説明

装置

【課題】組織内の酸素飽和レベルを監視するための方法および装置を提供する。
【解決手段】光学画像化システム内で使用するためのセンサ構成は、第1の光源構造116と、第2の光源構造120と、検出器構成136とを含む。第1の光源構造は第1の光ビームを与え、第2の光源構造は第2の光ビームを与える。検出器構成は、中心点を有する検出器構造を含み、第1および第2の光ビームが外部の表面から反射された後に第1および第2の光ビームを受取る。検出器構成は、各検出器構造の中心点を通過する第1の軸を規定するよう構成され、第1の光源構造の中心点から第1の軸までの距離は第2の光源構造の中心点から第1の軸までの距離と等しくない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は一般に組織内の酸素レベルを監視する光学画像化システムに関する。特に、この発明は光学プローブのセンサヘッド上への配置が対称でない光源および検出器を含む光学プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
被験動物および被験者のさまざまな生理学的性質の非侵襲性の測定に近赤外分光法が用いられている。近赤外分光法の根底にある基本原理は、生理組織が近赤外波に対して、比較的低吸収でさまざまな散乱の大きな発色団を含むというものである。媒質中の多くの物質が、その中を伝播する近赤外光波と相互に作用するか、または干渉し得る。たとえば、ヒトの組織は、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、水、脂質、およびシトクロムなどの多数の発色団を含み、約700nmから約900nmのスペクトル範囲においてはヘモグロビンが優勢な発色団である。したがって、近赤外分光器を適用して組織ヘモグロビン酸素飽和および総ヘモグロビン濃度などの生理学的媒質内の酸素レベルを測定している。
【0003】
たとえば、時間分解分光法(time-resolved spectroscopy; TRS)、位相変調分光法(phase modulation spectroscopy; PMS)、および連続波分光法(continuous wave spectroscopy; CWS)などのさまざまな技術が近赤外分光法について開発されてきた。均質で半無限のモデルでは、TRSおよびPMSの両方を用いて、光子拡散方程式を解くことによって生理学的媒質の吸収係数および減少散乱係数のスペクトルを得て、酸素化および脱酸素化ヘモグロビンの濃度ならびに組織酸素飽和を算出する。CWSは一般に、修正されたベール・ランバート方程式(modified Beer-Lambert equation)を解くよう、かつ酸素化および脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化を測定するよう設計される。
【0004】
ヘモグロビン濃度および酸素飽和を提供する能力にもかかわらず、TRSおよびPMSの1つの主な欠点は設備が嵩張って高額なことである。CWSはより低コストで製造できるが、酸素化および脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化から酸素飽和を計算できないため有用性が限られる。
【0005】
光学拡散画像化および分光法(Optical Diffusion Imaging and Spectroscopy; ODIS)は、光子散乱および吸収の測定に基づいて組織の特性を示すことが可能である。ヒトの組織などの組織内では、近赤外光は大きく散乱して吸収は最小限である。光学拡散画像化は、組織内に光学信号を送り、組織表面上の対応する拡散反射率または透過率を測定することによって達成される。
【0006】
散乱は組織の均一でない構造に起因し、したがって、細胞の密度および細胞の核サイズを指し示すものである。吸収は発色団との相互作用に起因する。ODISはセンサを介して組織内へ光を放射する。光を放射する光源および光を検出する検出器の位置によって、測定深さを決定することができる。酸素ヘモグロビンおよび脱酸素ヘモグロビンの割合を用いて、たとえば酸素飽和レベルなどの、実質的にリアルタイムの酸素の測定が行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ODISシステム内では、組織表面と接触するセンサは一般に、実質的に対称のレイアウトで配置される光ファイバを有する。すなわち、光源に結合される光ファイバは、光検出器に結合される光ファイバに対して実質的に対称の位置に配置される。対称の位置は酸素飽和レベルを測定できるようにするのに効果的だが、光ファイバをセンサ内で正確に設置することは厳しいため、そのようなセンサの製造はしばしば困難である。さらに、組織またはその下部構造の解剖学的構造が実質的に対称でない場合、対称の位置を有するセンサを使用すると正確な測定を容易に行えないことがある。
