説明

装填機構を持つディスクドライブユニット

ディスクを挿入又は取り外すために壁に開口部(5)を持つ筐体(1)を有する、ディスク装填機構を持つディスクドライブユニット。ディスクドライブ(9)は前記筐体に収容される。ディスクを前記筐体の開口部を通して受容し、該ディスクを前記ディスクドライブとの係合に導くため、装填機構は滑動部(6)を有する。該滑動部は、ディスクを受容するための第1の位置と、前記開口部をカバーし前記ディスクドライブを前記ディスクに係合させるための第2の位置との間で、前記筐体及び前記ディスクドライブに対して滑動可能である。前記滑動部は、開口部が設けられた筐体の壁に略沿って滑動可能であり、前記筐体の開口部を通して前記ディスクを受容するように構成される。このことは、ディスクドライブユニットの堅固で小型な構造に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装填機構を持つディスクドライブユニットに関し、より詳細には、
筐体であって、前記筐体にディスクを挿入するための又は前記筐体からディスクを取り外すための開口部を前記筐体の壁に持つ筐体と、
前記筐体に収容され、ディスクからデータを読み取る又はディスクにデータを書き込むことを可能とするために前記ディスクを係合し回転させるように構成されたディスクドライブと、
前記筐体の前記開口部を通してディスクを受容し、前記ディスクを前記ディスクドライブとの係合に導くための、及びその逆のための装填機構とを有し、前記装填機構は、
ディスクを受容するための第1の位置と、前記開口部をカバーし前記ディスクドライブが前記ディスクと係合することを可能とする第2の位置との間で、前記筐体及び前記ディスクドライブに対して滑動可能な滑動部を有するディスクドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装填機構を持つディスクドライブユニットは、とりわけオーディオ、ビデオ及びコンピュータ装置において広く利用されている。これらの装置のほとんどは、据え置き型の装置である。これらの据え置き型の装置のディスク装填機構は、引き出し装置(drawer)の形をとる滑動部を含む。前記引き出し装置は、ディスクが前記引き出し装置に配置されることができるようにするために筐体から突出した第1の位置と、開口部を閉じ前記ディスクドライブが前記ディスクを回転させることを可能とするために前記引き出し装置が後退した第2の位置とを持つ。かようなディスク装填機構の例はドイツ国特許出願公開DE-A-3443070に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したようなディスク装填機構は比較的壊れやすいため、これらの機構はモバイル用途、とりわけ小型装置においては非常に適してはいない。かような小型装置の引き出し装置は更に繊細となり得、電話等のような、かようなモバイル装置の輸送や取り扱いによる損傷のより大きなリスクがある。
【0004】
本発明の目的は、ディスク装填機構を持つ新たなディスクドライブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的を達成するため本発明は、装填機構が、前記開口部が設けられた前記筐体の壁に略沿って滑動可能であり、前記筐体の前記開口部を通して前記ディスクを受容するように構成される滑動部を有するディスクドライブユニットを提供する。
【0006】
本発明の特徴のため、前記滑動部は該滑動部の第1の位置即ち開いた状態において前記筐体から垂直に突出しない。これにより前記滑動部に対する損傷のリスクを低減させる。このことは前記ディスクドライブユニットを、モバイル型及び/又はハンドヘルド型装置における利用のためにより適したものとする。
【0007】
前記滑動部は、前記滑動部に前記ディスクを受容するためのトレイを有し、前記トレイは、底部と前記筐体の隣接する壁に接して密封する垂直な壁とを持つことが好ましい。
【0008】
とりわけ所謂スモール・フォーム・ファクタ光(SFFO)ディスクドライブに関する場合、前記ディスクドライブの読み取り/書き込みヘッドの動作に悪影響を与え得る埃又は他の汚染物の筐体内への侵入を、前記滑動部のトレイの当該密封が制限する。
【0009】
一実施例においては、前記滑動部及び前記ディスクドライブは、前記ディスクドライブのシャフトを前記ディスクとの係合へ導き、及び前記係合から脱するように、前記滑動部の滑動移動の間に相対運動を実現するように結合されて動作する。単純な実施例においては、前記滑動部及び前記ディスクドライブは、動作機構を通して機構的に結合される。この一実施例においては、前記動作機構は、前記滑動部及び前記ディスクドライブのうちの一方に少なくとも1つの溝を有し、前記溝は前記滑動部の滑動方向に略平行な方向に対してわずかにずれており、前記動作機構は更に、前記滑動部及び前記ディスクドライブのうちの他方において、前記相対運動を実現するため前記溝へ係合するように構成された係合部材を有する。
