説明

装飾材料、及びその製造方法

【課題】外観上は和洋紙その他の紙の風合いを保ちつつ鮮明な印刷が見え、例えば軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができる装飾材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の装飾材料A1は、透明和紙1と接着層2と透明フィルム3をその順で積層した透明紙複合材Bを、印刷基材5の印刷面6にラミネートしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観上は和洋紙その他の紙の風合いを保ちつつ鮮明な印刷が見え、例えば軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができる装飾材料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、和紙が有する風合いを装飾材料に導入する手法として、樹脂等から成る芯材やフィルムの表面に和紙を積層させて複合材料とする方法が採られていた(特許文献1参照)。
この複合材料は、和紙を表面側にすることにより、手触り感が柔らかな和紙調となり、芯材やフィルムが強度面を補うことができる。
【0003】
また、前記複合材料は、和紙を裏面側にすることにより、芯材やフィルムに各種の鮮明な印刷を印刷して利用することもでき、この場合の裏面側の和紙は、フィルムを通して視覚的に見えるものとなる。尚、和紙は表面の平滑性が低いため、パッド印刷等の特殊な印刷方でなければ直接的には印刷はできないし、美麗な印刷を得られない。
【0004】
一方、印刷技術の向上により、視覚的に不織布状に見える印刷を行うことにより、あたかも和紙とフィルムを積層した材料であるかのように見える装飾シートも知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−21440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記複合材料は、和紙を表面側にして用いる場合には、単なる和紙単体と比べた場合には強度面などの優れた特性を有するが、印刷をする場合には和紙上に印刷を施す必要があるため、鮮明な印刷を行うことができなかった。また、前記複合材料を、和紙を裏面側にして用いる場合や、前記装飾シートでは、印刷面が最表面になるため、印刷面を保護する目的では、別途保護シートをラミネートする必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、外観上は和洋紙その他の紙の風合いを保ちつつ鮮明な印刷を行うことができ、さらに別途保護シートをラミネートする必要がなく、各種の用途に用いることができる装飾材料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、第1の発明として、和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムをその順で積層した透明紙複合材を、印刷基材の印刷面にラミネートしてなることを特徴とする装飾材料(以下、装飾材料Iという)に関するものである。
【0009】
また、本発明は、第2の発明として、フィルム又は印刷を施したフィルムと接着層と和洋紙その他の紙をその順で積層した透明紙複合材を、印刷基材の印刷面にラミネートしてなることを特徴とする装飾材料(以下、装飾材料IIという)をも提案する。
【0010】
さらに、本発明は、第3の発明として、和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムをその順で積層した透明紙複合材のフィルム側に、部分的に印刷を施し、接着剤層を介して透明基材と積層してなることを特徴とする装飾材料(以下、装飾材料というIII)をも提案する。
【0011】
また、本発明は、第4の発明として、フィルム又は印刷を施したフィルムと接着層と和洋紙その他の紙をその順で積層した透明紙複合材を、接着剤層を介して印刷を施した透明フィルムと、さらに透明基材と積層してなることを特徴とする装飾材料(以下、装飾材料というIV)をも提案する。
【0012】
さらに、本発明は、第5の発明として、予め和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムを積層した透明紙複合材、基材の表面に印刷を施した印刷基材を作製し、印刷基材の印刷面にラミネートすることを特徴とする装飾材料の製造方法をも提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の装飾材料Iは、紙が最表面に位置するので、手触り感がよく、またその紙を含む透明紙複合材を通して印刷基材の印刷を見ることができるものであり、紙やフィルム、成形ボード等の各種の印刷基材を選択できるため、例えば軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができる。