【0008】
したがって、必要とされているのは製造が比較的容易で、対称の解剖学的構造を有しない可能性のある組織に対して使用されるよう配置されるセンサである。すなわち、望まれているのは実質的に如何なる解剖学的構造を有する組織に対しての使用も促進する、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバのレイアウトを有するセンサである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
この発明は、光源ファイバおよび検出器ファイバを、光源ファイバが検出器ファイバに対して実質的に非対称の構成となるように支持するセンサ、を有するプローブに関する。この発明の1つの局面によると、光学画像化システム内での使用に好適であり、組織などの体と接触するよう構成されるセンサ構成は、第1の光源構造と、第2の光源構造と、検出器構成とを含む。第1の光源構造は第1の光ビームを与え、第2の光源構造は第2の光ビームを与える。検出器構成は各々が中心点を有する検出器構造を含み、第1の光ビームおよび第2の光ビームが体から反射された後に第1の光ビームおよび第2の光ビームを受取る。検出器構成は各検出器構造の中心点を通過する第1の軸を規定するよう構成され、第1の光源構造の中心点から第1の軸までの距離は第2の光源構造の中心点から第1の軸までの距離と等しくない。
【0010】
1つの実施例では、第1の光源構造の中心点から第1の軸までの距離と、第2の光源構造の中心点からの距離との差は少なくとも約0.03ミリメートルである。そのような実施例では、第1の光源構造の中心点から第1の軸までの距離は約0.020ミリメートルであり、第2の光源構造の中心点から第1の軸までの距離は約0.24ミリメートルであり得る。
【0011】
検出器構造に対して非対称の位置にある光源構造を持ったセンサまたはセンサヘッドを有するプローブにより、センサヘッドを利用して、実質的に対称でない下部解剖学的構造を有する組織を監視することが可能となる。対称になっていないと、そのようなセンサの製造に関連付けられる製造許容差も効果的に緩和される。光源に結合される光ファイバのオフセットを持った位置に関連付けられる如何なる減衰も、光学画像化システムに関して実行されるソフトウェアコードデバイスの使用によって典型的に補償される。したがって、適用される補償の量を必要に応じて比較的容易に変化させて、センサに関する光ファイバの位置決めにおける不正確さを吸収し得る。
【0012】
この発明の他の局面によると、光学画像化システム内での使用に好適であるセンサ構成は、第1の光ビームを与えるよう構成される第1の光源構造と、第2の光ビームを与えるよう構成される第2の光源構造とを含む。センサ構成はまた、第1の中心点を持つ第1の検出器構造と第2の中心点を持つ第2の検出器構造とを有する検出器構成を含む。検出器構成は、第1の光ビームおよび第2の光ビームが体から反射された後に第1の光ビームおよび第2の光ビームを受取るよう構成される。検出器構成に関する第1の光源構造の位置は検出器構成に関する第2の光源構造の位置に対して対称でない。
【0013】
この発明のさらに他の局面によると、第1の光源構造および第2の光源構造が検出器構
造に対してオフセットを持ったセンサヘッドを有するプローブを利用した光学系を用いて、組織の酸素飽和測定を行なうための方法は、センサヘッドを組織と接触させて位置決めするステップと、第1の光源構造および第2の光源構造を介して組織内へ光を透過させるステップとを含む。方法はまた、減衰特性を含む組織からの反射光を検出器構造で受取るステップと、複数の光検出器を用いて反射光を処理するステップとも含む。複数の光検出器を用いて反射光を処理するステップは、減衰補償器を用いて減衰特性を補償するステップを含む。
【0014】
