説明

被覆され微細突起物を有する経皮的薬物送達装置

微細突起物の表面の前処理としてもしくは活性剤と一緒に被覆調製物中に取り込まれたいずれかの湿潤剤を使用して微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物上への被膜の調製のための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚を横切る薬剤の経皮的送達を実施することおよび促進することに関する。より具体的には本発明は、薬理学的活性剤の乾燥被膜を有する皮膚穿刺微細突起物を使用して角質層をとおって薬理学的活性剤を投与するための経皮的薬剤送達系に関する。
【背景技術】
【0002】
前記乾燥被膜は、界面活性剤および湿潤剤を含む溶液から形成され、場合により表面処理されている微細突起物を適用されてきた。微細突起物が患者の皮膚を穿刺して、患者の間質液が活性剤と接触してそれを溶解する時に薬剤の送達は容易になる。
【0003】
薬剤は経口でもしくは注射によるいずれかでもっとも一般に投与される。不幸にして、多数の医薬は吸収されないかもしくは血流に入る前に不都合な作用を受けて、所望の活性をもたないので、経口投与されると完全に無効であるかもしくは根本的に減少した効力をもつ。他方で、血流中への医薬の直接注射は投与中、医薬のどんな変化もないことを保証するが、時々患者の不服従をもたらす、困難で、不都合で、疼痛を伴いそして不快な方法である。
【0004】
従って、原則的には、経皮的送達は、これがなければ、皮下注射もしくは静脈内注射により送達される必要があるであろう薬剤を投与する方法を提供する。経皮的薬剤送達はこれらの双方の領域に改善をもたらす。経口送達に比較して経皮的送達は消化管の激しい環境を回避し、胃腸の薬剤代謝を迂回し、初回通過効果を減少し、そして消化酵素および肝臓の酵素による可能な不活性化を回避する。逆に、消化管は経皮的投与中は薬剤に暴露されない。実際に、アスピリンのような多数の薬剤が消化管に副作用を有する。しかし、多くの場合、受動的経皮的経路による多数の薬剤の送達速度もしくは流量は治療的に有効であるには限定的過ぎる。
【0005】
「経皮的」の用語は本明細書では皮膚層を横切る薬剤の通過を表わす全般的な用語として使用される。用語「経皮的」は手術用ナイフで切開するか、もしくは皮下注射針による皮膚の穿刺のような皮膚の実質的切開もしくは貫通なしに、局所組織もしくは全身の循環系への皮膚をとおる物質(例えば薬剤のような治療剤)の送達を表わす。経皮的物質送達は受動的拡散による送達並びに電気(例えばイオン誘導法)および超音波(例えば音波誘導法)を含む外部エネルギー源に基づく送達を含む。薬剤は角質層および表皮の双方を横切って拡散するが、角質層をとおる拡散速度はしばしば限定的段階である。治療的投与量を達成するために、多数の化合物は単なる受動的経皮的拡散により達成することができる速度よりも高い送達速度を必要とする。経皮的薬剤送達は注射に比較すると、関連する疼痛を回避し、感染の可能性を減少する。
【0006】
理論的には、蛋白質は胃腸の分解を受け易く、低い胃腸摂取率を示し、そして経皮的装置は注射よりも患者に受容されるので、薬剤投与の経皮的経路は多数の治療的蛋白質の送達に有利であることができると考えられる。しかし、医薬として有用なペプチドおよび蛋白質の経皮的流量はしばしば、これらの分子の大きいサイズ/分子量により、治療的に有効であるには不十分である。送達速度もしくは流量はしばしば、所望の効果をもたらすには不十分であるかもしくは薬剤が標的部位に到達する前に、例えば患者の血流中にある間に分解される。
【0007】
経皮的薬剤送達系は概括的に薬剤を投与するために受動的拡散に依存し、他方、能動的経皮的薬剤送達系は薬剤を送達するために外部エネルギー源(例えば電気)に依存する。受動的経皮的薬剤送達系がより一般的である。受動的経皮系は、薬剤がそこで皮膚をとおって、患者の身体組織もしくは血流中に拡散する皮膚に接触するようになっている、高濃度の薬剤を含む薬剤容器を有する。経皮的薬剤流量は皮膚の状態、薬剤分子のサイズおよび物理的/化学的特性並びに皮膚を横切る濃度勾配に左右される。多数の薬剤に対する皮膚の低い透過性のために経皮的送達は限定された適用を有してきた。この低い透過性は主として、脂質の2層により囲まれたケラチン繊維(ケラチン生成細胞)で充填された平坦な死滅した細胞から成る一番外側の皮膚層の角質層に起因する。脂質の2層のこの著しく規則正しく配列された構造が角質層に比較的非透過性の特徴を与える。
【0008】
受動的経皮的拡散性薬剤流量を増加する1つの一般的方法は薬剤、皮膚透過性促進剤で皮膚を前処理するかもしくは同時投与することを伴なう。透過性促進剤は薬剤がそれをとおって送達される体表に適用されると、そこをとおる薬剤の流量を増加する。しかし、経皮的蛋白質流量を増加するこれらの方法の効果は、少なくともより大きい蛋白質にとってはそれらのサイズにより限定されてきた。
【0009】
能動的輸送系は角質層をとおる薬剤流量を補助するために外部エネルギー源を使用する。経皮的薬剤送達の1つのこのような促進は「電気輸送(electrotransport)」と呼ばれる。この機序は、皮膚のような体表をとおる物質の輸送を補助するために電流の適用をもたらす電圧を使用する。他の能動的運搬系は外部エネルギー源として超音波(音波誘導装置)および熱を使用する。
【0010】
