説明

被覆装置および画像形成装置

【課題】本発明は、記録媒体の表面性状を変更可能な被覆装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】周面が周回移動する移動体と、上記移動体の周面に可視光に対して透明な固形粒子を供給する粒子供給部と、特定の刺激が付与されることで硬化する硬化液体を、上記移動体の、上記固形粒子が供給された周面に層状に供給する液体供給部と、上記液体供給部によって上記移動体の周面に供給された硬化液体に対して上記特定の刺激を付与することで硬化層を形成する刺激付与部と、上記硬化液体を上記移動体と記録媒体とで挟み込む挟込部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷版上のインク又は飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写する記録方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−212956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録媒体の表面性状を変更可能な被覆装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の被覆装置は、
周面が周回移動する移動体と、
上記移動体の周面に可視光に対して透明な固形粒子を供給する粒子供給部と、
特定の刺激が付与されることで硬化する硬化液体を、上記移動体の、上記固形粒子が供給された周面に層状に供給する液体供給部と、
上記液体供給部によって上記移動体の周面に供給された硬化液体に対して上記特定の刺激を付与することで硬化層を形成する刺激付与部と、
上記硬化液体を上記移動体と記録媒体とで挟み込む挟込部と、
を備えた被覆装置である。
【0006】
また、請求項2の被覆装置は、
上記移動体の周面のうち、上記粒子供給部によって上記固形粒子が供給される領域を制御する領域制御部を備えた被覆装置である。
【0007】
また、請求項3の被覆装置は、
上記粒子供給部によって供給される上記固形粒子の供給濃度を調整する濃度調整部を備えた被覆装置である。
【0008】
また、請求項4の被覆装置は、
上記粒子供給部が、
表面に画像が形成されてその画像を保持する画像保持部と、
上記画像保持部の表面に静電的な画像を形成する静電画像形成部と、
上記固形粒子を帯電させ、上記静電画像形成部によって形成された静電的な画像上にその固形粒子を電気的に付着させることで、その固形粒子によって描かれた粒子画像を形成する粒子画像形成部と、
上記粒子画像を上記画像保持部の表面から上記移動体の周面に転写させる転写部と、
を備えたものである。
【0009】
また、請求項5の被覆装置は、
上記粒子供給部が、
上記移動体の周面に上記固形粒子を付着させる付着剤をその移動体の周面に供給する付着剤供給部と、
上記移動体の周面に供給された付着剤上に上記固形粒子を付着させる粒子付着部と、
を備えたものである。
【0010】
請求項6の画像形成装置は、
周面が周回移動する移動体と、
上記移動体の周面に可視光に対して透明な固形粒子を供給する粒子供給部と、
特定の刺激が付与されることで硬化する硬化液体を、上記移動体の、上記固形粒子が供給された周面に層状に供給する液体供給部と、
上記液体供給部によって上記移動体の周面に供給された硬化液体に対して上記特定の刺激を付与することで硬化層を形成する刺激付与部と、
上記硬化液体を上記移動体と記録媒体とで挟み込む挟込部と、
上記記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えた画像形成装置である。
【0011】
また、請求項7の画像形成装置は、
上記画像記録部が、上記液体供給部によって層状に供給された硬化液体上に画像を形成し、その画像を、上記挟込部によって上記硬化液体が上記移動体と上記記録媒体とで挟み込まれる結果としてその記録媒体に記録するものである。
【0012】
また、請求項8の画像形成装置は、
上記硬化液体が、紫外線の照射によって硬化するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の被覆装置によれば、記録媒体の表面性状を変更することができる。
【0014】
請求項2の被覆装置によれば、記録媒体の表面性状を領域毎に変更することができる。
【0015】
請求項3の被覆装置によれば、表面性状の変更の強さを調整することができる。
【0016】
請求項4の被覆装置によれば、粒子供給部の構成が異なる場合と比較して、固形粒子を高精細に供給することができる。
【0017】
請求項5の被覆装置によれば、粒子供給部の構成が異なる場合と比較して、耐久性が高い。
【0018】
請求項6の画像形成装置によれば、記録媒体の表面性状を変更することができる。
【0019】
請求項7の画像形成装置によれば、硬化液体上に画像を形成しない場合と比較して、記録媒体の選択性が高い。
【0020】
請求項8の画像形成装置によれば、画像記録と表面性状の変更とを、同一硬化層の表裏で同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】中間転写ベルトの周面に転写された粒子画像に相当する固形粒子を示す模式図である。
【図3】液体層を示す模式図である。
【図4】液体層に対して紫外線が照射されている状態を示す模式図である。
【図5】記録媒体の表面が硬化層で被覆された状態を示す模式図である。
【図6】本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
