説明

被覆線剥皮装置

【課題】ストリップ刃に付着する被覆材の剥離物を長期間にわたり確実に除去することができる剥離物除去機構を備えた被覆線剥皮装置を提供する。
【解決手段】ストリップ刃19a、19aを閉じてストリップ刃19a、19bにより被覆線94を挟み込むことにより被覆材に切り込みを入れ、クランパ22a、22bにより被覆線94を把持した状態で、被覆材に切り込みを入れたストリップ刃19a、19bを被覆線94の軸方向に後退させることにより被覆線94の端部の被覆材を剥ぎ取り、被覆線94の端部の被覆材を剥ぎ取った後にストリップ刃19a、19bを開くストリップ機構と、ストリップ刃19a、19bの刃面に接触するように配置され、ストリップ刃19a、19bが開かれる際にストリップ刃19a、19bの刃面が摺動する屑取り部を有する屑取りブラケット18a、18bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆線の被覆材を剥ぎ取る被覆線剥皮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁材で被覆された電線等の被覆線の被覆材を剥ぎ取る被覆線剥皮装置(ワイヤストリッパ)として、これまでに種々の装置が開発されている(例えば特許文献1〜3を参照)。被覆線剥皮装置では、一対のクランパの間を介して一対のストリップ刃の間に被覆線を挿入し、一対のストリップ刃により被覆線を挟み込んで被覆線の心線近傍まで被覆材に切り込みを入れ、一対のクランパにより被覆線を把持しつつ、この状態で被覆線の軸方向に一対のストリップ刃を引動する。これにより、被覆線の端部の被覆材が剥ぎ取られる。
【0003】
被覆線剥皮装置においては、剥ぎ取られた被覆材や被覆材の屑等の剥離物がストリップ刃に付着することがある。このような被覆材の剥離物がストリップ刃に付着すると、ストリップ刃が被覆材に切り込みを入れる際の障害となり、被覆材の剥ぎ取りに不良が生じる場合があった。このため、ストリップ刃に付着する被覆材の剥離物は、ストリップ刃から除去することが望ましい。
【0004】
被覆材の剥離物を除去する剥離物除去機構としては、一対のストリップ刃のそれぞれに対して刃先近傍に刃面に接するように設けられたピアノ線等の線状弾性体を用いたものが知られている。この剥離物除去機構では、初期位置から移動して被覆線を挟み込み再び初期位置に戻る一対のストリップ刃の往復運動に連動して、刃面に接する一対の線状弾性体が同様に往復運動する。ストリップ刃に付着した被覆材の剥離物は、線状弾性体の付勢力によりストリップ刃から除去される。
【特許文献1】特開平10−234118号公報
【特許文献2】特開平10−210620号公報
【特許文献3】特開平10−112913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の線状弾性体を用いた剥離物除去機構は、以下に述べる不都合があった。
【0006】
まず、被覆線剥皮装置において被覆線の被覆材を剥ぎ取る動作が行われるたびに、剥離物除去機構の線状弾性体には、応力が加わることになる。このように、剥離物を除去するために必要な付勢力を有する線状弾性体には繰り返し応力が加わるため、線状弾性体に疲労破壊が生じる現象が多発していた。
【0007】
加えて、線状弾性体は、弾性力を有するというその性質上、所定の位置から予期せぬ位置に外れてしまう虞があった。例えば、線状弾性体が接する刃面とは反対の刃面側に線状弾性体が回り込み、一対のストリップ刃により線状弾性体が挟まれてしまう虞があった。
【0008】
このように、従来の線状弾性体を用いた剥離物除去機構では、線状弾性体に疲労破壊が生じたり、一対のストリップ刃により挟まれたりすることがある。このため、長期間にわたって安定して被覆材の剥離物をストリップ刃から除去することは極めて困難であった。
【0009】
本発明の目的は、ストリップ刃に付着する被覆材の剥離物を長期間にわたり確実に除去することができる剥離物除去機構を備えた被覆線剥皮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による被覆線剥皮装置は、被覆材で被覆された被覆線を把持する把持機構と、一対の刃物を有し、前記一対の刃物を閉じて前記一対の刃物により前記被覆線を挟み込むことにより前記被覆材に切り込みを入れ、前記把持機構により前記被覆線を把持した状態で、前記被覆材に切り込みを入れた前記一対の刃物を前記被覆線の軸方向に後退させることにより前記被覆線の端部の前記被覆材を剥ぎ取り、前記被覆線の前記端部の前記被覆材を剥ぎ取った後に前記一対の刃物を開くストリップ機構と、前記一対の刃物に付着した前記被覆材の剥離物を除去するための一対の剥離物除去用部材であって、前記一対の刃物の刃面に接触するように配置され、前記一対の刃物が開かれる際に前記一対の刃物の前記刃面が摺動する一対の剥離物除去用部材を有する剥離物除去機構とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被覆材で被覆された被覆線を把持する把持機構と、一対の刃物を有し、一対の刃物を閉じて一対の刃物により被覆線を挟み込むことにより被覆材に切り込みを入れ、把持機構により前記被覆線を把持した状態で、被覆材に切り込みを入れた一対の刃物を被覆線の軸方向に後退させることにより被覆線の端部の被覆材を剥ぎ取り、被覆線の端部の被覆材を剥ぎ取った後に一対の刃物を開くストリップ機構を有する被覆線剥皮装置において、一対の刃物に付着した被覆材の剥離物を除去するための一対の剥離物除去用部材であって、一対の刃物の刃面に接触するように配置され、一対の刃物が開かれる際に一対の刃物の刃面が摺動する一対の剥離物除去用部材を有する剥離物除去機構を設けたので、ストリップ刃に付着する被覆材の剥離物を長期間にわたり確実に除去することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[一実施形態]
本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置について図1乃至図23を用いて説明する。図1は本実施形態による被覆線剥皮装置の正面図であり、図2は本実施形態による被覆線剥皮装置の左側面図であり、図3は本実施形態による被覆線剥皮装置の背面図であり、図4は本実施形態による被覆線剥皮装置のフレームを構成する主要部材を示す斜視図であり、図5は本実施形態による被覆線剥皮装置の正面斜視図であり、図6は本実施形態による被覆線剥皮装置における検知ユニットの斜視図であり、図7は本実施形態による被覆線剥皮装置における駆動機構の主要部材を示す背面斜視図であり、図8は本実施形態による被覆線剥皮装置における把持機構の正面斜視図であり、図9は本実施形態による被覆線剥皮装置における把持機構の駆動部を示す斜視図であり、図10は本実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の斜視図であり、図11は本実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の駆動部を示す斜視図であり、図12は本実施形態による被覆線剥皮装置におけるスライドユニットの斜視図であり、図13は本実施形態による被覆線剥皮装置における切り込み量設定機構の斜視図であり、図14は本実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の背面斜視図であり、図15は本実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ動作切替機構の斜視図であり、図16は本実施形態による被覆線剥皮装置における検知ユニット及びスライドユニットの連結関係を示す斜視図であり、図17乃至図23は本実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図である。
【0013】
(被覆線剥皮装置)
まず、本実施形態による被覆線剥皮装置の構造について図1乃至図17を用いて説明する。
【0014】
本実施形態による被覆線剥皮装置は、絶縁材で被覆された電線等の被覆線の被覆材を剥ぎ取るワイヤストリッパである。
【0015】
被覆線剥皮装置の外形は、図1乃至図4に示すように、ベースフレーム14と、装置正面を覆うフロントカバー8と、装置上方及び側方を覆うメインカバー10と、装置背面を覆うリアカバー13とにより形成されている。
【0016】
ベースフレーム14には、図4に示すように、装置正面側のメカフレーム15及び装置背面側のメカフレーム16が、図1に示すフロントカバー8に並行に所定の間隔を空けて取り付けられている。フロントカバー8は、メカフレーム15に取り付けられている。メインカバー10及びリアカバー13は、ベースフレーム14に取り付けられている。ベースフレーム14の底面には、図1乃至図3に示すように、装置全体を支持するゴム足4a、4b、4c、4dが取り付けられている。メインカバー10の上面には、図2に示すように、装置を持ち運ぶための取っ手9が取り付けられている。