経皮的に送達される薬剤の量を増加するために、一番外側の皮膚層を機械的に貫通もしくは破壊して、それにより皮膚中への経路を形成する多数の試みも実施された。スカリファイヤー(scarifiers)として知られる早期のワクチン接種装置は概括的に、皮膚に適用して、適用部位を引っ掻くかもしくは小さい切開を形成する複数の歯(tines)もしくは針を有した。ワクチンはRabenauに認可された特許文献1のように皮膚上に局所的にまたはGalyに認可された特許文献2、もしくはChacornacに認可された特許文献3、もしくはKravitzに認可された特許文献4のようなスカリファイアーの歯に適用された湿潤液としてのいずれかで適用された(特許文献1、2、3および4参照)。一部は、患者に免疫を与えるのに有効であるためにはごく少量のワクチンを皮膚に送達する必要があるのみなので、スカリファイアーが皮膚内ワクチン送達のために示唆されてきた。更に、最少量のみならずまた、過剰量が満足な免疫を達成するので、送達されるワクチンの量は特に重要ではない。しかし、薬剤を送達するためにスカリファイアーを使用する際の重大な欠点は経皮的薬剤流量および送達される結果的投与量を決定する点の困難である。更に、凹んで穿刺に抵抗する皮膚の伸縮性、変形性および弾力性により、小さい穿刺要素はしばしば、皮膚を均一に貫通せず、そして/もしくは皮膚貫通時に薬剤の液体被膜をふき取られる。更に、皮膚の自己治癒過程により、皮膚に作られた刺し傷もしくは切り傷は角質層から穿刺要素を取り外し後、閉鎖する傾向がある。従って、皮膚の伸縮性が、皮膚中へのこれらの要素の貫通時に、小さい穿刺要素に適用されてあった活性剤の被膜を取り除くように働く。更に、穿刺要素により形成された小さい切り傷は装置の取り外し後早急に治癒し、従って穿刺要素により形成された通路をとおる薬剤の通過を限定し、順次、このような装置の経皮的流量を限定する。
【0011】
経皮的薬剤送達を促進するために小さい皮膚穿刺要素を使用するその他の装置は特許文献5、Godhall等に認可された特許文献6、Ganderton等に認可された特許文献7、Gross等に認可された特許文献8、Lee等に認可された特許文献9、Gerstel等に認可された特許文献10、Kravitz等に認可された特許文献11並びに、PCT刊行物の特許文献12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24および25に開示されており、それらはすべてそれらの全体を引用により取り込まれている(特許文献5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24および25参照)。これらの装置は皮膚の一番外側の層(すなわち角質層)を穿刺するために様々な形態およびサイズの穿刺要素を使用する。これらの参考文献中に開示された穿刺要素は概括的に、パッドもしくはシートのような薄い平坦な部材から垂直に延伸する。幾つかのこれらの装置の穿刺要素は極めて小さく、幾つかは約25〜400μmのみのディメンション(すなわち細石歯の長さおよび幅)および約5〜50μmのみの細石歯の厚さを有する。これらの小さい穿刺/切開要素はそれに対応して、それをとおる促進された経皮的薬剤送達のために角質層に小さい微細切れ目/微細切開を形成する。
【0012】
概括的にこれらの系は、装置自体の中空の歯によるような、薬剤を保持するための容器および更に、容器から角質層をとおって薬剤を移動させるための送達系を含む。このような装置の1例は液体薬剤容器を有する特許文献26に開示されている(特許文献26参照)。容器は小さいチューブラの要素をとおってそして皮膚中に液体薬剤を押し込むために加圧しなければならない。これらのような装置の欠点には加圧可能な液体容器を付け加えるための付加される複雑さおよび経費並びに圧力駆動送達系の存在による複雑さが含まれる。
【0013】
物理的容器の代わりに、微細突起物上に被覆して送達することができる薬剤をもつことが可能である。これは容器および容器のために特定の薬剤調製物もしくは組成物を開発する必要を排除する。
【0014】
薬剤溶液が微細突起物に適用される時に、形成される被膜が均一で、均等に適用されることが重要である。これはより大量の薬剤を微細突起物上に保持させ、更に、一旦装置が皮膚に適用され、角質層が穿刺された後に間質流体中への薬剤の大量の溶解を可能にする。
【0015】
更に、均一な被膜は貯蔵中そして皮膚中への挿入中の両方の間のより大きい機械的安定性をもたらす。弱く、非連続的被膜は製造および貯蔵中に剥離し、皮膚中への微細突起物の適用中に皮膚により払拭されやすい。
【特許文献1】米国特許第5,487,726号明細書
【特許文献2】米国特許第4,453,926号明細書
【特許文献3】米国特許第4,109,655号明細書
【特許文献4】米国特許第3,136,314号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 407063号明細書
【特許文献6】米国特許第5,869,326号明細書
【特許文献7】米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献8】米国特許第5,279,544号明細書
【特許文献9】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献10】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献11】Reissue25,637号
【特許文献12】国際公開第96/37155号パンフレット
【特許文献13】国際公開第96/37256号パンフレット
【特許文献14】国際公開第96/17648号パンフレット
【特許文献15】国際公開第97/03718号パンフレット
【特許文献16】国際公開第98/11937号パンフレット
【特許文献17】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献18】国際公開第97/48440号パンフレット