図1に示す画像形成装置1は、ノズル、スリット、或いは多孔質フィルム等から液体インク或いは溶融固体インク(以下、この液体インク或いは溶融固体インクをインクと称する。)を吐出し、紙、布、フィルム等の記録媒体にインクで画像を形成する、いわゆるインクジェット記録方式の画像形成装置である。尚、インクを吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等といった、各種の方式を採用することができる。
【0025】
この画像形成装置1は、周面が矢印A方向に周回移動する中間転写ベルト11と、粒子供給部12と、液体供給部13と、画像形成部14と、挟込部15と、紫外線照射部16と、被覆部17と、中間転写ベルト除電装置18と、周面が矢印C方向に周回移動する記録媒体搬送ベルト19とを備えている。粒子供給部12、液体供給部13、画像形成部14、挟込部15、被覆部17、および中間転写ベルト除電装置18は、中間転写ベルト11の周囲に、中間転写ベルト11の周回移動方向(矢印A方向)における上流側からこの順に配置されている。また、紫外線照射部16は、中間転写ベルト11の内側かつ挟込部15および被覆部17と対向する位置に配置されている。また、記録媒体搬送ベルト19は、中間転写ベルト11の外側かつ挟込部15と対向する位置に配置されている。
【0026】
中間転写ベルト11は、ベルト支持ロール111,112,113,114によって支持された無端の帯状部材である。また、この中間転写ベルト11は、基部と、この基部の外面上に形成された離型層とを有する。尚、この中間転写ベルト11は、基部自体が離型性を有する材料であれば単層であってもよい。また、基部および離型層は、それぞれ複数層を有していてもよい。この離型層は、いわゆる離型性を有する材料の層である。このため、基部の外面の付着性よりも離型層の外面(表面)の付着性は大幅に低い。尚、離型層の外面が、中間転写ベルト11の周面であって、この周面は平滑面である。この中間転写ベルト11が、本発明にいう移動体の一例に相当する。
【0027】
上述したように、紫外線照射部16が中間転写ベルト11の内側に設けられているため、紫外線は中間転写ベルト11を透過した後に液体層41に対して照射される。尚、詳細な説明は後述するが、液体層41は、中間転写ベルト11の周面に層状に供給されてなる硬化液体40の層である。したがって、中間転写ベルト11の基部には、液体層41に効率よく紫外線を照射させるため、紫外線透過性の高い材料が用いられている。具体的には、中間転写ベルト11の基部の紫外線透過率は、硬化用光源のピーク波長領域において50%以上となっている。例えばUV−LED(ピーク波長385nm)を硬化用光源とした場合、385nmにおける透過率を測定した。透過率の測定には、日本分光株式会社の紫外可視分光光度計(型番V−560)を使用した。また、中間転写ベルト11の基部は、紫外線に対する耐久性も高い。
【0028】
中間転写ベルト11の基部の紫外線透過率が50%以上であることにより、硬化液体40の硬化反応に必要な紫外線エネルギーが効率よく液体層41に供給されると共に、中間転写ベルト11の基部が紫外線を吸収すること等による中間転写ベルト11の劣化が抑制される。このような中間転写ベルト11の基部を形成する材料としては、具体的には、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ポリイミドフィルム、ポリオレフィン系フィルム等が挙げられる。
【0029】
また、中間転写ベルト11の離型層に用いられる材料としては、例えば、フッ素系樹脂材料等が挙げられ、具体的には、例えば、フッ素樹脂、フッ素変性ウレタン及びシリコーン樹脂、共重合フッ素ゴム、フッ素樹脂−共重合ビニルエーテル、PFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合塗料)などの粉体塗料または樹脂チューブ、PTFE(4フッ化エチレン)塗料、PTFE分散ウレタン塗料、さらにETFE(ポリテトラフルオロエチレン)チューブ、PVdF(ポリビニリデンフルオライド)、PHV(ポリテトラフルオロビニリデン)樹脂材料等が挙げられる。この中でも、紫外線透過性の高い材料を用いることが好ましい。また、紫外線透過性の低い材料を用いる場合は、離型層の膜厚を薄くする方が好ましい。
【0030】
粒子供給部12は、中間転写ベルト11の周面に可視光に対して透明な固形粒子30を供給するものである。この粒子供給部12が、本発明にいう粒子供給部の一例に相当する。固形粒子30としては、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、PMMA、シリカ、二酸化チタン、アルミナ等の粒子が挙げられる。また、固形粒子30の粒子径は、例えば、10um〜50um程度が好ましい。
【0031】
液体供給部13は、紫外線が照射されることで硬化する硬化液体40を、中間転写ベルト11の周面に層状に供給することで液体層41を形成するものである。また、液体供給部13は、粒子供給部12よりも下流側で中間転写ベルト11の周面に、固形粒子30に重ねるようにして硬化液体40を層状に供給する。この液体供給部13が、本発明にいう液体供給部の一例に相当する。また、紫外線が、本発明にいう特定の刺激の一例に相当する。この液体供給部13としては、具体的には、例えば、公知の供給法(塗布法:例えば、ダイコータ、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)を利用した装置が適用される。ここで、硬化液体40には、紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化性材料に加え、後述する画像形成部14における4つのインクジェット記録ヘッド14Y,14M,14C,14Kから吐出されるインクを固定化する材料も含まれている。インクを固定化する材料は、例えば、インクに対して吸液性を有する吸液性材料であって、吸液性材料としては、例えば吸液樹脂や、表面親インク性を持たせた無機粒子等が挙げられる。
