説明

被覆剥取装置およびこれを用いた被覆剥取方法

【課題】地上あるいは作業車上からの遠隔操作により、空中に架設された被覆電線等の絶縁被覆を所望長さで容易に剥ぎ取ることができる被覆剥取装置を提供する。
【解決手段】被覆電線Aを保持する電線保持部11eを有する皮剥ぎ具本体11と、皮剥ぎ具本体11に案内支持されて電線保持部11eに対して進退動する皮剥ぎ刃13とを備えた皮剥ぎ具10、および、中央部に被覆電線Aを挿脱可能に収容する電線収容空間21aが形成されてなる回転盤21と、遠隔操作棒2の先端に取り付けられて遠隔操作棒2の回動軸の回転を回転盤21に伝達する回転伝達手段30とを備えた回転駆動具20を具備し、回転盤21の回転中心に皮剥ぎ具本体11に保持された被覆電線Aの中心軸が位置するように皮剥ぎ具10を回転盤21に取り付け、遠隔操作棒2の回転操作によって皮剥ぎ具本体11を被覆電線Aの中心軸回りに回転させて絶縁被覆Bを剥ぎ取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧架線等に用いられる被覆電線の被覆材を剥ぎ取る被覆剥取装置およびこれを用いた被覆剥取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架線工事、例えば絶縁材料により被覆された被覆電線の端部や中間部を他の電線と接続する工事においては、被覆電線の接続対象箇所の絶縁被覆を剥ぎ取って芯線を露出させる必要がある。このような被覆電線の絶縁被覆を剥ぎ取る作業は、従来、ナイフ等を用いた手作業で行われたり、特許文献1において従来技術として提示された図8に示されるような被覆剥取器60を用いて行われたりしている。
【0003】
従来の被覆剥取器60は、場合によっては予めナイフ等で剥ぎ取り対象部分のヒレ部を切除した後に、電線保持部61に被覆電線Aを導入し、螺軸64を操作リング65で回転させて電線保持部61内の被覆電線Aの絶縁被覆Bと芯線Cとの境界部にまで刃先63を喰い込ませて刃体62を位置決め固定し、さらに、張出ロッド部66を回転操作(遠隔操作時にはその操作部67を利用)して、この被覆電線Aの中心軸回りに被覆剥取器60を一方向に回転させることにより、その刃先63の刃幅に相当する長さ分の絶縁被覆Bを剥ぎ取るというものであった。
【特許文献1】特開平10−216512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、架線された被覆電線の中間部の被覆剥ぎ取り作業は、電線間の接続、電路の分離、電線への機器の接続などを目的とした工事の中で必要となる作業であり、停電を避けて、原則として活線の状態で行われる。
【0005】
上記の被覆剥取器60を用いて活線状態の被覆電線を対象とした被覆剥ぎ取り作業を行うには、空中に架設された被覆電線にアプローチする必要があるが、作業者が空中の被覆電線に接近して作業する場合には、高所での作業で危険を伴い、作業効率も悪い。また、地上あるいは作業車上から被覆剥取器60を遠隔操作して作業する場合には、特に張出ロッド部66を回転操作が煩雑で難しく、そのため作業効率も悪い。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、地上あるいは作業車上からの遠隔操作により、安全で、しかも、作業効率良く、空中に架設された被覆電線等の絶縁被覆を所望長さで剥ぎ取ることができる被覆剥取装置およびこれを用いた被覆剥取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る被覆剥取装置は、被覆電線を保持する電線保持部を有する皮剥ぎ具本体と、この皮剥ぎ具本体に案内支持されて電線保持部に対して進退動する皮剥ぎ刃と、この皮剥ぎ刃を進退動させ、前進位置で皮剥ぎ刃を被覆電線の絶縁被覆に喰い込ませ、後退位置で電線保持部と皮剥ぎ刃との間に被覆電線を側方から導入する空間を形成する皮剥ぎ刃駆動手段と、を備えた皮剥ぎ具を具備するとともに、外周の一部を切り欠いて、中央部に被覆電線を挿脱可能に収容する電線収容空間が形成され、切り欠いた部分に電線挿脱口が形成されてなる回転盤とこの回転盤を回転可能に保持するケースと、このケースを支持するとともに、遠隔操作棒の先端に取り付けられ、かつ、遠隔操作棒の回動軸の回転を前記回転盤の回転に伝達する回転伝達手段と、を備えた回転駆動具を具備し、回転盤の回転中心に、皮剥ぎ具本体に保持された被覆電線の中心軸が位置するように、皮剥ぎ具を回転盤に取り付け、遠隔操作棒の回転操作によって皮剥ぎ具本体を被覆電線の中心軸回りに回転させることにより、皮剥ぎ刃の刃幅で絶縁被覆を剥ぎ取ることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1に係る被覆剥取装置によれば、回転駆動具は遠隔操作棒の回動操作により回転伝達手段を介して回転盤を回転させ、回転盤に取り付けられた皮剥ぎ具を回転させる。そして、皮剥ぎ具の電線保持部に保持された被覆電線は、回転盤の電線収容空間にその回転軸心に沿って収容されており、被覆電線が電線保持部および電線収容空間に収容保持された状態で回転盤を回転させると、皮剥ぎ具が被覆電線の中心軸回りに回転し、被覆電線の絶縁被覆を皮剥ぎ刃の刃幅で剥ぎ取ることになる。