【特許文献19】国際公開第97/48441号パンフレット
【特許文献20】国際公開第97/48442号パンフレット
【特許文献21】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献22】国際公開第99/64580号パンフレット
【特許文献23】国際公開第98/28037号パンフレット
【特許文献24】国際公開第98/29298号パンフレット
【特許文献25】国際公開第98/29365号パンフレット
【特許文献26】国際公開第93/17754号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の装置および方法は、乾燥した均一な被膜で被覆された微細突起物を有する微細突起物装置を使用して薬理学的活性剤を経皮的に送達することによりこれらの制約を克服する。本発明は複数の角質層穿刺微細突起物上に均一な被膜を有することにより、好ましくは哺乳動物そしてもっとも好ましくはヒトの角質層をとおして薬理学的活性剤を送達するための装置および方法に関する。薬理学的活性剤は複数の皮膚穿刺微細突起物上に形成された乾燥被膜として送達される時に治療的に有効であるために十分強力であるように選択される。更に、薬剤は微細突起物を被覆するために必要な溶解度および粘度を有する被覆水溶液を形成するのに十分な水に対する溶解度をもたなければならない。
【0017】
均一な被膜の形成はそれが微細突起物に適用される時に薬剤調製物の湿潤性を高めることにより達成することができる。この促進は薬剤溶液の適用もしくは、次に微細突起物に適用される薬剤溶液中に様々な湿潤剤および界面活性剤を取り込む前に、微細突起物の表面処理により達成することができる。
【0018】
微細突起物アレイは通常、ステンレス鋼もしくはチタンのような金属から製造される。微細突起物がチタンから製造される場合は、微細突起物の外面は通常、酸化され、それが酸化チタンの薄膜を形成し、それが表面に疎水性を与える。容易に酸化しないステンレス鋼およびその他の金属および合金もまた、疎水性を提示する。シリコンもしくはプラスチックのような、微細突起物を製造するために使用することができると考えられる他の物質も疎水性を提する。
【0019】
微細突起物の表面特性を変化させると考えられる処理には化学的前エッチング、プラズマ処理および熱処理による孔の形成が含まれる。微細突起物表面をアルカリ性洗剤リンスで洗浄することも有効である。微細突起物の表面エネルギーを変える様々な処理は薬剤調製物で微細突起物を均一に被覆する能力に重要な影響をもつことができる。湿潤剤による微細突起物表面の処理がもっとも好ましい。
【0020】
この最後の場合には、微細突起物アレイを湿潤剤を含む溶液中に浸けるかもしくはそれを噴霧する。次に薬剤溶液を1もしくは複数の標準方法により適用する。湿潤剤の溶液と薬剤溶液の処理の中間に、微細突起物をすすぎ、そして/もしくは乾燥することができる。
【0021】
湿潤剤は概括的に両親媒性分子と説明することができる。湿潤剤を含む溶液を疎水性基材に適用すると、分子の疎水性基が疎水性基材と結合し、他方、分子の親水性部分は水と接触を保つ。その結果、基材の疎水性表面が今度は湿潤剤の親水性基で被覆され、調製物によるその後の湿潤化を受け易くする。
【0022】
湿潤剤はまた、界面活性剤を含む。これらはSDS等のように負に帯電する。それらはまた、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、TMAC、ベンズアルコニウムクロリドのよう正に帯電するか、もしくはツウィーン(特にツウィーン20およびツウィーン80)、ソルビタンもしくはラウレスのように中性であることもできる。これらの湿潤剤は臨界ミセル濃度(CMC)以上においてそれらの最大効果を示し、その効果はCMCより約1桁小さい数字の低い濃度で明らかである。湿潤剤にはまた、両親媒性を有するポリマーが含まれる。これらには、HEC、HPC、HPMC、MC、HEMC、EHECおよびプルロニックのようなセルロース誘導体が含まれる。これらの両親媒性ポリマーはまた、その溶液の湿潤性にも影響する溶液の粘度を変えるために使用することができる。幾つかの蛋白質およびペプチドは溶液中で湿潤性を示し、それは溶液中に界面活性剤を含むことにより更に高めることができることは注目に値する。
【0023】
薬剤溶液中の湿潤剤
湿潤剤による微細突起物の前処理の外に、湿潤剤は微細突起物を被覆するために使用される薬剤調製物中に取り込むことができる。この方法は、ペントサンポリスルフェートもしくは小分子量のヘパリンのような多糖類薬剤、プラスミドDNAもしくはオリゴヌクレオチドのような核酸誘導体およびニコチンもしくはフェンタニルのような分子量の低い親水性薬剤により特に有用である。更に、いくらかの湿潤性を示すポリペプチドを使用する時ですら、薬剤調製物中への湿潤剤の添加は有利である。
【0024】
本発明の好ましい態様は有益な薬剤および湿潤剤の溶液を微細突起物に適用し、次に乾燥して被膜を形成することにより、複数の微細突起物上に被覆された有益な薬剤を、角質層をとおして送達するための装置から成る。微細突起物は場合により微細突起物上に形成される被膜の均一性を高めるために表面処理される。その装置は複数の、そして好ましくは多数の角質層穿刺微細突起物を有する部材を含んで成る。各微細突起物は500μm未満の長さもつか、もしくは500μmより長い場合は、微細突起物が確実に500μm以下の深度まで皮膚を貫通する手段が提供される。これらの微細突起物はその上に乾燥した被膜を有する。乾燥前の被膜は薬理学的活性剤および湿潤剤の水溶液を含んで成る。薬理学的活性剤は微細突起物上に合理的に適用もしくは被覆することができる用量で医薬として有効であるのに十分強力である。溶液は一旦微細突起物の表面上に被覆されると、医薬としての有効量の薬理学的活性剤を与える。被膜は更に当該技術分野で知られた乾燥法を使用して微細突起物上で乾燥される。
