説明

装飾扉

【課題】
装飾体にアルミ形材を用いない装飾扉を提供する。
【解決手段】
扉本体1と、扉本体1の面部に装着された装飾体5と、からなる装飾扉である。装飾体5は、鋼板から形成され、前記面部に固定された第2部材7と、鋼板から形成され、第2部材7に対して外嵌された第1部材6と、から内部に空間を形成するように組み立てられており、前記空間に芯材8が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玄関ドア等において、扉体の表面に化粧モールを取付けることで、ドアの意匠性を向上させると同時に、扉厚を厚くすることで扉体に重厚感・高級感を演出することが行われている。
【0003】
従来の化粧モールは、アルミ形材を扉体の表面に取り付け、アルミ形材にラッピングを施すことで形成されている。アルミ形材からなる化粧モールは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
しかしながら、アルミ形材を用いて化粧モールを形成する場合には、アルミ型材のための金型製作のコストおよびラッピングのコストが生じるという不具合がある。
【特許文献1】特開2002−295138号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装飾体にアルミ形材を用いない装飾扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
扉本体と、扉本体の面部に装着された装飾体と、からなる装飾扉であって、
前記装飾体は、鋼板から形成され、前記面部に固定された第2部材と、鋼板から形成され、前記第2部材に対して外嵌された第1部材と、から内部に空間を形成するように組み立てられており、前記空間に芯材が充填されている、装飾扉、である。
【0007】
1つの態様では、
前記第1部材は、面部と、当該面部の周辺に折曲形成された側片と、からなり、
前記第2部材は、面部と、当該面部の周辺に折曲形成された側片と、からなり、
前記芯材は、第1面部と第2面部とを備え、前記芯材の厚さ寸法は、前記第2部材の側片の高さ寸法よりも大きく、かつ、前記第1部材の側片の高さ寸法と略同じ寸法となっており、
前記第2部材は、当該第2部材の面部を扉本体の面部に当接させた状態で扉本体の面部に固定されており、
前記芯材の第2面部を前記第2部材の面部の内面に、前記芯材の第1面部を前記第1部材の面部の内面に、それぞれ当接させた状態で、前記第1部材の側片が前記第2部材の側片に外嵌されている。
1つの態様では、前記第1部材の面部の内面と前記芯材の第1面部とは接着剤を介して圧接されている。1つの態様では、さらに、前記第2部材の面部の内面と前記芯材の第2面部とは接着剤を介して圧接されている。
【0008】
一つの態様では、前記扉本体の面部は鋼板から形成されており、前記第1部材及び前記第2部材を形成する鋼板は、前記扉本体を形成する鋼板と同一である。
【0009】
本発明に係る装飾体は、第2部材と、第2部材に対して外嵌された第1部材と、からいわば箱型状に組み立てられている。
一つの態様では、箱型状に組み立てられた装飾体は、中空の直方体であるが、箱型状の形状はこれには限定されず、例えば、第1部材及び第2部材の面部が円形状で、側片が周壁のように形成されるものでもよい。また、後述する実施形態では、第1部材の第1面部は平面であるが、第1部材の第1面部を凸面としたり、第1面部に凹凸を付けたりすることで意匠性を与えても良い。
また、箱型状に組み立てられた装飾体において、装飾体の側面が部分的に開口状となっていてもよい。例えば、後述する実施形態において、装飾体の下端に位置する側片(図2の側片64,74)を設けない場合もあり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、装飾体を鋼板から形成したので、アルミ形材のための金型投資が発生せず、ラッピングも不要となって、低コストで装飾扉を製作することができる。また、装飾体を、扉本体の表面材と同じ鋼板から形成することが可能となり、扉本体の表面材に用いる鋼板を使用することで、低コストで装飾扉を製作することができるのみならず、部品管理も容易である。
【0011】