【0009】
このように、本発明の被覆剥取装置によれば、遠隔操作棒に連結された被覆剥取装置を空中に架設された被覆電線に地上あるいは作業車上から接近させ、被覆電線を電線保持部に収容して皮剥ぎ具本体により保持した状態で、遠隔操作棒の遠隔回動操作により皮剥ぎ具を回転させることによって被覆電線の絶縁被覆を皮剥ぎ刃の刃幅で設定される所望の長さで容易に剥ぎ取ることができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る被覆剥取装置は、請求項1に記載の被覆剥取装置において、電線挿脱口に近接した回転盤側の位置に揺動可能に開閉歯車片が取り付けられるとともに、この開閉歯車片の揺動軸に開閉歯車片を回転盤の回転軸心方向に向けて付勢する付勢手段を備え、電線挿脱口が閉止された状態では、付勢手段の付勢力により開閉歯車片が回転盤に係合して一体として回転するように構成されているものである。
【0011】
請求項2に係る被覆剥取装置によれば、回転盤の電線挿脱口に係合する開閉歯車片と、回転盤の回転軸心方向(電線挿脱口を閉止する方向)に向けて付勢された開閉歯車片を付勢する付勢手段とを有する簡単な構造を採りながら、被覆電線が電線収容空間に収容された状態(電線挿脱口が閉止された状態)では、電線挿脱口が開閉歯車片により確実に閉止された状態が維持され、被覆剥ぎ取り作業の途中で電線挿脱口が開放されるようなことはなく、被覆剥ぎ取り作業を安定して行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る被覆剥取方法は、請求項1または請求項2に記載の被覆剥取装置を用いて被覆電線の絶縁被覆を剥ぎ取る被覆剥取方法であって、被覆皮剥取装置を遠隔操作棒に連結して支持した状態で空中に架線された被覆電線に接近させ、電線保持部および電線収容空間に被覆電線を収容し、次いで、開閉操作棒を用いて皮剥ぎ具本体を遠隔操作して前記電線保持部に保持し、さらに、電線挿脱口を閉止して被覆電線を前記電線収容空間内に収容するとともに、皮剥ぎ刃を被覆電線の絶縁被覆に喰い込ませ、次いで、前記遠隔操作棒の回動操作により回転駆動具の回転盤を回転させ、この回転盤に取り付けられた皮剥ぎ具を被覆電線の中心軸回りに回転させることにより、皮剥ぎ刃がその刃幅で絶縁被覆を剥ぎ取ることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る被覆剥取方法によれば、作業者が行う操作は、(1)遠隔操作棒を用いて被覆電線を電線保持部および電線収容空間に導入収容する操作と、(2)開閉操作棒を用いて電線保持部に被覆電線を保持するとともに、この被覆電線に皮剥ぎ刃を喰い込ませる操作と、(3)遠隔操作棒の回動操作によって皮剥ぎ具を被覆電線の中心軸上にある軸心回りに回転させる操作だけであり、このような簡単な操作によって、空中に架線された被覆電線が活線の状態でその絶縁被覆を皮剥ぎ刃の刃幅により設定される剥ぎ取り長で剥ぎ取ることができるため、作業能率が高い。
【0014】
このように、本発明の被覆剥取方法によれば、地上あるいは作業車上からの遠隔操作により、空中に架設された被覆電線等の絶縁被覆を所望長さで容易に剥ぎ取ることができ、しかも、その作業は安全で、作業能率が高い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の被覆剥取装置およびこれを用いた被覆剥取方法によれば、地上あるいは作業車上からの遠隔操作により、安全で、しかも、作業効率良く、空中に架設された被覆電線の絶縁被覆を所望長さで剥ぎ取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の被覆剥取装置に係る最良の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。なお、下記に開示される実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、実施の形態で開示された内容ではなく、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれると解されるべきである。
【0017】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態に係る被覆剥取装置の構造について、図1〜図6に基づき説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の概要を説明するための斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の構造を説明するための正面図である。また、図3は、本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の皮剥ぎ具の構造を説明するための、(a)は側面図、(b)は正面図であり、図4は、本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の皮剥ぎ具を回転駆動具に装着するための構造を説明するための斜視図である。さらに、図5は、本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が開の状態を示す)であり、図6は、同じく回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が閉の状態を示す)である。