この発明のさらに他の局面に従うと、組織内の酸素レベルを監視するための光学系の一部として使用され得るプローブは、プローブを光源および検出器に結合できるようにする結合インターフェイスを含む。プローブのセンサヘッドは組織と接触するよう構成され、第1の光源構造、第2の光源構造、および検出器構成を支持する。第1の光源構造および第2の光源構造は結合インターフェイスを介して光源に結合され、検出器構成は結合インターフェイスを介して検出器に結合される。検出器構成に対する第1の光源構造の位置は検出器構成に対する第2の光源構造の位置に関して対称でない。
【0015】
1つの実施例では、検出器構成は各々が中心点を有する検出器構造を含む。そのような実施例では、検出器構成は第1の光ビームおよび第2の光ビームが組織から反射された後に第1の光ビームおよび第2の光ビームを受取る。検出器構成は、第1の光源構造の中心点から第1の軸までの距離が第2の光源構造の中心点から第1の軸までの距離と等しくないように複数の検出器構造の各検出器構造の中心点を通過する第1の軸を規定する。
【0016】
この発明のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面のさまざまな図を検討すると明らかになるであろう。
【0017】
本発明は、添付の図面と関連して、以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】この発明の実施例に従った、検出器に対してオフセットを持った構成の光源を含むセンサヘッドを有する光学画像化システムをブロック図表示した図である。
【図1B】この発明の実施例に従った、検出器に対してオフセットを持った構成の光源を含むセンサヘッドを有する光学画像化システム、すなわち図1Aの光学画像化システム100、をブロック図表示した図である。
【図2A】この発明の実施例に従った、一対の検出器に対してオフセットを持った構成の一対の光源を有するセンサヘッドを図示した図である。
【図2B】この発明の第1の実施例に従った、4つの検出器セットに対してオフセットを持った構成の一対の光源を有するセンサヘッドを図示した図である。
【図2C】この発明の第2の実施例に従った、4つの検出器セットに対してオフセットを持った構成の一対の光源を有するセンサヘッドを図示した図である。
【図3】この発明の実施例に従ったセンサヘッドに関連付けられる光源および検出器をブロック図表示した図である。
【図4】この発明の実施例に従って、検出器に対してオフセットを持った構成の光源を有するセンサヘッドを利用する1つの方法を図示する処理フロー図である。
【図5】この発明の実施例に従った、コンソールと、検出器に対してオフセットを持った構成の光源を有するセンサヘッドを有する分離可能なプローブと含む光学画像化システムを図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例の詳細な説明
光源に結合される光ファイバが検出器に結合される光ファイバに対してオフセットを持った位置に配置されるようなセンサヘッドであれば、監視中の組織が実質的に対称でない領域で利用できる。光源に結合される光ファイバのオフセットを持った位置に関連付けられる如何なる減衰も、典型的にソフトウェアによって補償される。そのようなセンサヘッドは、光源に結合される光ファイバの設置がそれほど厳格ではない、すなわち、光ファイバの設置における如何なるわずかな変動も減衰を補償するソフトウェアを用いて訂正され得るという点において、製造が比較的容易である。また、センサヘッド上の光ファイバの設置に関連付けられる減衰を補償するためのソフトウェアを使用することにより、本質的にセンサヘッドを対称および非対称の両方の組織解剖学的構造に用いることが可能となる。
【0020】
当業者に理解されるように、センサヘッドの実質的に直下の組織の容量は、この容量内に含まれる実際の解剖学的構造に依存して均質であるか、または不均質であるかのいずれかであり得る。一例として、脂肪組織の厚い領域の上の皮膚上にセンサヘッドを位置決めした場合、酸素化ヘモグロビンを含む印環細胞および毛細血管の分布は一般に比較的均一である、すなわち、対称かつ均質である。しかしながら、下部構造が動脈、静脈、骨、腱、軟骨、筋膜、筋肉、または色素性病変を含む組織容量の上にセンサヘッドを位置決めすることもある。そのような組織は、たとえば、異常に反射的または吸収的のいずれかである領域のせいで、光が非対称に反射されるまたは吸収される原因となる非対称の解剖学的構造を有し得る。減衰を補償するソフトウェアは、骨などの構造から反射する光に関連する読取り値を無視し得る。光源に結合され、かつ検出器に結合される光ファイバに対してオフセットを持った位置にセンサヘッド内で位置決めされる光ファイバは、骨などの構造を避ける光の透過および読取を促進し得る。したがって、オフセットを持った光源光ファイバの位置を使用することにより、体の多くの異なる部分内の酸素飽和を測定するのに使用され得る特化されたセンサヘッドの作製が促進される。
