説明

被覆材溶液生成装置

【課題】 澱粉の濃度及び品質向上剤の濃度が適切な濃度であって米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することが可能となる被覆材溶液生成装置を提供する。
【解決手段】 被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段100及び貯留タンク30内に対して加熱作用する加熱手段101を備えて、貯留タンク30に供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して貯留タンク30内に貯留するように構成され、攪拌手段100が、貯留タンク30内の貯留空間の上部側部分を攪拌作用する上部側攪拌作用部38と、前記貯留タンク30内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用する下部側攪拌作用部37とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段及び前記貯留タンク内に対して加熱作用する加熱手段を備えて、前記貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して前記貯留タンク内に貯留するように構成された被覆材溶液生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の被覆材溶液生成装置は、例えば、糊粉層の全て又は略全てを除去した米粒の表面に被膜を形成して無洗米を製造するために米粒被覆用の被覆材溶液を生成する無洗米製造用として用いられるものであり、このような被覆材溶液生成装置において、従来では、次のように構成されたものがあった。
【0003】
すなわち、澱粉と品質向上剤の一例としての栄養強化剤と含む状態で被覆剤溶液を生成するものにおいて、前記攪拌手段が前記貯留タンク内の貯留空間の上下中間位置に攪拌作用する1つの攪拌作用部を備えて、この1つの攪拌作用部にて貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合を行い、加熱手段にて貯留タンクの内部にて澱粉と品質向上剤とを溶解させて被覆剤溶液を生成するようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
尚、上記特許文献1には、澱粉及び品質向上剤を加熱して溶解させるための加熱手段については記載されていないが、ヒータあるいは高温蒸気を供給する構成等、澱粉及び品質向上剤を溶解させて糊化させるために貯留タンクの内部を加熱するための加熱手段が必要となるものである。又、上記特許文献1には、澱粉及び品質向上剤を貯留タンクに供給するための具体的な構成については記載されていないが、供給装置を用いて自動的に供給するか又は作業者が手作業によって供給するか、いずれかの方法により供給されることになる。
【0005】
【特許文献1】特公昭51−194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成においては、貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合を行い、加熱手段にて貯留タンクの内部にて澱粉と品質向上剤とを溶解させる場合に、貯留タンク内の貯留空間における上下中間位置に設けられた1つの攪拌作用部にて攪拌するものであるから次のような不利があった。
【0007】
すなわち、上記したような米粒被覆用の被覆材溶液を生成するために用いられる澱粉は、水よりも比重が大きく被覆材溶液中に攪拌混合している状態では下方側に沈殿し易い性質を有するものであるが、上記従来構成においては、攪拌作用部は貯留空間における上下中間位置に設けられるので、貯留空間における底部近くの下部側部分においては、攪拌手段による攪拌機能が充分発揮されないおそれがある。その結果、貯留空間の底部付近において澱粉が沈殿して固形粉状のままで滞留してしまうことがある。
【0008】
上記したような米粒被覆用の被覆材溶液を生成するにあたって、それに用いられる澱粉の濃度は、米粒の被膜の形成を適正に行うためには適正な濃度に生成することが好ましい。説明を加えると、澱粉濃度が適正な濃度よりも低ければ、被覆材溶液の粘性が低くなって米粒の表面に対する添加付着が良好に行われず、米粒の被膜の形成が充分行えないおそれがあるが、上記従来構成においては、被覆材溶液の澱粉濃度が適正な濃度になるように貯留タンクに設定量の澱粉が供給されても、その一部が前記貯留タンク内の貯留空間における底部付近に沈殿して固形粉状のままで滞留して溶解しないおそれがあり、その結果、被覆材溶液の澱粉濃度が適正な濃度よりも低くなり米粒の被膜の形成が充分行えないおそれがある。
【0009】
一方、米粒被覆用の被覆材溶液に用いられる品質向上剤は、一般的に、水よりも比重が小さくて被覆材溶液の表面に浮かぶ状態となり易い性質を有するものであるが、上記従来構成においては、攪拌作用部は貯留空間における上下中間位置に設けられるので、貯留空間における上部側部分において攪拌手段による攪拌機能が充分発揮されないおそれがある。その結果、貯留空間における上部側部分において品質向上剤が表面に浮かんで固形粉状のままで固まりになって滞留しておそれがある。つまり、被覆材溶液中に品質向上剤が充分に溶解せずに固形粉状のままで残ってしまうことから、被覆材溶液の品質向上剤の濃度が適正な濃度よりも低くなるおそれがあった。
【0010】
その結果、貯留タンクに適量の澱粉及び適量の品質向上剤を供給している場合であっても、上述したように澱粉や品質向上剤が貯留タンク内部において固形粉状のままで滞留してしまうと、生成される被覆材溶液の澱粉の濃度が予め設定していた値と異なる状態となり、又、品質向上剤の濃度が適正な濃度にならずに、米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することができないものとなるおそれがあった。
【0011】
そこで、このような不利を解消するために、前記攪拌手段における一つの攪拌作用部を貯留タンク内の貯留空間の下部側部分に位置させる構成として、品質向上剤を別の装置によって予め溶解させた後に貯留タンクに供給するようにすることも考えられるが、このような構成であれば、品質向上剤を溶解させるための別の装置が必要となり構成が複雑になりコスト高を招く不利がある。
【0012】
又、上記したような被覆材溶液生成装置においては、前記貯留タンクに対して澱粉及び品質向上剤を供給する場合、適正な米粒被覆用の被覆材溶液を生成するために貯留タンクに適量の澱粉及び適量の品質向上剤を供給する必要がある。説明を加えると、貯留タンク内での攪拌手段による攪拌作用が充分であっても、貯留タンクに対する澱粉の供給量及び貯留タンクに対する品質向上剤の供給量が適切に管理されていなければ、澱粉の濃度が適正濃度にならず、しかも、品質向上剤を適切な濃度にさせることができないものとなる。
【0013】
上記従来構成においては澱粉及び品質向上剤を供給するための構成については記載されていないが、貯留タンクに対する澱粉の供給量及び貯留タンクに対する品質向上剤の供給量が適切になるように管理するための構成として、例えば、澱粉の供給量及び品質向上剤の供給量の夫々を重量計測結果に基づいて精度よく管理しながら供給する構成とすることが考えられる、しかし、このような構成にすると、重量を計測するための装置やその重量計測結果に基づいて供給量を管理するための装置等が複数必要となる等、装置全体として構成が複雑化してコスト高を招く不利がある。
【0014】
又、別の構成として、1つの重量計測手段の計測状態を、澱粉の重量を計測する状態と品質向上剤の重量を計測する状態とに切り換え可能な構成として、1つの重量計測手段を澱粉と品質向上剤とで兼用することも考えられるが、そのように構成した場合には、固形粉状の澱粉及び品質向上剤を重量計測手段に対して各別に供給することを可能とするための切り換え構造が必要となり構成が複雑になる不利がある。
【0015】
そこで、極力簡単な構成としてコスト高になることを抑制しながら、澱粉の濃度が米粒の被覆に適した適正濃度になり、且つ、品質向上剤が適正な濃度になって、米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することが可能となる被覆材溶液生成装置が望まれていた。
【0016】
本発明の目的は、極力簡単な構成としてコスト高になることを抑制しながら、米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することが可能となる被覆材溶液生成装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1特徴構成は、被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段及び前記貯留タンク内に対して加熱作用する加熱手段を備えて、前記貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して前記貯留タンク内に貯留するように構成された被覆材溶液生成装置であって、前記攪拌手段が、前記貯留タンク内の貯留空間の上部側部分を攪拌作用する上部側攪拌作用部と、前記貯留タンク内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用する下部側攪拌作用部とを備えて構成されている点にある。