【0018】
本発明の被覆剥取装置1は、回転駆動具20(具体的には後述の皮剥ぎ具保持部40)に皮剥ぎ具10を装着して構成され、回転駆動具20に連結される遠隔操作棒2からの操作によって、皮剥ぎ具10を被覆電線Aの中心軸回りに回転させ、皮剥ぎ具10の皮剥ぎ刃13により空中に架線された被覆電線Aの中間部の絶縁被覆Bを皮剥ぎ刃13の刃幅に相当する長さで剥ぎ取るものである。
【0019】
皮剥ぎ具10は、回転駆動具20に着脱可能に装着することができるように構成されており、皮剥ぎ具本体11と、皮剥ぎ具本体11に対して摺動可能に取り付けられた可動部材12と、可動部材12に取り付けられた皮剥ぎ刃13と、可動部材12に連結され、可動部材12(および皮剥ぎ刃13)を皮剥ぎ具本体11に対して進退動させる進退軸14および操作リング15(皮剥ぎ刃駆動手段)と、皮剥ぎ具10を回転駆動具20に装着するための装着台座16とを備えてなる。
【0020】
皮剥ぎ具本体11は、断面略コ字状の形状を有し、上下方向に可動部材12を摺動させるガイド面11dを左右に有する本体部11aと、本体部11a上端部から前方に延出され、可動部材12との間で電線保持部11eが形成される上辺部11bと、本体部11a下端部から前方に延出され、その中央にネジ穴11fを有する下辺部11cとで構成されている。
【0021】
可動部材12は、皮剥ぎ具本体11のガイド面11dに規制されて、図3(a)の上下方向に摺動可能に取り付けられている。また、可動部材12の下端部には、外周面に雄ネジが形成され、皮剥ぎ具本体11(下辺部11c)のネジ穴11fに螺合されて、上下方向に沿って軸心を有する進退軸14(螺軸)が取り付けられ、さらに、進退軸14の下端部には下端に円環部15aを有する操作リング15が螺入されている。また、進退軸14の、下辺部11cとの螺合部分と操作リング15との間にはストッパー15bが固定されており、ストッパー15bが下辺部11cの下面に当接することにより、可動部材12がそれ以上に上方向に前進するのを規制している。
【0022】
さらに、可動部材12の前面(図3(a)で右方)には、刃先13aが電線保持部11eに保持される被覆電線Aに対して平行になる状態で、皮剥ぎ刃13が固定されている。なお、可動部材12が進退動範囲の上限(ストッパー15bにより上方向への前進を規制)に位置したときに、皮剥ぎ刃13の刃先13aが被覆剥ぎ取り作業の対象となる被覆電線Aの芯線Cと絶縁被覆Bの境界部に向け、その接線方向から前進する(絶縁被覆Bに喰い込む)ように設定されている。
【0023】
可動部材12を下方向に後退させた(皮剥ぎ具本体11の上辺部11aと可動部材12(皮剥ぎ刃13)との間の間隙を拡張させた)状態で被覆電線Aにアプローチし、皮剥ぎ刃13の後方(図3(a)で左方)で上辺部11aと可動部材12とにより囲繞された電線保持部11eに被覆電線Aを導入し、収容することができる。そして、先端にフックを有する開閉操作棒を用いて、そのフックを操作リング15の円環部15aに引っ掛け、開閉操作棒を回転操作することによって、操作リング15(円環部15a)を進退軸14の軸心回りに回転させ、これに伴い可動部材12を上方向に前進させることにより、電線保持部11eに導入された被覆電線Aを保持するとともに、刃先13aを接線方向から絶縁被覆Bに喰い込ませることができる。また、被覆電線Aの絶縁被覆Bを剥ぎ取った後、操作リング15を開閉操作棒からの操作によって逆回転させ、可動部材12を下方向に後退させれば、電線保持部11eに保持された被覆電線Aをこの電線保持部11eから脱離させることができる。なお、ここで、電線保持部11eに被覆電線Aを保持するとは、被覆電線Aを上辺部11aと可動部材12とにより囲繞された空間に収容し、皮剥ぎ刃を回転させて絶縁被覆を剥ぎ取る過程においても、皮剥ぎ刃の回転に伴って回転せず、電線保持部11eに収容された状態が維持される程度に電線保持部11eに挟持されている状態をいう。
【0024】
装着台座16は、皮剥ぎ具本体11の下方に設けられ、皮剥ぎ具10を後述の皮剥ぎ具保持部40に着脱可能に装着するためのものであり、その側方の面(図3(b)で右方)に係合穴16aが設けられ、その前方の面(図3(b)で手前方)に装着穴16bが設けられている。係合穴16aおよび装着穴16bは、それぞれ後述の皮剥ぎ具保持部40の係合ピン41c、装着ピン42が嵌め込まれることにより、皮剥ぎ具10を皮剥ぎ具保持部40に装着固定する。
【0025】
