説明

被覆高分子微粒子、及び高分子微粒子を被覆する方法

本発明は、被覆高分子微粒子、及び高分子微粒子を被覆する方法である。被覆高分子微粒子は、高分子微粒子、及びこの高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部存在する被覆剤組成物を含む。前記被覆剤は、連続媒質、及びこの連続媒質に少なくとも部分的に包埋された少なくとも1つの孤立した島を含む。高分子微粒子を被覆する方法は、以下の工程を含む:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)(a)0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、(b)0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む水性分散体を選択する工程、(3)前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(4)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆高分子微粒子、及び高分子微粒子を被覆する方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、発明の名称が「COAT POLYMERIC PARTICULATE, AND A PROCESS FOR COATING A POLYMERIC PARTICULATE」である、2007年9月14日出願の米国特許仮出願第60/972,626号からの優先権を主張する非仮出願であり、前記仮出願の教示は、本明細書において以下に全体が転記されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
高分子微粒子は、輸送中に経験する応力条件及び温度条件に曝されると、時が経つにつれて変形することがある。加えて、互いに接触している高分子微粒子の表面は、その界面で互いに焼結し、その結果、結合を引き起こすことがある。変形及び接点での結合のを合わせた作用によって、高分子微粒子の集合がブロッキー(blocky)に見えるようになる。
【0004】
ブロッキーとは、袋、箱又は鉄道車両内の高分子微粒子の塊の多い様子を指す。最悪の状況では、高分子微粒子の全量が単一の塊又はブロックになり得る(従って、集塊化と呼ぶ)。これは、輸送中の応力、温度及び時間履歴に関係なく易流動性のままである場合の高分子微粒子とは対照的であり得る。
【0005】
高分子微粒子のブロッキング又は集塊化は、最終使用者に大きな問題をもたらす。ブロッキーな高分子微粒子は、取り扱いが難しく、ブレンド、計量及び押出機への供給中に特に問題となる。ブロッキングの問題は、多種多様なエチレン−アルファオレフィンコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、EPDM及びEVAポリマーにあてはまる。
【0006】
同様に、低結晶性ポリオレフィンでは低分子量分別成分が粒子の表面に移動することがあり、これが粘着性(stickiness)又はタック(tackiness)の原因となる。これは、その後の取り扱い中、及びペレット化後プロセスにおける加工中に大きな問題を生じる結果となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ブロッキー性(blockiness)又は粘着性の改善に関するこれまでの研究努力にもかかわらず、ブロッキング及び粘着特性が改善された被覆高分子微粒子が依然として必要とされており、また、ブロッキング及び粘着特性が改善された高分子微粒子のための被覆方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被覆高分子微粒子、及び高分子微粒子を被覆する方法である。本被覆高分子微粒子は、高分子微粒子、及びこの高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物を含む。前記被覆剤は、連続媒質、及びこの連続媒質に少なくとも部分的に包埋された少なくとも1つの孤立した島を含む。高分子微粒子を被覆する本方法は、以下の工程を含む:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)(a)0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、(b)0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む、水性分散体を選択する工程、(3)前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(4)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。
【0009】
一実施形態において、本発明は、高分子微粒子及び前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物を含む被覆高分子微粒子を提供し、前記被覆剤組成物は、連続媒質、及び前記連続媒質に少なくとも部分的に包埋された少なくとも1つの孤立した島を含む。
【0010】
代替実施形態において、本発明は、高分子微粒子及び前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物の被覆剤塗布を含む、被覆高分子微粒子を提供し、前記被覆剤組成物は、(a)0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、(b)0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む水性分散体を含む。
【0011】
代替実施形態において、本発明は、高分子微粒子及び前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物の被覆剤塗布を含む、被覆高分子微粒子を提供し、前記被覆剤組成物は、(a)350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分と、(b)350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以下の粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む水性分散体を含む。
【0012】
代替実施形態において、本発明は、以下の工程を含む高分子微粒子を被覆する方法をさらに提供する:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)(a)0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、(b)0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む水性分散体を選択する工程、(3)前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(4)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。
【0013】
代替実施形態において、本発明は、以下の工程を含む高分子微粒子を被覆する方法をさらに提供する:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)(a)350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分と、(b)350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の大きい粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分と、(c)水とを含む水性分散体を選択する工程、(3)前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(4)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。
【0014】
代替実施形態において、本発明は、以下の工程を含む高分子微粒子を被覆する方法をさらに提供する:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分を含む第1の水性分散体を選択する工程、(3)350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分を含む第2の分散体を選択する工程、(4)前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(5)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。
【0015】
代替実施形態において、本発明は、以下の工程を含む高分子微粒子を被覆する方法をさらに提供する:(1)高分子微粒子を選択する工程、(2)0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリマーを含む小さな粒子成分を含む第1の水性分散体を選択する工程、(3)0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリマーを含む大きな粒子成分を含む第2の分散体を選択する工程、(4)前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程、(5)それによって前記高分子微粒子を被覆する工程。
【0016】
代替実施形態において、本発明は、前記連続媒質が、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスから得られること、及び前記少なくとも1つの孤立した島が、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンから得られること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0017】
代替実施形態において、本発明は、前記ポリオレフィンワックスが、0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有すること、及び前記非ワックスポリオレフィンが、約0.3から10μmの範囲の平均粒径を有すること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0018】
代替実施形態において、本発明は、前記連続媒質が、0.02から0.05μmの範囲の平均粒径を有する小さなポリマー粒子成分から得られること、及び前記少なくとも1つの孤立した島が、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有する大きなポリマー粒子成分から得られること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0019】
代替実施形態において、本発明は、前記小さなポリマー粒子成分が、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスであること、及び前記大きなポリマー粒子成分が、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンであることを除き、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0020】
代替実施形態において、本発明は、前記高分子微粒子が、粉末、マイクロペレット及びペレットからなる群より選択される形態を有すること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0021】
代替実施形態において、本発明は、前記高分子微粒子がポリオレフィンであること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、被覆高分子微粒子及びこれを被覆する方法を提供する。
【0022】
代替実施形態において、本発明は、当該方法が、前記水の少なくとも一部分を除去する工程をさらに含むこと以外は、前記いずれかの実施形態に従って、高分子微粒子を被覆する方法を提供する。
【0023】
代替実施形態において、本発明は、前記第1の分散体及び前記第2の分散体が、前記高分子微粒子に塗布される前に混合されること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、高分子微粒子を被覆する方法を提供する。
【0024】
代替実施形態において、本発明は、前記第1の分散体及び前記第2の分散体が、前記高分子微粒子に同時に塗布されること以外は、前記いずれかの実施形態に従って、高分子微粒子を被覆する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明を説明するために、例示的な形態を図に示すが、本発明が図示されている構成及び手段そのものに限定されないことは理解されるであろう。
【図1】本発明による第1のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明による第2のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明による第3のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明による第4のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明による第5のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明による第6のプロセス実施形態を示す説明図である。
【図7】50倍の倍率での走査型電子顕微鏡による本発明の被覆高分子微粒子の写真である。
【図8】500倍の倍率での走査型電子顕微鏡による本発明の被覆高分子微粒子の写真である。
