被覆箱
【課題】 箱の内外ともに段ボール箱の小口がプラスチックフィルムまたはシート等の耐水性シートで被覆されるために、耐水性、断熱性、粉塵防御性等についての安全性が高くなり、また、フィルム又はシートを取り替えることにより、匂いの残らない新鮮な状態で再使用でき、さらにリサイクルに適し、安価な通い箱としての提供が可能となる被覆箱を提供する。
【解決手段】 組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなる。
【解決手段】 組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に食品や医薬品を収納して輸送するために反覆使用する通い箱として有効な被覆箱や、紙粉防止容器及び断熱容器としても有効な被覆箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通い箱には丈夫で軽量であり断熱性を有するという特性があるばかりか都合良く偏平に折畳み可能なことから段ボール箱が多用されている。しかし、水に触れると強度を喪失する弱点があることから、食品のように水分の多い物の輸送に適しない。この点について、発泡スチロールの箱であると、丈夫で軽量であり断熱性を有する他に耐水性を有するために、特に保冷して輸送する場合に使用されるが、魚介類の輸送に使用すると、その匂いが染みついているので反復して使用することはできなかった。また、食品、医薬品、精密機械等を入れる容器として使用する場合、段ボールでは紙粉が発生するので製造ラインに段ボールを持込むことができなかった。
【0003】
段ボール箱の場合であると、水分の多い食品等の輸送のために、プラスチックフィルムをラミネートした耐水性段ボールが使用され、また、保冷のためにアルミ蒸着フィルムや発泡プラスチックシートをラミネートした断熱性段ボール箱が使用される。しかし、これらの耐水性や断熱性を付与された段ボール箱であっても、発泡スチロール箱のように成形されたものとは違って、組み立ての隙間から水漏れが生じるばかりでなく、段ボールを切断した小口からの浸水により強度を失うことや、小口からの通気により断熱性が喪失すること等、構造上避けがたい欠点があった。したがって、魚介類のような生物の輸送には適しなかったが、輸送しても同じように匂いが付くので再使用にも適しなかった。さらに、小口に切断粉が付着していると、特に精密機械のように繊細な商品には付着するおそれがあり包装に適しなかった。
【0004】
このような問題を解決するために、プラスチックフィルムまたはシートからなる内袋と外袋とで段ボール箱を挟むようにそれに装着し、両方にわたってキャップを取り付けた液体容器が提案されるが、これによると、コスト高となり、また、製造のための加工が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、箱の内外ともに段ボール箱の小口がプラスチックフィルムまたはシート等の耐水性シートで被覆されるために、耐水性、断熱性、粉塵防御性等についての安全性が高くなり、また、フィルム又はシートを取り替えることにより、匂いの残らない新鮮な状態で再使用でき、さらにリサイクルに適し、安価な通い箱としての提供が可能となる被覆箱を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなることを特徴とする被覆箱を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
被覆箱を上記のように構成したから、この発明の被覆箱によれば、組み立てたときにも箱本体の切断小口を含めた全体がフィルム又はシートにより被覆されているため、箱本体が水に弱い材質であっても耐水性や断熱性を保持することはもちろん、小口の粉塵の影響がなくなり、また、箱本体が水や汁等の液体により汚れることがなく、匂いも付かないことから、フィルム又はシート等の耐水性シートを取り替えることにより新品と同様に再使用できる。また、使用済みの時にリサイクルのために分別しやすい等の優れた効果がある。さらに、特に素材がフルートを有する段ボール箱の場合であると、小口が塞がれるために断熱性が非常に良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明において、箱本体の材質については、片面、両面、複両面、三層等の段ボールが好適に使用できる。また、ボード(紙、プラスチック、発泡樹脂、木、金属)、プラスチック段ボール、PP発泡ボード、発泡シート、プラパール等も使用できる。さらに、上記の素材に断熱・鮮度保持機能を付加したもの、例えば、発泡PE、アルミ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム+発泡PEフィルム、機能性フィルム、エチレン吸着フィルム、抗菌フィルム等をラミネートしたものを使用して機能を高めることもできる。