なお、皮剥ぎ具10は、被覆剥ぎ取り作業の対象とする被覆電線Aの種類(芯線Cの線径、絶縁被覆Bの材質・厚さなど)や剥ぎ取り長さ、剥ぎ取り対象部(中間部または端部)に応じて使い分けられるよう、複数種類の皮剥ぎ具10が用意されている。また、可動部材12に固定された皮剥ぎ刃13を取り替えることによって、剥ぎ取り長の異なる被覆剥ぎ取り作業に対応できるようになっている。それぞれの皮剥ぎ具10は、可動部材12が進退動範囲の上限に位置したときに、皮剥ぎ刃13の刃先13aが皮剥ぎ対象となる被覆電線Aの芯線Cと絶縁被覆Bの境界部に向け、その接線方向から前進(絶縁被覆Bに喰い込む)ように設定されている。
【0026】
回転駆動具20は、回転盤21と、回転盤21を回転可能に保持するケース27と、遠隔操作棒2の回転軸の回転を回転盤21の回転に伝達する回転伝達部(回転伝達手段)30とを備えて構成され、回転盤21には、皮剥ぎ具10を着脱可能に装着する皮剥ぎ部保持部40が取り付けられている。
【0027】
回転盤21は、外周面に後述のピニオン37に噛合する歯が設けられ、中央部に、断面円形の空間が被覆電線を収容可能な電線収容空間21aとして一方に開口して形成された円環状の平板であり、同様に開口した形状を有する1対の回転盤保持部26が、開口形状を同一にして回転盤21の両側面に取り付けられている。電線収容空間21aの直径および開口部の幅は被覆電線Aの直径より若干大きく設定されており(回転盤保持部26の場合も同様)、電線収容空間21aは被覆電線Aを収容するための空間であり、開口部は被覆電線Aを電線収容空間21aに挿入したり、被覆電線Aを電線収容空間21aから脱離したりすることを可能とする電線挿脱口21bとして機能する。なお、回転盤21を回転可能に保持するケース27にも、電線挿脱口21bと同様の形状を有する開口部が設けられており、ケース27の開口部に電線挿脱口21bが位置したときに、電線挿脱口21bを介しての被覆電線Aの挿脱が可能となる。
【0028】
電線挿脱口21b近辺の回転盤21には、揺動軸23が設けられ、開閉歯車片22がこの揺動軸23回りに揺動可能に取り付けられている。開閉歯車片22は、回転盤21の外径と同径の円弧状に形成された外周面を有し、その外周面に回転盤21と同一形状の歯が設けられている。回転盤21における開閉歯車片22の取り付け部分には、開閉歯車片22の取り付けと揺動を可能とするため、回転盤21の一部が切り欠かれており、また、回転盤21における開閉歯車片22の先端を受け入れ、係合する部分には、開閉歯車片22を受け入れるため、回転盤21の一部が切り欠かれている。このようにして、開閉歯車片22が回転盤21に係合した状態(電線挿脱口21bが閉状態)では、回転盤21と開閉歯車片22とが一体の歯車として回転駆動されるように構成されている。
【0029】
そして、揺動軸23側と、揺動軸23と反対側の電線挿脱口21bに近接した回転盤21の側面(前述の切り欠かれた部分)に、それぞれボールプランジャ機構24a、24b(保持手段)が設けられている。開閉歯車片22をケース27の開口部から引き出して電線挿脱口21bを開状態とした時(図3(a)に示す状態)には、このボールプランジャ機構24aが作動して開状態で保持される。そして、この電線挿脱口21bが開状態で、電線挿脱口21bがケース27の開口と一致しているため、被覆電線Aを電線収容空間21aに挿入し、収容保持することができる。また、他の操作棒等により開閉歯車片22に外力を加えれば、このボールプランジャ機構24aが解除され、さらに、開閉歯車片22を電線挿脱口21b方向に押圧すると、開閉歯車片22が回転盤21の切り欠かれた部分に係合し、ボールプランジャ機構24bが作動して、電線挿脱口21bを閉状態に保持することができる。
【0030】
さらに、皮剥ぎ具10による絶縁被覆Bの剥ぎ取り作業を終えた後に、遠隔操作棒2により被覆剥取装置1を被覆電線Aから離間する方向に引き戻し操作すると、ボールプランジャ機構24bが解除され、開閉歯車片22を揺動させて回転盤21から離脱させ、電線挿脱口21bを開状態とすることができ、これにより電線収容空間21aから被覆電線Aを脱離させることができる。
【0031】
回転盤保持部26の周面の外方(回転盤21に取り付く面の反対側)寄りには環状の鍔部26aが設定され、回転盤保持部26が回転盤21の側面に取り付けられた状態で、回転盤21の側面と回転盤保持部26の鍔部26aとの間に環状の凹部が形成されるように構成されている。そして、この環状の凹部にケース27の回転盤嵌着穴27aを取り巻く縁部が嵌め込まれるように回転盤保持部26を回転盤21の側面に取り付けることにより、回転盤21がケース27に対して回転可能に嵌着されることになる。このため、回転盤嵌着穴27aの直径は回転盤保持部26の外径(鍔部26aが形成されていない部分)より若干大きく、また、回転盤保持部26の鍔部26aが形成されていない部分の幅はケース27の厚みより若干広く設定されている。
【0032】