【図9】本発明の実施例8の被被覆剤組成物で被覆されたペレットがタルク被覆ペレットと比較して粘着性の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【図10】本発明の実施例8の被覆剤組成物で被覆されたペレットがタルク被覆ペレットと比較してブロッキング性能の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【図11】本発明の実施例9の被覆剤組成物で被覆されたペレットがタルク被覆ペレットと比較して粘着性の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【図12】本発明の実施例9の被覆剤組成物で被覆されたペレットがタルク被覆ペレットと比較してブロッキング性能の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【図13】本発明の実施例10の被覆剤組成物で被覆されたペレット(5000ppmレベルで被覆)が、タルク被覆ペレットと比較して粘着性の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【図14】本発明の実施例10の被覆剤組成物で被覆されたペレット(5000ppmレベルで被覆)が、タルク被覆ペレットと比較してブロッキング性能の有意な改善を有することを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、被覆高分子微粒子、及び高分子微粒子を被覆する方法である。本被覆高分子微粒子は、高分子微粒子、及び前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に存在する被覆剤組成物を含む。高分子微粒子を被覆するための本プロセスは、以下の各工程、すなわち、(1)高分子微粒子を選択する工程と、(2)被覆剤組成物を選択する工程と、(3)前記被覆剤組成物を前記高分子微粒子に塗布する工程と、(4)それによって、前記高分子微粒子を被覆する工程とを含む。
【0027】
本高分子微粒子は、いずれの高分子材料であってもよく、例えば、前記高分子材料は、オレフィンポリマーであり得る。例示的なオレフィンポリマーとしては、エチレンのホモポリマー、ならびにエチレンと、C−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なオレフィンポリマーとしては、さらに、プロピレンのホモポリマー、ならびにプロピレンと、C及びC−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。前記オレフィンポリマーは、好ましくは弾性ポリマーである。例示的な弾性ポリマーとしては、弾性エチレンコポリマー、例えばエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、又は弾性プロピレンコポリマー、例えばプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン/アルファ−オレフィンコポリマーなどの弾性エチレンコポリマーは、エチレンと、少なくとも1つのC−Cアルファ−オレフィン(好ましくは脂肪族アルファ−オレフィン)コモノマー、及び場合によっては、ポリエンコモノマー、例えば共役ジエン、非共役ジエン、トリエンなどとのコポリマーである。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーなどの弾性プロピレンコポリマーは、プロピレンと、少なくとも1つのC又はC−Cアルファ−オレフィン(好ましくは脂肪族アルファ−オレフィン)コモノマー、及び場合によっては、ポリエンコモノマー、例えば共役ジエン、非共役ジエン、トリエンなどとのコポリマーである。C−Cアルファ−オレフィンの例としては、エテン、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが挙げられるが、これらに限定されない。また、前記アルファ−オレフィンは、環状構造、例えばシクロヘキサン又はシクロペンタン、を含有し、その結果、アルファ−オレフィン、例えば3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリル−シクロヘキサン)及びビニル−シクロヘキサン、となる場合もある。用語の古典的意味ではアルファ−オレフィンでなはいが、本発明の目的においては、一定の環状オレフィン、例えばノルボルネン及び関連オレフィン、は、アルファ−オレフィンであり、上に記載したアルファ−オレフィンの一部又はすべての代わりに用いることができる。同様に、スチレン及びその関連オレフィン(例えば、アルファ−メチルスチレンなど)は、本発明の目的においてはアルファ−オレフィンである。
【0028】
ポリエンは、分子鎖内に4個より多くの炭素原子を含有し、且つ、少なくとも2つの二重及び/もしくは三重結合、例えば共役及び非共役ジエン及びトリエン、を有する、不飽和脂肪族又は脂環式化合物である。非共役ジエンの例としては、脂肪族ジエン、例えば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1、7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,13−テトラデカジエン、1,19−エイコサジエン、及びこれらに類するもの;環状ジエン、例えば、1,4−シクロヘキサジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2,5−ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ビシクロ[2.2.2]オクト−2,5−ジエン、4−ビニルシクロヘクス−1−エン、ビシクロ[2.2.2]オクト−2,6−ジエン、1,7,7−トリメチルビシクロ−[2.2.1]ヘプト−2,5−ジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1,5−シクロオクタジエン、及びこれらに類するもの;芳香族ジエン、例えば、1,4−ジアリルベンゼン、4−アリル−1H−インデン;ならびにトリエン、例えば、2,3−ジイソプロペニリジエン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、及びこれらに類するものが挙げられ、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン及び7−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい非共役ジエンである。
【0029】
共役ジエンの例としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン−1,3、1,2−ジメチルブタジエン−1,3、1,4−ジメチルブタジエン−1,3、1−エチルブタジエン−1,3、2−フェニルブタジエン−1,3、ヘキサジエン−1,3、4−メチルペンタジエン−1,3、1,3−ペンタジエン(CHCH=CH−CH=CH、一般にはピペリレンと呼ばれる)、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、及びこれらに類するものが挙げられ、1,3−ペンタジエンが好ましい共役ジエンである。
【0030】
トリエンの例としては、1,3,5−ヘキサトリエン、2−メチル−1,3,5−ヘキサトリエン、1,3,6−ヘプタトリエン、1,3,6−シクロヘプタトリエン、5−メチル−1,3,6−ヘプタトリエン、5−メチル−1,4,6−ヘプタトリエン、1,3,5−オクタトリエン、1,3,7−オクタトリエン、1,5,7−オクタトリエン、1,4,6−オクタトリエン、5−メチル−1,5,7−オクタトリエン、6−メチル−1,5,7−オクタトリエン、7−メチル−1,5,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン及び1,5,9−シクロデカトリエンが挙げられる。
【0031】
例示的なエチレンコポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−オクテン、エチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/5−ビニル−2−ノルボルネン、エチレン/−1,7−オクタジエン、エチレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/スチレン及びエチレン/1,3,5−ヘキサトリエンが挙げられる。例示的なプロピレンコポリマーとしては、プロピレン/エチレン、プロピレン/ブテン、プロピレン/1−オクテンが挙げられる。例示的なターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/ブテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/ブテン/スチレン、エチレン/1−オクテン/5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチレン/プロピレン/1,3−ペンタジエン、エチレン/プロピレン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/ブテン/7−メチル−1,6−オクタジエン、エチレン/1−オクテン/1,3−ペンタジエン及びエチレン/プロピレン/1,3,5−ヘキサトリエンが挙げられる。例示的なテトラポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1−オクテン/ジエン(例えば、ENB)、エチレン/ブテン/1−オクテン/ジエン及びエチレン/プロピレン/混合ジエン、例えば、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン/ピペリレンが挙げられる。加えて、ブレンド化合物としては、少量、例えば0.05から0.5重量パーセント、の長鎖分岐増進剤、例えば、2,5−ノルボルナジエン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2,5−ジエンとしても知られている)、ジアリルベンゼン、1,7−オクタジエン(HC=CH(CHCH=CH)、及び1,9−デカジエン(HC=CH(CHCH=CH)が挙げられる。
【0032】
特定の実施形態では、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらのコポリマー、及びそれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを使用することができる。いくつかの実施形態において、オレフィン系ポリマーとしては、Elstonに発行された米国特許第3,645,992号に記載されている均一ポリマー;Andersonに発行された米国特許第4,076,698号に記載されているような高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分岐線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一分岐超低線密度ポリエチレン(ULDPE);均一分岐線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;均一分岐の、実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー(これらは、例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号に開示されているプロセスによって調製することができ、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);ならびに高圧フリーラジカル重合エチレンポリマー及びコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
【0033】
米国特許第6,566,446号、同第6,538,070号、同第6,448,341号、同第6,316,549号、同第6,111,023号、同第5,869,575号、同第5,844,045号、又は同第5,677,383号(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているポリマー組成物もいくつかの実施形態では好適である。勿論、ポリマーのブレンドも使用することができる。いくつかの実施形態において、前記ブレンドとしては、2つの異なるチーグラー・ナッタポリマーが挙げられる。他の実施形態において、前記ブレンドとしては、チーグラー・ナッタポリマーとメタロセンポリマーのブレンドを挙げることができる。さらに他の実施形態において、ここで使用するポリマーは、2つの異なるメタロセンポリマーのブレンドである。さらに他の実施形態では、シングルサイト触媒から製造されたポリマーを使用することができる。さらに他の実施形態では、ブロック又はマルチブロックコポリマーを本発明の実施形態において使用することができる。そのようなポリマーとしては、(2004年3月7日出願の米国特許出願第60/553,906号への優先権を有する)WO2005/090427に記載され、特許請求されているものが挙げられる。
【0034】
一部の特定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、プロピレン系コポリマー又は共重合体である。いくつかの実施形態において、前記プロピレン/エチレンコポリマー又は共重合体は、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するものとして特徴付けられる。用語「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」及び類似の用語は、それらの配列が、約0.85より大きい、好ましくは約0.90より大きい、さらに好ましくは約0.92より大きい、及び最も好ましくは約0.93より大きい、13C NMRによって測定されるアイソタクチックトライアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当分野において周知であり、例えば米国特許第5,504,172号及びWO00/01745に記載されており、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖内のトライアッド単位の観点でアイソタクチックな配列を指す。
【0035】