【0025】
本発明のもう1つの好ましい態様は、薬理学的活性剤を経皮的に送達するための装置の製法から成る。その方法は、複数の角質層穿刺微細突起物を有する部材を提供することを含んで成る。薬理学的活性剤プラス湿潤剤の水溶液を微細突起物に適用し、次に乾燥すると、乾燥した薬剤含有被膜をその上に形成する。薬理学的活性剤は被膜内に含むことができる用量で医薬として有効であるほど十分に強力である。組成物はそれらの条件により薬理学的活性剤が不活性にならない限りあらゆる温度で調製することができる。微細突起物の表面上に一旦被覆されると溶液は医薬として有効量の薬理学的活性剤を提供する。
【0026】
被膜の厚さは好ましくは微細突起物の厚さより薄い、より好ましくはその厚さは50μm未満、そしてもっとも好ましくは25μm未満である。概括的に被膜の厚さは微細突起物上で測定された平均の厚さである。
【0027】
もっとも好ましい薬剤はACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレッシン、LHRH、LHRH類似体、ゴセレリン、ロイプロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレッシン、脱アミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GRF)および医薬として許容できるそれらの塩を含むこれらの薬剤の類似体、から成る群から選択される。好ましい薬剤は更に、通常のワクチン並びにDNAワクチン並びに、フェンタニル、スフェンタニルおよびレミフェンタニルのような小分子量の強力な薬剤を含む。
【0028】
被膜は既知の被覆法を使用して微細突起物に適用することができる。例えば微細突起物を2002年3月15日出願の係属米国特許出願第10/099604号明細書に記載のような薬剤の被覆水溶液中に浸漬もしくは一部浸漬することができる。
【0029】
あるいはまた、被覆溶液を微細突起物上に噴霧することができる。噴霧物は好ましくは、約12〜200ピコリッターの液滴サイズを有する。液滴サイズおよび配置はより好ましくは、被覆溶液が微細突起物上に直接に付着し、そして微細突起物を有する部材の他の「非穿刺」部分には付着しないように印刷法を使用して正確に制御される。
【0030】
本発明のもう1つのアスペクトにおいて、角質層穿刺微細突起物はシートから形成され、そこで、微細突起物がシートをエッチングもしくは押し抜きにより形成し、次に微細突起物をシートの面から折り出すかもしくは曲げ出す。薬理学的活性剤の被膜は微細突起物の形成前にシートに適用することができるが、被膜は好ましくは、微細突起物が切断、もしくはエッチングされた後に、しかしシートの面から折り出す前に適用される。微細突起物がシートの面から折り出されるかもしくは曲げられた後の被覆がもっとも好ましい。
【0031】
次に、本発明は付記の図面および図に示された好ましい態様について更に詳細に説明される。
【0032】
発明の実施法
定義:
本明細書に使用される以下の用語は別記されない限り以下の意味を有する。
【0033】
用語は「経皮的」は局所もしくは全身治療のための皮膚中へのおよび/もしくは皮膚をとおる薬剤の送達を意味する。
【0034】
「経皮的流量」の用語は経皮的送達の速度を意味する。
【0035】
本明細書で使用される「同時送達する(co−delivering)」の用語は1もしくは複数の補助剤が、薬剤が送達される前、薬剤の経皮的流れの前およびその間中、薬剤の経皮的流れの間中、薬剤の経皮的流れの間中およびその後、並びに/または薬剤の経皮的流れの後のいずれかに経皮的に投与されることを意味する。更に、2種以上の有効な薬剤を微細突起物上に被覆して、有効な薬剤の同時送達をもたらすことができる。
【0036】
本明細書で使用される「薬理学的活性剤(pharmacologically active agent)」の用語は治療的有効量を投与されるときに薬理学的に有効である薬剤を含む物質の組成物もしくは混合物を表わす。このような活性剤の例には、それらに限定はされないが、黄体ホルモン(leutinizing hormone)放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLHのような)、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似体(ACTH(1−24)のような)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレッシン、脱アミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)およびグルカゴンが含まれる。2種以上の薬剤を本発明の方法における薬剤調製物中に取り込むことができ、そして「薬理学的活性剤」の用語の使用は2種以上のこのような物質もしくは薬剤の使用を排除するものでは全くないことを理解することができる。薬剤は遊離塩基、酸、帯電もしくは非帯電分子、分子錯体の成分もしくは非刺激性の、薬理学的に許容できる塩のような様々な形態にあることができる。更に、身体のpH、酵素、等において容易に加水分解される、薬剤の簡単な誘導体(エーテル、エステル、アミド等のような)も使用することができる。
【0037】