ケース27は、回転盤21とピニオン37とを覆うとともに、回転盤21の電線収容空間21aと電線挿脱口21bに対応して切り欠かれ、その開口部(回転盤嵌着穴27a)に回転盤保持部26を介して回転盤27を回転可能に保持するものである。また、ケース27の外側面(後述の皮剥ぎ具保持部40が取り付けられる側とは反対側)には、電線補助支持部が28取り付けられている。電線補助支持部28は、その先端部に被覆電線Aの外径より若干大きく設定された内径を有する半円環部28aを備え、この半円環部28aに被覆電線Aを当接させることで、電線収容空間21aに導入しようとする被覆電線Aを誘導したり、電線収容空間21aに収容された被覆電線Aを補助的に支持したりするものであり、また、皮剥ぎ具10の回転動作による被覆電線Aのふらつきを抑止するものである。
【0033】
回転盤保持部26の一方の外側面には、装着保持板41と装着ピン42とを備えてなる皮剥ぎ具保持部40が取り付けられている。装着保持板41は、回転盤21の半径方向に延出された取付部41aの上方(回転軸心側)で回転盤保持部26の外側面にねじで固定されるとともに、この取付部41aの下方(回転軸心から離れる側)で直角(回転軸と平行な方向)に折り曲げられ、その先に皮剥ぎ具装着部41bが断面視コ字状の(前後に1対の側板が立ち上げられた)形状をもって形成されている。そして、取付部41aの下方部分に係合ピン41cが設けられている。
【0034】
また、装着ピン42は、皮剥ぎ具装着部41bの側板に、先端が側板の内側(装着台座16側)に突出する方向に付勢された状態で、装着台座16の装着穴16aに係合可能な位置に取り付けられている。この装着ピン42を付勢力に抗して側板から後退するように操作した上で、皮剥ぎ具10の装着台座16を皮剥ぎ具装着部41bに受け入れ、係合ピン41cを装着台座16の側方に設けられた係合穴16aに係合させた状態で、さらに、装着ピン42を付勢力によって側板から前進するように操作して装着穴16bに係合させることにより、皮剥ぎ具10(装着台座16)を皮剥ぎ具装着部41bに装着固定することができる。
【0035】
なお、皮剥ぎ具保持部40における回転盤21の回転中心から皮剥ぎ具装着部41b上面までの鉛直方向の寸法d(図5を参照)は、皮剥ぎ具10における電線保持部11eに収容される被覆電線Aの中心軸(すなわち、可動部材12の進退動上限での刃先13aの位置)から装着台座16底面までの鉛直方向の寸法と同一に設定されており、さらに、皮剥ぎ具保持部40における回転盤21の回転中心から皮剥ぎ具装着部41bの中心線までの皮剥ぎ具装着部41b上面に沿った方向の寸法s(図5を参照)は、皮剥ぎ具10における電線保持部11eに収容される被覆電線Aの中心軸から装着台座16の中心線までの装着台座16底面に沿った方向の寸法と同一に設定されている。
【0036】
したがって、回転盤21の回転中心は、電線保持部11eに収容される被覆電線Aの中心軸上に位置することになる。皮剥ぎ具保持部40がこのような形状・寸法を持って回転盤保持部26に取り付けられることにより、電線保持部11eおよび電線収容空間21aに保持される被覆電線Aは皮剥ぎ具10の回転動作によってふらつくことなく、刃先13aは被覆電線Aの芯線Cと絶縁被覆Bの境界部上を回転移動し、絶縁被覆Bを円滑に剥ぎ取っていくことができる。
【0037】
回転伝達部30は、断面視L字状の形状を有する支持台31と、支持台31の底辺部31a下方に取り付けられた支持筒32と、互いに直交して噛合する第1ベベルギア33と第2ベベルギア34と、第1ベベルギア34の軸心に接続される連結回転軸35と、これらの構成部品を覆う側面視直角三角形状のカバー36を備え、さらに、ケース27の内部に、第2ベベルギア34と同軸に設けられたピニオン37を備えて構成されている。
【0038】
支持筒32は、その筒状体の内部に遠隔操作棒2の先端部を受け入れることにより、被覆剥取装置1を遠隔操作棒2によって支持するためのものである。
【0039】
第1ベベルギア33は、支持台31の底辺部31a中央に形成された穴に回転可能に軸支され、ギア部33aが支持台31の底辺部31a上方に配されている。また、第2ベベルギア34は、支持台31の側辺部31b中央に形成された穴に回転可能に軸支され、ギア部34aが支持台31の側辺部31b側方に配されて第1ベベルギア33のギア部33aに噛合するとともに、ギア部34aと反対側の軸心部34bが支持台31の側辺部31bから突出してケース27内を挿通し、その軸心部34bにピニオン37が取り付けられている。連結回転軸35は、支持筒32の中心軸上に位置して配され、上端が第1ベベルギア33の軸心部33bに接合されるとともに、下端には遠隔操作棒2の回動軸と係合するために断面視六角形状の頭部35aが設けられている。
【0040】
遠隔操作棒2としては、棒状の筒体内部に回動軸を備え、手元のハンドルを回転操作することにより、その回転がベベルギアを介して回動軸に伝達される、周知の遠隔操作棒が用いられる。支持筒32に遠隔操作棒2の先端を差し込むことにより、連結回転軸35(頭部35a)に遠隔操作棒2の回動軸の先端部を連結させ、被覆剥取装置1を遠隔操作棒2の先端に支持することができる。そして、この状態で、遠隔操作棒2手元のハンドルを回転操作することにより、連結回転軸35を回転させ、連結回転軸35に接合された第1ベベルギア33とこれに噛合する第2ベベルギア34とを回転させ、さらに第2ベベルギア34と同軸に取り付けられたピニオン37を回転させ、ピニオン37に噛合する回転盤21およびそれに回転盤保持部26を介して取り付けられた皮剥ぎ具10を回転させることができる。