他の特定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)系ポリマーであり得る。他の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、エチレン−メチルアクリレート(EMA)系ポリマーであり得る。他の特定の実施形態において、前記エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、又はエチレン−オクテンコポリマー又は共重合体であり得る。他の特定の実施形態において、前記プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレン又はプロピレン−エチレン−ブテンコポリマー又は共重合体であり得る。
【0036】
一定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、0.863から0.911g/ccの間の密度及び0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg荷重で190℃)を有するエチレン−オクテンコポリマー又は共重合体であり得る。他の実施形態において、前記エチレン−オクテンコポリマーは、0.863から0.902g/ccの間の密度及び0.8から35g/10分のメルトインデックス(2.16kg荷重で190℃)を有し得る。
【0037】
一定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、5から20重量パーセントの間のエチレン含有率及び0.5から300g/10分のメルト・フロー・レート(2.16kg荷重で230℃)を有するプロピレン−エチレンコポリマー又は共重合体であり得る。他の実施形態において、前記プロピレン−エチレンコポリマー又は共重合体は、9から12重量パーセントの間のエチレン含有率及び1から100g/10分のメルト・フロー・レート(2.16kg荷重で230℃)を有し得る。
【0038】
他の一定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、0.911から0.925g/ccの間の密度及び0.1から100g/10分のメルトインデックス(2.16kg荷重で190℃)を有する低密度ポリエチレンであり得る。
【0039】
他の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、50パーセント未満の結晶化度を有し得る。好ましい実施形態において、前記オレフィンポリマーの結晶化度は、5から35パーセントである。さらに好ましい実施形態において、前記結晶化度は、7から20パーセントの範囲であり得る。
【0040】
他の一定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、110℃未満の融点を有し得る。好ましい実施形態において、前記融点は、25から100℃であり得る。さらに好ましい実施形態において、前記融点は、40℃から85℃の間であり得る。
【0041】
一定の実施形態において、前記オレフィンポリマーは、20000g/モルより大きい重量平均分子量を有し得る。一実施形態において、前記重量平均分子量は、20000から150000g/モルであり、他の実施形態において、50000から100000g/モルであり得る。
【0042】
前記オレフィンポリマーは、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば、国際公報WO2005/090427及び米国特許出願第11/376,835号に記載されているものも含む。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、
(a)M/Mが1.7から3.5、少なくとも1つの融点がT摂氏度、及び密度がdグラム/立方センチメートルである(ここで、数値T及びdは、
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
の関係に対応する);又は
(b)M/Mが1.7から3.5であり、且つ、融解熱ΔH J/g、及び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差と定義されるデルタ量ΔT摂氏度によって特徴付けられる(ここで、数値ΔT及びΔHの数値は、
ΔHがゼロより大きく、130J/g以下のとき、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/gより大きいとき、ΔT≧48℃
の関係を有し、
CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、及びこのポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合には、そのCRYSTAF温度は30℃である);又は
(c)エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムで測定される300パーセント歪及び1サイクルでの弾性回復率Reパーセントによって特徴付けられ、且つ、密度dグラム/立方センチメートルを有する(ここで、数値Re及びdは、エチレン/α−オレフィン共重合体に架橋相が実質的に無いとき、
Re>1481−1629(d)
の関係を満たす);又は
(d)TREFを使用して分別したとき、40℃から130℃の間で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体のものより少なくとも5パーセント高いモルモノマー含有率を有することを特徴とする画分を有する(ここで、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体は、そのエチレン/α−オレフィン共重合体のものと同じコモノマー(単数もしくは複数)を有し、ならびにそのエチレン/α−オレフィン共重合体のものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度及び(全ポリマーに基づく)モルコモノマー含有率を有する);又は
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有する(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比率は、1:1から9:1の範囲である)、
エチレン/α−オレフィン共重合体であり得る。
【0043】
また、前記エチレン/α−オレフィン共重合体は、
(a)TREFを使用して分別したとき、40℃から130℃の間で溶出する分子画分であって、ブロックインデックスが少なくとも0.5から約1以下であり、分子量分布M/Mが約1.3より大きいことを特徴とする画分も有していてもよく;又は
(b)平均ブロックインデックスがゼロより大きく、約1.0以下、分子量分布M/Mが約1.3より大きくてもよい。
【0044】
当業者は、上記の列挙が適するポリマーの包括的な列挙ではないことがわかるであろう。本発明の範囲が各請求項によってのみ限定されることは理解されるであろう。
【0045】
前記オレフィンポリマーは、当分野において公知の任意の従来のオレフィン重合技術を用いて製造することができる。例えば、重合は、チーグラー・ナッタ又はカミンスキー・シン型重合反応についての当分野において周知の条件で行うことができる。前記オレフィンポリマーは、モノ−もしくはビス−シクロペンタジエニル、インデニル、又はフルオレニル遷移金属(好ましくは4族)触媒、拘束幾何形状触媒、あるいはメタロセン触媒を使用して生成することもできる。メタロセン触媒及びこれらの触媒を使用する重合プロセスは、米国特許第5,565,521号に記載及び教示されている。必要に応じて、懸濁、溶液、スラリー、気相、固相粉末重合又は他のプロセス条件を用いることができる。また、必要に応じて、支持体、例えばシリカ、アルミナ、又はポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレンもしくはポリオレフィン)、を用いることもできる。
【0046】
不活性液体は、重合に好適な溶媒となる。例としては、直鎖及び分岐鎖炭化水素、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びそれらの混合物;環式及び非環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びそれらの混合物;ペルフルオロ炭化水素、例えば、ペルフルオロC4−10アルカン;ならびに芳香族及びアルキル置換芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン、が挙げられる。また、好適な溶媒としては、ブタジエン、シクロペンテン、1−ヘキセン、4−ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘキサジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼン、及びビニルトルエン(すべて、単独での又は混合物での異性体を含む)を含むモノマー又はコモノマーとして作用することができる液体オレフィンも挙げられる。また、上述のものの混合物も好適である。必要に応じて、通常は気体のオレフィンを、圧力をかけることによって液体に変換し、ここで用いることができる。
【0047】
前記ポリマー微粒子は、粉末からペレットにわたるサイズの粒状固体の形態である。典型的には、粉末は、平均粒径が2000マイクロメートル未満の粒状固体と定義される。ペレットは、典型的な平均粒径が2mmより大きい、典型的には2から10mm、好ましくは2から4mmである、一般に、但しこれに限定されないが、押し出し及びペレット形成プロセスによって形成された粒状固体である。典型的には、マイクロペレットは、平均粒径が標準的なパレットより小さいが、一般工業用金型容量より大きい。マイクロペレットの平均粒径は、300マイクロメートルから2mmにわたる。前記マイクロペレットは、一般に、半球状の形状を示す。
【0048】
本発明の粒状固体のブレンドは、任意の公知の固体混合又はブレンドプロセスを用いて生成することができる。例えば、「Mixing of Powders」, Handbook of Powder Science and Technology - Second Edition, Chapman and Hall, pp 568-585 (1997) において、Kayeは、バルク混合物を生成するための低剪断法としてタンブルミキサーに言及している。混合技術の分野における当業者は、Kayeによって記載されたより高剪断の装置などの代替混合技術を用いて、ブレンド分散体の均一性を改善できる可能性がある。
【0049】
前記被覆剤組成物は、1つ又はそれ以上の分散体を含む。前記1つ又はそれ以上の分散体は、いずれの分散体であってもよく、例えば、前記1つ又はそれ以上の分散体は、水性分散体である。
【0050】
一実施形態において、前記被覆剤組成物は、小さな粒子成分、大きな粒子成分、及び媒質成分を含み得る。例示的な媒質成分としては、水が挙げられるが、これに限定されない。前記分散体は、界面活性剤をさらに含み得る。前記分散体は、いずれのpHを有してもよく、例えば、前記分散体は、7より大きいpHを有し得る。前記分散体は、約75重量パーセント又はそれ以下の固形分、すなわち小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、を含み得る。75重量パーセント又はそれ以下であるすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記固形分重量パーセントは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は60重量パーセントの下限から、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70又は75重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、約70重量パーセント又はそれ以下の固形分、すなわち、小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約60重量パーセント又はそれ以下の固形分、すなわち、小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約50重量パーセント又はそれ以下の固形分、すなわち、小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約40重量パーセント又はそれ以下の固形分、すなわち、小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、を含んでもよい。
【0051】
