説明

被覆農薬を含有する粉状組成物

【課題】粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆されてなる被覆農薬を含む、粉粒体としての流動性が良好である粉状組成物を提供すること。
【解決手段】(a)粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆され、体積中位径が10〜200μmである被覆農薬、並びに(b)見掛け比重が0.6g/ml以下であり、アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉から実質的になる粉状組成物であり、(a)と(b)との重量比が100:0.1〜100:30である粉状組成物であって、好ましくは熱硬化性樹脂がウレタン樹脂及び/又は尿素樹脂であり、該酸化物微粉の見掛け比重が0.01〜0.3g/mlである粉状組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂で被覆されてなる被覆農薬を含有する粉状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬効の持続、薬害の軽減等を目的として、農薬活性化合物を徐放化することのできる農薬製剤が各種提案され、農薬活性化合物を含有する農薬粒剤が熱硬化性樹脂で被覆された平均粒径が0.5mm以上の被覆農薬粒剤の粒状組成物(例えば、特許文献1を参照)や、農薬活性化合物等の液状の疎水性芯物質が熱硬化性樹脂で被覆された平均粒径が1〜50μmのマイクロカプセルの粉状組成物が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−005704号公報
【特許文献2】特開2002−249402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱硬化性樹脂で被覆されてなる被覆農薬について検討していたところ、粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆されてなる被覆農薬は流動性が不良であり、ホッパー等の容器からの排出時にブリッヂングが生じたり、配管内で詰まりを生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者が鋭意検討したところ、粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆されてなり、体積中位径が10〜200μmの被覆農薬に特定の比率で特定の金属の酸化物微粉を配合した粉状組成物において、粉粒体としての流動性が良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
(a)粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆され、体積中位径が10〜200μmである被覆農薬、並びに
(b)見掛け比重が0.6g/ml以下であり、アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉
から実質的になる粉状組成物であり、(a)と(b)との重量比が100:0.1〜100:30である粉状組成物。
[発明2]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂及び/又は尿素樹脂であることを特徴とする発明1記載の粉状組成物
[発明3]
被覆農薬の体積中位径が10〜100μmである発明1又は2記載の粉状組成物。
[発明4]
アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉の見掛け比重が0.01〜0.3g/mlである発明1〜3のいずれか記載の粉状組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の被覆農薬を含有する粉状組成物は、粉粒体として流動性が良好であり、製剤製造時における機器間の移送の際に詰まりを生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の粉状組成物における、粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆されてなる体積中位径が10〜200μmの被覆農薬(以下、本被覆農薬と記す。)は、熱硬化性樹脂の被覆の内側に粉状農薬を保持してなる被覆農薬の粒子であり、通常は熱硬化性樹脂をバインダーとして粉状農薬を固めた核の周囲に、熱硬化性樹脂の被覆層を有する粒子である。
本発明において、本被覆農薬の製造に用いられる粉状農薬は、粉末状の農薬活性化合物の単独でもよいが、通常は農薬活性化合物と希釈担体とを含有する粉末状組成物であり、好ましくは実質的に農薬活性化合物と希釈担体とからなる組成物である。
本発明において用いられる農薬活性化合物としては、常温(20℃)において固体状、好ましくは50℃において固体状である、殺虫化合物、殺菌化合物、除草化合物、昆虫成長制御化合物、植物成長制御化合物等を挙げることができ、例えば次に示す化合物を具体的に挙げることができる。
【0008】
殺虫化合物としては、デルタメトリン、トラロメトリン、アクリナトリン、テトラメトリン等のピレスロイド系化合物;プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物;アセフェート、トリクロルホン、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ピリダフェンチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル等の有機リン系化合物;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物;イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、ジアクロデン等のクロロニコチル系化合物;カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド、ミルベメクチン、アベルメクチン、ホウ酸、パラジクロロベンゼン等を挙げることができる。
【0009】