【0009】
フィルム又はシートの材質については、次のものを使用できる。
1)プラスチックフィルム(PP,PE,NY/PE等)や共押しフィルム、発泡フィルム、再生フィルム、生分解フィルム、延伸・無延伸フィルム等、特に限定しない。
2)ラミネートフィルム(アルミ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム+発泡PEフィルム、クラフト紙+PEフィルム等)
3)クラフト紙、多層クラフト紙、クラフト紙にエンボス加工、多層クラフト紙にエンボスしたもの等
【0010】
箱本体の形式については、次のようなものが好ましく使用できる。
1)A式で三角フラップ(切断・折曲げ)
2)C式で三角フラップ(切断・折曲げ)
3)魚箱の形式
【0011】
フィルム又はシート等の耐水性シートによる被覆の仕方については、
1)箱本体にシート状の外装を包み込む
2)袋状の外装に中に箱本体を入れる
3)内箱をシュリンク包装して包み込む
等の様々の方法をとることができる。特に、3)の場合であると、フィルム又はシートが熱収縮により箱本体に密着して一体化するので高い機能性が発揮され、且つ取扱い等に好都合である。
【0012】
その他、フィルム又はシートには、ヒートシール、インパルスシール、溶断シール、フィルムを切るためのカットを入れる等の加工が施される。
【0013】
箱本体とフィルム又はシートとは、接着されることは必ずしも要しないが、部分接着や全面接着を行うと一体化による利点が生じる。なお、部分接着には、線接着、点接着、点と線との複合接着、部分接着の軟接着等の剥離しやすい形態をとり、また、全面接着の場合であると軟接着によることがリサイクルのための分別上望ましい。
【0014】
被覆箱を組み立てた時に、その状態を保持するために固定する方法としては次のような手段がある。
1)粘着テープで止める。これが最も用いられると考えられる。なお、後記実施例では、図解しやすく粘着テープの図示を省略することがある。
2)接着剤で止める。これはホットメルトによることが望ましい。
3)リベット止め、ワイヤー止め
4)組立て方式(突起と穴との結合等)
【0015】
利用分野については、次の通りである。
1)耐水性シートがフィルムのもの
防水容器、魚箱用容器、紙粉防止容器用(医薬品や精密部品用)、非常用の容器、苗のポット鉢、型枠用
2)耐水性シートが断熱素材のもの
贈答用等、アイスクリーム用の断熱容器、加工食品用の断熱容器、緩衝用容器
【実施例】
【0016】
次に、この発明の幾つかの代表的な実施例を挙げるが、いずれの場合も、箱本体1と、それを被覆する外装としてのフィルム又はシート3(以下「耐水性シート」とする)とから構成される。
【0017】
図1ないし図5は、形式がA式段ボール箱である被覆箱として実施した形態を示したもので、箱本体1がA式として、前後両面壁5,5と左右側壁6,6とが交互する一端に糊代7を有し、両面壁5,5の上下両端に外フラップ9,9が連設され、左右側壁の上下両端に内フラップ8,8が連設される。しかし、普通のA式とは違って、内フラップ8,8が二等辺三角形に形成される。いずれにしても、普通のA式と同じく糊代7による連結により角筒形に組み立てられる。
【0018】
耐水性シート3により被覆する手段については、この箱本体1の角筒形において丁度嵌まり込む大きさのチューブからなる筒形の耐水性シート3が使用され(図5)、これに箱本体1を収めてから、上下両端部を内側に折り込み(同図矢印参照)、折り込んだ両端が熱溶着によりシールされる。したがって、箱本体1の内周面にシール部11を有し(図1,図3)、これによって、箱本体1の全体が外部と完全に遮断されて密封される。したがって、耐水性シート3による密封形式が非常に簡単な構造となるが、これは次のフラップの閉じ方について内フラップ8,8を三角形にしたことと関連する。
【0019】
底と蓋とを閉じるときには、内フラップ8,8を折り込んでから外フラップ9,9を折り込むことになるが、内フラップ8の形状からその両側に外フラップ9,9との間との間隔13,13を有することから、その間隔13,13が耐水性シート3で封じられていても、それが間隔13で折り曲がることにより、内フラップ8,8と外フラップ9,9との折り重なりが許容されることになる。したがって、間隔13において耐水性シート3を切除して切り口をシールするというような面倒な工数を掛ける必要がない。つまり、上記の如く簡単な構造となる。