前記小さな粒子成分は、任意のワックスであり得、例えば前記小さな粒子成分は、ポリオレフィンワックスであり得る。そのようなポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリオレフィン、例えば、酸化ポリエチレン又は酸化ポリプロピレン、が挙げられるが、これらに限定されない。前記小さな粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記小さな粒子成分は、0.2μm未満の平均粒径を有し得る。0.2μm未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の平均粒径は、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.10又は0.15μmの下限から、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.10、0.15又は0.2μmの上限までであり得る。例えば、前記小さな粒子成分は、0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.02から0.10μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.02から0.05μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.03から0.05μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記小さな粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で1000、2000、2500、3000、4000又は5000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で1500、2000,2500、3000、4000、5000又は6000cpsの上限までであり得る。例えば、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で5000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で4000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で3000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で2500cps未満の範囲の粘度を有してもよい。前記小さな粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、例えば塩基、例えば、これに限定されないが、水酸化カリウム(KOH)などで、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。前記分散体は、約50重量パーセント又はそれ以下である小さな粒子成分を含み得る。50重量パーセント又はそれ以下であるすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の重量パーセントは、5、10、15、20、25、30、35、40又は45重量パーセントの下限から、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、約45重量パーセント又はそれ以下である小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約40重量パーセント又はそれ以下である小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約35重量パーセント又はそれ以下である小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約30重量パーセント又はそれ以下である小さな粒子成分を含んでもよい。
【0052】
前記大きな粒子成分は、任意のワックス、非ワックスポリマー又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、前記大きな粒子成分は、ポリオレフィンワックス、非ワックスポリオレフィン、又はそれらの組み合わせであり得る。前記分散体は、約50重量パーセント未満又は50重量パーセントである大きな粒子成分を含み得る。50重量パーセント又はそれ以下であるすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きな粒子成分の重量パーセントは、5、10、15、20、25、30、35、40又は45重量パーセントの下限から、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、約45重量パーセント又はそれ以下である大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約40重量パーセント又はそれ以下である大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約35重量パーセント又はそれ以下である大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約30重量パーセント又はそれ以下である大きな粒子成分を含んでもよい。
【0053】
例示的なポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリオレフィン、例えば、酸化ポリエチレン又は酸化ポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有し得る。0.3から0.9μmの範囲のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分の平均粒径は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7μmの下限から、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8μmの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.7μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.6μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で1000、2000、2500、3000、4000又は5000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で1500、2000、2500、3000、4000、5000又は6000cpsの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で5000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で4000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で3000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で2500cps未満の範囲の粘度を有してもよい。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、例えば塩基、例えば、これに限定されないが、水酸化カリウム(KOH)などで、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。
【0054】
例示的な非ワックスポリマーとしては、ポリオレフィン、例えば、エチレンのホモポリマー、エチレンとC−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマー、プロピレンのホモポリマー、ならびにプロピレンとC及びC−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマーを含む(しかし、これらに限定されない)任意の非酸化ポリオレフィンが挙げられる。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.2μmより大きい範囲の平均粒径を有し得る。0.2μmより大きい範囲のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分の平均粒径は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7μmの下限から、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0又は10.0μmの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から10.0μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から3.0μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から1.5μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で6000、10000、20000、30000、100000、200000又は300000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で10000、20000、30000、100000、200000又は300000、500000又は1000000cpsの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6500cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で7000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°Fで10000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で100000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で500000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよい。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、例えば塩基、例えば、これに限定されないが、水酸化カリウム(KOH)などで、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。
【0055】
前記界面活性剤は、内部界面活性剤であってもよく、又は外部界面活性剤であってもよい。そのような界面活性剤は、当業者に一般に公知である。本発明の実施形態は、安定な分散体の形成を促進するために界面活性剤を使用する。選択された実施形態において、前記界面活性剤は、ポリマー、例えばコモノマー又はグラフトされたモノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーであり得る。1つの例示的実施形態において、前記界面活性剤は、コモノマー又はグラフトされたモノマーのいずれかとして極性基を有する、1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含む。典型的なポリマーとしては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、商標PRIMACOR(商標)(The Dow Chemical Company社の商標)、NUCREL(商標)(E.I. DuPont de Nemoursの商標)及びESCOR(商標)(ExxonMobilの商標)で入手できるもの、ならびに米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。他のポリマーとしては、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、及びエチレンブチルアクリレート(EBA)が挙げられる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーも使用することができる。当業者には、多数の他の有用なポリマーも使用できることがわかるであろう。
【0056】
使用することができる他の界面活性剤としては、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩を挙げることができる。他の他の実施形態において、前記長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有してもよい。
【0057】
前記ポリマーの極性基が、本質的に酸性又は塩基性である場合、前記安定化ポリマーを中和剤で部分的に又は完全に中和して対応する塩を形成することができる。一定の実施形態において、前記界面活性剤、例えば長鎖脂肪酸又はEAA、の中和は、モルベースで25から200パーセントであり、他の実施形態ではモルベースで50から110パーセントであり得る。例えば、EAAの場合、前記中和剤は、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムなどの塩基である。他の中和剤としては、例えば、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを挙げることができる。他のの代替実施形態において、前記中和剤は、例えば、任意のアミン、例えばモノエタノールアミン又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)であってもよい。適切な中和剤の選択が、配合される具体的な組成に依存すること、及びそのような選択が、当業者の知識の範囲内であることは、当業者には理解されるであろう。
【0058】
本発明の実施に有用であり得るさらなる界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホネート、カルボキシレート、及びホスフェートが挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、第四級アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、及びシリコーン界面活性剤が挙げられる。本発明の実施に有用な界面活性剤は、外部界面活性剤であってもよく、又は内部界面活性剤であってもよい。外部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応してポリマーにならない界面活性剤である。ここで有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩及びラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応してポリマーになる界面活性剤である。ここで有用な内部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩が挙げられる。
【0059】
特定の実施形態において、前記界面活性剤は、使用する固形分、すなわち小さな粒子成分と大きな粒子成分の総合重量、の約60重量パーセント未満の範囲の量で使用することができる。
【0060】
他の代替実施形態において、前記被覆剤組成物は、少なくとも1つの第1の分散体及び少なくとも1つの第2の分散体を含む。
【0061】
前記第1の分散体は、いずれの分散体であってもよく、例えば、前記第1の分散体は、水性分散体であり得る。前記第1の分散体は、小さな粒子成分、及び媒質成分、例えば水、を含む。前記第1の分散体は、本明細書において上述したような界面活性剤をさらに含み得る。前記第1の分散体は、いずれのpHを有してもよく、例えば、前記第1の分散体は、7より大きいpHを有し得る。