【0018】
上記第1特徴構成によれば、前記攪拌手段による貯留タンク内に供給された澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合、並びに、前記加熱手段による澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成することになる。そして、前記攪拌手段が上部側攪拌作用部と下部側攪拌作用部とを備えて構成されているから、下部側攪拌作用部が貯留タンク内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用することになり、貯留タンクの底部に澱粉が沈殿することなく下部側攪拌作用部による攪拌作用により被覆剤溶液中に溶解させることができる。一方、前記攪拌手段の上部側攪拌作用部が貯留空間内の上部側部分を攪拌作用することになるので、貯留タンクに供給された品質向上剤を、固形粉状のまま残ることなく上部側攪拌作用部による攪拌作用により被覆剤溶液中に溶解させることができる。
【0019】
その結果、澱粉を貯留タンク内部で固形粉状で沈殿することなく被覆剤溶液に溶解させることにより澱粉の濃度を適正濃度にすることが可能となり、品質向上剤を表面付近に浮んで固形粉状のままで残ることなく被覆材溶液に溶解させることにより、品質向上剤を適切な濃度にすることが可能となる。
【0020】
そして、この第1特徴構成によれば、上述したように、澱粉の濃度を適正濃度にすることが可能であり、しかも、品質向上剤を適切な濃度にさせることが可能となるという利点を、攪拌手段を上部側攪拌作用部と下部側攪拌作用部とを備える構成にするという簡単な構成により得られるものとなる。説明を加えると、上記したような攪拌手段における上部側攪拌作用部及び下部側攪拌作用部は、例えば、電動モータ等の駆動手段によって回転操作される攪拌羽根等によって構成とすることが可能であり、簡単な構成であるためコスト高になることを抑制することが可能なものとなる。
【0021】
従って、極力簡単な構成としてコスト高になることを抑制しながら、米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することが可能となる被覆材溶液生成装置を提供できるに至った。
【0022】
本発明の第2特徴構成は、被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段及び前記貯留タンク内に対して加熱作用する加熱手段を備えて、前記貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して前記貯留タンク内に貯留するように構成された被覆材溶液生成装置であって、前記貯留タンクに澱粉を供給する澱粉供給手段と、前記貯留タンクに品質向上剤を供給する品質向上剤供給手段とが備えられ、前記澱粉供給手段が、重量計測手段にて澱粉の重量を計測して、前記貯留タンクに供給する澱粉の供給量を重量により管理する状態で前記貯留タンクに澱粉を供給するように構成され、前記品質向上剤供給手段が、品質向上剤を単位時間当たり設定供給量ずつ供給する供給手段の供給作動時間にて、前記貯留タンクに供給する品質向上剤の供給量を管理する状態で前記貯留タンクに品質向上剤を供給するように構成されている点にある。
【0023】
第2特徴構成によれば、前記攪拌手段による貯留タンク内に供給された澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合、並びに、前記加熱手段による澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成することになる。そして、前記澱粉供給手段によって澱粉が貯留タンクに供給されるのであるが、そのとき、澱粉供給手段は、重量計測手段にて澱粉の重量を計測して、澱粉の供給量を重量により管理する状態で貯留タンクに澱粉を供給することになる。すなわち、貯留タンクに供給する澱粉の供給量を重量により管理しながら貯留タンクに供給するようにしたから、澱粉の供給量の変化を重量の変化として精度のよい状態で監視することになり、貯留タンクに供給する澱粉の供給量を精度よく管理することが可能であり、その結果、適量の澱粉を精度よく貯留タンクに供給することが可能となる。
【0024】
一方、品質向上剤供給手段は、品質向上剤を単位時間当たり設定供給量ずつ供給する供給手段の供給作動時間にて、貯留タンクに供給する品質向上剤の供給量を管理しながら品質向上剤を貯留タンクに供給することになる。つまり、供給手段は単位時間当たりに設定供給量ずつ品質向上剤を供給するものであるから、供給手段の供給作動時間にて貯留タンクに供給する品質向上剤の供給量を管理することができるのである。
【0025】
その結果、米粒被覆用として適正濃度になるように適量の澱粉を精度よく管理しながら貯留タンクに供給することにより、澱粉の濃度を適正濃度にすることが可能となる。又、品質向上剤は、単位時間当たりに設定供給量ずつ供給することができる供給手段による供給作動時間にて供給量を管理しながら貯留タンクに供給することにより、品質向上剤を必要な濃度にすることが可能となる。澱粉は米粒の被覆を良好に形成するために適正濃度にする必要があるが、品質向上剤は被覆を形成するための粘性にはそれほど影響しないので、澱粉に比べて濃度の精度はそれほど高くなくてもよいのである。
【0026】
そして、前記品質向上剤は、上述したように澱粉に比べて濃度の精度はそれほど高くなくてもよいので、品質向上剤を貯留タンクに供給するために備えられる供給手段は単位時間当たりに供給する供給量について高い精度は必要とされない。その結果、品質向上剤を貯留タンクに供給する供給手段としては、例えば、振動フィ−ダ等のように精度はそれほど高くないが簡単な構成のものを利用することが可能であり、構成を簡素化させることが可能となるのである。
【0027】
従って、極力簡単な構成としてコスト高になることを抑制しながら、米粒を被覆させるのに適した米粒被覆用の被覆材溶液を生成することが可能となる被覆材溶液生成装置を提供できるに至った。
【0028】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記澱粉供給手段が、供給される澱粉を保持する保持状態と保持している澱粉を前記貯留タンクに供給する保持解除状態とに切り換え自在な中継用保持容器を備え、且つ、前記重量計測手段を前記中継用保持容器に対して計測作用する状態で設けて構成されている点にある。
【0029】
第3特徴構成によれば、中継用保持容器を保持状態に切り換えている状態で、この中継用保持容器により澱粉を保持することができ、中継用保持容器を保持解除状態に切り換えると保持している澱粉を貯留タンクに供給することになるが、中継用保持容器に対して計測作用する重量計測手段を設けているので、この重量計測手段の計測結果に基づいて、貯留タンクに供給する澱粉の供給量を管理することができるのである。
説明を加えると、例えば、中継用保持容器に澱粉を保持していない状態で重量計測手段にて中継用保持容器の重量を計測し、中継用保持容器に澱粉を保持している状態で中継用保持容器の重量とその中継用保持容器に保持されている澱粉の重量とを合わせた重量を計測するようにすると、それらの検出値の差により貯留タンクに供給される澱粉の重量を求めることができ、貯留タンクに供給する澱粉の供給量を管理することが可能となる。
【0030】
そして、上述したような中継用保持容器を保持状態に切り換えて澱粉を保持することと、中継用保持容器を保持解除状態に切り換えて保持している澱粉を貯留タンクに供給することとを繰り返し行うことによって、澱粉を少量ずつ小出しで前記貯留タンクに供給することが可能である。そして、前記重量計測手段にて澱粉の重量を計測して重量に基づいて管理することで澱粉の供給量を精度のよい状態で管理することが可能となる。
【0031】
すなわち、前記被覆材溶液は多量に消費される場合が多く、このような多量の被覆材溶液を生成するために貯留タンクは一般に大型のもので構成されるが、このような大型の貯留タンクに対して貯留される大量の水に対して必要とされる澱粉の量が多くなる。しかし、多量の澱粉を一度に重量計測するようにすると、計測誤差が比較的大きな大重量を対象とする大型の重量計測手段を用いる必要がある。これに対して、上記したように少量ずつ小出しで供給することが可能な中継用保持容器に対して計測作用する構成とすることで、計測誤差の少ない小重量を対象とする小型の重量計測手段を用いて澱粉の重量を精度よく計測することが可能となるのである。