「治療的有効量」もしくは「治療的有効流量」の用語は所望の治療的、しばしば有効な結果をもたらすために要する薬理学的活性剤の量もしくは流量を表わす。被膜中に使用される薬剤量は所望の治療的結果をもたらすために、治療的有効量の薬剤を送達するために必要な量であろう。実際的には、これは送達される具体的な薬理学的活性剤、送達部位、処置されている状態の重篤度、所望の治療効果並びに皮膚組織中への被膜からの薬剤の送達に対する溶解および放出動力学に応じて広範に変動するであろう。本明細書に記載の方法に従って微細突起物中に取り込まれた、そして経皮的に送達された薬理学的活性剤の治療的有効量の正確な範囲を規定することは実際的ではない。
【0038】
「微細突起物」の用語は生存動物、特に哺乳動物そして更に具体的にはヒトの皮膚の基底表皮層、もしくは表皮層および真皮層中に角質層をとおって穿刺もしくは切開するようになっている穿刺要素を表わす。穿刺要素は出血をもたらす深度までは皮膚を穿刺してはならない。具体的には、穿刺要素は500ミクロン未満、そして好ましくは250ミクロン未満の刃長を有する。微細突起物は具体的には約5〜50ミクロンの幅および厚さを有する。微細突起物は針、中空針、刃、ピン、パンチおよびそれらの組み合わせ物のような異なる形態に形成することができる。
【0039】
本明細書で使用される「微細突起物アレイ」の用語は角質層を穿刺するためのアレイに配列された複数の微細突起物を表わす。微細突起物アレイは薄いシートから複数の微細突起物をエッチングもしくは押し抜きし、シートの面から微細突起物を折り出すかもしくは曲げ出して、図1に示したもののような構造を形成することにより形成することができる。微細突起物アレイはまた、Zuckの米国特許第6,050,988号明細書に開示されたような1もしくは複数のストリップそれぞれの縁に沿って微細突起物をもつ1もしくは複数のストリップを形成することによるような他の周知の方法でも形成することができる。微細突起物アレイは乾燥した薬理学的活性剤を保持する中空の針を含むことができる。
【0040】
シートもしくは部材の領域への言及、およびシートもしくは部材の領域についての何か特徴の言及はシートの外周もしくは境界により限定された領域につき言及している。
【0041】
「パターン被覆」の用語は微細突起物の選択された領域上に薬剤を被覆することを表わす。1微細突起物アレイ上に2種以上の薬剤をパターン被覆することができる。パターン被膜はミクロピペットおよびインクジェット被覆のような周知のミクロ流体分配法を使用して微細突起物に適用することができる。
【0042】
本発明はそれを必要とする患者に薬理学的活性剤を経皮的に送達するための装置を提供する。当該装置はそれから延伸する複数の角質層穿刺微細突起物を有する。微細突起物は基底表皮層もしくは表皮と真皮層中に角質層をとおして穿刺するが、毛細血管床まで到達して重大な出血を引き起こすほど深く侵入しないようになっている。微細突起物は薬理学的活性剤を含む乾燥した被膜をその上に有する。皮膚の角質層を穿刺すると、薬剤含有被膜が体液(間質液のような細胞内液および細胞外液)により溶解されて、局所もしくは全身治療のために皮膚内に放出される。
【0043】
薬剤含有被膜の溶解および放出の動力学は薬剤の特性、被覆法、被膜の厚さおよび被膜の組成(例えば被膜調製添加剤の存在)を含む多数の因子に左右されるであろう。放出動力学プロファイルに応じて、延長した期間(例えば約8時間までも)、被覆された微細突起物を皮膚と穿刺関係に維持することが必要かも知れない。これは接着剤を使用して皮膚に微細突起物部材を固定することによりもしくは、その全体を引用により取り込まれている国際公開第97/48440号パンフレットに記載のような固定微細突起物を使用することにより達成することができる。
【0044】
図1は本発明による使用のための角質層穿刺微細突起物部材の1態様を表わす。図1は複数の微細突起物10を有する部材の一部を示す。微細突起物10は開口部14を有するシート12から実質的に90°の角度で延伸する。シート12はシート12のための裏材料を含む送達パッチ中に取り込むことができ、更に皮膚へのパッチの接着のための接着剤を含むことができる。この態様において、微細突起物は薄い金属シート12から複数の微細突起物10をエッチングもしくは押し抜きし、シート面から微細突起物10を曲げ出すことにより形成される。ステンレス鋼およびチタンのような金属が好ましい。金属の微細突起物部材はTrautman等の米国特許第6,083,196号、Zuckの米国特許第6,050,988号およびDaddona等の米国特許第6,091,975号明細書(それらの開示が引用により本明細書中に取り込まれている)に開示されている。本発明とともに使用することができる他の微細突起物部材はシリコンチップエッチング法を使用してシリコンをエッチングすることにより、もしくはエッチングされた微細成形物を使用してプラスチックを成形することにより形成される。シリコンおよびプラスチック微細突起物部材はその開示が引用により本明細書に取り込まれているGodshall等の米国特許第5,879,326号明細書に開示されている。
【0045】
図2は薬理学的活性剤含有被膜16を有する微細突起物10を有する微細突起物部材を表わす。被膜16は微細突起物10を部分的もしくは完全に被覆することができる。例えば被膜は微細突起物上の乾燥パターン被膜であることができる。被膜は微細突起物が形成される前もしくは後に適用することができる。
【0046】
微細突起物上の被膜は様々な周知の方法により形成することができる。1つのこのような方法は浸漬被覆である。浸漬被覆は微細突起物を薬剤含有被覆溶液中に一部もしくは全体を浸漬することにより微細突起物を被覆する手段として説明することができる。あるいはまた、装置全体を被覆溶液中に浸漬することができる。皮膚を穿刺する微細突起物部材のこれらの部分のみを被覆することが好ましい。