殺菌化合物としては、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、トリフルザミド等のカルボキシアミド系化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF−126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、CGA245704、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、3−アイオド−2−プロピルブチルカーバメイト、パラヒドロキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。
【0010】
除草化合物としては、アトラジン、メトリブジン等のトリアジン系化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア系化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル系化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6―ジニトロアニリン系化合物;2,4−D、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリロキシアルカノイック酸系化合物;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア系化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン系化合物;ビスピリバックNa塩、ビスチオバックNa塩、アシフルオルフェンNa塩、サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ−p−エチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート、ベンタゾン、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン等を挙げることができる。
【0011】
植物成長調節化合物としては、マレイックヒドラジド、クロルメカット、エテフォン、ジベレリン、メピカットクロライド、チジアズロン、イナベンファイド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール等を挙げることができる。昆虫忌避剤としては、1S,3R,4R,6R−カラン−3、4−ジオール、ジプロピル 2,5−ピリジンジカルボキシレート等を挙げることができる。
【0012】
本発明において、粉状農薬が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である場合、粉状農薬に対して農薬活性化合物の量は通常1〜95重量%、好ましくは10〜90重量%であり、希釈粉体の量は本粉状農薬に対して通常5〜99%、好ましくは10〜90%である。
【0013】
粉状農薬は通常、体積中位径が1〜100μm、好ましくは1〜30μmの粒子である。本発明において、粉状農薬の体積中位径はMALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機によって測定することができる。
【0014】
本発明において用いられる熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、尿素樹脂、ウレタン−尿素樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。本発明においては、熱硬化性樹脂としてはウレタン樹脂及び/又は尿素樹脂が好ましく、ウレタン樹脂が更に好ましい。
【0015】
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアナートとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを、例えば40〜100℃に加熱して反応させることにより生成する。その際、必要により有機金属やアミン等の硬化触媒の存在下に反応させる場合もある。
ポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、通常、ポリオールと二塩基酸との縮合反応によって得られる。ポリエーテルポリオールは、通常、多価アルコール等にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合によって得られる。ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、通常、ポリ(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、または、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合反応によって得られる。ラクトン系ポリエステルポリオールは多価アルコールを開始剤とするε−カプロラクトンの開環重合によって得られる。ポリカーボネートポリオールは、通常、グリコールとカーボネートとの反応によって得られ、ポリオールとしては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレンジオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、および.これらのオリゴマー等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、及び、これらの混合物等が挙げられる。なお、上記のポリイソシアネートモノマーに代えて、流動性を有する限りにおいて、これらの変性体やオリゴマーを用いることもできる。変性体としては、アダクト変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ブロック変性体、プレポリマー変性体、2量化変性体等が挙げられる。アニリンとホルマリンの縮合によりポリアミンを経て、これをホスゲン化して得られるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)が、反応制御が容易である点ならびに蒸気圧が低く作業性に優れる点で好ましい。
必要により用いられる硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオ錫酸、オクチル酸第一錫、ジ−n−オクチル錫ジラウレートなどの有機金属、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。ウレタン樹脂の原料であるポリイソシアネートとポリオールは通常モノマー単独で使用される。