【0032】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記澱粉供給手段が、前記中継用保持容器に澱粉を供給する供給状態と澱粉の供給を停止する供給停止状態とに切り換え自在な澱粉供給状態切換手段と、前記中継用保持容器に水を供給する給水状態と供給を停止する給水停止状態とに切り換え自在な給水状態切換手段と、前記中継用保持容器内を攪拌作用する中継用攪拌手段とを備えて、前記中継用保持容器に対して異なるタイミングにて澱粉の供給と水の供給とを行う状態で、目標供給量の澱粉を前記重量計測手段の計測情報に基づいて重量により管理して前記中継用保持容器に供給し、かつ、目標給水量の水を前記重量計測手段の計測情報に基づいて重量により管理して前記中継用保持容器に対して供給するように、前記澱粉供給状態切換手段及び前記給水状態切換手段を作動させ、並びに、前記中継用保持容器に供給された水と澱粉とを攪拌混合して生成した澱粉水溶液を前記貯留タンクに供給するように、前記中継用攪拌手段及び前記中継用保持容器を作動させるように構成されている点にある。
【0033】
第4特徴構成によれば、前記澱粉供給状態切換手段を前記供給状態に切り換えて前記中継用保持容器に対して澱粉を供給しているときに、中継用保持容器に対して計測作用する重量計測手段の計測結果に基づいて中継用保持容器に供給された澱粉の重量を計測して、その重量の計測結果に基づいて中継用保持容器に目標供給量の澱粉が供給されたか否かを判別することが可能であり、前記目標供給量の澱粉が供給されると前記澱粉供給状態切換手段を前記供給停止状態に切り換えることで、目標供給量の澱粉を重量により管理して中継用保持容器に供給することができる。
【0034】
又、前記澱粉の供給のタイミングとは異なるタイミングで給水状態切換手段を給水状態に切り換えて中継用保持容器に対して水を供給しているときに、重量計測手段の計測結果に基づいて中継用保持容器に供給された水の重量を計測して、その重量の計測結果に基づいて中継用保持容器に目標給水量の水が供給されたか否かを判別することが可能であり、目標給水量の水が供給されると前記給水状態切換手段を給水停止状態に切り換えることで、目標給水量の水を重量により管理して中継用保持容器に供給することができる。このように澱粉と水とを重量計測に基づいて精度よく管理しながら供給することができるので、米粒被覆用として適切な濃度になるように澱粉を適量供給することが可能となり、澱粉濃度を適正なものにすることが可能となる。
【0035】
そして、前記中継用保持容器に供給された水と澱粉とを中継用攪拌手段により攪拌混合して澱粉水溶液を生成して、その澱粉水溶液を貯留タンクに供給するようにしているので、均一な濃度の澱粉水溶液を生成することが可能となる。説明を加えると、澱粉を予め加熱した高温水に添加して溶解させるようにすると澱粉同士が吸着し合って、所謂、団子状になってしまい均一な濃度の澱粉溶液にならないおそれがあるが、上述したように、中継用保持容器にて水と澱粉とを予め攪拌混合して澱粉水溶液を生成してその澱粉水溶液を貯留タンクに供給するようにしているので、澱粉を充分に攪拌混合させた状態の澱粉水溶液を生成して、その澱粉水溶液を貯留タンクに供給することで、均一な濃度の澱粉溶液を生成することが可能となるのである。
【0036】
前記重量計測手段の計測結果に基づいて、貯留タンクに供給する澱粉の供給量だけでなく、貯留タンクに供給する水の供給量を管理するようにしているから、水の重量を計測するための専用の重量計測手段や流量計等が不要となり、構成の簡素化を図ることができる。しかも、澱粉の場合と同様に、水を少量づつ小出しで供給することが可能であり、計測誤差の少ない小型の重量計測手段を用いて水の供給量を精度よく管理することが可能となる。
【0037】
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成に加えて、前記加熱手段が、前記貯留用タンク内に高温の蒸気を噴射することにより加熱作用するように構成されている点にある。
【0038】
第5特徴構成によれば、高温の蒸気を噴射して被覆材溶液を加熱する構成であるから、電気ヒータ等のように高い温度の加熱手段にて加熱するようにすると、被覆材溶液の温度が高くなり過ぎて硬化したり焦げ付いてしまうおそれがあるが、高温の蒸気を用いて加熱することで約100℃を大きく越えるような高い温度にまで加熱することがなく、被覆材溶液が硬化したり焦げ付いたりする等の不利の生じない良好な状態で被覆剤溶液を生成することができる。
【0039】
又、貯留用タンク内部に高温の蒸気を噴射するので、貯留用タンク内に貯留されている高温の被覆材溶液がこの噴射される蒸気の噴出力によって攪拌させる機能を発揮させることも可能で、高温の被覆材溶液を温度ムラが少なくほぼ均一な高温状態に維持し易いものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
無洗米製造設備は、糊粉層の全て又は大部分を除去した米粒に被覆材溶液を添加付着させて乾燥させることにより、米粒表面を覆う被膜を形成して無洗米を製造するためのものであって、その構成を大別すると、図1に示すように、無洗米を製造する無洗米製造部A、その無洗米製造部Aにて製造された無洗米の検査、包装等を行う後処理部B、及び、設備各部の運転を予め設定された動作条件にて制御する制御手段としての表示操作パネル付きの制御部Cからなる。
【0041】
先ず、無洗米製造部Aの構成について説明する。
この無洗米製造部Aは、その主要な設備として、被覆材としての澱粉並びに米粒の品質を向上させるための品質向上剤を溶解させた被覆材溶液を生成する被覆材溶液生成装置1、精米処理が終了した後の米粒(精米)の糊粉層の全て又は大部分を除去して被覆対象米粒を生成する被覆対象米粒生成装置としての研米機2、その研米機2にて得られた被覆対象米粒を攪拌して搬送しながら前記被覆材溶液生成装置1にて生成された被覆材溶液を付着させて付着済み米粒を生成する攪拌搬送機3、その攪拌搬送機3から供給される付着済み米粒に付着された被覆材溶液を乾燥させて被覆対象米粒の表面に被膜を形成する乾燥装置4等を備えて構成される。
【0042】
更に、無洗米製造部Aは、精米処理が終了した後に図示しない搬送機にて搬送される米粒が研米機2に供給されるようになっており、前記研米機2にて研米処理された米粒が攪拌搬送機3に供給され、攪拌搬送機3から排出された米粒が乾燥装置4に供給されるようになっている。又、乾燥装置4にて澱粉溶液の乾燥処理が終了した米粒は搬送装置7により後処理部Bに搬送する構成となっている。
【0043】
前記後処理部Bは、前記搬送装置7にて搬送される米粒群の中の破砕粒や小径の異物を除去する異物除去装置8、その異物除去装置8にて異物除去処理された米粒を一時貯留する米粒タンク9、その米粒タンク9から落下供給される米粒から着色粒や屑米等の不良粒等を除去する不良物除去装置10、その不良物除去装置10にて不良物除去されてエアー搬送装置11にてエアー搬送される米粒について金属の混入物の存否を検査する金属検出器12、その金属検出器12にて検査処理された米粒を所定量づつ計量して排出する計量タンク13、その計量タンク13から所定量づつ排出される米粒を包装袋にて包装する包装装置14等を備えて構成されている。
【0044】
次に、無洗米製造部Aの各部について説明を加える。
前記被覆材溶液生成装置1は、被覆材溶液生成用の貯留タンクとしての被覆溶液貯留タンク30内を攪拌作用する攪拌手段100及び前記被覆溶液貯留タンク30内に対して加熱作用する加熱手段101を備えて、被覆溶液貯留タンク30に供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して被覆溶液貯留タンク30内に貯留するように構成されている。
【0045】
そして、前記攪拌手段100が、前記被覆溶液貯留タンク30内の貯留空間の上部側部分を攪拌作用する上部側攪拌作用部としての下側攪拌羽根37と、前記被覆溶液貯留タンク内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用する下部側攪拌作用部としての上側攪拌羽根38とを備えて構成されている。
【0046】
又、前記被覆溶液貯留タンク30に澱粉を供給する澱粉供給手段102と、前記被覆溶液貯留タンク30に品質向上剤を供給する品質向上剤供給手段103とが備えられ、前記澱粉供給手段102が、重量計測手段にて澱粉の重量を計測して、前記被覆溶液貯留タンク30に供給する澱粉の供給量を重量により管理する状態で被覆溶液貯留タンク30に澱粉を供給するように構成され、前記品質向上剤供給手段103が、品質向上剤を単位時間当たり設定供給量ずつ供給する供給手段の供給作動時間にて、被覆溶液貯留タンク30に供給する品質向上剤の供給量を管理する状態で被覆溶液貯留タンク30に品質向上剤を供給するように構成されている。
【0047】