【0014】
本発明の装飾材料IIは、フィルムが最表面に位置してその裏面側に紙が位置するので、紙の汚れが防止され、それらを含む透明紙複合材を通して印刷基材の印刷を見ることができるものであり、紙やフィルム、成形ボード等の各種の印刷基材を選択できるため、例えば軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができる。
【0015】
本発明の装飾材料IIIは、紙が最表面に位置するので、手触り感がよく、またその紙を含む透明紙複合材の裏面側に裏印刷を行うものであって、最裏面には透明基材が位置するので、紙やフィルム、成形ボード等の各種の透明基材を選択できる。特に軟質包装材料として用いた場合に、この装飾材料IIIを通して内部を見ることができ、商品価値が高いものとなる。
【0016】
本発明の装飾材料IVは、フィルムが最表面に位置してその裏面側に紙が位置するので、紙の汚れが防止され、それらを含む透明紙複合材を通して透明フィルムの印刷を見ることができるものであり、特に軟質包装材料として用いた場合に、この装飾材料IVを通して内部を見ることができ、商品価値が高いものとなる。
【0017】
本発明の装飾材料の製造方法は、前記装飾材料I,IIを作製する方法であって、透明紙複合材を量産しておけば、多種の製品態様に対して極めて容易に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に用いられる透明紙複合材は、和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムを積層してなるものである。
上記の透明紙複合材における和洋紙その他の紙としては、透明性を損なわない紙であれば、特にその種類、厚み(坪量)等を限定するものではなく、例えば9〜15g/m2の雲竜紙、透明度80%のグラシン紙などを用いることができる。尚、本発明における透明性とは、その裏面側の印刷が判別できる程度であればよい。
上記の透明紙複合材におけるフィルム又は印刷を施したフィルムとしては、透明性を損なわないフィルムであれば、特にその種類、厚み等を限定するものではなく、例えばポリプロピレン、ポリエステル等を用いることができる。
上記の透明紙複合材における接着層としては、透明性を損なわない接着剤であれば、特にその種類、塗布量等を限定するものではなく、例えばラミネート用接着剤等を用いることができる。
【0019】
本発明の装飾材料I,IIIは、前記透明紙複合材を、紙を表面側にして用いる態様であり、視覚的に紙の風合いを得られることは勿論、手触り感がよいものとなる。
これに対し、本発明の装飾材料II,IVは、前記透明紙複合材を、紙を裏面側にして用いる態様であり、紙の汚れが防止される。
【0020】
本発明の装飾材料I,IIでは、前記透明紙複合材を通して印刷基材の印刷を見る態様であって、それをラミネートする印刷基材として、紙やフィルム、成形ボード等の各種の印刷基材を選択でき、印刷面に関しても特に限定するものではなく、どのような印刷でも適用できる。
そのため、軟質包装材料や本類の表紙等は勿論、照明ルーバー等のパネルプレートなどの各種の成形ボードにも適用でき、極めて広い商品展開を見込むことが可能である。
【0021】
本発明の装飾材料IIIは、前記透明紙複合材の裏面側(フィルム)に裏印刷を行う態様であって、それをラミネートする透明基材として、紙やフィルム、成形ボード等の各種の透明基材を選択できる。
そのため、軟質包装材料や本類の表紙等は勿論、照明ルーバー等のパネルプレートなどの各種の成形ボードにも適用でき、極めて広い商品展開を見込むことが可能である。特に軟質包装材料として用いた場合には、この装飾材料IIIを通して内部を見ることができ、商品価値が高いものとなる。
【0022】
本発明の装飾材料IVは、前記透明紙複合材を、透明印刷フィルム、透明基材と積層して用いる態様であって、特に軟質包装材料として用いた場合に、この装飾材料IVを通して内部を見ることができ、商品価値が高いものとなる。
【実施例】
【0023】
[実施例1]
和洋紙その他の紙1として雲竜紙(坪量9g/m2)を用い、フィルム又は印刷を施したフィルム3としてOPPフィルム(厚み15μm)を用い、それらを接着層2で接合して透明紙複合材Bを作製した。
印刷基材5としてコート紙(坪量135g/m2)に印刷6を施したものを用いた。
前記透明紙複合材Bを、前記コート紙5の印刷面6に接着剤4を介してラミネートし、装飾材料A1(I)を得た。
得られた装飾材料A1(I)は、雲竜紙1が最表面に位置するので、手触り感がよく、またその雲竜紙1を通してコート紙5の印刷6を見ることができ、軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができた。
【0024】