本発明において、好ましくはウレタン樹脂の原料であるポリオールの粘度は1000mPa・s以下、更に好ましくは800mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)であり、ポリイソシアネートの粘度は300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)である。
【0016】
尿素樹脂は、ポリアミンとポリイソシアナートとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。
ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネートが挙げられる。ポリアミンとしては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラアミン等が挙げられる。
ウレタン−尿素樹脂は、ポリイソシアネートと、ポリオールおよびポリアミンとを液状原料とする熱硬化性樹脂である。
【0017】
本発明において、本被覆農薬を製造する方法を、熱硬化性樹脂がウレタン樹脂である場合を例として、以下に説明する。
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂である本被覆農薬は、通常、(1)粉状農薬とポリオールとを混合する工程、(2)前工程で得られた混合物にポリイソシアネートを添加する工程、(3)ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで、粉状農薬をウレタン樹脂で固められた凝集物を得る工程、及び、(4)前工程で得られた粉状農薬の凝集物にポリオールおよびポリイソシアネートを同時又は順次加え、該ポリオールと該ポリイソシアネートとを反応させて、該凝集物をウレタン樹脂で被覆する工程、を備える。工程(1)においては、通常、容器内にて流動又は転動状態にある粉状農薬にポリオールを添加して、粉状農薬とポリオールとを容器内で混合する。工程(2)においては、通常、容器内で流動又は転動状態にある、前工程で得られた混合物にポリイソシアネートを添加する。工程(3)においては、通常、前工程にて得られた混合物に回転する羽根等で適度なせん断力を与えながら、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタン樹脂を硬化させることで、粉状農薬がウレタン樹脂を介在した凝集物を得る。尚、粉状農薬の量に対して、添加されたウレタン樹脂の量が少ない場合は、工程(1)〜(3)を適度に繰り返して、凝集物を得る。次いで、工程(4)において、通常、前工程で得られた凝集物を容器内にて流動又は転動させながら、ポリオール及びポリイソシアネートを同時又は順次加え、得られた混合物に回転する羽根等で適度なせん断力を与えながら、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて、該凝集物をウレタン樹脂で被覆する。また、工程(4)はウレタン樹脂の適度な厚みの被膜が得られるまで、必要により複数回繰り返される。
【0018】
上記の本被覆農薬の製造方法において、工程(1)等で粉状農薬を流動又は転動状態にさせておくための容器としては、適当な攪拌手段を備えたパン型又はドラム型形状の容器が挙げられる。工程(1)〜(4)は通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃の窒素雰囲気下にて行われる。工程(3)において、ウレタン樹脂が硬化するまでの時間は、操作温度、ポリオール及びポリイソシアネートの種類、硬化触媒の有無等の条件により変化する。工程(3)においては、粉状農薬がウレタン樹脂を介在として適度な粒径の凝集物を生じる程度に、粉状農薬と未硬化のウレタン樹脂との混合物に、回転する羽根等によるせん断力を与えるが、具体的な回転する羽根の先端部分の速度は50〜3000m/分、好ましくは100〜2000m/分、更に好ましくは200〜1000m/分である。
工程(1)及び工程(2)、或いは工程(4)の1回の操作において添加される、ポリオールとポリイソシアネートとの合計量、即ち未硬化のウレタン樹脂の量は、ウレタン樹脂の種類、操作温度や、使用する機器等の条件により変化させることができるが、通常は粉状農薬100重量部に対して、通常0.3〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明製造方法において用いることのできる具体的な容器として、粒子が容器内を外周に沿って円運動を起こす装置として、株式会社セイシン企業製ニューグラマシンが挙げられ、混合機内に低速回転のアジテータと側面部に高速回転のチョッパーを備え、投入した原料を両羽根の作用により、短時間で混合・分散・せん断する装置として、深江パウテック株式会社製ハイスピードミキサーやハイフレックスグラルが挙げられる。更に、同様の性能を有する装置として、フロイント産業株式会社製ハイスピードミキサー、株式会社パウレック製バーチカルグラニュレーター、岡田精工株式会社製ニュースピードミルを挙げることができる。例えば、特開平9−75703号公報に記載の装置が具体的に挙げられる。
【0019】
本被覆農薬において、熱硬化性樹脂の量は粉状農薬100重量部に対して、通常5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜80重量部である。
本発明において、本被覆農薬は体積中位径10〜200μmの粉状、好ましくは体積中位径10〜100μm、更に好ましくは10〜80μmの粉状である。本被覆農薬の体積中位径はMALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機で測定することができる。
本被覆農薬の形状は通常、略球状であり、本被覆農薬の見掛け比重は好ましくは1.0g/ml以下、さらに好ましくは0.6g/ml以下である。
【0020】
本発明の粉状組成物において、見掛け比重が0.6g/ml以下であり、アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉(以下、本金属酸化物と記す。)は、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム又は亜鉛を含む化合物を水溶液中で酸と反応させ、凝集・沈降して得られる固体を乾燥・粉砕したり、
