再構成に用いないチャンネルの乗算器に対して0を供給することにより、任意のチャンネルからの信号のみを用いて画像データ信号を生成することができる。
【0055】
また、図5に示すように、データメモリ14と乗算器15との間にマルチプレクサ17が設けられることにより、任意のチャンネルの信号を整相加算に用いてもよい。図5においては、制御用CPU10から供給されたチャンネル分割信号に基づき、マルチプレクサ17−1〜17−32の切り替えを行う。この方法により、素子アレイ30の領域分割をチャンネル単位で行うことが可能である。すなわち、乗算器15に入力されるチャンネルをマルチプレクサ17により選択することができる。
【0056】
なお、マルチプレクサ17は、乗算器15と加算回路13との間にそれぞれ配置されてもよい。また、データメモリ14とマルチプレクサ16との間にマルチプレクサ17を設けることにより、任意のチャンネルからの信号を用いて整相加算以外の信号処理により画像データを生成してもよい。
【0057】
本発明において、信号処理モジュールの構成は上述した構成に限らない。許容されるシステム規模に応じて、それぞれの構成を複数並列に配置し、整相加算処理能力をさらに高める構成にしてもよい。
【0058】
ところで、本実施形態では、先に説明したように、モードに応じて図3に示す素子アレイ30の領域Aと領域Bとが受信した信号に対して行うそれぞれの信号処理を切り替える。このようにモードを切り替えて信号処理を行う理由を以下に説明する。
【0059】
図6は、モードを切り替えなかった場合の音響波の受信状況を示す模式図である。ここでは、機械走査機構50が素子アレイ30を走査することにより、素子アレイ30を移動させている。また、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する。
【0060】
図6は、スタート地点(1)から、領域Aと領域Bが相対的位置を一定に保ちつつ、中間地点(2)を経由し、終了地点(3)まで移動して受信を行う様子を示している。この場合、領域Aに対応する受信領域58と、領域Bに対応する受信領域59は同一にはならない。
【0061】
すなわち、領域60においては、領域Aからの受信信号は得られるが、領域Bからの受信信号は得られない。また、領域61では、領域Bからの受信信号は得られるが、領域Aからの受信信号は得られない。
【0062】
このような場合、前述したように受信信号が得られなかった受信領域に対応する画像の画質は低下してしまう。
【0063】
一方、被検体情報取得装置は、光音響画像と超音波画像とを統合することで被検体情報をより正確に取得することを目的のひとつとする装置である。したがって、領域60や領域61のように片方の領域からしか受信信号を取得できない領域に対応する画像は、装置の目的を達することができない。
【0064】
そこで、本発明は、以下に説明するようにモードを切り替えて、音響波を受信する。
【0065】
図7は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置における受信状況を示す。
【0066】
例えば、まず、スタート地点(1)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する(State1)。
【0067】
次に、スタート地点(1)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、信号処理部5が、領域Aから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得し、領域Bから出力された受信信号に基づき光音響画像を取得するように設定する(State2)。
【0068】
更に、信号処理部5がState2と同様の状態に設定されたまま、素子アレイ30を移動させて、音響波の受信を行う(State3)。図7のState3は、素子アレイ30が中間地点(2)を通過している様子を示したものである。そして、素子アレイ30が終了地点(3)に到着するまで、信号処理部5はState2と同様の設定がされる(State4)。
【0069】
最後に、終了地点(3)において、制御用CPU10からの制御信号に基づき、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得するように設定する(State5)。
【0070】
ここで、「第1のモード」は、State1のときの信号処理部5の設定に相当し、「第2のモード」とは、State2のときの信号処理部5の設定に相当する。
【0071】
そして、State1のときの領域Aに配列された受信素子が「第1の部分」に相当し、領域Bに配列された受信素子が「第2の部分」に相当する。また、State2のときの領域Bに配列された受信素子が「第3の部分」に相当し、領域Aに配列された受信素子が「第4の部分」に相当する。
【0072】
図7に示すように、信号処理部5が第1のモードと第2のモードとを選択的に実行可能に構成されていることにより、光音響波を受信する受信領域36と超音波の反射波を受信する受信領域37との差異を低減することができる。
【0073】
本実施形態においては、State5に示すように、領域Bから出力された受信信号に基づき超音波画像を取得し、領域Aは画像取得に使用しないモードが存在する。本発明において、第1のモードと第2のモードを選択的に実行可能とは、State5のときの信号処理部5の設定に相当するような更なるモードを信号処理部が実行可能であることを包含するものである。
【0074】
また、超音波信号処理と光音響信号処理を行う受信領域は、必ずしも図7に示した手法に限定されない。第1のモードと第2のモードとを選択的に実行可能とし、超音波画像の受信領域36と光音響画像の受信領域37の差異を低減することができる限り、どのような動作を行ってもよい。
【0075】
すなわち、第2のモードにおいて光音響信号処理に対応する第3の部分が、第1のモードにおいて光音響信号処理に対応する第1の部分以外の少なくとも一部を含んでいればよい。また、第2のモードにおいて超音波信号処理に対応する第4の部分が、第1のモードにおいて超音波信号処理に対応する第2の部分以外の少なくとも一部を含んでいればよい。
【0076】
また、受信する範囲が限られている場合には、素子アレイ30を走査することなく、固定して受信を行ってもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、探触子2を移動させるための機械走査機構50を設け、生体の皮膚表面上を機械的に走査させているが、検査者が探触子2を把持し探触子2を移動させてもよい。