【0021】
図1Aは、この発明の実施例に従った、検出器構成に対してオフセットを持った位置に配置される光源構成を含むセンサヘッドを有する光学画像化システムをブロック図表示したものである。光学画像化システム100は、接続インターフェイス112を介して結合されるユニット104およびプローブ108を含む。接続インターフェイス112は一般にレーザ安全インターロックを有する漏光を防ぐ相互接続であり、プローブ108がユニット104に結合されないときはレーザ光が接続インターフェイス112を通して放射されるのを実質的に防止するよう構成される。接続インターフェイス112は典型的に、ユニット104に取付けられるパネルコネクタ(図示せず)およびプローブ108に取付けられるケーブルコネクタ(図示せず)を含む。
【0022】
ユニット104は第1の光源116および第2の光源120を含む。第1の光源116および第2の光源120は、説明される実施例では、各々がデュアル波長光源である。換言すれば、第1の光源116が2つの波長の光を与え、第2の光源120が2つの波長の光を与える。第1の光源116および第2の光源120は各々が、より低周波数で光ビームまたは光パルスを与えるレーザダイオード、およびより高周波数で光ビームまたは光パルスを与えるレーザダイオードを含み得る。一例として、第1の光源116および第2の光源120は各々が、約690ナノメートル(nm)波長の可視赤色光を生成するレーザダイオード、および約830nm波長の近赤外光を生成するレーザダイオードを含み得る。しかしながら、第1の光源116および第2の光源120に関連付けられるレーザダイオードによって生成される光の波長を広い範囲で変更できることが認識されるであろう。
【0023】
第1の光源116によって放射される光および第2の光源120によって放射される光は、光ファイバ(図示せず)を介してビーム結合器124に与えられる。第1の光源116に関連付けられる各レーザダイオードおよび第2の光源120に関連付けられる各レーザダイオードは、別個の光ファイバ(図示せず)上に与えられる。ビーム結合器124は効果的に第1の光源116のレーザダイオードからの光を合成し、第2の光源120のレーザダイオードからの光を合成する。合成された光はその後出力ファイバ(図示せず)を介して接続インターフェイス112に与えられる。出力ファイバは、合成されたまたは組合された光が均質化され得るよう構成され、光が接続インターフェイス112に入射すると確実に光が出力ファイバ全体にわたって実質的に均一に分布されるようにする。
【0024】
接続インターフェイス112を通して、プローブ108のセンサヘッド128に光が与えられる。センサヘッド128内では、光ファイバ(図示せず)が、第1の光源116に関連付けられる合成された光および第2の光源120に関連付けられる合成された光を、組織132と接触するよう配置されるセンサヘッド128の表面に与える。光ファイバ(図示せず)は、ユニット104内の光検出器136に関連付けられる光ファイバ(図示せず)に関してオフセットを持った位置を有するよう位置決めされる。光源光ファイバおよび検出器光ファイバの位置を図2A〜図2Cに関して以下に説明する。
【0025】
センサヘッド128が組織132内へ光を透過させると、反射光は、光検出器136に結合される光検出器ファイバ(図示せず)によって集光される。一般的に、少なくとも2つの光検出器136がユニット104内に含まれ、第1の光源116および第2の光源120によって透過される光に対して感度があるよう構成される。ユニット104内の減衰補償器140は一般に、検出器光ファイバ(図示せず)に対する光源光ファイバ(図示せず)のオフセットを持った位置に起因する反射光中の如何なる減衰も補償するよう配置される。1つの実施例では、減衰補償器140は、減衰係数を分子および分母の両方において求め、したがってこれを相殺できる比率を構築する数学アルゴリズムを用いて効果的に補償を行う。そのような比率は、減衰ファクターがセンサヘッド128下の組織132の光学的性質の評価にほとんど影響を及ぼさないように、光検出器136によって検出されるような光の強度を使用し得る。減衰補償器140は一般に、酸素飽和レベルを定めるアルゴリズムを実行するソフトウェアまたはファームウェアに実質的に組込まれ得ることが認識されるであろう。