アルミニウム、チタン、ジルコニウム又は亜鉛を含む化合物を酸素の存在下に高温条件に反応させることにより、製造される。市販品を使用することができる。
市販されている本金属酸化物としては、例えばチタンの酸化物であるAEROXIDE TiO2 P25(日本アエロジル製)、AEROXIDE TiO2 T805(日本アエロジル製)、アルミニウムの酸化物であるAEROXIDE Alu C(日本アエロジル製)、Nano Tekシリーズ(シーアイ化成製)が挙げられる。
【0021】
本金属酸化物は、一次粒子の体積中位径あるいは凝集粒子(二次粒子)の体積中位径のいずれかが以下の範囲であるものが好ましい。即ち、一次粒子の体積中位径は500nm以下、更に好ましくは0.1〜100nmの範囲で、凝集粒子(二次粒子)の体積中位径は100μm以下、更に好ましくは0.01〜50μmの範囲である。一次粒子の粒子径は操作型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の顕微鏡法により測定することができる。凝集粒子の粒子径はMALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機で測定することができる。
また、本金属酸化物は通常、比表面積が1〜1000m2/g、好ましくは10〜700m2/gである。本金属酸化物の比表面積は、例えばBET法(粉体粒子表面に吸着占有面積の判っている、例えば窒素のような不活性気体の分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法)にて測定することができる。
【0022】
本金属酸化物は見掛け比重が0.6g/ml以下であるが、好ましくは見掛け比重が0.01〜0.3g/mlの範囲である。本発明において、見掛け比重は農林省告示の「物理性検定法」(昭和35年2月3日農林省告示第71号)に準じて測定されるものである。具体的には、例えば以下の方法により測定する。
直径50mmの100ml容の金属製円筒容器の上に、標準篩(目開きが0.175mm)を篩網と該容器の上縁との距離を20cmに保つように設置する。測定試料をふるって、容器を充たす。直ちにスライドグラスを用いて余剰分をすり落として、秤量し、内容物の重量(g)を求め、以下の計算式より見掛け比重を算出する。
見掛け比重(g/ml)=内容物の重量(g)/100(ml)
【0023】
本発明の粉状組成物において、本被覆農薬と本金属酸化物との重量比は100:0.1〜100:30の範囲であるが、好ましくは100:0.2〜100:20の範囲、より好ましくは100:0.5〜100:10の範囲である。
本発明の粉状組成物は、本被覆農薬及び本金属酸化物から実質的になる粉状組成物であるが、粉状組成物の流動性を損なわない量で、界面活性剤、安定化剤、着色剤等を含有させてもよい。
本発明において使用し得る界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン界面活性剤;ドデシルアミン塩酸塩などのアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩などのアルキル四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウムなどのエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、高級アルキルスルホン酸塩、ラウリン酸エステルスルホン酸塩などの高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、ジオクチルスルホサクシネートのどのジアルキルスルホコハク酸塩、オレイン酸アミドスルホン酸などの高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ペンタデカン−2−サルフェートなどの高級アルコール硫酸エステル塩、ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、スチレンーマレイン酸共重合体等のアニオン性界面活性剤;N−ラウリルアラニン、N,N,N―トリメチルアミノプロピオン酸、N,N,N−トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、N−ヘキシルーN,N―ジメチルアミノ酢酸、1−(2−カルボキシエチル)ピリミジニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤を含有する場合、その含有量は本発明の粉状農薬組成物中、通常0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0024】
本発明において使用し得る安定化剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化菜種油等のエポキシ化植物油、イソプロピルアシッドホスフェート、流動パラフィン、エチレングリコールなどが挙げられる。安定化剤を含有する場合、その含有量は本発明の粉状農薬組成物中、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0025】
本発明において使用し得る着色剤としては、例えば、ローダミンB,ソーラーローダミンなどのローダミン類、黄色4号、青色1号、赤色2号などの色素等が挙げられる。着色剤を含有する場合、その含有量は本発明の粉状農薬組成物中、通常0.01〜5重量%である。
【0026】
本発明の粉状組成物は、攪拌手段を備えた容器内にて、本被覆農薬及び本金属酸化物を混合することにより簡便に調製することができる。攪拌手段を備えた容器としては、例えば上記の本被覆農薬の製造方法において用いられる攪拌機等を用いることができ、本被覆農薬を製造する際、熱硬化性樹脂の被覆が完全に硬化した後に、所定量の本金属酸化物を添加・混合し、本発明の粉状組成物を調整できる。
本被覆農薬に対して、所定量の本金属酸化物を均一に配合することにより得られる、本発明の粉状組成物は、粉粒体として流動性が良好であり、例えば本被覆農薬を製造する際に用いる攪拌機からの排出が容易であったり、ホッパー等の容器からの排出時にブリッヂングが生じることがほとんどない。また、本発明の粉状組成物を、防除すべき有害生物又は保護すべき植物や土壌に対して直接散布する場合も、動力散粉機等の通常の粉剤散布機を使用することができる。また、本発明の粉状組成物は、本被覆農薬に含有している農薬活性化合物とは異なる農薬活性化合物と必要により混合して、使用することもできる。
