説明

被覆のウェットエッジタイム及びオープンタイムの延長用低VOC添加剤

水分散性ロジン、高ガラス転移温度の水分散性ポリマー及び任意的な両親媒性成分を用いる低VOC被覆添加剤。この添加剤は、ワイプド・ウェットエッジタイム、オープンタイム、耐ブロッキング性、耐擦性、不粘着時間、光沢指触乾燥時間及び黄変度のような被覆の性能特性を改善するために、被覆に添加できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、被覆(coating)中の低揮発性有機化合物(VOC)添加剤の使用に関する。別の態様において、本発明は、水分散性ロジン及びガラス転移温度(Tg)が少なくとも20℃の水分散性ポリマーを含み、VOCが約20重量%未満である、被覆の乾燥特性を改善する働きをする添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基材(substrate)への装飾又は保護被覆の適用時には、一定期間の経過後のまだ乾いていない被覆中のむらを修復できることが必要とされている。例えば、このような修復は、既に被覆された基材上の、被覆のメイン領域又は被覆のエッジ(端部)への再ブラッシングによって、実施することができる。更に、被覆は基材への適用時に比較的短い非粘着時間を示すのが望ましい。長年、溶剤型被覆(solvent-based coating)は、典型的には、ほとんどの考えられる用途に使用されてきた。溶剤型被覆には、前記必要性を満たすように被覆組成物の乾燥特性を修正するために、有機溶剤が用いられている。例えば、30〜45分のオープンタイム(open time)を有する有機溶剤型アルキド樹脂が容易に入手できる。しかし、溶剤型被覆は比較的高いVOC含量を有する傾向がある。従って、被覆中のVOCに対する制約の増加のために、当業界の多くの人々が、水性被覆(aqueous coating)を種々の用途に用い始めた。
【0003】
しかし、水性被覆は典型的には、非粘着時間の増加に加えて、基材への適用後のまだ乾いていない被覆中のむらを修復するには充分とはいえないオープンタイム及びウェットエッジタイム(wet edge time)を示す。水性被覆は一般に、被覆中のバインダー材料として分散高分子量ポリマーを用いる。分散ポリマー粒子は被覆の適用後比較的すぐに適用被覆のエッジ領域で融合する傾向があるので、このようなポリマーの使用は、被覆組成物の乾燥時のウェットエッジタイムを短くする。連続フィルムが形成されると、被覆を含むポリマーの高い分子量のために、被覆の粘度は急速に増加し、ウェットエッジタイム及びオープンタイムが制限される。
【0004】
これらの欠陥を多少とも解決するために、典型的には、乾燥特性を改善するための添加剤を水性被覆と合する。より長いウェットエッジタイム又はオープンタイムを得るために、エチレングリコール又はプロピレングリコールのような小分子アルキレングリコールを組み入れることが、当業界ではよく行われている。しかし、このような小分子アルキレングリコールの添加は、被覆組成物の全VOC含量を増す。被覆中のVOC含量の許容量を制限する規制が増すにつれて、アルキレングリコールの量は多くの場合、低減させなければならず、それが非粘着時間の増加と共にウェットエッジタイム及びオープンタイムの低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、被覆のVOC含量を増加させず且つ他の被覆性能特性を損なうことなく、ウェットエッジタイム及びオープンタイムを延長できる添加剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様において、被覆の性能を向上させるための添加剤が提供される。この添加剤は、(a)水分散性ロジン及び(b)約20〜約160℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する水分散性ポリマーを含む。また、この添加剤は、約20重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)含量を有する。
【0007】
本発明の別の実施態様において、水;結合剤;及び添加剤を含む被覆が提供される。この添加剤は、(a)水分散性ロジン及び(b)約20〜約160℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーを含む。また、この添加剤は、約20重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)含量を有する。
【0008】
本発明の更なる実施態様において、水;結合剤;及び約20重量%未満のVOC含量を有する添加剤を含む被覆が提供される。更に、この被覆は、少なくとも約1.5分のワイプド・ウェットエッジタイム、約60分未満の指触乾燥時間、約2週間未満の非粘着時間、少なくとも約500サイクルの耐擦性及び4単位未満の黄変度(Δb)を有する。
【0009】
本発明の更に別の実施態様において、被覆添加剤の製造方法が提供される。この方法は、(a)ロジン酸を中和させ;そして(b)前記中和ロジン酸を、約20〜約160℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーと合することを含む。得られる、合した混合物は約20重量%未満のVOC含量を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施態様によれば、一般に水分散性ロジン、水分散性ポリマー及び任意的な両親媒性成分を含む、揮発性有機化合物(VOC)含量が低い添加剤が提供される。この添加剤は、基材に適用され且つ乾燥される場合に、例えばウェットエッジタイム、耐ブロッキング性、光沢度、耐擦性及び黄変度のような被覆の性質を改善するように、被覆中に使用できる。
【0011】
水分散性ロジンは、水への添加時に容易に水性分散液を形成する任意のロジンであることができる。一実施態様において、水分散性ロジンは、塩基によるロジン酸の中和によって形成される塩であることができる。ロジン酸は、天然及び/又は合成ロジン酸を含む、当業界で知られた任意のロジン酸であることができる。
【0012】
本発明の一実施態様において、添加剤は、添加剤中の固形分の総重量に基づき、少なくとも約1重量%の水分散性ロジンを含むことができる。更に、添加剤は、添加剤中の固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲、約10〜約90重量%の範囲又は20〜75重量%の範囲の水分散性ロジンを含むことができる。
【0013】
ロジン酸は、3つの天然ロジン源:ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジンのいずれかから得ることができる。ガムロジンは、生きている松の木の含油樹脂から得ることができ、ウッドロジンは、伐採された松の木の老化樹幹の心材から採取することができる。トール油ロジンは、クラフト硫酸塩パルプ化プロセスの副産物、粗製トール油(TCO)の蒸留によって得ることができる。CTOは典型的には70〜90%の酸性物質を含むことができ、含油樹脂及び老化樹幹の木材は約90%のロジン酸を含むことができる。更に、ロジン酸は天然源から直接得ることもできるし、或いは、例えば水素化、脱水素化又は重合によって化学処理して変性ロジン酸を生成することもできる。
【0014】
ロジン酸は、典型的な分子式C1929COOHを有するモノカルボン酸である。本発明の一実施態様において、ロジン酸はアビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、Δ−イソピマル酸、エリオチン酸(elliotinoic acid)及び/又はサンダラコピマル酸(sandaracopimaric acid)であることができる。2つの主なロジン酸成分は下記構造式:
【0015】
【化1】

【0016】
を有するアビエチン酸、及び下記構造式:
【0017】
【化2】

【0018】
を有するデヒドロアビエチン酸であることができる。
【0019】
典型的には、ロジン酸は、ロジン酸分子上のカルボン酸部分の存在のために特定の酸価を有するであろう。ロジン酸の酸価は、ASTM法D−465によって測定した場合にサンプル1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として表すことができる。本発明の一実施態様において、ロジン酸は少なくとも約80mgKOH/gの酸価を有することができる。更に、ロジン酸は約100〜約200mgKOH/gの範囲又は150〜175mgKOH/gの範囲の酸価を有することができる。
【0020】
市販のロジン酸の適当な例としては、FORAL AX−E(水素化ガムロジン;酸価(AN)165)、STAYBELITE Rosin−E(部分水素化ガムロジン;AN 162)、PAMITE 79(トール油ロジン;AN 164)、PAMITE 79−1(トール油ロジン;AN 158)、PAMITE 90(トール油ロジン;AN 175)、POLY−PALE(部分二量化ロジン;AN 142)、DYMEREX(二量化ロジン;AN 140)、POLYSTIX 90(部分二量化ロジン;AN 150)、DRESINATE(ロジン石けん)、及びPERMALYN NC−11(非晶質ロジン;AN 157)が挙げられるが、これらに限定するものではなく、これらは全てEastman Chemical Companyから入手できる。
【0021】
前述のように、ロジン酸は塩基で中和して塩を形成できる。本発明において有用な塩基は、2つの種類に分類することができる。第1の種類の塩基は、水溶液中でロジン酸中の酸性部分を中和することができるアルカリ金属塩基又はアルカリ土類金属塩基を含むことができる。このような塩基性組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に由来する塩基、例えばナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物及び他の塩基性金属化合物を含む。本発明において有用なこの第1の種類の塩基からの適当な塩基としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、アルカリ金属ホウ酸塩化合物及びそれらの水和物、燐酸ナトリウム、燐酸二水素カリウム及びピロリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0022】
一実施態様において、この第1の種類の塩基によるロジン酸の中和はロジン酸の金属塩を形成できる。このような金属塩としては、ロジン酸のナトリウム塩、ロジン酸のカリウム塩、ロジン酸のマグネシウム塩及びロジン酸のカリウム塩が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0023】
第2の種類の塩基は揮発性窒素塩基を含むことができる。このような塩基は、熱の作用によって又は周囲雰囲気への暴露時に揮発させることができる塩基的に反応する化合物を含むことができ、その例としては窒素化合物が挙げられる。本発明において有用なこの第2の種類の塩基からの適当な塩基としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリンが挙げられるが、これらに限定するものではない。この第2の種類の塩基によるロジン酸の中和は、例えばロジン酸のアンモニウム塩を形成できる。
【0024】
前述のように、本発明の一実施態様において、添加剤は更に水分散性ポリマーを含むことができる。水分散性ポリマーは、水への添加時に容易に水性分散液を形成できる任意のポリマーであることができる。一実施態様において、水分散性ポリマーは少なくとも約20℃のガラス転移温度(Tg)を有することができる。
【0025】
本発明の一実施態様において、添加剤は、添加剤中の固形分の総重量に基づき、少なくとも約1重量%の水分散性ポリマーを含むことができる。更に、添加剤は、添加剤中の固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲、約5〜約80重量%の範囲又は20〜75重量%の範囲の水分散性ポリマーを含むことができる。
【0026】