[実施例2]
フィルム又は印刷を施したフィルム3としてマット加工したOPPフィルム(厚み20μm)を用い、和洋紙その他の紙1として雲竜紙(坪量9g/m2)を用い、それらを接着層2で接合して透明紙複合材Bを作製した。
印刷基材5としてコート紙(坪量135g/m2)に印刷6を施したものを用いた。
前記透明紙複合材Bを、前記コート紙5の印刷面6に接着剤4を介してラミネートし、装飾材料A2(II)を得た。
得られた装飾材料A2(II)は、マット加工したOPPフィルム3が最表面に位置してその裏面側に雲竜紙1が位置するので、雲竜紙1の汚れが防止され、それらを通してコート紙5の印刷6を見ることができ、軟質包装材料や本類の表紙等の印刷物の表面加工として好適に利用することができた。
【0025】
[実施例3]
和洋紙その他の紙として1雲竜紙(坪量9g/m2)を用い、フィルム又は印刷を施したフィルム3としてOPPフィルム(厚み20μm)を用い、それらを接着層2で接合して透明紙複合材Bを作製した。
続いて、前記透明紙複合材Bのフィルム面3に裏印刷6を施した。
前記透明紙複合材Bの印刷面に、OPPフィルム(厚み30μm)7を接着剤4を介してラミネートし、装飾材料A3(III)を得た。
得られた装飾材料A3(III)は、雲竜紙1が最表面に位置するので、手触り感がよく、それ自体が透明であるため、特に軟質包装材料として用いた場合に、内部を見ることができ、商品価値が高いものとなった。
【0026】
[実施例4]
フィルム又は印刷を施したフィルム3としてマット加工したOPPフィルム(厚み20μm)を用い、和洋紙その他の紙1として雲竜紙(坪量9g/m2)を用い、それらを接着層2で接合して透明紙複合材Bを作製した。
OPPフィルム(厚み20μm)8の裏面に裏印刷6を施したものを作製した。
前記透明紙複合材Bに、前記フィルム8を接着剤4を介してラミネートし、さらにOPPフィルム(厚み30μm)7を接着剤4を介してラミネートして装飾材料A4(IV)を得た。
得られた装飾材料A4(IV)は、雲竜紙1の汚れが防止され、それ自体が透明であるため、特に軟質包装材料として用いた場合に、内部を見ることができ、商品価値が高いものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の装飾材料Iの一実施例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の装飾材料IIの一実施例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の装飾材料IIIの一実施例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の装飾材料IVの一実施例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
A1 装飾材料I
A2 装飾材料II
A3 装飾材料III
A4 装飾材料IV
B 透明和紙複合材
1 (透明)和紙
2 接着層
3 (透明)フィルム
4 接着剤層
5 印刷基材
6 インキ層(印刷面)
7 透明基材
8 透明フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムをその順で積層した透明紙複合材を、印刷基材の印刷面にラミネートしてなることを特徴とする装飾材料。
【請求項2】
フィルム又は印刷を施したフィルムと接着層と和洋紙その他の紙をその順で積層した透明紙複合材を、印刷基材の印刷面にラミネートしてなることを特徴とする装飾材料。
【請求項3】
和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムをその順で積層した透明紙複合材のフィルム側に、印刷を施し、接着剤層を介して透明基材と積層してなることを特徴とする装飾材料。
【請求項4】
フィルム又は印刷を施したフィルムと接着層と和洋紙その他の紙をその順で積層した透明紙複合材を、接着剤層を介してフィルム又は印刷を施したフィルムと、さらに透明基材と積層してなることを特徴とする装飾材料。
【請求項5】
予め和洋紙その他の紙と接着層とフィルム又は印刷を施したフィルムを積層した透明紙複合材、基材の表面に印刷を施した印刷基材を作製し、印刷基材の印刷面にラミネートすることを特徴とする装飾材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−30208(P2008−30208A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202736(P2006−202736)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(592072159)興亜産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】