【0032】
画像形成部14は、液体供給部13によって形成された液体層41上にインクを吐出することによって、その液体層41上にインクで画像を形成するものである。より詳細には、互いに異なる色の画像形成を担う4つのインクジェット記録ヘッド14Y,14M,14C,14Kが中間転写ベルト11の周回移動方向(矢印A方向)に沿って配置されており、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および、ブラック(K)の各色のインクで画像を順次に重ねて形成する。これによりカラー画像が形成される。インクジェット記録ヘッド14Y,14M,14C,14Kとしては、具体的には、例えば、複数のノズルを中間転写ベルト11の周回移動方向(矢印A方向)と交わる方向に並べて配置した、画像が記録される記録媒体50の幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドや、中間転写ベルト11の周回移動方向(矢印A方向)と交わる方向に記録媒体50の幅と同等又はそれ以上の幅に亘って走査するキャリッジにインクジェット記録ヘッドを搭載したスキャン型インクジェット記録ヘッドなどが適用される。
【0033】
挟込部15は、加圧ロール171の圧力により、液体層41を、記録媒体50と中間転写ベルト11とで挟み込む。この挟込部15が、本発明にいう挟込部の一例に相当する。
【0034】
紫外線照射部16は、液体層41が挟込部15によって記録媒体50と中間転写ベルト11とで挟み込まれている状態で、中間転写ベルト11を透過してその液体層41に対して紫外線を照射することで硬化層42を形成するものである。この紫外線照射部16が、本発明にいう刺激付与部の一例に相当する。この紫外線照射部16としては、具体的には、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0035】
被覆部17は、記録媒体50の表面を硬化層42で被覆するものである。尚、被覆部17は、上述したように、紫外線照射部16と対向する位置に配置されており、被覆部17で記録媒体50の表面を被覆するときの硬化層42は、挟込部15によって記録媒体50と中間転写ベルト11とに挟み込まれた硬化層42である。被覆部17についてより詳細に説明すると、被覆部17は、記録媒体50を裏面側から加圧する、紫外線照射部16と対向する位置に配置された加圧ロール171と、加圧前後の記録媒体50を裏面側から支持する支持体172とを備えている。加圧ロール171で記録媒体50が裏面側から加圧された状態で、紫外線照射部16から液体層41に対して紫外線が照射される。これにより、液体層41が硬化して硬化層42となるときにその硬化層42が記録媒体50の表面に密着する。そのため、画像形成部14で形成された画像は、挟込部15によって液体層41が中間転写ベルト11と記録媒体50とで挟み込まれる結果として記録媒体50に記録されることとなる。その後、記録媒体50が挟込部15を通過すると硬化層42は、密着した記録媒体50側に強く引き付けられる。一方で、離型層を有する中間転写ベルト11への付着性は低いため、硬化層42は中間転写ベルト11から分離され、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆される。画像形成部14と紫外線照射部16と挟込部15とを組み合わせたものが、本発明にいう画像記録部の一例に相当する。
【0036】
中間転写ベルト除電装置18は、後述する転写部125による電界転写の前に、中間転写ベルト11の周面を除電することでその周面を電気的に整えるものである。
【0037】
記録媒体搬送ベルト19は、ベルト支持ロール191,192,193,194によって支持された無端の帯状部材である。記録媒体搬送ベルト19は、記録媒体50を搬送して挟込部15を通過させる。
【0038】
粒子供給部12は、図1に示すように、感光体121と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置124と、転写部125と、感光体除電装置126とを備えている。
【0039】
粒子供給部12の感光体121は、円筒状の表面を有しており、円筒の軸周りである矢印B方向に回転し、その表面に画像が形成されてその画像を保持するものである。この感光体121が、本発明にいう画像保持部の一例に相当する。
【0040】
粒子供給部12の帯電器122は、感光体121の表面を帯電させるものである。また、粒子供給部12の露光装置123は、外部から供給される画像信号に基づく露光光を感光体121に照射することによって、帯電器122で帯電させた感光体121の表面を露光し、感光体121の表面に静電的な画像を形成するものである。尚、ここで形成される静電的な画像とは、記録媒体50表面に形成される、マットや光沢やエンボスなどといった表面性状に相当する凹凸パターンを表した画像である。このような画像の形成領域が露光装置123等によって制御されることにより、中間転写ベルト11の周面のうち、粒子供給部12によって固形粒子30が供給される領域が制御される。すなわち、表面性状が変更される領域が制御される。この帯電器122と露光装置123とを組み合わせたものが、本発明にいう静電画像形成部の一例に相当するとともに、領域制御部の一例にも相当する。
【0041】