【0017】
フロントカバー8には、図1に示すように、刃部カバー1が取り付けられている。刃部カバー1には、被覆材の剥ぎ取りを行うべき被覆線を挿入するための被覆線挿入口が設けられている。
【0018】
刃部カバー1の内側には、図5に示すように、メカフレーム15に固定されたサポートアングル48が突出している。サポートアングル48が突出した刃部カバー1の内側には、図5に示すように、被覆線を把持するための一対のクランパ22a、22bと、被覆線の被覆材に切り込みを入れるための一対のストリップ刃19a、19bと、ストリップ刃19a、19bに付着する被覆材の剥離物をストリップ刃19a、19bから除去するための一対の屑取りブラケット18a、18bと、ストリップ動作を開始する駆動信号を得るためのスイッチとして機能する検知ヘッド17とが設けられている。
【0019】
さらに、フロントカバー8には、図1に示すように、被覆線剥皮装置に対する各種設定を行うための各種ダイヤル2、3、7及びチェンジレバー6が設けられている。長さ設定ダイヤル2は、被覆線の端部から被覆材を剥ぎ取る長さであるストリップ長を設定するためのものである。線径設定ダイヤル3は、被覆線の線径を設定するためのものである。速度設定ダイヤル7は、被覆材を剥ぎ取る際の動作速度であるストリップ速度を設定するためのものである。チェンジレバー6は、剥ぎ取った被覆材を被覆線から完全に取り去るフルストリップ動作と、剥ぎ取った被覆材を被覆線の端部に残すセミストリップ動作とを切り替えるためのものである。セミストリップ動作では、被覆線の心線を露出させる長さの長短を調整することができるようになっている。
【0020】
リアカバー13には、図3に示すように、被覆線剥皮装置内への電源供給のオン/オフを行うためのメインスイッチ11と、被覆線剥皮装置内に電源を供給するためのインレット12とが取り付けられている。フロントカバー8には、図1に示すように、被覆線剥皮装置内への電源供給のオン/オフを表示するネオンランプ5が設けられている。
【0021】
本実施形態による被覆線剥皮装置は、一対のストリップ刃19a、19bを含むストリップ機構と、一対のクランパ22a、22bを含む把持機構と、一対の屑取りブラケット18a、18bを含む剥離物除去機構と、これらの機構を駆動するための駆動機構とを有している。以下、本実施形態による被覆線剥皮装置の各機構について詳述する。
【0022】
(駆動機構)
まず、駆動機構について図5乃至図7を用いて詳述する。
【0023】
駆動機構は、ストリップ動作を開始する駆動信号を得るためのスイッチとして機能する検知ヘッド17と、検知ヘッド17により得られた駆動信号に基づき回転し、ストリップ機構、把持機構及び剥離物除去機構を駆動するための回転力を発生するモータ40と、モータ40により発生した回転力をストリップ機構、把持機構及び剥離物除去機構へ伝達するためのカムシャフト39とを有している。
【0024】
図6は、検知ヘッド17を含む検知ユニット103の詳細を示している。
【0025】
検知ベース26には、検知ブロック31と駆動センサブラケット25とが固定されている。なお、図6では、検知ベース26、検知ブロック31及び駆動センサブラケット25、並びに次に述べる検知パイプ29を装置の前後方向に沿った垂直面での断面図で示している。
【0026】
検知ブロック31には、装置の前後方向に沿うように円筒形状の検知パイプ29が固定されている。
【0027】
検知パイプ29の装置正面側の端部内には、樹脂製カラーよりなる検知軸受け30が嵌め込まれている。検知ブロック31には、検知軸受け30の延長線上の位置に、同じく樹脂製カラーよりなる検知軸受け35が嵌め込まれている。検知パイプ29内には、検知軸28が通されており、検知軸受け30、35により、検知軸28が装置の前後方向にスライド自在に支持されている。
【0028】
検知ヘッド17は、検知軸28の装置正面側の端部に取り付けられている。検知ヘッド17の前側には、図5に示すように、被覆線をガイドするためのケーブルガイド23が設けられており、ケーブルガイド23と検知ヘッド17の間に、一対のクランパ22a、22b、一対のストリップ刃19a、19b、及び一対の屑取りブラケット18a、18bが順次設けられている。
【0029】
検知軸28の装置背面側の端部付近には、検知軸28の微小な後退及び前進移動を検出してオン/オフ動作する駆動センサ24が配置されている。駆動センサ24は、駆動センサブラケット25に固定されている。
【0030】
検知軸28には、検知パイプ29の装置背面側の端部近傍の位置に、ストップリング33が固定されている。ストップリング33と検知軸受け35との間には、弾性体(検知軸戻しバネ)34が設けられている。ストップリング33は、検知軸戻しバネ34により装置正面側に向かう方向に付勢されているため、検知ブロック31に押し付けられている。ストップリング33が固定された検知軸28も、検知軸戻しバネ34により同様に装置正面側に向かう方向に付勢されている。
【0031】
検知ヘッド17には、ケーブルガイド23に案内された被覆線が押し当てられる。被覆線が検知ヘッド17に押し当てられることにより、検知ヘッド17が装置正面方向から装置背面方向に押されると、検知ヘッド17が固定された検知軸28及びストップリング33が検知軸戻しバネ34の付勢力に抗しながら後退する。
【0032】
ここで、検知ヘッド17からストップリング33までの間の長さは、検知パイプ29の長さより例えば0.3mm長くなっている。このため、検知ヘッド17、検知軸28及びストップリング33が例えば0.3mm後退した時点で検知ヘッド17が検知パイプ29に突き当たり、これらの後退が停止する。このとき、駆動センサ24がオンになる。
【0033】
検知ヘッド17を押している力が取り除かれると、検知軸戻しバネ34の付勢力により検知ヘッド17、検知軸28及びストップリング33が前進して初期位置に復帰する。このとき、駆動センサ24がオフになる。
【0034】
このような駆動センサ24のオン/オフによるオン/オフ信号は、後述するモータ40の駆動信号に機器内部で変換されるようになっている。この駆動信号によりモータ40が回転を開始する。
【0035】
検知ベース26には、装置の前後方向に配された一対のブッシュ(図示せず)及びブッシュ27が設けられている。これら一対のブッシュ及びブッシュ27には、メカフレーム15、16の間に固定された2本のセンサシャフト104a、104b(図16参照)がそれぞれ貫通し、これらセンサシャフト104a、104bにより検知ベース26が装置の前後方向にスライド自在に支持されている。検知ベース26の初期位置は、後述するように、フロントカバー8に設けられた長さ設定ダイヤル2を回すことにより調整することができる。検知ベース26の初期位置を調整することで、検知ヘッド17の初期位置も調整される。
【0036】
検知ヘッド17は、被覆線のストリップ長を設定するためのストッパとしても機能する。すなわち、被覆線が検知ヘッド17に押し当てられることによりストリップ動作が開始されるため、検知ヘッド17の前後位置を調整することで、ストリップ長を所望の長さに設定することができる。すなわち、検知ヘッド17の位置を後方に設定するほどストリップ長をより長く設定することができ、検知ヘッド17の位置を前方に設定するほどストリップ長をより短く設定することができる。
【0037】
図7に示すように、検知ヘッド17を含む検知ユニット103によって得られる駆動信号により回転するモータ40は、メカフレーム15、16の間に設置されている。モータ40は、装置背面側からみて時計方向(CW方向)に回転し、ストリップ機構、把持機構、及び剥離物除去機構を駆動するための回転力を発生する。モータ40の回転速度は、速度設定ダイヤル7を回すことにより変化する抵抗(図示せず)の抵抗値を駆動基板(図示せず)が検知し、検知された抵抗値に応じて設定されるようになっている。
【0038】
メカフレーム15にはベアリング43が嵌め込まれている。メカフレーム16にもベアリング(図示せず)が嵌め込まれている。これらベアリングによりカムシャフト39が回転自在に支持されている。カムシャフト39のメカフレーム15、16の間には、装置正面側から装置背面側に順に、カムシャフト39とともに回転する移動カム38、カッタカム37、及びクランプカム36(図8参照)がそれぞれスプリングピンにより固定されている。移動カム38及びカッタカム37は、モータ40の回転力をストリップ機構及び剥離物除去機構に伝達するためのものである。クランプカム36は、モータ40の回転力を把持機構に伝達するためのものである。