【0041】
以上のように構成される被覆剥取装置1によれば、被覆剥取装置1(回転駆動具20)に遠隔操作棒2を連結し、この遠隔操作棒2で被覆剥取装置1を支持した状態で、地上あるいは作業車上からの遠隔操作により回転盤21およびそれに取り付けた皮剥ぎ具10を回転させて、安全で、しかも、作業効率良く、空中に架線された被覆電線Aの絶縁被覆Bを所望長さで容易に剥ぎ取ることができる。
【0042】
また、回転盤21の電線挿脱口21bに係合する開閉歯車片22と、電線挿脱口21bの開状態および閉状態で開閉歯車片22を保持するボールプランジャ機構24a、24bとを有する簡単な構造を採りながら、被覆電線Aが電線収容空間21aに収容された状態(電線挿脱口21bが閉止された状態)では、電線挿脱口21bがボールプランジャ機構24bにより確実に閉止された状態が維持され、被覆剥ぎ取り作業の途中で電線挿脱口22bが開放されるようなことはなく、被覆剥ぎ取り作業を安定して行うことができる。
【0043】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る被覆剥取装置1’の構造について、図7に基づき説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る被覆剥取装置の回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が開の状態を示す)である。実施の形態2に係る被覆剥取装置1’は、回転駆動具20’(開閉歯車片22の開閉にかかわる機構)が実施の形態1に係る被覆剥取装置1と異なっており、ここでは主にその相違点について説明する。
【0044】
電線挿脱口21b近辺の回転盤21には、開閉歯車片22が揺動軸23回りに揺動可能に取り付けられており、この開閉歯車片22は、トーションバネ25(付勢手段)により回転盤21の回転軸心方向(電線挿脱口21bを閉じる方向)に付勢されている。開閉歯車片22は、回転盤21の外径と同径の円弧状に形成された外周面を有し、その外周面に回転盤21と同一形状の歯が形成されている。回転盤21における開閉歯車片22の取り付け部分では、開閉歯車片22の取り付けと揺動を可能とするため、回転盤21の一部が切り欠かれている。トーションばね25は、その一端が回転盤21に係止され、他端が開閉歯車片22に係止されて、揺動軸23に巻回され、この揺動軸23近傍の回転盤21の側面にボールプランジャ機構24’(保持手段)が設けられている。また、回転盤21における開閉歯車片22の先端を受け入れ、双方が係合する部分では、開閉歯車片22を受け入れるため、回転盤21の一部が切り欠かれている。このようにして、開閉歯車片22が回転盤21に係合した状態(電線挿脱口21bが閉状態)では、回転盤21と開閉歯車片22とが一体の歯車として回転駆動されるように構成されている。
【0045】
トーションばね25の付勢力に抗して開閉歯車片22をケース27の開口から引き出して電線挿脱口21bを開状態とした時(図4(a)に示す状態)には、このボールプランジャ機構24’が作動して開状態が維持される。そして、この電線挿脱口21bが開状態では、電線挿脱口21bがケース27の開口と一致しているため、被覆電線Aを電線収容空間21aに挿入し、収納保持することができる。また、他の操作棒等により開閉歯車片22に外力を加えれば、ボールプランジャ機構24’が解除され、開閉歯車片22がトーションばね25により回転盤21の回転軸心方向に付勢され、回転盤21の切り欠かれた部分に係合して、電線挿脱口21bを閉状態とすることができる。このような構成によれば、開閉歯車片22が電線挿脱口21b方向に付勢されているため、電線収容空間21aに被覆電線Aを収容した状態(電線挿脱口21bが閉状態)で皮剥ぎ具10を回転駆動しても、被覆剥ぎ取り作業の途中で電線挿脱口21bが開状態になることを確実に防止することができる。
【0046】
さらに、皮剥ぎ具10による絶縁被覆Bの剥ぎ取り作業を終えた後に、遠隔操作棒2により被覆剥取装置1’を被覆電線Aから離間する方向に引き戻し操作すると、トーションばね25の付勢力に抗して開閉歯車片22を揺動させて回転盤21との係合を解除し、電線挿脱口21bを開状態とすることができ、これにより電線収容空間21aから被覆電線Aを簡単に脱離させることができる。
【0047】
このように、実施の形態2に係る被覆剥取装置1’では、開閉歯車片22の揺動軸23に付勢手段としてのトーションばね25を配設するといった簡単な構造でありながら、被覆電線Aが電線収容空間21aに収容された状態では、電線挿脱口21bが回転軸心に向けて付勢された開閉歯車片22により一層確実に封止された状態が維持され、被覆剥ぎ取り作業の途中で電線挿脱口21bが開放されるようなことはなく、被覆剥ぎ取り作業を安定して行うことができる。