粒子供給部12の現像装置124は、固形粒子30を内蔵し、内部で攪拌することで、固形粒子30を帯電させている。この現像装置124は、帯電器122および露光装置123によって形成された静電的な画像上に固形粒子30を電気的に付着させることで、固形粒子30によって描かれた粒子画像を形成する。上述したように、固形粒子30は可視光に対して透明な粒子であるため、ここでいう粒子画像は、目視することの難しい画像であって、現像装置124はいわゆる現像を行ってはいないが、この現像装置124は、従来より知られている電子写真技術における現像装置と同様に構成されたものであるため、ここの説明では、粒子画像を形成する装置を現像装置と称している。この現像装置124が、本発明にいう粒子画像形成部の一例に相当する。また、この現像装置124は、現像装置124の現像バイアス電圧をコントロールする現像バイアス電圧コントロール部1241を有しており、この現像バイアス電圧コントロール部1241が、粒子供給部12によって供給される固形粒子30の供給濃度を調整する。より詳細には、現像バイアス電圧を大きくすることで、粒子供給部12によって供給される固形粒子30の供給濃度が上昇し、現像バイアス電圧を小さくすることで、粒子供給部12によって供給される固形粒子30の供給濃度が低下する。このような供給濃度の調整は、即ち、記録媒体50の表面性状に相当する凹凸の強さを調整することになる。この現像バイアス電圧コントロール部1241が、本発明にいう濃度調整部の一例に相当する。
【0042】
粒子供給部12の転写部125は、中間転写ベルト11の周面を帯電させ、粒子画像を感光体121の表面から中間転写ベルト11の周面に電界転写させるものである。この転写部125が、本発明にいう転写部の一例に相当する。
【0043】
粒子供給部12の感光体除電装置126は、粒子画像の転写後、感光体121の表面を除電するものである。これにより、感光体121の表面に形成された静電的な画像が消去される。
【0044】
以上説明した画像形成装置1のうちの、中間転写ベルト11と粒子供給部12と液体供給部13と紫外線照射部16と挟込部15とを組み合わせたものが、本発明の被覆装置の一実施形態である。
【0045】
以下、図1に示す画像形成装置1の動作を説明する。
【0046】
感光体121が矢印B方向に回転駆動され、感光体121の表面に帯電器122によって電荷が付与される。
【0047】
次に、露光装置123が、外部から供給される画像信号に基づく露光光を感光体121に照射する。これにより、感光体121の表面が露光され、固形粒子30が供給される中間転写ベルト11周面の領域に相当する感光体121表面の領域に静電的な画像が形成される。これにより、中間転写ベルト11の周面のうち、固形粒子30が供給される領域が決まる。
【0048】
次に、感光体121の表面に形成された静電的な画像上に、現像装置124で帯電させられた、可視光に対して透明な固形粒子30が電気的に付着させられる。これにより、感光体121の表面に固形粒子30によって描かれた粒子画像が形成される。また、このとき、上述したように、現像バイアス電圧コントロール部1241で現像装置124の現像バイアス電圧がコントロールされ、供給される固形粒子30の供給濃度が調整されることで、記録媒体50の表面性状に相当する凹凸の強さが調整される。
【0049】
感光体121の表面に形成された粒子画像は、転写部125によって中間転写ベルト11の周面に電界転写される。
【0050】
粒子画像の転写後、感光体除電装置126により感光体121の表面が除電され、感光体121の表面に形成された静電的な画像が消去される。
【0051】
このように、粒子供給部12として、従来より知られている電子写真技術を応用することにより、固形粒子30が高精細に供給され、上述した表面性状の凹凸パターンが高精細に描かれる。
【0052】
図2は、中間転写ベルト11の周面に転写された粒子画像に相当する固形粒子30を示す模式図である。
【0053】
中間転写ベルト11の周面に転写された粒子画像に相当する固形粒子30は、図2に示すように、中間転写ベルト11の平滑な周面に接触し、これにより、中間転写ベルト11の周面に粒子画像が保持される。なお、ここでは、固形粒子30が1列に整列しているように描写されているが、これはあくまでも模式的な描写であって、固形粒子30の供給濃度によっては、固形粒子30がまばらで相互間に隙間を生じたり、あるいは、固形粒子30の列の上に他の固形粒子30が乗ったりする場合がある。
【0054】
図1に戻って、画像形成装置1の動作の説明を続ける。
【0055】
中間転写ベルト11は、ベルト支持ロール111,112,113,114に支持された状態で粒子画像の転写を受けながら矢印A方向に周回移動する。この周回移動によって、中間転写ベルト11の周面上の粒子画像(固形粒子30)は、矢印A方向へと搬送されていく。
【0056】
そのように粒子画像を搬送してきた中間転写ベルト11の周面上に液体供給部13によって硬化液体40が層状に供給されることで液体層41が形成される。
【0057】
図3は、液体層41を示す模式図である。
【0058】
中間転写ベルト11の周面には、固形粒子30に重ねるようにして硬化液体40が層状に供給され、図3にハッチングで示す液体層41が形成される。このとき、液体層41の硬化液体40は、固形粒子30の相互間にある程度は浸みて相互間を埋めるが、固形粒子30と中間転写ベルト11の周面との間Dまでは浸み込まない。
【0059】
図1に戻って、画像形成装置1の動作の説明を続ける。
【0060】
中間転写ベルト11の周面に液体層41が形成された後、画像形成部14における4つのインクジェット記録ヘッド14Y,14M,14C,14Kから、液体層41上にインクが吐出されることによって、その液体層41上にインクで画像が形成される。そのように画像が形成された液体層41は、中間転写ベルト11の周回移動によって挟込部15へと送られる。
【0061】
一方、図示は省略するが、画像が記録される記録媒体50が、記録媒体収容器から取り出されて挟込部15まで搬送されてくる。この記録媒体50は、記録媒体搬送ベルト19の周面上に保持されて搬送され、記録媒体搬送ベルト19の周回移動に伴って挟込部15を通過する。