【0078】
図8〜図11は、第1の実施形態に係る被検体情報取得装置における、光照射と、光音響画像を取得するための処理(光音響信号処理)と、超音波画像を取得するための処理(超音波信号処理)の動作シーケンスの関係を示す図である。
【0079】
図8は、図7のState1のときの動作シーケンスを示す。図8(a)は領域Aにおける動作シーケンスを、図8(b)は領域Bにおける動作シーケンスを示す。
【0080】
図8(a)においては、まず、測定サイクル開始とともに、光音響画像を取得するために光照射部12が検体へ光を照射する。次に、光音響信号処理Aでは、光を吸収した検体で発生した光音響波を素子アレイ30が受信し、素子アレイ30のうち領域Aから出力された受信信号に基づき、光音響画像が生成される。
【0081】
一方、図8(b)においては、光音響信号処理Aで光音響画像を生成する信号処理を行っている間に、超音波送信部11が検体に超音波の送信し、その超音波の反射波を受信する。この超音波の送受信をN回繰り返し行うことにより得られた受信信号に基づき、超音波画像を取得する。すなわち、State1においては、光音響信号処理Aと超音波信号処理Bとが同時に行われている。
【0082】
次に図9は、図7のState2〜State4のときの領域AおよびBにおける動作シーケンスを示す。ここでは、図9(a)に示す領域Aにおいては、超音波信号処理Bが行われ、図9(b)に示す領域Bにおいては、光音響信号処理Aが行われる。
【0083】
そして、図10は、図7のState5のときの領域AおよびBにおける動作シーケンスを示す。ここでは、図10(a)に示す領域Aにおいては、受信信号から画像を取得しない。一方、図10(b)に示す領域Bにおいては、超音波信号処理Bが行われる。
【0084】
このように、光音響信号処理と超音波信号処理を並列して、かつ各々の測定サイクルを順次行うことにより、光音響画像と超音波画像の同時取得を行う。加えて、素子アレイ30の光音響画像の取得に用いる受信領域と超音波画像の取得に用いる受信領域の分割様式を適宜変更する。
【0085】
本発明において、光音響信号処理と超音波信号処理の時系列は、必ずしも図8〜10の通りである必要はない。一方の信号処理動作が、他方の信号取得動作に悪影響を及ぼさない限り、どのような時的関係であっても良い。
【0086】
例えば、図11は、State2〜State4のときの動作シーケンスの変形例を示す。図11(b)に示す領域Bにおいて、光音響信号処理Aの終了後に、超音波の送受信を行い超音波信号処理Bにより領域Bに対応する超音波画像を取得している。なお、State2〜State4のときに限らず、信号処理能力によっては、検体内を伝搬する光音響波が十分減衰するとただちに、超音波の送受信を開始し、光音響信号処理Aと超音波信号処理Bとを同時に行ってもよい。
【0087】
また、診断上特に気になる領域では、全ての素子アレイからの受信信号を用いて光音響画像、または超音波画像を取得するモードが存在してもよい。この場合、素子アレイ30の一部を使用して音響波を受信した場合と比べ、コントラストの向上した光音響画像または超音波画像を診断に用いることができる。
【0088】
また、光音響画像または超音波画像に求められる画質に応じ、素子アレイ30の分割様式を調整しても良い。例えば、より高いコントラストを得たい画像に対しては、信号取得に際し、受信素子を多く割り当てるといった処理が可能である。
【0089】
また、光音響信号処理に際しては、検体Eに照射された光の、検体E内での拡散度合いに応じて、適切に光音響波の受信領域を設定する必要がある。そこで、制御用CPU10が、光照射部12の特性に応じ、光音響波の受信領域が適切となるよう、信号処理部5が行う処理を制御してもよい。
【0090】
このように本実施形態によれば、探触子の素子アレイを光音響信号処理用と超音波信号処理用とに分割し、かつ領域分割様式を柔軟に変更できる。このため、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することができる。また、取得したい画像の種類に応じ、装置の信号処理手法を柔軟に変更することによって、様々なニーズに対応可能である。
【0091】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係る被検体情報取得装置の構成を示す図である。
【0092】
図12の被検体情報取得装置70は、探触子2と信号処理部5の間に、接続切替え部71が挿入されている点が、第1の実施形態と異なる。本実施形態では、受信する音響波の周波数特定に応じて、接続切替え部71の接続状態を切り替える。図12において図1と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0093】
以下、接続切替え部71の動作について具体的に説明する。
【0094】
超音波イメージング装置の分野において、整相加算による受信ビーム形成時にサイドローブを抑制するために、受信素子ピッチが受信する超音波の波長の1/2以下であればよいことが一般的に知られている。また、超音波装置の場合、超音波信号の周波数は数MHz〜十数MHzの範囲が多く用いられている。
【0095】
一方、光音響イメージング装置の場合、人体への光照射によって発生する光音響波の周波数は1MHz程度である。
【0096】
例えば、本実施形態において、光音響波の中心周波数が1MHz、超音波の中心周波数が3MHzであったとする。それに伴い、本実施形態においては、超音波の中心周波数に合わせて、中心周波数帯域が3MHzの探触子を用いることとする。
【0097】
ところが、光音響波に対しては、中心周波数帯域が3MHzの探触子の素子ピッチでは必要以上に細かくなってしまう。
【0098】
そこで、本実施形態においては、接続切り替え部71を用いて、他方に比べて周波数が数倍低い音響波を受信する場合には、隣り合う複数の受信素子をまとめて1素子と見なし、実効的に素子ピッチを広げる。
【0099】
図13は、本実施形態における接続切替え部の接続状況を説明するための図である。図13において、探触子2の複数の受信素子2−1〜2−9は、それぞれ3個を一組として、複数の接続切替え部71−1〜71−3を介して、複数のAD変換器3−1〜3−9に接続されている。ここで、受信素子2−1〜2−9は、超音波信号の中心周波数の3MHzに合わせた素子ピッチで設けられている。
【0100】