本発明の一実施態様において、水分散性ポリマーは、塩基による中和を供されたビニルポリマーであることができる。中和前に、ビニルポリマーはエチレン性不飽和モノマーから形成できる。エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種は、ビニルポリマーが少なくとも1つのカルボン酸末端基及び/又は少なくとも1つの無水物末端基を有するモノマー残基を含むことができるように、カルボン酸末端基及び/又は無水物末端基を有することができる。適当なカルボン酸及び/又は無水物含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸及び無水マレイン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0027】
本発明の一実施態様において、中和前のビニルポリマーは、前記カルボン酸及び/又は無水物含有モノマーと1種又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーから形成されたコポリマーであることができる。このようなエチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、イソプレン、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、トリメチロールプロピルトリアクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、カルボジイミドメタクリレート、C1〜C18アルキルクロトネート、ジ−n−ブチルマレエート、α−若しくはβ−ビニルナフタレン、ジオクチルマレエート、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、ジアリルマロネート、メトキシブテニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシブテニルメタクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエチレンカーボネート、エポキシブテン、3,4−ジヒドロキシブテン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、ブチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ブタジエン、ビニルエステルモノマー類、ビニル(メタ)アクリレート類、イソプロペニル(メタ)アクリレート、脂環式エポオキシメタ(アクリレート)類、エチルホルムアミド、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、2,2−ジメチル−1,4−ビニル−1,3−ジオキソラン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、モノビニルアジペート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N.N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−(2−メタクリロイルオキシ−エチル)エチレン尿素及びメタクリルアミド−エチレン尿素が挙げられるが、これらに限定するものではない。更なるモノマーは、The Brandon Associates,2nd edition,1992 Merrimack,N.H.及びPolymers and Monomers,the 1996−1997 Catalog(Polyscience,Inc.,Warrington,Pa)に記載されている。
【0028】
ビニルポリマーは、連鎖重合のための当業界で知られた任意の方法によって製造できる。このような重合方法としては、塊状重合、溶液重合又は乳化重合が挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様においては、米国特許第6,262,149号(引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載された乳化重合のための一般的方法を使用してビニルポリマーを形成できる。
【0029】
一実施態様において、中和前のビニルポリマーは、少なくとも約80mgKOH/g、約100〜約500mgKOH/gの範囲、約150〜約300mgKOH/gの範囲又は180〜250mgKOH/gの範囲の酸価を有することができる。更に、ビニルポリマーは少なくとも約40℃又は約60〜約130℃の範囲又は70〜110℃の範囲のTgを有することができる。
【0030】
市販ビニルポリマーの適当な例としては、JONCRYL 67、JONCRYL 678、JONCRYL ECO 694(いずれもBASFから入手可能)、MOREZ 101(Rhom and Haasから入手可能)、CARBOSET GA−1166又はGA−2299(Noveonから入手可能)、EASTACRYL Emulsion 30D(Eastman Chemical Co.から入手可能)及びVANCRYL 65又は68(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0031】
前述のように、本発明のビニルポリマーは、塩基で中和して水分散性ビニルポリマーを形成できる。前述のロジン酸の場合と同様に、ビニルポリマーを中和するために本発明中で使用できる塩基も2つの種類に分類できる。第1の種類の塩基は、水溶液中でビニルポリマー上のカルボン酸及び/又は無水物末端基を中和することができるアルカリ金属塩基又はアルカリ土類金属塩基を含むことができる。このような塩基性組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に由来する塩基、例えばナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物及び他の塩基性金属化合物を含む。本発明において有用なこの第1の種類からの適当な塩基としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、アルカリ金属ホウ酸塩化合物及びそれらの水和物、燐酸ナトリウム、燐酸二水素カリウム及びピロリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定するものではない。この第1の種類の塩基によるビニルポリマーの中和は、ビニルポリマーの金属塩を形成できる。
【0032】
第2の種類の塩基は揮発性窒素塩基を含むことができる。このような塩基は、熱の作用によって又は周囲雰囲気への暴露時に揮発させることができる塩基的に反応する化合物を含むことができ、その例としては窒素化合物が挙げられる。本発明において有用なこの第2の種類の塩基からの適当な塩基としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリンが挙げられるが、これらに限定するものではない。この第2の種類の塩基によるビニルポリマーの中和は、例えばビニルポリマーのアンモニウム塩を形成できる。
【0033】
本発明の別の実施態様において、水分散性ポリマーはスルホポリマーであることができる。スルホポリマーは、スルホネート部分を有する少なくとも1種のモノマーを含む任意のポリマーであることができる。一実施態様において、スルホポリマーはスルホポリエステル、スルホポリアミド又はスルホポリエステルアミドを含むことができる。本発明の別の実施態様において、スルホポリマーは、1種若しくはそれ以上のグリコールモノマー、ジカルボン酸モノマー、ジアミンモノマー及び/又はスルホモノマーの残基を含むことができる。
【0034】
一実施態様において、スルホポリマーは、1種又はそれ以上のグリコールモノマー、例えば脂肪族、脂環式及び/又はアラルキルグリコールから形成されることができる。このようなグリコールモノマーの例としては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、p−キシリレンジオールが挙げられるが、これらに限定するものではない。更に、スルホポリマーは、2種又はそれ以上の前記グリコールから製造されたコポリマーであることができる。
【0035】
スルホポリマーは、1種又はそれ以上のジカルボン酸モノマー、例えば脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸から形成されることができる。このようなジカルボン酸モノマーの例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0036】
スルホポリマーは1種又はそれ以上のジアミンモノマーから形成されることができる。このようなジアミンモノマーの例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジアミン、4−オキサヘプタン−1,7−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、1,3−シクロヘキサンビスメチルアミン、ヘプタメチレンジアミン及び/又はドデカメチレンジアミンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0037】
一実施態様において、スルホポリマーはスルホモノマーの残基を含むことができる。スルホモノマーは、金属スルホネート基がベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル又はメチレンジフェニル核のような芳香族酸核に結合した二官能価成分であることができる。このような二官能価スルホモノマーの例としては、スルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸のエステル及び/又はメタロスルホアリールスルホネートが挙げられるが、これらに限定するものではない。更に、二官能価スルホモノマーは、金属スルホネート基を含むジカルボン酸若しくはそのエステル、金属スルホネート基を含むグリコール又は金属スルホネート基を含むヒドロキシ酸であることができる。金属スルホネート基の金属イオンはNa+、K+、Li+などであることができる。更に、二官能価スルホモノマーは5−ソジオスルホイソフタル酸を含むことができる。
【0038】
スルホポリマーの形成に使用できる別のモノマー及び重合方法は、米国特許第3,734,874号、第3,779,993号及び第4,335,220号に記載されており、これらの特許を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0039】
本発明の一実施態様において、スルホポリマーは、少なくとも約5,000の数平均分子量を有する線状ポリマーであることができる。更に、スルホポリマーは少なくとも約25℃のTgを有することができる。更に、スルホポリマーは約30〜約60℃の範囲又は35〜55℃の範囲のTgを有することができる。
【0040】
市販のスルホポリマーの適当な例としては、EASTMAN AQ−29、AQ−38、AQ−48及びAQ−55ポリマーが挙げられるが、これらに限定するものではなく、これらは全てEastman Chemical Companyから入手可能である。
【0041】
前述のように、添加剤は任意選択で両親媒性成分を含むことができる。両親媒性成分は、親水性と疎水性の両方を示す任意の成分を含むことができる。本発明の一実施態様において、添加剤は、添加剤中の総固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲、約5〜約80重量%の範囲又は5〜60重量%の範囲の両親媒性成分を含むことができる。ここで使用するように、両親媒性成分が存在する場合には、両親媒性成分の実際の物理的状態にかかわらず、添加剤又は任意の被覆組成物中の固形分の総重量の一部となると見なすものとする。例えば両親媒性成分が液体界面活性剤である場合には、その不揮発性成分は、添加剤の種々の成分の重量%を規定するために「固形分」と見なすものとする。
【0042】
本発明の一実施態様において、両親媒性成分は界面活性剤であることができる。界面活性剤はイオン性又は非イオン性であることができる。更に、界面活性剤は両性であることができる。一実施態様において、界面活性剤は少なくとも約3の親水性−疎水性バランス(HLB)を有することができる。更に、界面活性剤は約6〜約16の範囲のHLB値を有することができる。ここに示したHLB値は、Griffin’s Methodによって」測定された0〜20のスケールに基づく。使用できる界面活性剤の例としては、アルキル硫酸、アルキルスルフェート若しくは脂肪酸のアルカリ若しくはアンモニウム塩;オキシエチル化アルキルフェノール;エトキシル化アルキルアミン;及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な界面活性剤のリストは、専門書McCutcheon’s Emulsifiers & Detergents,North American Edition and International Edition,MC Publishing Co.,Glen Rock,N.J.,1993において入手可能である。適当な市販界面活性剤の例としては、Clariant Corp.からGENAMIN T 150Mとして又はICI AmericasからMILSTAT N−20として入手可能なエトキシル化獣脂(tallow)アルキルアミン(ポリオキシエチレン獣脂アミン)、及びAkzo NobelからETHOMEEN C/25として入手可能なエトキシル化ココアルキルアミン(ポリオキシエチレンココアミン)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0043】