【0062】
液体層41は挟込部15で、加圧ロール171の圧力により、搬送される記録媒体50と中間転写ベルト11とで挟み込まれる。このとき、その液体層41の、画像形成部14によってインクで画像が形成された面が、記録媒体50の表面と接触し、加圧ロール171により、記録媒体50が裏面側から加圧され、液体層41と記録媒体50が密着する。
【0063】
液体層41が記録媒体50と中間転写ベルト11とで挟み込まれるとともに記録媒体50が裏面側から加圧されている状態で、紫外線照射部16から、中間転写ベルト11を透過して液体層41に対して紫外線が照射される。これにより、硬化層42が形成される。そして、被覆部17により、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆される。
【0064】
図4は、液体層41に対して紫外線が照射されている状態を示す模式図である。
【0065】
液体層41の、記録媒体50の表面501と接触する接触面411には、画像形成部14によってインク141で画像が形成されている。紫外線照射部16から照射された紫外線161は、中間転写ベルト11を透過し、液体層41に供給されて硬化層42(図1参照)が形成される。上述したように、中間転写ベルト11の基部の紫外線透過率は50%以上となっているため、硬化液体40の硬化反応に必要な紫外線エネルギーが効率よく液体層41に供給される。
【0066】
また、上述したように、液体層41は記録媒体50に密着しているので、液体層41が硬化した硬化層42も記録媒体50に密着する。液体層41の、記録媒体50の表面501と接触する接触面411には、画像形成部14によってインク141で画像が形成されているため、画像形成部14で形成された画像は、挟込部15によって液体層41が中間転写ベルト11と記録媒体50とで挟み込まれる結果として記録媒体50に記録されることとなる。そして、インク141の画像は記録媒体50に、硬化層42によって保護された状態で安定して記録される。このような画像記録の安定性は、硬化層42と記録媒体50の密着性に依存し、インク141には依存しない。このため、この画像記録は記録媒体50の選択の自由度が高い。
【0067】
紫外線161の照射後、記録媒体50および硬化層42は、記録媒体搬送ベルト19(図1参照)と中間転写ベルト11の移動に伴って、挟込部15(図1参照)を通過する。そして、硬化層42は中間転写ベルト11から分離され、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆される。
【0068】
図5は、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆された状態を示す模式図である。
【0069】
上述したように、中間転写ベルト11には離型層が形成されているため、記録媒体50が挟込部15を通過した時点で硬化層42が中間転写ベルト11から分離され、硬化層42は、図5に示すように中間転写ベルト11の周面から記録媒体50の表面501に転写される。記録媒体50の表面501に転写されその表面501を被覆する硬化層42の表面には、固形粒子30が存在することとなる。より詳しくは、液体層41は、可視光に対して透明な固形粒子30と中間転写ベルト11の周面との間D(図3参照)までは浸み込まないことから、その液体層41が硬化してなる硬化層42の表面に、固形粒子30の表面が露出することとなる。また、液体層41は、上述したように、固形粒子30の相互間にある程度は浸みて相互間を埋めるため、その液体層41が硬化してなる硬化層42に固形粒子30が一体化される。そして、上述したように、中間転写ベルト11の周面が平滑面であるため、記録媒体50を被覆する硬化層42の表面のうちの固形粒子30によって描かれた粒子画像が存在しない領域421は、中間転写ベルト11の平滑な周面が写し取られて高グロスの光沢面となる。一方、記録媒体50を被覆する硬化層42の表面のうちの固形粒子30によって描かれた粒子画像が存在する領域422は、その固形粒子30が露出していることによって凹凸面となる。すなわち、記録媒体50表面の表面に凹凸が固形粒子30によって形成され、その凹凸による表面乱反射により、マットやエンボスなどといった表面性状となる。また、固形粒子30と硬化層42の屈折率差によっても、マットやエンボスなどといった表面性状となる。表面性状は、固形粒子30の大きさや固形粒子30の濃度や固形粒子30による凹凸パターンの粗さによって、マットとなるかエンボスとなるかが決まる
図1に戻って、画像形成装置1の動作の説明を続ける。
【0070】
画像が記録された記録媒体50は、記録媒体搬送ベルト19によって搬送され、その後は図示は省略するが、装置外へと排出される。
【0071】
また、中間転写ベルト11の周面は、硬化層42が転写された後で中間転写ベルト除電装置18により除電され、その周面が電気的に整えられる。
【0072】
以上で、本発明の画像形成装置の第1実施形態の説明を終了し、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
【0073】
尚、以下説明する第2実施形態は、粒子供給部が上述した第1実施形態とは異なる。また、中間転写ベルト除電装置18に替えてクリーニング部28を備えている。
【0074】
以下、第1実施形態における要素と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0075】
図6は、本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【0076】
図6に示す画像形成装置2も、図1に示す画像形成装置1と同様に、インクジェット記録方式の画像形成装置である。