しかも、前記澱粉供給手段102は、供給される澱粉を保持する保持状態と保持している澱粉を被覆溶液貯留タンク30に供給する保持解除状態とに切り換え自在な中継用保持容器21を備え、且つ、前記重量計測手段としてのロードセル22を中継用保持容器21に対して計測作用する状態で設けて構成されている。更に、前記澱粉供給手段102は、中継用保持容器21に澱粉を供給する供給状態と澱粉の供給を停止する供給停止状態とに切り換え自在な澱粉供給状態切換手段としての振動フィーダ19と、中継用保持容器21に水を供給する給水状態と供給を停止する給水停止状態とに切り換え自在な給水状態切換手段としての給水状態切換弁24と、中継用保持容器21内を攪拌作用する中継用攪拌手段としての攪拌装置23とを備えて、中継用保持容器21に対して異なるタイミングにて澱粉の供給と水の供給とを行う状態で、目標供給量の澱粉をロードセル22の計測情報に基づいて重量により管理して澱粉水溶液タンク21aに供給し、かつ、目標給水量の水をロードセル22の計測情報に基づいて重量により管理して澱粉水溶液タンク21aに対して供給するように、振動フィーダ19及び給水状態切換弁24を作動させ、並びに、澱粉水溶液タンク21aに供給された水と澱粉とを攪拌混合して生成した澱粉水溶液を被覆溶液貯留タンク30に供給するように、攪拌装置23及び中継用保持容器21を作動させるように構成されている。
【0048】
以下、被覆材溶液生成装置1の具体構成について説明を加える。
図1に示すように、被覆材溶液生成装置1は、澱粉と水とを設定比率で攪拌混合してその澱粉水溶液を送り出す澱粉水溶液生成供給部15と、品質向上剤を設定量だけ送り出す品質向上剤供給部16と、澱粉水溶液生成供給部15にて攪拌混合した澱粉水溶液と品質向上剤供給部16から供給される品質向上剤とを攪拌しながら高温蒸気(110℃程度)を噴霧して被覆材溶液を生成する高温溶液生成部17とを備えている。
【0049】
前記澱粉水溶液生成供給部15は、固形粉状の澱粉を貯留する澱粉貯留用ホッパー18、その澱粉貯留用ホッパー18から澱粉を設定時間あたりに設定量づつ繰り出す供給状態と繰出しを停止する供給停止状態とに切り換え自在な澱粉供給状態切換手段としての振動フィーダ19、その振動フィーダ19にて繰り出される澱粉と給水路20を通して供給される水とを受け止めて保持する澱粉水溶液タンク21a等を備えて構成されている。前記給水路20には、水を澱粉水溶液タンク21aに供給する給水状態と供給を停止する給水停止状態とに切り換え自在な給水状態切換弁24が備えられている。
【0050】
又、前記澱粉水溶液生成供給部15には、澱粉水溶液タンク21aに計測作用する重量計測手段としての吊り下げ式のロードセル22が備えられ、澱粉水溶液タンク21aに対して夫々異なるタイミングで供給される澱粉と水とを夫々重量計測することが可能な構成となっている。
【0051】
更に、前記澱粉水溶液生成供給部15には、前記澱粉水溶液タンク21a内に設けられた攪拌羽根23aを電動モータ23bにより回転させて澱粉水溶液タンク21a内の澱粉と水とを攪拌混合する攪拌装置23が設けられ、澱粉水溶液タンク21aにて供給された澱粉と水とを攪拌混合させて粉水溶液を生成することができるようになっている。澱粉水溶液タンク21aにて生成された澱粉水溶液は澱粉水溶液供給路25を通して高温溶液生成部17に供給することができるようになっており、その澱粉水溶液供給路25には、澱粉水溶液を供給する状態と供給を停止させる状態とに切り換え自在な供給路開閉弁21bが設けられている。
従って、澱粉水溶液タンク21aと供給路開閉弁21bとにより前記中継用保持容器21が構成される。
【0052】
前記固形粉状の澱粉としては、架橋型の化工澱粉であるリン酸架橋澱粉を用いるようにしている。又、澱粉としてはこれ以外に、ヒドロキシプロピル澱粉のようなエーテル化型澱粉や酢酸澱粉のようなエステル化型澱粉などの他の種類の誘導体型の化工澱粉を用いてもよい。
【0053】
前記品質向上剤供給部16は、固形粉状の品質向上剤を貯留する品質向上剤貯留用ホッパー27、その品質向上剤貯留用ホッパー27から単位時間あたり設定量づつ品質向上剤を送り出して品質向上剤供給路28を通して高温溶液生成部17に供給する供給手段としての振動フィーダ29等を備えて構成されている。
【0054】
前記品質向上剤について説明すると、例えば、栄養を向上させるものや米の食味を向上させるもの、あるいは、無洗米を炊飯したときに例えば米につやの有無やふっくらとしているか否かといった炊き上がり具合を向上させるもの等がある。具体的に説明すると、品質としての栄養を向上させる品質向上剤としては、タンパク質、食物繊維、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)、フィチン酸、ビタミンB1,B2,B6、イノシトール等の各種の栄養補助剤がある。品質としての米の食味を向上させる品質向上剤としては、糖や糖アルコール等の米の食味を向上させる食味向上剤がある。又、品質としての上述したような炊き上がり具合を向上させる品質向上剤としては、植物性油脂や乳化剤等の炊飯向上剤がある。更に、品質向上剤としては、このようなものの他、摂取した食物の消化を遅延させてダイエット効果が得られるようなダイエット食品素材等を用いることもできる。
【0055】
前記高温溶液生成部17は、被覆材溶液生成用の貯留タンクとしての大容量の被覆溶液貯留タンク30、その被覆溶液貯留タンク30に蒸気供給路31を通して加熱用の蒸気を供給するボイラ32、前記ボイラ32に供給する水道水を軟水に調製する軟水器33、被覆溶液貯留タンク30内の高温の被覆材溶液を被覆材溶液供給路34を通して前記攪拌搬送機3に供給する送出用ポンプ35等を備えて構成されている。又、前記被覆材溶液供給路34には被覆材溶液の通過を許容する状態と通過を阻止する状態とに切り換え自在な切換弁V1と被覆材溶液の流量を計測する流量計42とが備えられる。そして、蒸気供給路31から高温の蒸気を被覆溶液貯留タンク30内に噴出する噴出ノズル36を備えて、ボイラ32によって生成された高温の蒸気をその噴出ノズル36から被覆溶液貯留タンク30内に噴出させる構成となっている。
【0056】
前記被覆溶液貯留タンク30内においては、前記噴出ノズル36から高温の蒸気が噴出されることで、澱粉及び品質向上剤が蒸気の高温の熱エネルギーによって加熱されて溶解して糊化されて高温の被覆材溶液が生成されることになる。又、このとき高温の蒸気による加熱だけでなく、高温の被覆材溶液が保有する熱によっても加熱されることになる。
従って、上記したようなボイラ32、軟水器33、蒸気供給路31、噴出ノズル36等により被覆溶液貯留タンク30内に対して加熱作用する加熱手段101が構成される。
【0057】
そして、被覆溶液貯留タンク30には、上述したように、被覆溶液貯留タンク30内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用する下部側攪拌羽根37と、被覆溶液貯留タンク30内の貯留空間の上部側部分を攪拌作用する上部側攪拌羽根38とが設けられているが、これらの下部側攪拌羽根37及び上部側攪拌羽根38は、共通の電動モータ39によって一体的に回転駆動される状態で且つ位置固定状態で設置される構成となっている。
【0058】
前記下部側攪拌羽根37が回転することによって覆溶液貯留タンク30内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用することにより、澱粉を底部に沈殿させることなく被覆材溶液に溶解させることができる。又、上部側攪拌羽根38が回転することによって覆溶液貯留タンク30内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用することにより、品質向上剤を表面部分に固形状のままで滞留させることなく被覆材溶液に溶解させることができる。尚、この実施形態では、図13に示すように、下部側攪拌羽根37が被覆材溶液を上方に向けて移動させながら攪拌作用するように構成され、上部側攪拌羽根38が被覆材溶液を下方に向けて移動させながら攪拌作用するように構成されている。
従って、下部側攪拌羽根37、上部側攪拌羽根38、及び、電動モータ39により、被覆溶液貯留タンク30内を攪拌作用する攪拌手段100が構成される。
【0059】
前記澱粉水溶液生成供給部15の澱粉水溶液タンク21aは被覆溶液貯留タンク30の容量(約15リッター)に比べて小さい容量(約1リッター)のタンクにて構成され、澱粉水溶液生成供給部15から被覆溶液貯留タンク30に繰り返し澱粉水溶液を供給するように構成されている。つまり、供給される澱粉及び水を少量ずつ小出しで被覆溶液貯留タンク30に供給することになる。そして、被覆溶液貯留タンク30には澱粉水溶液に加えて品質向上剤も供給されて被覆剤溶液が生成される構成となっている。ちなみに、本実施形態では、澱粉水溶液タンク21aの容量は約1リッター、被覆溶液貯留タンク30の容量は約15リッターに設定しているが、そのような容量に限定されるものではない。
【0060】
前記澱粉水溶液生成供給部15及び前記品質向上剤供給部16は、図2に示すように、被覆溶液貯留タンク30の上方に位置させて配備され、澱粉水溶液生成供給部15にて生成された澱粉水溶液及び品質向上剤供給部16から供給路28を通して供給される品質向上剤を被覆溶液貯留タンク30に供給する構成となっている。
【0061】
図1に示すように、前記被覆材溶液供給路34の途中には流路切替弁43が設けられて、供給される被覆材溶液の全部を循環路44を通して被覆溶液貯留タンク30に戻すことができるようになっている。又、循環路44には、更に、被覆材溶液を被覆溶液貯留タンク30に戻す状態と、清掃用の循環水を更に下手側に流動させる状態とに切り換え自在な流路切替弁45と、その流動方向下手側には清掃用循環水を被覆溶液貯留タンク30に供給する状態と遮蔽する状態とに切り換わる切換弁V2と、清掃用循環水を排出させる状態と排水を停止させる状態とに切り換え自在な切換弁V3とが備えられている。尚、図中、48は作業終了時に配管内を清掃するための洗浄水を循環供給するための洗浄用ポンプ、V4〜V7は洗浄水の通流路を開閉するための各切換弁である。