【0026】
図1Bは、この発明の実施例に従った、光源、すなわち図1Aの第1の光源116および第2の光源120、によって放射される光の経路を示す図1Aの光学画像化システム100をブロック図表示したものである。第1の光源116が2つの波長で光を放射すると、第1の波長152aの光および第2の波長152bの光がビーム結合器124に与えられ、これは、光を光線152cに効果的に合成し、これは、たとえば光源光ファイバを通して、センサヘッド128に与えられる。同様に、第2の光源120が2つの波長で光を放射すると、第1の波長156aの光および第2の波長156bの光がビーム結合器124によって光線156cに合成され、これがセンサヘッド128に与えられる。光線152c、156cは組織132内へ透過され、組織132から、センサヘッド128を介して光検出器136へ反射される。
【0027】
先に述べたように、光源光ファイバは、組織と接触するよう配置されるセンサヘッドの表面において、検出器光ファイバに対してオフセットを持った位置となるよう配置される。図2Aを参照して、検出器ファイバに関する光源ファイバの位置をこの発明の実施例に従って説明する。センサヘッド200は、実質的に如何なる形状またはサイズでもよく、組織内の酸素飽和レベルを測定する全体システムの一部であるプローブの一部である。センサヘッド200は光源構成204a、204b、および検出器構成208a、208bを収容するよう配置される。説明を簡単にするために、光源構成204a、204bは一般に光源に結合される光ファイバケーブルまたは光ファイバであり、検出器構成208a、208bは一般に光検出器に結合される光ファイバケーブルまたは光ファイバであるが、光源構成204a、204bを本明細書中では光源と呼び、検出器構成208a、208bを本明細書中では検出器と呼ぶ。
【0028】
光源204a、204bは検出器208a、208bに対してオフセットを持った構成になるよう配置される。すなわち、光源204aおよび光源204bは、少なくとも1つの軸に対して検出器208a、208bと等距離ではない。検出器208a、208bは、検出器208a、208bの中心線214がx軸212aとほぼ平行であるよう配置される。典型的に、中心線214は各検出器208a、208bの中心点を通過する。光源204a、204bは、光源204aの中心線216が光源204bの中心線218と平行であるが、中心線218とは一致しないよう配置される。中心線216は光源204aの中心点を通過し、かつx軸212aと平行であるのに対して、中心線216は光源204bの中心点を通過し、かつx軸212bと平行である。
【0029】
y軸212bに沿った中心線214と中心線216との間の距離y1は、中心線214と中心線218との間の距離y2と異なる。距離y2は距離y1よりも大きいとして示されているが、代わりに距離y1がy2よりも大きくなり得ると認識されるであろう。距離y2と距離y1との差は一般に、検出器208a、208bに対する光源204a、204bのオフセットを持った構成、または実質的に不平衡の構成、の特性である。換言すれば、光源204a、204bの設置において効果的に対称が欠如している。
【0030】
一般的に、一対の検出器と併用して2つよりも多くの検出器を使用して組織内の酸素飽和を監視してもよい。一例として、3つまたは4つの検出器を使用して、一対の光源によって与えられ、かつ組織表面から反射される光を検出してもよい。光のうちいくらかは組織表面下のさまざまな深さで組織から反射され得ることが認識されるであろう。すなわち、光は組織表面から、および表面の下の組織から反射され得る。表面の下にあり、光を反射させることができる組織は、組織の表面下約1センチメートルの深さであり得る。図2Bは、この発明の実施例に従って、一対の光源、またはより具体的には光源構成、および4つの検出器、またはより具体的には検出器構成、を含むよう配置されるセンサヘッドを図示したものである。センサヘッド220は、x軸232aと実質的に平行である中心線234に沿って検出器228a〜dの中心点が実質的に整列するよう配置される4つの検出器228a〜dを含む。センサヘッド220はまた、各々が中心点を含む光源224a、224bを含む。x軸232aと平行である中心線236は光源224aの中心点を通過し、x軸232aと平行である中心線238は光源224の中心点を通過する。
【0031】