【0062】
前記小さな粒子成分は、任意のワックスであり得、例えば前記小さな粒子成分は、ポリオレフィンワックスであり得る。そのようなポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリオレフィン、例えば、酸化ポリエチレン又は酸化ポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。前記小さな粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記小さな粒子成分は、0.2μm未満の平均粒径を有し得る。0.2μm未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の平均粒径は、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.10又は0.15μmの下限から、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.10、0.15又は0.2μmの上限までであり得る。例えば、前記小さな粒子成分は、0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.02から0.10μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.02から0.05μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、0.03から0.05μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記小さな粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で1000、2000、2500、3000、4000又は5000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で1500、2000,2500、3000、4000、5000又は6000cpsの上限までであり得る。例えば、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で5000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で4000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で3000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で2500cps未満の範囲の粘度を有してもよい。前記小さな粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記小さな粒子成分は、例えば、塩基、例えば水酸化カリウム(KOH)、で、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。前記第1の分散体は、約50重量パーセント又はそれ以下の小さな粒子成分を含み得る。50重量パーセント又はそれ以下であるすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記小さな粒子成分の重量パーセントは、5、10、15、20、25、30、35、40又は45重量パーセントの下限から、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、前記第1の分散体は、約45重量パーセント又はそれ以下の小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、前記第1の分散体は、約40重量パーセント又はそれ以下の小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、前記第1の分散体は、約35重量パーセント又はそれ以下の小さな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、前記第1の分散体は、約30重量パーセント又はそれ以下の小さな粒子成分を含んでもよい。
【0063】
前記第2の分散体は、いずれの分散体であってもよく、例えば、前記第2の分散体は、水性分散体であり得る。前記第2の分散体は、大きな粒子成分、及び媒質成分、例えば水、を含む。前記第1の分散体は、本明細書において上述したような界面活性剤をさらに含み得る。前記第2の分散体は、いずれのpHを有してもよく、例えば、前記第2の分散体は、7より大きいpHを有し得る。
【0064】
前記大きな粒子成分は、任意のワックス、非ワックスポリマー又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、前記大きな粒子成分は、ポリオレフィンワックス、非ワックスポリオレフィン、又はそれらの組み合わせであり得る。前記分散体は、約50重量パーセント又はそれ以下の大きな粒子成分を含み得る。50重量パーセント又はそれ以下であるすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きな粒子成分の重量パーセントは、5、10、15、20、25、30、35、40又は45重量パーセントの下限から、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、約45重量パーセント又はそれ以下の大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約40重量パーセント又はそれ以下の大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約35重量パーセント又はそれ以下の大きな粒子成分を含んでもよく;又は代替実施形態において、分散体は、約30重量パーセント又はそれ以下の大きな粒子成分を含んでもよい。
【0065】
例示的なポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリオレフィン、例えば、酸化ポリエチレン又は酸化ポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有し得る。0.3から0.9μmの範囲のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分の平均粒径は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7μmの下限から、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8μmの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.7μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、0.3から0.6μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で1000、2000、2500、3000、4000又は5000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で1500、2000、2500、3000、4000、5000又は6000cpsの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で5000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で4000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で3000cps未満の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で2500cps未満の範囲の粘度を有してもよい。前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィンワックス粒子成分は、例えば、塩基、例えば水酸化カリウム(KOH)で、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。
【0066】
例示的な非ワックスポリマーとしては、ポリオレフィン、例えば、エチレンのホモポリマー、エチレンとC−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマー、プロピレンのホモポリマー、ならびにプロピレンとC及びC−C10アルファモノオレフィン;C−C20モノカルボン酸のC−C12アルキルエステル;不飽和C−C20モノ−又はジカルボン酸;不飽和C−Cジカルボン酸の無水物;及び飽和C−C18カルボン酸のビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのエチレン不飽和モノマーとのコポリマーを含む(しかし、これらに限定されない)任意の非酸化ポリオレフィンが挙げられる。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、いずれの平均粒径を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.2μmより大きい範囲の平均粒径を有し得る。0.2μmより大きい範囲のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分の平均粒径は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7μmの下限から、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0又は10.0μmの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から10.0μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から3.0μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から1.5μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から0.9μmの範囲の平均粒径を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有してもよい。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、いずれの粘度を有してもよく、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有し得る。350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分の粘度は、350°F(≒176.6℃)で6000、10000、20000、30000、100000、200000又は300000cpsの下限から、350°F(≒176.6℃)で10000、20000、30000、100000、200000又は300000、500000又は1000000cpsの上限までであり得る。例えば、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6500cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で7000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°Fで10000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で100000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で500000cps又はそれ以上の範囲の粘度を有してもよい。前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、極性であってもよく;又は代替実施形態において、前記大きなポリオレフィン非ワックス粒子成分は、例えば塩基、例えば、これに限定されないが、水酸化カリウム(KOH)で、部分的にもしくは完全に中和されていてもよい。
【0067】
前記被覆剤組成物は、任意の追加の添加剤をさらに含み得る。例示的な添加剤としては、湿潤剤、界面活性剤、静電防止剤、消泡剤、アンチブロック剤、ワックス分散顔料、中和剤、増粘剤、相溶化剤、増白剤、レオロジー改質剤、殺生剤、殺真菌剤、及び当業者に公知の他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
分散体の製造の際、本発明の分散体は、任意の従来の方法によって製造することができる。そのような従来の方法は、当業者に一般に公知である。
【0069】
適用例において、図1を参照して、小さな粒子成分と、大きな粒子成分と、媒質成分、例えば水と、場合によっては界面活性剤とを含む分散体を含む被覆剤組成物を、回転ドラム乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子に熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0070】
代替適用例において、図2を参照して、小さな粒子成分と、大きな粒子成分と、媒質成分、例えば水と、場合によっては界面活性剤とを含む分散体を含む被覆剤組成物を、振動流動床乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子に熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0071】
代替適用例において、図3を参照して、小さな粒子成分と、大きな粒子成分と、媒質成分、例えば水と、場合によっては界面活性剤とを含む分散体を含む被覆剤組成物を、回転ドラム乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子を振動流動床乾燥機に移し、先ず熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0072】