本発明の別の実施態様において、両親媒性成分は両親媒性ポリエステルであることができる。更に、両親媒性ポリエステルは液体スルホポリエステルであることができる。液体スルホポリエステルは、金属スルホネート基を有する少なくとも1種のモノマー残基を有する任意のポリエステルであることができる。一実施態様において、液体スルホポリエステルは、1種若しくはそれ以上のグリコールモノマー;ポリオールモノマー;ジカルボン酸含有モノマー若しくは無水物含有モノマー;1種若しくはそれ以上の一塩基性脂肪酸、一塩基性脂肪酸エステル、天然油若しくは部分鹸化油;及び/又は1種若しくはそれ以上のスルホモノマー若しくは少なくとも1個の金属スルホネート基を含むスルホモノマー付加物の残基を含むことができる。
【0044】
一実施態様において、液体スルホポリエステルは、1種若しくはそれ以上のグリコールモノマー、例えば脂肪族、脂環式及びアリールアルキルグリコールモノマーから形成されることができる。グリコールモノマーの適当な例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、水素化ビスフェノールAなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0045】
別の実施態様において、液体スルホポリエステルは、1種又はそれ以上のポリオールモノマーから形成されることができる。ポリオールモノマーの適当な例としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、スレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0046】
別の実施態様において、液体スルホポリエステルは、1種又はそれ以上のジカルボン酸含有モノマー又は無水物含有モノマーから形成されることができる。ジカルボン酸含有モノマー又は無水物含有モノマーは、例えばイソフタル酸、フタル酸若しくは無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、テトラクロロフタル酸無水物、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロテレフタル酸無水物、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸無水物、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、グルタル酸などであることができる。
【0047】
使用できる一塩基性脂肪酸若しくは脂肪酸エステル又は天然の部分鹸化油は、脂肪酸又は油をポリロールと反応させることによって製造できる。適当な油の例としては、ヒマワリ油、キャノーラ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、魚油、アマニ油、オイチシカ油、大豆油、キリ油、動物油脂、ヒマシ油、ラード、パーム核油、落花生油、エゴマ油、ベニハナ油、獣脂油、クルミ油などが挙げられるが、これらに限定するものではない。単独の又は油の成分としての脂肪酸の例としては、ヤシ油脂肪酸、C−810L脂肪酸(Procter & Gamble Chemicalsから入手可能なヘキサン酸、オクタン酸及びドデカン酸のブレンド)、C−101若しくはC−103脂肪酸(Procter & Gamble Chemicalsから入手可能な水素化脂肪酸)、獣脂酸、大豆酸、ミリスチン酸、アマニ酸、クロトン酸、バーサチック酸(versatic acid)、ヤシ酸、トール油脂肪酸、ロジン酸、ネオデカン酸、ネオペンタン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、綿実酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0048】
スルホモノマーは、芳香核に結合した−SO3M(金属スルホネート)基を含む二官能価又は一官能価モノマーであることができる。二官能価モノマー成分としてのスルホモノマーは、−SO3Mを含むジカルボン酸(又はその誘導体)であることができる。一実施態様において、Mは水素又は金属イオン、例えばNa+、Li+、K+、Ca2+、Cu2+であることができる。−SO3M基が結合できる芳香核の適当な例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニル−ジフェニル及びメチレンジフェニルが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0049】
本発明の一実施態様において、スルホモノマーとしては、5−ソジオスルホイソフタル酸、ジメチル5−ソジオスルホイソフタレート、リチウム5−スルホイソフタル酸、ジメチルリチウム5−スルホイソフタレート、カリウム5−スルホイソフタル酸、ジメチルカリウム5−スルホイソフタレート、3−ソジオスルホ安息香酸などを挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【0050】
一実施態様において、液体スルホポリエステルはスルホモノマー付加物から形成されることができる。スルホモノマー付加物は、前述の二官能価スルホモノマーを、例えばネオペンチルグリコールのようなグリコールと反応させることによって製造できる。
【0051】
本発明の一実施態様において、液体スルホポリエステルは、グリコールモノマー;ポリオールモノマー;ジカルボン酸含有モノマー若しくは無水物含有モノマー;1種若しくはそれ以上の一塩基性脂肪酸、一塩基性脂肪酸エステル、天然油若しくは部分鹸化油;及び1種若しくはそれ以上のスルホモノマー若しくは少なくとも1個の金属スルホネート基を含むスルホモノマー付加物を反応器に装入し、ASTM Method D1639によって望ましい酸価が得られるまで約160〜約250℃の範囲の温度において、反応させることによって製造できる。
【0052】
本発明の一実施態様において、液体スルホポリエステルは、約40〜約200の範囲のヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能基化ポリエステルであることができる。また、液体スルホポリエステルは約20mgKOH/g未満又は約0〜約15mgKOH/gの範囲の酸価を有することができる。更に、液体スルホポリエステルは約700〜約3,000の範囲の数平均分子量を有することができる。更に、液体スルホポリエステルは約20℃未満のTgを有することができる。
【0053】
前述のように、本発明の添加剤は、水分散性ロジン、水分散性ポリマー及び任意選択で両親媒性成分を含むことができる。一実施態様において、水分散性ロジンは、容器中でロジン酸を塩基及び水で中和することによって製造できる。得られた混合物を収容している容器は次に、一定期間転がす(rolled)ことができる。一実施態様において、容器は少なくとも10時間又は約12〜約48時間の範囲の間、転がすことができる。別の実施態様において、水分散性ロジンは、ロジン酸、塩基及び水を反応器に装入することによって製造できる。これらの成分は続いて、機械的撹拌を含む(これに限定するものではないが)当業界で知られた任意の手段によって混合することができる。混合は周囲温度又は高温で実施できる。
【0054】
一実施態様において、前記の得られた混合物中のロジン酸の量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%であることができる。更に、ロジン酸の量は、混合物の総重量に基づき、約15〜約35重量%の範囲又は20〜30重量%の範囲であることができる。塩基は得られた混合物中に、ロジン酸の酸価を少なくとも約40%、少なくとも約60%又は少なくとも80%低下させるように充分にロジン酸を中和できる量で存在できる。得られた混合物中の水の量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約50重量%であることができる。更に、水の量は、混合物の総重量に基づき約55〜約80重量%の範囲又は60〜70重量%の範囲であることができる。
【0055】
一実施態様において、得られた混合物中の固形分の総量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約5重量%であることができる。更に、得られた混合物中の固形分の総量は、混合物の総重量に基づき、約5〜約50重量%の範囲、約15〜約40重量%の範囲又は20〜30重量%の範囲であることができる。更に、ロジン酸対水の重量比は少なくとも約4:3、約1:1〜約1:5の範囲又は1:2〜1:3の範囲であることができる。
【0056】
前述のように、水分散性ポリマーは中和ビニルポリマーであることができる。一実施態様において、中和ビニルポリマーは、容器中でビニルポリマーを塩基及び水で中和することによって製造できる。得られた混合物を収容している容器は、次に一定期間転がす(rolled)ことができる。一実施態様において、容器は少なくとも10時間又は約12〜約48時間の範囲の間、転がすことができる。別の実施態様において、中和ビニルポリマーは、ビニルポリマー、塩基及び水を反応器に装入することによって製造できる。これらの成分は続いて、機械的撹拌を含む(これに限定するものではないが)、当業界で知られた任意の手段によって混合することができる。混合は周囲温度又は高温で実施できる。
【0057】
一実施態様において、前記の得られた混合物中のビニルポリマーの量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%、約15〜約35重量%の範囲又は20〜30重量%の範囲であることができる。塩基は得られた混合物中に、ロジン酸の酸価を少なくとも約40%、少なくとも約60%又は少なくとも80%低下させるように充分にロジン酸を中和できる量で存在できる。得られた混合物中の水の量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約50重量%、約55〜約80重量%の範囲又は60〜70重量%の範囲であることができる。得られた混合物中の固形分の総量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約5重量%、約5〜約50重量%の範囲、約15〜約40重量%の範囲又は約20〜30重量%の範囲であることができる。更に、ビニルポリマー対水の重量比は少なくとも約4:3又は約1:1〜約1:6の範囲又は1:2〜1:4の範囲であることができる。
【0058】
前述のように、水分散性ポリマーはスルホポリマーであることができる。一実施態様において、スルホポリマーは、連続的に撹拌しながら固体水分散性スルホポリマーを水に加えることによって製造できる。次いで、得られた混合物は一定期間カバーをして、加熱することができる。一実施態様において、得られた混合物を加熱する温度は少なくとも約50℃、約60〜約100℃の範囲又は70〜90℃の範囲であることができる。得られた混合物を加熱できる時間は少なくとも約10分、約15分〜約1時間の範囲又は20〜40分の範囲であることができる。一実施態様において、加熱の間に失われる水の重量の少なくとも一部は、冷却時に戻される。
【0059】
前記方法において、固体水分散性スルホポリマーの量は、混合物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%であることができる。更に、固体水分散性スルホポリマーの量は、混合物の総重量に基づき、約15〜約50重量%の範囲又は25〜40重量%の範囲であることができる。
【0060】
前述のように、添加剤の任意選択の両親媒性成分は液体スルホポリエステルであることができる。一実施態様において、液体スルホポリエステルは、グリコール、スルホモノマー、酸触媒及び水を容器中で混合することによって最初にグリコール/スルホモノマー付加物を製造することによって製造できる。この第1混合物は、望ましい酸価が得られるまで且つ同時に留出物を収集しながら、容器中で反応させることができる。一実施態様において、反応は少なくとも約90℃、約100〜約250℃の範囲又は140〜190℃の範囲で行わせることができる。
