説明

装置

【課題】冷却効果の持続性と発泡したエアゾール原液が破泡する際に生じる音の持続性が高く、更に破泡に対する皮膚感触によるマッサージ効果も比較的長期に渡って得られるボディケア製品の提供を図る。
【解決手段】 エアゾール原液と噴射剤としての液化ガスとを封入したエアゾール容器と、このエアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が塗布され得る被塗布面を備えると共に被塗布面を人体へ当てがうことができる柔軟シート体とを有する。エアゾール原液は、水溶性高分子0.05〜10重量%、界面活性剤0.1〜10重量%、油分0.5〜20重量%とを配合する。エアゾール原液10重量部と、液化ガス10〜90重量部とをエアゾール容器に封入する。所定の吸水率の繊維製のシート状体を、柔軟シート体のエアゾールの被塗布面に配位し、この被塗布面にエアゾールを塗布して人体にあてがう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ボディケア、特に冷却を必要とするボディケア製品に関するに関するもである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷却するためのエアゾールの開発は数多くあり、例えば特許文献1のように噴射物がシャーベット状に噴出され冷却するものや、特許文献2のようにパチパチと音を立てて冷却するものが提案されている。
【0003】
これらのエアゾールは瞬時の冷却効果が高く、局部的に使用する場合は有効であるが、足の裏やふくらはぎ、肩の広い範囲に使用する場合は、塗布したエアゾールを手でのばす必要があり、特許文献1に係るシャーベット状のものは直ぐに解けて冷却効果はなくなり、また特許文献2のパチパチ音を立てるものにあっても同様で、塗りのばすと直ぐにパチパチ音がなくなり冷感もなくなってしまうものである。
【0004】
【特許文献1】特開平09−221415号
【特許文献2】特開2003−335629号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記の事情に鑑み、冷却効果の持続性と発泡したエアゾール原液が破泡する際に生じる音(パチパチ音)の持続性が高く、更に破泡に対する皮膚感触によるマッサージ効果も比較的長期に渡って得られるボディケア製品を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1記載の発明は、エアゾール原液と噴射剤としての液化ガスとを封入したエアゾール容器と、このエアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が塗布され得る被塗布面を備えると共に被塗布面を人体へ当てがうことができる柔軟シート体とを有し、上記のエアゾール原液は、水溶性高分子0.05〜10重量%、界面活性剤0.1〜10重量%、油分0.5〜20重量%とを少なくとも配合したものであり、このエアゾール原液10重量部と、液化ガス10〜90重量部とがエアゾール容器に封入されたものであり、式1で求められる吸水率が1〜200%の繊維製のシート状体が、柔軟シート体におけるエアゾールの被塗布面に配位されたものであることを特徴とする冷却効果を発揮するボディケア製品を提供する。
(式1)吸水率=(W1−W0)/W0×100
但し、W1は試料を蒸留水に約2時間浸漬し、遠心分離器に入れ4000rpmで4分間脱水した後の試料の重量であり、W0は試料の絶乾重量である。
本願の請求項2に係る発明は、エアゾール原液と噴射剤とを封入したエアゾール容器と、このエアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が噴射剤を包含した状態で塗布され得る被塗布面を備えると共に被塗布面を人体へ当てがうことができる柔軟シート体とを有し、上記のエアゾール原液は水溶性高分子と界面活性剤とを含有し、このエアゾール原液と噴射剤とがエアゾール容器に封入されると共に、エアゾール容器から噴射され塗布された状態のエアゾール原液が噴射剤を包含して発泡していると共に破泡時に破泡音を発するものであり、式1で求められる吸水率が10〜200%のシート状体が、柔軟シート体におけるエアゾールの被塗布面に配位されたものであることを特徴とする冷却効果を発揮するボディケア製品を提供する。
(式1)吸水率=(W1−W0)/W0×100
但し、W1は試料を蒸留水に約2時間浸漬し、遠心分離器に入れ4000rpmで4分間脱水した後の試料の重量であり、W0は試料の絶乾重量である。
本願の請求項3に係る発明は、柔軟シート体の全体が上記のシート状体で構成されると共に、その表面に起毛を備えたものであり、柔軟シート体は被塗布面を人体へ接触させた状態で人体に巻き付けて固定できる構成を備えたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のボディケア製品を提供する。
【0007】
本願発明に用いることのできる水溶性高分子としては、発泡性と破泡時の発音性の簡単から、セルロース系高分子、ガム質高分子が特に適するが、これ以外にあっても、発泡性と破泡時の発音性とを満足させれば、適宜選択して使用できる。この種の水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、カチオン化グアガム、ジェランガム、ローカストビンガム、デキストリン、ペクチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどが例示できる。
【0008】