【0062】
そして、被覆材溶液を生成する作業を開始するときには、図1の一点鎖線にて示すように、設定時間が経過する間だけ循環路44を通して高温の溶液を循環させて配管の温度を上昇させる予備循環運転を実行するようにしている。又、高温溶液の供給作業が終了した後には、図1の二点鎖線で示すように、洗浄用ポンプ48により循環路44を通して清浄水を循環供給させて被覆溶液貯留タンク30や配管の内部を清浄することができる構成となっている。尚、清掃用循環水を被覆溶液貯留タンク30に供給する部分には噴出ノズルNが設けられ、被覆溶液貯留タンク30の内面を清掃することができるようになっている。
【0063】
以下、被覆剤溶液を生成するときの運転制御の内容について説明を加えると、被覆剤溶液を生成するときには、先ず、澱粉水溶液生成供給部15において澱粉水溶液を生成する。つまり、給水状態切換弁24を開弁して給水している状態でロードセル22によって、供給される水の重量と澱粉水溶液タンク21aの重量とを合わせた合計の重量が計測され、その計測情報に基づいて、澱粉水溶液タンク21aに供給される水の合計が設定重量に達すると、言い換えると、澱粉水溶液タンク21aに目標給水量(例えば、1リッター)の水が供給されたことを判別すると給水状態切換弁24を閉弁させて給水を停止させる。その後、振動フィーダ19による澱粉の供給を開始して、水の重量と澱粉水溶液タンク21aの重量と供給された澱粉の重量とを合わせた合計の重量が計測され、その計測情報に基づいて、澱粉水溶液タンク21aに供給される澱粉の合計重量が設定重量に達したこと、言い換えると、澱粉水溶液タンク21aに目標供給量(例えば、1リッターの水に対して被覆材溶液に適した濃度となる供給量)の水が供給されたことを判別すると振動フィーダ19の作動を停止させて澱粉の供給を停止させる。尚、その間、攪拌手段100を作動させて澱粉を充分に攪拌混合させて澱粉水溶液を生成するようにしている。次に、供給路開閉弁21bを開いて澱粉水溶液を澱粉水溶液生成供給部15から被覆溶液貯留タンク30に供給するのである。
【0064】
そして、このような澱粉水溶液の供給を複数回(例えば、15回)にわたり繰り返し行い被覆溶液貯留タンク30内に所定量(例えば、15リッター)の澱粉水溶液が供給されると、被覆溶液貯留タンク30内への蒸気の供給を開始する。その後、澱粉水溶液の温度が充分高くなったときに、前記品質向上剤供給部16から固形粉状の品質向上剤を設定量だけ被覆溶液貯留タンク30に供給するように、単位時間あたりに設定供給量ずつ供給しながら設定された供給作動時間が経過する間、振動フィーダ29を作動させる。
【0065】
このとき、下部側攪拌羽根37及び上部側攪拌羽根38は、澱粉水溶液生成供給部15から供給を開始したときから回転させるようにしている。従って、上部側攪拌羽根38が澱粉水溶液の液面付近に位置して、液面付近で浮んで固まりになり易い品質向上剤を下方側に向けて攪拌移動させながら溶液中に溶解させることになる。ちなみに、被覆材溶液における混入比率としては、例えば、水1リットルに対して澱粉の比率は40g、品質向上剤の比率は300gに設定される。
【0066】
上記したような制御処理によって、澱粉水溶液タンク21aに計測作用するロードセル22の計測情報に基づいて、被覆溶液貯留タンク30に供給する澱粉の供給量並びに被覆溶液貯留タンク30に供給する水の供給量を管理するようになっている。
【0067】
そして、澱粉及び品質向上剤が充分に攪拌混合された状態で加熱されて固形粉状で残留することなく溶解され、澱粉の濃度及び品質向上剤の濃度が予め設定された適正な濃度の被覆剤溶液が生成されることになる。そして、流量計42によって攪拌搬送機3への被覆材溶液の供給量を計測しながら予め設定された適正な流量になるように送出用ポンプ35の作動状態を制御することにより、被覆剤溶液を攪拌搬送機3に向けて供給する構成となっている。
【0068】
前記被覆溶液貯留タンク30の内部に貯留される高温の被覆材溶液は、攪拌搬送機3に供給されることによって消費されて貯留量が減少するが、残りの貯留量ではその後に必要とされる被覆材溶液を賄えないときは、消費に伴って適宜、澱粉水溶液及び品質向上剤を補給することになる。説明を加えると、前記被覆剤溶液が約1リッター消費される毎に、澱粉水溶液タンク21aにて予め混合攪拌されている澱粉水溶液を前記被覆溶液貯留タンク30に供給することになる。又、その補給された澱粉水溶液の量に対応する量の品質向上剤を前記品質向上剤供給部16から供給することになる。
【0069】
上記したような各部の運転状態の制御は前記制御部Cによって行われることになる。従って、前記澱粉水溶液生成供給部15と前記制御部Cによる被覆材溶液生成用の制御構成とによって前記澱粉供給手段102が構成されることになる。又、前記品質向上剤供給部と制御部Cによる被覆材溶液生成用の制御構成とによって前記品質向上剤供給手段103が構成されることになる。
【0070】
前記研米機2は、構成について詳述はしないが、図2〜図4に示すように、図示しない供給装置により供給されて研米機ホッパ2aにて受け入れた精米処理済みの米粒を横送りスクリュー2bにより横送りして供給する構成となっており、米粒を上方に移送させながら研米する上方移送式のものを用いている。つまり、円筒状の研米処理筒2cの内部に研米処理室を形成して、研米処理筒2cの上部側に米粒を排出する排出シュート2dが備えられている。図示はしないが、研米処理筒2cの内部において、周囲にブラシを備えて電動モータによって縦軸芯周りで回転駆動される回転ロールとその外周部に位置する多孔状の筒部材との間を米粒を上方に移送させながら、ブラシによって米粒の表面に残留する糠すなわち糊粉層の全て又は大部分を除去して研米処理し、その研米処理後の米粒を排出シュート2dを通して排出する構成となっている。
【0071】
前記研米機2は、上記したようなブラシによる掻き取り作用によって糊粉層を除去するものに代えて、回転ロールの周囲に砥石等の研削用部材を備えて、この研削用部材による削り取り作用等によって糊粉層を除去するように構成してもよい。更には、回転ロールの周囲に鉄製等の棒状の擦り用部材を備えて、この擦り用部材による擦り取り作用によって糊粉層を除去するように構成してもよい。
【0072】
前記攪拌搬送機3は、横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材52と、その攪拌室形成部材52の内部に設けられて、米粒受入口53から攪拌室形成部材52内部に受け入れた被覆対象米粒を攪拌室形成部材52の長手方向に搬送して米粒排出口54から排出させ、且つ、被覆対象米粒に被覆材溶液を付着させる攪拌搬送手段55とを備えて構成されている。そして、後述するように、攪拌室形成部材52に形成された被覆材供給口60に、前記高温溶液生成部17における被覆材溶液供給路34を通して送出用ポンプ35による送り作用によって被覆材溶液が供給され、その被覆材供給口60を通して前記攪拌室形成部材52の内部に被覆材溶液が供給される構成となっている。
従って、被覆材溶液供給路34、送出用ポンプ35、及び、被覆材供給口60により、攪拌室形成部材52の内部に前記被覆材溶液を供給する被覆材溶液供給手段56が構成されており、この被覆材溶液供給手段56と前記攪拌搬送機3とによって、前記攪拌室形成部材52の内部を搬送されている被覆対象米粒に被覆材溶液を付着させて付着済み米粒を生成する米粒被覆装置Hが構成される。
【0073】
以下、攪拌搬送機3の構成について説明を加える。
すなわち、攪拌搬送機3は、図6に示すように、前記攪拌室形成部材52の内部に、前記攪拌搬送手段55として、攪拌室形成部材52の長手方向の略全長にわたって一体的に形成される状態で延びる駆動軸57と、その駆動軸57に一体回転自在に外嵌装着された攪拌搬送用の回転体としての螺旋状体58とから構成されている。又、駆動軸57と螺旋状体58とを回転駆動する駆動手段としての電動モータ59を備えている。
【0074】
前記攪拌室形成部材52の長手方向一端側の上部側箇所に、研米機2から供給される米粒を受け入れる前記米粒受入口53が形成されており、この米粒受入口53の上部側には、ホッパー形式の研米タンク6が備えられて、研米機2から供給される米粒をこの研米タンク6にて受け入れて米粒受入口53から攪拌室形成部材52の内部に供給する構成となっている。攪拌室形成部材52の長手方向他端側箇所に、米粒を乾燥装置4に向けて排出させる米粒排出口54が形成されている。前記攪拌室形成部材52の長手方向中間位置であって米粒受入口53よりも少し搬送方向下手側に寄った箇所に被覆材供給口60が形成されている。
【0075】