【0039】
モータ40の駆動軸のメカフレーム16の背面側には、モータ40の駆動軸とともに回転するモータプーリ42が固定されている。カムシャフト39のメカフレーム16の背面側には、カムシャフト39とともに回転するタイミングプーリ45が固定されている。モータプーリ42とタイミングプーリ45には、タイミングベルト46が巻き付けられている。これにより、モータ40の回転力がカムシャフト39に伝達されるようになっている。
【0040】
タイミングプーリ45には、所定の幅で切り欠かれたスリット44aを有するシャッタ44がカシメ取り付けされて固定されている。
【0041】
シャッタ44の側方には、カムシャフト39の回転位置を検出する光透過型のセンサ41が配置されている。センサ41は、メカフレーム16に固定されている。
【0042】
シャッタ44は、カムシャフト39の回転に伴って、その周縁部がセンサ41の溝部を通過するように回転する。センサ41の溝部には、スリット44aの有無を検出する検出部41aが設けられている。
【0043】
モータ40が回転する前の初期状態では、センサ41の溝部の間にスリット44aが位置している。このとき、検出部41aは、スリット44aを検出した受光状態になっている。
【0044】
検知ヘッド17に被覆線が押し当てられることにより生成された駆動信号によりモータ40が装置背面側からみてCW方向に回転すると、カムシャフト39及びシャッタ44が同じく装置背面側からみてCW方向に回転する。シャッタ44が回転することにより、スリット44aがセンサ41の溝部の間から外れると、検出部41aは非受光状態となる。
【0045】
シャッタ44が更に回転してスリット44aがセンサ41の溝部の間にくると、検出部41aは、スリット44aを検出して再び受光状態となる。こうして検出部41aが再び受光状態になると、機器内部でモータ40の停止信号が生成される。この停止信号によりモータ40が回転を停止する。
【0046】
(把持機構)
次に、把持機構について図8及び図9を用いて説明する。
【0047】
図8に示すように、メカフレーム15に取り付けられたサポートアングル48には、ベアリング49a、49bが嵌め込まれている。また、メカフレーム16には、ベアリング50a、50bが嵌め込まれている。ベアリング49a、50aにより、クランプシャフト47aが回転自在に装置の前後方向に沿って支持されている。ベアリング49b、50bにより、クランプシャフト47bが回転自在にクランプシャフト47aと並行に支持されている。
【0048】
クランプシャフト47a、47bの装置正面側の端部には、それぞれクランパ22a、22bが固定されている。
【0049】
クランプシャフト47a、47bのメカフレーム16側には、クランプ駆動アーム51a、51bがそれぞれ固定されている。クランプ駆動アーム51a、51bは、図9に示すように、それぞれリンク58a、58bを介して、クランプ駆動アーム51a、51b下方のクランプカムアーム52に連結されている。クランプ駆動アーム51aは、ジョイントピン57aによりリンク58aと互いに揺動自在に連結されている。クランプ駆動アーム51bは、ジョイントピン57bによりリンク58bと互いに揺動自在に連結されている。また、リンク58a、58bは、ジョイントピン57cによりクランプカムアーム52の中途部に揺動自在に連結されている。
【0050】
図9に示すように、クランプカムアーム52は、プッシャー軸60の上端部に固定されたクランプカムアーム軸53により上下に揺動自在に支持されている。クランクカムアーム52の右端部には、クランクカム36に接触するベアリング55が取り付けられている。クランプカムアーム52は、弾性体(クランクカムアーム戻しバネ)56により上方に付勢されており、ベアリング55がクランプカム36に押し当てられている。
【0051】
プッシャー軸60は、メカフレーム16に固定されたクランプブラケット54の上板部及び下板部の貫通孔に挿入されている。プッシャー軸60の下部には、クランプブラケット54の下板部の上側及び下側にそれぞれストップリング61、62が固定されている。クランプブラケット54の下板部の上側のストップリング61と、クランプブラケット54の上板部との間には、弾性体(クランプ力バネ)59が設けられている。ストップリング61及びこれが固定されたプッシャー軸60は、クランプ力バネ59により下方に付勢されている。
【0052】
ストリップ動作を開始する前の初期状態におけるクランパ22a、22bは、所定の角度で開いた状態になっている。
【0053】
モータ40が回転してカムシャフト39が装置正面側からみて反時計方向(CCW方向)に回転すると、カムシャフト39に固定されたクランプカム36も同じくCCW方向に回転する。
【0054】
ここで、クランプカム36にはベアリング55が押し当てられている。このため、クランプカムアーム52は、クランプカム36の回転に伴って、クランプカム36の起伏に応じて、クランプカムアーム軸53を中心として下方及び上方に揺動する。
【0055】
クランプカムアーム52が下方に揺動すると、リンク58a、58bが引き下げられる。
【0056】
リンク58a、58bが下方に移動すると、クランプ駆動アーム51a、51bがそれぞれクランプシャフト47a、47bを中心として回転する。クランプ駆動アーム51aは装置正面側からみてCCW方向に回転し、クランプ駆動アーム51bは装置正面側からみてCW方向に回転する。クランプ駆動アーム51aが固定されたクランプシャフト47aも装置正面側からみてCCW方向に回転し、クランプ駆動アーム51bが固定されたクランプシャフト47bも、装置正面側からみてCW方向に回転する。
【0057】
クランプシャフト47a、47bがそれぞれ装置正面側からみてCCW方向、CW方向に回転すると、クランプシャフト47a、47bにそれぞれ固定されたクランパ22a、22bもそれぞれCCW方向、CW方向に回転する。こうして、クランパ22a、22bが回転して閉じ合わさることにより、クランパ22a、22bの間に挿入された被覆線が挟み込まれて把持固定される。
【0058】
図9は、クランパ22a、22b間に被覆線が把持されていない状態を示している。ここで、クランパ22a、22bの間に被覆線が挟み込まれて把持された状態を想定し、クランパ22a、22bが被覆線を把持する把持力について説明する。
【0059】
クランパ22a、22bの間に被覆線が挟み込まれていると、その被覆線の径の分だけクランパ22a、22bが開いた状態になる。
【0060】
すると、クランパ22a、22bが開いた分だけクランプ駆動アーム51a、51bがそれぞれ装置正面側からみてCW方向、CCW方向に回転し、リンク58a、58bを引き上げる。
【0061】
リンク58a、58bが引き上げられることにより、クランプカムアーム52が引き上げられる。この際、ベアリング55がクランプカム36に押し当てられているため、クランプカムアーム52が引き上げられるとともに、クランプカムアーム軸52が引き上げられる。クランプカムアーム軸53が固定されたプッシャー軸60も引き上げられる。
【0062】
プッシャー軸60が引き上げられると、クランプ力バネ59によりクランプブラケット54の下板部に押し当てられていたストップリング61が引き上げられる。このため、ストップリング61とクランプブラケット54の上板部との間のクランプ力バネ59が更に収縮する。
【0063】
クランパ22a、22bの間に被覆線が挟み込まれて把持固定された状態では、こうして収縮したクランプ力バネ59の付勢力が、被覆線を把持する把持力としてクランパ22a、22bに伝達されている。
【0064】
他方、クランパ22a、22bの間に被覆線が挟み込まれて把持固定された状態から、クランプカムアーム52がクランプカム36の回転に伴って上方に揺動すると、リンク58a、58bが押し上げられる。
【0065】
リンク58a、58bが上方に移動すると、クランプ駆動アーム51a、51bがそれぞれクランプシャフト47a、47bを中心として回転する。クランプ駆動アーム51aは装置正面側からみてCW方向に回転し、クランプ駆動アーム51bは装置正面側からみてCCW方向に回転する。クランプ駆動アーム51aが固定されたクランプシャフト47aも装置正面側からみてCW方向に回転し、クランプ駆動アーム51bが固定されたクランプシャフト47b装置正面側からみてCCW方向に回転する。
【0066】
クランプシャフト47a、47bがそれぞれ装置正面側からみてCW方向、CCW方向に回転すると、クランプシャフト47a、47bにそれぞれ固定されたクランパ22a、22bもそれぞれCW方向、CCW方向に回転する。こうして、クランパ22a、22bが回転して開き初期状態に復帰する。クランパ22a、22bが開くことにより、クランパ22a、22bにより把持固定されていた被覆線が開放される。