この水溶性高分子は、エアゾール原液中に0.05〜10重量%配合することが適当であり、水溶性高分子の量が少ない場合には、液化ガスを噴射されたエアゾール原液内で保持する時間が短くなり、破泡の継続時間を長くすることが困難であり、多すぎる場合は、エアゾール原液の粘度が高くなりすぎてしまう。
【0009】
界面活性剤は、エアゾール原液の配合成分同士を乳化させると共に、エアゾール原液にと液化ガスとを乳化し、噴射されるエアゾール原液中に液化ガスを保持させることができ、破泡時に発音させることができるものであればよく、非イオン型界面活性剤、陰イオン型界面活性剤、陽イオン型界面活性剤、両性型界面活性剤、高分子型界面活性剤、シリコーン型界面活性剤、天然型界面活性剤など、種々の界面活性剤を少なくとも1種使用できる。エアゾール原液中に0.1〜10重量%配合するのが適当である。より適切な界面活性剤を例示すれば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(以下、POEという)グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEエチソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POEステロール、POE水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル(POEステアリルエーテルなど)、POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEラノリン、POEラノリンアルコール、POEミツロウ誘導体、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、POEアルキルエーテルリン酸、POEアルキルエーテルリン酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩(Na, K, アンモニウム塩など)、C12〜C20のアルキルエーテルカルボン酸塩、C12〜C20高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩(例えばスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなど)、C12〜C20のアルキルリン酸塩、C12〜C20のアルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、C12〜C20の高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪酸アルカノールアミドなどを挙げることができる。
【0010】
油分とは水に溶けない液状の成分のことをいい、特に限定されないが炭化水素(イソペ
ンタン、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィンなど)、エ
ステル油(ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、
ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、乳酸セチルなど)、シリコーン油(ジ
メチルシリコーン、環状シリコーン)、油脂(オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、ツバキ油、
アマニ油、ホホバ油など)が例示できる。この油分は、0.5〜20重量%の範囲内で配合することが適当である。
【0011】
またボディケア製品の用途に応じて、香料、殺菌剤、消臭剤、清涼剤、保湿剤、酸化防止剤、美白剤などの薬液成分を配合することも可能であり、これらを水と混合して、水性のエアゾール原液を得る。
【0012】
このエアゾール原液は液化ガスと共にエアゾール容器内に封入される。噴射剤としての液化ガスは、LPGが適当であるが、ジメチルエーテル、プロパン、イソブタン等々が使用できる。また、これら液化ガスと、窒素ガス、炭酸ガス、圧縮空気、フロンガスとを併用することもできる。
配合比率は、エアゾール原液10重量部に対して、液化ガス10〜90重量部が適当であり、液化ガスの配合量が低すぎると、噴射性能が低下することは勿論、冷却効果が低下してしまう。
【0013】
次に、柔軟シート体は、エアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が塗布され得る被塗布面を備えたもので、被塗布面を人体へ当てがうことができる程度の柔軟性を備えたシートによって構成される。ここで、柔軟性とは、人体の曲線に沿って変形し得る柔軟性があればよい。柔軟性シート体は、その少なくとも一方の面に塗布面を設ければよく、柔軟性シート体の一方の面の全体に塗布面を設けても良く、一部にのみ塗布面を設けても良い。柔軟性シート体の被塗布面は、エアゾール容器からの噴射を効率的に受けるために、3cm×3cm以上の大きさを有するが適当であり、小さすぎると、噴射がはみ出してしまうおそれがある。他方、あまり大きすぎても人体にあてがうのに逆に不便であり、幅25cm以内長さ60cm以内程度が適当である。また、人体に巻いたまま固定するための固定手段を設けておくことが望ましく、具体的には両端にフックやボンタを設けたり起毛面ファスナを設けたりしてもよい。これらの固定手段は、シート状体と一体に設けても良く別体にしてもよい。さらに、柔軟性シート体を一方の面の全体にループを多数形成した面ファスナとなる帯状体として実施し、当該一方の面の全体を塗布面としたものを用いてもよい。この場合、その反対の帯状体の端部に、このループに係合するフックを形成した面ファスナを設けておくことによって、人体に巻いて所望の位置で係止できるため便利である。さらに、この帯状体を編地構造としたり、必要に応じてゴムなどの伸縮性の高い糸を用いることによって、伸縮性のあるものとすることによって、人体に巻き付けた時、その位置がずれないようにしておくことも望ましい。