【0020】
図4が内フラップ8,8と外フラップ9,9とを折り畳んだ状態を示し、普通の段ボール箱と同様に粘着テープ(図示省略)で止められ、折畳み状態がこれで保持される。
【0021】
上記実施例の被覆箱に類似するものとして、図2において一点鎖線で示す如く、左右側壁6,6とその上端の内フラップ8,8とに幅中央に沿って外折れ線20a,20aを形成した実施例を挙げることができる。こうすれば、両面壁5,5を合わせたコンパクトな折畳みが可能となる。なお、図2においては二点鎖線で耐水性シート3の被覆範囲を示す。
【0022】
図6ないし図8は、C式段ボール箱として身(又は蓋)の構造として示したもので、箱本体1は、基板壁15の前後両端に起立面壁17,17を、左右両端に起立側壁18,18をそれぞれ連設したもので、四隅に起立面壁17と起立側壁18との間を四角形において封じる対角折り線20b付きの折込み片19が設けられる。また、強度を確保するとともに断熱性や緩衝性を高めるために、各周壁が二重となっており、これについては、前記起立面壁17,17と起立側壁18,18とに反転内側壁23,23,24,24が連設され、その起立側壁18,18側の反転内側壁24,24の内側に前記折込み片19が折り込まれて組み立てられる。
【0023】
この折り込みにおいて空隙二重壁とするために、起立側壁18について、複数の横線27aと縦線27bとによる反転内側壁24,24の反転部が形成される。また、空隙を保持するために、先端に一対の突起29,29を形成し、基板壁15にはその突起29,29が突入する掛止孔31,31が形成される。また、起立面壁17に反転内側壁23が二つ折りに接着される(図7)。これは箱の組み立て前に行われるので(図6)、反転内側壁23をこのように接着(矢印参照)してから、展開図に近い矩形の状態において偏平に耐水性シート3が被覆される。被覆の仕方については、チューブに成形されている耐水性シート3を挿入し、チューブ両端がシールされる。しかし、単なる矩形の耐水性シート3を二つ折りや三つ折りにしてシールするというように様々の被覆の仕方がある。
【0024】
このように組み立てた被覆箱は、各隅角が折込み片19,19,19,19によって封じられるために、水等の液体の流出や侵入が阻止される。すなわち、一体成形されたような完全な水密性が保持される。したがって、この実施例のものでは、特に魚箱としての使用に適する。なお、図8は、箱本体1が透けて見えるものとして図示した。35は粘着テープである。
【0025】
図9ないし図11は、上記と同じような高い水密性の組み立て形態であるとともに、魚箱形式としてものであって、その被覆箱は、基板壁15に連設される起立面壁17,17と起立側壁18,18とのうち、起立面壁17,17については前記の如く内側リブとしての反転内側壁23,23を設けるが、起立側壁18,18については、水平な内鍔リブまたは水返しとしての屈折壁37,37が連設され、これと折込み片19との間には副折込み片39が設けられる。魚箱として使用するときには、耐水性シート3に前記素材のうちから断熱性の素材(エンボス加工、アルミ蒸着等を施したもの)を使用することが望ましい。
【0026】
また、特に、この実施形態においては、各折れ線20,20bに沿って耐水性シート3が基材としての箱本体1に接着されることが望ましい。しかし、これについては、各実施例について有用に適用されることであるので、図16,図17において後記することとする。
【0027】
図12および図13は、身2aと蓋2bとからなる被覆箱を示したもので、それぞれに耐水性シート3,3が被覆される。身2aと蓋2bとは大きさが一回り違うもののほゞ同じ展開図となるもので(図12)、箱本体1では、底壁または天壁となる基板壁15に起立面壁17,17と起立側壁18,18が連設されるが、身2aでは起立側壁18,18の両側に、蓋2bでは起立面壁17,17の両側にそれぞれ三角形の折込み片41,41が連設される。なお、折込み片41と起立面壁17,17または起立側壁18,18との間の空間は耐水性シート3により封じられるので、この場合も隅角における水密性が確保される。
【0028】
図14および図15は、一般的なA式段ボール箱の形態において実施したもので、最初の実施例において示したように、前後両面壁5,5に外フラップ9,9が、左右側壁6,6に内フラップ8,8が連設されるが、内フラップ8,8が矩形である。したがって、内フラップ8,8と外フラップ9,9とを重ねるためには、その間において、耐水性シート3も切断され、内フラップ8と外フラップ9との間には、耐水性シート3に溶断シール縁43を有することになる。溶断シールは、刃に熱をかけ、切ると同時に切口が接着されるため、水密性が保持される。なお、これは普通の段ボール箱においてなされていることである。