例えば、3MHzの超音波を受信する場合には、図13(a)に示すように探触子2に配置された受信素子2−1〜2−9をそれぞれAD変換器3−1〜3−9に別個に接続する。各受信素子2−1〜2−9で受信された超音波の受信信号は、AD変換器3−1〜3−9でデジタル化され、複数のデータメモリ14−1,・・・に格納される。そして、データメモリ14−1,・・・に格納された超音波デジタル受信信号は、加算回路13に出力されて整相加算される。
【0101】
一方、1MHzの光音響波を受信する場合には、図13(b)に示すように接続切替え部71−1により受信素子2−1〜2−3を互いに接続する。そして、接続切り替え部71−1とAD変換器3−1〜3−3のそれぞれと接続する。
【0102】
すなわち、受信素子2−1〜2−3から出力された各受信信号は、接続切り替え部71−1により加算される。そして、接続切り替え部71−1により加算された信号が、それぞれのAD変換器3−1〜3−3に供給される。このように、各受信信号を接続切り替え部71−1が加算することにより、信号のSN比は高くなる。
【0103】
ここで、接続切り替え部71−1が行う加算は、位相がそろえられた信号を加算しているわけではないので、整相加算とは異なる。また、AD変換器3−1〜3−3に供給される信号はすべて同じ信号である。
【0104】
同様に、受信素子2−4〜2−6、2−7〜2−9と、接続切替え部71−2、71−3と、AD変換器3−4〜3−6、3−7〜3−9とを接続する。
【0105】
図13(b)のような構成とすることで、隣り合う3つの受信素子を1グループとし、その1グループをまとめて1素子と見なし、実効的に素子ピッチを広げることができる。AD変換器3−1〜3−3、3−4〜3−6、3−7〜3−9からは、実質的に各々同一の信号が出力され、データメモリ14−1,・・・に格納される。
【0106】
そして、このように実効的に素子ピッチを広げて取得した信号を用いて画像再構成を行うことにより、光音響画像を生成する。このようにして、1MHzの光音響波に適した光音響画像を形成することができる。
【0107】
本実施形態においては、接続切り替え部が隣り合う3つの受信素子を結合して3つのAD変換器と接続したが、この構成に限定されない。接続切り替え部が、1つ、2つ、または4つ以上のAD変換器と接続される構成としてもよい。
【0108】
ここで、1グループとしてまとめる素子数は必ずしも3つである必要はない。サイドローブを抑制できる限り、いくつの素子をまとめても良い。
【0109】
また、必ずしも光音響波の受信の場合のみに素子をまとめるわけではない。状況に応じて、超音波の受信のときに素子をまとめても良い。また、接続切替え部71は、探触子2に内蔵されていてもよい。
【0110】
また、接続切り替え部71は、実質的に1素子と見なされる受信素子に接続されている複数のAD変換器3の出力を加算し、データメモリ14に入力するようにしても良い。例えば、接続切替え部71をAD変換器3−1〜3−9とデータメモリ14−1,・・・との間に挿入し、AD変換器3−1〜3−3の出力を加算し、加算結果を3つのデータメモリにそれぞれ入力する。同様に、AD変換器3−4〜3−6及び3−7〜3−9の出力をそれぞれ加算し、加算結果をそれぞれに対応した3つずつのデータメモリに入力する。この構成により、3つのAD変換器に入力された受信信号が重畳されて、SN比が向上する。
【0111】
本実施形態においても、探触子の素子アレイを光音響信号処理用と超音波信号処理用とに分割し、かつ領域分割様式を柔軟に変更できる。このため、光音響波の受信領域と超音波の受信領域との差異を低減することができる。また、取得したい画像の種類に応じ、装置の信号処理手法を柔軟に変更することによって、様々なニーズに対応可能である。
【0112】
さらに、隣り合う受信素子を結合して、各受信信号を加算することにより、光音響波と超音波の中心周波数が異なる場合でも、同一のプローブを用いてそれぞれの画像でのサイドローブの発生を抑えることができる。
【0113】
図示はしないが、本発明の第1及び第2の実施形態における画像表示には様々な方法が存在する。例えば、生成された光音響画像と超音波画像は、重畳表示しても、別個に片方のみ表示しても良い。また、2つの画像をモニタ上に別個に並べて表示できるようにしても良い。さらに、光音響画像データと超音波画像データを合成処理して重畳表示する際に微妙な画像情報が失われてしまう恐れがある場合、光音響画像と超音波画像をモニタ上の同一領域上で交互表示させ、両画像の対応を観察しても良い。この場合、検査者が診断に最適と感じる両画像の交互表示割合は、検査対象や生成された画像のコントラストによって異なる。そこで、検査時に、交互表示割合を連続して変化させ、各々の検査者が最適と感じる交互表示割合を選択可能なテストモードを設けても良い。また、画像の交互表示割合は画像データとともに装置に記録し、再現可能にしておくことが望ましい。
【0114】
以上、好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例、応用例も包含するものである。
【符号の説明】
【0115】
1 被検体情報取得装置
2 探触子
5 信号処理部
7 画像表示部
11 超音波送信部
12 光照射部
50 機械走査機構
E 検体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が被検体に照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に照射された超音波の反射波を受信することにより、複数の受信信号を出力する複数の受信素子と、
前記複数の受信信号に基づいて、光音響画像または超音波画像を取得する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、
前記複数の受信素子の一部を第1の部分、前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を第2の部分とした場合、前記第1の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記光音響画像を取得し、前記第2の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第1のモードと、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を含む部分を第3の部分、前記複数の受信素子のうち前記第2の部分以外の少なくとも一部を含む部分を第4の部分とした場合、前記第3の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記光音響画像を取得し、前記第4の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、