図9に示すように、前記螺旋状体58は、駆動軸57に外嵌装着されて駆動軸57と一体回転するようにキー61にて連結される構成の筒軸部58aの外周部に、一条の螺旋状羽根体58b(スクリュー羽根)を一体的に連設して構成され、及び、その搬送方向終端部には螺旋状羽根体58bが一連に連なるように連設される掻き出し羽根58cを備えて構成されている。更に、前記被覆材供給口60に対応する部分よりも米粒搬送方向下手側の部分には3箇所に螺旋状羽根体58bが途切れる螺旋羽根途切れ部分62を設けてあり、その螺旋羽根途切れ部分62には、周方向に適宜間隔をあけて径方向に延びる複数の棒状攪拌体63が形成されている。この螺旋羽根途切れ部分62では、米粒の搬送作用がなく攪拌体63による攪拌作用を受けることから、螺旋状体58による米粒搬送に対する抵抗として作用し、米粒の攪拌を促進させる構成となっている。
【0076】
前記米粒排出口54は、図7に示すように、米粒搬送方向に長い長尺状に形成されており、攪拌室形成部材52の外周部に位置変更調節自在に装着された開度調節用部材64によって開度を変更調節自在な長尺状排出口部54aと、それよりも幅広に形成された終端排出口部54bとが夫々形成されている。
【0077】
次に、上述のように構成された攪拌搬送機3の作用について説明する。
前記米粒受入口53から前記攪拌室内に受け入れられた米粒は、前記螺旋状体58により米粒排出口54側に向かって攪拌されつつ搬送され、そのように攪拌されつつ搬送される米粒に対して、被覆材供給口60から被覆材溶液が供給され、米粒がその被覆材溶液供給位置から更に攪拌されつつ搬送される過程で、米粒の一粒一粒の表面の全体にわたる状態で被覆材溶液が付着して、米粒の一粒一粒が表面の全体にわたる状態で被覆材溶液にて被覆されることになる。
【0078】
そして、米粒が米粒排出口54の長尺状排出口部54aに達すると、米粒搬送方向に沿う方向の広い範囲にわたって満遍なく排出され、その長尺状排出口部54aを通過した米粒は、掻き出し羽根58cにより掻き出される状態で終端排出口部54bから排出される。更に、上述のように、前記螺旋羽根途切れ部分62が螺旋状羽根体58bによる米粒搬送に対する抵抗として作用するので米粒同士を擦り合わせて、被覆材溶液を米粒一粒一粒の表面の全面にわたって一段と均等に付着させることが可能になる。
【0079】
前記乾燥装置4は、図2に示すように、前記攪拌搬送機3の米粒排出口54から落下排出される米粒を受けて載置搬送する複数の載置搬送部65を備えており、前記攪拌搬送機3にて被覆材溶液が被覆されて米粒排出口54から落下排出される米粒を載置搬送部65にて受けて載置搬送しながら乾燥させることにより、米粒表面に被膜を形成するようになっている。前記載置搬送部65は、外周形状が円形状に形成されて乾燥用電動モータ66にて上下軸心周りで回転駆動される多孔状体にて構成され、上方より供給される米粒を受け止めて載置搬送したのちに下方に落下排出するように構成されている。このような載置搬送部65の複数を、上方側のものから落下排出される米粒を下方側のものが受け取る形態で上下方向に複数並べて設けている。これらの複数の載置搬送部65は略円筒状の乾燥装置ケーシング67に収納される構成となっている。
【0080】
更に、最下部の載置搬送部65の排出箇所の下方には、その最下部の載置搬送部65から落下排出される米粒を受けて装置外に排出する排出シュート68が乾燥装置ケーシング67から外部に突出する状態で設けられ、この排出シュート68から外部に排出した米粒は後処理部Bに向けて搬送される。又、乾燥装置ケーシング67内において、最上部の載置搬送部65よりも上方側に位置させて電気ヒータ69を備えて、乾燥装置ケーシング67の上部に乾燥装置4内部に乾燥用空気を給気する乾燥用送風機70を備えている。又、下方側に形成された排気ダクト71を通して吸引することにより、乾燥装置4内部の空気が外部に排気される構成となっている。ちなみに、乾燥装置ケーシング67における外周側壁部のうち電気ヒータ69よりも上方側に位置する部分は多孔状のパンチングメタルにて構成され、電気ヒータ69よりも下方側箇所は無孔板材にて構成されている。
【0081】
つまり、前記攪拌搬送機3の米粒排出口54から、被覆材溶液が付着した付着済み米粒が最上部の載置搬送部65上に落下排出され、その米粒が各載置搬送部65にて載置搬送されながら順次下方側の載置搬送部65に落下排出されて最下部の載置搬送部65まで移送されて、排出シュート68から装置外に排出されるようになっており、そのように米粒が各載置搬送部間を移送される過程で、電気ヒータ69の輻射熱により、最上部の載置搬送部65にて載置搬送される米粒を乾燥し、並びに、乾燥装置ケーシング67の上部から吸気又は吸引された乾燥用空気を電気ヒータ69にて加熱した後上下に並ぶ各載置搬送部65を下方側に通過させて装置外に排出するように通風させて、米粒に付着した被覆材溶液を乾燥するようになっている。つまり、電気ヒータ69による輻射熱及び乾燥用空気の通風による協働乾燥作用により付着済み米粒を乾燥して皮膜を形成することになる。
【0082】
この無洗米製造設備においては、軟水器33を除いた被覆材溶液生成装置1、研米機2、攪拌搬送機3、乾燥装置4、及び、制御部Cを一体的に組み付けて、無洗米製造部ユニットUを構成している。この無洗米製造部ユニットUは、図に示すように、前記乾燥装置ケーシング67と、その乾燥装置ケーシング67よりも高さが低く且つ概ね直方体形状に組み立てられた基枠73とを横方向に並べて連結し、前記基枠73に、前記研米機2、前記攪拌搬送機3及び前記制御部C等を組み付けて構成している。尚、図示しないが清掃用の配管類等も組み付けられることになる。
【0083】
前記攪拌搬送機3は、前記攪拌室形成部材52における前記米粒排出口54が位置する長手方向一端側部分を平面視で前記乾燥装置4に重複させかつ前記攪拌室形成部材52における前記米粒受入れ口53が位置する長手方向他端側部分を前記乾燥装置4の横側外方に突出させる状態を作業位置として設置され、且つ、乾燥装置4の横外側方に位置する旋回支点周りでの旋回により、前記作業位置と前記攪拌室形成部材52の全体を前記乾燥装置4の横側外方に突出させるメンテナンス位置とに切換自在に構成されている。
【0084】
そして、前記作業位置にある前記攪拌室形成部材52の長手方向と交差する方向に沿う作業用通路74が、前記旋回支点位置よりも前記乾燥装置4が存在する側とは反対側に位置させて形成されている。すなわち、作業用通路74は直方体形状の通路形成用枠体74aの上部に載置台を形成して構成してあり、作業者がその載置台上に載置した状態で作業を行えるようになっている。この作業用通路74は、基枠73に対して乾燥装置4とは反対側に位置させて、その基枠73に連なるように固定連結されており、作業用通路74、基枠73、及び、乾燥装置ケーシング67がその順序で横方向に並べて一体的に連結して無洗米製造部ユニットUが構成されている。
【0085】
又、前記乾燥装置4と前記作業用通路74との間に、研米機2、攪拌搬送機3、ボイラ32、制御部C等が設けられている。そして、前記作業用通路74に対して前記攪拌室形成部材52が位置する側とは反対側箇所に、被覆材を投入するための被覆材投入部Tとしての澱粉水溶液生成供給部15及び品質向上剤供給部16が備えられ、それらの下方側に被覆溶液貯留タンク30が設けられている。
【0086】
前記澱粉水溶液生成供給部15と前記品質向上剤供給部16との組み付け構成について説明すると、図2、図3、図5に示すように、澱粉水溶液生成供給部15と品質向上剤供給部16とは、通路形成用枠体74aに連結された略矩形状の機枠75によって支持され、作業用通路74上に作業者が載置している状態で固形粉状の被覆材(澱粉、品質向上剤)を投入し易い高さに澱粉貯留タンク18と品質向上剤貯留タンク27とが夫々配備されており、被覆材を投入するための被覆材投入部Tが形成されている。そして、澱粉貯留タンク18の下方側には上述したような振動フィーダ19、澱粉水溶液タンク21a、ロードセル22等が配備されており、品質向上剤貯留タンク27の下方側には振動フィーダ29等が配備されている。尚、図5における符号78は、澱粉貯留タンク18及び品質向上剤貯留タンク27の内部で澱粉や品質向上剤が滑らかに繰り出されるように攪拌させる攪拌体を低速回転させる減速機電動モータである。又、図2においては、被覆材投入部Tにおける澱粉水溶液生成供給部15の構成を理解し易くするために、被覆材投入部Tを一部切欠いた状態の正面を示している。
【0087】
前記攪拌搬送機3は、前記旋回支点周りで旋回自在に設けられた基端側支持部材79により攪拌室形成部材52、前記駆動軸57、及び、攪拌搬送用の回転体としての螺旋状体58を片持ち状に支持して構成され、攪拌室形成部材52並びに螺旋状体58の夫々が基端側支持部材79に対して各別に取り外し可能に連結されている。更に、攪拌室形成部材52並びに螺旋状体58の夫々が、攪拌室形成部材52の長手方向に沿って複数の分割単位体に分離した状態で基端側支持部材79に対して取り外し可能に連結されている。
【0088】
又、攪拌室形成部材52の前記複数の分割単位体52A,52Bの夫々に接続用のフランジ部80が形成され、複数の分割単位体52A,52B同士を、その接続箇所において、着脱自在なクランプ部材81により各フランジ部80同士を挟み込んで連結するように構成されている。
【0089】
以下、前記攪拌搬送機3の具体的な組み付け構成について説明を加える。