【0048】
(被覆剥取装置を用いた被覆電線の被覆剥取方法)
次に、図1〜図4および図7を参照して、本発明の被覆剥取装置1’を用いた被覆電線の被覆剥取方法について、以上の記載と重複する部分もあり、ここでは簡単に説明する。
【0049】
先ず、回転駆動具20の支持筒32に遠隔操作棒2の先端を挿入し、被覆剥取装置1’を支持するとともに、遠隔操作棒2の回動操作手段の先端部を連結回転軸35に連結する。そして、皮剥ぎ具本体11の電線保持部11eおよび回転盤21の電線挿脱口21bを開の状態(ボールプランジャ機構24’により開状態を維持)にして、被覆剥取装置1’を空中に架線された被覆電線Aの中間部に接近させ、電線保持部11eおよび電線収容空間21aに被覆電線Aの中間部を収容する。
【0050】
なお、被覆電線Aの中間部を電線保持部11eおよび電線収容空間21aに収容し終えた後、別の操作棒により開閉歯車片22を押圧すれば、電線挿脱口21bを開状態に維持していたボールプランジャ機構24’が外れ、開閉歯車片22はトーションバネ25の付勢力により揺動し、電線挿脱口21bを閉状態にすることができる。
【0051】
次に、開閉操作棒の先端フックを操作リング15に懸架して、これを回転させることにより進退軸14を回転させ、可動部材12を電線保持部11eに向けて(進退動の上限まで)前進させて、皮剥ぎ具本体11(電線保持部11e)に保持された被覆電線Aの絶縁被覆Bに皮剥ぎ刃13の刃先13aを喰い込ませる。
【0052】
次に、遠隔操作棒2の回動操作手段からの遠隔操作により連結回転軸35を回転させ、この回転力を回転伝達部30を介して回転盤21に伝達し、回転盤21を回転させる。これに伴い、回転盤保持部26、皮剥ぎ具保持部40を介して回転盤21に取り付けられた皮剥ぎ具10を被覆電線Aの中心軸上にある軸心回りに回転させ、皮剥ぎ刃13がその刃幅で絶縁被覆Bを剥ぎ取ることになる。
【0053】
また、絶縁被覆Bを剥ぎ取り終えた後、遠隔操作棒2を被覆電線Aから離間する方向に引き戻し操作すると、トーションバネ25の付勢力に抗して電線挿脱口21bが開き、被覆剥取装置1’を被覆電線Aから離脱させることができる。
【0054】
このような被覆剥取方法では、作業者が行う操作は、(1)遠隔操作棒2を用いて被覆電線Aを電線保持部11eと電線収容空間21aに収容する操作と、(2)開閉操作棒を用いて電線保持部11e内に収容された被覆電線Aに皮剥ぎ刃13を喰い込ませる操作と、(3)遠隔操作棒2の回動操作手段によって皮剥ぎ具10を被覆電線Aの中心軸上にある軸心回りに回転させる操作だけであり、このような簡単な操作によって、空中に架線された被覆電線Aが活線の状態でその絶縁被覆Bを容易に剥ぎ取ることができるため、安全であり、しかも、作業効率が高い。
【0055】
以上、本発明の被覆剥取装置およびこれを用いた被覆剥取方法について説明したが、本発明の技術的態様は実施の形態1および2に記載した内容に限定されるものではない。
【0056】
すなわち、上記の実施の形態1および2では、回転伝達部30が第1および第2のベベルギア33、34とピニオン37とを有する構成を示したが、ピニオン37を省略して、回転伝達部30に設けられた別の回転伝達機構を介して遠隔操作棒2の回動操作手段からの回転力が回転盤21に伝達されるように構成してもよい。また、第1ベベルギア33と第2ベベルギア34についても、別の回転伝達機構を用いることにより遠隔操作棒2の回動操作手段からの回転力が回転盤21に伝達されるように構成してもよい。
【0057】
また、上記の実施の形態1では、回転盤21には、その電線挿脱口21bを開閉するため、揺動可能な開閉歯車片22を設け、ボールプランジャ機構24a、24bによりそれぞれ電線挿脱口21bの開状態および閉状態で開閉歯車片22を保持する構成を示し、さらに、実施の形態2では、ボールプランジャ機構24’により電線挿脱口21bの開状態で開閉歯車片22を保持するとともに、トーションバネ25により開閉歯車片22を回転軸心方向に付勢することにより電線挿脱口21bの閉状態で開閉歯車片22を保持する構成を示したが、ボールプランジャ機構24a、24b、24’は保持手段の一例であり、また、トーションバネ25は付勢手段の一例であって、他の保持手段および付勢手段により電線挿脱口21bの開状態および閉状態で開閉歯車片22を保持するものであってもよい。例えば、トーションバネ等の付勢手段により開閉歯車片22を回転軸心から離間する方向に付勢することにより電線挿脱口21bの開状態で開閉歯車片22を保持するとともに、ボールプランジャ機構等の保持手段により電線挿脱口21bの閉状態で開閉歯車片22を保持するように構成してもよい。
【0058】