【0067】
(ストリップ機構)
次に、ストリップ機構について図10乃至図16を用いて説明する。
【0068】
図10に示す駆動パイプ63a、63bには、把持機構のクランプシャフト47a、47b(図8及び図9参照)がそれぞれ貫通している。
【0069】
図10に示すように、駆動パイプ63a、63bの装置正面側の端部には、それぞれカッタ取付アーム21a、21bが固定されている。
【0070】
カッタ取付アーム21a、21bには、それぞれカッタ固定ブロック20a、20bがネジにより取り付けられている。ストリップ刃19a、19bは、それぞれカッタ固定ブロック20a、20bとカッタ取付アーム21a、21bとにより挟まれて固定されている。
【0071】
ストリップ刃19a、19bは、例えばV字状の刃先を有しており、互いに摺り合わされることにより、ストリップ刃19a、19bの間に挿入された被覆線の被覆材にのみ切り込みを入れる。
【0072】
駆動パイプ63aは、これに貫通するクランプシャフト47aと、後述のスライドユニット100に取り付けられたベアリング66aとにより回転自在に支持されている。同様に、駆動パイプ63bは、これに貫通するクランプシャフト47bと、スライドユニット100に取り付けられたベアリング66bとにより回転自在に支持されている。
【0073】
駆動パイプ63aにはガイドアーム64b、64dが取り付けられ、駆動パイプ63bにはガイドアーム64a、64bが取り付けられている。ガイドアーム64a、64b、64c、64dの下部には、それぞれベアリング65a、65b、65c、65dが取り付けられている。ベアリング65a、65bとベアリング65c、65dとが、後述のスライドユニット100に取り付けられたガイドシャフト70を隙間なく挟み込むように、ガイドアーム64b、64dが駆動パイプ63aに固定され、ガイドアーム64a、64cが駆動パイプ63bに固定されている。これにより、駆動パイプ63a、63bの回転がガイドシャフト70によりガイドされるようになっている。
【0074】
また、駆動パイプ63a、63bの装置背面側の端部には、それぞれカッタバックアーム67a、67bが取り付けられている。カッタバックアーム67a、67bの駆動パイプ63a、63bの下側に位置する端部には、それぞれスプリングポスト68a、68bが設けられている。スプリングポスト68a、68bの間には、弾性体(刃開きバネ)69が掛け渡されている。この刃開きバネ69により、駆動パイプ63aは装置正面側からみてCW方向に付勢され、駆動パイプ63bは装置正面側からみてCCW方向に付勢されている。
【0075】
さらに、駆動パイプ63a、63bのガイドアーム64d、64cとカッタバックアーム67a、67bとの間には、図11に示すように、カッタ駆動アーム71a、71bがそれぞれ固定されている。カッタ駆動アーム71a、71bは、それぞれリンク73a、73bを介して、カッタ駆動アーム71a、71b下方のカッタカムアーム76に連結さている。カッタ駆動アーム71aは、ジョイントピン72aによりリンク73aと互いに揺動自在に連結されている。カッタ駆動アーム71bは、ジョイントピン72b(図示せず)によりリンク73bと互いに揺動自在に連結されている。また、リンク73a、73bは、ジョイントピン74によりカッタカムアーム76の中途部に揺動自在に連結さている。
【0076】
カッタカムアーム76は、スクリューピン75により上下に揺動自在に支持されている。カッタカムアーム76の右端部は、カッタカム37に接触している。ここで、カッタカムアーム76には、カッタバックアーム67a、67b間に掛け渡された刃開きバネ69の付勢力が、駆動パイプ63a、63b、カッタ駆動アーム71a、71b、リンク73a、73b、ジョイントピン72a、72b、74を介して伝達されている。このため、カッタカムアーム76の右端部は、カッタカム37に押し当てられている。
【0077】
ストリップ動作を開始する前の初期状態におけるカッタ取付アーム21a、21bは、所定の角度で開いた状態になっている。
【0078】
モータ40が回転してカムシャフト39が装置正面側からみてCCW方向に回転すると、カムシャフト39に固定されたカッタカム37も同じくCCW方向に回転する。
【0079】
ここで、カッタカム37にはカッタカムアーム76の右端部が押し当てられている。このため、カッタカムアーム76は、カッタカム37の回転に伴って、カッタカム37の起伏に応じて、スクリューピン75を中心として下方及び上方に揺動する。
【0080】
カッタカムアーム76が下方に揺動すると、リンク73a、73bが引き下げられる。
【0081】
リンク73a、73bが下方に移動すると、カッタ駆動アーム71a、71bがそれぞれ駆動パイプ63a、63bを中心として回転する。カッタ駆動アーム71aは装置正面側からみてCCW方向に回転し、カッタ駆動アーム71bは装置正面側からみてCW方向に回転する。カッタ駆動アーム71aが固定された駆動パイプ63aも装置正面側からみてCCW方向に回転し、カッタ駆動アーム71bが固定された駆動パイプ63bも装置正面側からみてCW方向に回転する。
【0082】
駆動パイプ63a、63bがそれぞれ装置正面側からみてCCW方向、CW方向に回転すると、駆動パイプ63a、63bにそれぞれ固定されたカッタ取付アーム21a、21bもそれぞれCCW方向、CW方向に回転する。こうして、カッタ取付アーム21a、21bが回転して閉じることによりストリップ刃19a、19bが互いに摺り合わさり、ストリップ刃19a、19bの間に挿入された被覆線の被覆材に切り込みが入れられる。なお、図10、図11及び図14は、ストリップ刃19a、19bが互いに摺り合わさった状態を示している。
【0083】
なお、ストリップ刃19a、19bが互いに摺り合わさって被覆材に切り込みを入れた後、その状態を維持しつつストリップ刃19a、19bが僅かに開くように動作するようにしてもよい。これにより、被覆線から被覆材を剥ぎ取る際に被覆線の心線に傷が付くのを防止することができる。
【0084】
ストリップ刃19a、19bが互いに摺り合わさった状態から、カッタカムアーム76がカッタカム37の回転に伴って上方に揺動すると、リンク73a、73bが押し上げられる。
【0085】
リンク73a、73bが上方に移動すると、カッタ駆動アーム71a、71bがそれぞれ駆動パイプ63a、63bを中心として回転する。カッタ駆動アーム71aは装置正面側からみてCW方向に回転し、カッタ駆動アーム71bは装置正面側からみてCCW方向に回転する。カッタ駆動アーム71aが固定された駆動パイプ63aも装置正面側からみてCW方向に回転し、カッタ駆動アーム71bが固定された駆動パイプ63bも装置正面側からみてCCW方向に回転する。
【0086】
駆動パイプ63a、63bがそれぞれ装置正面側からみてCW方向、CCW方向に回転すると、駆動パイプ63a、63bにそれぞれ固定されたカッタ取付アーム21a、21bもそれぞれCW方向、CCW方向に回転する。こうして、カッタ取付アーム21a、21bが回転して開き初期状態に復帰する。カッタ取付アーム21a、21bが開くことにより、互いに摺り合わさった状態のストリップ刃19a、19bが開かれる。
【0087】
なお、カッタ取付アーム21a、21bが互いに摺り合わさった状態から開く動作は、後述するように、スライドユニット100が最も後方に移動した位置から前進して初期位置に復帰するまでの間に行われる。
【0088】
図12に示すように、駆動パイプ63a、63bを回転自在に支持するベアリング66a、66bは、プレート84に取り付けられている。プレート84は、スライドブロック80に取り付けられている。
【0089】
スライドブロック80には、アングル82及びプレート83が取り付けられている。アングル82とプレート83との間には、ガイドシャフト70が設けられている。ガイドシャフト70は、ガイドアーム64a、64b、64c、64dの下部に設けられたベアリング65a、65b、65c、65dに挟み込まれている。
【0090】
また、スライドブロック80には、ガイドブロック77及びブラケット79が取り付けられている。ガイドブロック77及びブラケット79により、スクリューピン75を支持するシャフト78が回転自在に支持されている。
【0091】
シャフト78の上端部は、スクリューピン75に螺合している。スクリューピン75の上下位置は、後述するようにシャフト78を回転することにより変更することができるようになっている。
【0092】
シャフト78の下端部には、ギア101が取り付けられている。ギア101は、ブラケット79内でギア99に噛合している。ギア99は、シャフト98に取り付けられている。