【実施例】
【0027】
本発明を以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
参考例1(本被覆農薬1の調製)
・粉状農薬1の調製
70.0重量部の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)及び30.0重量部の勝光山クレーS(勝光山鉱業所製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が15.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンを含有する粉状農薬(以下、粉状農薬1と記す。)を得た。
・ポリオールプレミックス1の調製
56.1重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)、42.3重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)、及び1.6重量部の2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(化薬アクゾ製)を均一に混合し、ポリオールと触媒との液状混合物(以下、ポリオールプレミックス1と記す。)を得た。ポリオールプレミックス1の粘度は364m・Pa(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
・本被覆農薬1の調製
ハイスピードミキサー装置(深江パウテック株式会社製LFS−GS−1J型;丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根および丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する装置)の容器内に、100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)及びチョッパー羽根(回転数:3500rpm)を回転させた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に保持したまま、1.86重量部のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬1に湿潤される様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に保持したまま、1.14重量部のスミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、粘度130m・Pa(25℃))を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ポリウレタン樹脂の硬化が観察された(100重量部の粉状農薬1に対して、3.0重量部のポリウレタン樹脂に相当)。5分後、品温を75±5℃に保持したまま、以下の操作を19回繰り返し行った。
1.86重量部のポリオールプレミックス1を添加する→3分間待つ→1.14重量部のスミジュール44V10を添加する→5分間待つ。
上記の操作の間、ハイスピードミキサー装置は、同条件にてせん断力のある攪拌混合を継続させた。
100重量部の粉状農薬1に対し、合計60重量部のポリウレタン樹脂原料を添加した。混合容器を冷却し、本被覆農薬1(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン原料添加量:3.0重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:60重量部、体積中位径:75μm、見掛比重:0.41g/ml)を得た。
【0029】
参考例2(本被覆農薬2の調製)
・粉状農薬2の調製
45.5重量部の5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フラメトピル)、9重量部のトクシールGU−N(株式会社トクヤマ製含水非晶質二酸化珪素)及び45.5重量部のベントナイト富士印(株式会社ホージュン製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が5.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドを含有する粉状農薬(以下、粉状農薬2と記す。)を得た。
・本被覆農薬2の調製
ハイスピードミキサー装置(深江パウテック株式会社製LFS−GS−1J型;丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根および丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する装置)の容器内に、100重量部の粉状農薬2を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)およびチョッパー羽根(回転数:3500rpm)を回転させた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬2の品温を75±5℃に保持したまま、1.86重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬2に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に保持したまま、1.14重量部のスミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、粘度130m・Pa(25℃))を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ポリウレタン樹脂の硬化が観察された(100重量部の農薬原末に対して、3.0重量部のポリウレタン樹脂に相当)。5分後、品温を75±5℃に保持したまま、以下の操作を6回繰り返し行った。
1.86重量部のポリオールプレミックス1を添加する→3分間待つ→1.14重量部のスミジュール44V10を添加する→5分間待つ。
上記の操作の間、ハイスピードミキサー装置は、同条件にてせん断力のある攪拌混合を継続させた。