【0029】
図16および図17は、前記したように折れ線20(20a,20b)の箇所に沿って箱本体1に耐水性シート3を接着した実施例を示す。この場合、箱本体1の内側においてのみ折れ線20に沿って接着剤46aを帯状又は点状に塗布して接着され、シール条46を有する。また、熱溶着等の他の方法によることもできる。
【0030】
図18および図19は、基板壁15に抜け穴47,47,・・を設けた場合を示す。完全な水密性を求めることなく、適度に排水性や通気性を確保する等のためである。この場合は、箱本体1の基板壁15と耐水性シート3に抜け穴47a,47bを設け、耐水性シート3の抜け穴47bについては、その周囲がシール部49として上下シート片間が熱溶着して封じられる。なお、これは溶断シール手法により穴あけと同時にシール部49が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施例による被覆箱を口開き状態において一部切欠して示す斜視図である。
【図2】同被覆箱の段ボール箱の展開図である。
【図3】図1のA−A線矢視の拡大断面図である。
【図4】同被覆箱を梱包状態において示す斜視図である。
【図5】同被覆箱について耐水性シートの被覆の仕方を示す斜視図である。
【図6】他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図7】図6のB−B線矢視の拡大断面図である。
【図8】同被覆箱の斜視図である。
【図9】さらに他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図10】図9のC−C線矢視の拡大断面図である。
【図11】同被覆箱の斜視図である。
【図12】さらに他の実施例を示す身と蓋とからなる被覆箱の一部切欠した各展開図である。
【図13】同被覆箱の斜視図である。
【図14】さらに他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図15】同被覆箱の斜視図である。
【図16】この発明において段ボール箱の折れ線に沿って耐水性シートが接着される状態を示す被覆箱の一部平面図である。
【図17】図16のD−D線矢視の断面図である。
【図18】この発明において抜け穴を設けた場合における被覆箱の一部平面図である。
【図19】図18のE−E線矢視の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 箱本体
3 耐水性シート
5 両面壁
6 左右側壁
8 内フラップ
9 外フラップ
13 間隔
15 基板壁
17 起立面壁
18 起立側壁
19 折込み片
20,20a,20b 折れ線
46 シール条
47,47a,47b 抜け穴
49 シール部
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に食品や医薬品を収納して輸送するために反覆使用する通い箱として有効な被覆箱や、紙粉防止容器及び断熱容器としても有効な被覆箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通い箱には丈夫で軽量であり断熱性を有するという特性があるばかりか都合良く偏平に折畳み可能なことから段ボール箱が多用されている。しかし、水に触れると強度を喪失する弱点があることから、食品のように水分の多い物の輸送に適しない。この点について、発泡スチロールの箱であると、丈夫で軽量であり断熱性を有する他に耐水性を有するために、特に保冷して輸送する場合に使用されるが、魚介類の輸送に使用すると、その匂いが染みついているので反復して使用することはできなかった。また、食品、医薬品、精密機械等を入れる容器として使用する場合、段ボールでは紙粉が発生するので製造ラインに段ボールを持込むことができなかった。
【0003】
段ボール箱の場合であると、水分の多い食品等の輸送のために、プラスチックフィルムをラミネートした耐水性段ボールが使用され、また、保冷のためにアルミ蒸着フィルムや発泡プラスチックシートをラミネートした断熱性段ボール箱が使用される。しかし、これらの耐水性や断熱性を付与された段ボール箱であっても、発泡スチロール箱のように成形されたものとは違って、組み立ての隙間から水漏れが生じるばかりでなく、段ボールを切断した小口からの浸水により強度を失うことや、小口からの通気により断熱性が喪失すること等、構造上避けがたい欠点があった。したがって、魚介類のような生物の輸送には適しなかったが、輸送しても同じように匂いが付くので再使用にも適しなかった。さらに、小口に切断粉が付着していると、特に精密機械のように繊細な商品には付着するおそれがあり包装に適しなかった。