さらに、実施の形態2では、回転盤21には、その電線挿脱口21bを開閉するため、揺動可能な開閉歯車片22が設けられ、この開閉歯車片22がトーションバネ25(付勢手段)によって回転軸心方向に付勢される構成を示したが、開閉歯車片22の形態やそれに対応した付勢手段の形態、付勢方向についても適宜変更可能である。例えば、開閉歯車片が円周方向に摺動することにより電線挿脱口21bを開閉するように構成してもよく、この場合には、付勢手段が開閉歯車片を円周方向の一方向(開閉歯車片により電線挿脱口21bを閉止あるいは開放する方向)に付勢するように構成し、ボールプランジャ機構等の保持手段が開閉歯車片を電線挿脱口21bの閉状態あるいは開状態で保持するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の概要を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の構造を説明するための正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の皮剥ぎ具の構造を説明するための、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の皮剥ぎ具を回転駆動具に装着するための構造を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が開の状態)である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る被覆剥取装置の回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が閉の状態)である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る被覆剥取装置の回転駆動具の構造を説明するための側面図(電線挿脱口が開の状態)である。
【図8】従来の被覆剥取器の構造を説明するための、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 被覆剥取装置
2 遠隔操作棒
10 皮剥ぎ具
11 皮剥ぎ具本体
11e 電線保持部
12 可動部材
13 皮剥ぎ刃
13a 刃先
14 進退軸(皮剥ぎ刃駆動手段)
20 回転駆動具
21 回転盤
21a 電線収容空間
21b 電線挿脱口
22 開閉歯車片
23 揺動軸
25 トーションバネ(付勢手段)
27 ケース
30 回転伝達部(回転伝達手段)
40 皮剥ぎ具保持部
60 被覆剥取器
61 掴持部
62 刃体
63 刃先
A 被覆電線
B 絶縁被覆
C 芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線を保持する電線保持部を有する皮剥ぎ具本体と、該皮剥ぎ具本体に案内支持されて前記電線保持部に対して進退動する皮剥ぎ刃と、該皮剥ぎ刃を進退動させ、前進位置で前記皮剥ぎ刃を被覆電線の絶縁被覆に喰い込ませ、後退位置で前記電線保持部と皮剥ぎ刃との間に被覆電線を側方から導入する空間を形成する皮剥ぎ刃駆動手段と、を備えた皮剥ぎ具を具備するとともに、
外周の一部を切り欠いて、中央部に被覆電線を挿脱可能に収容する電線収容空間が形成され、切り欠いた部分に電線挿脱口が形成されてなる回転盤と、該回転盤を回転可能に保持するケースと、該ケースを支持するとともに、遠隔操作棒の先端に取り付けられ、かつ、該遠隔操作棒の回動軸の回転を前記回転盤の回転に伝達する回転伝達手段と、を備えた回転駆動具を具備し、
前記回転盤の回転中心に、前記皮剥ぎ具本体に保持された被覆電線の中心軸が位置するように、前記皮剥ぎ具を前記回転盤に取り付け、前記遠隔操作棒の回転操作によって前記皮剥ぎ具本体を被覆電線の中心軸回りに回転させることにより、前記皮剥ぎ刃の刃幅で前記絶縁被覆を剥ぎ取ることを特徴とする被覆剥取装置。
【請求項2】
前記電線挿脱口に近接した前記回転盤側の位置に揺動可能に開閉歯車片が取り付けられるとともに、該開閉歯車片の揺動軸に開閉歯車片を前記回転盤の回転軸心方向に向けて付勢する付勢手段を備え、前記電線挿脱口が閉止された状態では、前記付勢手段の付勢力により前記開閉歯車片が前記回転盤に係合して一体として回転するように構成されている請求項1に記載の被覆剥取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の被覆剥取装置を用いて被覆電線の絶縁被覆を剥ぎ取る被覆剥取方法であって、
被覆皮剥取装置を遠隔操作棒に連結して支持した状態で空中に架線された被覆電線に接近させ、電線保持部および電線収容空間に被覆電線を収容し、
次いで、開閉操作棒を用いて皮剥ぎ具本体を遠隔操作して前記電線保持部に保持し、さらに、電線挿脱口を閉止して被覆電線を前記電線収容空間内に収容するとともに、皮剥ぎ刃を被覆電線の絶縁被覆に喰い込ませ、
次いで、前記遠隔操作棒の回動操作により回転駆動具の回転盤を回転させ、該回転盤に取り付けられた皮剥ぎ具を被覆電線の中心軸回りに回転させることにより、皮剥ぎ刃がその刃幅で絶縁被覆を剥ぎ取ることを特徴とする被覆電線の被覆剥取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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