すなわち、図9に示すように、前記基端側支持部材79は、機枠75に位置固定状態で立設された固定ピン82に縦軸芯Y周りで回動自在に外嵌装着される枢支ボス部79aと、この枢支ボス部79aの上部に位置する横向き筒部79bとを一体形成して構成され、この横向き筒部79bにて攪拌室形成部材52並びに駆動軸57及び螺旋状体58を片持ち状に支持する構成となっている。従って、基端側支持部材79は、縦軸芯Y周りで回動自在に攪拌室形成部材52並びに駆動軸57及び螺旋状体58を片持ち状に支持する構成となっている。
【0090】
この基端側支持部材79には駆動軸57及び螺旋状体58を一体的に回動駆動する減速機付き電動モータ59が固定状態で取り付けられる。前記横向き筒部79bの内部において前記駆動軸57がベアリング83にて回転自在に支持され、電動モータ59の出力軸59aとこの駆動軸57とをカプリング84にて直結して一体回転自在に連結している。又、横向き筒部79bの端部には、攪拌室形成部材52の一端部が外嵌装着されて複数箇所を連結ネジ85によって連結して支持する構成となっており、この連結ネジ85を外すと攪拌室形成部材52の全体を取り外すことができるようになっている。
【0091】
又、前記攪拌室形成部材52は、長手方向の中間位置において分割される構成となっており、図9に示すように、それらの各分割単位体52A,52Bの接続箇所において、接続用のフランジ部80が形成され、複数の分割単位体同士52A,52Bを、その接続箇所において、着脱自在なクランプ部材81により各フランジ部80同士を挟み込んで連結する構成となっている。前記各フランジ部80の合わせ面部分には周方向の位相が一定になるように嵌り合う位置決めピン86が設けられている。
図8に示すように、クランプ部材80は蝶ネジ87を調節することでフランジ部80を締め付けたり緩めたりすることが可能な構成であり、簡単な操作で着脱を行えるようになっている。尚、攪拌室形成部材52の揺動端部側は、駆動軸57に固定用ネジ88によって締め付け固定されているベアリングユニット89によって受け止め保持される構成となっている。
【0092】
つまり、攪拌室形成部材52を取り外す場合は、図10に示すように、前記固定用ネジ88を緩めてベアリングユニット89を外した後、中間位置のクランプ部材81を外して揺動端側に位置する分割単位体52Bを外し、その後、連結ネジ85を外すことによって基端側に位置する分割単位体52Aを外すことができる。又、攪拌室形成部材52は、研米ホッパー2aや被覆材供給口60に接続される被覆材溶液供給路34との接続箇所においても、同様に、着脱自在なクランプ部材81により各フランジ部80同士を挟み込んで連結する構成となっている。
【0093】
そして、前記螺旋状体58も同様にして、複数の分割単位体58A,58bに分離した状態で基端側支持部材79に対して取り外し可能に構成されている。つまり、螺旋状体58は、長手方向の中間部において、図11に示すように、筒軸部58a同士が分離される構成となっており、その分離された分割単位体58A,58B同士の筒軸部58aの対向する端縁部に互いに軸芯方向に噛み合い自在な噛み合い部90が形成され、それらが噛み合うことで一体回転する構成となっている。又、基端側に位置する分割単位体58Aと駆動軸57とが基端側の端部に位置させたキー91の噛み合いによって一体回動自在に連動連結される構成となっている。そして、この螺旋状体58も攪拌室形成部材52と同様に、揺動端部側が、駆動軸57に固定用ネジ88によって締め付け固定されているベアリングユニット89によって受け止め保持される構成となっており、螺旋状体58を取り外す場合は、前記固定用ネジ88を緩めてベアリングユニット89を外すと、揺動端側に位置する分割単位体58Bを抜き外すことができ、基端側に位置する分割単位体58Aも軸芯方向に抜き外すことができる。
【0094】
そして、前記攪拌室形成部材52が、前記作業位置において、前記長手方向一端側部分を前記乾燥装置4の側壁部92を通して前記乾燥装置4の内部に入り込ませるように構成され、前記乾燥装置4の前記側壁部92に、前記攪拌室形成部材52が前記作業位置と前記メンテナンス位置との切換のために通過する開口93が形成され、その開口93を閉塞する閉状態と前記開口93を開放する開状態とに切り換え自在な扉部材94が設けられ、前記閉状態にある前記扉部材94によって前記攪拌室形成部材52を前記作業位置に保持するように構成されている。
【0095】
説明を加えると、図2及び図12に示すように、略円筒状に形成される乾燥装置ケーシング67における側壁部92において、攪拌室形成部材52が出入りするための開口93が形成され、その開口93を覆う状態と開口93を開放させる状態とにわたり、縦軸芯Y2周りで揺動開閉自在な扉部材94が設けられている。そして、この扉部材94の揺動端縁は攪拌室形成部材52の外周部に沿うように円弧状に形成してパッキン95を付設しており、攪拌室形成部材52が接当する開口93の内縁部も同様に、攪拌室形成部材52の外周部に沿うように円弧状に形成してパッキン95を付設している。つまり、扉部材94を閉状態に切り換えると、この扉部材94によって攪拌室形成部材52に接当して作業位置に位置保持させる構成であり、しかも、攪拌室形成部材52の外周部と乾燥装置ケーシング67の側壁部93との間に大きな隙間が生じないようにしている。
【0096】
そして、前記攪拌室形成部材52は、清掃等のメンテナンス作業を行うときは、扉部材94を開状態に切り換えて開口93を開放させ、図3に仮想線で示すメンテナンス位置にまで前記縦軸芯Y1周りで揺動して旋回させることができる。そして、このメンテナンス位置にまで旋回すると、前記基端側支持部材79の枢支ボス部79aに一体的に形成されている接当部96が機枠73に設けられた規制部97に接当してそれ以上の揺動を規制する構成となっている。このメンテナンス位置においては、図3に示すように、攪拌室形成部材52の全体が作業用通路74に近づいた状態となっており、メンテナンス作業を作業用通路74から近い位置で容易に行うことができる。
【0097】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
【0098】
(イ)上記実施形態では、攪拌手段100における下部側攪拌羽根37が回転によって被覆溶液貯留タンク30内の被覆材溶液を上方に向けて移動させながら攪拌作用するように構成され、上部側攪拌羽根38が回転によって被覆材溶液を下方に向けて移動させながら攪拌作用するように構成としたが、このような構成に代えて、例えば、図15に示すように、下部側攪拌羽根37及び上部側攪拌羽根38の夫々が回転によって被覆溶液貯留タンク30内の被覆材溶液を上方に向けて移動させながら攪拌作用するように構成するものでもよい。
【0099】
(ロ)上記実施形態では、攪拌手段100として、被覆溶液貯留タンク内部に備えられる下側攪拌羽根27と上側攪拌羽根38とが共通の電動モータ39によって一体回転する状態で駆動する構成としたが、このような構成に限らず、下側攪拌羽根と上側攪拌羽根とを夫々各別に設けた電動モータによって回転駆動する構成としてもよく、又、1つの電動モータの動力を各別に入り切り自在な一対のクラッチや各別に変速自在な一対の変速機構を介して下側攪拌羽根と上側攪拌羽根とに伝えて各別に駆動状態を変更させる構成としてもよい。
【0100】
上記実施形態では、下側攪拌羽根と上側攪拌羽根とが夫々、上下方向の位置を固定させた状態で回転駆動させる構成としたが、そのような構成に代えて、上下方向の位置を変更調整可能な構成としてもよい。又、下側攪拌羽根と上側攪拌羽根との間に回転駆動される状態で中間部の攪拌羽根を設ける構成としてもよい。
【0101】
又、上記実施形態では、攪拌手段における下部側攪拌作用部及び上部側攪拌作用部として、縦軸芯周りで回転駆動される攪拌羽根にて構成するものを例示したが、このような構成に代えて、例えば、横軸芯周りで回転駆動される回転軸の外周部に複数の棒状攪拌体を設ける構成等、各種の形態で実施してもよい。
【0102】
(ハ)上記実施形態では、被覆溶液貯留タンク内部にて生成された被覆材溶液が消費されて、設定量が消費される毎にその消費量に対応する量の澱粉水溶液及び品質向上剤を補給する構成としたが、被覆材溶液の消費量を逐次計測しながら消費された量に対応する澱粉水溶液及び品質向上剤を連続的に補給するように構成するものでもよい。又、このように澱粉水溶液及び品質向上剤を補給する構成に限らず、被覆溶液貯留タンクの容量を大きくさせて、例えば必要とされる被覆材溶液を被覆溶液貯留タンクに1回だけ貯留させる量で賄えるようにして補給を行わないようにしてもよい。
【0103】
(ニ)上記実施形態では、澱粉供給手段102を構成する澱粉水溶液生成供給部15と、品質向上剤供給手段103を構成する品質向上剤供給部16とを夫々備える構成としたが、このような構成に限らず、前記澱粉水溶液生成供給部15と前記品質向上剤供給部16のうちのいずれか一方だけを備える構成として、澱粉又は品質向上剤のうちの他方側のものを手作業で供給するようにしてもよく、前記澱粉水溶液生成供給部15及び前記品質向上剤供給部16のいずれも備えない構成としてもよい。このような前記澱粉水溶液生成供給部15及び前記品質向上剤供給部16のいずれも備えない構成のものでは、高温溶液生成部17における被覆溶液貯留タンク30に対して、澱粉、品質向上剤、水の夫々を夫々適量ずつ作業者が手作業で供給する構成となる。そして、このように手作業で供給する場合であっても、被覆溶液貯留タンクに備えられる下部側攪拌手段と上部側攪拌手段とによって澱粉及び品質向上剤が固形状態で残ることなく被覆材溶液中に溶解することになる。