【0010】
このようにして、ディスクドライブの非常に単純な機構的な動作が得られる。この機構的な係合は、前記ディスクドライブの並進運動又はピボット運動に関する。
【0011】
単純な実施例においては、前記滑動部は手動で滑動可能であり、ここで前記滑動部は例えば、前記筐体の外部の誘導部において誘導され、前記誘導部は好ましくは、前記開口部を持つ前記壁に隣接する前記筐体の壁に配置され、前記滑動部の移動の方向に平行に延在することが更に可能である。このようにして、前記滑動部が手動で容易に操作可能となり、この構造は前記装填機構の小さな構造高さにも導き得る。
【0012】
特定の実施例においては、前記滑動部は、前記滑動部が前記第2の位置にあるときに、前記筐体の壁における前記開口部をカバーするような大きさにされたカバーを有し、前記カバーは、好ましくは前記筐体の外部において、前記開口部を含む前記筐体の壁に沿って滑動する。このとき、前記カバーと前記トレイは互いに略隣接して配置される。本実施例においては、前記カバーが、ディスプレイ又はキー等のような、前記ディスクドライブユニットの操作手段を備え、前記カバーと前記筐体との間に電気的な結合がある場合に有利である。この結果、前記カバー又は前記開口部による操作手段の配置のために前記筐体の壁のエリアが無駄にならない。前記カバーが前記第2の位置にあるときに、ディスプレイ又はキー等のような、前記ディスクドライブユニットの操作手段をカバーするように前記カバーが構成される場合、空間を無駄にすることの更なる削減が達成される。
【0013】
本発明の更なる詳細及び利点は、例として本発明の実施例を模式的に示す以下の図の説明において説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図、とりわけ図1乃至3は、本発明によるディスクドライブユニットの実施例を組み込んだ、モバイル電話又はPDA等のような電子モバイル装置を示す。前記装置/ディスクドライブユニットは、上壁2、横壁3及び底壁4を持つ筐体1を有する。
【0015】
本例において、ディスクAを前記ディスクドライブにおいて利用するために前記筐体に挿入するための開口部5が上壁2に備えられる。
【0016】
図示された実施例においては、ディスクAは好ましくは、ディスクAの動作に影響を与え得る埃、引っ掻き傷又は他の周囲の影響から該ディスクAを保護するためのカートリッジBの中に収容された光ディスクである。しかしながら本発明はまた、カートリッジのない光ディスク又は光ディスクではないディスクと協働することにも適している。
【0017】
前記ディスクドライブユニットの装填機構は、本例の場合においてはトレイ7及びカバー8を含む滑動部6を有する。トレイ7は、筐体の上壁2における開口部5を通してディスクA又はディスクカートリッジBを受容するように構成される。滑動部6は、第1の位置と第2の位置との間で、筐体1の上壁2に対して滑動可能である。前記第1の位置は、ディスクカートリッジBを挿入又は取り除くために、トレイ7が筐体の壁2における開口部5と略整合する位置である。前記第2の位置は、トレイ7及びトレイ7に収容されたディスクAが、ディスクドライブ9及びとりわけディスクドライブ9のドライブシャフト10と整合する位置である。前記第2の位置において、カバー8は筐体の壁2における開口部5をカバーする。
【0018】
滑動部6のトレイ7は、底部11及び4つの垂直な壁12を有する。垂直な壁12は、埃が筐体1に侵入することを防ぐため又は少なくとも十分な程度に制限するために、該垂直な壁12の上端で筐体の壁2の内側を封じるような大きさにされる。トレイ7の底部11は、ディスクドライブ9とディスクAとの協働、とりわけドライブシャフト10とディスクAの穴との係合を可能とし、ディスクドライブ9の読み取り/書き込みヘッド(図示されていない)がディスクAのデータ面エリアと協働するようにするためのアクセス開口部13を持つ。この目的のため、カートリッジBもまた、(閉じることが可能な)アクセス開口部等を持つ。前記ディスクドライブユニットは、トレイ7の底部11におけるアクセス開口部13及びディスクカートリッジBにおけるアクセス開口部の開閉のための手段を備えても良い。通常どおり、前記ディスクドライブにおいて前記カートリッジを配置し、正しく配置されたカートリッジを検出するための手段を備える。更に前記ディスクドライブユニットは、前記ディスクドライブのモータが回転している限り、滑動部6を前記第2の位置に固定するための手段を有しても良い。
【0019】