説明される実施例では、y軸232bに沿った中心線234と中心線236との間の距離y1は、y軸232bに沿った中心線234と中心線238との間の距離y2と等しくない。距離y1は約0.2ミリメートル(mm)、たとえば約0.197mmであり得るのに対して、距離y2は約0.24mm、たとえば0.236mmであり得る。距離y1および距離y2は数多くのファクターに依存して大きく異なり得ることが認識されるであろう。ファクターは、光源224a、224bおよび検出器228a〜dの全体サイズ、センサヘッド220の全体サイズ、ならびにセンサヘッド220が意図される応用例を含むが、これらに限定されない。距離y2は距離y1よりも大きいとして示されているが、代わりに距離y1が距離y2よりも大きくなり得る。一般的に、距離y2と距離y1との差は少なくとも約0.3mmである。たとえば、距離y2と距離y1との差は約1.0mmであり得る。
【0032】
光源224a、224bおよび検出器228a〜dの位置決めは大きく異なり得る。一例として、光源224a、224bおよび検出器228a〜dの各々が直径約1mmである実施例については、光源224a、224bの中心点は、x軸232aについて約0.22mmの距離d2だけ、および約0.04mmの距離y4だけ離され得る。検出器228a〜dは、中心線234がセンサヘッド220の上端から約0.06mmの距離y3だけオフセットを持つよう、かつ隣接する検出器228a〜dが約0.06mmから約0.07mmの距離d1だけ離されるよう、配置され得る。検出器228a〜dおよび光源224a、224bが上述のように間隔をあけられた場合、センサヘッド220はx軸232aに沿って幅が約0.34mmであり、y軸232bに沿って高さが約0.49mmであり得る。しかしながら、センサヘッド220は、一般に大きく異なり得る寸法、たとえばセンサヘッド220が意図される応用例に依存して異なり得る寸法、を有する。
【0033】
検出器に対するセンサの位置決めにおける対称の欠如は、センサと検出器との間の距離がy軸に対して等しくないようなものして説明したが、対称の欠如は代わりにまたは追加的にx軸に対する対称の欠如を有し得る。次に図2Cを参照して、x軸に関して4つの検出器セットに対してオフセットを持った構成の一対の光源を含むセンサヘッドを説明する。センサヘッド240は4つの検出器248a〜dを含むが、検出器248a〜dの数は異なり得る。検出器248a〜dは、中心線254がx軸252aと実質的に平行であり、かつ各検出器248a〜dの中心点を通過するよう配置される。第1の検出器248aおよび最後の検出器248d、すなわちx軸252aに対して最も離れている検出器同士、を用いて検出器248a〜dの中央二分割線262を規定する。中央二分割線262はy軸252bと平行であり、検出器248aの中心点から中央二分割線262までの距離x3が検出器248dの中心点から中央二分割線262までの距離x4と実質的に等しいよう配置される。すなわち、中央二分割線262は中心線254と実質的に垂直であるよう、検出器248aの中心点と検出器248dの中心点との間の中点を通過するよう配置される。
【0034】
図示されるように、第1の光源244aの中心点および第1の検出器248aの中心点は、y軸252bと実質的に平行である中心線257に沿って一列に並んでいる。同様に、第2の光源244bの中心点および最後の検出器248dの中心点は、y軸252bと実質的に平行である中心線259に沿って一列に並んでいる。しかしながら、中心線257は第1の検出器248aの中心点を必ずしも通過しなくてもよく、中心線259は最後の検出器248dの中心点を必ずしも通過しなくてもよいと認識されるであろう。すなわち、中心線257は事実上、y軸252bと実質的に平行で第1の光源244aを通過する線であるのに対して、中心線259は事実上、y軸252bと実質的に平行で第2の光源244bを通過する線である。
【0035】
中心線257と中央二分割線262との間の距離x1は、中心線259と中央二分割線262との間の距離x2と等しくない。換言すれば、第1の光源244aおよび第2の光源244bは中央二分割線262から等距離ではない。したがって、光源244a、244bは、x軸252aに対してオフセットを持った、または不均衡な位置に位置決めされる。
【0036】