【0077】
この画像形成装置2は、周面が矢印A方向に周回移動する中間転写ベルト11と、粒子供給部22と、液体供給部13と、画像形成部14と、挟込部15と、紫外線照射部16と、被覆部17と、クリーニング部28と、周面が矢印C方向に周回移動する記録媒体搬送ベルト19とを備えている。粒子供給部22、液体供給部13、画像形成部14、挟込部15、被覆部17、およびクリーニング部28は、中間転写ベルト11の周囲に、中間転写ベルト11の周回移動方向(矢印A方向)における上流側からこの順に配置されている。また、紫外線照射部16は、中間転写ベルト11の内側かつ挟込部15および被覆部17と対応する位置に配置されている。また、記録媒体搬送ベルト19は、中間転写ベルト11の外側かつ挟込部15と対向する位置に配置されている。
【0078】
粒子供給部22は、中間転写ベルト11の周面に可視光に対して透明な固形粒子30を供給するものである。この粒子供給部22が、本発明にいう粒子供給部の一例に相当する。
【0079】
クリーニング部28は、被覆部17による被覆の後に、中間転写ベルト11の周面に残留した付着剤60を除去するものである。
【0080】
粒子供給部22は、図6に示すように、付着剤供給部221と、固形粒子保持部222と、現像装置223とを備えている。
【0081】
粒子供給部22の付着剤供給部221は、中間転写ベルト11の周面に固形粒子30を付着させる付着剤60を中間転写ベルト11の周面に塗布して供給するものである。この付着剤60が塗布された領域が、後で説明するように、中間転写ベルト11の周面のうち、粒子供給部22によって固形粒子30が供給される領域である。すなわち、表面性状が変更される領域が制御される。この付着剤供給部221が、本発明にいう付着剤供給部の一例に相当するとともに、および領域制御部の一例にも相当する。
【0082】
付着剤供給部221としては、具体的には、例えば、インクを吐出することによってインクで画像を形成するインクジェット記録ヘッドの技術が適用される。また、付着剤60としては、具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール(分子量1000以上)、ポリ(オキシエチレン−オキシプロエピレン)誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0083】
また、付着剤60としては、紫外線の照射を受けても硬化しないとともに紫外線透過性の高い材料が用いられている。また、付着剤60は、中間転写ベルト11の周面(離型層の外面)に対する付着性よりも固形粒子30に対する付着性が低い。
【0084】
粒子供給部22の固形粒子保持部222は、円筒状の表面を有しており、円筒の軸周りである矢印E方向に回転し、その表面に固形粒子30が供給されてその固形粒子30を保持するものである。固形粒子保持部222としては、具体的には、例えば、表面層にPFAなど低表面エネルギーのフィルムを使用する。このような固形粒子保持部222は、第1実施形態の粒子供給部12で用いる感光体121よりも耐摩耗性に優れるものであるため、信頼性が高い。また、粒子供給部22の現像装置223は、固形粒子30を内蔵し、内部で攪拌することで、固形粒子30を帯電させている。この現像装置223は、固形粒子保持部222の表面全体に固形粒子30を均等に供給し電気的に付着させる。固形粒子保持部222の表面には、画像は形成されないので、第2実施形態における現像装置223もいわゆる現像を行ってはいないが、この現像装置223も、従来より知られている電子写真技術における現像装置と同様に構成されたものであるため、現像装置と称している。このようにして固形粒子保持部222の表面に電気的に付着した固形粒子30は、中間転写ベルト11の周面に達すると、中間転写ベルト11の周面に付着剤60が供給された領域では、その付着剤60上に付着する。すなわち、付着剤60が塗布されている領域には固形粒子保持部222の表面から中間転写ベルト11の周面に固形粒子30が供給される。また、付着剤60に付着しなかった固形粒子30は、固形粒子保持部222の表面に保持され続け、固形粒子保持部222の回転に伴って、現像装置223の方へと戻る。そして、その固形粒子30は、現像装置223による新たな固形粒子30の付着に伴ってその新たな固形粒子30と混ざり合う。この固形粒子保持部222と現像装置223とを組み合わせたものが、本発明にいう粒子付着部の一例に相当する。尚、この現像装置223も、第1実施形態における現像装置124と同様に、現像装置223の現像バイアス電圧をコントロールする現像バイアス電圧コントロール部2231を有しており、この現像バイアス電圧コントロール部2231が、粒子供給部22によって供給される固形粒子30の供給濃度を調整することで、記録媒体50の表面性状に相当する凹凸の強さが調整されることになる。この現像バイアス電圧コントロール部2231も、本発明にいう濃度調整部の一例に相当する。
【0085】
図6に示すような、付着剤供給部221と固形粒子保持部222と現像装置223とを備えている粒子供給部22は、図1に示すような、感光体121と帯電器122と露光装置123と現像装置124と転写部125と感光体除電装置126とを備えている粒子供給部12と比較して構造が簡素であり、耐久性が高い。
【0086】
以上説明した画像形成装置2のうちの、中間転写ベルト11と粒子供給部22と液体供給部13と紫外線照射部16と挟込部15とを組み合わせたものが、本発明の被覆装置の一実施形態である。
【0087】
以下、図6に示す画像形成装置2の動作を説明する。
【0088】
中間転写ベルト11は、ベルト支持ロール111,112,113,114に支持され、周面が矢印A方向に周回移動している。
【0089】