【0061】
第1混合物はグリコールを、第1混合物の総重量に基づき、少なくとも約30重量%、約35〜約65重量%の範囲又は45〜55重量%の範囲の量で含むことができる。第1混合物はスルホモノマーを、第1混合物の総重量に基づき、少なくとも約15重量%、約20〜約45重量%の範囲又は30〜40重量%の範囲の量で含むことができる。更に、第一混合物は酸触媒を、第1混合物の総重量に基づき、少なくとも約1×10-6重量%、約1×10-5〜約1×10-3重量%の範囲又は3×10-4〜9×10-4重量%の範囲の量で含むことができる。第1混合物は水を、第1混合物の総重量に基づき、少なくとも約1重量%、約2〜約10重量%の範囲又は4〜8重量%の範囲の量で含むことができる。
【0062】
反応は、付加物の酸価が約15mgKOH/g、約0〜約10mgKOH/gの範囲又は2〜5mgKOH/gの範囲となるまで継続させることができる。次いで、得られた付加物に水を、付加物が少なくとも約50重量%、約70〜約99重量%の範囲又は85〜95重量%の範囲の固形分を含むように、添加できる。
【0063】
次に、ポリオール、グリコール、グリコール/スルホモノマー付加物、ジカルボン酸及び/若しくは無水物、脂肪酸並びに酸触媒を含む第2混合物を製造できる。この第2混合物の温度は、得られた留出物を収集しながら、一定時間にわたって徐々に上昇させることができる。一実施態様において、温度は少なくとも約100℃、約150〜約250℃の範囲又は180〜200℃の範囲の第1の高温まで上昇させることができる。また、温度を上昇させることができる一定期間は、少なくとも約10分、約20〜約40分の範囲又は25〜35分の範囲であることができる。一実施態様において、反応体は、少なくとも約15分、約30分〜約3時間の範囲又は45〜75分の範囲の期間、この第1の高温において反応させることができる。
【0064】
一実施態様において、反応体の温度は次に第2の高温まで上昇させることができる。第2の高温は、第1の高温よりも少なくとも約10℃高い、約15〜約60℃高い範囲又は20〜40℃高い範囲であることができる。反応はこの第2の高温において少なくとも約1時間、約2〜約4時間の範囲又は2.5〜3.5時間の範囲の期間継続させることができる。反応体は次に、得られたポリエステルを単離するのに充分な温度まで冷却させることができる。一実施態様において、反応体は約100℃未満又は50〜90℃の範囲の温度まで冷却させることができる。
【0065】
前記第2混合物はポリオールを、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約3重量%、約4〜約12重量%の範囲又は6〜10重量%の範囲の量で含むことができる。第2混合物はまたグリコールを、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%、約15〜約50重量%の範囲又は25〜35重量%の範囲の量で含むことができる。第2混合物は更にグリコール/スルホモノマー付加物を、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約4重量%、約8〜約16重量%の範囲又は10〜14重量%の範囲の量で含むことができる。更に、第2混合物はジカルボン酸及び/又は無水物を、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%、約15〜約50重量%の範囲又は25〜35重量%の範囲の量で含むことができる。更に、第2混合物は脂肪酸を、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約5重量%、約11〜約21重量%の範囲又は15〜19重量%の範囲の量で含むことができる。更に、第2混合物は酸触媒を、第2混合物の総重量に基づき、少なくとも約0.01重量%、約0.03〜約0.18重量%の範囲又は0.05〜0.15重量%の範囲の量で含むことができる。
【0066】
本発明の一実施態様において、前記方法のグリコール、ポリオール、ジカルボン酸、無水物、脂肪酸及びスルホモノマーはそれぞれ、添加剤の任意選択の液体スルホポリエステル部分に関して前述した成分のいずれかを含むことができる。更に、前記方法の酸触媒は、重合反応を開始する働きをする任意の酸を含むことができる。一実施態様において、酸触媒はエステル化反応を開始する働きをする任意の酸であることができる。適当な酸触媒の一例は、Arkema Inc.から商品名FASCAT 4100として入手可能なブチル錫酸(butylstannoic acid)である。
【0067】
本発明の一実施態様において、添加剤は、水分散性ロジン、水分散性ポリマー、任意選択で両親媒性成分及び任意の他の望ましい成分を一緒にブレンドすることによって製造できる。ブレンドは、当業界における任意の周知の方法で実施できる。一実施態様において、ブレンドによって、添加剤の総重量に基づき、少なくとも約10重量%、約15〜約75重量%の範囲又は20〜50重量%の範囲の固形分を含む添加剤を得ることができる。
【0068】
前述のように、添加剤は低VOC含量を有することができる。本発明の一実施態様において、添加剤は、添加剤の総重量に基づき、約20重量%未満、約15重量%未満又は10重量%未満のVOC含量を有することができる。更に、添加剤を被覆中に用いて被覆組成物を形成する場合には、被覆組成物も低VOC含量を有することができる。被覆組成物は約150g/l未満、約100g/l未満又は50g/l未満のV0C含量を有することができる。
【0069】
本明細書中で用いるVOC含量は、ASTM D3960に相当するEnvironmental Protection Agency(EPA) Reference Method 24に従って測定する。この方法に基づいて、揮発分の総量を最初に測定し、次いで水及び免除溶剤(exempt solvents)の量を測定し、揮発分の総量から差し引いて、VOCの量を求める。
【0070】
前述のように、本発明の一実施態様において、添加剤は被覆と合して改質被覆組成物を形成できる。使用に適した被覆は、ラテックス被覆を含む(これに限定するものではないが)当業界で知られた任意の水性被覆であることができる。本発明の一実施態様において、被覆組成物は、水、結合剤、顔料及び添加剤を含むことができる。
【0071】
本発明の一実施態様において、被覆組成物は約20〜約90重量%の範囲の量の水を含むことができる。更に、被覆組成物は結合剤及び添加剤を合わせて約10〜約80重量%の範囲の量で含むことができる。
【0072】
結合剤は、顔料を一緒にして基材に結合させる任意の結合剤であることができる。結合剤の例としては、ワックス、カゼイン、卵テンペラ、アラビアゴム、アマニ油、シェラック、デンプン糊、ゼラチン、デキストリン、ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン及びラテックスエマルジョンが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、結合剤の固形分は、被覆組成物の総重量の少なくとも約5重量%占めることができる。更に結合剤の固形分は、被覆組成物の総重量の約10〜約60重量%の範囲又は20〜40重量%の範囲を占めることができる。
【0073】
顔料は、天然、合成、有機又は無機顔料を含む、当業界で知られた任意の顔料であることができる。適当な市販顔料の例としては、SunChemicalから入手可能なFLEXIVERSE水性分散液顔料及びDuPontから入手可能なTI−PURE顔料が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の一実施態様において、被覆組成物は顔料を、被覆組成物の総重量に基づき、少なくとも約10重量%の量で含むことができる。更に、被覆組成物は、顔料を、被覆組成物の総重量に基づき、約15〜約45重量%の範囲又は25〜35重量%の範囲の量で含むことができる。
【0074】
本発明の一実施態様において、被覆組成物は水性被覆及び添加剤を含むことができ、その場合には被覆はラテックスフィルム形成性ラテックスポリマー及び添加剤中の固形分の総重量に基づき、約70〜約97重量%の範囲のフィルム形成性ラテックスポリマー及び約3〜約30重量%の範囲の添加剤を含む。一実施態様において、ラテックスポリマーは、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから形成された任意のポリマーであることができる。更に、ラテックスポリマーは約−5〜約80℃の範囲のTgを有することができる。
【0075】
本発明の一実施態様において、被覆は任意選択で融合助剤を含むことができる。このような融合助剤は、被覆中に使用する場合に均一な被膜を形成するように蒸発する任意の被覆であることができる。市販の融合助剤の一例は、Eastman Chemical Companyから入手可能なエステル−アルコール、TEXANOLである。一実施態様において、融合助剤を被覆組成物中に用いる場合は、添加剤は、水分散性ポリマーを、添加剤中の固形分の総重量に基づき、少なくとも約50重量%、約55〜約95重量%の範囲又は60〜88重量%の範囲の量で含むことができる。更に、任意選択の融合助剤を用いる場合には、添加剤は両親媒性成分を、添加剤中の固形分の総重量に基づき、約1〜約20重量%の範囲又は2〜10重量%の範囲の量で含むことができる。
【0076】
他の融合助剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチルヘキシルベンゾエート、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジアセトンアルコールなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。このような融合助剤としては更に、フタル酸ジアリル、SANTOLINK XI―100(Monsantoからのポリグリシジルアリルエーテル並びに米国特許第5,349,026号及び第5,371,148号(これらの特許を引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されたその他のものが挙げられる。
【0077】
本発明の被覆組成物は、更に追加の添加剤を含むことができる。このような被覆添加剤としては、1種又はそれ以上のレベリング、レオロジー及び流れ調整剤、例えば珪素樹脂、フルオロカーボン樹脂又はセルロース樹脂;増量剤;可塑剤;艶消し剤;顔料湿潤及び分散剤並びに界面活性剤;紫外線(UV)吸収剤;ヒンダードアミン光安定剤(HALS);ホスファイト、色味付け顔料;着色剤;脱泡剤及び消泡剤;沈澱防止、垂れ防止及び増粘剤(bodying agent);皮張り防止剤;浮き色防止及び色別れ防止剤;殺生物剤、殺真菌剤及びカビ駆除剤;腐蝕防止剤;又は粘稠剤(thickening agent)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような添加剤の具体例は、Raw Materials Index(The National Paint & Coatings Association(1500 Rhode Island Avenue,N.W.,Washington,D.C.20005)によって発行)に記載されている。このような添加剤の更なる例は、米国特許第5,371,148号に記載されており、この特許を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0078】
艶消し剤の例としては、W.R.Grace & CompanyのDavison Chemical Divisionから商品名SYLOIDとして入手可能な合成シリカ;Hercules Inc.から商品名HERCOFLATとして入手可能なポリプロピレン;及びJ.M.Huber Corporationから商品名ZEOLEXとして入手可能な合成シリケートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0079】