適用例では、図4を参照して、第1の分散体と第2の分散体とを含む被覆剤組成物を回転ドラム乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に同時に噴霧してもよく、又は代替実施形態では、前記第1の分散体と前記第2の分散体を、前記高分子微粒子に噴霧する前に混合してもよい。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子に熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0073】
代替適用例において、図5を参照して、第1の分散体と第2の分散体とを含む被覆剤組成物を振動流動床乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に同時に噴霧してもよく、又は代替実施形態では、前記第1の分散体と前記第2の分散体を、前記高分子微粒子に噴霧する前に混合してもよい。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子に熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0074】
代替適用例において、図6を参照して、第1の分散体と第2の分散体とを含む被覆剤組成物を回転ドラム乾燥機内で高分子微粒子に噴霧し、それによって前記高分子微粒子を前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆する。前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に同時に噴霧してもよく、又は代替実施形態では、前記第1の分散体と前記第2の分散体を、前記高分子微粒子に塗布する前に混合してもよい。その後、前記被覆剤組成物で少なくとも部分的に被覆された高分子微粒子を振動流動床乾燥機に移し、先ず熱を加え、その後、冷却用空気に晒し、それによって被覆高分子微粒子を形成する。
【0075】
前記乾燥工程は、任意の従来の乾燥方法によるものであってもよい。そのような従来の乾燥方法としては、空気乾燥、対流炉乾燥、熱風乾燥、マイクロ波加熱炉乾燥、及び/又は赤外線加熱炉乾燥が挙げられるが、これらに限定されない。前記被覆剤組成物は、任意の温度で乾燥することができ;例えば、前記高分子微粒子の融点温度未満の範囲の温度で乾燥することができる。前記被覆高分子微粒子の温度を、40分未満の期間、前記被覆高分子微粒子の融点温度未満の範囲の温度に上昇させてもよい。約40分未満のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、前記被覆高分子微粒子の温度を、20分未満の期間、前記高分子微粒子の融点温度未満の範囲の温度に上昇させてもよく、又は代替実施形態では、前記被覆高分子微粒子の温度を、5分未満の期間、前記高分子微粒子の融点温度未満の範囲の温度に上昇させてもよく、又は他の代替実施形態では前記被覆高分子微粒子の温度を、0.5から300秒の期間、前記高分子微粒子の融点温度未満の範囲の温度に上昇させてもよい。
【0076】
図7及び図8を参照して、本発明の被覆高分子微粒子は、高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤を有する。前記被覆剤は、連続媒質(interconnected media)及びこの連続媒質に少なくとも部分的に包埋された少なくとも1つの孤立した島を含む。本発明の被覆高分子微粒子は、20パーセント未満の、以下に説明する相対粘着性指数(relative stickiness index)を有する。20パーセント未満の範囲のすべての個々の値及びサブ範囲がここに含まれ、本明細書において開示され、例えば、本発明の被覆高分子微粒子は、18パーセント未満の相対粘着性指数を有し;又は代替実施形態において、本発明の被覆高分子微粒子は、15パーセント未満の相対粘着性指数を有し;又は代替実施形態において、本発明の被覆高分子微粒子は、14パーセント未満の相対粘着性指数を有し;又は代替実施形態において、本発明の被覆高分子微粒子は、10パーセント未満の相対粘着性指数を有する。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の実施例は、ブロッキング及び/又は粘着性の課題に関して改善された特性を示す。
【実施例1】
【0078】
本発明のサンプル:Affinity(商標)EG8180(エチレン−オクテンコポリマー、密度0.863g/cc、メルトインデックス0.5g/10分)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルの酸化ポリエチレンワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。0.04マイクロメートル分散体の0.4マイクロメートル分散体に対する比率は、1:4であった。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmであった。これらの被覆ペレットは、遊離ダストを一切有さなかった。それらの被覆ペレットを、275 lb/ft及び42℃に一週間晒すことによって、ブロッキング性について試験した。結果を表Iにまとめる。
【0079】
比較サンプル:Affinity(商標)EG8180(エチレン−オクテンコポリマー、密度0.863g/cc、メルトインデックス0.5g/10分)ペレットをタルクで被覆した。それらの被覆ペレットを、275 lb/ft及び42℃に一週間晒すことによって、ブロッキング性について試験した。結果を表Iにまとめる。
【0080】
対照サンプル:Affinity(商標)EG8180(エチレン−オクテンコポリマー、密度0.863g/cc、メルトインデックス0.5g/10分)ペレットを、275 lb/ft及び42℃に一週間晒すことによって、ブロッキング性について試験した。結果を表Iにまとめる。
【実施例2】
【0081】
本発明のサンプル:INFUSE(商標)OBC D9807(メルトインデックス15g/10分及び総密度0.866g/ccを有するオレフィンブロックコポリマー)ペレットを、0.04マイクロメートル平均粒径のポリエチレンオキシドワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。0.04マイクロメートル分散体の0.4マイクロメートル分散体に対する比率は、1:4であった。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmであった。それらのペレットを漏斗試験法を用いて粘着性について試験した。2つのサンプルを42℃でそれぞれ3日間及び8日間加熱し、その後、21℃に冷却した。流出速度を初期速度と、及び同じ被覆レベルでのタルク被覆サンプルと比較した。流出速度の+15パーセントより大きい減少は、表面粘着性の有意な増加を示す。エマルジョン/分散体混合物で被覆したサンプルは、粘着防止挙動の実質的な改善を示す。これらの被覆ペレットは、遊離ダストを一切有さなかった。
【0082】
比較サンプル:INFUSE(商標)OBC D9807(メルトインデックス15g/10分及び総密度0.866g/ccを有するオレフィンブロックコポリマー)ペレットをタルクで被覆し、漏斗試験法を用いて粘着性について試験した。
【0083】
対照サンプル:INFUSE(商標)OBC D9807(メルトインデックス15g/10分及び総密度0.866g/ccを有するオレフィンブロックコポリマー)ペレットを、漏斗試験法を用いて粘着性について試験した。
【0084】
結果を表IIにまとめる。
【実施例3】
【0085】
本発明のサンプル:NORDEL(商標)IP 4770 R(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルの酸化ポリエチレンワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmであった。2つの分散体の混合物で被覆したこれらのサンプルは、単一の成分と比較して、又は10000ppmで被覆されたPEダストでのものと比較して、ブロッキング強度の実質的な改善を示した。これらの被覆ペレットは、遊離ダストを一切有さなかった。
【0086】
結果を表IIIにまとめる。
【実施例4】
【0087】
Affinity EG8842(エチレン−オクテンコポリマー)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルの酸化ポリエチレンワックス分散体と10マイクロメートルの平均粒径を有するポリエチレンAffinity PL1280(エチレン−オクタンコポリマー)の分散体との40重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラムコーター内でそれを転動させ、40℃の熱風でそれを乾燥させることによって被覆した。被覆レベルは、乾燥ベースで5000ppmであった。それらの被覆ペレットを、275 lb/ft及び42℃に24時間晒すことによって、ブロッキング性を試験した。これらの被覆ペレットは、遊離ダストを一切有さなかった。結果を表IVにまとめる。
【実施例5】
【0088】
Affinity(商標)GA1900(エチレン−オクテンコポリマー、密度0.870g/cc、ブルックフィールド粘度計(Brookfield)による350°Fでの(ASTM D 1084)最大粘度9600cPs、最小粘度6800cPs、目標粘度8200cPs)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルの酸化ポリエチレンワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。0.04マイクロメートル分散体の0.4マイクロメートル分散体に対する重量比は、1:4であった。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmであった。別のセットは、3000ppmでタルク(MP 10−52、Specialty Minerals社)で被覆した。分散体混合物で被覆したペレットは、遊離ダストを有さなかったのに対し、タルク被覆ペレットは、遊離ダストを示した。これらの被覆ペレットを、195 lb/ft及び42℃に2週間晒すことによって、ブロッキング性を試験した。結果を表Vにまとめる。分散体混合物で被覆したペレットが、被覆されていないサンプル及びタルクサンプルと比較して有意に低いブロッキング性(低い非拘束降伏強度(unconfined yield strength))を示したことがわかる。
【実施例6】
【0089】
Engage(商標)EG8400(密度0.870g/cc、メルトインデックス30g/10分を有するエチレン−オクテンコポリマー)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルの酸化ポリエチレンワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。0.04マイクロメートル分散体の0.4マイクロメートル分散体に対する3つの重量比、1:1、4:1及び1:4、を試験した。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmに維持された。別のセットは、3000ppmでタルク(MP 10−52、Specialty Minerals社)で被覆した。分散体混合物で被覆したペレットは、遊離ダストを有さなかったのに対し、タルク被覆ペレットは、遊離ダストを示した。これらのペレットサンプルを、195 lb/ft及び37℃に3週間晒すことによって、ブロッキング性を試験した。タルク被覆物及び被覆されていないペレットに比べて性能の有意な改善を見ることができた。結果を表VIにまとめる。
【実施例7】
【0090】
Engage(商標)EG8400(密度0.870g/cc、メルトインデックス30g/10分を有するエチレン−オクテンコポリマー)ペレットを、平均粒径0.04マイクロメートルのポリエチレンオキシドワックス分散体と0.4マイクロメートルの平均粒径を有するポリエチレンオキシドワックス分散体との30重量パーセント固形分混合物を有する被覆剤組成物で、ドラム内で転動しているそれらのペレットにそれらの分散液を塗布し、その後、40℃の熱風で乾燥させることによって被覆した。0.04マイクロメートル分散体の0.4マイクロメートル分散体に対する様々な比率、すなわち1:1及び1:4、を試験した。被覆レベルは、乾燥ベースで3000ppmであった。
【0091】
漏斗試験法を用いて、それらのペレットを粘着性について試験した。2つの別個のサンプルを42℃で14日間加熱し、その後、21℃に冷却した。流出速度を初期速度と、及び同じ被覆レベルでのタルク被覆サンプルと比較した。流出速度の+15パーセントより大きい減少は、表面粘着性の有意な増加を示す。負の値は、被覆サンプルが時間の経過とともに粘着性が低くなることを意味する。エマルジョン/分散体混合物で被覆したサンプルは、粘着防止挙動の実質的な改善を示す。これらの被覆ペレットは、遊離ダストを一切有さなかった。結果を表VIIにまとめる。
【実施例8】
【0092】
0.866の総合密度を有する高メルトインデックス(約15g/10分)のEOコポリマーペレットを、40nmの平均粒径を有するPEワックスエマルジョン(DOWX(商標)27)と水に溶解させたCoathylene(商標)HA2454 LDPE(粒径10から22□m)の分散体との混合物で被覆した。被覆は、その混合物をそれらのペレットに噴霧し、その後、それらのペレットを回転ドラム内で転動させながら熱風で乾燥させることによって行った。被覆されていないペレットにMP 10−52(Specialty Minerals社)をダスチングすることによって、参照サンプルを生成した。
【0093】
それらの被覆ペレットをブロッキング及び粘着性能について試験した。図9を参照すると、本明細書に記載した本発明の被覆剤組成物で被覆したペレットは、タルク参照ペレットと比較して粘着性の有意な改善を示す。図10を参照すると、長期ブロッキング試験結果は、タルク被覆物と比較してブロッキング性能の有意な改善を示す。
【実施例9】
【0094】