【0004】
このような問題を解決するために、プラスチックフィルムまたはシートからなる内袋と外袋とで段ボール箱を挟むようにそれに装着し、両方にわたってキャップを取り付けた液体容器が提案されるが、これによると、コスト高となり、また、製造のための加工が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、箱の内外ともに段ボール箱の小口がプラスチックフィルムまたはシート等の耐水性シートで被覆されるために、耐水性、断熱性、粉塵防御性等についての安全性が高くなり、また、フィルム又はシートを取り替えることにより、匂いの残らない新鮮な状態で再使用でき、さらにリサイクルに適し、安価な通い箱としての提供が可能となる被覆箱を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなることを特徴とする被覆箱を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
被覆箱を上記のように構成したから、この発明の被覆箱によれば、組み立てたときにも箱本体の切断小口を含めた全体がフィルム又はシートにより被覆されているため、箱本体が水に弱い材質であっても耐水性や断熱性を保持することはもちろん、小口の粉塵の影響がなくなり、また、箱本体が水や汁等の液体により汚れることがなく、匂いも付かないことから、フィルム又はシート等の耐水性シートを取り替えることにより新品と同様に再使用できる。また、使用済みの時にリサイクルのために分別しやすい等の優れた効果がある。さらに、特に素材がフルートを有する段ボール箱の場合であると、小口が塞がれるために断熱性が非常に良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明において、箱本体の材質については、片面、両面、複両面、三層等の段ボールが好適に使用できる。また、ボード(紙、プラスチック、発泡樹脂、木、金属)、プラスチック段ボール、PP発泡ボード、発泡シート、プラパール等も使用できる。さらに、上記の素材に断熱・鮮度保持機能を付加したもの、例えば、発泡PE、アルミ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム+発泡PEフィルム、機能性フィルム、エチレン吸着フィルム、抗菌フィルム等をラミネートしたものを使用して機能を高めることもできる。
【0009】
フィルム又はシートの材質については、次のものを使用できる。
1)プラスチックフィルム(PP,PE,NY/PE等)や共押しフィルム、発泡フィルム、再生フィルム、生分解フィルム、延伸・無延伸フィルム等、特に限定しない。
2)ラミネートフィルム(アルミ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム+発泡PEフィルム、クラフト紙+PEフィルム等)
3)クラフト紙、多層クラフト紙、クラフト紙にエンボス加工、多層クラフト紙にエンボスしたもの等
【0010】
箱本体の形式については、次のようなものが好ましく使用できる。
1)A式で三角フラップ(切断・折曲げ)
2)C式で三角フラップ(切断・折曲げ)
3)魚箱の形式
【0011】
フィルム又はシート等の耐水性シートによる被覆の仕方については、
1)箱本体にシート状の外装を包み込む
2)袋状の外装に中に箱本体を入れる
3)内箱をシュリンク包装して包み込む
等の様々の方法をとることができる。特に、3)の場合であると、フィルム又はシートが熱収縮により箱本体に密着して一体化するので高い機能性が発揮され、且つ取扱い等に好都合である。
【0012】
その他、フィルム又はシートには、ヒートシール、インパルスシール、溶断シール、フィルムを切るためのカットを入れる等の加工が施される。
【0013】
箱本体とフィルム又はシートとは、接着されることは必ずしも要しないが、部分接着や全面接着を行うと一体化による利点が生じる。なお、部分接着には、線接着、点接着、点と線との複合接着、部分接着の軟接着等の剥離しやすい形態をとり、また、全面接着の場合であると軟接着によることがリサイクルのための分別上望ましい。
【0014】
被覆箱を組み立てた時に、その状態を保持するために固定する方法としては次のような手段がある。
1)粘着テープで止める。これが最も用いられると考えられる。なお、後記実施例では、図解しやすく粘着テープの図示を省略することがある。
2)接着剤で止める。これはホットメルトによることが望ましい。
3)リベット止め、ワイヤー止め