【0104】
(ホ)上記実施形態では、澱粉供給手段として、澱粉と水とを設定比率で混合してその澱粉水溶液を送り出す澱粉水溶液生成供給部を備える構成としたが、このような構成に代えて固形粉状の澱粉だけを貯留タンクとしての被覆溶液貯留タンクに送り出す構成としてもよい。この構成では、被覆溶液貯留タンクに対する水の供給は別途自動で行う専用の給水装置を備える構成としてもよく、手作業によって被覆溶液貯留タンクに水を供給する構成としてもよい。
【0105】
(ヘ)上記実施形態では、前記品質向上剤供給手段103における供給手段として、振動フィーダを設ける構成としたが、供給手段としては、振動フィーダに限らず、例えば、回転操作式のロータリーフィーダ等、他の構成の供給手段を用いてもよい。
【0106】
(ト)上記実施形態では、攪拌搬送用の回転体としての螺旋状体が、軸の外周部に一条の螺旋状羽根体を一体的に連設して構成されるスクリューコンベアとして構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、次のように構成するものでもよい。
【0107】
図14に示すように、攪拌室形成部材52の内部において、丸棒材を螺旋状に屈曲形成したコイル状体にて構成されて攪拌室形成部材52の長手方向に沿って螺旋状に延びる螺旋状搬送体58が備えられ、その螺旋状搬送体58の径方向内方側に、前記駆動軸57がその外周面と螺旋状搬送体58との間に攪拌室形成部材52の長手方向に連なる内部空間Kを形成する状態で設けられる構成としてもよい。
【0108】
説明を加えると、前記駆動軸57の攪拌室形成部材52の長手方向両端側箇所部には、前記螺旋状搬送体58を一体回転自在に支持する支持部Sを構成する筒状支持体621b3が夫々設けられている。このうち、電動モータ59配設側の筒状支持体62は、キー61によって回転軸57と一体回転する状態で回転軸57に外嵌装着されており、この筒状支持体62には、螺旋状搬送体58の一部を接触する状態で巻回支持する螺旋体保持部62aと、螺旋状搬送体58の一端部を周方向に係止して回転力を伝える係止部62bとが形成されている。一方、電動モータ59配設側とは反対側の筒状支持体63は、回転軸57に外嵌装着されて、その軸端側の段差部分63cが、回転軸57の軸端部に固定ネジ88で固定されるベアリングユニット89と回転軸57の端部との間で締め付け固定されて、回転軸57と一体回転する状態で設けられている。この筒状支持体63にも他方側のものと同様に、螺旋状搬送体58の一部を接触する状態で巻回支持する螺旋体保持部63aと、螺旋状搬送体58の一端部を周方向に係止して回転力を伝える係止部63bとが形成されている。
【0109】
前記螺旋状搬送体58における前記米粒排出口54に対応する箇所には、攪拌室形成部材52の内周面に近接させた状態で且つ攪拌室形成部材52の長手方向に沿って直線状又は略直線状に延びる掻き出し作用部58bが設けられている。つまり、螺旋状搬送体58における米粒排出口54の終端側箇所に対応する箇所に、螺旋状に屈曲している螺旋状の搬送作用部58aの端部から一体的に連なる状態で、棒材を攪拌室形成部材52の内周面に近接させた状態で直線状又は略直線状に延びるように形成して掻き出し作用部58bを構成している。そして、この掻き出し作用部58bを前持筒状支持体63における螺旋体保持部63aにて受け止めて径方向外方への移動を阻止するようになっており、掻き出し作用部58bの端部を筒状支持体63における係止部63bに係止させる構成となっている。又、この構成においても、攪拌室形成部材52は分割して取り外すことができる構成としてあり、螺旋状搬送体は長手方向両側部の前記係止部62b,63bに対する係止を解除することで容易に取り外すことができるようになっている。
【0110】
(チ)前記乾燥装置の具体構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではない。例えば、前記載置搬送部として無端回動ベルトや振動コンベア式に構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】無洗米製造設備の全体構成を示すブロック図
【図2】無洗米製造部ユニットの正面図
【図3】無洗米製造部ユニットの平面図
【図4】研米機配設部の側面図
【図5】澱粉水溶液生成供給部及び品質向上剤供給部の構成を示す図
【図6】攪拌搬送機の側面図
【図7】米粒排出口を示す図
【図8】クランプ部材を示す図
【図9】攪拌搬送機の断面図
【図10】攪拌搬送機の分解状態を示す説明図
【図11】攪拌搬送機の分解状態を示す説明図
【図12】乾燥装置の開口形成部を示す図
【図13】被覆溶液貯留タンクの断面図
【図14】別実施形態の攪拌搬送機の断面図
【図15】別実施形態の被覆溶液貯留タンクの断面図
【符号の説明】
【0112】
19 澱粉供給状態切換手段
21 中継用保持容器
22 重量計測手段
23 中継用攪拌手段
24 給水状態切換手段
29 供給手段
30 貯留タンク
37 下部側攪拌作用部
38 上部側攪拌作用部
100 攪拌手段
101 加熱手段
102 澱粉供給手段
103 品質向上剤供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段及び前記貯留タンク内に対して加熱作用する加熱手段を備えて、前記貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して前記貯留タンク内に貯留するように構成された被覆材溶液生成装置であって、
前記攪拌手段が、前記貯留タンク内の貯留空間の上部側部分を攪拌作用する上部側攪拌作用部と、前記貯留タンク内の貯留空間の下部側部分を攪拌作用する下部側攪拌作用部とを備えて構成されている被覆材溶液生成装置。
【請求項2】
被覆材溶液生成用の貯留タンク内を攪拌作用する攪拌手段及び前記貯留タンク内に対して加熱作用する加熱手段を備えて、前記貯留タンクに供給される澱粉、品質向上剤、及び、水の攪拌混合並びに澱粉及び品質向上剤の加熱溶解により、米粒被覆用の被覆材溶液を生成して前記貯留タンク内に貯留するように構成された被覆材溶液生成装置であって、
前記貯留タンクに澱粉を供給する澱粉供給手段と、前記貯留タンクに品質向上剤を供給する品質向上剤供給手段とが備えられ、
前記澱粉供給手段が、重量計測手段にて澱粉の重量を計測して、前記貯留タンクに供給する澱粉の供給量を重量により管理する状態で前記貯留タンクに澱粉を供給するように構成され、
前記品質向上剤供給手段が、品質向上剤を単位時間当たり設定供給量ずつ供給する供給手段の供給作動時間にて、前記貯留タンクに供給する品質向上剤の供給量を管理する状態で前記貯留タンクに品質向上剤を供給するように構成されている被覆剤溶液生成装置。
【請求項3】
前記澱粉供給手段が、供給される澱粉を保持する保持状態と保持している澱粉を前記貯留タンクに供給する保持解除状態とに切り換え自在な中継用保持容器を備え、且つ、前記重量計測手段を前記中継用保持容器に対して計測作用する状態で設けて構成されている請求項2記載の被覆材溶液生成装置。
【請求項4】
前記澱粉供給手段が、
前記中継用保持容器に澱粉を供給する供給状態と澱粉の供給を停止する供給停止状態とに切り換え自在な澱粉供給状態切換手段と、前記中継用保持容器に水を供給する給水状態と供給を停止する給水停止状態とに切り換え自在な給水状態切換手段と、前記中継用保持容器内を攪拌作用する中継用攪拌手段とを備えて、
前記中継用保持容器に対して異なるタイミングにて澱粉の供給と水の供給とを行う状態で、目標供給量の澱粉を前記重量計測手段の計測情報に基づいて重量により管理して前記中継用保持容器に供給し、かつ、目標給水量の水を前記重量計測手段の計測情報に基づいて重量により管理して前記中継用保持容器に対して供給するように、前記澱粉供給状態切換手段及び前記給水状態切換手段を作動させ、並びに、前記中継用保持容器に供給された水と澱粉とを攪拌混合して生成した澱粉水溶液を前記貯留タンクに供給するように、前記中継用攪拌手段及び前記中継用保持容器を作動させるように構成されている請求項3記載の被覆材溶液生成装置。
【請求項5】
前記加熱手段が、前記貯留用タンク内に高温の蒸気を噴射することにより加熱作用するように構成されている請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の被覆材溶液生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−736(P2006−736A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178650(P2004−178650)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】