0.866の総合密度を有する高メルトインデックス(約15g/10分)のEOコポリマーペレットを、40nmの平均粒径を有するPEワックスエマルジョン(DOWX(商標)28)とAffinity(商標)8402(平均粒径1□m)の水性分散体の混合物で被覆した。被覆は、その混合物をそれらのペレットに噴霧し、その後、それらのペレットを回転ドラム内で転動させながら熱風で乾燥させることによって行った。被覆されていないペレットにMP 10−52タルク(Specialty Minerals社)をダスチングすることによって、参照サンプルを生成した。それらの被覆ペレットをブロッキング及び粘着性能について試験した。図11を参照すると、本明細書に記載した本発明の被覆剤組成物で被覆したペレットは、タルク参照ペレットと比較して粘着性の有意な改善を示す。相対粘着性指数の負の値は、ペレット粘着性が時間の経過とともに改善されたことを意味する。図12を参照すると、長期ブロッキング試験結果は、タルク被覆物と比較してブロッキング性能の有意な改善を示す。
【実施例10】
【0095】
0.866の総合密度を有する高メルトインデックス(約15g/10分)のEOコポリマーペレットを、比率90/10での水性分散体Affinity(商標)8402及びPrimacor(商標)5990で被覆した。Affinity(商標)8402分散体へのPrimacor(商標)5990の添加により、ペレット表面の遊離ダストが減少する。被覆は、それらのペレットに本発明の被覆剤を噴霧し、その後、それらのペレットを回転ドラム内で転動させながら熱風で乾燥させることによって行った。それらの被覆ペレットをブロッキング及び粘着性能について試験した。図13を参照すると、長期ブロッキング試験結果は、タルク被覆ペレットと比較して、本明細書に記載した本発明の被覆剤組成物で被覆したペレットのブロッキング性能の有意な改善を示す。図6を参照すると、本明細書に記載した本発明の被覆剤組成物で被覆したペレットは、タルク参照ペレットと比較して粘着性の有意な改善を示す。
【0096】
試験方法
試験方法は、以下のものを含む。
密度は、イソプロパノール中で、ASTM D 792−03、方法Bに従って測定した。
メルトインデックス(I)は、ASTM−D−1238−03に従って2.16kgの荷重下、190℃で測定した。
メルトインデックス(I)は、ASTM−D−1238−03に従って5.0kgの荷重下、190℃で測定した。
メルトインデックス(I10)は、ASTM−D−1238−03に従って10.0kgの荷重下、190℃で測定した。
メルトインデックス(I21)は、ASTM−D−1238−03に従って21.6kgの荷重下、190℃で測定した。
【0097】
平均粒径は、Beckman Coulter社の LS 13 320レーザ回折粒径分析装置(Laser Diffraction Particle Size Analyzer)によって判定した。
【0098】
ブロッキー性試験
様々な軟質弾性ペレットのブロッキー性を定量し、それらがブロッキング(又は集塊化)する可能性を見積もるために、以下の試験を用いた。ペレットの所与のサンプルを、所定の応力条件(□)下、貯蔵温度で、所定の期間、圧密する。その後、Instron(商標)機械を使用して、そのサンプルを一定歪速度で一軸圧潰する。そのサンプルの圧縮破壊に対応するピーク応力(□)がペレットブロッキー性の測度である。
【0099】
試験条件を標準化するために、最高応力の標準値を様々な輸送モードについて計算する。最大応力(lb/ft)は、かさ密度(lb/ft)に材料の全高(ft)を掛けることによって計算する。37℃の温度が試験のための温度基準であった。
【0100】
それらのペレットを、高さ対直径比が2.5である2’’直径シリンダーに充填する。それは、ホースクランプによって一緒に保持された両半分で構成されている。適切な圧密荷重をかける。荷重下のペレットを37℃の炉内に長期間(典型的には4から16週間)放置する。
【0101】
その後、炉からセルを取り出し、圧密荷重を除去して21℃の環境チャンバ内に一晩放置して冷却する。そのセルをInstron(商標)試験機のプラットホームに載せる。ホースクランプを除去した後、両半分の分割セルを分離する。材料が完全に易流動性である場合、それらのペレットは、シリンダーの形状を保持せず、単に集まって積み重なるであろう。ペレットの圧密塊が柱体の形状を保持する場合、Instron(商標)機械を使用して、そのシリンダーを圧潰するために必要な最大力を測定する。2mm/分の一定歪速度をこの試験に用いた。典型的な力対時間プロットにおいてピーク強度又はピーク力を、シリンダーの断面積で除算したものを非拘束降伏強度と呼ぶ。この非拘束降伏強度(lb/ft)は、応力、時間及び温度履歴を受けたペレットのブロッキー性の測度である。ゼロ値は、易流動性ペレットに相当する。
【0102】
ペレット粘着性のための漏斗試験
ペレット−ペレット粘着性を定量するために、漏斗試験を用いた。この試験は、粒子間相互作用(粘着性)が増加すると、急勾配漏斗(steep funnel)から出ていく流出速度が低下するという基本概念に基づく。流出速度の変化をサンプルの表面特性の変化に関係づけることができる。
【0103】
試験装置は、シリンダー(直径4.15インチ)に取り付けた急勾配ガラス漏斗からなる。統計のために試験を5回繰り返した。ペレットの流出速度は、そのまま、及びそれらを所与の温度で所定の期間調整した後に測定する。調整されたペレットを一定温度に達するように21℃で一晩冷却する。樹脂をそのまま試験するための漏斗試験の工程は、(1)漏斗への約2500gのペレットの投入、(2)ペレットの完全流出にかかる時間の測定、及び(3)試験の5回反復、を含む。硬化樹脂を試験するための漏斗試験の工程は、(1)次の温度(21/37/42℃)でX(4及び8)週間、約2500gのサンプルの硬化、(2)炉からのサンプルの除去及び21℃で12時間それを放置して冷却、(3)漏斗へのペレットの投入、(4)ペレットの完全流出にかかる時間の測定、及び(5)試験の5回反復、を含む。
【0104】
流出速度の変化を初期速度で正規化して、無次元量であるRSI(相対粘着性指数)を得る。
RSI(パーセント)=(流出速度の変化(新しいサンプル−調整後))/(新しいサンプルの流出速度)×100
【0105】
流出速度は、重量によって測定されたもの(lb/秒)であってもよく、又は容量によって測定されたもの(fr/秒)であってもよい。
【0106】
新しいサンプルの流出量で正規化し、分数の分子の流出速度の変化を用いることにより、造粒及び摩擦の影響を除去することができる。
【0107】
この指数は、相対的であり、絶対的ではない。粘着性又はタックの変化を(粘着性/タックがない)新たなサンプルと比較して測定する。
【0108】
標準CRYSTAF法
スペイン、バレンシアのPolymerChar社から市販されているCRYSTAF 200ユニットを使用して晶出分析分別(CRYSTAF)により分岐分布を判定する。サンプルを160℃の1,2,4トリクロロベンゼンに1時間溶解し(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95から30℃にわたる。赤外線検出装置を使用して、ポリマー溶液濃度を測定する。温度を低下させながらポリマーが晶出するにつれて、累積可溶濃度を測定する。この累積プロフィールの分析導関数は、ポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0109】
CRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、スペイン、バレンシアのPolymerChar社)に含まれているピーク分析モジュールによって、CRYSTAFピーク温度及び面積を特定する。CRYSTAFピーク検出ルーチンは、dW/dT曲線の最大値としてピーク温度を特定し、そしてその微分曲線中の特定されたピークの両側の正の最大変曲点間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメータは、70℃の温度限界を有し、この温度限界より上では0.1及びこの温度限界より下では0.3の平滑パラメータを有する。
【0110】
曲げ/割線弾性率/貯蔵弾性率
ASTM D 1928を用いてサンプルを圧縮成形する。曲げ弾性率及び2パーセント割線弾性率は、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率は、ASTM D 5026−01又は等価の技術に従って測定する。
【0111】
DSC標準法
RCS冷却補助装置及びオートサンプラーを具備したTAI model Q1000 DSCを使用して、示差走査熱量測定の結果を判定する。50mL/分の窒素パージガス流を用いる。サンプルを薄膜にプレスし、約175℃でプレス内で溶融し、その後、室温(25℃)に空冷する。その後、3から10mgの材料を直径6mmのディスク状に切断し、正確に秤量し、軽量のアルミ皿(約50mg)の中に入れ、その後、圧着する。そのサンプルの熱挙動を以下の温度プロフィールで検討する。サンプルを急速に180℃に加熱し、等温で3分間保持して以前の熱履歴を除去する。その後、そのサンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。その後、そのサンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。
【0112】
DSC融解ピークは、−30℃と融解終点との間に引いた直線ベースラインに関して熱流量(W/g)の最大値として測定される。融解熱は、直線ベースラインを用いて−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
【0113】
DSCの較正は、以下のように行う。先ず、アルミニウムDSC皿にサンプルを入れずに−90℃からDSCを実行することによってベースラインを得る。次に、7ミリグラムの新たなインジウムサンプルを、このサンプルを180℃に加熱し、10℃/分の冷却速度で140℃に冷却後、140℃で1分間等温維持し、続いて毎分10℃の加熱速度で140℃から180℃へ加熱することによって分析する。インジウムサンプルの融解熱及び溶融開始を決定し、溶融開始が0.5℃から156.6℃の範囲内であり、融解熱が0.5J/gから28.71J/gの範囲内であることを確認する。次に、DSC皿内の新たなサンプルの小滴を毎分10℃の冷却速度で25℃から−30℃に冷却することによって、脱イオン水を分析する。そのサンプルを2分間、−30℃で等温維持し、毎分10℃の加熱速度で30℃に加熱する。溶融開始を決定し、0.5℃から0℃の範囲内であることを確認する。
【0114】
GPC法
ゲル透過クロマトグラフシステムは、Polymer Laboratories社のModel PL−210又はPolymer Laboratories社のModel PL−220のいずれかの装置から構成される。カラム及びカルーセル区画を140℃で動作させる。3つのPolymer Laboratories 10マイクロメートル Mixed Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中、0.1グラムのポリマー濃度で、サンプルを調製する。160℃で2時間軽く攪拌することによってサンプルを調製する。用いた注入量は、100マイクロリットルであり、流量は、1.0mL/分である。
【0115】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも10の隔たりを有する6の「カクテル」混合物で準備した、580から8400000にわたる分子量範囲を有する21の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質で行う。これらの標準物質は、Polymer Laboratories社(英国、シュロップシャー州)から購入する。それらのポリスチレン標準物質を、1000000又はそれ以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、及び1000000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製する。それらのポリスチレン標準物質を80℃で穏やかに攪拌しながら30分間溶解させる。狭い標準物質混合物を最初に、そして最大分子量成分から漸減順序で実行して分解を最小にする。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、(Williams and Ward, J. Polym. Scil., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載されているように)次の等式を用いてポリエチレン分子量に換算する。
ポリエチレン=0.431(Mポリスチレン
【0116】
ポリエチレン当量分子量計算は、Viscotek TriSECソフトウェアVersion 3.0を使用して行う。
【0117】
ATREF
分析昇温溶出分別法(ATREF)分析は、米国特許第4,798,081号及びWilde, L.; Ryle, T.R.; Knobeloch, D.C.; Peat, I. R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982)(これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている方法に従って行う。分析する組成物をトリクロロベンゼンに溶解し、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)が入っているカラムにおいて0.1℃/分の冷却速度で温度を20℃にゆっくりと低下させることによって晶出させる。このカラムは、赤外線検出器を具備している。その後、1.5℃/分の速度で溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を20℃から120℃にゆっくりと上昇させることによりそのカラムから晶出ポリマーサンプルを溶出することによって、ATREFクロマトグラム曲線を作成する。
【0118】
13C NMR分析