【0047】
前記の部分的浸漬法の使用により、被膜を微細突起物の先端のみに限定することができる。微細突起物の先端に被膜を限定するローラー被覆機構も存在する。この方法は引用により本明細書に完全に取り込まれている、2001年3月16日出願の米国特許出願(第10/099,604号)明細書に記載されている。
【0048】
その他の被覆法には、微細突起物上に被覆溶液を噴霧することが含まれる。噴霧は被覆組成物のエアゾール懸濁液の形成を包含することができる。好ましい態様において、約10〜200ピコリッターの液滴サイズを形成するエアゾール懸濁液を微細突起物上に噴霧し、次に乾燥する。もう1つの態様において、パターン被膜18として図2に示すような微細突起物10上に非常に少量の被覆溶液を付着させることができる。パターン被膜18は微細突起物表面上に付着される液体を配置するための分配システムを使用して適用することができる。付着される液体の量は好ましくは0.5〜20ナノリッター/微細突起物1個の範囲にある。適切な正確に計量される液体分配装置の例は、その開示が引用により本明細書に取り込まれている、米国特許第5,916,524号,第5,743,960号、第5,741,554号および第5,738,728号明細書に開示されている。微細突起物被覆溶液はまた、周知のソレノイド弁分配装置を使用するインクジェット法、場合による流体動力法および、概括的に電界の使用により制御される配置法、を使用して適用することができる。印刷産業からの他の液体分配法もしくは当該技術分野で周知の類似の液体分配法を本発明のパターン被膜を適用するために使用することができる。
【0049】
本発明に使用される被覆溶液は薬理学的活性剤および場合により湿潤剤の溶液もしくは懸濁液である。微細突起物を適当に有効に被覆するためには、溶液は約200センチポアズ未満で3センチポアズより大きい粘度をもたなければならない。被覆溶液の粘度は調製物の薬剤濃度を変更することによるか、もしくはセルロース誘導体のような粘度増加剤の添加もしくは蔗糖、トレハロース、メレジトース、ソルビトール、マンニトール等のような賦形剤で固体含量を増加することにより調整することができる。
【0050】
所望の被膜厚さはシートの単位面積当りの微細突起物の密度並びに被膜組成物の粘度および濃度並びに選択される被覆法に左右される。より厚い被膜は角質層穿刺の際に微細突起物を脱却させる傾向を有するので、被膜の厚さは概括的に50ミクロン未満でなければならない。好ましい被膜の厚さは微細突起物の表面から測定して10ミクロン未満である。被膜の厚さは概括的に被覆された微細突起物上で測定された平均被膜厚さを意味する。より好ましい被膜の厚さは約1〜10ミクロンである。
【0051】
本発明に使用される薬剤は約10ミクログラム〜約2ミリグラムの用量を必要とする。この範囲内の量は10cmまでの面積および1cm当り1000個までの微細突起物密度をもつシート12を有する図1に示したタイプの微細突起物アレイ上に被覆することができる。
【0052】
前記の特性を有する好ましい薬理学的活性剤はデスモプレッシン、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびLHRH類似体(例えばゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン)、PTH、カルシトニン、バソプレッシン、脱アミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、メノトロピン(ウロフォロトロピン(FSH)および黄体ホルモン(LH))、エリスレポエトリン(EPO)、GM−CSF、G−CSF、IL−10、GRF、通常のワクチン、DNAワクチンおよびグルカゴンから成る群から選択される。
【0053】
すべての場合に被膜を適用後に、被覆溶液を様々な方法により微細突起物上で乾燥する。好ましい態様において、被覆された装置を周囲の室状態で乾燥する。しかし、微細突起物上の被覆溶液を乾燥するために様々な温度および湿度レベルを使用することができる。更に、装置を加熱し、凍結乾燥し(lyophilized)、凍結乾燥し(freeze dried)もしくは被膜から水分を除去するための類似の方法を使用することができる。
【0054】
それらが被覆溶液の必要な溶解度および粘度の特徴並びに乾燥された被膜の物理的保全性に悪影響を与えない限り、その他の周知の調製補助剤を被覆溶液に添加することができる。
【0055】
以下の実施例は当業者に本発明をより明快に理解し実施させるために与えられる。それらは本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単にその代表として具体的に示される。
【実施例1】
【0056】
湿潤剤による微細突起物の前処理の方法の1例として、以下の試験を実施した。
【0057】
低い湿潤性を有するペントサンポリスルフェート(PPS)をモデル剤として使用した。20重量%のPPSを水中で調製した。0.001Mの濃度のフルオレセインもこの溶液中に含まれた。フルオレセインは形成された被膜の視覚的顕微鏡的評価を補助するために含まれた。
【0058】
チタンのフォイルストリップを最初にアセトンで洗浄し、次にナトリウムドデシルスルフェート(SDS)の0.1%溶液中に浸漬した。ストリップを水で洗浄し、吸い取り法により乾燥した。次にストリップをPPS溶液中に浸漬し、室温で1時間放置乾燥した。更なる未処理のおよび前エッチングしたチタンストリップもPPS溶液に浸漬し、乾燥した。蛍光顕微鏡下でストリップを視覚的に観察することにより評価を実施した。結果は湿潤剤によるチタンフォイルのストリップの前処理は未処理のもしくは前エッチング材料に比較すると被覆均一性を改善したことを示した。