【0014】
被塗布面には、噴射されるエアゾール原液を裏面に通さずに(望ましくは90%以上を通さずに)受容できると共に、式1で求められる吸水率が10〜200%、より望ましくは、10〜150%の繊維製のシート状体を用いることが好ましい。
(式1)吸水率=(W1−W0)/W0×100
但し、W1は試料を蒸留水に約2時間浸漬し、遠心分離器に入れ4000rpmで4分間脱水した後の試料の重量であり、W0は試料の絶乾重量である。
【0015】
また、繊維は、天然繊維、合成繊維のいずれも使用でき、不織布、織布、編地などでシート状体に形成されればよい。特に、適宜小さなループや小さな突起などの起毛が施されたものが適当であるが、起毛があってもタオル地などは上記の吸水率が高く、被塗布面にエアゾール原液が吸収されてしまい、破泡時の破泡音の継続時間か短い点で好ましくない。
【実施例】
【0016】
表1の配合割合(単位は、重量部)で実施例1、2及び比較例1〜4のエアゾール製を作成し、表2に示す吸水率の繊維製の柔軟シート状体(8cm×30cm)にエアゾール製品を3秒噴射して、約5cm×5cmの広さに塗布し、冷却感の持続に関して評価した。表2のAとBは、ポリエステル製の柔軟性シート体で一方の面(塗布面)の全体にループを多数形成した帯状体であり、同Cは、木綿製タオル地である。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
上記エアゾール製品と柔軟シート状体を使用して、人の肌にデジタル温度計をつけて、塗布面にエアゾール製品を2秒噴射し、その塗布面が人の肌に触れるようにして柔軟シート状体を巻きつけ、120秒後の温度を測定した。使用感と合わせた結果を表3に示す。
【0020】
【表3】

【0021】
表3における評価の基準を以下に示す。
◎:温度27℃以下で、エアゾール原液の発泡と破泡の継続によるマッサージ効果があった(パチパチ音の持続が15秒以上)。
△:温度27℃以下で冷感はあるが、上記のマッサージ効果はなかった(パチパチ音の持続が15秒未満)。
×:温度30℃以上で冷感がなく、上記のマッサージ効果もなかった。
ただし、初期温度は32℃
【0022】
上記結果より、比較例1、2のように、LPGの配合量の少ないものは冷却効果がなく、比較例3、4のように水溶性高分子を配合してないと冷却効果はあってもマッサージ効果が得られなかった。また実施例1、2に対して吸水性Cの柔軟性シートを用いた場合には、薬剤が繊維に吸収され効果が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール原液と噴射剤としての液化ガスとを封入したエアゾール容器と、このエアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が塗布され得る被塗布面を備えると共に被塗布面を人体へ当てがうことができる柔軟シート体とを有し、
上記のエアゾール原液は、水溶性高分子0.05〜10重量%、界面活性剤0.1〜10重量%、油分0.5〜20重量%とを少なくとも配合したものであり、
このエアゾール原液10重量部と、液化ガス10〜90重量部とがエアゾール容器に封入されたものであり、
式1で求められる吸水率が1〜200%の繊維製のシート状体が、柔軟シート体におけるエアゾールの被塗布面に配位されたものであることを特徴とする冷却効果を発揮するボディケア製品。
(式1)吸水率=(W1−W0)/W0×100
但し、W1は試料を蒸留水に約2時間浸漬し、遠心分離器に入れ4000rpmで4分間脱水した後の試料の重量であり、W0は試料の絶乾重量である。
【請求項2】
エアゾール原液と噴射剤とを封入したエアゾール容器と、このエアゾール容器から噴射されたエアゾール原液が噴射剤を包含した状態で塗布され得る被塗布面を備えると共に被塗布面を人体へ当てがうことができる柔軟シート体とを有し、
上記のエアゾール原液は水溶性高分子と界面活性剤とを含有し、このエアゾール原液と噴射剤とがエアゾール容器に封入されると共に、エアゾール容器から噴射され塗布された状態のエアゾール原液が噴射剤を包含して発泡していると共に破泡時に破泡音を発するものであり、
式1で求められる吸水率が10〜200%のシート状体が、柔軟シート体におけるエアゾールの被塗布面に配位されたものであることを特徴とする冷却効果を発揮するボディケア製品。
(式1)吸水率=(W1−W0)/W0×100
但し、W1は試料を蒸留水に約2時間浸漬し、遠心分離器に入れ4000rpmで4分間脱水した後の試料の重量であり、W0は試料の絶乾重量である。
【請求項3】
柔軟シート体の全体が上記のシート状体で構成されると共に、その表面に起毛を備えたものであり、柔軟シート体は被塗布面を人体へ接触させた状態で人体に巻き付けて固定できる構成を備えたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のボディケア製品。

【公開番号】特開2006−151919(P2006−151919A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348277(P2004−348277)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(393008821)日進化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】