4)組立て方式(突起と穴との結合等)
【0015】
利用分野については、次の通りである。
1)耐水性シートがフィルムのもの
防水容器、魚箱用容器、紙粉防止容器用(医薬品や精密部品用)、非常用の容器、苗のポット鉢、型枠用
2)耐水性シートが断熱素材のもの
贈答用等、アイスクリーム用の断熱容器、加工食品用の断熱容器、緩衝用容器
【実施例】
【0016】
次に、この発明の幾つかの代表的な実施例を挙げるが、いずれの場合も、箱本体1と、それを被覆する外装としてのフィルム又はシート3(以下「耐水性シート」とする)とから構成される。
【0017】
図1ないし図5は、形式がA式段ボール箱である被覆箱として実施した形態を示したもので、箱本体1がA式として、前後両面壁5,5と左右側壁6,6とが交互する一端に糊代7を有し、両面壁5,5の上下両端に外フラップ9,9が連設され、左右側壁の上下両端に内フラップ8,8が連設される。しかし、普通のA式とは違って、内フラップ8,8が二等辺三角形に形成される。いずれにしても、普通のA式と同じく糊代7による連結により角筒形に組み立てられる。
【0018】
耐水性シート3により被覆する手段については、この箱本体1の角筒形において丁度嵌まり込む大きさのチューブからなる筒形の耐水性シート3が使用され(図5)、これに箱本体1を収めてから、上下両端部を内側に折り込み(同図矢印参照)、折り込んだ両端が熱溶着によりシールされる。したがって、箱本体1の内周面にシール部11を有し(図1,図3)、これによって、箱本体1の全体が外部と完全に遮断されて密封される。したがって、耐水性シート3による密封形式が非常に簡単な構造となるが、これは次のフラップの閉じ方について内フラップ8,8を三角形にしたことと関連する。
【0019】
底と蓋とを閉じるときには、内フラップ8,8を折り込んでから外フラップ9,9を折り込むことになるが、内フラップ8の形状からその両側に外フラップ9,9との間との間隔13,13を有することから、その間隔13,13が耐水性シート3で封じられていても、それが間隔13で折り曲がることにより、内フラップ8,8と外フラップ9,9との折り重なりが許容されることになる。したがって、間隔13において耐水性シート3を切除して切り口をシールするというような面倒な工数を掛ける必要がない。つまり、上記の如く簡単な構造となる。
【0020】
図4が内フラップ8,8と外フラップ9,9とを折り畳んだ状態を示し、普通の段ボール箱と同様に粘着テープ(図示省略)で止められ、折畳み状態がこれで保持される。
【0021】
上記実施例の被覆箱に類似するものとして、図2において一点鎖線で示す如く、左右側壁6,6とその上端の内フラップ8,8とに幅中央に沿って外折れ線20a,20aを形成した実施例を挙げることができる。こうすれば、両面壁5,5を合わせたコンパクトな折畳みが可能となる。なお、図2においては二点鎖線で耐水性シート3の被覆範囲を示す。
【0022】
図6ないし図8は、C式段ボール箱として身(又は蓋)の構造として示したもので、箱本体1は、基板壁15の前後両端に起立面壁17,17を、左右両端に起立側壁18,18をそれぞれ連設したもので、四隅に起立面壁17と起立側壁18との間を四角形において封じる対角折り線20b付きの折込み片19が設けられる。また、強度を確保するとともに断熱性や緩衝性を高めるために、各周壁が二重となっており、これについては、前記起立面壁17,17と起立側壁18,18とに反転内側壁23,23,24,24が連設され、その起立側壁18,18側の反転内側壁24,24の内側に前記折込み片19が折り込まれて組み立てられる。
【0023】
この折り込みにおいて空隙二重壁とするために、起立側壁18について、複数の横線27aと縦線27bとによる反転内側壁24,24の反転部が形成される。また、空隙を保持するために、先端に一対の突起29,29を形成し、基板壁15にはその突起29,29が突入する掛止孔31,31が形成される。また、起立面壁17に反転内側壁23が二つ折りに接着される(図7)。これは箱の組み立て前に行われるので(図6)、反転内側壁23をこのように接着(矢印参照)してから、展開図に近い矩形の状態において偏平に耐水性シート3が被覆される。被覆の仕方については、チューブに成形されている耐水性シート3を挿入し、チューブ両端がシールされる。しかし、単なる矩形の耐水性シート3を二つ折りや三つ折りにしてシールするというように様々の被覆の仕方がある。
【0024】
このように組み立てた被覆箱は、各隅角が折込み片19,19,19,19によって封じられるために、水等の液体の流出や侵入が阻止される。すなわち、一体成形されたような完全な水密性が保持される。したがって、この実施例のものでは、特に魚箱としての使用に適する。なお、図8は、箱本体1が透けて見えるものとして図示した。35は粘着テープである。