【実施例2】
【0059】
低い湿潤性をもつ薬剤
低い湿潤性をもつモデル薬剤としてペントサンポリスルフェート(PPS)を使用した。水中に20重量%のPPS溶液を調製した。この溶液に、異なる濃度の様々な湿潤剤を添加した。被膜の評価のためにすべての溶液に0.001Mのフルオレセインも存在した。チタンフォイルのストリップをアセトンで洗浄し、溶液に浸漬し、室温で1時間放置乾燥した。被膜の評価を蛍光顕微鏡により視覚的に実施した。各試験調製物からもたらされた被膜を低い、中程度もしくは良好として評価した。結果は湿潤剤が被膜の均一性を改善することを示す(表1)。更に、顕微鏡は乾燥すると非晶質のガラス状物質が得られたことを示した。再水和後の混合物の溶解は非常に早かった。
【0060】
【表1】

【実施例3】
【0061】
低い湿潤化特性をもつ担体マトリックス中に含まれる低濃度の薬剤
モデルの担体としてメレジトース(2分子のブドウ糖および1分子の果糖から成る三糖体、分子量504.44)を、そしてモデル薬剤としてオボアルブミンを使用した。20重量%のメレジトース、0.1重量%のオボアルブミン溶液を水中に調製した。この溶液に、異なる濃度の様々な湿潤剤を添加した。すべての溶液中に被膜の評価のために0.001Mのフルオレセインも存在した。アセトンで洗浄したチタンフォイルのストリップを溶液に浸漬し、室温で1時間放置乾燥した。蛍光顕微鏡により評価を実施した。結果は湿潤剤が被膜の均一性を改善することを示す(表2)。更に、顕微鏡により乾燥時に非晶質のガラス状物質が得られたことが示された。再水和後の混合物の溶解は非常に早かった。
【0062】
【表2】

【0063】
この濃度ではオボアルブミンは良好な湿潤性を示さないことに注意されたい。より高濃度のオボアルブミンは調製物の被覆性を改善するために湿潤剤の添加を必要とするとは考えられない。
【実施例4】
【0064】
低い湿潤性をもつ担体マトリックス中に含まれる薬剤粒子
メレジトースをモデルの担体として、そして2ミクロン粒径の蛍光ビーズをモデル薬剤粒子として使用した。20重量%のメレジトース、2重量%のビーズの溶液を水中に調製した。この溶液に、異なる濃度の様々な湿潤剤を添加した。すべての溶液中に被膜の評価のために0.001Mのフルオレセインも存在した。アセトンで洗浄したチタンフォイルのストリップを溶液に浸漬し、室温で1時間放置乾燥した。蛍光顕微鏡により評価を実施した。結果は湿潤剤が被膜の均一性を改善することを示す(表3)。更に、顕微鏡によりメレジトースの非晶質マトリックスが蛍光粒子を囲むことが示された。これらの粒子は再水和後容易に遊離された。
【0065】
【表3】

【実施例5】
【0066】
粘度の効果
低い湿潤性をもつモデル薬剤としてペントサンポリスルフェート(PPS)を使用した。45%w/wPPS溶液を水中に調製した。調製物の粘度を評価し、667s−1のずり速度において53センチポアズであることを認めた。調製物の接触角は90°であった。接触角は基材の支持面と、基材との液滴の接点における接線の間の角度、と定義することができる。被膜は約30%のCVによりかなり均一であることが認められた。この実施例は粘度の重要性を強調する。この実施例において、溶液の粘度を増加すると、均一な被膜をもたらした(湿潤剤を含まない調製物による表1実施例2を参照されたい)。
【0067】
以下の表は粘度を変え、蔗糖の濃度を変えることにより、湿潤性の低い溶液の湿潤性を界面活性剤の使用を伴なわずに高めることができることを表わす。
【0068】
【表4】

【0069】
以上の実施例は表面の前処理法と薬剤調製物中への湿潤剤の添加を別々に考察したが、これらの2法は考察されたように別々にもしくは1態様中で双方で使用することができる。
【0070】
本発明は具体的な実施例について説明されたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに当業者により様々な修飾物および変化物を容易に形成することができることを理解しなければならない。従って、以上の開示は具体的例として理解するべきであり、限定的意味で解釈してはならない。本発明は以下の請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】微細突起物アレイの1例の一部の遠近図である。
【図2】微細突起物上に付着された被膜を伴なう図1の微細突起物アレイの遠近図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1もしくは複数の微細突起物から成る微細突起物アレイを提供すること、
化学的前エッチング、プラズマ処理、熱処理、アルカリ性洗剤による洗浄および湿潤剤による洗浄、から成る群から選択される方法で前記微細突起物アレイの1もしくは複数の前記微細突起物の表面を処理すること、
活性剤を含んで成る被覆調製物を提供すること、
前記の1もしくは複数の微細突起物の前記の処理された表面に前記の被覆調製物を適用すること、および
前記表面上の前記被覆調製物を乾燥して被膜を形成すること、
の段階を含んで成る微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項2】
前記被覆調製物が薬理学的に有効量の前記薬剤を含む請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項3】
前記処理段階が化学的前エッチングを含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項4】