を選択的に実行可能に構成されていることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記複数の受信素子を移動させるための移動部を備えることを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記移動部が行う前記複数の受信素子の移動の始点において前記第1のモードを実行し、前記移動の終点において前記第2のモードを実行することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記第2の部分が出力した複数の受信信号、または、前記第4の部分が出力した複数の受信信号に対して整相加算を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記第1の部分が出力した受信信号、または、前記第3の部分が出力した受信信号に基づき、前記光音響画像を生成するための画像再構成を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項6】
前記画像再構成は、逆投影法であることを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記複数の受信素子から出力される複数の受信信号を加算することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、前記第1の部分、または、前記第3の部分に対応する前記の受信素子のうち、隣り合う受信素子から出力される受信信号を加算することを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。
【請求項9】
前記信号処理部は、前記複数の受信素子から出力された前記複数の受信信号をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項10】
前記複数の受信素子は静電容量型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項11】
前記第3の部分は前記第2の部分と同一であり、前記第4の部分は前記第1の部分と同一であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項12】
前記信号処理部が前記第1の部分または第3の部分から出力された複数の受信信号に基づく前記光音響画像を取得するための処理を行っている間に、
前記第2の部分または前記第4の部分が前記超音波の反射波を受信することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項13】
前記複数の受信素子は2次元アレイで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項14】
前記超音波を送信する送信素子と、前記光を照射する光照射部と、を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項15】
前記送信素子は、前記複数の受信素子の少なくとも一部から構成されることを特徴とする請求項14に記載の被検体情報取得装置。
【請求項16】
前記光音響画像または前記超音波画像を表示する画像表示部を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項17】
複数の受信素子の一部である第1の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部である第2の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を含む第3の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第2の部分以外の少なくとも一部を含む第4の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を形成する工程と、を備えることを特徴とする被検体情報取得方法。
【請求項18】
被検体に光が照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に送信された超音波の反射波を受信することにより、複数の受信信号を出力する複数の受信素子と、
前記複数の受信素子の一部である第1の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部である第2の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を取得する信号処理部と、を備えることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項19】
被検体に光が照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に送信された超音波の反射波を受信することにより、受信信号を出力する受信素子と、
前記受信素子から出力された前記受信信号に基づき光音響画像を取得する第1のモードと、前記受信素子から出力された前記受信信号に基づき超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成されている信号処理部と、を備えることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項1】
光が被検体に照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に照射された超音波の反射波を受信することにより、複数の受信信号を出力する複数の受信素子と、
前記複数の受信信号に基づいて、光音響画像または超音波画像を取得する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、