付着剤供給部221によって、中間転写ベルト11の周面に固形粒子30を付着させる付着剤60が中間転写ベルト11の周面に塗布して供給される。これにより、中間転写ベルト11の周面のうち、固形粒子30が供給される領域が決まる。すなわち、表面性状が変更される領域が制御され、記録媒体の表面性状が領域毎に変更される。中間転写ベルト11の周面に供給された付着剤60は、中間転写ベルト11の周回移動によって矢印A方向へと搬送されていく。
【0090】
一方、矢印E方向に回転駆動している固形粒子保持部222の表面全体に、現像装置223で帯電させられた、可視光に対して透明な固形粒子30を均等に供給し電気的に付着させる。また、このとき、上述したように、現像バイアス電圧コントロール部2231で現像装置223の現像バイアス電圧がコントロールされ、固形粒子30の供給濃度が調整されることで、記録媒体50の表面性状に相当する凹凸の強さが調整される。
【0091】
次に、固形粒子保持部222の表面に電気的に付着した固形粒子30は、中間転写ベルト11の周面に供給された付着剤60上に付着する。すなわち、付着剤60が塗布されている領域には固形粒子保持部222の表面から中間転写ベルト11の周面に固形粒子30が供給される。中間転写ベルト11の周面に供給された固形粒子30は、付着剤60上に付着した状態で、中間転写ベルト11の周回移動によって矢印A方向へと搬送されていく。
【0092】
次に、そのように固形粒子30を搬送してきた中間転写ベルト11の周面上に、液体供給部13によって、硬化液体40が層状に供給されることで液体層41が形成される。中間転写ベルト11の周面のうちの固形粒子30が供給された周面には、固形粒子30に重ねるようにして硬化液体40が層状に供給され、液体層41が形成される。このとき、液体層41の硬化液体40は、固形粒子30の相互間にある程度は浸みて相互間を埋めるが、固形粒子30と中間転写ベルト11の周面との間には付着剤60が存在するので硬化液体40は浸み込まない。
【0093】
中間転写ベルト11の周面に液体層41が形成された後、第1実施形態における画像形成部14による動作と同様に、画像形成部14によって、その液体層41上にインクで画像が形成される。そのように画像が形成された液体層41は、中間転写ベルト11の周回移動によって挟込部15へと送られる。
【0094】
一方、図示は省略するが、画像が記録される記録媒体50が、記録媒体収容器から取り出されて挟込部15まで搬送されてくる。この記録媒体50は、記録媒体搬送ベルト19の周面上に保持されて搬送され、記録媒体搬送ベルト19の周回移動に伴って挟込部15を通過する。
【0095】
液体層41は挟込部15で、加圧ロール171の圧力により、搬送される記録媒体50と中間転写ベルト11とで付着剤60ごと挟み込まれる。このとき、その液体層41の、画像形成部14によってインクで画像が形成された面が、記録媒体50の表面と接触し、加圧ロール171により、記録媒体50が裏面側から加圧され、液体層41と記録媒体50が密着する。
【0096】
液体層41が付着剤60ごと記録媒体50と中間転写ベルト11とで挟み込まれるとともに記録媒体50が裏面側から加圧されている状態で、紫外線照射部16から、中間転写ベルト11および付着剤60を透過して液体層41に対して紫外線が照射される。これにより、硬化層42が形成される。そして、被覆部17により、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆される。尚、上述したように、付着剤60は紫外線が照射されても硬化しない。
【0097】
また、上述したように、液体層41は記録媒体50に密着しているので、液体層41が硬化した硬化層42も記録媒体50に密着する。液体層42の、記録媒体50の表面と接触する接触面には、画像形成部14によってインクで画像が形成されているため、画像形成部14で形成された画像は、挟込部15によって液体層41が中間転写ベルト11と記録媒体50とで挟み込まれる結果として記録媒体50に記録されることとなる。そして、インクの画像は記録媒体50に、硬化層42によって保護された状態で安定して記録される。
【0098】
紫外線161の照射後、記録媒体50、付着剤60、および硬化層42は、記録媒体搬送ベルト19と中間転写ベルト11の移動に伴って、挟込部15を通過する。そして、硬化層42は中間転写ベルト11から分離され、記録媒体50の表面が硬化層42で被覆される。
【0099】
上述したように、中間転写ベルト11には離型層が形成されているため、記録媒体50が挟込部15を通過した時点で硬化層42が中間転写ベルト11から分離され、硬化層42は、中間転写ベルト11の周面から記録媒体50の表面に転写される。また、上述したように、付着剤60は、中間転写ベルト11の周面(離型層の外面)に対する付着性よりも固形粒子30に対する付着性が低いため、付着剤60は、固形粒子30からは剥がされて中間転写ベルト11の周面に保持され続け、固形粒子保持部222の周回移動に伴って、クリーニング部28の方へと搬送されていく。従って、記録媒体50の表面に転写されその表面を被覆する硬化層42の表面には、固形粒子30の表面が露出することとなる。そして、上述したように、中間転写ベルト11の周面が平滑面であるため、固形粒子30が付着されなかった領域(即ち、付着剤60が塗布されなかった領域)では表面性状が光沢となる。一方、固形粒子30が付着された領域(即ち、付着剤60が塗布された領域)では表面性状がマットやエンボスとなる。
【0100】
画像が記録された記録媒体50は、記録媒体搬送ベルト19によって搬送され、その後は図示は省略するが、装置外へと排出される。
【0101】
また、被覆部17による被覆の後に、クリーニング部28により、中間転写ベルト11の周面に残留した付着剤60が除去される。これにより、不要な領域への付着剤60の付着が回避される。