前記処理段階がプラズマ処理を含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項5】
前記処理段階が熱処理を含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項6】
前記処理段階がアルカリ性洗剤で1もしくは複数の微細突起物の少なくとも1表面を洗浄することを含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項7】
前記処理段階が湿潤剤で1もしくは複数の微細突起物の少なくとも1表面を洗浄することを含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項8】
前記湿潤剤が界面活性剤を含んで成る請求項7に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項9】
前記界面活性剤がナトリウムドデシルスルフェート、セチルピリジニウムクロリド、TMAC、ベンズアルコニウムクロリド、ツウィーン(tweens)、ソルビタンおよびラウレスから成る群から選択される界面活性剤を含んで成る請求項8に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項10】
前記湿潤剤が臨界ミセル濃度以上の濃度で存在する請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項11】
前記湿潤剤がHEC、HPC、HPMC、MC、HEMC、EHECおよびプルロニックから成る群から選択される湿潤剤を含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項12】
前記湿潤剤が蛋白質およびペプチドから成る群から選択される湿潤剤を含んで成る請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項13】
前記ツウィーンがツウィーン20およびツウィーン80から成る群から選択されるツウィーンを含んで成る請求項9に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項14】
前記被覆調製物が約3センチポアズ〜約200センチポアズの粘度を有し、そして前記被覆調製物が約100度未満の接触角を有する請求項1に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項15】
1もしくは複数の微細突起物から成る微細突起物アレイを提供すること、
活性剤および湿潤剤を含んで成る被覆調製物を提供すること、
前記の1もしくは複数の微細突起物の前記表面に前記被覆調製物を適用すること、および
前記表面上の前記被覆調製物を乾燥して被膜を形成すること、
の段階を含んで成る微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項16】
前記被覆調製物が薬理学的有効量の前記薬剤を含む請求項15に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項17】
前記湿潤剤が界面活性剤を含んで成る請求項7に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項18】
前記界面活性剤がナトリウムドデシルスルフェート、セチルピリジニウムクロリド、TMAC、ベンズアルコニウムクロリド、ツウィーン、ソルビタンおよびラウレスから成る群から選択される界面活性剤を含んで成る請求項17に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項19】
前記湿潤剤が臨界ミセル濃度以上の濃度で存在する請求項15に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項20】
前記湿潤剤がHEC、HPC、HPMC、MC、HEMC、EHECおよびプルロニックから成る群から選択される湿潤剤を含んで成る請求項15に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項21】
前記湿潤剤が蛋白質およびペプチドから成る群から選択される湿潤剤を含んで成る請求項15に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項22】
前記ツウィーンがツウィーン20およびツウィーン80から成る群から選択されるツウィーンを含んで成る請求項18に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。
【請求項23】
前記被覆調製物が約3センチポアズ〜約200センチポアズの粘度を有しそして前記被覆調製物が約100度未満の接触角を有する請求項15に開示の微細突起物アレイの1もしくは複数の微細突起物の表面を被覆する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−500974(P2006−500974A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518065(P2004−518065)
【出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/020471
【国際公開番号】WO2004/002566
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(504460980)アルザ・コーポレーシヨン (2)
【Fターム(参考)】