前記複数の受信素子の一部を第1の部分、前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を第2の部分とした場合、前記第1の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記光音響画像を取得し、前記第2の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第1のモードと、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を含む部分を第3の部分、前記複数の受信素子のうち前記第2の部分以外の少なくとも一部を含む部分を第4の部分とした場合、前記第3の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記光音響画像を取得し、前記第4の部分が出力した複数の受信信号に基づき前記超音波画像を取得する第2のモードと、
を選択的に実行可能に構成されていることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記複数の受信素子を移動させるための移動部を備えることを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記移動部が行う前記複数の受信素子の移動の始点において前記第1のモードを実行し、前記移動の終点において前記第2のモードを実行することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記第2の部分が出力した複数の受信信号、または、前記第4の部分が出力した複数の受信信号に対して整相加算を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記第1の部分が出力した受信信号、または、前記第3の部分が出力した受信信号に基づき、前記光音響画像を生成するための画像再構成を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項6】
前記画像再構成は、逆投影法であることを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記複数の受信素子から出力される複数の受信信号を加算することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、前記第1の部分、または、前記第3の部分に対応する前記の受信素子のうち、隣り合う受信素子から出力される受信信号を加算することを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。
【請求項9】
前記信号処理部は、前記複数の受信素子から出力された前記複数の受信信号をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項10】
前記複数の受信素子は静電容量型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項11】
前記第3の部分は前記第2の部分と同一であり、前記第4の部分は前記第1の部分と同一であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項12】
前記信号処理部が前記第1の部分または第3の部分から出力された複数の受信信号に基づく前記光音響画像を取得するための処理を行っている間に、
前記第2の部分または前記第4の部分が前記超音波の反射波を受信することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項13】
前記複数の受信素子は2次元アレイで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項14】
前記超音波を送信する送信素子と、前記光を照射する光照射部と、を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項15】
前記送信素子は、前記複数の受信素子の少なくとも一部から構成されることを特徴とする請求項14に記載の被検体情報取得装置。
【請求項16】
前記光音響画像または前記超音波画像を表示する画像表示部を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項17】
複数の受信素子の一部である第1の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部である第2の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部を含む第3の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を形成する工程と、
前記複数の受信素子のうち前記第2の部分以外の少なくとも一部を含む第4の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を形成する工程と、を備えることを特徴とする被検体情報取得方法。
【請求項18】
被検体に光が照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に送信された超音波の反射波を受信することにより、複数の受信信号を出力する複数の受信素子と、
前記複数の受信素子の一部である第1の部分から出力された複数の受信信号に基づき光音響画像を取得し、前記複数の受信素子のうち前記第1の部分以外の少なくとも一部である第2の部分から出力された複数の受信信号に基づき超音波画像を取得する信号処理部と、を備えることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項19】
被検体に光が照射されることにより発生した光音響波、または、前記被検体に送信された超音波の反射波を受信することにより、受信信号を出力する受信素子と、
前記受信素子から出力された前記受信信号に基づき光音響画像を取得する第1のモードと、前記受信素子から出力された前記受信信号に基づき超音波画像を取得する第2のモードと、を選択的に実行可能に構成されている信号処理部と、を備えることを特徴とする被検体情報取得装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−27694(P2013−27694A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137922(P2012−137922)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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