本発明では、装飾体の内部に芯材を設けているので、装飾体を形成する鋼板の板厚を薄くした場合(装飾体の軽量化を図ることができる)であっても、装飾体に物が当たった時に音が反響することを防止している。また、第1部材と第2部材との間に芯材を設けることで、第1部材と第2部材の組み立てを、当該芯材を利用して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である玄関ドアを室外側から見た正面図である。図2は、同玄関ドアの縦断面図、図3は、同玄関ドアの横断面図である。
【0013】
玄関ドアを構成する扉本体1は、上フレーム1a、下フレーム1b、左右の縦フレーム1c,1dとからなる四周枠状のフレームと、フレーム1a,1b,1c,1dに対して装着された室外側表面材2及び室内側表面材3と、室外側表面材2と室内側表面材3との間の中空部に充填されたフェノールフォームからなる芯材4と、を備えている。扉本体1の室外側面部は、室外側表面材2からなり、室内側面部は、室内側表面材3からなる。室外側表面材2、室内側表面材3は鋼板から形成されている。
【0014】
扉本体1の室外側面部、すなわち室外側表面材2には、扉本体1の高さ方向に延出する3つの装飾体5が扉本体1の幅方向に間隔を存して並行状に形成されている。装飾体5は、第1部材6と、第2部材7と、第1部材6と第2部材7とで形成される空間に充填された芯材8と、から形成されている。
【0015】
扉本体1の幅方向一端側には、扉体を開口部に対して回動可能に装着するための丁番9が設けてあり、丁番9を備えた側が戸尻側となる。扉本体1の室外側表面材2には、戸先側に位置して、扉本体1の高さ方向に延出するパネル10が設けてある。扉本体1の幅方向の中央部位には、高さ方向に延出する嵌め殺しのガラス窓11が設けてある。扉本体1に設けられるガラス窓は当業者において周知であり、ガラス窓11の構成の具体的な説明は省略する。
【0016】
装飾体5の構成についてさらに詳細に説明する。装飾体5は、全体として縦長の箱型状の形状を備えている。図示の態様では、装飾体5は、扉本体1と同じ高さ寸法を有している。装飾体5を構成する第1部材6、第2部材7は共に、扉本体1の表面材2,3に用いる鋼板と同じ鋼板を折曲加工することで形成されている。鋼板の板厚は、一つの態様では、0.6mmである。
【0017】
図4A上図及び図2に示すように、第1部材6は、縦長の長方形状の面部60と、面部60の四辺において、面部60に対して垂直状に折曲形成された側片61,62,63,64と、からなる。側片61,62は扉本体1の高さ方向に延出する縦片である。側片63,64は扉本体1の幅方向に水平状に延出する横片である。第1部材6は、面部60に対向する面が開口状の箱体である。
【0018】
図4A上図及び図2に示すように、第2部材7は、縦長の長方形状の面部70と、面部70の四辺において、面部70に対して垂直状に折曲形成された側片71,72,73,74と、からなる。側片71,72は扉本体1の高さ方向に延出する縦片である。側片73,74は扉本体1の幅方向に水平状に延出する横片である。第2部材7は、面部70に対向する面が開口状の箱体である。
【0019】
第1部材6の側片61,62間の内寸法W1は、第2部材7の側片71,72間の外寸法W2よりも僅かに大きい寸法を備えている(図4A上図参照)。第1部材6の側片63,64間の内寸法は、第2部材7の側片73,74間の外寸法よりも僅かに大きい寸法を備えている(図2参照)。また、第1部材6の側片61,62,63,64の高さ、すなわち、立ち上がり寸法H1は、第2部材7の側片71,72,73,74の高さ、すなわち、立ち上がり寸法H2よりも大きい寸法を備えている。したがって、第2部材7に対して第1部材6を外嵌させることができる。より具体的には、第1部材6と第2部材7とを箱型状に組み立てた状態において、第2部材7の側片71の外面に第1部材6の側片61の内面が接し、第2部材7の側片72の外面に第1部材6の側片62の内面が接し、第2部材7の側片73の外面に第1部材6の側片63の内面が接し、第2部材7の側片74の外面に第1部材6の側片64の内面が接している。
【0020】