【0093】
図13に示すように、シャフト98は、スリーブシャフト97に連結されている。スリーブシャフト97には、線径設定ダイヤル3が取り付けられている。
【0094】
線径設定ダイヤル3を回すと、その回転がギア99、101を介してシャフト78に伝達される。シャフト78が螺合されたスクリューピン75は、線径設定ダイヤル3の回転によるシャフト78の回転に応じて上下動する。スクリューピン75の上下動は、ガイドブロック77によりガイドされている。このように、線径設定ダイヤル3を回すことにより、スクリューピン75の上下位置を変更することができる。
【0095】
ここで、カッタカムアーム76は、上述のように、その右端部が押し当てられているカッタカム37の回転に伴いスクリューピン75を中心として下方及び上方に揺動する。カッタカムアーム76の揺動中心であるスクリューピン75の上下位置が変化すると、カッタカムアーム76の揺動により下方及び上方に移動するリンク73a、73bの移動範囲がシフトする。リンク73a、73bの移動範囲がシフトすると、ストリップ刃19a、19bが固定されたカッタ取付アーム21a、21bの回転範囲もシフトする。これにより、ストリップ刃19a、19bが被覆線の被覆材を切り込む切り込み量が変化する。すなわち、スクリューピン75の位置を上げるほど、ストリップ刃19a、19bによる切り込みは浅くなる。スクリューピン75の位置を下げるほど、ストリップ刃19a、19bによる切り込みは深くなる。このように、線径設定ダイヤル3を回すことにより、被覆線の線径に応じて、ストリップ刃19a、19bが被覆線の被覆材を切り込む切り込み量を適宜設定することができる。
【0096】
図12に示すように、スライドブロック80には、装置正面側にスライドブロック80を付勢する弾性体(スライドブロック戻しバネ)81が取り付けられている。これにより、スライドブロック80がメカフレーム15に押し当てられている。
【0097】
アングル82には、図15に示すように、ピン87が取り付けられている。
【0098】
ここで、上述したスライドブロック80、スライドブロック戻しバネ81、アングル82、プレート83、84、ベアリング66a、66b、スクリューピン75、カッタカムアーム76、ガイドブロック77、シャフト78、ブラケット79、ギア99、101、シャフト98、ジョイントピン72a、72b(72bは図示せず)、74、リンク73a、73b、カッタ駆動アーム71a、71b、ピン87、及び以下に述べるスライドシャフト85、86が貫通するスライドブッシュ(図示せず)を含む構成部分をスライドユニット100と称する。
【0099】
メカフレーム15、16の間には、図14に示すように、スライドシャフト85、86が固定されている。スライドシャフト85、86には、スライドユニット100に設けられたスライドブッシュ(図示せず)に貫通しており、スライドユニット100がスライドシャフト85、86をガイドとして装置の前後方向にスライド自在に支持されている。
【0100】
スライドユニット100に直接及び間接的に取り付けられた部材、すなわち駆動パイプ63a、63b、カッタ取付アーム21a、21b、ストリップ刃19a、19b、カッタ固定ブロック20a、20b、ガイドアーム64a、64b、64c、64d、ベアリング65a、65b、65c、65d、カッタバックアーム67a、67b、スプリングポスト68a、68b、及び弾性体69は、スライドユニット100のスライドに伴ってスライドするようになっている。
【0101】
図15に示すように、ピン87には、リンクアーム91の一端の溝部が掛合している。リンクアーム91の他端には、リンクスタッド90が取り付けられている。リンクスタッド90はチェンジブロック88に貫通しており、リンクスタッド90を介してリンクアーム91がチェンジブロック88に連結されている。リンクアーム91は、リンクスタッド90を中心として揺動自在になっている。
【0102】
メカフレーム15には、チェンジブラケット87が取り付けられている。チェンジブラケット87には、チェンジスタッド89が取り付けられている。チェンジスタッド89には、チェンジブロック88が回動自在に支持されている。
【0103】
チェンジブロック88には、装置正面にメカフレーム15及びフロントカバー8を介して突出するチェンジレバー6が取り付けられており、チェンジレバー6を回動することによりチェンジブロック88を回動することができるようになっている。チェンジレバー6は、メカフレーム15に取り付けられたガイドの複数の溝部のいずれかで係止することにより、所定の位置で固定することができるようになっている。
【0104】
リンクアーム91の中途部には、リンクローラスタッド93が取り付けられている。リンクローラスタッド93には、移動カム38に接触するリンクローラ92が回転自在に支持されている。リンクアーム91の一端に連結されたスライドユニット100が、スライドブロック戻しバネ81により装置正面側に向かう方向に付勢されているため、リンクローラ92は移動カム38に押し当てられている。
【0105】
モータ40が回転してカムシャフト39が装置正面側からみてCCW方向に回転すると、カムシャフト39に固定された移動カム38も同じくCCW方向に回転する。
【0106】
ここで、移動カム38にはリンクローラ92が押し当てられている。このため、リンクローラ92は、移動カム38の回転に伴って、移動カム38の起伏に応じて後退及び前進移動を行う。リンクローラ92の後退及び前進移動に伴い、リンクアーム91は、リンクスタッド90を中心として後方及び前方に揺動する。
【0107】
リンクアーム91が後方に揺動すると、リンクアーム91の先端に連結されたスライドユニット100も後方に移動する。リンクアーム19が前方に揺動すると、スライドユニット100も前方に移動する。
【0108】
スライドユニット100の後退及び前進移動は以下のタイミングで行われる。
【0109】
まず、スライドユニット100の後方への移動に先立ち、クランプカム36の回転によりクランパ22a、22bが開いた初期状態から閉じて被覆線を把持固定するとともに、カッタカム37の回転によりストリップ刃19a、19bが開いた初期状態から閉じて被覆線の被覆材に切り込みを入れる。
【0110】
被覆線が把持固定され被覆材に切り込みが入れられたこのタイミングで、スライドユニット100は、移動カム38の回転により、メカフレーム15に押し当てられている初期状態から所定の移動量で後方に移動する。この間、ストリップ刃19a、19b及びクランパ22a、22bは、それぞれ閉じた状態を維持する。スライドユニット100が後方に移動することにより、被覆材に切り込みを入れた状態のストリップ刃19a、19bが被覆線の軸方向に後退する。こうして、ストリップ刃19a、19bが、被覆線端部の被覆材を被覆線の軸方向に引っ張って剥ぎ取る。
【0111】
続いて、スライドユニット100は、最も後方に移動した位置から、移動カム38の回転により前方に移動して初期状態に復帰する。スライドユニット100が最も後方に移動した位置に停止している状態で、カッタカム37の回転によりストリップ刃19a、19bが開き始め、クランプカム38の回転によりクランパ22a、22bが開き始める。スライドユニット100が前方に移動する間に、カッタカム37の回転によりストリップ刃19a、19bが更に開いていき、クランプカム38の回転によりクランパ22a、22bが更に開いていく。スライドユニット100は、ストリップ刃19a、19b及びクランパ22a、22bが開ききった後、初期状態に復帰する。
【0112】
なお、チェンジレバー6を回動することより、スライドユニット100の後退及び前進移動の移動量を変えることが可能である。
【0113】
すなわち、チェンジレバー6を回動すると、チェンジブロック88がチェンジスタッド89を中心として回動する。チェンジブロック88が回動すると、リンクアーム91の揺動の中心となるリンクスタッド90の位置が前後に変化する。したがって、チェンジレバー6を回動することにより、スライドユニット100の後退及び前進移動の移動量を変えることができる。
【0114】
こうしてチェンジレバー6の回動によりスライドユニット100の後退及び前進移動の移動量を変えることで、フルストリップ動作とセミストリップ動作とを切り替えることができる。セミストリップ動作では、被覆線の心線を露出させる長さの長短を調整することができる。回動したチェンジレバー6は、メカフレーム15に取り付けられたガイドの溝部で係止することにより固定する。
【0115】
図16に示すように、スライドユニット100には、レバーシャフト107が回動自在に取り付けられている。レバーシャフト107には、駆動レバー106が取り付けられている。
【0116】