【0025】
図9ないし図11は、上記と同じような高い水密性の組み立て形態であるとともに、魚箱形式としてものであって、その被覆箱は、基板壁15に連設される起立面壁17,17と起立側壁18,18とのうち、起立面壁17,17については前記の如く内側リブとしての反転内側壁23,23を設けるが、起立側壁18,18については、水平な内鍔リブまたは水返しとしての屈折壁37,37が連設され、これと折込み片19との間には副折込み片39が設けられる。魚箱として使用するときには、耐水性シート3に前記素材のうちから断熱性の素材(エンボス加工、アルミ蒸着等を施したもの)を使用することが望ましい。
【0026】
また、特に、この実施形態においては、各折れ線20,20bに沿って耐水性シート3が基材としての箱本体1に接着されることが望ましい。しかし、これについては、各実施例について有用に適用されることであるので、図16,図17において後記することとする。
【0027】
図12および図13は、身2aと蓋2bとからなる被覆箱を示したもので、それぞれに耐水性シート3,3が被覆される。身2aと蓋2bとは大きさが一回り違うもののほゞ同じ展開図となるもので(図12)、箱本体1では、底壁または天壁となる基板壁15に起立面壁17,17と起立側壁18,18が連設されるが、身2aでは起立側壁18,18の両側に、蓋2bでは起立面壁17,17の両側にそれぞれ三角形の折込み片41,41が連設される。なお、折込み片41と起立面壁17,17または起立側壁18,18との間の空間は耐水性シート3により封じられるので、この場合も隅角における水密性が確保される。
【0028】
図14および図15は、一般的なA式段ボール箱の形態において実施したもので、最初の実施例において示したように、前後両面壁5,5に外フラップ9,9が、左右側壁6,6に内フラップ8,8が連設されるが、内フラップ8,8が矩形である。したがって、内フラップ8,8と外フラップ9,9とを重ねるためには、その間において、耐水性シート3も切断され、内フラップ8と外フラップ9との間には、耐水性シート3に溶断シール縁43を有することになる。溶断シールは、刃に熱をかけ、切ると同時に切口が接着されるため、水密性が保持される。なお、これは普通の段ボール箱においてなされていることである。
【0029】
図16および図17は、前記したように折れ線20(20a,20b)の箇所に沿って箱本体1に耐水性シート3を接着した実施例を示す。この場合、箱本体1の内側においてのみ折れ線20に沿って接着剤46aを帯状又は点状に塗布して接着され、シール条46を有する。また、熱溶着等の他の方法によることもできる。
【0030】
図18および図19は、基板壁15に抜け穴47,47,・・を設けた場合を示す。完全な水密性を求めることなく、適度に排水性や通気性を確保する等のためである。この場合は、箱本体1の基板壁15と耐水性シート3に抜け穴47a,47bを設け、耐水性シート3の抜け穴47bについては、その周囲がシール部49として上下シート片間が熱溶着して封じられる。なお、これは溶断シール手法により穴あけと同時にシール部49が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施例による被覆箱を口開き状態において一部切欠して示す斜視図である。
【図2】同被覆箱の段ボール箱の展開図である。
【図3】図1のA−A線矢視の拡大断面図である。
【図4】同被覆箱を梱包状態において示す斜視図である。
【図5】同被覆箱について耐水性シートの被覆の仕方を示す斜視図である。
【図6】他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図7】図6のB−B線矢視の拡大断面図である。
【図8】同被覆箱の斜視図である。
【図9】さらに他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図10】図9のC−C線矢視の拡大断面図である。
【図11】同被覆箱の斜視図である。
【図12】さらに他の実施例を示す身と蓋とからなる被覆箱の一部切欠した各展開図である。
【図13】同被覆箱の斜視図である。
【図14】さらに他の実施例による被覆箱の一部切欠した展開図である。
【図15】同被覆箱の斜視図である。
【図16】この発明において段ボール箱の折れ線に沿って耐水性シートが接着される状態を示す被覆箱の一部平面図である。
【図17】図16のD−D線矢視の断面図である。
【図18】この発明において抜け穴を設けた場合における被覆箱の一部平面図である。