第1部材6と第2部材7とから箱型の装飾体5が組み立てられる。装飾体5の中空部には、芯材8が充填されている。芯材8としてはペーパコアが例示されるが、芯材として一般に用いられている他の部材を充填するものでもよいことは当業者に理解される。図4B上図に示すように、芯材8は対向状の第1面部80と第2面部81とを備えており、芯材8の高さ寸法H3、すなわち、芯材8の厚さ寸法(第1面部80と第2面部81との間の距離)は、第2部材7の側片71,72,73,74の高さ寸法H2よりも大きく、芯材8の上端、すなわち第1面部80は、側片71,72,73,74の上端よりも突出している。芯材8の高さ寸法H3は、第1部材6の側片61,62,63,64の高さ寸法H1と略同じである。
【0021】
装飾体5の装着方法について説明する。先ず、第2部材7の面部70を扉本体1の室外側表面材2に当接させて、表面材2に固定する(図4A下図〜図4B上図)。図示の態様では、固定手段は、面部70と表面材2とを固定するブラインドリベット12である。固定手段は、その他の螺子やボルト等の止着手段、あるいは、接着手段でもよい。
【0022】
次いで、第2部材7の面部70の内面に接着剤を塗布して、第2部材7の面部70、側片71,72,73,74で囲まれた空間に芯材8として例示されるペーパコアを充填することで、第2部材7の内部に固定する。この時、芯材8の下面、すなわち第2面部81は、第2部材7の面部70の内面に当接接着されており、芯材8の上端、すなわち第1面部80は、側片71,72,73,74の上端よりも突出している(図4B上図)。
【0023】
最後に、第1部材6の面部60の内面に接着剤を塗布し、第1部材6を第2部材7に被せるようにして外嵌させる(図4B下図)。芯材8の上端の第1面部80と第1部材6の面部60の内面とを圧接させることで、第1部材6の面部60の内面に塗布した接着剤を介して、第1部材6の面部60を芯材8に固定する。また、第1部材6の側片61,62,63,64を、それぞれ第2部材7の側片71,72,73,74に密着させることで、接着剤を用いない場合であっても、側片同士の摩擦力あるいは/および鋼板からなる側片の弾性力によって、第1部材6を第2部材7に固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る装飾扉は、玄関ドアに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】扉体の全体正面図である。
【図2】扉体の縦断面図である。
【図3】扉体の横断面図である。
【図4A】装飾体の製造工程を示す図である。
【図4B】装飾体の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 扉本体
2 室外側表面材
3 室内側表面材
5 装飾体
6 第1部材
60 面部
61,62,63,64 側片
7 第2部材
70 面部
71,72,73,74 側片
8 芯材
80 第1面部
81 第2面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉本体と、扉本体の面部に装着された装飾体と、からなる装飾扉であって、
前記装飾体は、鋼板から形成され、前記面部に固定された第2部材と、鋼板から形成され、前記第2部材に対して外嵌された第1部材と、から内部に空間を形成するように組み立てられており、前記空間に芯材が充填されている、
装飾扉。
【請求項2】
前記第1部材は、面部と、当該面部の周辺に折曲形成された側片と、からなり、
前記第2部材は、面部と、当該面部の周辺に折曲形成された側片と、からなり、
前記芯材は、第1面部と第2面部とを備え、前記芯材の厚さ寸法は、前記第2部材の側片の高さ寸法よりも大きく、かつ、前記第1部材の側片の高さ寸法と略同じ寸法となっており、
前記第2部材は、当該第2部材の面部を扉本体の面部に当接させた状態で扉本体の面部に固定されており、
前記芯材の第2面部を前記第2部材の面部の内面に、前記芯材の第1面部を前記第1部材の面部の内面に、それぞれ当接させた状態で、前記第1部材の側片が前記第2部材の側片に外嵌されている、
請求項1に記載の装飾扉。
【請求項3】
前記扉本体の面部は鋼板から形成されており、前記第1部材及び前記第2部材を形成する鋼板は、前記扉本体を形成する鋼板と同一である、請求項1,2いずれかに記載の装飾扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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