分散剤及び界面活性剤の例としては、ナトリウムビス(トリデシル)スルホスクシンネート(sulfosuccinnate)、ナトリウムジ(2−エチルヘキシル)スルホスクシンネート、ナトリウムジヘキシルスルホスクシンネート、ナトリウムジシクロヘキシルスルホスクシンネート、ナトリウムジアミルスルホスクシンネート、ナトリウムジイソブチルスルホスクシンネート、二ナトリウムイソデシルスルホスクシンネート、スルホスクシン酸(sulfosuccinnic acid)の二ナトリウムエトキシル化アルコール半エステル、二ナトリウムアルキルアミドポリエトキシスルホスクシンネート、四ナトリウムN−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホスクシンナメート(sulfosuccinnamate)、二ナトリウムN−オクタスルホスクシンナメート、硫酸化エトキシル化ノニルフェノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0080】
粘度、懸濁及び流れ調整剤の例としては、ポリアミノアミドホスフェート、ポリアミンアミドの高分子量カルボン酸塩及び不飽和脂肪酸のアルキレンアミン塩(全て、BYK Chemie U.S.A.から商品名ANTI TERRAとして入手可能)が挙げられるが、これらに限定するものではない。更なる例としては、ポリシロキサンコポリマー、ポリアクリレート溶液、セルロースエステル、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアミドワックス、ポリオレフィンワックス、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピル=メチル=セルロース、エチル=ヒドロキシエチル=セルロース、ポリエチレンオキシド、グアーガムなどが挙げられる。粘稠剤(thickener)の他の例としては、メチレン/エチレンオキシド会合性粘稠剤(associative thickner)及び水溶性カルボキシル化粘稠剤、例えばUnion Carbide製のUCAR POLYPHOBEが挙げられる。
【0081】
いくつかの有標消泡剤は市販されており、その例としては、例えば、Buckman Laboratories Inc.のBUBREAK、BYK(BYK Chemie,U.S.A.の)、Henkel Corp.のFOAMASTER及びNOPCO、The Drew Industrial Division of Ashland Chemical CompanyのDREWPLUS、Troy Chemical CorporationのTRYSOL及びTROYKYD、並びにUnion Carbide CorporationのSAGが挙げられる。
【0082】
抗真菌剤、カビ駆除剤及び殺生物剤の例としては、4,4−ジメチルオキサゾリジン、3,3,4−トリメチルオキサゾリジン、変性メタホウ酸バリウム、カリウムN−ヒドロキシ−メチル−N−メチルジチオカルバメート、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、カリウムジメチルジチオカルバメート、アダマンタン、N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド、2,4,5,6−テトラクロロ−イソフタロニトリル、オルトフェニルフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、デヒドロ酢酸、ナフテン酸銅、オクタン酸銅、有機砒素、トリブチル錫オキシド、ナフテン酸亜鉛及び8−キノリン酸銅が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0083】
UV吸収剤の例は、250〜400nmの範囲の光を吸収し、400〜700nmに最小吸光度を有する単一化合物又は化合物の混合物である。UV吸収剤の例としては、トリアジン類、シアノアクリレート類、ベンゾトリアゾール類、ナフタレン類、ベンゾフェノン類及びベンゾオキサジン−4−オン類が挙げられるが、これらに限定するものではない。市販のUV吸収剤としては、CYASORB UV−9(Cytec Industries,CAS# 131−57−7)、CYASORB UV−24(Cytec Industries,CAS# 131−53−3)、CYASORB UV−531(Cytec Industries,CAS# 1843−05−6)、CYASORB UV−2337(Cytec Industries,CAS# 25973−55−1)、CYASORB UV−5411(Cytec Industries,CAS# 3147−75−9)、CYASORB UV−5365(Cytec Industries,CAS# 2440−22−4)、CYASORB UV−1164(Cytec Industries,CAS# 2725−22−6)、CYASORB UV−3638(Cytec Industries,CAS# 18600−59−4)、TINUVIN 213(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 104810−47−1)、TINUVIN 234(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 70321−86−7)、TINUVIN 320(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 3846−71−7)、TINUVIN 326(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 3896−11−5)、TINUVIN 327(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 3864−99−1)、TINUVIN 328(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 25973−55−1)、TINUVIN 329(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 3147−75−9)、TINUVIN 350(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 36437−37−3)、TINUVIN 360(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 103597−45−1)、TINUVIN 571(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 23328−53−2)及びTINUVIN 1577(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 147315−50−2)が挙げられるが、これらに限定するものではない。更なる適当なUV吸収剤は、Plastic Additives Handbook 5th Edition,Hanser Gardner Publications,Inc.,Cincinnati,OH,2001に記載されている。異なる商品名で市販されている同一分子も、本発明の範囲である。更に、UV吸収剤の組合せも使用できる。
【0084】
適当であることができるヒンダードアミン光安定剤(HALS)の例としては、CYASORB UV−3346(Cytec Industries,CAS# 90751−07−8)、CYASORB UV−3529(Cytec Industries,CAS# 193098−40−7)、CYASORB UV−3641(Cytec Industries,CAS# 106917−30−0)、CYASORB UV−3581(Cytec Industries,CAS# 79720−19−7)、CYASORB UV−3853(Cytec Industries,CAS# 167078−06−0)、CYASORB UV−3853S(Cytec Industries,CAS# 24860−22−8)、TINUVIN 622(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 65447−77−0)、TINUVIN 770(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 52829−07−9)、TINUVIN 144(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 63843−89−0)、TINUVIN 123(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 129757−67−1)、CHIMASSORB 944(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 71878−19−8)、CHIMASSORB 119(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 106990−43−6)、CHIMASSORB 2020(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 192268−64−7)、LOWILITE 76(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 41556−26−7)、LOWILITE 62(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 65447−77−0)、LOWILITE 94(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 71878−19−8)、UVASIL 299LM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 182635−99−0)、UVASIL 299HM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 182635−99−0)、Dastib 1082(Vocht a.s.,CAS# 131290−28−3)、UVINUL 4049H(BASF Corp.,CAS# 109423−00−9)、UVINUL 4050H(BASF Corp.,CAS# 124172−53−8)、UVINUL 5050H(BASF Corp.,CAS# 199237−39−3)、MARK LA 57(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 64022−61−3)、MARK LA 52(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 91788−83−9)、MARK LA 62(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 107119−91−5)、MARK LA 67(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 100631−43−4)、MARK LA 63(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 115055−30−6)、MARK LA 68(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 100631−44−5)、HOSTAVIN N 20(Clariant Corp.,CAS# 95078−42−5)、HOSTAVIN N 24(Clariant Corp.,CAS# 85099−51−1,CAS# 85099−50−9)、HOSTAVIN N 30(Clariant Corp.,CAS# 78276−66−1)、DIACETAM−5(GTPZAB Gigiena Truda,USSR,CAS# 76505−58−3)、UVASORB−HA 88(3V Sigma,CAS# 136504−96−6)、GOODRITE UV−3034(BF Goodrich Chemical Co.,CAS# 71029−16−8)、GOODRITE UV−3150(BF Goodrich Chemical Co.,CAS# 96204−36−3)、GOODRITE UV−3159(BF Goodrich Chemical Co.,CAS# 130277−45−1)、SANDUVOR 3050(Clariant Corp.,CAS# 85099−51−0)、SANDUVOR PR−31(Clariant Corp.,CAS# 147783−69−5)、UV CHECK AM806(Ferro Corp.,CAS# 154636−12−1)、SUMISORB TM−061(Sumitomo Chemical Company,CAS# 84214−94−8)、SUMISORB LS−060(Sumitomo Chemical Company,CAS# 99473−08−2)、UVASIL 299LM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 164648−93−5)、UVASIL 299HM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS# 164648−93−5)、及びNYLOSTAB S−EED(Clariant Corp.,CAS# 42774−15−2)が挙げられるが、これらに限定するものではない。更なるヒンダードアミン光安定剤は、Plastic Additives Handbook 5th Edition,Hanser Gardner Publications,Inc.,Cincinnati,OH,2001に記載されている。