ディスクドライブ9のドライブシャフト10のディスクAが、ハブ又は開口部と係合及び離脱すること可能とするために、ディスクドライブ9は滑動部6に対し、とりわけ滑動部6の移動の方向に対して略垂直な方向に移動可能である。ディスクドライブ9の移動は、平行移動、ピボット回転又は組み合わせられた移動であっても良い。図示された実施例においては、ディスクドライブ9は、筐体の壁2の開口部5に最も近いディスクドライブの側に備えられたピボット軸14のまわりにピボット回転可能である。単純な実施例においては、ディスクドライブ9及び/又はトレイ7は、滑動部6の滑動する方向に略平行だがわずかにずれた方向に主に延在する少なくとも1つのガイド溝(図示されていない)を備えられる。トレイ7及びディスクドライブ9のうちの他方は、前記ガイド溝に係合するように構成された、ピン又は何らかの他の突起物であっても良い係合部材を有する。
【0020】
前記ガイド溝の方向が滑動部6の移動の方向に対してわずかに角度を持つ場合には、滑動部6が第1の装填位置(図1)にあるとき、滑動部6の第2の装填位置(図2)への滑動運動の間、前記係合部材とガイド溝との係合が、ピボット軸14のまわりのディスクドライブ9のピボット運動を引き起こす。これらの運動は、図2において矢印で示されている。勿論、他の機構的な結合手段が想像可能であり、ディスクドライブ9がより高価な装置において電気的に移動させられても良い。代替として前記滑動部は、前記ディスクを前記ディスクドライブのドライブシャフトとの係合に導く、又は該係合から脱するようにする組み合わせられた運動を実行しても良い。
【0021】
図4は、カバー8が、滑動部6の移動の方向に平行に延在するカバー8の側面にガイド縁15を備えた場合を示す。ガイド縁15は、筐体1の横壁3におけるガイド溝17に係合するための低部の隆起16を有しても良い。このようにして、滑動部6の手動で駆動される滑動移動を可能とし誘導するために、滑動部6のカバー8は単純な方法で適切に誘導される。加えて又は代替として、トレイ7が筐体1の上壁2又は横壁3と協働するガイド手段をも含んでも良い。縁15は、手で滑動部6を移動させるために、滑動部6を把持するためにも利用される。
【0022】
カバー8の上面18は、キー、ディスプレイ又は他の手段のような、前記装置の操作手段を収容するために利用されても良い。これらの操作手段が筐体1との電気的又は電子的な結合を必要とする場合、例えば柔軟なワイヤ又は無線リンク等によって、滑動部6と筐体1との間に電気的又は電子的な結合が備えられても良い。更にカバー8は、滑動部6の前記第1の位置において、キー、ディスプレイ又は他の操作手段のような、前記装置の操作手段上を滑動させられるように構成されても良い。このようにして、筐体の上壁2及びカバー8の表面エリアの効率的な利用が為される。
【0023】
以上から、本発明が単純で、信頼性が高く、堅固で小型な装填機構を持つ、効果的に密封されるディスクドライブユニット及び装置を提供することは明らかである。
【0024】
本発明は、図において示されたような上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく幾つかの方法により変更させられることができる。前記ディスクは、例えば磁気的にのように、他の手段によって読み取り可能/書き込み可能であっても良い。前記滑動部は他の方法で誘導されても良く、略前記筐体内に配置されても良い。従って、前記ディスクドライブユニットはカートリッジのないディスクと協働するように構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるディスクドライブユニットの実施例を有する装置の非常に模式的な縦方向の断面図である。
【図2】別の位置における、本発明によるディスクドライブユニットの実施例を有する装置の非常に模式的な縦方向の断面図である。
【図3】別の位置における、本発明によるディスクドライブユニットの実施例を有する装置の非常に模式的な縦方向の断面図である。
【図4】図1乃至3の装置からの滑動部を示す、上からの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク装填機構を持つディスクドライブユニットであって、
筐体であって、前記筐体にディスクを挿入するための又は前記筐体からディスクを取り外すための開口部を前記筐体の壁に持つ筐体と、
前記筐体に収容され、ディスクからデータを読み取る又はディスクにデータを書き込むことを可能とするために前記ディスクを係合し回転させるように構成されたディスクドライブと、
前記筐体の前記開口部を通してディスクを受容し、前記ディスクを前記ディスクドライブとの係合に導くための、及びその逆のための装填機構とを有し、前記装填機構は、
ディスクを受容するための第1の位置と、前記開口部をカバーし前記ディスクドライブが前記ディスクと係合することを可能とする第2の位置との間で、前記筐体及び前記ディスクドライブに対して滑動可能な滑動部を有し、