【図19】図18のE−E線矢視の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 箱本体
3 耐水性シート
5 両面壁
6 左右側壁
8 内フラップ
9 外フラップ
13 間隔
15 基板壁
17 起立面壁
18 起立側壁
19 折込み片
20,20a,20b 折れ線
46 シール条
47,47a,47b 抜け穴
49 シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなることを特徴とする被覆箱。
【請求項2】
箱本体が段ボール箱であることを特徴とする請求項1記載の被覆箱。
【請求項3】
箱本体がA式であって、左右側壁に連設される内フラップが折れ線を底辺とする三角形に形成され、前後両面壁に連設される外フラップと内フラップとの間隔においてフィルム又はシートが連続していることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆箱。
【請求項4】
箱本体がC式であって、底または天となる基板壁に連設される起立面壁と起立側壁との間に連続して止め代としての折込み片を形成してあることを特徴とする請求項1,2又は3記載の被覆箱。
【請求項5】
箱本体に組立て折畳み可能に形成される折れ線に沿ってフィルム又はシートが接着し、線接着としてのシール条が形成してあることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の被覆箱。
【請求項6】
箱本体とフィルム又はシートに、箱本体の端面に沿ってシール部(溶断シール)又は通気・排水用として抜け穴を設け、フィルム又はシートの抜け穴の縁にシール部を形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の被覆箱。
【請求項7】
フィルム又はシートを加熱することによりシュリンク包装形態においてそれを箱本体に密着して一体化したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の被覆箱。
【請求項1】
組立て折畳み可能な箱本体と、箱本体の全体をその組立て折畳みに随伴して変形し得るように被覆するプラスチック製のフィルム又はシートとからなることを特徴とする被覆箱。
【請求項2】
箱本体が段ボール箱であることを特徴とする請求項1記載の被覆箱。
【請求項3】
箱本体がA式であって、左右側壁に連設される内フラップが折れ線を底辺とする三角形に形成され、前後両面壁に連設される外フラップと内フラップとの間隔においてフィルム又はシートが連続していることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆箱。
【請求項4】
箱本体がC式であって、底または天となる基板壁に連設される起立面壁と起立側壁との間に連続して止め代としての折込み片を形成してあることを特徴とする請求項1,2又は3記載の被覆箱。
【請求項5】
箱本体に組立て折畳み可能に形成される折れ線に沿ってフィルム又はシートが接着し、線接着としてのシール条が形成してあることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の被覆箱。
【請求項6】
箱本体とフィルム又はシートに、箱本体の端面に沿ってシール部(溶断シール)又は通気・排水用として抜け穴を設け、フィルム又はシートの抜け穴の縁にシール部を形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の被覆箱。
【請求項7】
フィルム又はシートを加熱することによりシュリンク包装形態においてそれを箱本体に密着して一体化したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の被覆箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−103786(P2006−103786A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296023(P2004−296023)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(396019712)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(396019712)
【Fターム(参考)】
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