駆動レバー106の上端部には、レバースライダ105aが取り付けられている。レバースライダ105aは、検知ユニット103に取り付けられたスライダピン32の端部に回動自在に取り付けられている。
【0117】
駆動レバー106の下端部には、レバースライダ105bが取り付けられている。レバースライダ105bは、ブロック108に回動自在に取り付けられている。
【0118】
ブロック108には、長さ設定ダイヤル2に取り付けられたネジ山付きのシャフト109が螺合して貫通している。長さ設定ダイヤル2を回転することによりシャフト109が回転し、このシャフト109の回転によりブロック108が前後移動するようになっている。
【0119】
こうして、スライドユニット100に検知ユニット103が連結されている。検知ユニット103は、スライドユニット100の後退及び前進移動に伴って後退及び前進移動を行う。
【0120】
スライドユニット100が初期位置から後方に移動すると、レバーシャフト107も後方に移動するため、駆動レバー106がレバースライダ105bを支点として後方に倒される。駆動レバー106が後方に倒されると、レバースライダ105aが後方に移動する。レバースライダ105aが後方に移動すると、スライダピン32及び検知ユニット103が後方に移動する。
【0121】
スライドユニット100が最も後方に移動した位置から前方に移動すると、レバーシャフト107も前方に移動するため、駆動レバー106がレバースライダ105bを支点として前方に倒される。駆動レバー106が前方に倒されると、レバースライダ105aが前方に移動する。レバースライダ105aが前方に移動すると、スライダピン32及び検知ユニット103が前方に移動する。
【0122】
こうして、検知ユニット103は、スライドユニット100の後退及び前進移動に伴って、検知ユニット103も後退及び前進移動を行う。駆動レバー106を介して検知ユニット103が後退及び前進移動を行うため、検知ユニット103の前進及び後退移動の移動量は、スライドユニット100の後退及び前進移動の移動量よりも大きくなっている。
【0123】
検知ユニット103の初期の前後位置は、長さ設定ダイヤル2を回してシャフト109を回転することにより調整することができる。
【0124】
長さ設定ダイヤル2を回すことによりシャフト109を回転すると、シャフト109が螺合するブロック108及びレバースライダ105bも前後移動する。これにより、駆動レバー106の傾斜角度が変化し、レバースライダ105aも前後移動する。レバースライダ105aが前後移動すると、スライダピン32及び検知ユニット103が前後移動する。したがって、長さ設定ダイヤル2を回すことにより、検知ユニット103の初期の前後位置を調整することができる。こうして、検知ヘッド17を含む検知ユニット103の初期の前後位置を調整することで、前述のように、ストリップ長を所望の長さに設定することができる。
【0125】
(剥離物除去機構)
次に、剥離物除去機構について図17を用いて説明する。
【0126】
駆動パイプ63a、63bの装置正面側の端部は、他の部分よりも外径が細くなっている。これら駆動パイプ63a、63bの外径の細い端部に、それぞれ屑取りブラケット18a、18bが回転自在に軸支されている。カッタ取付アーム21a、21bは、それぞれ駆動パイプ63a、63bの外径の細い端部に固定されている。屑取りブラケット18a、18bは、駆動パイプ63a、63bの外径が太くなる段差部とカッタ取付アーム21a、21bとの間に、微小な間隔を空けて挟まれている。屑取りブラケット18a、18bは、金属板等が加工されてなる剛体により構成されている。
【0127】
屑取りブラケット18a、18bの駆動パイプ63a、63bよりも下側の部分には、弾性体(屑取りブラケット戻しバネ)102が掛け渡されている。屑取りブラケット戻しバネ102により、屑取りブラケット18aは装置正面側からみてCW方向に付勢され、屑取りブラケット18bは装置正面側からみてCCW方向に付勢されている。
【0128】
屑取りブラケット18a、18bは、それぞれストリップ刃19a、19bの装置本体側の刃面に接触する板状の屑取り部96a、96b(図21参照)を有している。
【0129】
また、屑取りブラケット18a、18bは、それぞれ後方に伸びる板状のアーム部を有している。これら屑取りブラケット18a、18bのアーム部の端部は、内側に傾斜した傾斜部となっている。
【0130】
サポートアングル48の駆動パイプ63a、63bに沿った部分には、それぞれ内側に突出するスタッド95a、95bが取り付けられている。なお、スタッド95a、95bとしては、ネジ状のものを図示しているが、突出する構造物であればネジ状のものに限定されるものではない。
【0131】
スライドユニット100が後方に移動する際には、屑取りブラケット18a、18bは、屑取りブラケット戻しバネ102の付勢力により、カッタ取付アーム21a、21bに押し当てられている。このため、屑取りブラケット18a、18bは、ストリップ刃19a、19bが閉じるのに連動して閉じる方向に回転する。すなわち、屑取りブラケット18aは装置正面側からみてCCW方向に回転し、屑取りブラケット18bは装置正面側からみてCW方向に回転する。
【0132】
スライドユニット100が更に後方に移動すると、屑取りブラケット18a、18bのアーム部がその傾斜部からスタッド95a、95bに乗り上げる。
【0133】
屑取りブラケット18a、18bのアーム部がスタッド95a、95bに乗り上げると、スタッド95a、95bにより屑取りブラケット18a、18bのアーム部がそれぞれ押される。このため、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bは、カッタ取付アーム21a、21bから外れ、ストリップ刃19a、19bの刃面に摺動しながら、ストリップ刃19a、19bの刃先近傍の位置に移動する。
【0134】
スライドユニット100が最も後方に移動した状態では、スタッド95a、95bと、屑取りブラケット18a、18bのアーム部の傾斜部とが前後に並ぶようになる。屑取りブラケット18a、18bは、スタッド95a、95bによりアーム部がそれぞれ押されて固定されている。このため、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bは、カッタ取付アーム21a、21bから外れており、互いに摺り合った状態のストリップ刃19a、19bの刃先近傍の位置で刃面に接触しつつ並んだ状態となっている。
【0135】
スライドユニット100が最も後方に移動した位置から前方に移動する際には、スタッド95a、95bにより屑取りブラケット18a、18bのアーム部が押されている間、屑取りブラケット18a、18bの位置が固定される。このため、屑取り部96a、96bは、スライドユニット100が最も後方に移動したときの並んだ状態を維持する。一方、ストリップ刃19a、19bは、並んだ状態の屑取り部96a、96bにそれぞれ装置本体側の刃面を摺動させながら、スライドユニット100の前方への移動に伴って開いていく。
【0136】
ここで、被覆線の被覆材を剥ぎ取ったストリップ刃19a、19bの装置本体側の刃面には、被覆材の剥離物、すなわち剥ぎ取った被覆材や被覆材の屑が付着する。上述のように、並んだ状態の屑取り部96a、96bに装置本体側の刃面を摺動させながらストリップ刃19a、19bが開いていくことにより、ストリップ刃19a、19bの装置本体側の刃面に付着した被覆材の剥離物が、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bによって除去される。
【0137】
スライドユニット100が更に前方に移動すると、スタッド95a、95bが屑取りブラケット18a、18bのアーム部から外れる。すると、屑取りブラケット戻しバネ102の付勢力により、屑取りブラケット18a、18bは、それぞれカッタ取付アーム21a、21bに押し当てられながら開く方向に回転する。すなわち、屑取りブラケット18aは装置正面側からみてCW方向に回転し、屑取りブラケット18bは装置正面側からみてCCW方向に回転する。このように、屑取りブラケット18a、18bは、ストリップ刃19a、19bが開かれるタイミングに遅延したタイミングで開かれる。
【0138】
本実施形態による被覆線剥皮装置は、ストリップ刃19a、19bが開かれる際にストリップ刃19a、19bの刃面が摺動する板状の屑取り部96a、96bを有する屑取りブラケット18a、18bを備え、ストリップ刃19a、19bが閉じられるのと連動して屑取りブラケット18a、18bが閉じられ、ストリップ刃19a、19bが開かれるタイミングに遅延したタイミングで屑取りブラケット18a、18bが開かれ、ストリップ刃19a、19bが開かれる際にストリップ刃19a、19bの刃面が板状の屑取り部96a、96bに摺動することにより、被覆材の剥離物をストリップ刃19a、19bから除去することに主たる特徴がある。