【0085】
ホスファイトの例としては、以下のブランド名で市販されている化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない:IRGAFOS TNPP(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 26523−78−4)、IRGAFOS 168(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 31570−04−4)、ULTRANOX 626(GE Specialty Chemicals,CAS# 26741−53−7)、MARK PEP 36(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 80693−00−1)、MARK HP−10(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS# 140221−14−3)、IRGAFOS P−EPQ(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 38613−77−3)、SANDOSTAB P−EPQ(Clariant Corp.,CAS# 119345−01−6)、ETHANOX 398(Albemarle Corp.,CAS# 118337−09−0)、WESTON 618(GE Specialty Chemicals,CAS# 3806−34−6)、IRGAFOS 12(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 80410−33−9)、IRGAFOS 38(Ciba Specialty Chemicals,CAS# 145650−60−8)、ULTRANOX 641(GE Specialty Chemicals,CAS# 161717−32−4)、DOVERPHOS S−9228(Dover Chemical Corp. CAS# 154862−43−8など。
【0086】
前述のように、添加剤は、基材に適用し且つ乾燥させた時に被覆の性質を改善するように、被覆中に使用できる。本発明において使用できる基材は、被覆を適用できる、当業界で知られた任意の基材、例えば木材、紙、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリエステルフィルム、アルミニウム及びスチールのような金属、ガラス、ウレタンエラストマー、下塗りされた(被覆された)基材などである。
【0087】
一実施態様において、被覆組成物は、基材への適用時に、ワイプド・ウェットエッジタイム、オープンタイム、耐ブロッキング性、光沢度、耐擦性、非粘着時間、指触乾燥時間及び黄変度を含む(これらに限定するものではないが)性質が改善されることができる。
【0088】
本明細書中で使用する「ワイプド・ウェットエッジタイム(wiped wet edge time)」は、適用した被覆のエッジ領域が、基材への適用後に依然として加工できる期間と定義する。例えば、この期間の間は、再ブラッシング又は新たに被覆された湿潤基材のエッジ領域上への追加の被覆の適用が、最終乾燥被覆中にラップラインのような欠陥を引き起こさずに可能である。ワイプド・ウェットエッジタイムは、後の実施例中の試験方法の部分に示した説明に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は少なくとも約1.5分、少なくとも約3分又は少なくとも5分のワイプド・ウェットエッジタイムを有することができる。
【0089】
本明細書中で使用する用語「オープンタイム(open time)」は、適用した被覆の主領域(バルク)が、基材への適用後に依然として加工可能な期間と定義する。例えば、この期間の間は、再ブラッシング又は新たに被覆された湿潤基材の主領域上への追加の被覆の適用が、最終乾燥被覆中にはけ目のような欠陥を引き起こさずに可能である。オープンタイムは、後の実施例中の試験方法の部分に示した説明に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は少なくとも約2分、少なくとも約5分又は少なくとも8分のオープンタイムを有することができる。
【0090】
本明細書中で使用する用語「耐ブロッキング性」は、2つの対向面に適用した場合に、例えばドアとドア枠に被覆した場合に、接触時に圧力が加えられた時に自着しない被覆の能力と定義する。耐ブロッキング性は、0〜10のスケールで測定し、10が最も良い(即ち、被覆は自着の徴候を示さない)。耐ブロッキング性は、特定の時間間隔後に、典型的には数日後に測定できる。耐ブロッキング性は、ASTM Method D4946−89に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は少なくとも約3又は少なくとも6の7日間耐ブロッキング性(7 day block resistance)を有することができる。
【0091】
本明細書中で使用する用語「光沢度(gloss)」は、被覆された基材の鏡面反射(正反射)の相対量及び性質と定義する。典型的には、光沢度は20°及び60°の角度で測定する。20°で測定する場合には、40より大きい値が典型的には、当業者によって高光沢度と見なされる。60°で測定する場合には、85より大きい値が一般に、当業者によって高光沢度と見なされる。光沢度は、ASTM Medhod D−523−89に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は、20°における光沢度が少なくとも約40、少なくとも約50又は少なくとも60であることができる。別の実施態様において、被覆組成物は、60°における光沢度が少なくとも約60、少なくとも約70又は少なくとも80であることができる。
【0092】
本明細書中で使用する用語「耐擦性(scrub resistance)」は、被覆を基材まで浸蝕するのに必要なスクラブサイクル数と定義する。耐擦性は、ASTM Method D−2486に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は少なくとも約500サイクル、少なくとも約700サイクル又は少なくとも1,000サイクルの耐擦性を有することができる。
【0093】
本明細書中で使用する用語「非粘着時間(tack-free time)」は、被覆を基材に適用した時点と被覆が触ると粘着性である証拠がなくなった時点の間の経過時間の量と定義する。非粘着時間は、後の実施例中の試験方法の部分に示した説明に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は約2週間未満、約1週間未満又は3日未満の非粘着時間を有することができる。
【0094】
本明細書中で使用する用語「黄変度(yellowing)」及び/又は「Δb」は、ASTM Method D2244−05に従って測定した場合の、被覆の色の変化量と定義する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は約4単位未満、約−2〜約2単位の範囲、約−1〜約1単位の範囲又は−0.5〜0.5単位の範囲のΔb値を有することができる。
【0095】
本明細書中で使用する用語「指触乾燥時間(dry-to-touch time)」は、被覆を基材に適用した時点と、基材の被覆部分のどの位置に触れてもペイントがヒトの皮膚に移らなくなった時点との間の経過時間の量と定義する。指触乾燥時間は、後の実施例中の試験方法の部分に示した説明に従って測定する。本発明の一実施態様において、被覆組成物は約60分未満、約50分未満又は40分未満の指触乾燥時間を有することができる。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、本発明の製造及び使用について当業者に教示するために本発明を例証することを目的とし、本発明の範囲を限定することは目的としない。
【0097】
試験方法
ワイプド・ウェットエッジ試験(Wiped Wet Edge Test)
LENETA不透明チャート(opacity chart)、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、ペイントブラシを用いてSHERWIN WILLIAMS A−100 LATEX WOOD PRIMERを被覆した。パネルを相対湿度50%及び70°Fで少なくとも7日間乾燥及び貯蔵した。下塗りした基材に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 Northeast First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントドローダウンを適用する。ペイントドローダウンを基材に適用した時点で、ストップウォッチをスタートさせる。湿潤ペイントを、所定の時間間隔で、通常1〜2分毎にドローダウン側に載せる。自然毛ペイントブラシは水で湿っている。いくつかのペーパータオル層の間でブラシを絞ることによって、過剰の水を除去する。ドローダウン側のドローダウン全域に載せ、ブラシを用いて湿潤ペイントを広げる。ペイントは、20サイクル往復してはけ塗りする。過剰のペイントを、ペーパーティッシュで軽く拭き取る。ドローダウンの左側に拭き取り後にエッジが残されるまで、このプロセスを継続する。ウェットエッジタイムは、エッジが観察される直前の時間間隔と判断する。
【0098】
オープンタイム試験(Open Time Test)
LENETAブレインブラック・チャート、125 BH型(The Leneta Compnay,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 Northeast First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントドローダウンを適用する。ペイントドローダウンを基材に適用した時点で、ストップウォッチをスタートさせる。ドローダウンの上部から始めて、湿潤ペイントに、舌圧子を用いてドローダウンの中央において並列に3回刻み目を付ける。このプロセスをドローダウンの底部まで2〜3インチ毎に繰り返す。所定の時間間隔で、通常1〜2分ごとに、1組の分割ライン全体にペイントブラシを用いてペイントを4サイクル適用する。オープンタイムは、ラインが乾燥後に目に見えなくなった最後の時間間隔と判断する。
【0099】
VOC試験
揮発性有機化合物(VOC)試験を、EPA Reference Method 24(ASTM D3960)に従って実施した。各被験物質の小(約0.5g)サンプルを、予め秤量したアルミニウムパン中に量り入れる。次いで、アルミニウムパンを強制空気炉中に110℃において60分間入れた。この試験中に失われた物質の百分率を揮発分と見なす。次に、水及び免除溶剤の量をMethod 24に基づいて測定し、揮発分の総量から差し引いて、サンプル中のVOCの量を求める。
【0100】
非粘着時間
LENETA不透明チャート、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントドローダウンを適用する。ペイントをパネル全体にわたって指触乾燥状態にする。ドローダウンの中央に5秒間大きいハンド圧力を適用する。この操作を、圧力を除いた場合にパネルが手に粘着する形跡がなくなるまで繰り返し、この時点においてパネルを非粘着と見なす。
【0101】
加熱非粘着試験