光源は典型的に特定の波長の光を放射するよう配置される。上述のように、光源によって放射されるより低波長の光は約690nmの波長を有し得るのに対して、該光源によって放射されるより高波長の光は約830nmの波長を有し得る。図3は、この発明の実施例に従ったセンサヘッドに関連付けられる光源および検出器をブロック図表示したものである。第1の光源は、約690nmの波長で光を生成するレーザダイオード302aおよび約830nmの波長で光を生成するレーザダイオード302bを含み得る。同様に、第2の光源は、約690nmの波長で光を生成するレーザダイオード306aおよび約830nmの波長で光を生成するレーザダイオード306bを含み得る。
【0037】
ビーム結合器310は、レーザダイオード302a、302bによって放射される光を、光ファイバ312上へ合成してセンサヘッド322に与えることができるよう配置される。ビーム結合器310はまた、レーザダイオード306a、306bによって放射される光を、光ファイバ316上へ合成してセンサヘッド322に与えることができるよう配置される。ファイバ312、316によって組織または他の表面を通して透過される光は反射され、反射光は光ファイバ324上で効果的に捕捉され、これは反射光を光検出器318に与える。光検出器318は約690nmおよび約830nmの波長の光に対して感度があるよう構成され、典型的に比較的高い利得を有する。
【0038】
図4を参照して、光源が検出器に対してオフセットを持った位置のセンサヘッドを有する酸素濃度計を用いて組織内の酸素飽和を監視する1つの方法をこの発明の実施例に従って説明する。酸素濃度計を用いる処理400はステップ404で始まり、このステップではプローブ、すなわち光源が検出器に対してオフセットを持った位置に位置決めされるセンサヘッドを含むプローブ、を組織に当てる。一旦センサヘッドが組織と接触して位置決めされると、プローブに関連付けられる第1の光源S1がステップ408においてより低波長の光パルスを組織内へ送る。上述のように、第1の光源S1は約690nm波長の可視赤色光を生成するレーザダイオードを含み得るが、第1の光源S1によって生成されるより低波長の光は異なり得る。一般的に、第1の光源S1は2つの波長で光を生成する光源構成である。したがって、第1の光源S1は、2つの波長で光を生成する2つの実質的に別個のレーザダイオードを含み得る。
【0039】
ステップ412において、プローブに関連付けられる検出器構成が約690nmの光を検出する。上述のように、約690nmの光が組織内へ透過されると、約690nmの光は検出器構成内へ反射され、それにより検出器、たとえば検出器構成に含まれる光検出器、が反射光を集光する。そしてステップ416において第2の光源S2が、説明される実施例では約690nmの光パルスであるより低波長の光パルスを送る。検出器構成はステップ420において約690nmの反射光を検出および集光する。
【0040】
一旦第1の光源S1および第2の光源S2の両方によってより低波長の光が透過されると、第1の光源S1はステップ424においてより高波長の光パルスを組織内へ送る。より高波長の光パルスは、第1の光源S1に含まれるレーザダイオードによって生成される約830nmの近赤外光であり得る。約830nmの光パルスが組織内へ透過されて反射されると、処理フローはステップ428へ進み、検出器構成が反射光を検出する。
【0041】
第2の光源S2はステップ432においてより高波長の光パルス、たとえば約830nm波長の光、を送り、これはその後、組織から反射されてステップ436において検出器構成内へ反射される。一旦検出器構成がより低波長およびより高波長の両方の、両センサからの反射光を受取ると、ステップ440において酸素濃度計のデータ収集構成が、受取った反射光に関連付けられる情報を処理する。受取った反射光を処理するステップは、組織に関連付けられる酸素レベルを定めるために、反射光に関連付けられる減衰に対処するか、またはそうでなければ補償するソフトウェアまたはファームウェアを実行するステップを含み得る。一旦データ収集構成が情報を処理すると、組織の酸素飽和レベルを監視する処理は完了する。しかしながら、図4のステップを繰返して酸素飽和レベルを実質的に連続的に監視できるようにしてもよいことが理解されるべきである。
【0042】
この発明のセンサヘッドを有するプローブを利用する酸素濃度計は、プローブが結合され得る持ち運び可能なコンソールユニットを含み得る。図5に示されるように、コンソール500は、監視中の組織の酸素飽和レベルを表示するよう構成される画面504を含み得る。タッチスクリーンでもあり得る画面504はまた、いつプローブ520が使用中であるかを示すよう、かつ監視中の酸素飽和レベルがいつ潜在的に問題であるかを示す警告をユーザに与えるよう、構成され得る。