【0139】
本実施形態による被覆線剥皮装置では、被覆材の剥離物を除去するための部材として弾性体を用いることなく、ストリップ刃19a、19bの刃面が板状の屑取り部96a、96bに摺動することにより被覆材の剥離物を除去する。このため、本実施形態による被覆線剥皮装置では、従来の線状弾性体の付勢力を利用して剥離物を除去する場合と異なり、板状の屑取り部96a、96bに疲労破壊が発生することはなく、剥離物を確実に除去することができる。
【0140】
また、本実施形態による被覆線剥皮装置では、屑取りブラケット18a、18bを弾性体により構成していないので、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bがストリップ刃19a、19bに挟まれることはない。
【0141】
また、本実施形態による被覆線剥皮装置では、ストリップ刃19a、19bの閉じる動作及び開く動作に対して、板状の屑取り部96a、96bを含む屑取りブラケット18a、18bの閉じる動作及び開く動作のタイミングが制御されている。このため、ストリップ刃19a、19bの刃面が板状の屑取り部96a、96bに確実に摺動することができ、剥離物を確実に除去することができる。
【0142】
したがって、本実施形態による被覆線剥皮装置によれば、ストリップ刃19a、19bに付着する被覆材の剥離物を長期間にわたり確実にストリップ刃19a、19bから除去することができる。
【0143】
(被覆線剥皮装置の動作)
次に、本実施形態による被覆線剥皮装置の動作について図1乃至図23を用いて説明する。
【0144】
まず、メインスイッチ11をオンにし、インレット12から被覆線剥皮装置に電力を供給する。
【0145】
次いで、装置正面に設けられている長さ設定ダイヤル2、線径設定ダイヤル3、及び速度設定ダイヤル7を回すことにより、それぞれストリップ長、被覆材に対する切り込み量、及びストリップ速度を設定する。また、チェンジレバー6を回すことにより、フルストリップ動作及びセミストリップ動作のいずれかに設定し、セミストリップ動作に設定する場合には、更に被覆線の心線を露出させる長さを設定する。なお、図17乃至図23では、被覆線剥皮装置がフルストリップ動作を行う場合を示している。
【0146】
次いで、図17に示すように、被覆線94をケーブルガイド23に載置しながらクランパ22a、22bの間及びストリップ刃19a、19bの間に挿入し、被覆線94の端部を検知ヘッド17に押し当てる。
【0147】
被覆線94の端部により検知ヘッド17が押し込まれると、モータ40が回転を開始し、モータ40の回転力が把持機構、ストリップ機構、及び剥離物除去機構にそれぞれ伝達される。
【0148】
モータ40が回転を開始すると、図18に示すように、把持機構のクランパ22a、22bが閉じて被覆線94を挟み込み、被覆線94を把持する。同時に、ストリップ機構のストリップ刃19a、19bが閉じて被覆線94を挟み込み、被覆線94の被覆材に切り込みを入れる。ストリップ刃19a、19bの閉じる動作の間、屑取りブラケット18a、18bは、屑取りブラケット戻しバネ102の付勢力によりカッタ取付アーム21a、21bに押し当てられながら、互いに閉じる方向に回転する。
【0149】
被覆線94が把持され被覆材に切り込みが入れられると、スライドユニット100が後方に移動し、図19に示すように、クランパ22a、22b及びストリップ刃19a、19bが閉じた状態のまま、ストリップ刃19a、19bが後方に移動する。これにより、被覆線94端部の被覆材が被覆線94の軸方向に引き剥がされる。ストリップ刃19a、19bが後方に移動する間、屑取りブラケット18a、18bは、アーム部がスタッド95a、95bに乗り上げるまでは、屑取りブラケット戻しバネ102の付勢力によりカッタ取付アーム21a、21bに押し当てられている。
【0150】
なお、スライドユニット100の後方への移動に伴い、検知ユニット103も後方に移動して退避する。
【0151】
スライドユニット100が更に後方に移動し、屑取りブラケット18a、18bのアーム部がスタッド95a、95bに乗り上げると、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bは、カッタ取付アーム21a、21bから外れ、被覆線94の被覆材を引き剥がした閉じた状態のストリップ刃19a、19bの刃先近傍の位置で刃面に接触しつつ並んだ状態となる。
【0152】
図20は、スライドユニット100が最も後方に移動し、剥ぎ取られた被覆材が被覆線から完全に取り去られた状態を示している。図示するように、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bは、ストリップ刃19a、19bの刃先近傍の位置で刃面に接触しつつ並んだ状態となっている。
【0153】
スライドユニット100が最も後方に移動した位置で停止した状態で、ストリップ刃19a、19b及びクランパ22a、22bが開き始める。
【0154】
続いて、スライドユニット100が最も後方に移動した位置から前方に移動すると、図21に示すように、ストリップ刃19a、19b及びクランパ22a、22bが更に開いていく。このとき、スタッド95a、95bにより屑取りブラケット18a、18bのアーム部が押されているため、屑取り部96a、96bは、スライドユニット100が最も後方に移動したときの並んだ状態を維持する。このため、ストリップ刃19a、19bは、並んだ状態の屑取り部96a、96bに装置本体側の刃面を摺動させながら開いていく。
【0155】
こうして、並んだ状態の屑取り部96a、96bに装置本体側の刃面を摺動させながらストリップ刃19a、19bが開いていくことにより、ストリップ刃19a、19bの装置本体側の刃面に付着した被覆材の剥離物が、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部96a、96bによって除去される。
【0156】
スライドユニット100が更に前方に移動すると、図22に示すように、屑取りブラケット18a、18bのアーム部がスタッド95a、95bから外れる。すると、屑取りブラケット戻しバネ102の付勢力により、屑取りブラケット18a、18bは、カッタ取付アーム21a、21bに押し当てられながら開く方向に回転する。
【0157】
なお、端部の被覆材が剥ぎ取られた被覆線94は、クランパ22a、22bが開いて把持固定が解除された段階で回収する。
【0158】
スライドユニット100が更に前方に移動すると、クランパ22a、22b、ストリップ刃19a、19b、及び屑取りブラケット18a、18bが開ききり、その後、スライドユニット100が初期位置に復帰する。こうして、図23に示すように、クランパ22a、22b、ストリップ刃19a、19b、及び屑取りブラケット18a、18bも初期状態に復帰する。なお、スライドユニット100の前方への移動に伴い、検知ユニット103も前方に移動して初期位置に復帰する。この時点で、センサ41の検出部41aが、シャッタ44のスリット44aを検出して再び受光状態となり、機器内部でモータ40の停止信号が生成される。この停止信号によりモータ40が回転を停止する。
【0159】
こうして、本実施形態による被覆線剥皮装置の動作が完了する。
【0160】
このように、本実施形態によれば、ストリップ刃19a、19bが閉じられるのと連動して屑取りブラケット18a、18bが閉じられ、ストリップ刃19a、19bが開かれるタイミングに遅延したタイミングで屑取りブラケット18a、18bが開かれ、ストリップ刃19a、19bが開かれる際にストリップ刃19a、19bの刃面が板状の屑取り部96a、96bに摺動することにより、被覆材の剥離物をストリップ刃19a、19bから除去するので、ストリップ刃19a、19bに付着する被覆材の剥離物を長期間にわたり確実にストリップ刃19a、19bから除去することができる。
【0161】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0162】
例えば、上記実施形態では、ストリップ刃19a、19bがそれぞれV字状の刃先を有する場合について説明したが、ストリップ刃19a、19bはV字状の刃先を有する刃物に限定されるものではない。ストリップ刃19a、19bとして、
また、上記実施形態では、ストリップ刃19a、19bの刃面に接触する板状の屑取り部96a、96bを屑取りブラケット18a、18bが有する場合について説明したが、屑取りブラケット18a、18bの屑取り部は、このような板状の部材に限定されるものではない。例えば、板状の屑取り部96a、96bに代えて、ストリップ刃19a、19bの刃面に接触するブラシ状の屑取り部を屑取りブラケット18a、18bが有するようにしてもよい。