耐ブロッキング性を、ASTM Method D4946−89を用いて測定した。LENETA不透明チャート、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントを適用する。パネルを相対湿度50%及び70°Fにおいて乾燥及び貯蔵する。所定の時間に、試験パネルから3枚の1.5×1.5インチの正方形を切り取る。試験パネルを50℃の炉中に入れる。各正方形の被覆面を試験パネルの被覆面上に載せる。#8ゴム栓を各正方形上に載せ、次いで1000gの重りを栓の上に載せる。重りと栓はいずれも予め50℃に加熱しておいた。サンプルを30分間そのままにしておき、次いで重り及び栓を取り除く。サンプルを相対湿度50%及び70°Fにおいて30分間冷却させる。次いで、正方形を剥離する。次に、各サンプルを下記のスケールに従って評価する。
【0102】
【表1】

【0103】
光沢度試験
光沢度試験を、ASTM Method D523−89(Standard Test Method for Specular Gloss)に従って実施する。LENETA不透明チャート、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントを適用する。パネルを相対湿度50%及び70°Fにおいて乾燥及び貯蔵する。7日後、光沢度を、INXS Inc.(1220 Tangelo Terrace,Suite A21,Delray Beach,FL 33444)から入手できるDR LANGE反射率計,モデルLMG 070を用いて20°、60°及び85°の角度で測定する。3つの読み取り値の平均を報告する。
【0104】
耐擦性試験
耐擦性試験を、ASTM Method D 2486−00(Standard Test Methods for Scrub Resistance of Wall Paints)を用いて行った。
【0105】
粘度試験
ペイントの粘度を、STORMER粘度計(ASTM Method D−562−01,Method B)及びICIコーン/プレート粘度計(ASTM Method D4287−00)を用いて測定した。計測器はいずれもPaul N. Gardner Compnay,Inc.(316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)から入手可能である。
【0106】
耐水性試験
LENETA不透明チャート、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントを適用する。パネルを相対湿度50%及び70°Fにおいて乾燥及び貯蔵する。7日後、3滴の蒸留水を被膜表面に載せる。各水滴を所定の時間、腕時計用ガラスで覆う。液滴をティッシュで軽く拭き取る。水滴の影響を、除去された又は損傷を受けたフィルムの量、白色度、膨れ、並びに粘着性及び光沢度の低下に関して判定する。24時間の回復時間後、パネルを再び判定する。
【0107】
耐水性評価スケール
5−変化なし
4−極めてわずかな変化(約10%の変化)
3−著しい変化(約50%の変化)
0−完全に破壊(約100%の変化)
評価は、0.1きざみで報告できる。
【0108】
黄変度(Δb)
被覆の黄変度を、ASTM Method D2244−05に従って測定した。使用した計測器は、MINOLTA分光光度計,モデルCM−508d(Konica Minolta Sensing Americas,Inc.,101 Williams Drive Ramsey,NJ 07446)である。
【0109】
指触乾燥時間試験
LENETA不透明チャート、N−2C型(The Leneta Company,15 Whitney Road,Mahwah,New Jersey,07430)に、3milのバードタイプ・フィルムアプリケーター(Paul N.Gardner Company,Inc.,316 North East First Street,Pompano Beach,Florida,33060)を用いてペイントを適用する。指触乾燥時間は、ペイントの適用から、パネルに触れた時にペイントがパネル上のどこからも指に移らなくなる時間までに要する時間である。
【0110】
実施例1
水分散性ロジンの製造
以下の成分をクウォート広口ジャーに入れた:
・FORAL AX−E完全水素化ロジン(Eastman Chemical Company,Kingsport,Tennessee)100.0g、
・水酸化アンモニウム(水中30%NH3)37.0g、及び
・脱イオン水263.0g。
【0111】
前記混合物を24時間転がした。
【0112】
実施例2
水分散性ポリマーの製造
以下の成分をクウォート広口ジャーに入れた:
・JONCRYL 67 Resin(BASF Corporation)150.0g、
・水酸化アンモニウム(水中30%NH3)46.7g、及び
・脱イオン水403.3g。
【0113】
前記混合物を24時間転がした。
【0114】
実施例3
スルホポリマー分散液の製造
連続的に撹拌しながら、EASTMAN AQ48ポリマー(Eastman Chemical Company,Kingsport,Tennessee)64gをビーカー中の水136gに加えた。ビーカーにカバーをし、次いで混合物を80℃に30分間加熱した。失われた水の重量は冷却時に元に戻された。
【0115】
実施例4
両親媒性スルホポリエステルの製造
NPG/SIP付加物の製造
ネオペンチルグリコール(NPG)827.0g(7.95モル)、5−SSIPA 535.6g(2.00モル)、FASCAT 4100(Arkema,Inc.から入手可能な酸触媒)1.1gを、機械的撹拌機、スチームジャケット付き部分凝縮器、Dean−Starkトラップ、水凝縮器及び窒素注入口を装着した3Lの3つ口丸底フラスコに装入した。混合物を140〜190℃において反応させ、留出物を収集した。2mgKOH/gの酸価が得られるまで、反応を継続させた。得られた付加物を80℃まで冷却し、水を加えて、固形分90%の付加物を生成した。
【0116】
スルホポリエステルの製造
ペンタエリスリトール26.53g(0.20モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量200)102.00g(0.51モル)、前記で製造したNPG/SIP付加物41.00g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸101.91g(0.59モル)、C−810L脂肪酸(Procter & Gamble Chemicalsから入手可能なヘキサン酸、オクタン酸及びドデカン酸のブレンド)58.09g(0.37モル)及びFASCAT 4100 0.34gを、機械的撹拌機、スチームジャケット付き部分凝縮器、Dean−Starkトラップ、水凝縮器及び窒素注入口を装着した500mLの3つ口丸底フラスコに装入した。反応温度を30分で徐々に190℃まで上昇させ、水留出物を収集した(10mL)。凝縮物32Lが収集されるまで、190℃において1時間及び220℃において3時間、反応を継続させた。得られた粘稠な樹脂を80℃まで冷却させ、単離した。測定の結果、この樹脂の数平均分子量は1,095であり、重量平均分子量は2,492であり、ガラス転移温度は−45℃であった。
【0117】
実施例5
ペイント用のマスターバッチベースの製造
以下の成分を、のこぎり状ブレードを装着した高速分散装置を用いて表IIに記載した順序で一緒に混合した。得られた混合物をクウォートガラス瓶に入れた。ボトルを、使用するまで低速ローラー上に置いた。
【0118】
【表2】

【0119】
実施例6
ペイント配合物の製造
実施例1において製造した水分散性ロジン、実施例2において製造した水分散性ポリマー及びICI Americasから入手可能な市販界面活性剤MILSTAT N−20をそれぞれ、以下の表IIIに記載した追加成分と共に実施例5において製造したマスターパッチの一部に加えて、3つの個別のペイント配合物を形成した。計算の結果、各配合物中の添加剤は、活性固形分がペイント配合物(水を含む)の総重量に基づき5%であった。製造後、顔料の体積濃度(PVC)、顔料/結合剤、パーセント結合剤固形分及びVOC含量を各配合物について求めた。
【0120】
【表3】

【0121】
実施例7
混合配合物の分析
実施例6において製造した配合物の部分を、以下の表IVに従って種々の量のTEXANOLエステルアルコール(Eastman Chemical Company)と一緒に混合した。
【0122】
【表4】

【0123】
次に、表IVからの得られたサンプル混合物をワイプド・ウェットエッジタイム、1日間ブロッキング、7日間ブロッキング、20°及び60°における光沢度、耐擦性及び黄変度について前記試験に従って分析した。結果を以下の表Vに示す。
【0124】
【表5】

【0125】
表Vに要約した試験結果は、被覆組成物の一部の性質が、JONCRYL 67 25%配合物、FORAL AX−E 25%配合物及びMILSTAT N−20配合物がそれぞれ被覆中に存在する場合に改善されることを示している。例えば、前記3種の添加剤をそれぞれ66.67g、16.67g及び16.67gを含むサンプル番号10の場合は、試験した性質の全てが許容され得るレベルの性能を示している。更に、サンプル番号4、12及び27はそれぞれ、本発明によって改善しようとする性質の良好なバランスを示している。
【0126】
数値範囲
本明細書の説明は、本発明に関連するいくつかのパラメーターを定量化するために数値範囲を用いる。数値範囲を示す場合には、このような範囲は、その範囲の下限値のみを記載するクレーム(特許請求の範囲)限定とその範囲の上限値のみを記載するクレーム限定の文言上のサポートを提供すると見なすことができると理解すべきである。例えば、10〜100の開示した数値範囲は、「10より大きい」(上限がない)を記載するクレームと「100未満」(下限がない)を記載するクレームの文言上のサポートを提供する。
【0127】
本明細書の説明は、特定の数値が特に数値範囲の一部でない場合には、本発明に関するいくつかのパラメーターを定量化するために特定の数値を用いる。ここに示す各特定数値は、広い、中間の及び狭い範囲の文言上のサポートを提供すると見なすことができると理解すべきである。各特定数値に関連する広い範囲は、2つの有効数字に丸められた、数値±数値の60%である。各特定数値に関連する中間の範囲は、2つの有効数字に丸められた、数値±数値の30%である。各特定数値に関連する狭い範囲は、2つの有効数字に丸められた、数値±数値の15%である。例えば、明細書が62°Fの特定温度を記載する場合には、このような記載は、25〜99°F(62°F+/−37°F)の広い数値範囲、43〜81°F(62°F+−/19°F)の中間数値範囲及び53〜71°F(62°F+/−9°F)の狭い数値範囲の文言上のサポートを提供する。これらの広い、中間の及び狭い数値範囲は特定値に適用されるだけでなく、これらの特定値間の差にも適用されるべきである。従って、明細書が110psiaの第1圧力及び48psiaの第2圧力(62psiの差)を記載する場合には、これらの2つの流れの間の圧力差の広い、中間の及び狭い範囲はそれぞれ、25〜99psi、43〜81psi及び53〜71psiとなるであろう。
【0128】
定義
本明細書中で使用する単数形の表現(a,an,the及びsaid)は1つ又はそれ以上を意味する。
【0129】
本明細書中で使用する用語「及び/又は」は、2つ又はそれ以上の品目のリストに用いられる場合には、列挙された品目の任意の1つを単独で又は列挙された品目の2つ若しくはそれ以上の任意の組合せを使用できることを意味する。例えば、組成物が成分A、B及び/又はCを含むと記載されている場合には、組成物はAを単独で;Bを単独で;Cを単独で;A及びBを組合せで;A及びCを組合せで;B及びCを組合せで;又はA、B及びCを組合せで含むことができる。
【0130】
本明細書中で使用する用語「両親媒性(amphiphilic)」は、親水性及び疎水性を共に有する物質に関連する。
【0131】
本明細書中で使用する用語「含んでなる(comprising)」は、この用語の前に挙げられた対象からこの用語の後に挙げられた1つ又はそれ以上の要素までの遷移に用いられるオープンエンドな遷移用語であり、遷移用語の後に列挙された1つ又はそれ以上の要素だけが必ずしもその対象を構成するのではない。
【0132】
本明細書中で使用する用語「含む(containing,contain)」は、「含んでなる」と同じオープンエンドな意味を有する。
【0133】
本明細書中で使用する用語「ガラス転移温度」又は「Tg」は、その温度未満では、ポリマーが硬質で脆くなると共に、応力を受けて亀裂を生じ且つ粉々に砕ける可能性のある温度を意味する。