100重量部の粉状農薬2に対し、合計21重量部のポリウレタン樹脂原料を添加した。混合容器を冷却し、本被覆農薬2(ウレタン樹脂原料添加回数:7回、1回当たりのウレタン原料添加量:3.0重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:21重量部、体積中位径:40μm、見掛比重:0.37g/ml)を得た。
【0030】
参考例3(本被覆農薬3の調製)
・粉状農薬3の調製
65重量部の(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N'−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)及び35重量部の勝光山クレーS(カオリンクレー:(株)勝光山鉱業所製)を均に一混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が16.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N'−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する粉状農薬(以下、粉状農薬3と記す。)を得た。
・本被覆農薬3の調製
ハイスピードミキサー装置(深江パウテック株式会社製LFS−GS−1J型;丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根および丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する装置)の容器内に、100重量部の粉状農薬3を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬3の品温を75±5℃に保持したまま、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬3に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に保持したまま、0.95重量部のスミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、粘度130m・Pa(25℃))を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ポリウレタン樹脂の硬化が観察された(100重量部の農薬原末に対して、2.5重量部のポリウレタン樹脂に相当)。5分後、品温を75±5℃に保持したまま、以下の操作を19回繰り返し行った。
1.55重量部のポリオールプレミックス1を添加する→3分間待つ→0.95重量部のスミジュール44V10を添加する→5分間待つ。
上記の操作の間、ハイスピードミキサー装置は、同条件にてせん断力のある攪拌混合を継続させた。
100重量部の粉状農薬3に対し、合計50重量部のポリウレタン樹脂原料を添加した。混合容器を冷却し、本被覆農薬3(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部、体積中位径:53μm)を得た。
【0031】
製造例1〜8及び比較例1〜3(粉状組成物の調製)
参考例1にて調製した本被覆農薬1と下記の表1に記載の微粉とを、表1に記載した重量比にて、ハイスピードミキサー装置(深江パウテック株式会社製LFS−GS−1J型)の容器内に入れ、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)およびチョッパー羽根(回転数:3500rpm)を5分間回転させて、攪拌・混合し、粉状組成物を調製した。
【0032】
【表1】

*1:AEROXIDE TiO2 P25(日本アエロジル製)
*2:AEROXIDE AluC(日本アエロジル製)
*3:勝光山クレーS(含水アルミニウム珪酸塩;勝光山鉱業所製)
【0033】
次に、上記で調製した被覆農薬組成物の流動性を下記の試験法にて評価した。夫々の試験結果を表2に記載する。
尚、試験はパウダーテスターPT−D型(ホソカワミクロン社製)を使用して行った。
試験例1(安息角)
試料台にテーブル(安息角測定用)を設置し、その上方にロートをロート先端がテーブルから5mm以内になるように設置した。試料を目開きが0.710mmの標準篩に入れ、篩を通過した試料がロートに入るように設置した。ふるいを開始し、通過した試料がテーブルからこぼれ始めて安息角が一定になった時点でふるいを停止し、分度器を用いて粉体の安息角を測定した。
試験例2(スパチュラ角)
スパチュラ角測定用昇降台の上にバットを設置し、スパチュラが隠れるまで試料を加えた。昇降台を静かに下げ、スパチュラ上に堆積した試料の側面の傾斜角を測定した(傾斜角1)。次に付属の鐘を用いてスパチュラに衝撃を与え、その後のスパチュラ上に堆積している試料の側面の傾斜角を測定した(傾斜角2)。
【0034】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の粉状組成物は粉粒体としての流動性が良好であり、粉状農薬を熱硬化性樹脂で被覆されてなる被覆農薬を含有する組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粉状農薬が熱硬化性樹脂で被覆され、体積中位径が10〜200μmである被覆農薬、並びに
(b)見掛け比重が0.6g/ml以下であり、アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉
から実質的になる粉状組成物であり、(a)と(b)との重量比が100:0.1〜100:30である粉状組成物。
【請求項2】
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂及び/又は尿素樹脂であることを特徴とする請求項1記載の粉状組成物
【請求項3】
被覆農薬の体積中位径が10〜100μmである請求項1又は2記載の粉状組成物。
【請求項4】
アルミニウム、チタン、亜鉛及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属の酸化物微粉の見掛け比重が0.01〜0.3g/mlである請求項1〜3のいずれか記載の粉状組成物。

【公開番号】特開2008−74782(P2008−74782A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256917(P2006−256917)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】