【0163】
また、上記実施形態では、クランパ22a、22b、ストリップ刃19a、19b、及び屑取りブラケット18a、18bがそれぞれ回転することにより閉じる動作及び開く動作を行う場合について説明したが、これらは、平行移動することにより閉じる動作及び開く動作を行うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の左側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の背面図である。
【図4】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置のフレームを構成する主要部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の正面斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置における検知ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置における駆動機構の主要部材を示す背面斜視図である。
【図8】本発明の一本実施形態による被覆線剥皮装置における把持機構の正面斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置における把持機構の駆動部を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の駆動部を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置におけるスライドユニットの斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置における切り込み量設定機構の斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ機構の背面斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置におけるストリップ動作切替機構の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置における検知ユニット及びスライドユニットの連結関係を示す斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その1)である。
【図18】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その2)である。
【図19】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その3)である。
【図20】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その4)である。
【図21】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その5)である。
【図22】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その6)である。
【図23】本発明の一実施形態による被覆線剥皮装置の動作を説明する斜視図(その7)である。
【符号の説明】
【0165】
1…刃部カバー
2…長さ設定ダイヤル
3…線径設定ダイヤル
4a、4b、4c、4d…ゴム足
5…ネオンランプ
6…チェンジレバー
7…速度設定ダイヤル
8…フロントカバー
9…取っ手
10…メインカバー
11…メインスイッチ
12…インレット
13…リアカバー
14…ベースフレーム
15…メカフレーム
16…メカフレーム
17…検知ヘッド
18a、18b…屑取りブラケット
19a、19b…ストリップ刃
20a、20b…カッタ固定ブロック
21a、21b…カッタ取付アーム
22a、22b…クランパ
23…ケーブルガイド
24…駆動センサ
25…駆動センサブラケット
26…検知ベース
27…ブッシュ
28…検知軸
29…検知パイプ
30…検知軸受け
31…検知ブロック
32…スライダピン
33…ストップリング
34…検知軸戻しバネ
35…検知軸受け
36…クランプカム
37…カッタカム
38…移動カム
39…カムシャフト
40…モータ
41…センサ
41a…検出部
42…モータプーリ
43…ベアリング
44…シャッタ
44a…スリット
45…カムシャフトプーリ
46…タイミングベルト
47a、47b…クランプシャフト
48…サポートアングル
49a、49b、50a、50b…ベアリング
51a、51b…クランプ駆動アーム
52…クランプカムアーム
53…クランプカムアーム軸
54…クランプブラケット
55…ベアリング
56…クランプカムアーム戻しバネ
57a、57b、57c…ジョイントピン
58a、58b…リンク
59…クランプ力バネ
60…プッシャー軸
61…ストップリング
62…ストップリング
63a、63b…駆動パイプ
64a、64b、64c、64d…ガイドアーム
65a、65b、65c、65d…ベアリング
66a、66b…ベアリング
67a、67b…カッタバックアーム
68a、68b…スプリングポスト
69…刃開きバネ
70…ガイドシャフト
71a、71b…カッタ駆動アーム
72a、72b…ジョイントピン
73a、73b…リンク
74…ジョイントピン
75…スクリューピン
76…カッタカムアーム
77…ガイドブロック
78…シャフト
79…ブラケット
80…スライドブロック
81…スライドブロック戻しバネ
82…アングル
83…プレート
84…プレート
85…スライドシャフト
86…スライドシャフト
87…チェンジブラケット
88…チェンジブロック
89…チェンジスタッド
90…リンクスタッド
91…リンクアーム
92…リンクローラ
93…リンクローラスタッド
94…被覆線
95a、95b…スタッド
96a、96b…屑取りブラケットの屑取り部
97…スリーブシャフト
98…シャフト
99…ギア
100…スライドユニット
101…ギア
102…屑取りブラケット戻しバネ
103…検知ユニット
104a、104b…センサシャフト
105a、105b…レバースライダ
106…駆動レバー
107…レバーシャフト
108…ブロック
109…シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆材で被覆された被覆線を把持する把持機構と、
一対の刃物を有し、前記一対の刃物を閉じて前記一対の刃物により前記被覆線を挟み込むことにより前記被覆材に切り込みを入れ、前記把持機構により前記被覆線を把持した状態で、前記被覆材に切り込みを入れた前記一対の刃物を前記被覆線の軸方向に後退させることにより前記被覆線の端部の前記被覆材を剥ぎ取り、前記被覆線の前記端部の前記被覆材を剥ぎ取った後に前記一対の刃物を開くストリップ機構と、
前記一対の刃物に付着した前記被覆材の剥離物を除去するための一対の剥離物除去用部材であって、前記一対の刃物の刃面に接触するように配置され、前記一対の刃物が開かれる際に前記一対の刃物の前記刃面が摺動する一対の剥離物除去用部材を有する剥離物除去機構と
を有することを特徴とする被覆線剥皮装置。
【請求項2】
請求項1記載の被覆線剥皮装置において、
前記剥離物除去機構は、前記一対の刃物が閉じられるのに連動して前記一対の剥離物除去部材を閉じ、前記一対の刃物が開かれる第1のタイミングに遅延した第2のタイミングで前記一対の剥離物除去用部材を開く
ことを特徴とする被覆線剥皮装置。
【請求項3】
請求項2記載の被覆線剥皮装置において、
前記剥離物除去機構は、前記一対の剥離物除去用部材を閉じた後、前記第2のタイミングとなるまで前記一対の剥離物除去用部材の位置を固定する
ことを特徴とする被覆線剥皮装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被覆線剥皮装置において、
前記剥離物除去用部材は、前記刃物の前記刃面に接触する板状部材である
ことを特徴とする被覆線剥皮装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被覆線剥皮装置において、
前記剥離物除去用部材は、前記刃物の前記刃面に接触するブラシ状部材である
ことを特徴とする被覆線剥皮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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