【0102】
尚、上述した各実施形態では、本発明にいう移動体が、中間転写ベルトである例を挙げて説明したが、本発明にいう移動体は、これに限られるものではなく、周面が周回移動するものであればよく、例えばロールなどであってもよい。
【0103】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう硬化液体が、紫外線の照射によって硬化するものである例を挙げて説明したが、本発明にいう硬化液体は、これに限られるものではなく、例えば電子線や熱の付与によって硬化するものなどであってもよい。
【0104】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう画像記録部が、液体供給部によって層状に供給された硬化液体上にインクを吐出することによってインクで画像を形成し、その画像を、挟込部によって液体層が中間転写ベルトと記録媒体とで挟み込まれる結果としてその記録媒体に記録するものである例を挙げて説明したが、本発明にいう画像記録部は、これに限られるものではなく、記録媒体に画像を記録するものであればよく、例えば、電子写真方式で記録媒体に画像を記録してもよい。尚、この場合は、電子写真方式で記録媒体に予め画像を記録しておき、その記録媒体の画像が記録された面を硬化層で被覆する。
【符号の説明】
【0105】
1,2 画像形成装置
11 中間転写ベルト
111,112,113,114 ベルト支持ロール
12,22 粒子供給部
121 感光体
122 帯電器
123 露光装置
124,223 現像装置
1241,2231 現像バイアス電圧コントロール部
125 転写部
126 感光体除電装置
221 付着剤供給部
222 固形粒子保持部
13 液体供給部
14 画像形成部
141 インク
15 挟込部
16 紫外線照射部
161 紫外線
17 被覆部
171 加圧ロール
172 支持体
18 中間転写ベルト除電装置
19 記録媒体搬送ベルト
191,192,193,194 ベルト支持ロール
28 クリーニング部
30 固形粒子
40 硬化液体
41 液体層
411 接触面
42 硬化層
421,422 領域
50 記録媒体
501 表面
60 付着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面が周回移動する移動体と、
前記移動体の周面に可視光に対して透明な固形粒子を供給する粒子供給部と、
特定の刺激が付与されることで硬化する硬化液体を、前記移動体の、前記固形粒子が供給された周面に層状に供給する液体供給部と、
前記液体供給部によって前記移動体の周面に供給された硬化液体に対して前記特定の刺激を付与することで硬化層を形成する刺激付与部と、
前記硬化液体を前記移動体と記録媒体とで挟み込む挟込部と、
を備えたことを特徴とする被覆装置。
【請求項2】
前記移動体の周面のうち、前記粒子供給部によって前記固形粒子が供給される領域を制御する領域制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の被覆装置。
【請求項3】
前記粒子供給部によって供給される前記固形粒子の供給濃度を調整する濃度調整部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の被覆装置。
【請求項4】
前記粒子供給部が、
表面に画像が形成されて該画像を保持する画像保持部と、
前記画像保持部の表面に静電的な画像を形成する静電画像形成部と、
前記固形粒子を帯電させ、前記静電画像形成部によって形成された静電的な画像上に該固形粒子を電気的に付着させることで、該固形粒子によって描かれた粒子画像を形成する粒子画像形成部と、
前記粒子画像を前記画像保持部の表面から前記移動体の周面に転写させる転写部と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の被覆装置。
【請求項5】
前記粒子供給部が、
前記移動体の周面に前記固形粒子を付着させる付着剤を該移動体の周面に供給する付着剤供給部と、
上記移動体の周面に供給された付着剤上に前記固形粒子を付着させる粒子付着部と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の被覆装置。
【請求項6】
周面が周回移動する移動体と、
前記移動体の周面に可視光に対して透明な固形粒子を供給する粒子供給部と、
特定の刺激が付与されることで硬化する硬化液体を、前記移動体の、前記固形粒子が供給された周面に層状に供給する液体供給部と、
前記液体供給部によって前記移動体の周面に供給された硬化液体に対して前記特定の刺激を付与することで硬化層を形成する刺激付与部と、
前記硬化液体を前記移動体と記録媒体とで挟み込む挟込部と、
前記記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像記録部が、前記液体供給部によって層状に供給された硬化液体上に画像を形成し、該画像を、前記挟込部によって前記硬化液体が前記移動体と前記記録媒体とで挟み込まれる結果として該記録媒体に記録するものであることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記硬化液体が、紫外線の照射によって硬化するものであることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−126008(P2012−126008A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279348(P2010−279348)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】