前記滑動部は、前記開口部が設けられた前記筐体の壁に略沿って滑動可能であり、前記筐体の前記開口部を通して前記ディスクを受容するように構成されるディスクドライブユニット。
【請求項2】
前記滑動部は、前記滑動部に前記ディスクを受容するためのトレイを有し、前記トレイは、底部と前記筐体の隣接する壁に接して密封する垂直な壁とを持つ、請求項1に記載のディスクドライブユニット。
【請求項3】
前記トレイの前記底部は、前記ディスクへのアクセスを得るための、閉じることが可能な開口部を備える、請求項2に記載のディスクドライブユニット。
【請求項4】
前記滑動部の前記トレイは、前記開口部を持つ前記筐体の壁の内側に沿って、前記筐体内を滑動可能に誘導される、請求項2又は3に記載のディスクドライブユニット。
【請求項5】
前記滑動部及び前記ディスクドライブは、前記ディスクドライブのシャフトを前記ディスクとの係合へ導き、及び前記係合から脱するように、前記滑動部の滑動移動の間に相対運動を実現するように結合されて動作する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスクドライブユニット。
【請求項6】
前記滑動部及び前記ディスクドライブは、動作機構を通して機構的に結合される、請求項5に記載のディスクドライブユニット。
【請求項7】
前記動作機構は、前記滑動部及び前記ディスクドライブのうちの一方に少なくとも1つの溝を有し、前記溝は主に前記滑動部の滑動方向に略平行な方向に延在し、前記動作機構は更に、前記滑動部及び前記ディスクドライブのうちの他方において、前記相対運動を実現するため前記溝へ係合するように構成された係合部材を有する、請求項6に記載のディスクドライブユニット。
【請求項8】
前記ディスクドライブは、前記開口部に最も近い前記ディスクドライブの側における軸であって、前記滑動部の移動の方向に略垂直に且つ前記ディスクドライブに略平行に延在する軸のまわりにピボット回転可能である、請求項6又は7に記載のディスクドライブユニット。
【請求項9】
前記滑動部は手動で滑動可能である、請求項8に記載のディスクドライブユニット。
【請求項10】
前記滑動部は、前記筐体の外部の誘導部において誘導され、前記誘導部は好ましくは、前記開口部を持つ前記壁に隣接する前記筐体の壁に配置され、前記滑動部の移動の方向に平行に延在する、請求項9に記載のディスクドライブユニット。
【請求項11】
前記滑動部は、前記滑動部が前記第2の位置にあるときに、前記筐体の壁における前記開口部をカバーするような大きさにされたカバーを有し、前記カバーは、好ましくは前記筐体の外部において、前記開口部を含む前記筐体の壁に沿って滑動する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のディスクドライブユニット。
【請求項12】
前記カバー及びトレイは、互いに略隣接して配置される、請求項4又は11に記載のディスクドライブユニット。
【請求項13】
前記カバーは、ディスプレイ又はキー等のような、前記ディスクドライブユニットの操作手段を備え、前記カバーと前記筐体との間に電気的な結合がある、請求項11又は12に記載のディスクドライブユニット。
【請求項14】
前記カバーは、前記カバーが前記第2の位置にあるときに、ディスプレイ又はキー等のような、前記ディスクドライブユニットの操作手段をカバーするように構成される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のディスクドライブユニット。
【請求項15】
モバイル電話のような携帯型のハンドヘルド装置に組み込まれた、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のディスクドライブユニット。
【請求項16】
開くことが可能なカートリッジに収容されたディスクを用いて利用されることを意図された、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のディスクドライブユニットであって、前記カートリッジを配置及び/又は開く手段を有するディスクドライブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−505084(P2006−505084A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547852(P2004−547852)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004288
【国際公開番号】WO2004/040568
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】