10mmのNMRチューブ内の0.4gのサンプルにおよそ3gのテトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を添加することによってサンプルを調製する。そのチューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって、それらのサンプルを溶解し、均質化する。JEOL Eclipse(商標)400MHzスペクトロメーター又はVarian Unity Plus(商標)400MHzスペクトロメーターを使用して、100.5MHzの13C共鳴振動数に対応するデータを収集する。データは、6秒パルス繰返し時間遅延で1データファイル当たり4000のトランジェントを用いて収集する。定量分析のため信号対雑音比を最小にするために、多数のデータファイルを足し合わせる。スペクトル幅は、25000Hzであり、最小ファイルサイズは、32Kデータ点である。サンプルを、10mm広帯域プローブで、130℃で分析する。Randallのトライアッド法(Randall, J. C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317 (1989)(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる))を用いて、コモノマー組込みを判定する。
【0119】
機械的特性−引張、ヒステリシス及び引裂
ASTM D 1708微小引張試験片を使用して一軸伸張で応力−歪挙動を測定する。サンプルを、Instronで、21℃で500パーセント・分−1で延伸する。破断点引張強度及び伸びを5つの試験片の平均から報告する。
【0120】
Instron(商標)装置でASTM D 1708微小引張試験片を使用して100パーセント及び300パーセント歪へと繰返し荷重をかけることで100パーセント及び300パーセントヒステリシスを判定する。サンプルに対する267パーセント・分−1での荷重及び徐荷を21℃で3サイクル行う。300パーセント及び80℃でのサイクル実験は、環境チャンバを用いて行う。80℃実験では、試験前にサンプルを試験温度で45分間放置して平衡させる。21℃、300パーセント歪のサイクル実験では、第1の徐荷サイクルからの150パーセント歪時の収縮応力を記録する。すべての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻った時点での歪を用いて、第1の除荷サイクルから計算する。回復パーセントは、
【数1】


と定義され、式中、□は、繰返し荷重のために得られた歪であり、□は、第1の除荷サイクル中に荷重がベースラインに戻る歪である。
【0121】
ブロックインデックス
エチレン/α−オレフィン共重合体は、ゼロより大きく、約1.0までの平均ブロックインデックスABI、及び約1.3より大きい分子量分布M/M、を特徴とする。平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分(他の温度増分、例えば1℃、2℃、10℃、も用いることができる)で20℃から110℃までの分取TREF(すなわち、昇温溶出分別法によるポリマーの分別)で得られるポリマー画分のそれぞれについてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均である。
【数2】


式中、BIは、分取TREFで得られた本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体のi番目の画分についてのブロックインデックスであり、wは、そのi番目の画分の重量パーセントである。同様に、その平均についての二次モーメントの平方根(以降、二次モーメント重量平均ブロックインデックスと呼ぶ)は、次のように定義することができる。
【数3】


式中、Nは、ゼロより大きいBIを有する画分の数と定義する。BIは、次の2つの等式(これらの両方が同じBI値を与える)の1つによって定義される。
【数4】


式中、Tは、i番目の画分についてのATREF(すなわち、分析TREF)溶出温度(好ましくは、ケルビンで表される)であり、Pは、i番目の画分についてのエチレンモル分率であり、これは、以下に説明するようなNMR又はIRによって測定することができる。PABは、(分別前の)全エチレン/α−オレフィン共重合体のエチレンモル分率であり、これもNMR又はIRによって測定することができる。T及びPは、純粋な「ハードセグメント」(共重合体の結晶性セグメントを指す)についてのATREF溶出温度及びエチレンモル分率である。近似として、又は「ハードセグメント」組成が不明であるポリマーについては、そのT及びPの値を高密度ポリエチレンホモポリマーのものに設定する。
【0122】
ABは、オレフィンブロックコポリマーと同じ組成(PABのエチレンモル分率を有する)及び分子量のランダムコポリマーについてのATREF溶出温度である。TABは、次の等式を用いて、(NMRによって測定された)エチレンのモル分率から計算することができる。
LnPAB=α/TAB+β
式中、α及びβは、広い組成のランダムコポリマー及び/又は狭い組成を有する十分に特徴づけされたランダムエチレンコポリマーについての十分に特徴づけされた分取TREF画分の数を用いて較正することにより決定することができる2つの定数である。α及びβは装置によって変わることがあることに留意すべきである。さらに、対象となるポリマー組成に関する適切な較正曲線を、その較正曲線を作成するために用いる分取TREF画分及び/又はランダムコポリマーに適切な分子量範囲及びコモノマータイプを用いて作成する必要があるだろう。分子量の影響が僅かにある。同様の分子量範囲から較正曲線が得られれば、そのような影響を本質的に無視することができる。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマー及び/又はランダムコポリマーの分取TREF画分は、次の関係を満たす。
LnP=−237.83/TATREF+0.639
【0123】
上記較正方程式は、エチレンのモル分率Pを、狭い組成のランダムコポリマーの分析TREF溶出温度TATREF、及び/又は広い組成のランダムコポリマーの分取TREF画分に関係づける。TXOは、同じ組成(すなわち、同じコモノマータイプ及び含有率)及び同じ分子量の、ならびにエチレンモル分率Pを有する、ランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、測定されたモル分率Pから、LnPX=α/TXO+βにより計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成(すなわち、同じコモノマータイプ及び含有率)及び同じ分子量の、ならびにATREF温度Tを有する、ランダムコポリマーのエチレンモル分率であり、これは、測定値Txを用いて、LnPXO=α/T+βから計算することができる。
【0124】
それぞれの分取TREF画分についてのブロックインデックス(BI)が得られれば、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。
【0125】
本発明は、本発明の趣旨及び本質的特性を逸脱することなく他の形態で実施することができ、従って、本発明の範囲を示すものとして、上記の明細書ではなく、添付の各請求項を参照すべきである。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子微粒子、及び
前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物
を含む被覆高分子微粒子であって、
前記被覆剤組成物が、
連続媒質、及び
前記連続媒質に少なくとも部分的に包埋された少なくとも1つの孤立した島
を含む、被覆高分子微粒子。
【請求項2】
前記連続媒質は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスから得られ、前記少なくとも1つの孤立した島は、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンから得られる、請求項1に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項3】
前記ポリオレフィンワックスは、0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有し、前記非ワックスポリオレフィンは、0.3から10μmの範囲の平均粒径を有する、請求項2に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項4】
前記連続媒質は、0.02から0.05μmの範囲の平均粒径を有する小さなポリマー粒子成分から得られ、前記少なくとも1つの孤立した島は、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有する大きなポリマー粒子成分から得られる、請求項1に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項5】
前記小さなポリマー粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスであり、前記大きなポリマー粒子成分は、350°F(≒176.6℃)で6000cpsまたはそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンである、請求項4に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項6】
前記高分子微粒子は、粉末、マイクロペレット及びペレットからなる群より選択される形態を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項7】
前記高分子微粒子は、ポリオレフィンである、請求項1から6のいずれか1項に記載の被覆高分子微粒子。
【請求項8】
高分子微粒子、及び
前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物
の被覆剤塗布を含む被覆高分子微粒子であって、
前記被覆剤組成物は、
0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、
0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、
水と
を含む水性分散体を含む、被覆高分子微粒子。
【請求項9】
高分子微粒子、及び
前記高分子微粒子の少なくとも1つの表面上の少なくとも一部に存在する被覆剤組成物
の被覆剤塗布を含む被覆高分子微粒子であって、
前記被覆剤組成物は、
350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分と、
350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分と、
水と
を含む水性分散体を含む、被覆高分子微粒子。
【請求項10】
高分子微粒子を選択する工程と、
0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む小さな粒子成分と、0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリオレフィンポリマーを含む大きな粒子成分と、水とを含む水性分散体を選択する工程と、
前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程と、
それによって前記高分子微粒子を被覆する工程と
を含む、高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項11】
高分子微粒子を選択する工程と、
350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分と、350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分と、水とを含む水性分散体を選択する工程と、
前記水性分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程と、
それによって前記高分子微粒子を被覆する工程と
を含む、高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項12】
前記水の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、請求項10又は11に記載の高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項13】
高分子微粒子を選択する工程と、
350°F(≒176.6℃)で6000cps未満の粘度を有するポリオレフィンワックスを含む小さな粒子成分を含む第1の水性分散体を選択する工程と、
350°F(≒176.6℃)で6000cps又はそれ以上の粘度を有する非ワックスポリオレフィンを含む大きな粒子成分を含む第2の分散体を選択する工程と、
前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程と、
それによって前記高分子微粒子を被覆する工程と
を含む、高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項14】
高分子微粒子を選択する工程;
0.02から0.15μmの範囲の平均粒径を有するポリマーを含む小さな粒子成分を含む第1の水性分散体を選択する工程と、
0.3から0.8μmの範囲の平均粒径を有するポリマーを含む大きな粒子成分を含む第2の分散体を選択する工程と、
前記第1の分散体及び前記第2の分散体を前記高分子微粒子に塗布する工程と、
それによって前記高分子微粒子を被覆する工程と
を含む、高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項15】
前記第1の分散体及び前記第2の分散体は、前記高分子微粒子に塗布される前に混合される、請求項13又は14に記載の高分子微粒子を被覆する方法。
【請求項16】
前記第1の分散体及び前記第2の分散体は、前記高分子微粒子に同時に塗布される、請求項13又は14に記載の高分子樹脂を被覆する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−539289(P2010−539289A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524919(P2010−524919)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/075008
【国際公開番号】WO2009/035877
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】