【0043】
コンソール500は、プローブ520のセンサヘッド530を使用して酸素飽和レベルを監視できるようにするためにプローブ520のコネクタ528が接続され得るパネルコネクタ508を含む。プローブ520のコネクタ528とセンサヘッド530との間で光が通過できるようにするために用いられる光ファイバケーブル(図示せず)は、実質的にケーブルジャケット534内に入れられる。コンソール500およびプローブ520は、カリフォルニア州フレモントのビオプティックス・インコーポレイテッド(ViOptix, Inc.)から市販されているODISsey Tissue Oximeterの一部であり得る。
【0044】
この発明の二、三の実施例しか説明していないが、この発明はこの発明の思想または範囲から逸脱することなく多くの他の特定の形式で具体化され得ることが理解されるべきである。一例として、光源によって放射される波長は約690nmおよび約830nmとして説明した。しかしながら、光源は実質的に如何なる波長を放射してもよい。
【0045】
センサヘッドが装着されるプローブはさまざまな異なる構成を有し得る。たとえば、プローブは、組織のスポット測定を促進するハンドピースを含み得る。また、センサヘッドの構成もセンサヘッドが使用される特定的な応用例に依存して異なり得る。
【0046】
センサヘッドが装着されるプローブ、たとえば光ファイバプローブ、は光ファイバケーブルを用いて組織へおよび組織から光学信号を搬送する。光ファイバケーブルは如何なる長さでもよく、各光源について1つのデュアル波長光源ファイバおよび各検出器について1つの検出器ファイバを含み得る。1つの実施例では、光ファイバケーブルは長さ約3メートルであってもよく、光源および検出器ファイバの各々は直径約1mmであってもよい。
【0047】
光源光ファイバの中心点および検出器光ファイバの中心点は、実質的に円形の向きのファイバの中心点であるとして一般に説明した。いくつかのケースでは、ファイバが実質的に円形の向きでない場合、中心点はファイバのおよその中心点であり得ることが認められるべきである。
【0048】
この発明のさまざまな方法に関連付けられるステップは大きく異なり得る。この発明の思想または範囲から逸脱することなく、ステップが追加、変更、削除、および順序変更され得る。したがって、本明細書中の例は例示的に考慮されるべきであり限定的に考慮されるべきでなく、かつ本発明は本明細書中で与えられる詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で修正され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源構造を備え、前記第1の光源構造は第1の光ビームを与えるよう位置決めされ、さらに
第2の光源構造を備え、前記第2の光源構造は第2の光ビームを与えるよう位置決めされ、さらに
各々が光ファイバを備える複数の検出器構造を含む検出器構成を備え、前記検出器構成は、前記第1の光ビームが組織を透過した後に前記第1の光ビームを受取り、かつ前記第2の光ビームが前記組織を透過した後に前記第2の光ビームを受取るよう位置決めされ、
前記第1の光源構造、前記第2の光源構造、第1の検出器構造、および第2の検出器構造は、凸四辺形の頂点を規定し、
前記第1の光源構造と第2の光源構造との間の前記四辺形の第1の辺は、前記第1の検出器構造と前記第2の検出器構造との間の前記四辺形の第2の辺よりも長く、
前記第1の光源構造と第1の検出器構造との間の前記四辺形の第3の辺は、前記第2の光源構造と前記第2の検出器構造との間の前記四辺形の第4の辺よりも長い、装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−61345(P2013−61345A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259575(P2012−259575)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2008−530078(P2008−530078)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507416414)ビオプティックス・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】VIOPTIX,INC.
【Fターム(参考)】