【0134】
本明細書中で使用する用語「有する(having)」は、「含んでなる」と同じオープンエンドな意味を有する。
【0135】
本明細書中で使用する用語「挙げる」及び「挙げられる(include)」は、「含んでなる」と同じオープンエンドな意味を有する。
【0136】
本明細書中で使用する用語「ポリオール」は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する化合物を意味する。
【0137】
本明細書中で使用する用語「塩」は、化合物が全電荷を中性に保持する、陽イオンと陰イオンを含む化合物を意味する。
【0138】
本明細書中で使用する用語「水」は、脱イオン水、水道水及びそれらの任意の混合物を意味する。
【0139】
本明細書中で使用する用語「水分散性」は、例えば水のような極性物質を含む液体中に分散されることができる物質の性質を意味する。
【0140】
前述の本発明の好ましい形態は説明にのみ使用するものであり、本発明の範囲を解釈するために限定された意味で使用すべきではない。前述の例となる実施態様への明らかな変更は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者が容易に実施できるであろう。
【0141】
本発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載した本発明の文言上の範囲外であるが本発明の文言上の範囲からそれほど逸脱しない、任意の装置に関連する本発明の合理的に正しい範囲を決定及び評価するために、均等論に依拠する意志をここに言明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水分散性ロジン及び(b)約20〜約160℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーを含んでなり、約20重量%未満のVOC含量を有する、被覆の性能を向上させる添加剤。
【請求項2】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲の前記水分散性ロジンを含む請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲の前記水分散性ポリマーを含む請求項1に記載の添加剤。
【請求項4】
前記添加剤が両親媒性成分を更に含む請求項1に記載の添加剤。
【請求項5】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約2〜約98重量%の範囲の前記両親媒性成分を含む請求項4に記載の添加剤。
【請求項6】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約20〜約75重量%の範囲の前記水分散性ロジン、約20〜約75重量%の範囲の前記水分散性ポリマー及び約5〜約60重量%の範囲の前記両親媒性成分を含む請求項4に記載の添加剤。
【請求項7】
前記水分散性ロジンがロジン酸の塩である請求項1に記載の添加剤。
【請求項8】
前記ロジン酸が前記ロジン酸をアンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン及び/又はモルホリンと合することによって中和に供された請求項7に記載の添加剤。
【請求項9】
前記ロジン酸が約100〜約200mgKOH/gの範囲の酸価を有する請求項7に記載の添加剤。
【請求項10】
前記ロジン酸がアビエチン酸を含む請求項7に記載の添加剤。
【請求項11】
前記水分散性ポリマーが中和ビニルポリマー及び/又はスルホポリマーを含む請求項1に記載の添加剤。
【請求項12】
前記水分散性ポリマーが前記中和ビニルポリマーを含む請求項11に記載の添加剤。
【請求項13】
前記中和ビニルポリマーがカルボン酸末端基及び/又は無水物末端基を有する少なくとも1種のモノマーの残基を含む請求項12に記載の添加剤。
【請求項14】
前記中和ビニルポリマーがスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルの残基を更に含む請求項13に記載の添加剤。
【請求項15】
中和の前に、前記中和ビニルポリマーが約60〜約130℃の範囲のTgを有する請求項12に記載の添加剤。
【請求項16】
中和の前に、前記中和ビニルポリマーが約100〜約500mgKOH/gの範囲の酸価を有する請求項12に記載の添加剤。
【請求項17】
前記水分散性ポリマーが前記スルホポリマーを含む請求項11に記載の添加剤。
【請求項18】
前記スルホポリマーが少なくとも約25℃のTgを有する請求項17に記載の添加剤。
【請求項19】
前記スルホポリマーが少なくとも1個の金属スルホネート部分を有するスルホモノマーの残基を含む請求項17に記載の添加剤。
【請求項20】
前記金属スルホネートの金属がナトリウムである請求項19に記載の添加剤。
【請求項21】
前記スルホモノマーが5−ソジオスルホイソフタル酸である請求項19に記載の添加剤。
【請求項22】
前記スルホポリマーがスルホポリエステル、スルホポリアミド及び/又はスルホポリエステルアミドを含む請求項17に記載の添加剤。
【請求項23】
前記両親媒性成分が界面活性剤及び/又は両親媒性ポリエステルを含む請求項4に記載の添加剤。
【請求項24】
前記両親媒性成分が前記界面活性剤を含む請求項23に記載の添加剤。
【請求項25】
前記界面活性剤が約6〜約16の範囲のHLBを有する請求項24に記載の添加剤。
【請求項26】
前記両親媒性成分が前記両親媒性ポリエステルを含む請求項23に記載の添加剤。
【請求項27】
前記両親媒性ポリエステルが約20℃未満のTgを有する液体スルホポリエステルである請求項26に記載の添加剤。
【請求項28】
前記液体スルホポリエステルが少なくとも1個の金属スルホネート部分を有するスルホモノマーの残基を含む請求項27に記載の添加剤。
【請求項29】
前記金属スルホネートの金属がナトリウムである請求項28に記載の添加剤。
【請求項30】
前記スルホモノマーが5−ソジオスルホイソフタル酸である請求項29に記載の添加剤。
【請求項31】
水;結合剤;並びに(a)水分散性ロジン及び(b)約20〜約160℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーを含んでなり、約20重量%未満のVOC含量を有する添加剤を含んでなる被覆。
【請求項32】
前記添加剤が両親媒性成分を更に含む請求項31に記載の被覆。
【請求項33】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約20〜約75重量%の範囲の前記水分散性ロジン、約20〜約75重量%の範囲の前記水分散性ポリマー及び約5〜約60重量%の範囲の前記両親媒性成分を含む請求項32に記載の被覆。
【請求項34】
前記水分散性ロジンがロジン酸の塩である請求項31に記載の被覆。
【請求項35】
前記水分散性ポリマーが中和ビニルポリマー及び/又はスルホポリマーを含む請求項31に記載の被覆。
【請求項36】
前記中和ビニルポリマーが、カルボン酸末端基及び/又は無水物末端基を有する少なくとも1種のモノマーの残基を含む請求項35に記載の被覆。
【請求項37】
前記スルホポリマーが少なくとも約25℃のTgを有する請求項35に記載の被覆。
【請求項38】
前記スルホポリマーが少なくとも1個の金属スルホネート部分を有するスルホモノマーの残基を含む請求項35に記載の被覆。
【請求項39】
前記両親媒性成分が界面活性剤及び/又は両親媒性ポリエステルを含む請求項31に記載の被覆。
【請求項40】
前記被覆が約20〜約90重量%の範囲の前記水を含む請求項31に記載の被覆。
【請求項41】
前記被覆が、前記被覆の総重量に基づき、前記結合剤及び前記添加剤約10〜約80重量%の範囲の累積濃度で含む請求項31に記載の被覆。
【請求項42】
前記結合剤が約−5〜約80℃の範囲のTgを有するフィルム形成性ラテックスポリマーを含む請求項31に記載の被覆。
【請求項43】
前記被覆が、前記フィルム形成性ラテックスポリマー及び前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約70〜約97重量%の範囲の前記フィルム形成性ラテックスポリマー及び約3〜約30重量%の範囲の前記添加剤を含む請求項42に記載の被覆。
【請求項44】
前記被覆が少なくとも約1.5分のワイプド・ウェットエッジタイムを有する請求項31に記載の被覆。
【請求項45】
前記被覆が約2週間未満の不粘着時間を有する請求項31に記載の被覆。
【請求項46】
前記被覆が少なくとも約500サイクルの耐擦性を有する請求項31に記載の被覆。
【請求項47】
前記被覆が少なくとも約3の7日間耐ブロッキング性を有する請求項31に記載の被覆。
【請求項48】
水、結合剤及び約20重量%のVOC含量を有する添加剤を含んでなり、少なくとも約1.5分のワイプド・ウェットエッジタイム、約60分未満の指触乾燥時間、約2週間未満の不粘着時間、少なくとも約500サイクルの耐擦性及び4単位未満の黄変度(Δb)を有する被覆。
【請求項49】
前記被覆が少なくとも約6の7日間耐ブロッキング性を有する請求項48に記載の被覆。
【請求項50】
前記被覆が少なくとも約2分のオープンタイムを有する請求項48に記載の被覆。
【請求項51】
前記被覆が少なくとも約3分のワイプド・ウェットエッジタイムを有する請求項48に記載の被覆。
【請求項52】
前記添加剤が(a)水分散性ロジン及び(b)約20〜約60℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーを含む請求項48に記載の被覆。
【請求項53】
前記添加剤が両親媒性成分を更に含む請求項52に記載の被覆。
【請求項54】
前記添加剤が、前記添加剤中の固形分の総量に基づき、約20〜約75重量%の範囲の前記水分散性ロジン、約20〜約75重量%の前記水分散性ポリマー及び約5〜約60重量%の前記両親媒性成分を含む請求項53に記載の被覆。
【請求項55】
前記被覆が、前記ラテックスポリマー及び前記添加剤中の固形分の総重量に基づき、約70〜約97重量%の範囲のフィルム形成性ラテックスポリマー及び約3〜約30重量%の範囲の前記添加剤を含む請求項48に記載の被覆。
【請求項56】
(a)ロジン酸を中和し;
(b)前記中和ロジン酸を、約20〜約160℃の範囲のTgを有する水分散性ポリマーと合して、得られた混合物が約20重量%未満のVOC含量を有するようにする
ことを含んでなる被覆添加剤の製造方法。
【請求項57】
(c)前記中和ロジン酸と前記水分散性ポリマーを両親媒性成分と更に合することを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記被覆添加剤を結合剤及び水と合して被覆を形成することを更に含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ロジン酸の前記中和が前記ロジン酸と塩基及び水とを合することを含む請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記水分散性ポリマーが中和ビニルポリマー及び/又はスルホポリマーを含む請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記中和ビニルポリマーが、カルボン酸末端基及び/又は無水物末端基を有する少なくとも1種のモノマーの残基を含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記スルホポリマーが少なくとも約25℃のTgを有する請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記両親媒性成分が界面活性剤及び/又は両親媒性ポリエステルを含む請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記両親媒性ポリエステルが、少なくとも1個のスルホン酸ナトリウム部分を有するスルホモノマーの残基を含む液体スルホポリエステルである請求項63に記載の方法。

【公表番号】特表2010−506998(P2010−506998A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533312(P2009−533312)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/021555
【国際公開番号】WO2008/048438
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】